(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受け板部は、前記側板から切り起こし形成されており、前記上面部には、前記受け板部の上側に生じる上側開口を前記第1フレームのネジ止め状態で閉塞する閉塞片が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンロ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、コンロの一例であるビルトインコンロの斜視図、
図2はその平面図、
図3は
図2のA−A線断面図、
図4はB−B線断面図である。
このビルトインコンロ1は、平面視が横長矩形状の筐体2内に、前側(
図2の下側)で左右に2つ、その間で後側に1つの3つのコンロ部3,3・・と、左右2つのコンロ部3,3の間に位置するグリル部4とを備えてなる。各コンロ部3のコンロバーナ90は、筐体2内の上部に架設される後述するフレームユニット100によって筐体2内で支持されている。
【0010】
(筐体の構造について)
最初に筐体2の構造について説明する。
筐体2は、後板6と左右の側板7,7と底板8とを有して前面及び上面を開口した筺本体5と、筺本体5の前面に取り付けられる上側の上前枠9と下側のフロントパネル10、筺本体5の上面の開口に取り付けられる天板11とからなる。筺本体5の後板6は、上方へ行くに従って後退する傾斜状に形成されて、筐体2の上面の開口には、天板11が取り付けられると共に、その下方でキッチンのキャビネットに係止するフランジ12が周設されている。
【0011】
ここでは上前枠9がキャビネットの内部からキャビネットの前縁部に嵌合してフロントパネル10がキャビネットの正面に露出するため、左右の側板7,7の前端は、上前枠9とフロントパネル10との取り付け位置に合わせて、
図5に示すように、上下方向の上縁部13と前後方向の下縁部14とを有する側面視L字状に形成されている。左右の上縁部13,13には、上端に水平な三角片16をそれぞれ折曲形成した一対の後受け片15,15が、前方斜め内側に向けて折曲形成され、左右の下縁部14,14には、一対の外側受け片17,17が内側に向けて折曲形成されている。
【0012】
底板8上で左右方向の中央には、前面が開口して後方へ延び、後端が後板6に沿って上向きに開口する排気筒19となる四角筒状のグリル庫18が設けられて、底板8上の前端には、グリル庫18の入口と連結される四角枠状の支持フレーム20が設けられている。この支持フレーム20の左右の上端で左右の外側受け片17,17の間には、外側受け片17と同じ高さで外側受け片17側へ外向きに折曲される一対の内側受け片21,21が形成されている。各内側受け片21の後端外側には、上向きにガイド片22が切り起こし形成されている。
【0013】
上前枠9は、
図6に示すように、左右方向に延びる中板部23と、その中板部23の上端から前方に折曲される上板部24と、中板部23の下端から前方に折曲される下板部25とからなる。
中板部23の左右両側には、側板7の後受け片15,15に対応する一対の折曲片26,26が斜め後ろ向きに折曲形成され、各折曲片26の内側には、後方へ突出して中央にネジ孔28が形成された四角形状の第1ネジ止め片27,27が、左右に一対ずつ切り起こし形成されている。この第1ネジ止め片27,27・・は、後述するガス供給装置70の固定に利用される。また、第1ネジ止め片27,27・・よりも上側で中板部23には、フロントパネル10のネジ止め用の取り付け片29,29・・が後向きに切り起こし形成されている。
【0014】
上板部24は、前側外周に前フランジ30を有して筺本体5への組み付け状態でフランジ12の前端部分を形成する。フランジ12にはゴムシール31(
図3,5)が嵌着される。また、前フランジ30には、天板11の外周に内側から係止する複数の係止爪32,32・・が前向きに突設されている。
下板部25は、左右の側板7,7の下縁部14,14間に架設される帯状で、左右外側寄りで中板部23の第1ネジ止め片27,27の内側には、前後方向にガイドスリット33,33がそれぞれ形成されている。このガイドスリット33,33は、支持フレーム20の内側受け片21,21に設けたガイド片22,22に対応する位置となっている。
