特許第6755816号(P6755816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755816
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/052 20060101AFI20200907BHJP
   F24F 3/153 20060101ALI20200907BHJP
   F24F 1/0022 20190101ALI20200907BHJP
   F24F 1/0007 20190101ALI20200907BHJP
【FI】
   F24F3/052
   F24F3/153
   F24F1/0022
   F24F1/0007 321
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-25260(P2017-25260)
(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公開番号】特開2018-132233(P2018-132233A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】古 本 英 明
(72)【発明者】
【氏名】高比良 一 茂
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−349903(JP,A)
【文献】 特開2007−139212(JP,A)
【文献】 特開2007−113881(JP,A)
【文献】 特開平10−047742(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0008542(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/109662(WO,A1)
【文献】 特開2010−054095(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02584260(EP,A1)
【文献】 実開平03−100723(JP,U)
【文献】 特開2009−063242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 1/0022
F24F 3/052
F24F 3/153
F24F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を通流させる空気通流路と、
前記空気通流路内の空気を温度調節する温度調節部と、
前記空気通流路内に蒸気を供給可能な加湿器と、
前記空気通流路の下流側開口に接続される吸込み口を有するとともに、前記吸込み口から吸い込まれた空気を吐出する吐出口を有する送風機と、
前記吐出口に接続される連通口を有するとともに、ダクトを接続可能に構成され且つ前記吐出口からの空気をダクトを介して外部へ流出させるための複数のダクト接続口を有するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、前記吐出口の少なくとも一部に重なる邪魔板部と、を備え
前記邪魔板部は、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に対して斜めに交差する方向に沿って延び、
前記邪魔板部は、厚み方向に貫通する空気通過口を有するとともに、その外周縁の全体と前記チャンバの内周面との間が気密状態となるように、前記チャンバ内に設けられ、
前記空気通過口は、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、一部分が前記吐出口に重なり、他の部分が前記吐出口に重ならないように設けられている、ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
空気を通流させる空気通流路と、
前記空気通流路内の空気を温度調節する温度調節部と、
前記空気通流路内に蒸気を供給可能な加湿器と、
前記空気通流路の下流側開口に接続される吸込み口を有するとともに、前記吸込み口から吸い込まれた空気を吐出する吐出口を有する送風機と、
前記吐出口に接続される連通口を有するとともに、ダクトを接続可能に構成され且つ前記吐出口からの空気をダクトを介して外部へ流出させるための複数のダクト接続口を有するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、前記吐出口の少なくとも一部に重なる邪魔板部と、を備え
前記邪魔板部は、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に対して斜めに交差する方向に沿って延び、
前記邪魔板部は、厚み方向に貫通する空気通過口を有するとともに、その外周縁の全体と前記チャンバの内周面との間が気密状態となるように、前記チャンバ内に設けられ、
前記空気通過口は、前記邪魔板部の前記吐出口に近い側の端部よりも遠い側の端部に近い位置に設けられている、ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項3】
