特許第6755526号(P6755526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグの特許一覧

<>
  • 特許6755526-懸濁培養の方法及びシステム 図000004
  • 特許6755526-懸濁培養の方法及びシステム 図000005
  • 特許6755526-懸濁培養の方法及びシステム 図000006
  • 特許6755526-懸濁培養の方法及びシステム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755526
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】懸濁培養の方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/00 20060101AFI20200907BHJP
   C12M 3/02 20060101ALI20200907BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20200907BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20200907BHJP
   C12M 1/02 20060101ALN20200907BHJP
【FI】
   C12N1/00 B
   C12M3/02
   !C12N5/0783
   !C12M1/00 D
   !C12M1/02 A
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-502619(P2017-502619)
(86)(22)【出願日】2015年7月9日
(65)【公表番号】特表2017-521080(P2017-521080A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】EP2015065683
(87)【国際公開番号】WO2016012249
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年6月27日
(31)【優先権主張番号】62/028,877
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1416362.0
(32)【優先日】2014年9月16日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ジェイナス,マイケル・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルガー・チュロック,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】グローバー,クライブ
【審査官】 堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2001/023520(WO,A1)
【文献】 米国特許第06190913(US,B1)
【文献】 特表2014−507959(JP,A)
【文献】 特表2012−531930(JP,A)
【文献】 特開平08−038166(JP,A)
【文献】 特開平03−172172(JP,A)
【文献】 KYUNG, Y.S. et al.,HIGH DENSITY CULTURE OF MAMMALIAN CELLS WITH DYNAMIC PERFUSION BASED ON ON-LINE OXYGEN UPTAKE RATE MEASUREMENTS,CYTOTECHNOLOGY,NL,KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS,1994年,VOL:14,PAGE(S):183-190,URL,http://dx.doi.org/10.1007/BF00749615
【文献】 "Perfusion culture of T lymphocytes in the WAVE Bioreactor System 2/10 (software version 2.61)"、[online],GE Healthcare Life Sciences,2010年 1月,[2019年4月25日検索]、インターネット<URL:https://cdn.gelifesciences.com/dmm3bwsv3/AssetStream.aspx?mediaformatid=10061&destinationid=10016&assetid=14464>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00−7/08
C12M 1/00−3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非静的バイオリアクターにおいて細胞の懸濁培養の潅流速度を調節する方法であって、バイオリアクターにおける初代単核細胞の酸素摂取量を登録するステップ、登録酸素摂取量と細胞数との既定の相関によって初代単核細胞の細胞数を予測するステップ、及び登録酸素摂取量に応じて潅流速度を制御するステップ、を含み、
前記登録酸素摂取量が、溶存酸素(DO)摂取量又は酸素摂取速度(OUR)であり、これにより経時的な溶存酸素(DO)の変化が測定され、
