特許第6755557号(P6755557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755557
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】光学式内面測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20200907BHJP
【FI】
   G01B11/24 D
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-527359(P2018-527359)
(86)(22)【出願日】2016年7月15日
(86)【国際出願番号】JP2016071012
(87)【国際公開番号】WO2018011981
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2019年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】アダマンド並木精密宝石株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大志
(72)【発明者】
【氏名】舘山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】成田 憲士
(72)【発明者】
【氏名】淺田 隆文
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/084638(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の観察および測定を行う光学式内面測定装置において、
モータによって回転する回転側光ファイバーと、前記回転側光ファイバーに対して回転しない固定側光ファイバーを備え、
前記回転側光ファイバーの先端に光路変換手段を有し、
前記モータの後方において、前記回転側光ファイバーと前記固定側光ファイバーの両端面を微少隙間を隔てて対向させることで回転光ジョイントを構成し、
前記回転側光ファイバーの前記光路変換手段より後ろ側の少なくとも一部に、前記回転側光ファイバーとは屈折率が異なる材料からなる透光性平板を一体的に有し、
前記回転側光ファイバーの振れ量を測る振れ検出センサを有し、
光路変換手段が捉えた被測定物内周面からの反射光を、前記回転側光ファイバーと前記固定側光ファイバーを経由して測定機本体に導き、前記透光性平板から被測定物表面までの光線の長さを測定し、コンピュータで解析して内面測定データを得ると共に、前記振れ検出センサが検出した振れ量によりこの内面測定データを補正することを特徴とする光学式内面測定装置。
【請求項2】
前記光路変換手段は、前記回転側光ファイバーとは屈折率が異なる透光性材料からなるプリズムで構成したものであることを特徴とする請求項1記載の光学式内面測定装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の内周面に、光学式測定プローブを進入および回転させ、内面に光線を放射し、反射光を取り込んで内部形状の観察及び寸法精度を測定するための光学式内面測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用エンジンに用いられる燃料噴射ノズルの細穴内面や、インクジェット部品の細径ノズル穴において、その寸法や内面の加工仕上がり精度は商品性能に大きく影響するが、これらの検査は一般にはCCDカメラとリニヤスケールを組合せたノズル穴径測定機を用い、穴の外部からCCDカメラで観察し、穴の片端部のエッジから他端部のエッジまでの距離をリニヤスケールをスライドさせて測る方法等により、その直径値のみを測定するのが一般的であった。
しかし近年、被測定物内面の幾何学精度を非接触で測る光学式測定技術が登場し、その測定方式を応用してノズルの細径内周面の直径精度及び幾何学精度が測れる可能性が出ている。例えば非接触で被測定物内面の計測および検査する手段として、画像診断技術(光イメージング技術)は、装置機械、医療現場などにおいて広く利用されている技術であり、精密機器などの製造現場においてこれら技術を応用し、深穴内面の検査や画像診断の手法として、光線を内面に照射しその反射光を捉え、コンピュータで解析して内面形状を計測する方法が採用されている。その代表的な構造は、例えば、特許文献1から3に示す通りである。
【0003】