空気を通流させる空気通流路と、
前記空気通流路内の空気を温度調節する温度調節部と、
前記空気通流路内に蒸気を供給可能な加湿器と、
前記空気通流路の下流側開口に接続される吸込み口を有するとともに、前記吸込み口から吸い込まれた空気を吐出する吐出口を有する送風機と、
前記吐出口に接続される連通口を有するとともに、ダクトを接続可能に構成され且つ前記吐出口からの空気をダクトを介して外部へ流出させるための複数のダクト接続口を有するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、前記吐出口の少なくとも一部に重なる邪魔板部と、を備え
前記邪魔板部は、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に対して斜めに交差する方向に沿って延び、
前記送風機は、羽根車と、前記羽根車を収容し且つ前記吸込み口を前記羽根車の軸方向に沿って貫通させるスパイラルケーシング部と、前記スパイラルケーシング部から延び、その先端に前記吐出口を有するダクト部と、を備える遠心送風機であり、
前記ダクト部は、前記スパイラルケーシング部の渦巻き状の内周面の巻き始め部及び巻き終わり部に接続されており、
前記邪魔板部は、前記羽根車の軸方向に沿って見た場合に、その前記巻き始め部側の端部が、その反対側の端部よりも前記吐出口に近くなるように傾斜している、ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項4】
空気を通流させる空気通流路と、
前記空気通流路内の空気を温度調節する温度調節部と、
前記空気通流路内に蒸気を供給可能な加湿器と、
前記空気通流路の下流側開口に接続される吸込み口を有するとともに、前記吸込み口から吸い込まれた空気を吐出する吐出口を有する送風機と、
前記吐出口に接続される連通口を有するとともに、ダクトを接続可能に構成され且つ前記吐出口からの空気をダクトを介して外部へ流出させるための複数のダクト接続口を有するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、前記吐出口の少なくとも一部に重なる邪魔板部と、を備え、
前記空気通流路、前記温度調節部、前記加湿器、及び前記送風機は、筐体の内部に収容されており、
前記チャンバは、前記筐体の内部に収容され且つ前記連通口が設けられる上流側半体と、前記筐体の外部に配置される下流側半体と、を有し、
前記ダクト接続口は、前記下流側半体に設けられている、ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項5】
空気を通流させる空気通流路と、
前記空気通流路内の空気を温度調節する温度調節部と、
前記空気通流路内に蒸気を供給可能な加湿器と、
前記空気通流路の下流側開口に接続される吸込み口を有するとともに、前記吸込み口から吸い込まれた空気を吐出する吐出口を有する送風機と、
前記吐出口に接続される連通口を有するとともに、ダクトを接続可能に構成され且つ前記吐出口からの空気をダクトを介して外部へ流出させるための複数のダクト接続口を有するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、前記吐出口の少なくとも一部に重なる邪魔板部と、を備え、
前記邪魔板部は、前記チャンバにおける前記連通口の周縁部に固定され、前記邪魔板部のうちの少なくとも前記吐出口と重なる部分は、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に対して直交する方向に沿って延びており、
前記チャンバにおける前記連通口の周縁部に、前記邪魔板部を取り付けるための複数の取り付け部が間隔を空けて設けられている、ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項6】
前記邪魔板部は、前記連通口の周縁部の全周を覆うように固定されたパンチングプレートにより構成されている、ことを特徴とする請求項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関し、特に複数の箇所に供給する空気の温度及び湿度のばらつきを抑制するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造時のパターン形成工程においては、フォトリソグラフィが利用される場合がある。フォトリソグラフィでは、まず、ウェハに感光性のレジストが塗布された後、所望のパターンに応じた光がレジストに露光される。次いで、例えばレジストが光硬化型の感光材料である場合には、レジストにおける光が露光されていない領域が溶剤等により除去される。これにより、レジストに所望のパターンを形成(現像)することができる。
【0003】
