特許第6755859号(P6755859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6755859アムホテリシンBの毒性が低減された誘導体の規模変更可能な合成法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755859
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】アムホテリシンBの毒性が低減された誘導体の規模変更可能な合成法
(51)【国際特許分類】
   C07H 17/08 20060101AFI20200907BHJP
【FI】
   C07H17/08 L
【請求項の数】35
【全頁数】105
(21)【出願番号】特願2017-518431(P2017-518431)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公表番号】特表2017-532329(P2017-532329A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】US2015055899
(87)【国際公開番号】WO2016061437
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年10月9日
(31)【優先権主張番号】62/065,330
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513016884
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニヴァーシティ オブ イリノイ
【氏名又は名称原語表記】THE BOARD OF TRUSTEES OF THE UNIVERSITY OF ILLINOIS
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】バーク,マーティン ディー
(72)【発明者】
【氏名】ウノ,ブライス イー
(72)【発明者】
【氏名】ラクシット,ソウヴィク
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/059436(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/165676(WO,A1)
【文献】 特開平04−108797(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/175875(WO,A1)
【文献】 Nature Chemistry,2012年,Vol.4,pp.996-1003
【文献】 Journal of the American Chemical Society,2012年,Vol.134,pp.9755-9761
【文献】 Journal of the American Chemical Society,2007年,Vol.129,pp.13804-13805
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式によって表される化合物:
【化1】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は−C(O)Rであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールである。
【請求項2】
が2−アルケン−1−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が2−アルケン−1−イルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が置換又は非置換のアリールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
が置換又は非置換のフェニルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
がC〜Cアルキルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が2−アルケン−1−イルであり;Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが置換又は非置換のアリールであり;Rが置換又は非置換のフェニルであり;RがC〜Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が2−プロペン−1−イルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が2−プロペン−1−イルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
がp−メトキシフェニル(PMP)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
がp−ニトロベンゾイルである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
がジエチルイソプロピルシリルである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
下記式によって表される、請求項1に記載の化合物:
【化2】
式中、PMPはp−メトキシフェニルを表し、DEIPSはジエチルイソプロピルシリルを表す
【請求項14】
2’エピAmBの製造方法であって、
【化3】
下記工程を含む、方法
【化4】
ここで、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は−C(O)Rであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールであり;
はC〜Cアルキル又はアリールであり;
溶媒7は非極性非プロトン性溶媒である。
【請求項15】
が置換されたアリーロイルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
がアリールである、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
が置換されたアリーロイルであり;Rがアリールである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
がp−ニトロベンゾイルである、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
がフェニルである、請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
溶媒7がベンゼンである、請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートが、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)又はジ(エチル)アゾジカルボキシレート(DEAD)である、請求項14〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
がp−ニトロベンゾイルであり;ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートが、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)であり;Rがフェニルである、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
がp−ニトロベンゾイルであり;ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートが、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)であり;Rがフェニルであり;溶媒7がベンゼンである、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
下記式によって表される化合物:
【化5】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール又はC〜Cアルキルである。
【請求項25】
下記式によって表される、請求項24に記載の化合物:
【化6】
式中、PMPはp−メトキシフェニルを表し、DEIPSはジエチルイソプロピルシリルを表す
【請求項26】
下記式によって表される化合物:
【化7】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール又はC〜Cアルキルであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール又はC〜Cアルキルである。
【請求項27】
下記式によって表される、請求項26に記載の化合物:
【化8】
式中、PMPはp−メトキシフェニルを表す
【請求項28】
下記工程をさらに含、請求項14〜23のいずれか一項に記載の方法:
【化9】
ここで、
Mは、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;
溶媒8は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【請求項29】
下記工程をさらに含む、請求項28に記載の方法:
【化10】
ここで、
フッ化物試薬は、フッ化テトラアルキルアンモニウム及びフッ化塩からなる群より選択され;
溶媒9は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【請求項30】
下記工程をさらに含む、請求項29に記載の方法:
【化11】
ここで、存在ごとに独立して、
Pd試薬はPd(0)又はPd(II)であり;
リガンドは(RPであり;
はC〜Cアルキル又はアリールであり;
はC〜Cアルキル又はアリールであり;
溶媒10は極性非プロトン性溶媒である。
【請求項31】
下記工程をさらに含む、請求項30に記載の方法:
【化12】
ここで、
酸はブレンステッド酸であり;
溶媒11は、水と極性非プロトン性溶媒の混合物である。
【請求項32】
下記工程をさらに含む、請求項14〜23及び2831のいずれか一項に記載の方法:
【化13】
ここで、
は−C(O)Rであり;
Mは、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;
溶媒6は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【請求項33】
下記工程をさらに含、請求項32に記載の方法:
【化14】
ここで、
はハライド又はスルホン酸であり;
溶媒5は、極性非プロトン性溶媒、非極性非プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【請求項34】
下記工程をさらに含、請求項33に記載の方法:
【化15】
ここで、
は置換又は非置換のアリーロイルであり;
は、ハライド、スクシンイミジル、ヒドロキシスクシンイミジル、アジド、アルケンオキシル、及びアリールオキシルからなる群より選択され;
溶媒4は極性非プロトン性溶媒である。
【請求項35】
下記工程をさらに含、請求項34に記載の方法:
【化16】
ここで、
はハライド又はスルホン酸であり;
は、ハライド、スクシンイミジル、ヒドロキシスクシンイミジル、アジド、アルケンオキシル、及びアリールオキシルからなる群より選択され;
は−CH(OR)であり;
RはC〜Cアルキルであり;
溶媒1は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物であり;
溶媒2は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物であり;
溶媒3は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、参照することによって本願に援用される、2014年10月17日出願の米国仮特許出願第62/065,330号の利益を主張する。
【政府の支援】
【0002】
本発明は、アメリカ国立衛生研究所によって承認された許可番号第GM080436号の下、米国政府の支援により成された。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
ポリエン・マクロライド天然物であるアムホテリシンB(AmB)は、生細胞においてイオンチャネルを形成する小分子、ならびに微生物耐性を本質的に生じにくい抗生物質の両方についての典型である。AmBはまた、残念なことに、毒性が強く、この毒性は、生命を脅かす全身性真菌感染に対する最後の防御線としてのその有効利用をしばしば制限する。そのような真菌感染症の発生、ならびに他のすべての種類の抗真菌剤に対する耐性の両方が上昇傾向にあるため、AmBの治療指数を改善する方法を見出すことが、ますます重要な課題となっている。リポソーム製剤を用いてある程度の進展があったが、それらは、多くの場合、ひどく高価であり、かつ、実質的な毒性は残されたままである。50年もの間の世界的中での大規模な努力にもかかわらず、治療指数が改善されたAmBの臨床的に実現可能な誘導体は未だ出現していない。
【0004】
本発明者らは、最近、AmBのC2’ヒドロキシル基のエピマー化が、AmBの臨床的に実現可能な治療的代替物としての顕著な可能性を示す、有効な非毒性のAmB誘導体であるC2’エピAmBをもたらすことを見出した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
AmBから開始して、C2’エピAmBの合成方法を集合的に構成する、簡易化された、容易に規模変更可能(scalable)な一連の個々の方法を提供する。また、本発明の一連の方法に基づき、中間体も提供する。
【0006】
全体的な方法は以下のように要約することができる:
【化1】
本発明のある態様は、C2’エピAmBの製造方法であって、
【化2】
下記工程を含み、
【化3】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は−C(O)Rであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及び、ベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールであり;
はC〜Cアルキル又はアリールであり;
溶媒7は非極性非プロトン性溶媒である。
【0007】
ある特定の実施形態では、Rはp−ニトロベンゾイルであり;ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートは、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)であり;Rはフェニルであり;溶媒7はベンゼンである。
【0008】
ある実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Rはp−メトキシフェニル(PMP)であり;Rはジエチルイソプロピルシリルであり;Rはp−ニトロベンゾイルであり;ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートは、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)であり;Rはフェニルであり;溶媒7はベンゼンである。
【0009】
ある特定の実施形態では、本方法は、以下の工程をさらに含み、
【化4】
ここで、
Mは、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;
溶媒8は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
ある特定の実施形態では、MはKであり;溶媒8は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0010】
ある特定の実施形態では、本方法は以下の工程をさらに含み、
【化5】
ここで、
フッ化物試薬は、フッ化テトラアルキルアンモニウム及びフッ化塩からなる群より選択され;
溶媒9は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【0011】
ある特定の実施形態では、フッ化物試薬はフッ化水素−ピリジンであり;溶媒9はテトラヒドロフラン(THF)である。
【0012】
ある特定の実施形態では、本方法は以下の工程をさらに含み、
【化6】
式中、存在ごとに独立して、
Pd試薬はPd(0)又はPd(II)であり;
リガンドは(RPであり;
はC〜Cアルキル又はアリールであり;
はC〜Cアルキル又はアリールであり;
溶媒10は極性非プロトン性溶媒である。
【0013】
ある特定の実施形態では、Pd試薬はPd(0)であり;リガンドは(PPhであり;上記RCOH又は1,3−ジケトンはチオサリチル酸であり;溶媒10はジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0014】
ある特定の実施形態では、本方法は以下の工程をさらに含み、
【化7】
ここで、
酸はブレンステッド酸であり;
溶媒11は、水と極性非プロトン性溶媒の混合物である。
【0015】
ある特定の実施形態では、酸はカンファースルホン酸(CSA)である。
【0016】
ある特定の実施形態では、溶媒11は、水とMeCNの混合物である。
【0017】
ある特定の実施形態では、酸はカンファースルホン酸(CSA)であり;溶媒11は、水とMeCNの混合物である。
【0018】
ある特定の実施形態では、本方法は以下の工程をさらに含み、
【化8】
ここで、
は−C(O)Rであり;
Mは、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;
溶媒6は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【0019】
ある特定の実施形態では、Mはアルカリ金属カチオンである。
【0020】
ある特定の実施形態では、溶媒6は、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の混合物である。
【0021】
ある特定の実施形態では、Rはp−(tert−ブチル)ベンゾイルであり;MはKであり;溶媒6は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0022】
ある特定の実施形態では、本方法は以下の工程をさらに含み、
【化9】
ここで、
はハライド又はスルホン酸であり;
溶媒5は、極性非プロトン性溶媒、非極性非プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【0023】
ある特定の実施形態では、R−Xは、トリフルオロメタンスルホン酸ジエチル(イソプロピル)シリルであり;溶媒5は、ジクロロメタン(DCM)とヘキサンの混合物である。
【0024】
ある特定の実施形態では、本方法は以下の工程をさらに含み、
【化10】
ここで、
は置換又は非置換のアリーロイルであり;
は、ハライド、スクシンイミジル、ヒドロキシスクシンイミジル、アジド、アルケンオキシル、及びアリールオキシルからなる群より選択され;
溶媒4は極性非プロトン性溶媒である。
【0025】
ある特定の実施形態では、Rは置換されたアリーロイルである。
【0026】
ある特定の実施形態では、R−Xはp−(tert−ブチル)ベンゾイルクロリドであり;溶媒4はテトラヒドロフラン(THF)である。
【0027】
ある特定の実施形態では、本方法は以下の工程をさらに含み、
【化11】
ここで、
はハライド又はスルホン酸であり;
は、ハライド、スクシンイミジル、ヒドロキシスクシンイミジル、アジド、アルケンオキシル、及びアリールオキシルからなる群より選択され;
は−CH(OR)であり;
RはC〜Cアルキルであり;
溶媒1は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物であり;
溶媒2は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物であり;
