(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755792
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】注入器具用摺動スリーブ付属部品
(51)【国際特許分類】
A61M 5/42 20060101AFI20200907BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
A61M5/42 520
A61M5/20 570
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-518477(P2016-518477)
(86)(22)【出願日】2014年6月11日
(65)【公表番号】特表2016-523616(P2016-523616A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】EP2014062162
(87)【国際公開番号】WO2014198793
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2017年6月9日
【審判番号】不服2019-2074(P2019-2074/J1)
【審判請求日】2019年2月14日
(31)【優先権主張番号】1310393.2
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ビタール・アフマド
(72)【発明者】
【氏名】ジェニングス・ダグラス・アイバン
【合議体】
【審判長】
高木 彰
【審判官】
栗山 卓也
【審判官】
倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−524764(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/093070(WO,A1)
【文献】
特表2007−514489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M5/20
A61M5/32
A61M5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入器具(110)であって、
前記注入器具の遠位端にある出口孔部と、長手方向軸(101)と、を備えるハウジング(112)であって、
前記ハウジングが、放出ノズルを有する注射器(122)を収容するように構成されており、前記注射器は、前記放出ノズルが前記ハウジング内に含まれている後退位置から、前記注射器の前記放出ノズルが前記注入器具の遠位端において前記出口孔部(118)を通って前記ハウジングから延出している伸長位置まで、前記長手方向軸(101)に沿って、前記注入器具の作動時に、前記ハウジング内で移動可能である、ハウジングと、
第1位置にあるときに前記出口孔部から延出しており、前記ハウジング内の第2の後退位置に移動可能である摺動部品(126)と、
前記摺動部品の遠位端に取り外し可能に装着されるように構成されている、取り外し可能な接触要素(220)と、を備え、前記接触要素は、
(i)孔部(226)と、前記摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように、前記皮膚と前記接触要素とを接着させる、前記孔部内に突き出た複数の弾性突出部(228)を備える弾性部分とを備えるか、
(ii)前記摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように、前記皮膚と前記接触要素とを接着させる可撓性キャップ(242)を備えるか、または
(iii)皮膚の表面を係合するための表面(264)を有する、複数の接触部材(260)であって、前記複数の接触部材が共に1つの孔部(262)を画定する、複数の接触部材を備える、注入器具。
【請求項2】
作動装置(114)と、
前記作動装置によって作用され、次に前記注射器に作用して前記注射器をその後退位置からその伸長位置に進め、前記放出ノズルを通して前記注射器の内容物を放出するように構成されている駆動部(121)と、を更に備える、請求項1に記載の注入器具。
【請求項3】
前記摺動部品は、前記摺動部品がその第1位置にある際の係合位置から、前記摺動部品がその第2の後退位置にある際の係合解除位置まで移動可能であり、かつ、前記係合位置にあるときは前記注入器具の作動を防ぎ、前記係合解除位置にあるときは前記注入器具の作動を可能にするように構成されている、ロック機構(116)の一部である、請求項1又は請求項2に記載の注入器具。
【請求項4】
前記接触要素が、皮膚表面と接触するように構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項5】
前記接触要素が、ユーザーの皮膚を前記出口孔部の方に引っ張るように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項6】