上述のようなフォトリソグラフィでは、レジストの温度及び湿度を均一に且つ所望の値に調節することが求められる。これは、ウェハ上のレジストの厚みを一定にするために要求される条件であり、半導体製造設備においては、この要求に対応する役目を空気調和装置が担っている。このような空気調和装置は、温度及び湿度を調節した空気をレジストの塗布を実行する装置(以下、レジスト塗布装置と呼ぶ。)に供給することにより、レジストの温調及び湿調を行う。この種の空気調和装置の分野では、温度及び湿度の制御精度を向上させるための技術が従来から数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−63242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、半導体製造設備では、ウェハの処理枚数を増加させるべく、複数のレジスト塗布装置を集約させた大型の製造ユニットが導入される場合がある。この際、一つの空気調和装置に複数のダクト接続口を設け、これらダクト接続口に接続したダクトを通して、上記製造ユニット内の複数のレジスト塗布装置に温湿調した空気を同時に供給する場合がある。
【0006】
しかしながら、複数のダクト接続口から流出される空気において温度差又は湿度差が生じている場合には、同一の製造ユニット内であっても、レジスト塗布装置毎にレジストの厚みが変わってしまう。その結果、完成した半導体部品の仕上がりにばらつきが発生するという問題が生じ得る。
【0007】
上記の問題は、温湿調された空気を分布が生じないように攪拌することで緩和することが可能である。そのため、温湿調後の空気がダクト接続口に至るまでの経路の長さや、ダクト接続口に接続されるダクトの長さを長くするような対策を取れば、上述のような分布の発生を抑制することができる。しかしながら、この対策は、小型化が求められる場合や、ダクトの設置スペースに制約がある場合には、利用が困難となる。特に半導体製造設備では、空気調和装置が天井の低い場所に設置されることが多く、このような条件下では、上述の対策を利用することが困難となり、仮に利用したとしても分布の問題を十分に解消することができない場合がある。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、複数のダクト接続口から流出させる空気の間で生じ得る温度及び湿度のばらつきを、大型化を要求しない簡易的な構成で抑制することができる空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、空気を通流させる空気通流路と、前記空気通流路内の空気を温度調節する温度調節部と、前記空気通流路内に蒸気を供給可能な加湿器と、前記空気通流路の下流側開口に接続される吸込み口を有するとともに、前記吸込み口から吸い込まれた空気を吐出する吐出口を有する送風機と、前記吐出口に接続される連通口を有するとともに、ダクトを接続可能に構成され且つ前記吐出口からの空気をダクトを介して外部へ流出させるための複数のダクト接続口を有するチャンバと、前記チャンバ内に設けられ、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、前記吐出口の少なくとも一部に重なる邪魔板部と、を備えている、ことを特徴とする空気調和装置、である。
【0010】
本発明によれば、送風機の吐出口を通過した又は通過しようとしている空気が邪魔板部に衝突することで、空気の流れが変化し、またチャンバ内に乱流を生じさせることができる。このような空気の転向又は乱流によって、空気自体及び空気とこれに含まれる蒸気とをチャンバ内で攪拌することができる。これにより、複数のダクト接続口から流出させる空気の間で生じ得る温度及び湿度のばらつきを、大型化を要求しない簡易的な構成で抑制することができる。
【0011】
本発明にかかる空気調和装置においては、前記邪魔板部が、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に対して斜めに交差する方向に沿って延びていてもよい。
【0012】
この場合、空気が邪魔板部に衝突することで生じる圧力損失を抑制することができ、攪拌作用を確保しつつ効率的にダクト接続口から空気を流出させることができる。
【0013】
また本発明にかかる空気調和装置において、前記邪魔板部は、厚み方向に貫通する空気通過口を有するとともに、その外周縁の全体と前記チャンバの内周面との間が気密状態となるように、前記チャンバ内に設けられていてもよい。
【0014】
この場合、邪魔板部の保持状態が安定し、且つ空気が空気通過口を通過して邪魔板部の下流側で膨張することで、空気自体及び空気と蒸気との攪拌を促進させることができる。
【0015】
また本発明にかかる空気調和装置において、前記空気通過口は、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、一部分が前記吐出口に重なり、他の部分が前記吐出口に重ならないように設けられていてもよい。
【0016】
この場合、邪魔板部によって転向し、その後、空気通過口の縁部分に衝突して下流側で乱流を生じさせる空気と、邪魔板部に衝突せずに空気通過口を通過する空気とが、混ざり合うことで、空気自体及び空気と蒸気との攪拌を効果的に促進させることができる。
【0017】