前記登録酸素摂取量と細胞数との既定の相関が、DO/OURと細胞濃度との直線関係であり、
バイオリアクターが1〜25rpmの一定の揺動速度に維持される、方法。
【請求項2】
酸素摂取量が、バイオリアクターに統合されたセンサーによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
バイオリアクターの揺動速度が10〜15rpmである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
バイオリアクターがフレキシブル細胞バッグである、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
細胞がT細胞である、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
登録酸素摂取量が溶存酸素(DO)摂取量であり、揺動速度が10〜15rpmであり、バイオリアクターがフレキシブル細胞バッグである、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
コンピュータ端末、バイオリアクターコントロールユニット、ガス出口ライン、センサーケーブル、細胞増殖システム、揺動プラットホーム、バイオリアクター、ガス入口ポート、酸素摂取量測定用のセンサー、培地廃棄ライン、培地供給ライン及びポンプユニット、培地供給リザーバ並びに培地廃棄リザーバを含み、該ポンプユニット、該細胞増殖システム及び該バイオリアクターコントロールユニットが、ポンプユニットの動作速度を制御するコンピュータ端末に接続され、酸素摂取量測定値に応じて培地交換速度を制御する、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の方法において使用するための、バイオリアクターシステム。
【請求項8】
バイオリアクターがフレキシブル細胞バッグである、請求項に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項9】
センサーが光学プローブ又は電気化学プローブである、請求項又は請求項に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項10】
センサーが、溶存酸素(DO)又は酸素摂取速度(OUR)を測定する、請求項に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項11】
センサーが、DOを測定する、フレキシブル細胞バッグの底部に埋め込まれた光学プローブである、請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載のバイオリアクターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル細胞バッグバイオリアクターなどのバイオリアクターにおける細胞培養に関する。より詳細には、本発明は、バイオリアクター培養液中の細胞密度を決定するため、及びバイオリアクター中の細胞の懸濁培養の潅流速度を制御するための方法及びシステムであって、非静的バイオリアクターにおける初代単核細胞の酸素摂取量を測定するステップを含む方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル細胞培養バッグは、患者移植用の初代末梢血単核細胞(特にT細胞)の培養及び増殖に現在使用されている。細胞は、該細胞が含有されている細胞バッグ内で成長し、新鮮な培地が培養液に添加され、消費された培地が除去される、培地の潅流を使用することによって高い細胞密度が達成される。培地潅流の速度は、細胞バッグ内の細胞濃度に依存し、この潅流速度は細胞濃度が高くなるにしたがって上昇する。成長速度及び培養細胞の濃度のモニタリングは、細胞バッグからのサンプリングを必要とする。開封する際に、サンプリングポートは培養液を外部環境に暴露し、培養液汚染のリスクを有する。
【0003】
懸濁培養液中で成長させた細胞の細胞成長をモニタリングするために開発された、様々なインライン(in situ)細胞カウンターが存在する。これらは、光学プローブ(例えば、収束ビーム反射測定法(FBRM)プローブ及び particle vision measurement(PVM)システム)並びにin situ顕微鏡を含む。しかし、これらはすべて外部源からプローブを培養液に浸漬することが必要であり、このことは無菌性を損なう。これらの溶液はまた多量で高価であり、細胞バッグ中に統合することが困難である。これらは、フレキシブル細胞バッグではなく、ステンレス鋼のバイオリアクターで使用するように設計されている。
【0004】
バイオリアクター培養液中のpH及び溶存酸素(DO)のレベルを測定する光学プローブ利用可能である。溶存酸素の測定値は、バイオリアクター培養液中の酸素摂取速度(OUR)を決定するために使用可能である。その酸素摂取速度は、例えば、Eur.J Appl Microbiol Biotechnol(1981)12:193−197に記載のように、細胞濃度と相関しており、培養液中の細胞数が多いほど、OUR測定値は高いことが理解されよう。本方法は、一定の高いレベルの溶存酸素を維持することが優先である、タンパク質産生のための不死化細胞系を培養することに関する。溶存酸素測定値は、バイオリアクターの撹拌速度が上昇しているかどうか、又はDOレベルを公称基準レベル以上に維持するために酸素のスパージングが必要かどうかを決定するために使用される。