溶媒3は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【0028】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Xはスクシンイミジルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Xはハライドであり;Rはp−メトキシフェニルであり;溶媒1は、ジメチルホルムアミド(DMF)とMeOHの混合物であり;溶媒2は、DMFとMeOHの混合物であり;溶媒3は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0029】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化12】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0030】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化13】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化14】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は−C(O)Rであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールである。
【0031】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化15】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化16】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は−C(O)Rであり;
は(RSi−であり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールである。
【0032】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化17】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化18】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0033】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化19】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化20】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は−C(O)Rであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールである。
【0034】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化21】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化22】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0035】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化23】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化24】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0036】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化25】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化26】
式中、存在ごとに独立して、
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0037】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のアリールである。
【0038】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化27】
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】アムホテリシンBのC2’エピマー(C2’エピAmB)の規模変更可能な合成スキームの一部を表わす。アムホテリシンB(AmB)から化合物4へと進行する工程が示されている。DCM:ジクロロメタン;DEIPSOTf:トリフルオロスルホン酸ジエチル(イソプロピル)シリル;DIEPA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン;PMP:p−メトキシフェニル;THF:テトラヒドロフラン
図2】C2’エピAmBの規模変更可能な合成スキームの一部を表わす。化合物4から化合物6へと進行する工程が示されている。DEIPS:ジエチル(イソプロピル)シリル;DIAD:ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート;PMP:p−メトキシフェニル;THF:テトラヒドロフラン
図3】C2’エピAmBの規模変更可能な合成キームの一部を表わす。化合物6からC2’エピAmBへと進行する工程が示されている。CSA:カンファースルホン酸;DEIPS:ジエチル(イソプロピル)シリル;DMF:ジメチルホルムアミド;HF−pyr:HF−ピリジン;PMP:p−メトキシフェニル;THF:テトラヒドロフラン
【発明を実施するための形態】
【0040】
アムホテリシンB(AmB)は、臨床的に重要な抗真菌剤であるが、その毒性によって使用が制限される。エルゴステロールとの結合は、チャネル形成とは無関係に、AmBが酵母を死滅させる主要機構であり、コレステロールとの結合は、ヒト細胞に対する毒性の主な要因でありうる。先導的な構造モデルは、マイコサミン付加物上のC2’ヒドロキシル基が、両ステロールとの結合の鍵であると予測している。
【0041】
AmBは、概して、ストレプトマイセス・ノドサス(Streptomyces nodosus)株から得られる。このAmBは、全身性カンジダ症、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、ヒストプラスマ症、及びムコール菌症などの感染症を含む、進行性の生命を脅かす可能性のある真菌感染症の治療に関して、現在、米国において臨床用途に承認されている。AmBは、通常、静脈注射用に調合される。アムホテリシンBは、例えば、Fungizone(登録商標)(Squibb社)、Amphocin(登録商標)(Pfizer社)、Abelcet(登録商標)(Enzon社)、及びAmbisome(登録商標)(Astellas社)として市販されている。その望ましくない毒性副作用のため、投与量は通常、最大で約1.0mg/kg/日に制限され、全累積投与量は、ヒトにおいて、約3gを超えないように制限される。
【0042】
AmBは、膜透過化によって、酵母及びヒト細胞の両方を主に死滅させるものとして、何十年もの間、広く受け入れられてきた。このモデルに導かれて、ヒト細胞に対して酵母のイオンチャネルを選択的に形成する誘導体の開発に焦点を当てて、努力が積み重ねられてきた。
【0043】
この古典的なモデルとは対照的に、最近になって、AmBが自己組織化して膜外の『ステロール−スポンジ』を形成し、これが、マイコサミンに依存する態様でステロールに結合して抜き取ることによって、細胞を主に死滅させることが発見された。証拠は、マイコサミン付加物上のC2’−OH及びC3’−NHが、エルゴステロール(Erg)及びコレステロール(Chol)の両方の結合を可能にするAmBの基底状態の立体配座の安定化に関与している、すなわち、チャネル形成を必要としない、というモデルを裏付けている。C2’−OH又はC3’−NHのいずれかが取り除かれると、AmBは依然としてErgに結合するが、Cholにはもはや結合できない。これらの結果は、C2’−OH及びC3’−NHが、ステロールに直接的には結合しないが、アロステリック修飾の可能性のある部位であることを示唆している。さらに、ステロール結合性におけるこのシフトは、ヒト細胞に対する実際の毒性の実質的な低下と直接的に相関する。このことは、単にコレステロールに結合することが、代わりに、ヒト細胞に対するAmBの毒性の原因となりうること、並びに、この臨床的に重要な抗真菌剤の治療指数を改善するための努力を、コレステロールと比較した、エルゴステロールへの相対的な結合親和性を最大限にするという非常に単純な課題に注力してよいことを示唆している。
【0044】
先導的な既存の構造モデルでは、AmBは、AmBのC2’ヒドロキシル基が各ステロール上の3−bヒドロキシル基との重要な水素結合を形成する類似の複合体を介して、エルゴステロール及びコレステロールの両方に結合する。しかしながら、この仮説についての強力な証拠又は反証が欠けていた。例えば、コンピュータシミュレーションは、そのような水素結合が、エルゴステロールに結合するのに重要な役割を果たすが、コレステロールとの結合ではそうではないことを示唆している。あるいは、AmBの立体配座的に制限された誘導体の膜透過化活性(membrane permeabilizing activities)を比較する以前の研究は、このような水素結合が、両方のステロールで重要な役割を果たすと結論付けた。これら先行研究のいずれも、ステロールの結合を直接的に評価していなかった。
【0045】
本発明者らは、インビトロ及びマウスにおいて強力な抗真菌活性を保持するが、天然物よりも実質的に毒性が低い、C2’エピAmBと呼ばれるアムホテリシンB(AmB)の誘導体の11工程合成を見出した。この合成は、先進的な前臨床/臨床開発及び/又は臨床供給を可能にするこのリード候補の大規模生産に適している。
【0046】
本発明者らは、この合成の開始時及び最後にそれぞれ、容易に導入及び除去されるAmBのための新しい保護基の群(collection)を見出した。これら保護基のこの容易な付加及び除去は、この経路の規模変更可能性にとって重要である。
【0047】
本発明者らはまた、AmBへの5つの異なる保護基(C3’−allocカルバメート、C41−アリルエステル、C13ヘミケタール、C3,5−PMPケタール、及びC9,11−PMPケタール)の付加を包含する、開始の保護手順(opening protection sequence)が、マルチグラムスケールにおいて、1つの順相クロマトグラフィー工程とともに、僅か3工程で進行できることも発見した。
【0048】
本発明者らはさらに、開始の保護手順における3つの工程すべてをクエンチし、比較的非極性の溶媒(EtO又はEtO:ヘキサン 1:1)でトリチュレートし、その後に濾過することによって、過剰の試薬及び溶媒が除去されることを発見した。この手順により、すべての中間体が自由流動性(free-flowing)の黄色粉末として生成される。集合的なプロセスの「清浄度(cleanliness)」及び全体的な収率は注目に値する。
【0049】
定義
便宜上、明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲で用いられる、ある特定の用語をここに集める。
【0050】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、冠詞の文法上の目的語の1つ又は1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために用いられる。例として、「1つの(an)要素」は、1つの要素又は1つ以上の要素を意味する。
【0051】
用語「ヘテロ原子」は、当技術分野で認識されており、炭素及び水素以外の任意の元素の原子を指す。実例となるヘテロ原子としては、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄及びセレンが挙げられる。
【0052】
用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖の炭化水素を意味する。アルキルの代表的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びn−ヘキシルが挙げられるが、それらに限られない。
【0053】
用語「シクロアルキル」は、各々が3〜12個の炭素原子を有する、単環式又は二環式又は架橋した飽和炭素環を意味する。好ましいシクロアルキルは、それらの環構造内に5〜12個の炭素原子を有し、さらに好ましくは、その環構造内に6〜10個の炭素を有する。
【0054】
用語「アルコキシ」は、酸素原子を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるアルキル基を意味する。アルコキシの代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシが挙げられるが、それらに限られない。
【0055】
用語「アルコキシカルボニル」は、本明細書に定義されるC(=O)−で表されるカルボニル基を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるアルコキシ基を意味する。アルコキシカルボニルの代表的な例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、及びtert−ブトキシカルボニルが挙げられるが、それらに限られない。
【0056】
用語「アルキルカルボニル」は、本明細書で用いられる場合、本明細書に定義されるカルボニル基を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるアルキル基を意味する。アルキルカルボニルの代表的な例としては、アセチル、1−オキソプロピル、2,2−ジメチル−1−オキソプロピル、1−オキソブチル、及び1−オキソペンチルが挙げられるが、それらに限られない。
【0057】
用語「アルキルカルボニルオキシ」及び「アリールカルボニルオキシ」は、本明細書で用いられる場合、酸素原子を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるアルキルカルボニル又はアリールカルボニル基を意味する。アルキルカルボニルオキシの代表的な例としては、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、及びtert−ブチルカルボニルオキシが挙げられるが、それらに限られない。アリールカルボニルオキシの代表的な例としては、フェニルカルボニルオキシが挙げられるが、それに限られない。
【0058】
用語「アルキルチオ」は、本明細書で用いられる場合、硫黄原子を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるアルキル基を意味する。アルキルチオの代表的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、tert−ブチルチオ、及びヘキシルチオが挙げられるが、それらに限られない。用語「アリールチオ」、「アルケニルチオ」及び「アリールアルキルチオ」は、例えば、同様に定義される。
【0059】
用語「アミド」は、本明細書で用いられる場合、−NHC(=O)−を意味し、アミド基は窒素を通じて親分子部分に結合する。アミドの例としては、CHC(=O)N(H)−及びCHCHC(=O)N(H)−などのアルキルアミドが挙げられる。
【0060】
用語「アミノ」は、本明細書で用いられる場合、窒素原子を通じて親分子部分に付加する、非置換アミン及び置換アミンの両方の基を指す。2つの基は、各々独立して、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アリールカルボニル、又はホルミルである。代表的な例としては、メチルアミノ、アセチルアミノ、及びアセチルメチルアミノが挙げられるが、それらに限られない。
【0061】
用語「アルケニル」は、特定の炭素原子数を有する、又は、炭素原子数の制限が明記されていない場合には最大で26個までの炭素原子を有し;かつ、その部分に1つ以上の二重結合を有する、環式又は非環式の、分岐した又は分岐していない不飽和炭素鎖部分のことを指す。6〜26個の炭素原子のアルケニルは、さまざまな異性体型における、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘンエイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、及びテトラコセニルによって例示され、ここで、不飽和結合は、その部分内のどこかに位置づけられてよく、かつ、二重結合に対して(Z)又は(E)配置のいずれかを有しうる。
【0062】
用語「アルケンオキシ」又は「アルケンオキシル」は、酸素原子を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるアルケニル基を意味する。アルケンオキシルの代表的な例としては、2−プロペン−1−オキシル(すなわち、CH=CH−CH−O−)及びビニルオキシ(すなわち、CH=CH−O−)が挙げられるが、それらに限られない。
【0063】
用語「芳香(族)」は、4n+2の電子を含む環状共役分子部分によって特徴づけられる平面構造又は多環構造のことを指し、ここでnは整数の絶対値である。縮合した又は連結した環を含む芳香族分子もまた、二環式の芳香環と称される。例えば、炭化水素の環構造内にヘテロ原子を含む二環式の芳香環は、二環式のヘテロアリール環と称される。
【0064】
用語「アリール」は、本明細書で用いられる場合、フェニル基又はナフチル基を意味する。本発明のアリール基は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシスルホニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メルカプト、ニトロ、ホスフィニル、シリル及びシリルオキシからなる群より独立して選択される、1、2、3、4又は5の置換基で必要に応じて置換されうる。
【0065】
用語「アリーレン」は、当技術分野で認識されており、本明細書で用いられる場合、上記定義されるアリール環の2つの水素原子を除去することによって得られる二座部分に関連する。
【0066】
用語「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、本明細書で用いられる場合、本明細書に定義されるアルキル基を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるアリール基を意味する。アリールアルキルの代表的な例としては、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、及び2−ナフト−2−イルエチルが挙げられるが、それらに限られない。
【0067】
用語「アリールオキシ」又は「アリールオキシル」は、酸素原子を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるアリール基を意味する。アリールオキシの代表的な例としては、フェノキシ及び1−ナフチルオキシが挙げられるが、それらに限られない。
【0068】
用語「アリールカルボニル」又は「アリーロイル」は、本明細書で用いられる場合、本明細書に定義されるカルボニル基を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるアリール基を意味する。アリールカルボニルの代表的な例としては、ベンゾイル及び(2−ピリジニル)カルボニルが挙げられるが、それらに限られない。
【0069】
用語「アジド(azide, azido)」は、本明細書で用いられる場合、−N基を意味する。
【0070】
用語「カルボニル」は、本明細書で用いられる場合、−C(=O)−基を意味する。
【0071】
用語「カルボキシ」は、本明細書で用いられる場合、−COH基を意味する。
【0072】
用語「シアノ」は、本明細書で用いられる場合、−CN基を意味する。
【0073】
用語「ハライド」、「ハロ」、又は「ハロゲン」は、−F、−Cl、−Br、又は−Iを意味する。
【0074】
用語「ハロアルキル」は、本明細書に定義されるアルキル基を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義される少なくとも1つのハロゲンを意味する。ハロアルキルの代表的な例としては、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、及び2−クロロ−3−フルオロペンチルが挙げられるが、それらに限られない。
【0075】