特許文献1に示す内径形状計測センサでは、被測定物の穴内で反射ミラーを回転させスリット光(23)を放射し、内周面を計測している。
しかしながら、回転ケーシング(27)とモータ(26)の軸振れが、収集した画像データにピント外れと画像のゆがみを与えてしまうため、高精度な測定は行えなかった。
【0004】
特許文献2に示す光学式変位計は、光線の出射側端面(33)を基準にして被測定物までの距離を計測することにより高精度な測定を行うことを示している。
しかしながら、この装置で被測定物の内周面の形状や寸法を測定することはできなかった。
【0005】
特許文献3の光イメージング用プローブを用いて細孔内面を測定する方法では、被測定物孔の内周面にプローブを挿入し、集光レンズ(3)からの光線を光路変換手段であるミラー(18)が回転し360度回転すると共に、遠心力の変化によりミラーの角度が変化し光線の放射角が変わることにより光線を三次元方向に放射して立体形状を計測する。
しかしながら、被測定物の内部に挿入される光プローブは、内部に回転するモータを内蔵しているため先端部の直径は1.5ミリメートル以上程度必要であるため、直径が0.1ミリメートルの細いノズル穴内面の形状寸法を測定することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本実開平04−55504号公報
【特許文献2】日本特許第5060678号
【特許文献3】日本特開2015−008995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、被測定物である細いノズル穴の内周面に、そのノズル穴より細い測定用プローブ又は光ファイバーを進入させ光線を回転放射し、その反射光を立体的に収集し、コンピュータが処理することにより画像データを観察、または寸法及び幾何学精度を測定すること。そして、測定内周面に回転放射する測定プローブ自身に生じる軸振れの影響を完全に排除し、ばらつきの無い測定データを得ることである。これら課題解決により、従来、測定できなかった直径0.1ミリメートルオーダの細穴内面の測定が、光学系のゆらぎの影響とモータ軸振れの影響を排除して、正しく精密に行える光学式内面測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための一手段は、被測定物の観察および測定を行う光学式内面測定装置において、モータによって回転する回転側光ファイバーと、この回転側光ファイバーに対して回転しない固定側光ファイバーを備え、回転側光ファイバーの先端に光路変換手段を有し、モータの後方において、回転側光ファイバーと固定側光ファイバーの両端面を微少隙間を隔てて対向させることで回転光ジョイントを構成する。そして、回転側光ファイバーの振れ量を測る振れ検出センサを有し、光路変換手段が捉えた被測定物内周面からの反射光を、回転側光ファイバーと固定側光ファイバーを経由して測定機本体に導き、コンピュータで解析して内面測定データを得ると共に、振れ検出センサが検出した振れ量によりこの内面測定データを補正するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学式内面測定装置によれば、従来、測定できなかった直径0.1ミリメートルオーダの細穴内面の測定が、光学系のゆらぎの影響と回転側光ファイバーの振れの影響を排除して、正しく精密に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る光学式内面測定装置の構成図
図2】同光学式内面測定装置の光プローブ断面図
図3】同光プローブの取得距離波形説明図
図4】同光プローブ校正方法説明図
図5】同光プローブのモータ軸振れの影響説明図
図6】同光プローブの回転側光ファイバーの振れ量と補正方法説明図
図7】同光学式内面測定装置の極座標変換データ説明図
図8】同光学式内面測定装置のZ位置毎の校正値説明図
図9】同光学式内面測定装置の測定ばらつき説明図
図10】同光学式内面測定装置の実施例2の光プローブ断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施の光学測定法を用いて被測定物内周面の観察および測定を行う光学式内面測定装置の第1の特徴は、被測定物の観察および測定を行う光学式内面測定装置において、モータによって回転する回転側光ファイバーと、この回転側光ファイバーに対して回転しない固定側光ファイバーを備え、回転側光ファイバーの先端に光路変換手段を有し、モータの後方において、回転側光ファイバーと固定側光ファイバーの両端面を微少隙間を隔てて対向させることで回転光ジョイントを構成する。そして、回転側光ファイバーの振れ量を測る振れ検出センサを有し、光路変換手段が捉えた被測定物内周面からの反射光を、回転側光ファイバーと固定側光ファイバーを経由して測定機本体に導き、コンピュータで解析して内面測定データを得ると共に、振れ検出センサが検出した振れ量によりこの内面測定データを補正するように構成した。