前記接触要素は、前記摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように、皮膚と前記接触要素とを接着させる接着部(250)を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項7】
前記接触要素が、内径及び外径(224)、並びに、前記内径と前記外径との間に延在する表面を有し、前記外径が前記摺動部品の直径より大きい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項8】
前記内径が、前記摺動部品上に位置するような寸法である、請求項7に記載の注入器具。
【請求項9】
前記接触部材が、前記ハウジングの長手方向軸から半径方向に延在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項10】
前記接触部材が、互いに等距離で間隔をおいて配置された3つの接触部材(260a、260b、260c)を備える、請求項1〜4、および9のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項11】
前記接触部材が、前記ハウジングの表面を係合するための第2表面を備える、請求項1〜4、9、および10のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項12】
前記摺動部品が摺動スリーブを備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項13】
前記接触要素が前記摺動スリーブの遠位端に配置される、請求項12に記載の注入器具。
【請求項14】
前記接触要素が使い捨てである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項15】
キットであって、
注入器具(110)であって、
放出ノズルを有する注射器(122)を収容するように構成されているハウジング(112)であって、前記注射器は、前記放出ノズルが前記ハウジング内に含まれている後退位置から、前記注射器の前記放出ノズルが前記注入器具の遠位端において出口孔部(118)を通って前記ハウジングから延出している伸長位置まで、長手方向軸(101)に沿って、前記注入器具の作動時に、前記ハウジング内で移動可能である、ハウジングと、
第1位置にあるときに前記出口孔部から延出しており、前記ハウジングに向かって第2の後退位置に移動可能である摺動部品(126)と、を備える、注入器具と、
前記摺動部品の遠位端に取り外し可能に装着されるように構成されている接触要素(220)と、を含み、前記接触要素は、
(i)孔部(226)と、前記摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように、前記皮膚と前記接触要素とを接着させる、前記孔部内に突き出た複数の弾性突出部(228)を備える弾性部分とを備えるか、
(ii)前記摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように、前記皮膚と前記接触要素とを接着させる可撓性キャップ(242)を備えるか、または
(iii)皮膚の表面を係合するための表面(264)を有する、複数の接触部材(260)であって、前記複数の接触部材が共に1つの孔部(262)を画定する、複数の接触部材を備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートインジェクターとして一般的に知られる、注射器を収容し、注射器を延出し、その内容物を放出する注入器具、及び、注入器具を含むキットに関する。
【背景技術】
【0002】
オートインジェクターは、国際公開第95/35126号及び欧州特許出願公開第0516473(A)号により既知であり、駆動バネと、注射器の内容物が放出されたと考えられると駆動バネの影響から解放され、戻りバネによって後退可能な何らかの形態の解除機構と、を利用することが多い。
【0003】
オートインジェクターは、国際公開第2007/036676号から既知であり、解除機構を作動できる前に係合解除が必要なロック機構を有する。ロック位置では、ロック機構は、例えば、注射針を覆っているカバーを把持するキャップが取り除かれるとき、注入器具から戻りバネの付勢力に逆らって注射器が前進移動するのも防ぐ。国際公開第2007/036676号に記載される注入器具では、ロック機構は、注入器具の開放端部から突き出たスリーブを備える。スリーブは、ロック機構を係合解除するのに打ち勝つ必要がある弾性バネ機構によって、伸長位置内へと付勢される。例えば、摺動スリーブを注入器具内に内向きに移動させることによって、ロック機構を係合解除できる。これは、組織に対して摺動スリーブの端部を押し付け、その後解除機構を作動させることによって実施することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