用語「ヘテロシクリル」は、本明細書で用いられる場合、完全に飽和されうる、又は1つ以上の不飽和単位を含みうる(疑義を避けるために、不飽和の程度は結果的に芳香環系を生じない)、かつ、窒素、酸素、又は硫黄などの少なくとも1つのヘテロ原子を含む3〜12個の原子を有する、単環式、二環式及び三環式環を含むがそれらに限られない、非芳香族の環系を含む。本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではないが、例示の目的で、複素環の例を次に挙げる:アゼピン、アゼチジニル、モルホリニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、キニクルジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル及びテトラヒドロフラニル。ヘテロシクリル基は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシスルホニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メルカプト、ニトロ、ホスフィニル、シリル及びシリルオキシから独立して選択される、0、1、2、3、4又は5の置換基で置換されうる。
【0076】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で用いられる場合、単環式、二環式及び三環式環を含むが、それらに限られず、かつ、窒素、酸素、又は硫黄などの少なくとも1つのヘテロ原子を含む3〜12個の原子を有する、芳香環系を含む。本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではないが、例示の目的で:アザインドリル、ベンゾ(b)チエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、フラニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、インドリル、インドリニル、インダゾリル、イソインドリニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、イソキノリニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピロロ[2,3−d]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル、キノリニル、キナゾリニル、トリアゾリル、チアゾリル、チオフェニル、テトラヒドロインドリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チエニル、チオモルホリニル、トリアゾリル又はトロパニル。ヘテロアリール基は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシスルホニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メルカプト、ニトロ、ホスフィニル、シリル及びシリルオキシから独立して選択される、0、1、2、3、4又は5の置換基で置換されうる。
【0077】
用語「ヘテロアリーレン」は、当技術分野で認識されており、本明細書で用いられる場合、上記定義されるヘテロアリール環の2つの水素原子を除去することによって得られる二座部分に関連する。
【0078】
用語「ヘテロアリールアルキル」又は「ヘテロアラルキル」は、本明細書で用いられる場合、本明細書に定義されるアルキル基を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義されるヘテロアリールを意味する。ヘテロアリールアルキルの代表的な例としては、ピリジン−3−イルメチル及び2−(チエン−2−イル)エチルが挙げられるが、それらに限られない。
【0079】
用語「ヒドロキシル」は、本明細書で用いられる場合、−OH基を意味する。
【0080】
用語「ヒドロキシアルキル」は、本明細書で用いられる場合、本明細書に定義されるアルキル基を通じて親分子部分に付加する、本明細書に定義される少なくとも1つのヒドロキシ基を意味する。ヒドロキシアルキルの代表的な例としては、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシペンチル、及び2−エチル−4−ヒドロキシヘプチルが挙げられるが、それらに限られない。
【0081】
用語「メルカプト」は、本明細書で用いられる場合、−SH基を意味する。
【0082】
用語「ニトロ」は、本明細書で用いられる場合、−NO基を意味する。
【0083】
用語「シリル」は、本明細書で用いられる場合、シリル(HSi−)基(すなわち、(ヒドロカルビル)Si−)のヒドロカルビル誘導体を含み、ここで、ヒドロカルビル基は、例えば、エチル、フェニルなどの炭化水素から1つの水素原子を除去することによって形成される1価の基である。ヒドロカルビル基は、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS/TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、及び[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル(SEM)などの数多くのシリル基を提供するために、変化させて良い、異なる基の組合せでありうる。
【0084】
用語「シリルオキシ」は、本明細書で用いられる場合、酸素原子を通じて親分子に付加する、本明細書に定義されるシリル基を意味する。
【0085】
用語「スルホン酸(sulfonate)」は、当技術分野で認識されており、式:
【化28】
によって表すことができる部分を含み、式中、Rは、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル、又はアリールである。
【0086】
用語トリフリル、トシル、メシル、及びノナフリルは、当技術分野で認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、及びノナフルオロブタンスルホニル基を指す。用語トリフラート、トシラート、メシラート、及びノナフラートは、当技術分野で認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル、及びノナフルオロブタンスルホン酸エステルの官能基、並びに、これらの基を含む分子のことを指す。
【0087】
略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、及びMsは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル及びメタンスルホニルを表す。当技術分野における通常の知識を有する有機化学者によって用いられる略語のさらに包括的なリストは、「Journal of Organic Chemistry」の各巻の創刊号に掲載されている;このリストは、典型的には、「Standard List of Abbreviations」という名称が付された表に提示されている。
【0088】
例えば、アルキル、m、n等の各表現の定義は、構造内に1か所以上存在する場合には、同一構造内の他の場所におけるその定義とは独立していることが意図されている。
【0089】
「置換」又は「〜で置換された」は、このような置換が、置換された原子及び置換基の許容される価数に従い、かつ、置換の結果、例えば、転位、環化、脱離、又は他の反応などによって自発的に変換を被らない、安定な化合物を生じるという暗黙の条件を含むものと解される。
【0090】
用語「置換された」には、有機化合物のすべての許容される置換基が含まれることも予定されている。広範な態様において、許容される置換基としては、有機化合物の非環式及び環式の、分岐及び非分岐の、炭素環式及び複素環式の、芳香族及び非芳香族の置換基が挙げられる。実例となる置換基としては、例えば、上述のものなどが挙げられる。許容される置換基は、適切な有機化合物に対して、1つ又はそれ以上であってよく、また、同一であっても異なっていてもよい。本発明の目的では、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、及び/又は、ヘテロ原子の価数を満たす、本明細書に記載される有機化合物の許容される任意の置換基を有しうる。本発明は、いかなる方法であっても、有機化合物の許容される置換基によって限定されることは意図されていない。
【0091】
「保護基」という句は、本明細書で用いられる場合、潜在的に反応性の官能基を、望ましくない化学的変換から保護する、一時的な置換基を意味する。このような保護基の例としては、それぞれ、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、並びに、アルデヒド及びケトンのアセタール及びケタールが挙げられる。保護基化学の分野は見直されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley:New York, 1991)。本発明の化合物の保護された形態は、本発明の範囲内に含まれる。
【0092】
本発明の目的では、化学元素は、化学及び物理学ハンドブック第67版(1986−87)CASバージョン(CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 67th Ed., 1986-87)、の裏表紙の元素周期表に従って特定される。
【0093】
本明細書で用いられる場合、プロトン性溶媒は、酸素(ヒドロキシル基など)又は窒素(アミン基など)に結合した水素原子を有する溶媒である。一般的な用語において、不安定なHを含む溶媒はプロトン性溶媒と呼ばれる。このような溶媒の分子は、プロトン(H)を試薬に容易に供与する。対照的に、非プロトン性溶媒は、酸素(ヒドロキシル基など)又は窒素(アミン基など)に結合した水素原子を有しない溶媒であり、水素を供与できない。
【0094】
本明細書で用いられる場合、極性プロトン性溶媒は、多くの塩を溶解するプロトン性溶媒である。概して、これらの溶媒は、高い誘電率及び高い極性を有する。極性プロトン性溶媒の非限定的な例としては、酢酸、アンモニア、エタノール、ギ酸、イソプロパノール、メタノール、n−ブタノール、ニトロメタン、n−プロパノール、t−ブタノール、及び水が挙げられる。
【0095】
本明細書で用いられる場合、極性非プロトン性溶媒は、多くの塩を溶解するが、酸性水素を欠いている溶媒である;これらの溶媒は、概して、中間〜高い誘電率及び極性を有する。極性非プロトン性溶媒の非限定的な例としては、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン(DCM)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、及びテトラヒドロフラン(THF)が挙げられる。
【0096】
本明細書で用いられる場合、非極性非プロトン性溶媒は、あまり塩を溶解せず、酸性水素を欠いている溶媒である;これらの溶媒は、概して、低い誘電率及び極性を有する。非極性非プロトン性溶媒の非限定的な例としては、ベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、ヘキサン、ペンタン、及びトルエンが挙げられる。
【0097】
本発明の化合物
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化29】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0098】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0099】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0100】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のアリールである。
【0101】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは置換又は非置換のアリールである。
【0102】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0103】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0104】
ある特定の実施形態では、Rはp−メトキシフェニル(PMP)である。
【0105】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化30】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化31】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は−C(O)Rであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールである。
【0106】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0107】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0108】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のアリールである。
【0109】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のフェニルである。
【0110】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは置換又は非置換のアリールであり;Rは置換又は非置換のフェニルである。
【0111】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0112】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0113】
ある特定の実施形態では、Rはp−メトキシフェニル(PMP)である。
【0114】
ある特定の実施形態では、Rはp−(tert−ブチル)ベンゾイルである。
【0115】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化32】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化33】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は−C(O)Rであり;
は(RSi−であり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールである。
【0116】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0117】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0118】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のアリールである。
【0119】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のフェニルである。
【0120】
ある特定の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。
【0121】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは置換又は非置換のアリールであり;Rは置換又は非置換のフェニルであり;RはC〜Cアルキルである。
【0122】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0123】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0124】
ある特定の実施形態では、Rはp−メトキシフェニル(PMP)である。
【0125】
ある特定の実施形態では、Rはp−(tert−ブチル)ベンゾイルである。
【0126】
ある特定の実施形態では、Rはジエチルイソプロピルシリルである。
【0127】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化34】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化35】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0128】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0129】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0130】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のアリールである。
【0131】
ある特定の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。
【0132】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは置換又は非置換のアリールであり;RはC〜Cアルキルである。
【0133】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0134】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0135】
ある特定の実施形態では、Rはp−メトキシフェニル(PMP)である。
【0136】
ある特定の実施形態では、Rはジエチルイソプロピルシリルである。
【0137】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化36】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化37】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は−C(O)Rであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールである。
【0138】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0139】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0140】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のアリールである。
【0141】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のフェニルである。
【0142】
ある特定の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。
【0143】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは置換又は非置換のアリールであり;Rは置換又は非置換のフェニルであり;RはC〜Cアルキルである。
【0144】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0145】
ある特定の実施形態では、Rが2−プロペン−1−イルである。
【0146】
ある特定の実施形態では、Rはp−メトキシフェニル(PMP)である。
【0147】
ある特定の実施形態では、Rはp−ニトロベンゾイルである。
【0148】
ある特定の実施形態では、Rはジエチルイソプロピルシリルである。
【0149】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化38】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化39】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0150】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0151】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0152】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のアリールである。
【0153】
ある特定の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。
【0154】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは置換又は非置換のアリールであり;RはC〜Cアルキルである。
【0155】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0156】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0157】