また本発明にかかる空気調和装置において、前記空気通過口は、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、前記吐出口と重ならない位置に設けられていてもよい。
【0018】
この場合、まず、吐出口からの空気の向きを邪魔板部によって転向し、その後、空気通過口の縁部分に衝突させて下流側で乱流を生じさせることができるため、空気自体及び空気と蒸気との攪拌を効果的に促進させることができる。
【0019】
また本発明にかかる空気調和装置において、前記空気通過口は、前記邪魔板部の前記吐出口に近い側の端部よりも遠い側の端部に近い位置に設けられていてもよい。
【0020】
この場合、空気が邪魔板部の上流側で停滞する状態が発生することが抑制され、吐出口から空気通過口へ空気がスムーズに流れることで、圧力損失を抑制でき、送風機を効率的に運転させることができる。
【0021】
また本発明にかかる空気調和装置において、前記送風機は、羽根車と、前記羽根車を収容し且つ前記吸込み口を前記羽根車の軸方向に沿って貫通させるスパイラルケーシング部と、前記スパイラルケーシング部から延び、その先端に前記吐出口を有するダクト部と、を備える遠心送風機であり、前記ダクト部は、前記スパイラルケーシング部の渦巻き状の内周面の巻き始め部及び巻き終わり部に接続されており、前記邪魔板部は、前記羽根車の軸方向に沿って見た場合に、その前記巻き始め部側の端部が、その反対側の端部よりも前記吐出口に近くなるように傾斜していてもよい。
【0022】
この場合、空気が邪魔板部に衝突した際に、空気の過剰な方向転換が抑制され得るため、圧力損失の過度の増大を抑制することができ、攪拌作用と空気の効率的な流通とを好適に確保することができる。
【0023】
また本発明にかかる空気調和装置において、前記空気通流路、前記温度調節部、前記加湿器、及び前記送風機は、筐体の内部に収容されており、前記チャンバは、前記筐体の内部に収容され且つ前記連通口が設けられる上流側半体と、前記筐体の外部に配置される下流側半体と、を有し、前記ダクト接続口は、前記下流側半体に設けられていてもよい。
【0024】
この場合、上流側半体と下流側半体とでチャンバを構成することにより、チャンバの内部空間を広く確保し易くなり、またダクト接続口の位置、開口方向、及び個数の自由度が高くなるため、空気供給の自由度も向上させることができる。
【0025】
また本発明にかかる空気調和装置において、前記邪魔板部は、前記チャンバにおける前記連通口の周縁部に固定され、前記邪魔板部のうちの少なくとも前記吐出口と重なる部分は、前記吐出口を通過する空気の流れ方向に対して直交する方向に沿って延びていてもよい。
【0026】
この場合、極めて簡易な構造で、空気の転向又は乱流を生じさせ、これによって、空気自体及び空気とこれに含まれる蒸気とをチャンバ内で攪拌することができる。
【0027】
この際、前記チャンバにおける前記連通口の周縁部に、前記邪魔板部を取り付けるための複数の取り付け部が間隔を空けて設けられていてもよい。
【0028】
この場合、複数の取り付け部によって種々の向きに邪魔板部を設置することが可能となることで、攪拌作用と空気の効率的な流通との調節を柔軟に行うことが可能となり、使い勝手を向上させることができる。
【0029】
また本発明にかかる空気調和装置において、前記邪魔板部は、前記連通口の周縁部の全周を覆うように固定されたパンチングプレートにより構成されていてもよい。
【0030】
この場合、吐出口を通過しようとしている空気の向きを、広範囲にわたって転向でき、かつ広範囲に乱流を生じさせることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、複数のダクト接続口から流出させる空気の間で生じ得る温度及び湿度のばらつきを、大型化を要求しない簡易的な構成で抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる空気調和装置の斜視図である。
図2図1に示す空気調和装置の側面図である。
図3図1に示す空気調和装置の送風機及びチャンバの斜視図である。
図4図1に示す空気調和装置の送風機及びチャンバの概略図である。
図5図1に示す空気調和装置のチャンバの斜視図である。
図6図5の矢印VI方向に沿って見た際のチャンバを示す図である。
図7】本発明の第1の実施の形態の一変形例にかかる空気調和装置のチャンバの斜視図である。
図8図7の矢印VIII方向に沿って見た際のチャンバを示す図である。
図9】本発明の第2の実施の形態にかかる空気調和装置の斜視図である。
図10図9に示す空気調和装置のチャンバの斜視図である。
図11図9に示す空気調和装置の送風機及びチャンバの概略図である。
図12】本発明の第2の実施の形態の一変形例にかかる空気調和装置のチャンバを示す図である。
図13】本発明の第2の実施の形態の他の変形例にかかる空気調和装置のチャンバを示す図である。
図14】本発明の第3の形態にかかる空気調和装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる空気調和装置1の斜視図であり、図2は、空気調和装置1の側面図である。空気調和装置1は、内部に複数の部材を収容する直方体状の筐体1Aを備え、図2においては、筐体1Aが取り外された状態の空気調和装置1の側面図が示されている。