【0005】
細胞又は密閉培養環境を損なわない、細胞成長をモニターし、感受性細胞の潅流速度を調節する方法が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2011/005773号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、懸濁培養において培養された初代細胞に関して、溶存酸素濃度と細胞密度との間の逆の直線関係が存在することを見出した。細胞数が増加すると、溶存酸素の濃度は低下する。この関係は、溶存酸素測定値に基づき細胞濃度を予測可能にし、それによってサンプリングポートの使用を不要にすることができる。本発明において、酸素摂取量の測定値は、潅流速度の設定に使用される。
【0008】
したがって、本発明の第1の態様は、非静的バイオリアクターにおいて細胞の懸濁培養の潅流速度を調節する方法であって、バイオリアクターにおける初代単核細胞の酸素摂取量を登録するステップ、登録酸素摂取量と細胞数との既定の相関によって初代単核細胞の細胞数を予測するステップ、及び登録酸素摂取量に応じて潅流速度を制御するステップ、を含む方法に関する。本方法は、揺動、かき混ぜ又は撹拌型のバイオリアクターのいずれかのタイプにおいて懸濁培養に適用可能である。バイオリアクターは、好ましくは少なくとも酸素摂取量の登録の間は、一定の揺動速度に維持されることが好ましい。
【0009】
登録酸素摂取量は、溶存酸素(DO)摂取量又は酸素摂取速度(OUR)であり、これにより経時的な溶存酸素の変化が測定される。本方法の好ましい実施形態では、DO摂取量が測定される。
【0010】
好ましくは、酸素摂取量はバイオリアクターに統合されたセンサーによって測定される。このセンサーは、バイオリアクター内、例えば細胞バッグの底部などに埋め込まれた光学センサーであることが好ましい。ケーブルは外側から連結されて、コントロールコンピュータにつながってもよい。測定は連続的に行われ、記録される。バイオリアクター/細胞バッグの操作は必要ない。
【0011】
好ましくは、バイオリアクターの揺動速度は1〜25rpm、より好ましくは10〜15rpmである。本発明の方法は、T細胞又は他の感受性細胞の懸濁培養に特に適切である。
【0012】
好ましい実施形態では、登録酸素摂取量は溶存酸素(DO)であり、揺動速度は10〜15rpmであり、バイオリアクターはフレキシブル細胞バッグである。
【0013】
第2の態様において、本発明は、コンピュータ端末(1)、バイオリアクターコントロールユニット(2)、ガス出口ライン(3)、センサーケーブル(4)、細胞増殖システム(5)、揺動プラットホーム(6)、バイオリアクター(7)、ガス入口ポート(8)、酸素摂取量測定のための光学プローブなどのセンサー(9)、培地廃棄ライン(10)、培地供給ライン(11)及びポンプユニット(12)、培地供給リザーバ(13)並びに培地廃棄リザーバ(14)を含み、該ポンプユニット、該細胞増殖システム及び該バイオリアクターコントロールユニットが、ポンプユニットの動作速度を制御するコンピュータ端末(1)に接続され、酸素摂取量測定値に応じて培地交換速度を制御するバイオリアクターシステムに関する。
【0014】
センサー(9)は、光学プローブ又は電気化学プローブであってよい。
【0015】
本バイオリアクターシステムの好ましい実施形態では、センサー(9)は、溶存酸素(DO)又は酸素摂取速度(OUR)を測定する。
【0016】
好ましくは、センサーはDOを測定する光学プローブであり、フレキシブル細胞バッグの底部に埋め込まれる。
【0017】
本発明は、溶存酸素(DO)測定値又は酸素摂取速度(OUR)を使用する能力を提示し、潅流戦略を導く。本発明の実施形態では、(ソフトウェアプログラムを書き込むことによって)DO又はOURの測定値に基づき潅流は自動化することができる。溶存酸素測定値を細胞数の代わりに潅流速度の設定に使用することは、この工程の自動化をさらに可能にし、潅流設定の手作業による変更を不要にし、これにより、ヒューマンエラーによって培養液が損なわれるおそれが減少する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】バイオリアクタープラットホームの角度6°及び揺動速度15rpmに設定されたXuri(商標)バイオリアクターにおける1L培養液中の溶存酸素(DO)と初代ヒトT細胞の濃度との間の逆の直線関係のデータを示す図である。
図2】Xuri(商標)バイオリアクターを揺動速度10rpm及び角度6°にセットした場合の、DOと細胞濃度との関係を示す図である。
図3】本発明に従ったバイオリアクターシステムの概略図であり、本発明の主要な特徴を示す図である。
図4図3のバイオリアクターシステムに使用される細胞バッグの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を、添付の図面及びいくつかの限定されない実施例と関連させて、以下により詳細に記載する。
【0020】
本発明は、バイオリアクター中の初代リンパ球の密度をin situで予測する方法である。本発明は、溶存酸素濃度と細胞濃度との直線関係を使用して、バイオリアクター培養液中の細胞密度を予測する。本発明は、溶存酸素濃度に基づき潅流速度を設定可能にする。潅流速度を溶存酸素測定値に基づき調製可能にするプログラムは、任意の選択されたバイオリアクターを運転するソフトウェアに書き込むことができる。