ある特定の実施形態では、Rはp−メトキシフェニル(PMP)である。
【0158】
ある特定の実施形態では、Rはジエチルイソプロピルシリルである。
【0159】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化40】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化41】
式中、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0160】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0161】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0162】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のアリールである。
【0163】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは2−アルケン−1−イルであり;Rは置換又は非置換のアリールである。
【0164】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0165】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0166】
ある特定の実施形態では、Rはp−メトキシフェニル(PMP)である。
【0167】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化42】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物であって、
【化43】
式中、存在ごとに独立して、
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
【0168】
ある特定の実施形態では、Rは置換又は非置換のアリールである。
【0169】
ある実施形態では、化合物は、下記によって表される:
【化44】
本発明のある態様は、下記によって表される化合物である:
【化45】
【0170】
本発明の方法
本発明のある態様は、2’エピAmBの製造方法であって、
【化46】
下記工程を含み、
【化47】
ここで、存在ごとに独立して、
はC(O)ORであり;
は、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は(RSi−であり;
は−C(O)Rであり;
は、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
は、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
は置換又は非置換のアリールであり;
はC〜Cアルキル又はアリールであり;
溶媒7は非極性非プロトン性溶媒である。
【0171】
ある特定の実施形態では、Rは置換されたアリーロイルである。
【0172】
ある特定の実施形態では、Rはアリールである。
【0173】
ある特定の実施形態では、Rは置換されたアリーロイルであり;Rはアリールである。
【0174】
ある特定の実施形態では、Rはp−ニトロベンゾイルである。
【0175】
ある特定の実施形態では、Rはフェニルである。
【0176】
ある特定の実施形態では、溶媒7はベンゼンである。
【0177】
ある特定の実施形態では、ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートは、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)又はジ(エチル)アゾジカルボキシレート(DEAD)である。
【0178】
ある特定の実施形態では、Rはp−ニトロベンゾイルであり;ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートは、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)であり;Rはフェニルである。
【0179】
ある特定の実施形態では、Rはp−ニトロベンゾイルであり;ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートは、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)であり;Rはフェニルであり;溶媒7はベンゼンである。
【0180】
ある実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Rはp−メトキシフェニル(PMP)であり;Rはジエチルイソプロピルシリルであり;Rはp−ニトロベンゾイルであり;ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートは、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)であり;Rはフェニルであり;溶媒7はベンゼンである。
【0181】
ある特定の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つに従った方法は、次の工程をさらに含み:
【化48】
ここで、
Mは、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;
溶媒8は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【0182】
ある特定の実施形態では、Mはアルカリ金属カチオンである。
【0183】
ある特定の実施形態では、MはKである。
【0184】
ある特定の実施形態では、溶媒8は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0185】
ある特定の実施形態では、MはKであり;溶媒8は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0186】
ある実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Rはp−メトキシフェニル(PMP)であり;Rはジエチルイソプロピルシリルであり;Rはp−ニトロベンゾイルであり;MはKであり;溶媒8は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0187】
ある特定の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つに従った方法は、次の工程をさらに含み:
【化49】
ここで、
フッ化物試薬は、フッ化テトラアルキルアンモニウム及びフッ化塩からなる群より選択され;
溶媒9は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【0188】
ある特定の実施形態では、フッ化物試薬はフッ化塩である。
【0189】
ある特定の実施形態では、フッ化物試薬はフッ化水素−ピリジンである。
【0190】
ある特定の実施形態では、溶媒9はテトラヒドロフラン(THF)である。
【0191】
ある特定の実施形態では、フッ化物試薬はフッ化水素−ピリジンであり;溶媒9はテトラヒドロフラン(THF)である。
【0192】
ある実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Rはp−メトキシフェニル(PMP)であり;Rはジエチルイソプロピルシリルであり;フッ化物試薬はフッ化水素−ピリジンであり;溶媒9はテトラヒドロフラン(THF)である。
【0193】
ある特定の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つに従った方法は、次の工程をさらに含み:
【化50】
ここで、存在ごとに独立して、
Pd試薬はPd(0)又はPd(II)であり;
リガンドは(RPであり;
はC〜Cアルキル又はアリールであり;
はC〜Cアルキル又はアリールであり;
溶媒10は極性非プロトン性溶媒である。
【0194】
ある特定の実施形態では、Pd試薬はPd(0)である。
【0195】
ある特定の実施形態では、Rはアリールである。
【0196】
ある特定の実施形態では、Rはアリールである。
【0197】
ある特定の実施形態では、上記RCOH又は1,3−ジケトンはRCOHである。
【0198】
ある特定の実施形態では、Pd試薬はPd(0)であり;Rはアリールであり;Rはアリールであり;上記RCOH又は1,3−ジケトンはRCOHである。
【0199】
ある特定の実施形態では、リガンドは(PPhである。
【0200】
ある特定の実施形態では、上記RCOH又は1,3−ジケトンはチオサリチル酸である。
【0201】
ある特定の実施形態では、溶媒10はジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0202】
ある特定の実施形態では、Pd試薬はPd(0)であり;リガンドは(PPhであり;上記RCOH又は1,3−ジケトンはチオサリチル酸である。
【0203】
ある特定の実施形態では、Pd試薬はPd(0)であり;リガンドは(PPhであり;上記RCOH又は1,3−ジケトンはチオサリチル酸であり;溶媒10はジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0204】
ある実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Rはp−メトキシフェニル(PMP)であり;Pd試薬はPd(0)であり;リガンドは(PPhであり;上記RCOH又は1,3−ジケトンはチオサリチル酸であり;溶媒10はジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0205】
ある特定の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つに従った方法は、次の工程をさらに含み:
【化51】
ここで、
酸はブレンステッド酸であり;
溶媒11は、水と極性非プロトン性溶媒の混合物である。
【0206】
ある特定の実施形態では、酸はカンファースルホン酸(CSA)である。
【0207】
ある特定の実施形態では、溶媒11は、水とMeCNの混合物である。
【0208】
ある特定の実施形態では、酸はカンファースルホン酸(CSA)であり;溶媒11は、水とMeCNの混合物である。
【0209】
ある実施形態では、Rはp−メトキシフェニル(PMP)であり;酸はカンファースルホン酸(CSA)であり;溶媒11は、水とMeCNの混合物である。
【0210】
ある特定の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つに従った方法は、次の工程をさらに含み:
【化52】
ここで、
は−C(O)Rであり;
Mは、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;
溶媒6は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【0211】
ある特定の実施形態では、Mはアルカリ金属カチオンである。
【0212】
ある特定の実施形態では、溶媒6は、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の混合物である。
【0213】
ある特定の実施形態では、Rはp−(tert−ブチル)ベンゾイルである。
【0214】
ある特定の実施形態では、MはKである。
【0215】
ある特定の実施形態では、Rはp−(tert−ブチル)ベンゾイルであり;MはKである。
【0216】
ある特定の実施形態では、溶媒6は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0217】
ある特定の実施形態では、Rはp−(tert−ブチル)ベンゾイルであり;MはKであり;溶媒6は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0218】
ある実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Rはp−メトキシフェニル(PMP)であり;Rはp−(tert−ブチル)ベンゾイルであり;MはKであり;溶媒6は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0219】
ある特定の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つに従った方法は、次の工程をさらに含み:
【化53】
ここで、
はハライド又はスルホン酸であり;
溶媒5は、極性非プロトン性溶媒、非極性非プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【0220】
ある特定の実施形態では、RはC〜Cアルキルである。
【0221】
ある特定の実施形態では、Xはスルホン酸である。
【0222】
ある特定の実施形態では、RはC〜Cアルキルであり;Xはスルホン酸である。
【0223】
ある特定の実施形態では、溶媒5は、極性非プロトン性溶媒と非極性非プロトン性溶媒の混合物である。
【0224】
ある特定の実施形態では、溶媒5は、ジクロロメタン(DCM)とヘキサンの混合物である。
【0225】
ある特定の実施形態では、R−Xは、トリフルオロメタンスルホン酸ジエチル(イソプロピル)シリルである。
【0226】
ある特定の実施形態では、R−Xは、トリフルオロメタンスルホン酸ジエチル(イソプロピル)シリルであり;溶媒5は、ジクロロメタン(DCM)とヘキサンの混合物である。
【0227】
ある実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Rはp−メトキシフェニル(PMP)であり;Rはp−(tert−ブチル)ベンゾイルであり;R−Xは、トリフルオロメタンスルホン酸ジエチル(イソプロピル)シリルであり;溶媒5は、ジクロロメタン(DCM)とヘキサンの混合物である。
【0228】
ある特定の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つに従った方法は、次の工程をさらに含み:
【化54】
ここで、
は置換又は非置換のアリーロイルであり;
は、ハライド、スクシンイミジル、ヒドロキシスクシンイミジル、アジド、アルケンオキシル、及びアリールオキシルからなる群より選択され;
溶媒4は極性非プロトン性溶媒である。
【0229】
ある特定の実施形態では、Rは置換されたアリーロイルである。
【0230】
ある特定の実施形態では、Xはハライドである。
【0231】
ある特定の実施形態では、Rは置換されたフェニルであり;Xはハライドである。
【0232】
ある特定の実施形態では、R−Xはp−(tert−ブチル)ベンゾイルクロリドである。
【0233】
ある特定の実施形態では、溶媒4はテトラヒドロフラン(THF)である。
【0234】
ある特定の実施形態では、R−Xはp−(tert−ブチル)ベンゾイルクロリドであり;溶媒4はテトラヒドロフラン(THF)である。
【0235】
ある実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Rはp−メトキシフェニル(PMP)であり;Rはp−(tert−ブチル)ベンゾイルであり;R−Xはp−(tert−ブチル)ベンゾイルクロリドであり;溶媒4はテトラヒドロフラン(THF)である。
【0236】
ある特定の実施形態では、先行する実施形態のいずれか1つに従った方法は、次の工程をさらに含み:
【化55】
ここで、
はハライド又はスルホン酸であり;
は、ハライド、スクシンイミジル、ヒドロキシスクシンイミジル、アジド、アルケンオキシル、及びアリールオキシルからなる群より選択され;
は−CH(OR)であり;
RはC〜Cアルキルであり;
溶媒1は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物であり;
溶媒2は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物であり;
溶媒3は、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である。
【0237】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0238】
ある特定の実施形態では、Xはスクシンイミジルである。
【0239】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルであり;Xはスクシンイミジルである。
【0240】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルである。
【0241】
ある特定の実施形態では、Xはハライドである。
【0242】
ある特定の実施形態では、Rは2−アルケン−1−イルであり;Xはハライドである。
【0243】
ある特定の実施形態では、Rは置換されたアリールである。
【0244】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0245】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルである。
【0246】
ある特定の実施形態では、Rはp−メトキシフェニルである。
【0247】
ある特定の実施形態では、溶媒1は、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の混合物である。
【0248】
ある特定の実施形態では、溶媒2は、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の混合物である。
【0249】
ある特定の実施形態では、溶媒3は、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の混合物である。
【0250】
ある特定の実施形態では、溶媒1は、ジメチルホルムアミド(DMF)とMeOHの混合物である。
【0251】
ある特定の実施形態では、溶媒2は、ジメチルホルムアミド(DMF)とMeOHの混合物である。
【0252】
ある特定の実施形態では、溶媒3は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0253】
ある特定の実施形態では、ブレンステッド酸は、カンファースルホン酸(CSA)である。
【0254】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Xはスクシンイミジルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Xはハライドであり;Rはp−メトキシフェニルである。
【0255】
ある特定の実施形態では、Rは2−プロペン−1−イルであり;Xはスクシンイミジルであり;Rは2−プロペン−1−イルであり;Xはハライドであり;Rはp−メトキシフェニルであり;溶媒1は、ジメチルホルムアミド(DMF)とMeOHの混合物であり;溶媒2は、DMFとMeOHの混合物であり;溶媒3は、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である。
【0256】
一実施形態において、第2工程のC41−カルボキシレートのアリルエステル化は、分析的HPLCで判定して、所与の反応条件下で清浄な方式で達成される。EtO:ヘキサンの1:1溶液でトリチュレートし、EtOですすいだ後に濾過することによって、過剰のアリル化試薬が最も効果的に除去され、無臭かつ自由流動性の黄色粉末を提供する。以前の合成は、C41−アリルエステル保護基を最後に導入し、水性ワークアップが必要な状況を作り出した(非極性のAmB誘導体は非極性溶媒中で拉げられない)。C41−カルボン酸を保護しないと、先の工程に、複雑な順相フラッシュクロマトグラフィー精製を生じさせた。
【0257】
本発明に関連して、第3工程における3つのケタールすべての同時導入を、高濃度のMeOH溶液中、マルチグラムスケールで効率的に行うことができることもさらに発見された。驚くべきことに、最良の反応時間は非常に短く(30分間)、これは、生成物への最も清浄な変換を可能にすることも見出された。通常のMeOH:THF条件下では、反応はより長く、より多くの分解を伴い、かつ、過剰当量のケタール試薬を必要とする。
【0258】