【0035】
図2に示すように、本実施の形態にかかる空気調和装置1は、空気を通流させる空気通流路2と、空気通流路2に設けられた温度調節部に対応する冷却器3及び加熱器4と、空気通流路2に設けられた加湿器5と、空気通流路2において空気を通流させるための駆動力を付与する送風機6と、送風機6から吐出される空気を受け入れた後に外部に流出させるためのチャンバ7と、を備えている。このうち、空気通流路2、冷却器3、加熱器4、加湿器5及び送風機6は、筐体1A内に収容されており、チャンバ7は筐体1Aの上部に設けられ、その下部が筐体1A内に収容され、その上部を筐体1Aの外部に露出させている。
【0036】
空気通流路2は、上下方向に沿って延びる管状の縦流路部21と、縦流路部21の上部に連通し当該上部から水平方向に沿って延びる管状の水平流路部22と、を有している。以下の説明では、水平方向に沿って図1の紙面左右方向に延びる方向を、第1方向D1と呼び、水平方向に沿って第1方向D1と直交し且つ水平流路部22がその軸方向に沿って延びる方向を、第2方向D2と呼ぶ。
【0037】
縦流路部21は、その下部に、水平方向に沿って開口する上流側開口21Aを設けられ、本実施の形態では、上流側開口21Aが、縦流路部21の内部から第2方向D2の一方側(図2の左方向)へ向けて開口している。上流側開口21Aは、縦流路部21の内部に空気を取り込むために設けられ、本実施の形態では、上流側開口21Aの外側に設けられたフィルタ装置23が、上流側開口21Aを覆っている。これにより、フィルタ装置23を通ってパーティクルを除去された空気が、上流側開口21Aから縦流路部21の内部に取り込まれることになる。また、水平流路部22は、縦流路部21側とは反対側の端部に、すなわち第2方向D2の他方側の端部に、下流側開口22Aを設けられ、下流側開口22Aを介して送風機6と連通している。
【0038】
本実施の形態においては、冷却器3が縦流路部21の下部内に設けられ、加熱器4が縦流路部21の上部内に設けられている。冷却器3は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が熱媒体を循環させるように当該順序で配管により接続された冷却回路における蒸発器であってもよい。また加熱器4は、電気ヒータ等であってもよいし、上述の冷却回路において高温となった熱媒体の一部を利用するものであってもよい。冷却器3は、可変の冷凍能力で空気通流路2の内部の空気を冷却可能となっており、加熱器4は、可変の加熱能力で空気通流路2の内部の空気を加熱可能となっている。これら冷却器3及び加熱器4によって、空気通流路2内の空気が温度調節されることになる。
【0039】
また加湿器5は、水平流路部22に設けられ、空気通流路2内に蒸気を供給可能となっている。すなわち、本実施の形態においては、加湿器5が、水平方向で加熱器4と送風機6との間に配置されている。加湿器5は、例えば、上方に向けて水平流路部22の内部に開放した水を貯留する貯留槽と、当該貯留槽内の水を加熱するヒータと、を有し、ヒータによって蒸気の量を調節することで、空気通流路2内の空気の湿度を調節可能となっている。
【0040】
図3は、送風機6及びチャンバ7の斜視図であり、図4は、送風機6の回転軸に沿って見た際の送風機6及びチャンバ7の概略図である。図2乃至図4に示すように、本実施の形態における送風機6は、空気通流路2の下流側開口22Aに接続される吸込み口6A(図2参照)を有するとともに、吸込み口6Aから吸い込まれた空気を吐出する吐出口6Bを有している。詳しくは、本実施の形態における送風機6は、遠心送風機であって、羽根車61と、羽根車61を収容し且つ上述の吸込み口6Aを羽根車61の軸方向L1に沿って貫通させるスパイラルケーシング部62と、スパイラルケーシング部62から延び、その先端に上述の吐出口6Bを有するダクト部63と、を備えている。図3に示すように、ダクト部63は管状であり、一例として本実施の形態では角管状に形成されているが、このような形状は特に限られるものではない。
【0041】
図4に示すように、スパイラルケーシング部62は、吸込み口6Aから吐出口6Bに向けた空気の流路を画成する渦巻き状の内周面62Aを有するとともに、内周面62Aがその巻き始め部62Sから巻き終わり部62Eにわたって羽根車61を囲い込むように構成された周板部621と、周板部621の軸方向L1における両側に固定され、羽根車61を軸方向L1で覆う一対の側板部622と、を有し、上述のダクト部63は、巻き始め部62S、巻き終わり部62E及びこれらの間に位置する側板部622の縁部に接続されてスパイラルケーシング部62から延びている。なお、上述の吸込み口6Aは一対の側板部622のうちの一方に形成され、一対の側板部622のうちの他方には、羽根車61を回転駆動するためのモータ64が設けられている。また本実施の形態では、ダクト部63が上方に向けて延びることで、吐出口6Bが上方に向けて開口する。これにより、本実施の形態では、吐出口6Bがチャンバ7に上下方向で接続している。