【0015】
この上前枠9は、中板部23を左右の側板7,7の上縁部13,13間に、下板部25を下縁部14,14間にそれぞれ位置決めしてネジ止めされる。このとき、下板部25のガイドスリット33,33に内側受け片21,21に設けたガイド片22,22を挿通させて後方へ押し込むようにすると、下板部25がガイド片22,22でガイドされて左右方向の位置が決まった状態となる。そのまま上前枠9を後方へ押し込めば、中板部23が、折曲片26,26を上縁部13,13の後受け片15,15に当接させた位置、上板部24が、左右両端を三角片16,16上に当接させた位置、下板部25が、下縁部14,14の外側受け片17,17上と支持フレーム20の内側受け片21,21上とに載置した位置でそれぞれ位置決めされる。
【0016】
この位置決め状態で、折曲片26,26を後受け片15,15に、上板部24の左右両端を三角片16,16に、下板部25を外側受け片17,17及び内側受け片21,21にそれぞれネジ止めすれば、
図7〜9に示すように上前枠9が固定される。この固定状態では、上板部24の前フランジ30がフランジ12に組み込まれて中板部23が上縁部13,13間を閉塞し、下板部25が下縁部14,14間を閉塞する。
天板11は、ゴムシール31の内側でフランジ12の四隅にネジ止めされて外周がゴムシール31の上側に位置する。天板11の後側には、グリル庫18の排気筒19及びビルトインコンロ1の下方に設けられたオーブンからの燃焼排気を排気するためのスリット状の排気口34,34・・(
図1,2)が形成されて、その前方で3つのコンロ部3,3・・の設置領域は、平面視矩形状の凹部35となっている。
【0017】
グリル庫18内には、
図4に示すように、炎口形成面を下向きにした扁平状のグリル上バーナ36が上部に、下側に図示しないグリル下バーナが設置され、下部に、焼き網38と汁受け皿39とを支持する載置台37が出し入れ可能に設けられている。載置台37をグリル庫18内に収容した状態では、載置台37の前端に設けられたグリル扉40(
図1)が、支持フレーム20に嵌合してグリル庫18の入口を閉塞している。
【0018】
フロントパネル10は、
図1,8にも示すように、グリル扉40が嵌合する切欠部を備えた正面部41と、その正面部41の上縁から後方に折曲されて上前枠9の下板部25を上方から覆う上カバー部42と、底板8を下方から覆う下カバー部43とを有し、上カバー部42の後端で左右に設けた止め部44,44を、上前枠9の中板部23に形成された取り付け片29にネジ止めすることで組み付けられる。正面部41の左右には、グリル上バーナ36やコンロバーナ90を点消火操作するための点消火ボタン78及び開閉可能な操作パネル45が露出する四角窓46と、その上側でガス供給装置70の火力調整レバー80が突出する左右方向の長孔47とが形成されている。48は、側板7,7の前部外面に係止固定されてキャビネットの開口との隙間を閉塞するサイドモールである。
【0019】
(内部ガス管の配管構造について)
次に、筐体2における内部ガス管の配管構造について説明する。
グリル部4の左側方で底板8には、
図10,11に示すように、外部のガス管を接続するための第1ガス導入口50が形成され、後板6には、筐体2内に外部のガス管を引き込むための第2ガス導入口51が形成されている。第1ガス導入口50には、T字状の配管接続具52の下向き管路53が、両端の横向き管路54,54を前後方向に向けた姿勢で設けられている。
筐体2内の内部ガス管55は、配管接続具52の前側の横向き管路54に接続されて前方へ引き回された後、右方向に折曲してフロントパネル10の後方で直線的に引き回される。その後、グリル庫18の左側で後方へ折曲し、Uターンした格好でグリル庫18の後方へ移動する。そして、右側へ折曲してグリル庫18の後部を迂回し、グリル庫18の右側から再び前方へ折曲してグリル庫18の右側を通過した後、右方向に折曲してフロントパネル10の後方へ直線的に引き回されて終端が閉塞されている。前側の左右の直線部分には、ガス供給装置70の弁部71が固定される固定座56,56が一対ずつ設けられている。57,57・・は、底板8上に固定されて内部ガス管55を下方から支持する支持板である。