摺動スリーブを組織に対して正しい角度に位置付け、ロック機構が係合解除されるときにその位置を維持することは、ユーザーにとって困難な場合がある。ロック機構に打ち勝つときに、摺動スリーブを組織に対して正しい角度での押し付け、組織上での十分に安定した維持を確実にすることは、器具が作動される際、信頼性のある動作を保証するために重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の注入器具及びキットは、上記問題に対処するように設計される。
【0006】
本発明の第1の態様では、放出ノズルを有する注射器を収容するように構成されているハウジングであって、注射器は、放出ノズルがハウジング内に含まれている後退位置から、注射器の放出ノズルが器具の遠位端において出口孔部を通ってハウジングから延出している伸長位置まで、長手方向軸に沿って、注入器具の作動時に、ハウジング内で移動可能であるハウジングと、第1位置にあるときに、孔部から延出しており、ハウジングに向かって第2の後退位置に移動可能である摺動部品と、を備え、摺動部品が、その遠位端において、取り外し可能な接触要素を備える、注入器具が提供される。
【0007】
有利には、接触要素は、皮膚表面と接触するように構成される。接触要素は、以下で更に説明するように、摺動部品と皮膚表面との間に改善された境界面をもたらす。接触要素が取り外し可能であるため、従来の注入器具に後付けすることができ、製造を簡略化する。
【0008】
注入器具は、作動装置と、作動装置によって作用され、次に注射器に作用してその後退位置からその伸長位置に進め、放出ノズルを通してその内容物を放出するように構成された駆動部と、を更に備えてよい。
【0009】
摺動部品は、摺動部品がその第1位置にある際の係合位置から、摺動部品がその第2位置にある際の係合解除位置まで移動可能であり、かつ、係合位置にあるときは器具の作動を防ぎ、係合解除位置にあるときは器具の作動を可能にするように構成されている、ロック機構の一部であってよい。
【0010】
接触要素を皮膚に接着させ、摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように構成してよい。接着は、以下に記載する様々な方法で達成されてよい。
【0011】
接触要素は、キャップ、好ましくはゴム製キャップを備えてよく、このキャップは、器具を皮膚に固定し、それによって注入に適切な位置に注入器具を安定化させる、吸引要素の機能を果たすように構成されてよい。吸引部は、皮膚を接触要素内に出口孔部に向けて引くようにも作用する。このように皮膚をつまむと、皮下注射に好適な部位を作り出す。
【0012】
あるいは、又は追加的に、接触要素は、接触要素を皮膚と接着させ、摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように、接着部を備えてよい。器具の操作中、接着部は摺動部品を皮膚に固定する。
【0013】
接触要素は、内径及び外径、並びに、内径と外径との間を延在する表面を有してよく、このとき外径は摺動部品の直径より大きい。
【0014】
表面は、組織に対する改善された接触領域をもたらし、摺動部品を表面に押し付け、第2の後退位置に移動させるときに、安定化するように働く。接触領域は、上記のように皮膚への接着をもたらすか、又は単に摺動スリーブの端部より大きい表面積を有するように構成され、皮膚上への器具の配置を容易にすることができる。例えば、より大きい表面(したがって、皮膚と接触するより大きい表面積)により、注入器具が正しく方向付けられたかどうかを、ユーザーがより認識できるようにされ得る。
【0015】
有利には、内径は、摺動部品上に位置するような寸法であってよい。これによって、確実に接触要素を容易に摺動部品に適合できるようにする。換言すれば、内径は十分に大きく、摺動部品を収容するのに適切な形状である。好ましくは、内径を、摺動部品と接触要素との間に締まりばめがあるようにする。
【0016】
接触要素は、皮膚の表面を係合するための表面を有する、少なくとも1つの接触部材を備えてよい。接触部材は皮膚に接触し、皮膚に対する接触要素の更なる安定化部品をもたらす。
【0017】
接触部材は、ハウジングの長手方向軸から半径方向に延在してよい。これによって、確実に、器具を正しい角度で皮膚に安定化できるようにする。上記拡大した接触領域と同様に、従来の摺動スリーブに比べて相対的に大きい設置面積があるせいで、1つ又は2つ以上の接触要素により、注入器具が正しく方向付けられたかどうかを、ユーザーがより認識できるようにされ得る。
【0018】
接触要素は、複数の接触部材を備え、それらがもたらす安定度を増すことができる。より多くの接触部材が提供されると、設置面積がより大きくなり、注入器具が正しく方向付けられたことをユーザーがより理解できるようになる。
【0019】
特に好ましい実施形態では、接触要素は、互いに等距離で間隔をおいて配置された3つの接触部材を備えてよい。これによって、摺動部品が表面上に押し付けられるとき、その安定化に有効な三脚効果をもたらす。
【0020】
接触部材は、ハウジングの表面を係合するための第2表面を備えてよい。摺動部品が後退位置に移動すると、第2表面はハウジングを係合し、摺動部品が後退したという視覚的かつ触覚的フィードバックをもたらす。
【0021】