トリエチルアミンでクエンチの後、反応を効果的にトリチュレートするためには、高濃度のMeOH溶液を、THFを用いて0.03Mまで希釈しなければならないことが分かった。これにより、ヘキサン中へのトリチュレーションにより、細かい黄色粉末の形成が可能となる。セミクルードの生成物を濾過により一旦回収した後、次に、順相シリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。水性抽出を除去することに加えて、セミクルードの乾燥黄色粉末が、著しい分解なしに、アルゴン下、冷凍庫内で最長で少なくとも1カ月間保管できることは特筆すべきである。このことによって、クロマトグラフィー工程に移行する前に、より初期段階の物質の集中的な備蓄が可能になる。
【0259】
本発明者らは、異なるアムホテリシンB中間体のC2’部位選択的なアシル化について以前に報告したが、非常に異なる群の保護基が付加されたこの誘導体に、類似した部位選択性が観察されるか否かは明らかではなかった。結果的に、新規中間体1のC2’位置の高度に部位選択的なアシル化が、高効率で進行し、かつ容易に規模変更可能であることを発見した。この反応は、8gスケールで首尾よく進行した。
【0260】
本発明によれば、C2’−ベンゾエート中間体3の第1のKCN介在性の選択的加水分解が、非常に効率的に進行し、6gスケールで首尾よく進行することが見出された。
【0261】
本発明によれば、4から5への効率の良い、かつ、規模変更可能な方式での変換を促進する条件も見出された。光延反応の条件を最適化し、ミリグラムスケールからマルチグラムスケールへと成功裏に規模を拡大した。この規模の拡大は、反応温度を23℃まで下げ、かつ、溶媒をトルエンからベンゼンに変更することによって達成された。
【0262】
C2’−ニトロベンゾエート5の第2のKCN介在性の選択的加水分解による6の生成は、驚くべきことに効率的であり、この反応はマルチグラムスケールで首尾よく進行した。反応時間も短縮された。
【0263】
驚くべきことに、C41−アリルエステルとC3’allocカルバメートは、両方とも、必要な化学的工程をすべて耐え抜く。とりわけ、C41−アリルエステルは、驚くべきことに、両方のKCN介在性の選択的C2’−ベンゾエート加水分解工程に対して非反応性である。
【0264】
一連の最終的な脱保護が、非常に少ない工程及びHPLC精製で進行することも見出された。本発明によれば、C41カルボン酸及びC3’アミンが保護されていない場合、ケタールは、はるかに容易に開裂されることが発見された。この発見を利用して、これらの反応を以下の順序で行うことによって、一連の最終的な脱保護の効率を最大化した:
1.HF−ピリジンの脱シリル化;次いで
2.C41−アリルエステルとC3’−allocカルバメートの両方の同時除去;次いで
3.全体的なケタール加水分解
【0265】
DEIPS基のHF−ピリジン除去により、適度な量のモノ−PMPケタール化生成物混合物とともに、所望の生成物が清浄に生成される。生成物とモノ−PMPケタール化生成物混合物の両方を、首尾よくクロマトグラフィーにかけて、順相フラッシュクロマトグラフィーによって精製することができる。さらには、モノ−PMPケタール化混合物を、それに続く工程に首尾よく供して、所望の最終生成物を首尾よく生成することができる。
【0266】
C41−アリルエステルとC3’allocカルバメートは、両方とも、同一のパラジウム介在性の条件下、単一工程で容易に除去される。両性イオン生成物が、分析的HPLCによる単一ピークとして清浄に生成される。驚くべきことに、EtOを用いた簡単なトリチュレーション、濾過、及び過剰のEtOを用いた洗浄によって、その反応をワークアップすることができる。驚くべきことに、セミクルードの最後から2番目の物質を、さらなる精製なしに、最終工程に首尾よく使用することができる。
【0267】
最後の脱保護工程を、数百ミリグラム及びグラムスケールで行った。分析的HPLCによれば、出発原料の完全な消費及び所望の生成物への良好な変換が達成される。
【0268】
本発明のある態様は、C2’エピFAmB:
【化56】
の製造方法であって、該方法は、4gen又はそれらの開示される種と、ジ(アルキル)アゾジカルボキシレート、(RP、求核性のフッ化物試薬、及び溶媒7とを合わせ、それによって、5gen又はそれらの開示される種の変形を形成する工程を含み、ここで、フッ素原子が、5gen又はそれらの開示される種におけるRO−に代わる。言い換えれば、C2’エピFAmBの製造方法は、求核性のフッ化物試薬(例えばフッ化テトラアルキルアンモニウム(例えばTBAF)、アルカリ金属フッ化物(例えばCsF又はKF)、アルカリ土類フッ化物、遷移金属フッ化物(例えばAgF)、ジエチルアミノサルファートリフルオリド(DAST)、モルホリノサルファートリフルオリド、アリールサルファトリフルオリド(arylsulfur trifluoride)、アミノサルファートリフルオリド、トリエチルアミントリハイドロフルオリド、又はHF/ピリジン)が4genからの5genの調製においてROHの代わりに用いられることを除いて、C2’エピAmBの製造に関する上述の方法と類似している。C2’エピFAmBの製造方法は、C2’エピAmBの製造方法における4genからの5genの調製の前後のいずれかにおいて、上述の1つ以上の他の工程のうちのいずれか1つをさらに含みうる。
【実施例】
【0269】
これまで本発明を詳細に説明してきたが、本発明は、単なる例証の目的で本明細書に含まれ、本発明の範囲を限定することは意図されていない、次の実施例を参照することによってさらに明確に理解されよう。
【0270】
実施例1 中間体1の合成
【化57】
23℃において、300mLの丸底フラスコ内でDMF:MeOH(75mL:75mL)中、AmB(4.0g、4.3mmol、1.0当量)の攪拌懸濁液に、ピリジン(5.0mL、50.0mmol、11.5当量)及びalloc−スクシンイミド(2.4g、12.05mmol、2.8当量)を加えた。23℃で16時間の攪拌後、濃橙色の均質な溶液を、急速攪拌するEtO(3.5L)内にゆっくり注いだ。黄色の懸濁液を、ワットマン紙No.42の濾紙(直径110mm)に通して濾過し、EtO(3×100mL)で洗浄後にケーキを完全に乾燥させた。完全に乾燥したalloc−AmBの黄色粉末(4.3mmol、定量的)を、さらに精製することなく、その後の反応に用いた。
【0271】
23℃において、300mLの丸底フラスコ内でDMF:MeOH(10:1)中、alloc−AmB(4.0g、4.3mmol、1.0当量)の攪拌懸濁液に、ヒューニッヒ塩基(3.75mL、21.5mmol、5.0当量)及び臭化アリル(11.2mL、129.0mmol、30当量)を連続的に加えた。23℃で8時間の攪拌後、濃橙色の均質な溶液を、急速攪拌するEtO:ヘキサン(1:1、3.5L)にゆっくりと注いだ。その後の黄色の懸濁液を、ワットマン紙No.42の濾紙(直径110mm)に通して濾過し、EtO(3×100mL)で洗浄後にケーキを完全に乾燥させた。完全に乾燥したalloc−アリルエステル−AmB(4.3mmol、定量的)を、黄色粉末として、さらに精製することなく、その後の反応に用いた。
【0272】
23℃において、300mLの丸底フラスコ内でMeOH(35mL、0.1M)中、alloc−アリルエステル−AmB(4.3mmol、1.0当量)の攪拌懸濁液に、アニスアルデヒドジメチルアセタール(4.0mL、23.5mmol、5.5当量)を加え、非常に細かい均一な懸濁液が形成されるまで、10分間攪拌した。次に、白色の結晶性固体のCSA(250mg、1.08mmol、0.25当量)を、一度に加えた。23℃で30分間の攪拌後、EtNを加え(最大160μL)、その後、THF(81mL、0.03Mまで希釈するため)を加えた。その反応物を、急速攪拌するヘキサン(3.5L)にゆっくりと注いだ。その後の黄色の懸濁液を、ワットマン紙No.42の濾紙(直径110mm)に通して濾過し、EtO(3×100mL)で洗浄後にケーキを完全に乾燥させた。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶出EtOAc:ヘキサン:MeOH 50:49:1からEtOAc:ヘキサン:MeOH 75:24:1まで)によって精製し、1(1.56g、1.204mmol、28%)を橙色の固体として得た。
【0273】
=0.21(EtOAc:ヘキサン:MeOH 50:49:1)
1H NMR:(500 MHz, CD3C(O)CD3) δ 7.43(d, J=8.5 Hz, 2H), 7.38 - 7.33(m, 2H), 6.90 - 6.82(m, 4H), 6.48 - 6.18(m, 11H), 6.05 - 5.84(m, 3H), 5.59(dd, J=14.3, 9.3 Hz, 1H), 5.52(s, 1H), 5.46(s, 1H), 5.45 - 5.38(m, 1H), 5.28 - 5.22(m, 1H), 4.71 - 4.62(m, 3H), 4.60(d, J=7.0 Hz, 1H), 4.53(q, J=7.2, 4.6 Hz, 2H), 4.17(tt, J=10.4, 6.0 Hz, 2H), 3.95(dd, J=9.9, 6.9 Hz, 3H), 3.79(d, J=2.9 Hz, 7H), 3.77 - 3.66(m, 3H), 3.61(td, J=9.0, 3.2 Hz, 1H), 3.45(d, J=8.0 Hz, 1H), 3.39(p, J=6.8 Hz, 2H), 3.33(q, J=8.6 Hz, 3H), 3.08(s, 2H), 2.36 - 2.25(m, 3H), 1.96 - 1.88(m, 2H), 1.88 - 1.78(m, 3H), 1.73(dt, J=16.4, 8.1 Hz, 3H), 1.69 - 1.42(m, 8H), 1.41 - 1.21(m, 28H), 1.19(p, J=5.2 Hz, 4H), 1.13 - 1.08(m, 5H), 1.02(d, J=7.1 Hz, 4H), 0.95(d, J=6.6 Hz, 2H), 0.87(dt, J=12.0, 7.0 Hz, 22H)
HRMS(ESI)
7195NO21(M+Na)の計算値:1320.6294
実測値: 1320.6285
【0274】
実施例2 中間体2の合成
【化58】
中間体1(4.06g、3.127mmol、1.0当量)を、ベンゼン(3×10mL)を用いて共沸乾燥し、高真空下で一晩、500mLの丸底フラスコ内に置いた。中間体1にTHF(105mL)を加え、その後、DIPEA(0.87mL、5.0mmol、1.6当量)を加えた。別の200mLの丸底フラスコ内に、THF(64mL)、DMAP(611.2mg、5.0mmol、1.6当量)、及び一滴ずつのp−tert−ブチルベンゾイルクロリド(855μL、4.38mmol、1.4当量)を連続的に加え、細かい白色の懸濁液を形成した。この懸濁液のほとんどを、TLCによる判定で出発原料の大部分が変換されるまで、最長で50分間にわたり、THF、DIPEA及び1の溶液にカニューレによって一滴ずつゆっくりと加えた。反応をEtOAcで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液を含む分液漏斗に移し、EtOAcを用いて抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶出EtOAc:ヘキサン:MeOH 65:33:2 定組成)によって精製し、2(2.28g、1.56mmol、収率50%)を橙色の固体として得た。
【0275】
=0.24(EtOAc:ヘキサン:MeOH 65:33:2)
1H NMR:(500 MHz, CD3C(O)CD3) δ 8.07 - 7.89(m, 2H), 7.64 - 7.48(m, 2H), 7.38(ddt, J=25.4, 8.0, 2.2 Hz, 4H), 6.86(ddd, J=9.5, 4.6, 2.4 Hz, 4H), 6.46 - 6.11(m, 10H), 6.10 - 5.96(m, 3H), 5.96 - 5.82(m, 3H), 5.82 - 5.65(m, 1H), 5.58(d, J=3.7 Hz, 1H), 5.52 - 5.38(m, 2H), 5.33 - 5.18(m, 1H), 5.11(td, J=9.2, 7.5, 3.9 Hz, 1H), 4.88(s, 0H), 4.73 - 4.56(m, 2H), 4.49(t, J=5.9 Hz, 1H), 4.24 - 4.10(m, 1H), 4.01 - 3.82(m, 2H), 3.82 - 3.75(m, 4H), 3.75 - 3.63(m, 1H), 3.59(td, J=9.6, 6.1 Hz, 1H), 3.56 - 3.46(m, 1H), 3.45 - 3.34(m, 1H), 2.85(s, 1H), 2.60(s, 1H), 2.45 - 2.35(m, 1H), 2.35 - 2.23(m, 1H), 2.02 - 1.94(m, 1H), 1.91 - 1.82(m, 1H), 1.80 - 1.40(m, 6H), 1.36(d, J=3.6 Hz, 8H), 1.32 - 1.26(m, 3H), 1.22 - 1.15(m, 2H), 1.12(d, J=6.7 Hz, 2H), 1.01(d, J=7.1 Hz, 2H)
HRMS(ESI)
82107NO22(M+Na)の計算値:1480.7182
実測値: 1480.7172
【0276】
実施例3 中間体3の合成
【化59】
中間体2(4.15g、2.846mmol、1.0当量)を、ベンゼン(3×10mL)とともに共沸乾燥し、高真空下で一晩、300mLの丸底フラスコ内に置いた。中間体3にDCM(48mL)及びヘキサン(48mL)を加え、続いて、新たに蒸留した2,6−ルチジン(2.98mL、25.58mmol、9.1当量)を加え、0℃まで冷却した。ジエチルイソプロピルシリルトリフラート(DEIPSOTf;3.39mL、17.05mmol、6.0当量)を、10分間かけて一滴ずつ加え、0℃でさらに1時間攪拌した。反応をEtO(200mL)で希釈し、EtO及び重炭酸塩の飽和水溶液を含む分液漏斗に移し、EtOで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶出 EtOAc:ヘキサン 1:9からEtOAx:ヘキサン 1:4まで)によって精製し、3(4.46g、2.28mmol、収率80%)を橙色の固体として得た。
【0277】
=0.21(EtOAc:ヘキサン 1:4)
1H NMR:(500 MHz, CD3C(O)CD3) δ 8.07 - 7.95(m, 2H), 7.65 - 7.54(m, 2H), 7.37 - 7.31(m, 4H), 6.94 - 6.81(m, 6H), 6.41 - 6.32(m, 5H), 6.32 - 6.24(m, 3H), 6.20 - 6.13(m, 3H), 6.10 - 5.84(m, 4H), 5.72(ddd, J=21.6, 15.2, 6.4 Hz, 2H), 5.52(d, J=3.3 Hz, 1H), 5.45(q, J=1.6 Hz, 0H), 5.41(d, J=10.3 Hz, 3H), 5.34(dt, J=10.3, 1.4 Hz, 1H), 5.27(dq, J=17.3, 1.8 Hz, 1H), 5.13(dq, J=10.4, 1.5 Hz, 1H), 4.91(d, J=1.1 Hz, 1H), 4.75(s, 1H), 4.71 - 4.62(m, 2H), 4.62 - 4.55(m, 2H), 4.52(dt, J=5.6, 1.6 Hz, 2H), 4.33 - 4.25(m, 1H), 4.19 - 4.08(m, 1H), 4.07 - 3.94(m, 1H), 3.93 - 3.81(m, 3H), 3.81 - 3.73(m, 10H), 3.72 - 3.60(m, 4H), 3.51(dq, J=8.8, 6.1 Hz, 1H), 2.75(s, 3H), 2.53 - 2.39(m, 2H), 2.27(dd, J=17.7, 4.4 Hz, 1H), 2.23 - 2.11(m, 2H), 2.09(s, 7H), 1.99 - 1.94(m, 1H), 1.89(ddt, J=12.5, 8.0, 3.9 Hz, 1H), 1.78 - 1.56(m, 5H), 1.56 - 1.41(m, 4H), 1.37(d, J=3.4 Hz, 14H), 1.32 - 1.21(m, 6H), 1.21 - 1.11(m, 7H), 1.09(d, J=6.8 Hz, 3H), 1.07 - 0.76(m, 79H), 0.76 - 0.65(m, 12H), 0.61 - 0.49(m, 7H), 0.43(dqd, J=14.1, 7.9, 1.7 Hz, 5H)
13C NMR:(126 MHz, CD3C(O)CD3) δ 172.60, 170.01, 166.28, 160.93, 160.80, 157.48, 157.01, 138.66, 135.17, 134.93, 134.66, 134.40, 134.27, 134.01, 133.67, 133.05, 132.92, 132.79, 132.29, 131.26, 130.93, 130.90, 129.29, 129.12, 128.87, 128.47, 127.24, 126.28, 119.43, 117.28, 114.09, 114.08, 113.99, 102.02, 101.18, 100.78, 96.73, 81.57, 75.89, 75.03, 74.97, 74.17, 73.14, 73.02, 72.98, 68.92, 66.82, 65.95, 65.84, 58.56, 57.01, 55.68, 48.58, 43.99, 42.91, 41.29, 38.08, 36.90, 35.90, 33.75, 32.97, 31.64, 30.77, 28.14, 19.27, 18.24, 18.19, 18.07, 18.01, 17.70, 17.68, 14.19, 14.17, 14.03, 13.76, 7.94, 7.90, 7.82, 7.77, 7.72, 7.71, 7.48, 7.36, 5.21, 5.10, 4.94, 4.89, 4.69, 4.44
HRMS(ESI)
110171NO22(M+Na)の計算値:1993.1268
実測値: 1993.1189
【0278】
実施例4 中間体4の合成
【化60】
中間体3(6.39g、3.24mmol、1.0当量)をベンゼン(3×10mL)とともに共沸乾燥し、高真空下で一晩、300mLの丸底フラスコ内に置いた。中間体3にTHF(71mL)及びMeOH(140mL)を加え、続いてKCN(314.8mg、4.83mmol、1.5当量)を加え、Ar雰囲気下に置き、密封し、40℃まで温め、ブラスト・シールド内で48時間攪拌した。反応を、EtO及び重炭酸塩の飽和水溶液を含む分液漏斗に移した。有機相を水で洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた水相をEtOで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶出 EtOAc:ヘキサン 1:9からEtOAx:ヘキサン 1:4まで)によって精製し、4(2.93g、1.62mmol、収率50%)を橙色の固体として得た。
【0279】
=0.22(EtOAc:ヘキサン 3:7)
1H NMR:(500 MHz, CD3C(O)CD3) δ 7.43 - 7.30(m, 5H), 6.92 - 6.79(m, 5H), 6.48 - 6.14(m, 12H), 6.11(dd, J=15.0, 10.0 Hz, 1H), 6.03 - 5.89(m, 3H), 5.88 - 5.73(m, 2H), 5.43(d, J=3.6 Hz, 3H), 5.37(dq, J=21.8, 1.6 Hz, 1H), 5.33 - 5.26(m, 2H), 5.17(dq, J=10.6, 1.5 Hz, 1H), 4.79(s, 1H), 4.71 - 4.48(m, 7H), 4.27(td, J=10.6, 4.7 Hz, 1H), 4.21 - 4.11(m, 1H), 3.95 - 3.82(m, 4H), 3.79(s, 4H), 3.78(s, 4H), 3.77 - 3.63(m, 6H), 3.54(t, J=9.2 Hz, 1H), 3.38 - 3.26(m, 1H), 2.49(dd, J=17.6, 7.6 Hz, 1H), 2.43(q, J=7.1 Hz, 1H), 2.32 - 2.24(m, 3H), 1.96(s, 3H), 1.94 - 1.86(m, 2H), 1.82 - 1.67(m, 3H), 1.66 - 1.57(m, 2H), 1.58 - 1.27(m, 7H), 1.26(d, J=6.1 Hz, 4H), 1.23 - 1.10(m, 8H), 1.10 - 0.86(m, 58H), 0.86 - 0.76(m, 15H), 0.70(tdt, J=8.2, 4.4, 2.9 Hz, 11H), 0.63 - 0.48(m, 5H), 0.48 - 0.36(m, 4H)