【0042】
このような送風機6は、羽根車61を回転させることにより、空気通流路2の内部の空気をその内部に取り込んで、上方に向けて開口する吐出口6Bから空気をチャンバ7内へ吐出する。ここで、送風機6が空気通流路2の内部の空気を取り込むことで、外部の空気が、上流側開口21Aから空気通流路2の内部に取り込まれる。これにより、空気通流路2において空気が通流することになる。
【0043】
チャンバ7は、図1乃至図4に示すように、送風機6の吐出口6Bに接続される連通口7Aを有するとともに、ダクト(図示省略)を接続可能に構成され且つ吐出口6Bからの空気をダクトを介して外部へ流出させるための複数のダクト接続口7Bを有している。詳しくは、本実施の形態におけるチャンバ7は、筐体1Aの内部に収容され且つ連通口7Aが設けられる上流側半体71と、筐体1Aの上部外面から突出するように筐体1Aの外部に配置される下流側半体72と、を有し、ダクト接続口7Bは、このうちの下流側半体72に設けられている。図示の例においては、結合された上流側半体71と下流側半体72とが、直方体状をなすように構成され、これらはボルト等の締結手段によって分離可能に結合されている。また本例では、連通口7Aが吐出口6Bと同様の形状とされ、連通口7A及び吐出口6Bは互い整合した状態で接続されている。なお、連通口7Aは、吐出口6Bよりも大きくてもよく、吐出口6Bを囲うようにして吐出口6Bに接続されてもよい。
【0044】
図5は、チャンバ7のうちの上流側半体71の斜視図であり、図6は、図5の矢印VI方向に沿って見た際のチャンバ7を示す図であり、図5及び図6には、説明の便宜上、吐出口6Bが破線で図示されている。ここで、図3乃至6に示すように、本実施の形態では、邪魔板部8がチャンバ7のうちの上流側半体71内に設けられ、この邪魔板部8は板状の部材であって、吐出口6Bを通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、吐出口6Bの少なくとも一部(本例では、一部)に重なっている。ここで、「吐出口6Bを通過する空気の流れ方向」とは、吐出口6Bの中心、及び吐出口6Bと同一又は相似形状となるダクト部63の連続する各断面の中心を通る軸線F1上に延びる方向を意味している。
【0045】
詳しくは、本実施の形態では、図4に示すように、ダクト部63のうちの、巻き始め部62Sとの接続点P1と、当該接続点P1に、吐出口6Bの全周縁部を含む平面に平行な方向で対向する点P2と、を含む部分から、吐出口6Bに至るまでの部分63Aが、吐出口6Bと同一又は相似形状となる連続する断面を有している。このような連続する断面の中心、及び吐出口6Bの中心を通る図4及び図6等に示す軸線F1上に延びる方向が、本実施の形態では、「吐出口6Bを通過する空気の流れ方向」に対応している。
【0046】
邪魔板部8について詳述すると、図4及び図5に示すように、本実施の形態における邪魔板部8は、吐出口6Bを通過する空気の流れ方向、すなわち軸線F1に対して斜めに交差する方向に沿って延びており、とりわけ図4に示すように、羽根車61の軸方向L1に沿って見た場合に、その前記巻き始め部62S側の端部8Aが、その反対側の端部8Bよりも吐出口6Bに近くなるように傾斜している。また邪魔板部8は、厚み方向に貫通する空気通過口81を有するとともに、邪魔板部8の外周縁の全体とチャンバ7、詳しくは上流側半体71の内周面との間が気密状態となるように、上流側半体71内に設けられている。本実施の形態では、上流側半体71の内周面に内側に突出する段部が設けられ、この段部に邪魔板部8に載置されることで、邪魔板部8が傾斜状態で支持される。このような邪魔板部8の支持態様は、その他の態様であってもよいことは言うまでもない。
【0047】
また図6に示すように、空気通過口81は、吐出口6Bを通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、一部分が吐出口6Bに重なり、他の部分が吐出口6Bに重ならないように設けられている。また空気通過口81は、図4に示すように、邪魔板部8の吐出口6Bに近い側の端部8Aよりも遠い側の端部8Bに近い位置に設けられている。
【0048】
上述のような邪魔板部8が設けられることで、本実施の形態では、送風機6の吐出口6Bから上流側半体71に吐出された空気が、邪魔板部8の空気通過口81を介して、下流側半体72に流入することになる。そして下流側半体72に流入した空気は、ダクト接続口7Bから流出する。図1に示すように、本例では、8個のダクト接続口7Bが設けられ、下流側半体72の上壁部、第1方向D1の一方側を向く壁部、及び第2方向D2の他方側を向く壁部のそれぞれに複数のダクト接続口7Bが設けられている。なお、このようなダクト接続口7Bの数や開口方向は特に限られるものではない。各ダクト接続口7Bは、ダクトを接続可能であり、各ダクトを複数の温度制御対象領域に接続することで、空気調和装置1から複数の温度制御対象領域に温度及び湿度が調節された空気を供給することが可能となる。
【0049】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0050】