摺動部品は、摺動スリーブを備えてよく、これは、器具が作動するのを防ぐロック機構の一部としての機能を果たし、第2の後退位置にあると、ロック機構を係合解除し、注入が行われるのを可能にするように働く。
【0022】
接触要素は、摺動スリーブの遠位端に配置されてよい。
【0023】
摺動スリーブの遠位端とは、組織に接触する端部である。したがって、最適な安定化効果のためには、接触部は摺動スリーブの遠位端に配置されなくてはならない。
【0024】
接触要素は使い捨てであってよい。接触要素が適用される注入器具は単回使用器具であり得るため、接触要素も同様に使い捨てであることが便利である。
【0025】
本発明の第2の態様では、放出ノズルを有する注射器を収容するように構成されているハウジングであって、注射器は、放出ノズルがハウジング内に含まれている後退位置から、注射器の放出ノズルが器具の遠位端において出口孔部を通ってハウジングから延出している伸長位置まで、長手方向軸に沿って、注入器具の作動時に、ハウジング内で移動可能であるハウジングと、第1位置にあるときに、孔部から延出しており、ハウジングに向かって第2の後退位置に移動可能である摺動部品と、を備える注入器具と、摺動部品の遠位端に取り外し可能に装着されるように構成されている接触要素と、を含む、キットが提供される。
【0026】
任意の実施形態において、注入器具は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される、物質を含有してよい。
【0027】
「注入器具は、物質を含有してよい」とは、物質が、注入器具内のバイアル又は注射器などの好適な薬剤用容器に含有され得ることを意味する。かかる薬剤用容器は、更なる活性成分又は非活性成分などの別の物質を含んでよい。
【0028】
本発明の更なる態様では、上記実施形態のいずれか1つに記載の注入器具を用いて、物質をヒト被験者に送達することによる、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質である、かかる物質が提供される。
【0029】
本発明の更に別の態様では、注入器具が上記実施形態のいずれか1つに記載の注入器具であるとき、その注入器具を用いて、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質をヒト被験者に送達することによる、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、注入器具が提供される。
【0030】
「物質の送達」とは、注入器具を用いて、かかる物質をヒト被験者に、例えば皮下、皮内、又は筋肉内注射により注入することを意味する。かかる物質は、更なる活性成分又は非活性成分などの別の物質と組み合わせて投与してよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
ここで、添付の図面を参照し、例として本発明を説明する。
【
図1】摺動スリーブを含むロック機構を有する注入器具の斜視図を示す。
【
図2】摺動スリーブを含むロック機構を有する注入器具の切欠側面図を示す。
【
図3】摺動スリーブを含むロック機構を有する注入器具の側面図を示す。
【
図4a】注入器具に取り付けられた本発明による接触要素の側面図を示す。
【
図4c】注入器具に取り付けられた本発明による別の接触要素の平面図を示す。
【
図5a】注入器具に取り付けられた本発明による別の接触要素の側面図を示す。
【
図6a】摺動部品に取り付けられた本発明による別の接触要素の側面図を示す。
【
図7a】本発明による別の接触要素の平面図を示す。
【
図7b】注入器具に取り付けられた
図7aの接触要素の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1〜3は、注入器具110を示す。注入器具110は、注入器具ハウジング112及び長手方向軸101を有する。
【0033】
注射器(
図3)は、ハウジング112内に含まれる。注入器具110は、トリガ114(作動装置)と、解放可能なロック機構116と、を備える。トリガ114は、第1端部114aと第2端部114bを有する。トリガ114は、静止位置(
図2に示される)から作動位置まで、旋回軸115の周りを回転可能である。トリガ114の第2端部114bは、駆動バネ120によって作用される駆動連結具121と連結する。駆動連結具121は、注射器122と連通している。
【0034】
旋回軸115の周りを方向Rに(すなわち、第1端部114aにおいてハウジング112内に下向きに)トリガ114を回転させると、トリガ114の第2端部114bを駆動連結具121から係合解除させ、それによって、駆動バネ120が、長手方向軸101に沿って、ハウジング112の孔部118から外へ注射器122を(駆動連結具121を介して)駆動させる。
【0035】
解放可能なロック機構116は、第1位置にあるときに、ハウジング112の孔部118から突き出ている摺動スリーブ126と連通している。ロック機構116は、摺動スリーブ126を長手方向軸101に沿ってハウジング112内へ、第2位置に移動させることによって、脱作動される。