HRMS(ESI)
99159NO21(M+Na)の計算値:1833.0379
実測値: 1833.0355
【0280】
実施例5 中間体5の合成
【化61】
中間体4(2.93g、1.62mmol、1.0当量)をベンゼン(3×10mL)とともに共沸乾燥し、高真空下で一晩、250mLの丸底フラスコ内に置いた。中間体4に、p−ニトロ安息香酸(1.62g、9.7mmol、6.0当量)、PPh(2.54mg、9.7mmol、6.0当量)及びベンゼン(54mL)を加えた。溶液を0℃まで冷却し、DIAD(1.91mL、9.7mmol、6.0当量)を一滴ずつ加え、0℃で1時間、攪拌した。次に、反応を23℃で3時間攪拌した。反応を、EtO及び重炭酸ナトリウムの飽和水溶液を含む分液漏斗に移した。有機相を水で洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた水相をEtOで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶出 EtOAc:ヘキサン 1:9からEtOAx:ヘキサン 1:4まで)によって精製し、C2’エピニトロベンゾエート 5(2.66g、1.36mmol、収率84%)を橙色の固体として得た。
【0281】
=0.2(EtOAc:ヘキサン 1:4)
1H NMR:(500 MHz, CD3C(O)CD3) δ 8.37(s, 4H), 7.37 - 7.30(m, 4H), 6.89 - 6.81(m, 5H), 6.50(d, J=9.8 Hz, 1H), 6.45 - 6.09(m, 15H), 6.07 - 5.95(m, 1H), 5.86(ddd, J=19.1, 14.5, 5.8 Hz, 2H), 5.67(ddt, J=17.3, 10.6, 5.4 Hz, 1H), 5.47 - 5.39(m, 2H), 5.35(s, 1H), 5.30(dq, J=10.4, 1.3 Hz, 1H), 5.15(dd, J=10.4, 7.9 Hz, 1H), 5.08(dq, J=17.2, 1.7 Hz, 1H), 4.92(dq, J=10.5, 1.4 Hz, 1H), 4.82(d, J=7.8 Hz, 1H), 4.79 - 4.69(m, 2H), 4.61(qdt, J=13.1, 6.0, 1.4 Hz, 3H), 4.33(qdt, J=13.6, 5.4, 1.5 Hz, 2H), 4.18 - 4.09(m, 1H), 3.97(td, J=10.6, 4.6 Hz, 1H), 3.90 - 3.81(m, 3H), 3.77(d, J=2.9 Hz, 8H), 3.75 - 3.63(m, 7H), 3.52(dq, J=9.0, 6.1 Hz, 1H), 2.69(s, 3H), 2.53 - 2.39(m, 2H), 2.34 - 2.21(m, 1H), 2.19 - 2.07(m, 2H), 2.04 - 1.98(m, 1H), 1.88(dddd, J=12.9, 10.2, 6.6, 3.8 Hz, 1H), 1.79(d, J=15.5 Hz, 1H), 1.76 - 1.64(m, 2H), 1.61(dt, J=13.0, 2.5 Hz, 1H), 1.56 - 1.40(m, 5H), 1.37 - 1.24(m, 14H), 1.23 - 1.12(m, 8H), 1.10 - 0.95(m, 45H), 0.94 - 0.84(m, 19H), 0.84 - 0.76(m, 13H), 0.74 - 0.60(m, 15H), 0.53(dqd, J=26.8, 7.8, 3.2 Hz, 5H), 0.42 - 0.28(m, 5H)
13C NMR:(126 MHz, CD3C(O)CD3) δ 173.00, 170.05, 164.87, 160.93, 160.79, 157.06, 151.67, 138.05, 136.54, 134.87, 134.73, 134.64, 134.56, 134.45, 134.16, 133.82, 133.65, 133.35, 132.91, 132.75, 132.48, 132.40, 131.84, 130.96, 128.86, 128.47, 127.65, 124.39, 119.57, 117.11, 114.07, 113.98, 101.97, 101.21, 100.71, 98.47, 81.53, 76.09, 76.00, 75.09, 74.92, 73.67, 73.04, 72.94, 68.84, 66.84, 66.12, 65.56, 59.60, 58.12, 55.66, 55.12, 48.39, 43.94, 42.99, 41.32, 38.08, 36.35, 33.68, 32.96, 28.21, 22.01, 18.87, 18.20, 18.14, 18.00, 17.98, 17.93, 17.62, 17.60, 14.15, 14.12, 14.02, 13.67, 7.90, 7.86, 7.76, 7.73, 7.69, 7.66, 7.36, 5.15, 5.06, 4.93, 4.91, 4.88, 4.63, 4.36
HRMS(ESI)
10616224Si(M+Na)の計算値:1982.0492
実測値: 1982.0464
【0282】
実施例6 中間体6の合成
【化62】
中間体5(2.46g、1.25mmol、1.0当量)をベンゼン(3×10mL)とともに共沸乾燥し、高真空下で一晩、250mLのiChem内に置いた。中間体5にTHF(27.3mL)及びMeOH(54.6mL)を加え、続いてKCN(121.8mg、1.87μmol、1.5当量)を加え、Ar雰囲気下に置き、密封し、40℃まで温め、ブラスト・シールド内で48時間攪拌した。反応を、EtO及び重炭酸塩の飽和水溶液を含む分液漏斗に移した。有機相を水で洗浄し、続いてブラインで洗浄した。合わせた水相をEtOで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶出 EtOAc:ヘキサン 1:9からEtOAx:ヘキサン 1:4まで)による精製によって6(1.72g、0.948mmol、収率76%)を橙色の固体として得た。
【0283】
=0.2(EtOAc:ヘキサン 3:7)
1H NMR:(500 MHz, CD3C(O)CD3) δ 7.43 - 7.32(m, 4H), 6.87(ddd, J=13.9, 8.9, 2.1 Hz, 4H), 6.47 - 6.15(m, 13H), 6.10(dd, J=15.1, 10.0 Hz, 1H), 6.06 - 5.82(m, 3H), 5.78(dd, J=15.1, 8.6 Hz, 1H), 5.43(d, J=6.0 Hz, 3H), 5.36(dt, J=31.2, 1.6 Hz, 1H), 5.31 - 5.25(m, 1H), 5.16(dt, J=10.7, 1.5 Hz, 1H), 4.81(s, 1H), 4.66 - 4.55(m, 3H), 4.51(td, J=4.9, 3.9, 1.5 Hz, 2H), 4.37(d, J=6.5 Hz, 1H), 4.33 - 4.23(m, 1H), 4.22 - 4.12(m, 1H), 4.01 - 3.82(m, 3H), 3.79(d, J=1.8 Hz, 3H), 3.78(d, J=1.9 Hz, 3H), 3.76 - 3.66(m, 4H), 3.43(tt, J=9.2, 3.9 Hz, 3H), 3.34(h, J=6.3 Hz, 1H), 3.05(d, J=1.9 Hz, 3H), 2.49(dd, J=17.6, 7.7 Hz, 1H), 2.46 - 2.38(m, 1H), 2.27(dt, J=14.3, 4.6 Hz, 3H), 2.09(d, J=1.6 Hz, 4H), 2.01 - 1.93(m, 1H), 1.93 - 1.85(m, 2H), 1.85 - 1.77(m, 1H), 1.73(q, J=10.2, 9.4 Hz, 1H), 1.68 - 1.38(m, 7H), 1.31(q, J=10.9 Hz, 5H), 1.24(t, J=5.4 Hz, 4H), 1.22 - 1.16(m, 6H), 1.10 - 0.86(m, 52H), 0.86 - 0.75(m, 14H), 0.69(dddd, J=13.6, 11.6, 8.0, 3.8 Hz, 10H), 0.63 - 0.49(m, 4H), 0.49 - 0.34(m, 4H)
13C NMR:(126 MHz, CD3C(O)CD3) δ 173.37, 170.15, 160.95, 160.81, 157.34, 137.97, 134.87, 134.84, 134.77, 134.74, 134.35, 134.15, 133.96, 133.77, 133.56, 133.36, 132.90, 132.78, 132.42, 131.08, 129.69, 128.90, 128.50, 119.55, 117.30, 114.08, 114.01, 103.12, 102.07, 101.27, 100.90, 81.60, 76.29, 76.20, 75.23, 74.59, 73.32, 73.28, 72.97, 69.07, 67.63, 66.27, 65.64, 61.38, 57.67, 55.66, 48.58, 44.14, 43.33, 41.41, 38.08, 37.66, 33.73, 32.93, 30.76, 28.33, 19.26, 19.11, 18.21, 18.14, 18.05, 18.02, 18.00, 17.69, 17.67, 14.15, 14.04, 13.72, 7.90, 7.87, 7.80, 7.78, 7.75, 7.71, 7.47, 7.45, 5.18, 5.06, 5.02, 4.96, 4.90, 4.88, 4.66, 4.43
HRMS(ESI)
99159NO21Si(M+Na)の計算値:1833.0379
実測値: 1833.0309
【0284】
実施例7 中間体7の合成
【化63】
0℃においてMeOH(14.5mL)を入れた30mLのテフロン(登録商標)バイアルにHF−ピリジンの70%溶液(2.05mL)を加えた。6(1.05g、0.65mmol)を共沸乾燥した固体として含む別の100mLの「テフロン」バイアルにTHF(7.2mL)を入れ、0℃まで冷却した。最初のバイアルの内容物を、20分間かけて、第2のバイアルにカニューレによってゆっくりと移した。この時点で氷浴を取り除き、反応を23℃で6時間、攪拌した。完了後、反応を、0℃まで冷却し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(60mL)のゆっくりとした添加によってクエンチし、23℃まで1時間、温めた。次に、二相性の懸濁液を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液及びEtOAcを含む分液漏斗に移した。合わせた有機相を、HO、飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶出 DCM:MeOH 49:1からDCM:MeOH 97:3を経てDCM:MeOH 19:1まで)によって精製し、7(574mg、0.442mmol、収率68%)を橙色の固体として得た。
【0285】
=0.2(DCM:MeOH 19:1)
1H NMR:(500 MHz, アセトン-d6) δ 7.48 - 7.32(m, 5H), 6.91 - 6.81(m, 5H), 6.35(dddd, J=53.1, 19.0, 13.1, 8.3 Hz, 18H), 6.06 - 5.87(m, 3H), 5.60(p, J=8.4, 7.5 Hz, 1H), 5.54 - 5.38(m, 3H), 5.35 - 5.20(m, 3H), 5.19 - 5.11(m, 1H), 4.70 - 4.56(m, 4H), 4.52(d, J=5.4 Hz, 3H), 4.38(d, J=7.5 Hz, 2H), 4.27 - 4.08(m, 3H), 4.10 - 3.90(m, 3H), 3.89 - 3.83(m, 1H), 3.77(d, J=3.6 Hz, 9H), 3.56(d, J=5.6 Hz, 1H), 3.52 - 3.33(m, 6H), 3.22 - 3.13(m, 1H), 3.08(s, 3H), 2.59(dt, J=14.5, 7.3 Hz, 1H), 2.36(tdd, J=27.1, 16.2, 7.3 Hz, 5H), 2.09(s, 1H), 2.07 - 1.99(m, 2H), 1.97(s, 1H), 1.96 - 1.82(m, 3H), 1.83 - 1.64(m, 3H), 1.62 - 1.56(m, 1H), 1.38(d, J=11.8 Hz, 1H), 1.28 - 1.19(m, 8H), 1.15(d, J=6.4 Hz, 4H), 1.04(d, J=7.0 Hz, 4H)
13C NMR:(126 MHz, アセトン) δ 206.32, 173.28, 170.86, 169.77, 160.51, 160.43, 158.26, 150.38, 137.62, 137.01, 134.35, 134.24, 134.18, 134.06, 133.88, 133.77, 133.42, 133.05, 132.81, 132.57, 132.51, 132.32, 130.13, 128.29, 128.24, 128.19, 124.55, 118.50, 117.18, 114.18, 113.87, 102.86, 101.05, 100.73, 100.55, 81.03, 77.97, 76.51, 76.34, 75.25, 73.92, 73.25, 73.19, 72.92, 70.58, 67.58, 67.10, 65.74, 65.67, 60.88, 60.46, 56.96, 55.45, 48.64, 43.54, 42.66, 41.80, 41.47, 37.89, 37.66, 33.85, 33.34, 30.58, 28.76, 23.21, 20.80, 18.99, 18.34, 17.60, 14.44, 14.32, 11.97
HRMS(ESI)
7195NO21(M+Na)の計算値:1320.6274
実測値: 1320.6294
【0286】
実施例8 中間体8の合成
【化64】
7(473mg、0.364mmol、1.0当量)を入れた40mLのiChemバイアルに、Pd(PPh(126mg、0.109mmol、0.3当量)、チオサリチル酸(112mg、0.726mmol、2.0当量)をグローブボックス内で加え、密封した。次に、グローブボックスの外で、23℃でDMF(14.7mL)を加え、1時間攪拌した。次いで、反応を、攪拌しているEtO(300mL)に一滴ずつ加えた。次に、得られた黄色の沈殿物を、ワットマン紙No.50濾紙に通して濾過し、過剰のEtOですすいだ。次に、濾液を濃縮し、攪拌しているEtO(150mL)にゆっくりと加えた。このプロセスを、沈殿物がすべて回収されるまで繰り返した。分析的HPLCによる単一ピークとしての橙黄色の固体中間体8(397.4mg、0.339mmol、93%)を、さらに精製することなく、次の反応に使用した。
【0287】
=15.9分間(C18SiO,MeCN:HO 5:95→95:5, 5mM NHOAc, 1mL/分で20分間)
1H NMR:(500 MHz, メタノール-d4) δ 7.51 - 7.39(m, 4H), 6.84 - 6.75(m, 4H), 6.32(dddd, J=36.2, 31.5, 17.4, 9.9 Hz, 13H), 6.01(dd, J=14.5, 6.0 Hz, 1H), 5.57(s, 1H), 5.52(q, J=4.5 Hz, 2H), 5.40 - 5.35(m, 1H), 5.30(s, 18H), 4.81 - 4.74(m, 1H), 4.72(d, J=7.5 Hz, 1H), 4.47(td, J=10.7, 4.6 Hz, 1H), 4.36 - 4.27(m, 2H), 4.08 - 4.00(m, 1H), 3.86 - 3.72(m, 2H), 3.69 - 3.54(m, 9H), 3.47 - 3.35(m, 3H), 3.33(dq, J=3.1, 1.4 Hz, 7H), 3.09(d, J=0.9 Hz, 3H), 2.64(dd, J=16.8, 6.6 Hz, 1H), 2.52(dd, J=13.1, 4.6 Hz, 1H), 2.49 - 2.37(m, 2H), 2.34(dd, J=16.9, 6.1 Hz, 1H), 2.15 - 2.04(m, 1H), 2.02 - 1.83(m, 5H), 1.70(q, J=11.7 Hz, 1H), 1.61 - 1.52(m, 4H), 1.44 - 1.36(m, 1H), 1.33(d, J=6.0 Hz, 3H), 1.28(dd, J=12.9, 10.4 Hz, 1H), 1.22(d, J=6.3 Hz, 3H), 1.15(d, J=6.4 Hz, 4H), 1.12 - 1.08(m, 1H), 1.06(d, J=7.0 Hz, 3H)
13C NMR:(126 MHz, CD3OD) δ 179.76, 170.66, 160.94, 160.80, 135.39, 135.30, 134.42, 134.30, 134.16, 134.40, 133.98, 133,54, 133.45, 132.89, 132.78, 132.67, 131.25, 128.72, 128.59, 114.22, 114.17, 102.51, 101.69, 101.26, 101.14, 81.52, 78.40, 77.94, 77.00, 74.38, 73.37, 73.66, 73.49, 72.28, 71.21, 68.59, 67.89, 60.19, 59.72, 55.62, 55.60, 41.82, 38.22, 33.80, 19.31, 18.29, 17.75, 12.37
HRMS(ESI)
6488NO19の計算値:1174.5941
実測値: 1174.5951
【0288】
実施例9 C2’エピAmBの合成
【化65】
共沸乾燥した8(197mg、0.168mmol、1.0当量)を含む300mLの丸底フラスコに、MeCN(160mL)及び脱イオン水(8.0mL)を加えた。次に、懸濁液を0℃まで冷却してすぐに、CSA(5.85g、25.2mmol、150mM)を一度に加えた。CSAを添加すると、黄橙色の懸濁液が黄橙色の透明溶液となった。時間経過とともに細かい沈殿物が生じる。0℃で3時間攪拌した後、トリエチルアミン(7.03mL、50.4mmol、300当量)を加えた。次に、反応を、ある程度濃縮し、分取HPLC(C18SiO、MeCN:HO 5:95→95:5、5mM NHOAc、1mL/分で20分間)によって精製し、C2’エピAmB(35.1mg、0.035mmol、収率21%)を凍結乾燥した自由流動性の黄色粉末として得た。
【0289】
=11.17分間(C18SiO、分析的HPLC、MeCN:NHOAc 5:95から95:5まで(5mM)、1mL/分で20分間)
1H NMR:(500 MHz, CD3S(O)CD3) δ 6.55 - 6.03(m, 10H), 5.97(dd, J=15.5, 8.7 Hz, 1H), 5.75(d, J=10.9 Hz, 1H), 5.44(dd, J=15.0, 10.1 Hz, 1H), 5.34(s, 1H), 5.21(d, J=7.9 Hz, 1H), 4.89 - 4.71(m, 3H), 4.62(d, J=5.7 Hz, 1H), 4.41(d, J=6.3 Hz, 1H), 4.39 - 4.30(m, 2H), 4.25(t, J=10.5 Hz, 2H), 4.06(s, 1H), 3.91(d, J=10.4 Hz, 1H), 3.49(d, J=31.6 Hz, 2H), 3.17 - 3.04(m, 2H), 3.04 - 2.84(m, 2H), 2.66(d, J=11.9 Hz, 1H), 2.40(s, 1H), 2.28(dd, J=14.6, 7.5 Hz, 1H), 2.17(t, J=8.5 Hz, 2H), 2.05 - 1.68(m, 5H), 1.65 - 1.47(m, 5H), 1.47 - 1.29(m, 7H), 1.24(q, J=5.6, 4.6 Hz, 6H), 1.20 - 1.08(m, 6H), 1.04(t, J=7.4 Hz, 3H), 0.91(d, J=7.1 Hz, 3H), 0.86(td, J=7.1, 4.2 Hz, 1H)