【0020】
また、グリル庫18の後部を迂回する内部ガス管55の上部には、平面視コ字状の配管カバー58が設けられている。この配管カバー58は、前方に延びる左右両端が、下方に伸ばした脚片59を底板8にネジ止めし、左右に延びる後端縁に設けた係止片60,60・・を後板6に係止させることで筐体2内で固定される。この固定状態で、内部ガス管55の後方部分が覆われ、天板11の排気口34から浸入した煮汁等がグリル庫18の後部周りで内部ガス管55に付着することが防止される。
【0021】
また、後板6における第2ガス導入口51の上側内縁には、
図12に示すように、連結片61が内側へ突設されて、この連結片61に、第2ガス導入口51を内側から塞ぐ閉塞板62が、ネジ63によって着脱可能に取り付けられている。この閉塞板62は、上端に内側へ突出する覆い部64を有し、覆い部64の下側を連結片61に貫通させて覆い部64を連結片61の上側に載置した状態で、覆い部64を貫通させたネジ63を連結片61に設けたネジ孔61aにねじ込むことで取り付け可能となっている。このネジ63を取り外すことで、連結片61から閉塞板62を抜き取って第2ガス導入口51を開放させることができ、ここからオーブン等に接続される外部のガス管を引き込んで配管接続具52の後側の横向き管路54に接続可能となる。覆い部64は、後板6に沿って右側へ延びて平面視で配管カバー58の上方に被さるようになっており、覆い部64の突出端部には、上向きに突出する折り返し部65が折曲形成されている。
【0022】
ここでは、キャビネット内でビルトインコンロ1の下側にオーブンを設けない場合は、第1ガス導入口50からガス管が配管接続具52の下向き管路53に接続され、後側の横向き管路54が閉塞される。一方、下側にオーブンを設けた場合は、オーブンからのガス管が、閉塞板62を取り外した第2ガス導入口51から導入されて配管接続具52の横向き管路54に接続され、下向き管路53が閉塞される。
オーブンを設けた場合は、グリル庫18の排気筒19の周囲にオーブンの排気筒が設けられるため、排気口34から浸入した煮汁等が配管接続具52に付着するおそれがないが、オーブンを設けない場合、排気筒19の周囲から浸入した煮汁等が後板6を伝って配管接続具52に付着するおそれが生じる。
しかし、閉塞板62には覆い部64が設けられているため、煮汁等を受け止めて配管接続具52への付着を防止することができる。煮汁等の量が多い場合でも、折り返し部65でせき止められて横に流れるため、下側でオーバーラップする配管カバー58上へ落下するにとどまり、内部ガス管55への付着を防止することができる。
【0023】
(閉塞板に係る発明の効果)
上記形態のビルトインコンロ1によれば、閉塞板62の上部に、第2ガス導入口51の上方から筐体2内に突出すると共に、平面視で配管カバー58の上方に重なる覆い部64を設けたことで、グリル部4の排気筒19の周囲から煮汁等が浸入しても、配管接続具52や筐体2内の内部ガス管55に付着することを防止できる。また、煮汁等が多い場合でも、配管カバー58上に導いてグリル部4の後側に落下させることができるので、内部ガス管55や電材部品等への煮汁等の付着を好適に防止可能となる。
特にここでは、覆い部64の突出端部に、上向きに突出する折り返し部65が形成されているので、煮汁等をせき止めて配管カバー58上へ確実に誘導することができる。
【0024】
なお、閉塞板や覆い部、折り返し部、配管カバーの形状は適宜変更可能で、覆い部の突出長さや幅を大きくしたり、上向きの角度を大きくしたりしても差し支えない。覆い部の形状によって煮汁等のせき止めが確実に行えれば折り返し部は省略することも可能である。
また、上記形態ではグリル部の左側に第2ガス導入口及び配管接続具を配置しているが、グリル部の右側であってもよい。
【0025】
(ガス供給装置の構造について)
次に、ガス供給装置70の構造について説明する。
ガス供給装置70,70・・は、