【0036】
摺動スリーブ126の第1端部126aを、薬物が送達される体に対して置き、それによって解放可能なロック機構116を脱作動して、トリガ114を静止位置から作動位置まで方向Rに回転できるようにし得る。
【0037】
トリガ114は、第1端部114aにおいて、切り欠き部を有する第1部分を備えて提供される。第1部分は、トリガ114aの第1端部114aから、長手方向軸101に実質的に平行な方向に延出する。
【0038】
解放可能なロック機構116は、長手方向軸101と垂直である、垂直軸181に沿った方向に突出する突出部154を含む。切り欠き部は、突出部を収容する寸法である。
【0039】
解放可能なロック機構116が第1位置にあるときに、突出部の端部は第1部分150の下面に接し、それによってトリガ114の回転を防ぐ。
【0040】
摺動スリーブ126をハウジング112内に移動させた後、解放可能なロック機構116が第2位置にあるとき(図示せず)、切り欠き部は突出部154の端部の上側に位置し、トリガ114に下向きの力がかけられると、突出部の上部を通過することが可能である。このように、トリガ114の回転はもはや阻止されず、駆動連結具121から自身を係合解除することによって、注射器を延ばす。
【0041】
図4a及び4bは、摺動スリーブ126の遠位端に配置された接触要素220を示す。接触要素は、摺動スリーブの遠位端に連結されるとフランジとして機能する、追加部品である。この部品は、器具から取り外し可能な分離性の部品である。したがって、製造時点で、又はユーザーによってのいずれかで、従来の注入器具により容易に後付けすることができる。この部品は、孔部を通って放出ノズルが延出するハウジング112の孔部118を覆って配置され、そこを通って放出ノズルの延出が可能である、孔部226を有する。部品の外径224は摺動スリーブ126の直径より大きく、部品は、接触要素220が摺動スリーブ126の遠位端に取り付けられると、ハウジング112の遠位端と反対側を向く、孔部から外径224まで延在する組織接触面222を有する。
【0042】
使用する際、接触要素220の組織接触面222はユーザーの皮膚に対して置かれ、第1には、注入器具110をユーザーの皮膚に対して正しい角度に正確に位置付けるため、第2には、注入器具110をハウジング112に向けて押し、摺動スリーブ126を第2の後退位置に移動させている際に確実に安定なままとするための、安定化表面として使用される。摺動スリーブ126は、第2位置に移動させる際に、接触要素220を皮膚に押し付けるのに使用する。部品の組織接触面とは反対側の表面は、ハウジングを係合するように構成されていてよい。この実施形態では、摺動スリーブが後退位置に移動すると、ハウジングは追加部品の反対面に係合し、ユーザーに、摺動スリーブが後退位置にあるという視覚的かつ触覚的指標を提供する。
【0043】
図4cに示される別の実施形態では、接触要素が押し付けられると皮膚をつかむように、その内径が構成されてよい。例えば、
図4cに示されるように、接触要素の内径、すなわち孔部226を取り囲む直径は、孔部226内に弾性突出部228が生じるように溝付き加工されている。接触要素が皮膚上に置かれるとき、突出部228は屈曲してから最初の位置に戻り、突出部228間の皮膚をつまむ。あるいは、接触要素は弾性材料部分を含んでよく、それにより、ユーザーの皮膚に置かれると接触要素220の孔部226が拡大し、その後、ユーザーの皮膚に対して器具が適所に固定されるように収縮できる。この弾力性によって、安定化接触要素とユーザーの皮膚との間に、より確実な連結がもたらされる。
【0044】
図4a〜4cに示される任意の接触要素220は、改善された感触と把持性のため、ゴム又はTPE製であってよい。
【0045】
図5a及び5bは、吸引要素の機能を果たすキャップ242の形態の別の接触要素240を示す。
図5に示されるように、キャップは、摺動スリーブ126の遠位端に位置付けられている。キャップは、ゴム材料又は任意の材料、例えばTPEから形成されてよく、キャップが皮膚上に配置されると弾性的に変形可能である。これらの材料は、改善された感触及び把持性ももたらす。
【0046】
使用する際、キャップ242の組織接触面は、皮膚に接着するように、皮膚に対して配置される。その弾力性によって、キャップ242は、摺動スリーブ126を皮膚に接着させること、及び、吸引要素として作用し、接触面244と皮膚との間に真空をもたらすことによって皮膚をつまむこと、の両方の機能を果たす。これによって、放出ノズルが延出する孔部118の方へ皮膚が引っ張られて圧迫されるが、これは、薬物が皮下的に投与される際に望ましい。
【0047】
図6及び6bは、接着面250が摺動スリーブ126の遠位端に配置され、摺動スリーブ126の遠位端を皮膚に接着させるのに使用される、別の実施形態を示す。摺動スリーブ126の遠位端が皮膚上に正しく配置されると、注入器具110が操作するのに正しい角度に方向付けられ、摺動スリーブ126が正しく後退位置に移動できるように、接着面は摺動スリーブ126をその位置に保持する。接着部は、別の実施形態の任意の接触面222、244に適用され、注入器具110を皮膚に固定するのを補助することができる。