本実施の形態にかかる空気調和装置1では、送風機6が、羽根車61を回転させることにより、外部の空気が、空気通流路2の上流側開口21Aから空気通流路2の内部に取り込まれる。これにより、空気通流路2において空気が通流する。空気通流路2内に取り込まれた空気は、まず、冷却器3によって冷却され、次いで、加熱器4によって加熱され、所望の温度に調節される。その後、空気は、加湿器5の上方を通過し、その湿度が調節される。
【0051】
その後、空気は、送風機6内で羽根車61によって回転されて吐出口6Bから吐出される。そして送風機6の吐出口6Bから上流側半体71に吐出された空気は、邪魔板部8の空気通過口81を介して、下流側半体72に流入する。そして下流側半体72に流入した空気は、ダクト接続口7Bから流出する。ここで、上述のように空気が送風機6の吐出口6Bから上流側半体71に吐出される際に、本実施の形態では、図4の矢印に示すように、空気が邪魔板部8に衝突することで、空気の流れが変化し、チャンバ7内に乱流を生じさせることができる。このような空気の転向又は乱流によって、空気自体及び空気とこれに含まれる蒸気とをチャンバ7内で攪拌することができる。これにより、複数のダクト接続口7Bから流出させる空気の間で生じ得る温度及び湿度のばらつきを、大型化を要求しない簡易的な構成によって抑制することができる。
【0052】
以上に説明したように本実施の形態にかかる空気調和装置1は、空気通流路2と、空気通流路2内の空気を温度調節する温度調節部に対応する冷却器3及び加熱器4と、空気通流路2内に蒸気を供給可能な加湿器5と、空気通流路2の下流側開口22Aに接続される吸込み口6Aを有するとともに、吸込み口6Aから吸い込まれた空気を吐出する吐出口6Bを有する送風機6と、吐出口6Bに接続される連通口7Aを有するとともに、ダクトを接続可能に構成され且つ吐出口6Bからの空気をダクトを介して外部へ流出させるための複数のダクト接続口7Bを有するチャンバ7と、チャンバ7内に設けられ、吐出口6Bを通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、吐出口6Bの少なくとも一部に重なる邪魔板部8と、を備えている。これにより、複数のダクト接続口7Bから流出させる空気の間で生じ得る温度及び湿度のばらつきを、大型化を要求しない簡易的な構成によって抑制することができるようになる。
【0053】
また本実施の形態では、邪魔板部8が、吐出口6Bを通過する空気の流れ方向に対して斜めに交差する方向に沿って延びている。これにより、空気が邪魔板部8に衝突することで生じる圧力損失を抑制することができ、攪拌作用を確保しつつ効率的にダクト接続口7Bから空気を流出させることができる。
【0054】
とりわけ、本実施の形態では、送風機6が遠心送風機であり、邪魔板部8は、羽根車61の軸方向L1に沿って見た場合に、その前記巻き始め部62S側の端部8Aが、その反対側の端部8Bよりも吐出口6Bに近くなるように傾斜している、これにより、空気が邪魔板部8に衝突した際に、空気の過剰な方向転換が抑制され得るため、圧力損失の過度の増大を抑制することができ、攪拌作用と空気の効率的な流通とを好適に確保することができる。すなわち、遠心送風機から吐出される空気は、巻き終わり部62E側へ進む成分を含む傾向となるが、本実施の形態の構成では、このような傾向で流れる空気の方向が邪魔板部8の傾斜方向に近くなり、空気の過剰な方向転換が抑制され得ることで、圧力損失の過度の増大を抑制することができるようになる。
【0055】
また本実施の形態における邪魔板部8は、厚み方向に貫通する空気通過口81を有するとともに、その外周縁の全体とチャンバ7(上流側半体71)の内周面との間が気密状態となるように、チャンバ7内に設けられている。これにより邪魔板部8の保持状態が安定し、且つ空気が空気通過口81を通過して邪魔板部8の下流側で膨張する。その結果、空気自体及び空気と蒸気との攪拌を促進させることができる。
【0056】
また空気通過口81は、吐出口6Bを通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、一部分が吐出口6Bに重なり、他の部分が吐出口6Bに重ならないように設けられている。これにより、邪魔板部8によって転向し、その後、空気通過口81の縁部分に衝突して下流側で乱流を生じさせる空気と、邪魔板部8に衝突せずに空気通過口81を通過する空気とが、混ざり合う。これにより、空気自体及び空気と蒸気との攪拌を効果的に促進させることができる。
【0057】
また空気通過口81は、邪魔板部8の吐出口6Bに近い側の端部8Aよりも遠い側の端部8Bに近い位置に設けられているため、空気が邪魔板部8の上流側で停滞する状態が発生することが抑制され、吐出口6Bから空気通過口81へ空気がスムーズに流れることで、圧力損失を抑制でき、送風機6を効率的に運転させることができる。
【0058】
以下では、第1の実施の形態の一変形例について図7及び図8を参照しつつ説明する。図7は、本変形例にかかる空気調和装置のチャンバ7の斜視図であり、図8は、図7の矢印VIII方向に沿って見た際のチャンバ7を示す図である。なお、本変形例における上述の第1の実施の形態と同様の構成部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0059】