図5,7及び
図13に示すように、3つの各コンロ部3とグリル部4とにそれぞれ対応した4つが、グリル部4を挟んで左右に2つずつ分かれて配設されている。ここでは左端のガス供給装置70が前側左のコンロ部3に対応し、左から2番目のガス供給装置70が後側のコンロ部3に対応し、左から3番目のガス供給装置70がグリル部4に対応し、右端のガス供給装置70が前側右のコンロ部3に対応する。
各ガス供給装置70は、
図14にも示すように、下側の弁部71と上側の調整部72とを備えてなり、弁部71が内部ガス管55の固定座56上にネジ固定されて燃料ガスが供給され、調整部72に接続したガスパイプ73がバーナに接続される。
【0026】
弁部71は、固定座56上で前後方向に延び、内部には、ガス流路を開閉するメイン弁75を備えたスピンドル74や、立ち消え安全機能に利用される安全弁76等が備えられて、カム機構77を介してフロントパネル10から突出する点消火ボタン78の押し操作により、バーナの点消火を可能としている。
調整部72は、ニードル弁79を備えて上下方向に延び、フロントパネル10の長孔47から突出する火力調整レバー80(但し、グリル部4用では上下バーナごとに上下に分割されている。)によってニードル弁79を動作させてガス流路の開度を調整可能としている。
【0027】
そして、調整部72の上部には、
図5,7〜8に示すように、火力調整レバー80の後方で上方に延びる起立部としての起立壁81が設けられて、起立壁81の上端に、上前枠9に取り付けるための第2ネジ止め部としての第2ネジ止め片82が後方へ向けて折曲形成されている。起立壁81における第2ネジ止め片82の下側には、貫通孔83が形成され、第2ネジ止め片82には、透孔84が形成されている。
ここでは
図5に示すようにガス供給装置70を先に設置位置へセットした状態で、上前枠9が筺本体5に組み付けられる。このとき、前述のように上前枠9の下板部25のガイドスリット33,33に内側受け片21,21のガイド片22,22を挿通させ、外側受け片17に下板部25の高さを合わせて位置決めすると、中板部23が起立壁81に当接し、中板部23の第1ネジ止め片27がガス供給装置70の第2ネジ止め片82の下方から貫通孔83を貫通するようになっている。こうして上前枠9を組み付けた状態では、第2ネジ止め片82が第1ネジ止め片27に上方から重なり、この重合状態で、第2ネジ止め片82の透孔84が第1ネジ止め片27のネジ孔28の真上に位置する。従って、透孔84から差し込んだネジ85をネジ孔28にねじ込むことで、第1ネジ止め片27に第2ネジ止め片82が結合されて調整部72が固定される。
【0028】
このようにガス供給装置70は、調整部72の第2ネジ止め片82が、下側で重なる第1ネジ止め片27にネジ止めされて固定されるので、メンテナンス等の際にガス供給装置70を取り外す場合は、ネジ85及び固定座56に弁部71をネジ止めするネジを取り外せば、貫通孔83内で第1ネジ止め片27が相対移動できる範囲でガス供給装置70を上方へ引き上げることができる。そのまま後方へ移動させて貫通孔83から第1ネジ止め片27を抜き外せば、第1ネジ止め片27と干渉することなく筐体2から取り出すことができる。筐体2内へ戻す場合も、第1ネジ止め片27が貫通孔83を貫通するようにして上側から簡単に位置決めすることができる。
【0029】
(ガス供給装置に係る発明の効果)
上記形態のビルトインコンロ1によれば、上前枠9には、ガス供給装置70のネジ止め用の第1ネジ止め片27が後方に突設される一方、ガス供給装置70には、上方に延びる起立壁81と、その起立壁81の上端から後方へ延び、組み付け位置で第1ネジ止め片27の上側に重なる第2ネジ止め片82とが設けられて、下側の第1ネジ止め片27と上側の第2ネジ止め片82とのネジ止めによってガス供給装置70が固定されることで、ガス供給装置70を上側へ引き出すに当たり、第1ネジ止め片27の引っ掛かりを防ぐことができる。よって、筐体2をキャビネットに組み込んだ状態でもガス供給装置70を簡単に筐体2に対して出し入れすることができ、メンテナンスの簡便化を図ることができる。
【0030】