この構成により、光ファイバーの先端が例えば0.1ミリメートルオーダの細径に構成できるため、細いノズル穴に光ファイバーを挿入することにより、穴の内部から光線を放射する為、被測定物の粗さの影響をほとんど受けずに正確に測定が行える。また、細穴内面の測定が、モータ軸振れの影響を排除して、正しく精密に行うことが可能である。
【0012】
第2の特徴としては、回転側光ファイバーの光路変換手段より後ろ側の少なくとも一部に、回転側光ファイバーとは屈折率が異なる材料からなる透光性平板を一体的に有し、透光性平板から被測定物表面までの光線の長さを測定するように構成した。尚、回転側光ファイバーの光路変換手段より「後ろ側」は、光プローブの先端側(前側)に対して、光源のある測定機本体側を示している。
この構成により、測定機本体の干渉光学系のゆらぎ変動の影響が排除でき、正しく精密な内径および内周面の幾何学精度測定が可能である。
【0013】
第3の特長としては、光路変換手段は、回転側光ファイバーとは屈折率が異なる透光性材料からなるプリズムで構成し、回転側光ファイバーの先端から被測定物の表面までの光線の長さを測定するようにした。
この構成により、測定機本体の干渉光学系のゆらぎ変動の影響が排除でき、正しく精密な内径および内周面の幾何学精度測定が可能である。
【0014】
次に本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明に関わる光学式内面測定装置の実施形態について説明する。
図1図9は本発明に係る光学式内面測定装置の実施形態を示している。
【0016】
図1は本発明の実施の形態に係る光学式内面測定装置の構成図である。測定機ベース80にスタンド81が固定され、スライダ用モータ83によりスライダ82が光プローブ20と共に上下に移動する。被検査物100はワーク角度調整機15とワークXYスライダ16により取付位置と角度が調整され、測定機ベース80上にセットされており、光プローブ20は被検査物100の深穴100aに出入りするよう構成されている。回転側光ファイバー2は振れ検出センサ14a、14bにより回転中の振れ量が検出され、またリニヤスケール22はスライダ82または光プローブ20の上下方向(Z軸方向)の位置を検出している。測定機本体85で発光した近赤外光またはレーザ光等の光線は、光路変換4から放出され被測定物内面100aで反射し、この反射光は回転側光ファイバー2に導かれモータケース9内とチューブ5bの中を通過し、さらに測定機本体85の接続部84を通過して、光干渉解析部88に入り、コンピュータ89で解析してモニタ90に画像もしくは測定数値を表示する。
【0017】
図2は本発明の実施形態に係る光学式内面測定装置の光プローブ20の先端部断面図である。光プローブ20の後端側から先端側に光線を導く固定側光ファイバー1は十分に長いチューブ5bの内部に挿通され、光ファイバー固定具17により固定されている。回転側光ファイバー2は直接又は間接的に接合された光ファイバー2a、2b、2cによって構成されている。固定側光ファイバー1の先端側には、回転側光ファイバー2(2a、2b、2c)が回転自在に配置され、回転側光ファイバー2のさらに先端側には略半球状や略円筒状のプリズム等からなる光路変換手段4aが一体的に取り受けられ、モータ12により回転する事で光線を360度の全周方向に放射するよう構成されている。
【0018】
回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1のそれぞれの平滑な端面は5ミクロン程度の微小距離を隔てて対向し、回転遮光板18、光ファイバー固定具17を含めて回転光ジョイント19を構成し、回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1の間は高い透過率が維持でき、ほとんど損失なく光学的に接続されている。
【0019】