【0021】
DO/OURと細胞濃度との間の直線関係は、以前には初代単核細胞に対して示されていなかった。この関係は驚くほど緊密であり、この緊密性のため、WAVE又はXuri(商標)バイオリアクターなどのバイオリアクターのソフトウェア制御に組み込むことができるこれは、細胞バッグから試料を採取することなく細胞数が予測可能であり、潅流速度を変更できることを意味する。
【0022】
本発明のバイオリアクターシステムの好ましい例は図3に示されており、(1)はコンピュータ端末であり、(2)は細胞バッグバイオリアクターコントロールユニット、(3)はガス出口ライン、(4)はDO光学ケーブル、(5)はXuri(商標)細胞増殖システム、(6)は揺動プラットホーム、(7)は細胞バッグバイオリアクター、(8)はガス入口ポート、(9)はDOを測定するための光学プローブ、(10)は培地廃棄ライン、(11)は培地供給ライン、(12)ポンプユニット、(13)は培地供給リザーバ並びに(14)は培地廃棄リザーバである。ポンプユニット、Xuri(商標)細胞増殖システム及び細胞バッグバイオリアクターコントロールユニットはコンピュータ端末に接続される。コンピュータ端末中のソフトウェアは、ポンプユニットの動作速度を制御して、培地交換速度を制御する。
【0023】
図4は、(15)揺動プラットホームに連結するための締結ロッド、(16)供給ライン、(17)廃棄ライン、(18)ガス排気チューブ、(19)ガス入口チューブ、(20)潅流フィルター、(21)溶存酸素を測定するための光学プローブ、(22)回収ポート及びサンプリングポート(23)から構成される、図3のバイオリアクターシステムに使用するための細胞バッグを示す図である。潅流フィルターは細胞バッグの内部にある。DOプローブは細胞バッグの底部に埋め込まれ、培養環境とは間接的に接触する。
【実施例】
【0024】
実施例1:溶存酸素レベルと細胞濃度との間の関係の規定
方法:末梢血単核細胞を、抗CD3/28活性化ビーズ及び20ng/mlのIL−2と一緒に静的培養において5日間培養した。静的培養の間、細胞濃度を、培地の添加により5×10E05/mlに維持した。培養5日目に、Xuri W25バイオリアクターにおいてさらに5〜9日間培養するために、細胞を2Lの細胞バッグに移した。細胞を、最終体積が1Lに到達するまで培地の添加により5×10E05/mlに維持し、その後、細胞が増殖し続けるように細胞濃度を上昇させた。揺動プラットホームを角度6°及び揺動速度15rpmに設定し、培養過程の間を通して一定に維持した。細胞濃度がいったん2×10E06/mlに到達したら、培地潅流を可能にした。細胞バッグは溶存酸素(DO)のための光学センサーを備え、DOレベル測定を、細胞数の計測と同時に24時間ごとに記録した。これらのデータは、それぞれが異なるドナーを使用した7回の独立した実験をもとに作成した。
【0025】
DO対細胞濃度のプロットを描き、直線トレンドラインを決定した(図1)。この実施例におけるトレンドラインの方程式は下記の通りである。
【0026】
DO=−1.58E−06×細胞密度+90.01
この方程式を使用して、所与の培養液の細胞密度を、揺動速度を15rpmに維持し、揺動角度を6°に維持するという条件で、培養期間の間の任意の時点でDO測定値から予測することができた。
【0027】
同じデータを、揺動プラットホームを10rpm及び6°に設定した培養液に関して作成した(図2)。このデータは、2人のドナーを使用した2回の個別の実験をもとにして作成した。DO対細胞濃度のプロットを描き、方程式によるトレンドラインを作成した。この実施例におけるトレンドラインの方程式は下記の通りである。
【0028】
DO=−2.88E−06×細胞密度+89.81
これらのデータは、バイオリアクターの揺動速度に依存することを示している。細胞密度を予測するこれらの方程式を使用するために、揺動条件は培養期間の間を通して一定に維持する必要がある。
【0029】
実施例2:溶存酸素測定値に基づく潅流速度の予測
細胞密度を予測するためのDO使用の可能性は、T細胞培養における潅流速度の自動設定方法を含むようにさらに探索可能である。細胞数が多いほど代謝負荷が高く、要求される培地交換速度が速いので、潅流速度は細胞密度により規定される。
【0030】
上記の実験に使用した基準潅流速度は下記の通りである。
【0031】
【表1】
DO対細胞濃度のトレンドラインに基づき、潅流速度は細胞濃度の代わりにDO測定値を使用して設定することができる。
【0032】
【表2】
自動設定は、細胞バッグバイオリアクター(図4)に埋め込まれたDO光学センサーにより培養の間を通して連続して収集されたDO測定値がソフトウェアにより記録され、その後、このソフトウェアがポンプ速度を調整して、細胞バッグバイオリアクターにおいて潅流される培地量を制御するように構成することができる(図3)。このことにより、培養期間の間にオペレーターにより潅流速度を手作業で変更する必要がなくなる。バイオリアクター培養の開始時に、オペレーターは、DO測定値に基づき上記の表に例示されるどの潅流速度を使用するかを命令する必要があるが、これ以降オペレーターがさらに入力する必要がない。
図1
図2
図3
図4