特にここでは、起立壁81には貫通孔83が形成され、第2ネジ止め片82は後向きに設けられて、組み付け位置では、第1ネジ止め片27が貫通孔83を貫通して第2ネジ止め片82の下側に重なることで、起立壁81と干渉することなく第1ネジ止め片27を第2ネジ止め片82の下側に位置させることができる。
また、上前枠9の下端には、前方へ延びる下板部25が形成され、左右の側板7,7には、下板部25を下方から支持する外側受け片17,17が形成されているので、ガス供給装置70に対して上前枠9を組み付ける際の組み付け高さを作業者に正しく認識させることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0031】
さらに、左右の側板7,7の前端間には、グリル部4の開口を形成する支持フレーム20が設けられて、支持フレーム20の上端に、下板部25を下方から支持する内側受け片21,21が形成されて、内側受け片21から上向きにガイド片22が突設される一方、下板部25には、上前枠9の筺本体5への取り付け位置でガイド片22が下方から貫通するガイドスリット33が設けられているので、ガス供給装置70に対して上前枠9を組み付ける際の上前枠9の左右方向の位置決めを容易に行うことができ、上前枠9の組み付けに係る作業性も良好となる。
【0032】
なお、上記形態では、第2ネジ止め片を後向きに設けて起立壁の貫通孔に第1ネジ止め片を貫通させて上下に重ねているが、第2ネジ止め片を前向きに設けて、組み付け位置では、第1ネジ止め片が起立壁の前側で第2ネジ止め片の下側に重なるようにしてもよい。この場合も前向きに設けた第2ネジ止め片を第1ネジ止め片の上側へ簡単に重ねることができる。起立壁には第1ネジ止め片の先端が係合する溝や凹部を形成してもよい。
また、第1ネジ止め片は切り起こし形成に限らず、別部材を上前枠に固定して設けてもよい。第2ネジ止め片や外側受け片、内側受け片も同様である。
【0033】
(フレームユニットの構造について)
次に、フレームユニット100の構造について説明する。
まず、各コンロ部3は、
図3,4に示すように、円筒状のバーナ本体91と、バーナ本体91から放射方向に連設される筒状のスロート部92と、バーナ本体91上に載置されて外周に炎口を形成するバーナヘッド93とからなり、筐体2内で支持されるコンロバーナ90を有する。バーナ本体91及びバーナヘッド93は、天板11に突設された円形凸部94の中心に形成されたバーナ開口部95を介して天板11上に突出している。
また、天板11には、五徳96,96・・が設けられている。この五徳96は、円形凸部94に外嵌してバーナ開口部95を囲むリング部97と、そのリング部97上へ放射状に取り付けられて外周下側に天板11との接地部99を有する複数のコ字状の五徳爪98,98・・とからなる。
【0034】
各コンロ部3は、筐体2内の上部に配設されたフレームユニット100によって支持されている。このフレームユニット100は、
図15にも示すように、筐体2内で左右方向に延びて前後に配される一対の横フレーム101,101と、横フレーム101,101の左右方向の中間部同士を繋ぐ前後方向の縦フレーム102とからなる。
横フレーム101は、帯状の金属板をコ字状に折り曲げて、上面部103と、その両側の下脚部104,104とを形成して下脚部104,104を下向きとした形状で、下脚部104,104の長手方向の両端縁下部には、外端面よりも外方へ突出する差込突起105,105がそれぞれ形成されている。また、上面部103の外端には、閉塞片106が上向きに形成され、その内側には、ネジ止め用の上側透孔107が形成されている。
【0035】
縦フレーム102は、前方へ向けて幅が徐々に狭くなる平面テーパ状の金属板の両側を折り曲げると共に、狭幅側の端部両側に一対の前止め片108,108を、広幅側の端部に直交方向の後載せ片109を形成してなる。この前止め片108,108を、前側の横フレーム101の上面部103上にネジ止めし、後載せ片109を後側の横フレーム101の上面部103上に載せ掛けてネジ止めすることで、縦フレーム102は横フレーム101,101間で前後に架設される。但し、縦フレーム102には、後載せ片109よりも前止め片108,108が低くなる段差が形成されていることから、縦フレーム102を架設した状態では、横フレーム101,101間に、前側が後側よりも低くなる段差が設定される。