モータ12は、モータケース9にモータコイル8、軸受10a、10bが固定され、モータ磁石7が取り付けられた中空回転軸6が軸受10a、10bに回転自在に支持されている。モータコイル8には電線11から電圧が印加され、回転する中空回転軸6の穴には回転側光ファイバー2aが挿通固定され回転可能にし、回転側光ファイバー2aと光路変換手段4aの間には、光ファイバーとは屈折率が異なりかつ透光性のある石英等の材質で形成された透光性平板3が固定され、必要に応じて回転側ファイバー2b、2cを接合して光路を形成している。回転側光ファイバー2または、光路変換手段4aの回転振れは振れ検出センサ14a、14bにより検出され、その信号はコンピュータ89に送られている。
【0020】
図2のモータ12には図1に示す回転モータドライバ回路86から電力が供給されて回転駆動され、スライダ用モータ83はスライドモータドライバ回路87から電圧が印加されて回転駆動される。
【0021】
次に上述した図2の光プローブ12を用いた図1の光学式内面測定装置について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
【0022】
図1および図2において測定機本体85内から発光された光線はチューブ5bに内蔵された固定側光ファイバー1の中を通過して進む。電線11から電力が供給され、モータ12が回転すると、導かれた光線は回転光ジョイント19と回転側光ファイバー2、透光性平板3を通過し,光路変換手段4aから略直角方向に放出される。光線は被検査物内周面100aの表面で反射し、この反射光は上記と同じ光路を逆方向に、光路変換手段4a⇒回転側光ファイバー2⇒回転光ジョイント19⇒固定側光ファイバー1を通過して光干渉解析部88に導かれる。
【0023】
図3は測定機本体85の光測定解析部88の信号をコンピュータ89が解析した結果の一例であり、距離と信号出力(光量)関係を示している。図中L1は固定側ファイバー1から見て透光性平板3までの距離、図中L2は透光性平板3の先端側面までの距離、L3は被測定内面100aまでの距離を示す取得波形である。
【0024】
本発明の光学式内面測定装置において、被測定内面100aの内径測定を行う手順は次のとおりである。
【0025】
まず、測定を行う前の準備として校正(キャリブレーション)を行う。図4はこの光学式内面測定装置を使う前の準備として、測定値の校正に用いるボアゲージ21を示している。ボアゲージ21の内径に光プローブ20の先端の光路変換手段4aを侵入させ、光線を回転放射し、内面100aまでの距離(図中R0deg、R180deg)を計測し、ボアゲージ21の内径寸法Dtによってその光プローブ20の校正値を求める。校正値は具体的には図8に示すようなディジタルデータである。このような校正は1ケ月に1回程度定期的に行うものであり、その数値の計算方法は、次のとおりである。
<記号の説明>
・ボアゲージ21内径 Dt [mm]
・XY振れセンサ14検出量 Δrx、Δry [mm]
・光プローブ回転角 θ [mm]
・リニヤスケール20 Z方向位置 Z [mm]
・装置85検出距離 R=(L3−L2)[mm]
・光プローブ20検出距離 L1, L2, L3 [mm]
<校正(キャリブレーション)方法(計算式)>
・校正値 : Lc [mm]
・θ=0degにおいて R0deg = (L3−L2)−Lc
・θ=180degにおいてR180deg=(L3’−L2’)−Lc
・Dt=R0deg−R180deg
・Dt=(L3-0deg−L2-180deg)−(L3-180deg−L2-0deg)−2×Lc
・Lc=Dt−((L3-0deg−L2-180deg)+(L3-180deg−L2-0deg))
・ベクトル振れ量 e=√(ex^2+ey^2
Z=0〜Z[mm]の間で校正値(Lc)の数値を校正データとしてコンピュータに記憶させる。
【0026】
校正が終わると次に測定を開始する。図5は本光学式内面測定装置において、光プローブ20に内蔵されたモータ12の軸振れにより生じる回転側光ファイバー2の振れ量と、被測定物内面100aの位置関係を示している。被測定物内面100aに光プローブ20の光路変換手段4a挿入し、モータ12を回転させ光線を回転放射し反射光を検出する。光路変換手段4aおよび回転側光ファイバー1は回転しつつ図中、記号Δrに示すように振れながら回転するため、この回転振れを振れ検出センサ14a、14bが検出している。
【0027】
図6は光プローブ20の先端部(回転側光ファイバー2又は光路変換手段4a)の回転振れ量(e)と求める半径距離(R)の補正計算方法を図示している。図中exとeyは振れ検出センサ14a、14bの出力、eはその振れのベクトル値を計算し表示している。図中Sは光学内面測定機が求めた内面100aまでの距離、図中Rはこの測定距離Sに、振れ検出センサ14a、14bのデータを用いて補正した後の正しい寸法値である。このように求めた内面100aの形状と内接円Dinと外接円Doutの直径は図7に示す。