【0048】
図7a及び7bは、皮膚上で器具を安定化させる働きをする別の接触要素260を示す。この図に示される接触要素は、孔部262の周りに配置される突出部260a、260b、260cの形態の3つの接触部材を備える。提供される突出部の数は異なっていてもよい。例えば、2つ、4つ、又は5つの突出部が提供され得る。
図7bに示されるように、孔部262は、放出ノズルが延出するハウジング112の孔部118と整列するように、摺動スリーブ126に取り付けられる。突出部260a、260b、260cは、孔部262の周りに等距離の角度で配置され、皮膚接触面264を備える。接触要素260が摺動スリーブ126に配置されるとき、皮膚接触面264は、摺動スリーブ126と反対側を向いている。接触要素260は、改善された感触と把持性のため、ゴム又はTPE製であってよい。操作中、皮膚接触面264はユーザーの皮膚上に配置され、突出部260a、260b、260cは、ユーザーの皮膚上の器具の安定化に使用される。注入器具110をユーザーの皮膚に向けて押し付け、摺動スリーブ126が後退位置にあるとき、ハウジング112の遠位端は、皮膚接触面の反対側の突出部260a、260b、260cの表面に接触し、摺動スリーブ126が後退位置にあり、ロック機構が解除されていて、注入器具110の作動の準備が整っていることの、ユーザーに対する視覚的かつ触覚的指標をもたらす。
【0049】
予め取り付けられた接触要素を備えた注入器具、又は、別個の接触要素と共に供給され、注射前に保護キャップが取り外されるとユーザーによって取り付けられる注入器具を含む、キットが供給されてもよい。
【0050】
使用中、上記のような注入器具は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンなどの物質の送達に使用され得る。これらの物質に加え、注入器具内に含まれる任意の薬剤は、当業者が理解し得るような他の物質、例えば非活性成分も含んでよい。
【0051】
当然のことながら、当業者は、当該技術分野において周知であるように、特定の物質が、特定の疾患の治療又は予防での使用に有効であることを理解するであろう。例えば、抗アレルギー薬は、アレルギーの治療又は予防での使用に有効であり、抗ヒスタミン薬は、花粉症の治療又は予防での使用に有効であり、抗炎症薬は、炎症の治療又は予防での使用に有効であることなどが知られている。また、これらの物質が有効であると知られている1つ又は2つ以上の疾患の治療又は予防に使用するため、本明細書又は特許請求の範囲に挙げられる1つ又は2つ以上の物質の任意の選択が想定される。
【0052】
しかしながら、特定例において、ゴリムマブは、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎若しくは潰瘍性大腸炎、又は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及び潰瘍性大腸炎の任意の組み合わせ、又は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎及び潰瘍性大腸炎の全てのうち、1つ又は2つ以上の治療又は予防での使用に有効であることが知られている。
【0053】
ゴリムマブは、所望により、1つ又は2つ以上の非活性成分、例えば、L−ヒスチジン、L−ヒスチジン一塩酸塩一水和物、ソルビトール、ポリソルベート80、及び水のうち、任意又は全てと組み合わせて使用できる。ゴリムマブは、ゴリムマブが唯一の活性成分である組成物中で存在してよい。例えば、ゴリムマブは、SIMPONI(登録商標)として投与されてよい。
【0054】
本発明は、単に例として上述され、その細部の修正は、本発明の範囲内で実施できることが、当然理解されよう。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 注入器具であって、
放出ノズルを有する注射器を収容するように構成されているハウジングであって、前記注射器は、前記放出ノズルが前記ハウジング内に含まれている後退位置から、前記注射器の前記放出ノズルが前記器具の遠位端において出口孔部を通って前記ハウジングから延出している伸長位置まで、長手方向軸に沿って、前記注入器具の作動時に、前記ハウジング内で移動可能である、ハウジングと、
第1位置にあるときに前記孔部から延出しており、前記ハウジングに向かって第2の後退位置に移動可能である摺動部品と、を備え、
前記摺動部品が、その遠位端において、取り外し可能な接触要素を備える、注入器具。
(2) 作動装置と、
前記作動装置によって作用され、次に前記注射器に作用して前記注射器をその後退位置からその伸長位置に進め、前記放出ノズルを通して前記注射器の内容物を放出するように構成されている駆動部と、を更に備える、実施態様1に記載の注入器具。
(3) 前記摺動部品は、前記摺動部品がその第1位置にある際の係合位置から、前記摺動部品がその第2位置にある際の係合解除位置まで移動可能であり、かつ、前記係合位置にあるときは前記器具の作動を防ぎ、前記係合解除位置にあるときは前記器具の作動を可能にするように構成されている、ロック機構の一部である、実施態様1又は実施態様2に記載の注入器具。