【0036】
前側左右のコンロ部3,3のコンロバーナ90,90は、前側の横フレーム101にネジ止めされた平面視横長矩形状の前支持台110上に、バーナ本体91の下部に設けた左右の張出部111,111がネジ止めされてスロート部92が後方下向きに延びる。スロート部92の後端には、ガス供給装置70のガスパイプ73の下流端が支持されるノズル受け台112が設けられている。このノズル受け台112の後端が、後側の横フレーム101にネジ止めされて前側が下向きに垂下する垂下板113に、横フレーム101の下方で貫通係止している。こうしてコンロバーナ90は、前後の横フレーム101,101間に跨がる格好で固定される。
【0037】
後側のコンロ部3のコンロバーナ90は、後側の横フレーム101と縦フレーム102とに跨がってネジ止めされた後支持台114にバーナ本体91の張出部111がネジ止めされる。また、スロート部92は横フレーム101に沿って左方向に延び、スロート部92の後端に固定されてガス供給装置70のガスパイプ73の下流端が支持されるノズル受け台112が横フレーム101上にネジ止めされる。よって、後側のコンロバーナ90は横フレーム101上で左右方向に固定される。各前支持台110及び後支持台114には、熱電対115と点火電極116と、サーミスタを内設した感熱棒117とがそれぞれ支持されている。
【0038】
また、フレームユニット100上には、天板支持枠118が設けられる。この天板支持枠118は、
図3〜5及び
図16に示すように、平面視で前側左右のコンロバーナ90,90の各バーナ本体91の周囲を囲む位置に配置される平面視正方形の環状体となっている。この天板支持枠118の左右の内縁には、下方へ折曲されて前支持台110の外側で横フレーム101上にネジ止めされる一対の横脚部119,119が設けられ、後側の内縁には、スロート部92を跨いでノズル受け台112上に載置される後脚部120が設けられている。さらに、天板支持枠118の前端で左右方向の中央には、前方へ延びた後下向きに折曲される前脚部121が形成されている。122は、横脚部119,119を横フレーム101にネジ止めするための工具を受け入れる丸孔である。
【0039】
一方、筐体2の左右の側板7,7には、
図10,11に示すように、フレームユニット100の前後の横フレーム101,101の上面部103,103を下方から支持する受け板部123,123が、内側へ折り返し形成されている。各受け板部123には、上面部103の上側透孔107に対応する下側ネジ孔124がそれぞれ形成されている。
また、各受け板部123の下側には、横フレーム101の下脚部104に設けた差込突起105を係止するための前後一対の係止スリット125,125がそれぞれ形成されている。但し、後側の受け板部123及び係止スリット125は、横フレーム101,101の前後の段差に合わせて前側よりも高い位置に形成されている。
各係止スリット125は、
図17にも示すように、側板7に筐体2の内側へ突出するように形成された膨出部126に、差込突起105よりも僅かに大きい上下寸法となるように形成されている。また、側板7における各膨出部126の後側には、係止スリット125よりも上下寸法が大きい導入スリット127が、係止スリット125と連通した状態で開口形成されている。
【0040】
よって、コンロバーナ90や天板支持枠118等を組み付けたフレームユニット100を筐体2に取り付ける場合、まず
図18(A)に示すように、前後の横フレーム101,101の左右何れか一端側の上面部103,103を、それぞれ同じ側の側板7の受け板部123,123に上方から載せながら、下脚部104,104の差込突起105,105をそれぞれ導入スリット127,127に差し込む。他端側でも、上面部103,103をそれぞれ同じ側の側板7の受け板部123,123に上方から載せながら、下脚部104,104の差込突起105,105をそれぞれ導入スリット127,127に差し込む。