【0028】
ここで、実測値(R)の算出方法は次の式のとおりである。
<実測方法>
・実測値は R=(L3−L2)−e−Lc [mm]
この半径距離R[mm]のデータを360度全周取得することで図7に示す内接円(Din)と外接円(Dout)の値を求め、モニタ90に表示される。
【0029】
この構成により、光プローブ20aの先端が0.1ミリメートルオーダの細径に構成することが可能であり細径ノズル内周面の測定が可能になる。また、透光性平板3を基準に被測定物内周面100aまでの距離を求めることで、光学系の温度等による変動または光学系のゆらぎ変動が測定値から排除でき、また、振れ検出センサの出力を用いて光路変換手段4aの回転振れ(実際には回転側光ファイバー2の振れ量を検出して光路変換手段4aの回転振れを類推している。)を除外することができるため、図9の測定値ばらつきデータに示すように、ばらつきが少ない高精度な内周面の測定が可能になる。このようにばらつきが少ないシャープな測定分布が得られるのは、先に説明した光学系ゆらぎの影響と回転側光ファイバー2の振れを排除しているからである。
【実施例2】
【0030】
図10は本実施例の光学式面測定装置の光プローブ20bを示している。
図10においては、モータ12により回転する回転側光ファイバー2a、2cの先端に、回転側光ファイバー2とは屈折率が異なりかつ透光性の例えば石英等で加工したプリズム等からなるが光路変換手段4bが接合されている。従って回転側光ファイバー2a、2cを進行してきた光線の一部は光路変換手段4bと回転側光ファイバー2cとの接合面から反射して測定機本体85側に戻され、残りの大半の光線は被測定内面100aに略直角方向に照射され、その反射光が同様に測定機本体85側に戻される。
【0031】
図10において、その他の構成と機能、および動作は図2の光プローブと同じである。尚、図1図2図10において、スライダ用モータ83によりスライダ82および回転側光ファイバー2cと共に光路変換手段4a、4bが図中矢印Z方向に上下し、被測定物内面100aにおいて複数の箇所の内周面を計測する事で、直径、真円度、円筒度、被測定物内面100aに対するスライダ82の傾斜角度を算出し、モニタ90に表示することができる。
【0032】
図2図10において先端部の回転側光ファイバー1の直径は約80マイクロメートル、モータ12の中空回転軸6の中に挿通される部分の回転側光ファイバー2aの直径は約125マイクロメートルである。
【0033】
図2および図10に示される中空回転軸6は、金属またはセラミックス材料からなり、溶融金属のダイによる引き抜き加工か、または焼成前のセラミックスのダイによる押し出し加工で中空に成形され、硬化処理後に研磨加工法等により仕上げ加工される。
【0034】
本発明によれば、被測定物の観察および測定を行う光学式内面測定装置において、従来、測定できなかった直径0.1ミリメートルオーダの細穴内面の測定が、光学系のゆらぎの影響とモータ軸振れの影響を排除して、正しく精密に行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の光学式内径測定装置は、直径0.1ミリメートルオーダの細穴の内面計測が行えるため、自動車燃料噴射ノズル、インクジェットノズル等の細穴の寸法および幾何学精度測定が可能であり、微細な形状の測定をするための工業用測定装置への適用が期待される。
【符号の説明】
【0036】
1 固定側光ファイバー
2、2a、2b、2c 回転側光ファイバー
3 透光性平板
4a、4b 光路変換手段
5a、5b チューブ
6 中空回転軸
7 モータ磁石
8 モータコイル
9 モータケース
10a、10b 軸受
11 電線
12 モータ
13 ワーク固定治具
14a、14b 振れ検出センサ
15a、15b ワーク角度調整部
16a、16b ワークXYスライダ
17 ファイバー固定具
18 回転遮光板
19 回転光ジョイント
20a、20b 光プローブ
21 ボアゲージ
22 リニヤスケール
80 測定機ベース
81 スタンド
82 スライダ
83 スライダ用モータ
84 接続部
85 測定機本体
86 回転モータドライバ回路
87 スライドモータドライバ回路
88 光測定解析部
89 コンピュータ
90 モニタ
100 被測定物
100a 被測定内面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10