(4) 前記接触要素が、皮膚表面と接触するように構成されている、実施態様1〜3のいずれかに記載の注入器具。
(5) 前記接触要素が、ユーザーの皮膚を前記出口孔部の方に引っ張るように構成されている、実施態様1〜4のいずれかに記載の注入器具。
【0056】
(6) 前記接触要素は、前記摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように、皮膚と前記接触要素とを接着させる弾性部分を備える、実施態様5に記載の注入器具。
(7) 前記接触要素が、2つの弾性的に付勢されたアームを備える、実施態様6に記載の注入器具。
(8) 前記接触要素は、前記摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように、皮膚と前記接触要素とを接着させる可撓性キャップを備える、実施態様1〜5のいずれかに記載の注入器具。
(9) 前記接触要素は、前記摺動部品の端部が皮膚上に固定して位置付けられるように、皮膚と前記接触要素とを接着させる接着部を備える、実施態様1〜4のいずれかに記載の注入器具。
(10) 前記接触要素が、内径及び外径、並びに、前記内径と前記外径との間に延在する表面を有し、前記外径が前記摺動部品の直径より大きい、実施態様1〜4のいずれかに記載の注入器具。
【0057】
(11) 前記内径が、前記摺動部品上に位置するような寸法である、実施態様10に記載の注入器具。
(12) 前記接触要素が、皮膚の表面を係合するための表面を有する、少なくとも1つの接触部材を備える、実施態様1〜4のいずれかに記載の注入器具。
(13) 前記接触部材が、前記ハウジングの長手方向軸から半径方向に延在する、実施態様12に記載の注入器具。
(14) 前記接触要素が複数の接触部材を備える、実施態様12又は13に記載の注入器具。
(15) 前記接触要素が、互いに等距離で間隔をおいて配置された3つの接触部材を備える、実施態様12〜14のいずれかに記載の注入器具。
【0058】
(16) 前記接触部材が、前記ハウジングの表面を係合するための第2表面を備える、実施態様12〜15のいずれかに記載の注入器具。
(17) 前記摺動部品が摺動スリーブを備える、実施態様1〜16のいずれかに記載の注入器具。
(18) 前記接触要素が前記摺動スリーブの遠位端に配置される、実施態様17に記載の注入器具。
(19) 前記接触要素が使い捨てである、実施態様1〜18のいずれかに記載の注入器具。
(20) キットであって、
注入器具であって、
放出ノズルを有する注射器を収容するように構成されているハウジングであって、前記注射器は、前記放出ノズルが前記ハウジング内に含まれている後退位置から、前記注射器の前記放出ノズルが前記器具の遠位端において出口孔部を通って前記ハウジングから延出している伸長位置まで、長手方向軸に沿って、前記注入器具の作動時に、前記ハウジング内で移動可能である、ハウジングと、
第1位置にあるときに前記孔部から延出しており、前記ハウジングに向かって第2の後退位置に移動可能である摺動部品と、を備える、注入器具と、
前記摺動部品の遠位端に取り外し可能に装着されるように構成されている接触要素と、を含む、キット。
【0059】
(21) 添付図面を参照して実質的に本明細書で説明された器具。
(22) 関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒(toxicity)、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質を含有する、実施態様1〜21のいずれかに記載の注入器具。
(23) 物質であって、
実施態様1〜21のいずれかに記載の注入器具を用いて、前記物質をヒト被験者に送達することによる、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される、物質。
(24) 注入器具を用いて、ゴリムマブ、ホルモン、抗毒素、疼痛制御用物質、血栓症制御用物質、感染症の制御又は排除用物質、ペプチド、タンパク質、ヒトインスリン又はヒトインスリン類縁体若しくは誘導体、多糖類、DNA、RNA、酵素、抗体、オリゴヌクレオチド、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、副腎皮質ホルモン、疾患修飾性抗リウマチ薬、エリスロポエチン、又はワクチンからなる群から選択される物質をヒト被験者に送達することによる、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、ホルモン欠乏症、中毒、疼痛、血栓症、感染症、糖尿病、糖尿病性網膜症、急性冠動脈症候群、狭心症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、癌、黄斑変性症、アレルギー、花粉症、炎症、貧血、若しくは骨髄異形成の治療若しくは予防に、又は、防御免疫の発現に使用するための、注入器具であって、
実施態様1〜21のいずれかに記載の注入器具である、注入器具。