HRMS(ESI)
4773NO17(M+H)の計算値:924.4957
実測値: 924.4960
【0290】
実施例10 C2’エピAmBはエルゴステロールには結合するがコレステロールには結合しない
C2’エピAmBの結合能を調査し、C2’におけるエピマー化がAmBのエルゴステロール結合能に影響を与えるか否かを判定した。C2’エピAmBは、結合アッセイの範囲内では、エルゴステロールには結合するが、コレステロールには結合しない。
【0291】
C2’エピAmBのITCデータは次の通りである:
ステロールなし: 総発熱量=−6.70±0.11μcal
10%エルゴステロール:総発熱量=−15.24±1.66μcal
10%コレステロール: 総発熱量=−6.43±2.80μcal
結合アッセイを行う典型的な方法を以下に説明する。
【0292】
等温滴定型熱量測定(ITC)
最適化された等温滴定型熱量測定(ITC)に基づいたアッセイにおいて、AmBの水溶液を、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC)のみで構成される大型単層小胞(LUV)の懸濁液で滴定し、正味の発熱量を記録した。10%のエルゴステロールを含むPOPCのLUVを使用して、滴定を繰り返した。エルゴステロール含有LUVに切り替えた場合には、正味の発熱量のかなりの増加が観察され、これは、直接的なAmB−ステロール結合相互作用を示唆している。C2’エピAmBを使用して、滴定を繰り返した。正味の発熱量のかなりの増加により、エピマー誘導体のエルゴステロールに結合する能力の保持が示唆された。エルゴステロールの代わりにコレステロールを用いたITCアッセイも行った。C2’エピAmBでは、コレステロールに対する結合は見られなかった。
【0293】
一般情報
実験は、NanoITC等温滴定型熱量計(TA Instruments社、米国デラウェア州ウィルミントン所在)を使用して行われた。試験される化合物の溶液は、DMSO中、化合物の60.0mM原液をKバッファー(5.0mM HEPES/KHEPES、pH=7.4)で600μMまで希釈することによって調製された。溶液中の最終DMSO濃度は1%v/vであった。1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC LUV)のみで構成される大型単層小胞を調製し、リン及びエルゴステロール含量を、後述するように定量した。LUV溶液を、バッファー及びDMSOで希釈し、1%DMSO/Kバッファー溶液中、12.0mMの最終リン脂質濃度を得た。使用直前に、すべての溶液を、37℃で30分間インキュベートし、真空下、37℃で10分間、脱気した。機器の基準セル(容積=0.190mL)に1%v/vのDMSO/Kバッファーの溶液を充填した。
【0294】
LUVの調製
パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)を、Avanti Polar Lipids社(米国アラバマ州アラバスター所在)から、CHCl中、20mg/mLの溶液として入手し、乾燥アルゴン雰囲気下、−20℃で保管し、1カ月以内に使用した。CHCl中、4mg/mLのエルゴステロール溶液を毎月調製し、乾燥アルゴン雰囲気下、4℃で保管した。脂質膜の調製の前に、溶液を周囲温度まで温め、結露による溶液の汚染を防いだ。13×100mmの試験管に、800μLのPOPCと230μLのエルゴステロール溶液を入れた。コレステロール含有リポソームについては、13×100mmの試験管に800μLのPOPCと224μLのコレステロール溶液を入れた。ステロールを含まないリポソームについては、13×100mmの試験管に800μLのPOPCを入れた。窒素の緩やかな流れを用いて溶媒を除去し、得られた脂質膜を、使用前に、高真空下で最低でも8時間、保管した。次に、膜を、1mLのKバッファーで水和し、およそ3分間、強くボルテックス攪拌して多層小胞(MLV)の懸濁液を形成した。得られた脂質懸濁液を、Hamilton社(米国ネバダ州リノ所在)の1mLガスタイトシリンジ内に引き込み、シリンジをAvanti Polar Lipids社のMini−Extruder内に設置した。次に、脂質溶液を、0.20μmのMillipore社(米国マサチューセッツ州ビレリカ所在)のポリカーボネートフィルタに21回通し、新たに形成された大型単層小胞(LUV)懸濁液を、LUV溶液内へのMLVのキャリーオーバーを避けるために元々のMLV懸濁液を含まないシリンジ内に回収した。
【0295】
リン含量の決定
リンの総量の決定は、Chen及び同僚の報告を出典とした(Chen, PS et al. (1956) Anal. Chem. 28:1756)。LUV溶液をKバッファーで10倍に希釈し、希釈LUV懸濁液の3つの10μL試料を、3つの別々の7mLバイアルに加えた。その後、N流を用いて溶媒を除去した。各乾燥したLUV膜と、ブランクとして用いた脂質を含まない第4のバイアルとに、450μLの8.9M HSOを加えた。4つの試料を、225℃のアルミニウム加熱ブロック内の周囲雰囲気に開かれた環境で25分間インキュベートし、次に、23℃の温度環境へと取り出し、5分間冷却した。冷却後、150μLの30%w/vの過酸化水素水溶液を各試料に加え、バイアルを225℃の加熱ブロックに30分間戻した。次に、試料を23℃の温度環境へと取り出し、5分間冷却した後、3.9mLの水を添加した。次いで、500μLの2.5%w/vモリブデン酸アンモニウムを各バイアルに加え、次に、得られた混合物に、短時間かつ強いボルテックス攪拌を5回行った。その後、500μLの10%w/vのアスコルビン酸を各バイアルに加え、得られた混合物に、次に、短時間かつ強いボルテックス攪拌を5回行った。バイアルをPTFEで内張りしたキャップで囲み、100℃のアルミニウム加熱ブロック内に7分間、置いた。試料を23℃の温度環境へと取り出し、およそ15分間冷却した後、UV/Vis分光法によって分析した。820nmでの吸光度を観察し、この値を、この方法を通じて得られた標準曲線及び既知濃度の標準的なリン溶液と比較することによって、リンの総量を決定した。
【0296】
エルゴステロール含量の決定
エルゴステロール含量を分光光度的に決定した。50μL量のLUVの懸濁液を、450μLのヘキサン:イソプロパノール:水 2:18:9 (v/v/v)に加えた。3つの別個の試料を調製し、次に、およそ1分間、強くボルテックス攪拌した。次いで、溶液をUV/Vis分光法で分析し、溶液中のエルゴステロール濃度を、282nmのUVmaxで10400L mol−1cm−1の消衰係数によって決定し、リンの濃度と比較して、ステロール含量の割合を決定した。消衰係数を、上記3元溶媒系において別個に決定した。この方法で調製したLUVは、7〜14%のエルゴステロールを含んでいた。
【0297】
滴定実験
25℃における当該化合物の600μM溶液を含む試料セル(容積=0.191mL)内に、周囲温度でLUV懸濁液を注入することによって、滴定を行った。最初の注入の容積は0.23μLであった。標準的な手順(Heerklotz, H et al. (2000) Biochim. Biophys. Acta 1508:69)と一致して、一般にITC実験の最初の注入に関連した大きな誤差の理由から、この注入の熱量は、データの分析に含めなかった。次に、LUV懸濁液の7.49μLの注入を6回行った。次の注入が行われる前に、機器が安定なベースラインに戻ることを確実にするため、各注入の間の間隔は720秒とした。各実験の攪拌速度は300rpmであった。
【0298】
データ解析
NanoAnalyzeソフトウェア(TA Instruments社)をベースラインの決定及び注入熱量の積分に使用し、Microsoft社のExcelを希釈熱の減算及び発生した全体の熱量の計算に使用した。希釈熱及び混合熱を補正するために、各実験の最後の注入の熱量を、その特定の実験の注入熱全体から減算した。例えば、te Welscher, YM et al. (2008) J. Biol. Chem. 283:6393を参照。この方法によって、実験の間に発生した全体の熱量を、次式を用いて計算した:
【数1】
式中、i=注入番号、n=注入総数、Δhinjection=i番目の注入の熱量、及びΔhinjection=この実験の最後の注入の熱量である。
【0299】
実施例11 C2’エピAmBはインビトロで抗真菌活性を発揮する
2つのエルゴステロール含有株、酵母サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisia)及びカンジダ・アルビカンス(C. albicans)に対するAmB及びC2’エピAmBの活性を試験した。カンジダ・アルビカンスは、ヒトにおける生命を脅かす全身性真菌感染症の最も一般的な原因である。C2’エピAmBは、サッカロミセス・セレビシエ(MIC=2μM)及びカンジダ・アルビカンス(MIC=2μM)の両方に対して強力な抗真菌活性を示した。
【0300】
抗真菌活性アッセイの例示的な方法は、以下の通りである:
サッカロミセス・セレビシエの成長条件
10g/Lの酵母エキス、20g/Lのペプトン、20g/Lのデキストロース、及び20g/Lの固体培地用寒天からなる酵母ペプトンデキストロース(YPD)成長培地を用いて、サッカロミセス・セレビシエを維持した。培地を、約121℃(華氏250度)で30分間、オートクレーブにかけることによって滅菌した。その後、デキストロースを、滅菌した40%w/v水溶液(デキストロース溶液をフィルタ滅菌した)として加えた。寒天(20g/L)を含む滅菌培地を、Corning社(米国ニューヨーク州コーニング所在)の100×20mmのポリスチレンプレート上に注ぐことによって固体培地を調製した。液体培養培地はロータリーシェーカー上、30℃でインキュベートし、固体培養培地はインキュベータ内で30℃に維持した。
【0301】
カンジダ・アルビカンスの成長条件
液体及び固体の両方の培養培地を37℃でインキュベートしたことを除いて、サッカロミセス・セレビシエと同様の方法でカンジダ・アルビカンスを培養した。
【0302】
ブロス微量希釈最小発育阻止濃度(MIC)アッセイ
ブロス微量希釈アッセイのプロトコルは、米国臨床検査標準協議会文書M27−A2を出典とした(Clinical and Laboratory Standards Institute. Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Testing, M27-A2, Approved Standard 2nd Ed. Vol. 22, Number 15, 2002)。50mLのYPD培地に植菌し、シェーカーインキュベータ内で30℃(サッカロミセス・セレビシエ)又は37℃(カンジダ・アルビカンス)のいずれかで一晩、インキュベートした。次に、細胞懸濁液を、Shimadzu社(京都府所在)のPharmaSpec UV−1700 UV/Vis分光光度計で測定して、0.10(〜5×10cfu/mL)のOD600まで、YPDを用いて希釈した。溶液を、YPDを用いて10倍希釈し、希釈細胞懸濁液の195μLアリコートを、滅菌したFalcon社(米国ニュージャージー州フランクリン・レイクス所在)のマイクロテスト96ウェルプレートに3連で加えた。化合物を、DMSO中400μMの原液として調製し、DMSOを用いて次の濃度まで段階希釈してもよい:1600、1200、800、400、320、240、200、160、120、80、40、20、10及び5μM。各溶液の5μLアリコートを、各列が異なる濃度の試験化合物を表すように、96ウェルプレートに3連で加えた。各ウェル内のDMSOの濃度は2.5%であり、生存能力を確かめるために2.5%のDMSOのみを使用する対照ウェルもまた3連で実施した。この40倍希釈により、以下の最終濃度を得た:50、40、30、20、10、8、6、4、1、0.5、0.25及び0.125μM。分析の前に、プレートを覆い、30℃(サッカロミセス・セレビシエ)又は37℃(カンジダ・アルビカンス)で24時間インキュベートした。酵母の目視可能な成長を生じなかった化合物の濃度となるようにMICを決定した。実験は2回行っており、報告されるMICは2回の実験の平均を表している。
【0303】
実施例12 C2’エピAmBはインビトロにおけるヒト細胞に対して毒性ではない
AmB及びC2’エピAmBの活性を、ヒト細胞に対して調査した。AmBに関連する2つの最も重要な毒性副作用は、それぞれ、赤血球及び腎近位尿細管細胞への損傷を原因とする、貧血及び腎毒性である。文献の先例と一致して、AmBは、8.5μMの濃度において、ヒト赤血球の90%の溶血を生じる。これは、最小溶血濃度(MHC)として定められる。全く対照的に、コレステロールに結合しない、対応するC2’エピAmBのMHCは、>500μMであることが分かった。同様に、AmBは、2.4μMの濃度(最小毒性濃度(MTC))において初代ヒト腎近位尿細管上皮細胞の細胞生存能力の90%損失を生じる。この場合も、AmBとは全く対照的に、C2’エピAmBは、溶解性の限界に至るまで毒性の兆候を示さなかった。
【0304】
毒性アッセイの例示的な方法は以下の通りである:
溶血アッセイ
赤血球の調製
溶血アッセイのプロトコルは、Paquet及び同僚の報告を出典とした(Paquet, V et al. (2008) Chem. Eur. J. 14:2465-2481)。ヒト全血(ヘパリンナトリウム)をBioreclamation LLC社(米国ニューヨーク州ウェストベリー所在)から購入し、4℃で保管し、受け取って2日以内に使用した。2.0mLのエッペンドルフチューブに、1mLのヒト全血を加え、10,000gで2分間、遠心分離した。上清を除去し、赤血球ペレットを、1mLの滅菌生理食塩水で洗浄し、10,000gで2分間、遠心分離した。生理食塩水洗浄を、合計3回繰り返した。赤血球ペレットを、1mLのRBCバッファー(10mM NaHPO、150mM NaCl、1mM MgCl、pH7.4)に懸濁し、赤血球ストック懸濁液を形成した。
【0305】
最小溶血濃度(MHC)アッセイ
DMSO中、1.03mM(AmB)又は12.8mM(C2’エピAmB)の原液として化合物を調製し、DMSOを用いて以下の濃度まで段階希釈した:7689、5126、2563、2050、1538、1025、769、513、384、256、205、154、103、77、51、26μM。0.2mLのPCRチューブに、24μLのRBCバッファー及び1μLの化合物の原液を加え、500、300、200、100、80、60、40、30、20、15、10、8、6、4、3、2、1μMの最終濃度を得た。1μLのDMSOをMilliQ水又はRBCバッファーに加えることによって、それぞれ、0.2mLのPCRチューブに陽性及び陰性対照を調製した。各PCRチューブに、0.63μLの赤血球ストック懸濁液を加え、反転混合した。試料を37℃で2時間、インキュベートした。試料を反転混合し、10,000gで2分間、遠心分離した。各試料に由来する15μLの上清を384ウェルプレートに加えた。Biotek社(米国バーモント州ウィヌースキー所在)のH1 Synergy Hybrid Readerを使用して540nmにおいて吸光度を読み取った。実験は3回行っており、報告されるMHCは、3回の実験の平均を表している。
【0306】
データ解析
次の方程式に従って溶血率を決定した:
【数2】
濃度−対−溶血率をプロットし、OriginPro 8.6(Sebaugh, JL (2011) Pharmaceut. Statist. 10:128-134)を使用して4−パラメータロジスティック(4PL)用量応答フィットに当てはめた。MHCを、90%の溶血を生じる濃度として定めた。
【0307】
WST−8細胞増殖アッセイ
初代腎近位尿細管上皮細胞の調製
初代ヒト腎近位尿細管上皮細胞(RPTEC)をATCC(米国バージニア州マナサス所在)から購入し、受け取り後、すぐに培養した。腎上皮細胞基本培地(ATCC、PCS−400−030)、腎上皮細胞培養キット(ATCC、PCS−400−040)、及びペニシリン−ストレプトマイシン(10単位/mL及び10μg/mL)を使用して、完全成長培地を調製した。完全培地を暗所にて4℃で保管し、28日以内に使用した。初代のRPTECを、95%空気/5%COの雰囲気を用い、37℃で、COインキュベータ内で成長させた。
【0308】
WST−8試薬の調製
WST−8細胞増殖アッセイキット(10010199)をCayman Chemical Company社(米国ミシガン州アナーバー所在)から購入し、−20℃で保管し、受け取って6カ月以内に使用した。WST−8試薬及び電子メディエータ溶液を解凍し、混合してWST−8試薬溶液を調製した。溶液を−20℃で保管し、1週間以内に使用した。
【0309】
WST−8アッセイ
完全成長培地中、初代のRPTECの懸濁液を、1×10細胞/mLの濃度に調整した。96ウェルプレートに99μLの細胞懸濁液を播種し、95%空気/5%COの雰囲気内で3時間、37℃でインキュベートした。100μLの細胞懸濁液又は100μLの完全培地を播種することによって、陽性及び陰性対照を調製した。化合物を、DMSO中、5mM(AmB)及び50mM(C2’エピAmB)の原液として調製し、DMSOを用いて次の濃度まで段階希釈した:50000、40000、30000、20000、10000、8000、6000、4000、3000、2000、1500、1000、800、600、400、300、200、100、50、25、10、5、2.5、1、0.5、0.25、及び0.1μM。各溶液の1μLのアリコートを、各カラムが異なる濃度の試験化合物を表す、96ウェルプレートに3連で加えた。96ウェルプレートを、95%空気/5%COの雰囲気内で24時間、37℃でインキュベートした。インキュベーション後、培地を吸引し、100μLの血清を含まない培地を加え、各ウェルに10μLのWST−8試薬溶液を加えた。96ウェルプレートを、200rpmで1分間、シェーカーインキュベータ内で混合し、95%空気/5%COの雰囲気で2時間、37℃でインキュベートした。インキュベーションに続いて、96ウェルプレートを、200rpmで1分間、シェーカーインキュベータ内で混合し、Biotek社(米国バーモント州ウィヌースキー所在)のH1 Synergy Hybrid Readerを使用して、吸光度を450nmにおいて読み取った。実験は3回行なっており、報告される細胞毒性は、3回の実験の平均を表している。
【0310】
データ解析
以下方程式に従って溶血率を決定した:
【数3】
濃度−対−溶血率をプロットし、OriginPro 8.6を使用して、4−パラメータロジスティック(4PL)用量応答フィットに当てはめた。MTCを、細胞生存能力の90%損失を生じる濃度として定めた。
【0311】
顕微鏡検査
AMG社(米国ワシントン州ボセル所在)のEVOS fl顕微鏡を使用して細胞を結像した。画像は、10×対物レンズでの透過光を使用して撮像した。
【0312】
実施例13 生物活性のインビボ評価
C2’エピAmBの抗真菌効果を、播種性カンジダ症のマウスモデルにおいて試験した。この実験では、好中球減少マウスを、カンジダ・アルビカンスに尾静脈を介して感染させ、次いで、感染の2時間後、マウスに16mg/kgのAmB又はC2’エピAmBの単回の腹腔内注射を行った。次に、感染後24時間の時点で、マウスを殺処理し、腎臓に存在する真菌の量を定量した。C2’エピAmBは、腎臓に存在する真菌の量の低減において、AmBよりも効果的であった。AmBと比較して、C2’エピAmBは、真菌の量を0.5log単位多く低減した。
【0313】
別の実験において、健康なマウスへのAmB又はC2’エピAmBの単回の静脈内投与と、その後の死亡率のモニタリングによって、急性毒性を決定した。4mg/kgのAmB用量群のすべてのマウスが数秒以内に死亡した。C2’エピAmBは、著しく毒性が低く、16mg/kgの用量に至ってさえも死亡は観察されなかった。
【0314】
参照の取り込み
上記説明において言及されたすべての特許及び特許出願公開公報は、その全体が、ここに参照することによって本明細書に取り込まれる。
【0315】
等価物
明確な理解の目的で、これまで、例証及び実例を通して本発明を幾分詳細に説明してきたが、本発明の範囲又はそれらのいずれかの特定の実施形態に影響を与えることなく、条件、配合及び他のパラメータの幅広い及び等価の範囲内で本発明を修正または変更することによっても、同様に行われうること、及び、このような修正及び変更が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることは、当業者にとって明白であろう。
他の実施形態
1.下記式によって表される化合物:
【化66】
式中、存在ごとに独立して、
がC(O)ORであり;
が、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
2.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態1に記載の化合物。