図示の変形例においては、邪魔板部8における空気通過口81が、吐出口6Bを通過する空気の流れ方向に沿って見た場合に、吐出口6Bと重ならない位置に設けられている。その他の構成は、上述の第1の実施の形態と同様である。このような構成によれば、まず、吐出口6Bからの空気の向きを邪魔板部8によって転向し、その後、空気通過口81の縁部分に衝突させて下流側で乱流を生じさせることができる。これにより、空気自体及び空気と蒸気との攪拌を効果的に促進させることができるという利点がある。
【0060】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる空気調和装置について図9乃至図11を参照しつつ説明する。図9は、第2の実施の形態にかかる空気調和装置の斜視図であり、図10は、第2の実施の形態にかかるチャンバの斜視図であり、図11は、第2の実施の形態にかかる送風機及びチャンバの概略図である。なお、本実施の形態における上述の第1の実施の形態と同様の構成部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0061】
図9乃至図11に示すように、第2の実施の形態では、チャンバ7の上壁部が筐体1Aの上部外面と面一となるように、チャンバ7が筐体1Aの内部に配置されている。またチャンバ7の上壁部に、複数のダクト接続口7Bが設けられている。またチャンバ7内に設けられる邪魔板部8は、チャンバ7における連通口7Aの周縁部に固定され、吐出口6Bを通過する空気の流れ方向で邪魔板部8のうちの少なくとも吐出口6Bと重なる部分が、当該吐出口6Bを通過する空気の流れ方向(軸線F1)に対して直交する方向に沿って延びている。
【0062】
また、チャンバ7における連通口7Aの周縁部に、邪魔板部8を取り付けるための複数の取り付け部91が間隔を空けて設けられている。取り付け部91は例えばボルト孔であってもよい。
【0063】
以上に説明した第2の実施の形態によれば、図11に示すように、送風機6の吐出口6Bを通過しようとしている空気が邪魔板部8に衝突することで、空気の流れが変化し、チャンバ7内に乱流を生じさせることができる。これにより、極めて簡易な構造で、空気の転向又は乱流を生じさせ、これによって、空気自体及び空気とこれに含まれる蒸気とをチャンバ7内で攪拌することができるようになる。
【0064】
また、チャンバ7における連通口7Aの周縁部に、邪魔板部8を取り付けるための複数の取り付け部91が設けられている。これにより、複数の取り付け部91によって種々の向きに邪魔板部8を設置することが可能となることで、攪拌作用と空気の効率的な流通との調節を柔軟に行うことが可能となり、使い勝手を向上させることができる。
【0065】
以下では、第2の実施の形態の変形例について図12及び図13を参照しつつ説明する。図12は、第2の実施の形態の一変形例にかかるチャンバ7を示す図である。図13は、第2の実施の形態の他の変形例にかかるチャンバ7を示す図である。
【0066】
図12に示す変形例では、チャンバ7における連通口7Aの周縁部に、二つの邪魔板部8が設けられている。このように邪魔板部8の数は特に限られるものではない。
【0067】
図13に示す変形例では、邪魔板部8が、連通口7Aの周縁部の全周を覆うように固定されたパンチングプレートにより構成されている。すなわち、邪魔板部8は複数のパンチング孔を有してなる。この場合、吐出口6Bを通過しようとしている空気の向きを、広範囲にわたって転向でき、かつ広範囲に乱流を生じさせることができる。
【0068】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態にかかる空気調和装置について図14を参照しつつ説明する。図14に示すように、本実施の形態では、チャンバ7におけるダクト接続口7Bが設けられる壁部が筐体1Aの側部外面と面一となるように、チャンバ7が筐体1Aの内部に配置されている。この実施の形態に示されるように、チャンバ7の位置は、特に限られるものではない。
【0069】
以上、本発明の複数の実施の形態を説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態には、上述した変形例とは異なる種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0070】
1…空気調和装置、2…空気通流路、3…冷却器、4…加熱器、5…加湿器、6…送風機、6A…吸込み口、6B…吐出口、61…羽根車、62…スパイラルケーシング部、62S…巻き始め部、62E…巻き終わり部、621…周板部、63…ダクト部、7…チャンバ、7A…連通口、7B…ダクト接続口、71…上流側半体、72…下流側半体、8…邪魔板部、8A,8B…端部、81…空気通過口、91…取り付け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14