【0041】
このとき、導入スリット127は差込突起105よりも上下寸法が大きいので、横フレーム101,101を片方ずつ容易に差し込むことができる。この状態でフレームユニット100は、横フレーム101,101の左右の上面部103,103がそれぞれ側板7の受け板部123,123に載置して各差込突起105が導入スリット127の上下方向の中間部に位置して筐体2内で水平に支持される。しかし、各上面部103の上側透孔107は、受け板部123の下側ネジ孔124よりも後方にずれた位置にある。また、閉塞片106は、受け板部123の上側で側板7に形成された上側開口129を内側から塞ぐ。
【0042】
次に、この状態からフレームユニット100全体を前方へスライドさせて、
図18(B)に示すように、各導入スリット127内に位置している差込突起105を係止スリット125内へ水平移動させる。これにより、後方にずれていた各上面部103は前方へ移動して、上側透孔107が各受け板部123の下側ネジ孔124に上下方向で一致する。この取り付け位置で、上側透孔107に上方から貫通させたネジ128を下側ネジ孔124にねじ込んで固定すれば、
図19に示すように、フレームユニット100は筐体2内での架設状態で固定される。ここで、閉塞片106は受け板部123の上側開口129よりも前後に長いので、フレームユニット100が前方へスライドしても上側開口129の閉塞状態は変わらない。
【0043】
一方、下側のガス供給装置70等のメンテナンスのためにフレームユニット100を取り外す場合は、横フレーム101の上面部103を固定しているネジ128を取り外してフレームユニット100を後方にスライドさせる。すると、
図18(A)のように差込突起105が係止スリット125から導入スリット127へ移動するため、各横フレーム101を容易に抜き外すことができる。
そして、フレームユニット100を固定して天板11を筐体2の上面開口に組み付けた状態で、天板支持枠118は、
図2〜5に示すように、五徳爪98の接地部99の下側に位置し、且つ平面視でバーナ本体91の外周との間に隙間を形成する位置で天板11に当接して天板11を下方から支持する。よって、天板11が下側に沈み込んだりすることがない。特に、天板支持枠118の前脚部121は、
図19に示すように上前枠9の上板部24の上面に当接するため、天板支持枠118に加わる荷重は、横脚部119及び後脚部120を介してフレームユニット100に伝わると共に、前脚部121を介して筐体2にも伝わる。よって、フレームユニット100に荷重が集中することがない。
【0044】
(フレームユニットに係る発明の効果)
上記形態のビルトインコンロ1によれば、各横フレーム101の左右両端には、上側透孔107を有する上面部103と、上面部103から下方へ折曲形成される下脚部104と、各下脚部104から左右外方へ突出する差込突起105とがそれぞれ形成される一方、側板7には、筐体2の内部側へ突出して上面部103が上方から載置され、下側ネジ孔124を有する受け板部123と、上側透孔107が下側ネジ孔124と合致する上面部103の取り付け位置で差込突起105が差し込み係止される係止スリット125とがそれぞれ形成されて、係止スリット125には、係止スリット125よりも上下寸法が大きく形成されて差込突起105を受け入れ可能な導入スリット127が、前方側に連設されており、横フレーム101の左右両端の上面部103を、左右の側板7の受け板部123に載せて差込突起105を導入スリット127に差し込んで、横フレーム101を係止スリット125側へ前方にスライドさせることで、上面部103が取り付け位置へ位置決めされて上側透孔107と下側ネジ孔124とが互いにネジ止め可能となっている。
【0045】
よって、フレームユニット100及びコンロバーナ90を分離することなく一体に取り付けることができるため、製造工程において、フレームユニット100にコンロバーナ90等を前組みすることが可能となり、製造効率を上げることができる。また、コンロバーナ90等ごとフレームユニット100を筐体2に対して容易に着脱可能となるため、メンテナンスの簡便化を図ることができる。
【0046】
特にここでは、側板7における係止スリット125の形成部位は、筐体2の内部側へ向けて膨出する膨出部126となっているので、寸法誤差等があっても差込突起105を係止スリット125へ確実に係止させることができる。
また、受け板部123は、側板7から切り起こし形成されて、上面部103には、受け板部123の上側に生じる上側開口129を横フレーム101のネジ止め状態で閉塞する閉塞片106が形成されているので、受け板部123を切り起こし形成しても上側開口129からの異物等の侵入を防止できる。
【0047】
なお、上記形態では、係止スリットの後側に導入スリットを連設して、フレームユニットを前方へスライドさせて取り付け位置に位置決めするようにしているが、導入スリットを前後逆に設けてフレームユニットを後方へスライドさせて取り付け位置へ位置決めするようにしてもよい。膨出部も省略可能である。
また、上側ネジ止め部として上面部に上側透孔を、下側ネジ止め部として受け板部に下側ネジ孔をそれぞれ形成しているが、上下逆にして、上面部に上側ネジ孔を、受け板部に下側透孔をそれぞれ形成してもよいし、上下共に透孔としてネジとナットとで上面部と受け板部とをネジ止めしてもよい。
【0048】
さらに、受け板部は切り起こし形成に限らず、別部材を側板の内面に溶着等して取り付けることもできる。
加えて、フレームユニットの構成も、第1フレームとなる横フレームは2本に限らず、3本以上であってもよいし、第2フレームとなる縦フレームも1本に限らず、2本以上あってもよい。
そして、上記形態ではビルトインコンロにフレームユニットの取り付け構造を適用して例を示しているが、フレームユニットの取り付け構造に係る発明はビルトインコンロに限らず、テーブルコンロ等の他のコンロであっても差し支えない。
【0049】
(天板支持枠に係る発明の効果)
上記形態のビルトインコンロ1によれば、天板支持枠118を、平面視でバーナ本体91の周囲を取り囲む環状体として、下方に延びてフレームユニット100に支持される横脚部119を備えたことで、天板11に加わる荷重を分散して天板11の沈み込みやコンロバーナ90の位置ズレ等を好適に防止することができる。
また、外側前方に延びて筐体2に支持される前脚部121を備えたことで、フレームユニット100のみならず筐体2も利用して天板支持枠118を支持することができる。
【0050】
特にここでは、天板支持枠118を、五徳爪98の接地部99の下側に位置し、且つ平面視でバーナ本体91の外周との間に隙間を形成する位置に配設しているので、荷重がより加わる五徳爪98の接地部99付近を下側から支持でき、天板11の沈み込みを効果的に抑制することができる。また、天板支持枠118とバーナ本体91との間に隙間を形成したことで、製造時やメンテナンス時に、天板支持枠118があってもコンロバーナ90やその周辺部品の取付状態を目視により容易に確認することができる。
さらに、天板支持枠118には、下方に延びてスロート部92にノズル受け台112を介して支持される後脚部120が設けられているので、天板11への荷重をより効率的に分散することができる。
【0051】
なお、天板支持枠は、平面視正方形に限らず、四角形や多角形、円形等の他の形状であってもよい。第2の脚部となる前脚部も、形状や数の増減は適宜変更可能である。勿論前側に限らず、側部や後部から外方に第2の脚部を設けて筐体に支持させるようにすることは可能であるし、第2の脚部を省略してもよい。第3の脚部となる後脚部も、ノズル受け台を介して間接的にスロート部に支持される形態に限らず、直接スロート部に当接させてもよい。
また、
図20に示すように、天板支持枠118に、下方に延びてグリル庫18上に当接する第4の脚部130を設けて、天板支持枠118をグリル部4によって支持させるようにしてもよい。この場合もグリル部4を利用して天板11への荷重をより効率的に分散することができる。
そして、上記形態では、ビルトインコンロに天板支持部材を設けた構造を例示しているが、天板支持部材に係る発明はビルトインコンロに限らず、テーブルコンロ等の他のコンロであっても適用可能である。