3.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態1に記載の化合物。
4.Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態1に記載の化合物。
5.Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態1に記載の化合物。
6.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態1に記載の化合物。
7.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態1に記載の化合物。
8.Rがp−メトキシフェニル(PMP)である、実施形態1に記載の化合物。
9.下記式によって表される、実施形態1に記載の化合物。
【化67】
10.下記式によって表される化合物:
【化68】
式中、存在ごとに独立して、
がC(O)ORであり;
が、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が−C(O)Rであり;
が、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が置換又は非置換のアリールである。
11.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態10に記載の化合物。
12.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態10に記載の化合物。
13.Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態10に記載の化合物。
14.Rが置換又は非置換のフェニルである、実施形態10に記載の化合物。
15.Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが置換又は非置換のアリールであり;Rが置換又は非置換のフェニルである、実施形態10に記載の化合物。
16.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態10に記載の化合物。
17.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態10に記載の化合物。
18.Rがp−メトキシフェニル(PMP)である、実施形態10に記載の化合物。
19.Rがp−(tert−ブチル)ベンゾイルである、実施形態10に記載の化合物。
20.下記式によって表される、実施形態10に記載の化合物。
【化69】
21.下記式によって表される化合物:
【化70】
式中、存在ごとに独立して、
がC(O)ORであり;
が、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が−C(O)Rであり;
が(RSi−であり;
が、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が置換又は非置換のアリールである。
22.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態21に記載の化合物。
23.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態21に記載の化合物。
24.Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態21に記載の化合物。
25.Rが置換又は非置換のフェニルである、実施形態21に記載の化合物。
26.RがC〜Cアルキルである、実施形態21に記載の化合物。
27.Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが置換又は非置換のアリールであり;Rが置換又は非置換のフェニルであり;RがC〜Cアルキルである、実施形態21に記載の化合物。
28.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態21に記載の化合物。
29.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態21に記載の化合物。
30.Rがp−メトキシフェニル(PMP)である、実施形態21に記載の化合物。
31.Rがp−(tert−ブチル)ベンゾイルである、実施形態21に記載の化合物。
32.Rがジエチルイソプロピルシリルである、実施形態21に記載の化合物。
33.下記式によって表される、実施形態21に記載の化合物。
【化71】
34.下記式によって表される化合物:
【化72】
式中、存在ごとに独立して、
がC(O)ORであり;
が、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が(RSi−であり;
が、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
35.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態34に記載の化合物。
36.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態34に記載の化合物。
37.Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態34に記載の化合物。
38.RがC〜Cアルキルである、実施形態34に記載の化合物。
39.Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが置換又は非置換のアリールであり;RがC〜Cアルキルである、実施形態34に記載の化合物。
40.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態34に記載の化合物。
41.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態34に記載の化合物。
42.Rがp−メトキシフェニル(PMP)である、実施形態34に記載の化合物。
43.Rがジエチルイソプロピルシリルである、実施形態34に記載の化合物。
44.下記式によって表される、実施形態34に記載の化合物。
【化73】
45.下記式によって表される化合物:
【化74】
式中、存在ごとに独立して、
がC(O)ORであり;
が、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が(RSi−であり;
が−C(O)Rであり;
が、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が置換又は非置換のアリールである。
46.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態45に記載の化合物。
47.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態45に記載の化合物。
48.Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態45に記載の化合物。
49.Rが置換又は非置換のフェニルである、実施形態45に記載の化合物。
50.RがC〜Cアルキルである、実施形態45に記載の化合物。
51.Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが置換又は非置換のアリールであり;Rが置換又は非置換のフェニルであり;RがC〜Cアルキルである、実施形態45に記載の化合物。
52.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態45に記載の化合物。
53.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態45に記載の化合物。
54.Rがp−メトキシフェニル(PMP)である、実施形態45に記載の化合物。
55.Rがp−ニトロベンゾイルである、実施形態45に記載の化合物。
56.Rがジエチルイソプロピルシリルである、実施形態45に記載の化合物。
57.下記式によって表される、実施形態45に記載の化合物。
【化75】
58.下記式によって表される化合物:
【化76】
式中、存在ごとに独立して、
がC(O)ORであり;
が、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が(RSi−であり;
が、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
59.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態58に記載の化合物。
60.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態58に記載の化合物。
61.Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態58に記載の化合物。
62.RがC〜Cアルキルである、実施形態58に記載の化合物。
63.Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが置換又は非置換のアリールであり;RがC〜Cアルキルである、実施形態58に記載の化合物。
64.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態58に記載の化合物。
65.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態58に記載の化合物。
66.Rがp−メトキシフェニル(PMP)である、実施形態58に記載の化合物。
67.Rがジエチルイソプロピルシリルである、実施形態58に記載の化合物。
68.下記式によって表される、実施形態58に記載の化合物。
【化77】
69.下記式によって表される化合物:
【化78】
式中、存在ごとに独立して、
がC(O)ORであり;
が、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
70.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態69に記載の化合物。
71.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態69に記載の化合物。
72.Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態69に記載の化合物。
73.Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが2−アルケン−1−イルであり;Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態69に記載の化合物。
74.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態69に記載の化合物。
75.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態69に記載の化合物。
76.Rがp−メトキシフェニル(PMP)である、実施形態69に記載の化合物。
77.下記式によって表される、実施形態69に記載の化合物。
【化79】
78.下記式によって表される化合物:
【化80】
式中、存在ごとに独立して、
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルである。
79.Rが置換又は非置換のアリールである、実施形態78に記載の化合物。
80.下記式によって表される、実施形態78に記載の化合物。
【化81】
81.2’エピAmBの製造方法であって、
【化82】
下記工程を含み、
【化83】
ここで、存在ごとに独立して、
がC(O)ORであり;
が、2−アルケン−1−イル、ベンジル、及び(RSi−からなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が(RSi−であり;
が−C(O)Rであり;
が、2−アルケン−1−イル、tert−ブチル、及びベンジルからなる群より選択され;
が、置換又は非置換のアリール、又はC〜Cアルキルであり;
が置換又は非置換のアリールであり;
がC〜Cアルキル又はアリールであり;
溶媒7が非極性非プロトン性溶媒である、
方法。
82.Rが置換されたアリーロイルである、実施形態81に記載の方法。
83.Rがアリールである、実施形態81に記載の方法。
84.Rが置換されたアリーロイルであり;Rがアリールである、実施形態81に記載の方法。
85.Rがp−ニトロベンゾイルである、実施形態81に記載の方法。
86.Rがフェニルである、実施形態81に記載の方法。
87.溶媒7がベンゼンである、実施形態81に記載の方法。
88.ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートが、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)又はジ(エチル)アゾジカルボキシレート(DEAD)である、実施形態81に記載の方法。
89.Rがp−ニトロベンゾイルであり;ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートが、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)であり;Rがフェニルである、実施形態81に記載の方法。
90.Rがp−ニトロベンゾイルであり;ジ(アルキル)アゾジカルボキシレートが、ジ(イソプロピル)アゾジカルボキシレート(DIAD)であり;Rがフェニルであり;溶媒7がベンゼンである、実施形態81に記載の方法。
91.下記工程をさらに含み、
【化84】
ここで、
Mが、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;
溶媒8が、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である、
実施形態81〜90のいずれか一項に記載の方法。
92.Mがアルカリ金属カチオンである、実施形態91に記載の方法。
93.MがKである、実施形態91に記載の方法。
94.溶媒8が、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である、実施形態91に記載の方法。
95.MがKであり;溶媒8が、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である、実施形態91に記載の方法。
96.下記工程をさらに含み、
【化85】
ここで、
フッ化物試薬が、フッ化テトラアルキルアンモニウム及びフッ化塩からなる群より選択され;
溶媒9が、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である、
実施形態91〜95のいずれか一項に記載の方法。
97.フッ化物試薬がフッ化塩である、実施形態96に記載の方法。
98.フッ化物試薬がフッ化水素−ピリジンである、実施形態96に記載の方法。
99.溶媒9がテトラヒドロフラン(THF)である、実施形態96に記載の方法。
100.フッ化物試薬がフッ化水素−ピリジンであり;溶媒9がテトラヒドロフラン(THF)である、実施形態96に記載の方法。
101.下記工程をさらに含み、
【化86】
ここで、存在ごとに独立して、
Pd試薬がPd(0)又はPd(II)であり;
リガンドが(RPであり;
がC〜Cアルキル又はアリールであり;
がC〜Cアルキル又はアリールであり;
溶媒10が極性非プロトン性溶媒である、
実施形態96〜100のいずれか一項に記載の方法。
102.Pd試薬がPd(0)である、実施形態101に記載の方法。
103.Rがアリールである、実施形態101に記載の方法。
104.Rがアリールである、実施形態101に記載の方法。
105.前記RCOH又は1,3−ジケトンがRCOHである、実施形態101に記載の方法。
106.Pd試薬がPd(0)であり;Rがアリールであり;Rがアリールであり;前記RCOH又は1,3−ジケトンがRCOHである、実施形態101に記載の方法。
107.リガンドが(PPhである、実施形態101に記載の方法。
108.前記RCOH又は1,3−ジケトンがチオサリチル酸である、実施形態101に記載の方法。
109.溶媒10がジメチルホルムアミド(DMF)である、実施形態101に記載の方法。
110.Pd試薬がPd(0)であり;リガンドが(PPhであり;前記RCOH又は1,3−ジケトンがチオサリチル酸である、実施形態101に記載の方法。
111.Pd試薬がPd(0)であり;リガンドが(PPhであり;前記RCOH又は1,3−ジケトンがチオサリチル酸であり;溶媒10がジメチルホルムアミド(DMF)である、実施形態101に記載の方法。
112.下記工程をさらに含み、
【化87】
ここで、
酸がブレンステッド酸であり;
溶媒11が、水と極性非プロトン性溶媒の混合物である、
実施形態101〜111のいずれか一項に記載の方法。
113.酸がカンファースルホン酸(CSA)である、実施形態112に記載の方法。
114.溶媒11が、水とMeCNの混合物である、実施形態112に記載の方法。
115.酸がカンファースルホン酸(CSA)であり;溶媒11が、水とMeCNの混合物である、実施形態112に記載の方法。
116.下記工程をさらに含み、
【化88】
ここで、
が−C(O)Rであり;
Mが、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンであり;
溶媒6が、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である、
実施形態81〜115のいずれか一項に記載の方法。
117.Mがアルカリ金属カチオンである、実施形態116に記載の方法。
118.溶媒6が、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の混合物である、実施形態116に記載の方法。
119.Rがp−(tert−ブチル)ベンゾイルである、実施形態116に記載の方法。
120.MがKである、実施形態116に記載の方法。
121.Rがp−(tert−ブチル)ベンゾイルであり;MがKである、実施形態116に記載の方法。
122.溶媒6が、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である、実施形態116に記載の方法。
123.Rがp−(tert−ブチル)ベンゾイルであり;MがKであり;溶媒6が、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である、実施形態116に記載の方法。
124.下記工程をさらに含み、
【化89】
ここで、
がハライド又はスルホン酸であり;
溶媒5が、極性非プロトン性溶媒、非極性非プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である、
実施形態116〜123のいずれか一項に記載の方法。
125.RがC〜Cアルキルである、実施形態124に記載の方法。
126.Xがスルホン酸である、実施形態124に記載の方法。
127.RがC〜Cアルキルであり;Xがスルホン酸である、実施形態124に記載の方法。
128.溶媒5が、極性非プロトン性溶媒と非極性非プロトン性溶媒の混合物である、実施形態124に記載の方法。
129.溶媒5が、ジクロロメタン(DCM)とヘキサンの混合物である、実施形態124に記載の方法。
130.R−Xが、トリフルオロメタンスルホン酸ジエチル(イソプロピル)シリルである、実施形態124に記載の方法。
131.R−Xが、トリフルオロメタンスルホン酸ジエチル(イソプロピル)シリルであり;溶媒5が、ジクロロメタン(DCM)とヘキサンの混合物である、実施形態124に記載の方法。
132.下記工程をさらに含み、
【化90】
ここで、
が置換又は非置換のアリーロイルであり;
が、ハライド、スクシンイミジル、ヒドロキシスクシンイミジル、アジド、アルケンオキシル、及びアリールオキシルからなる群より選択され;
溶媒4が極性非プロトン性溶媒である、
実施形態124〜131のいずれか一項に記載の方法。
133.Rが置換されたアリーロイルである、実施形態132に記載の方法。
134.Xがハライドである、実施形態132に記載の方法。
135.Rが置換されたフェニルであり;Xがハライドである、実施形態132に記載の方法。
136.R−Xがp−(tert−ブチル)ベンゾイルクロリドである、実施形態132に記載の方法。
137.溶媒4がテトラヒドロフラン(THF)である、実施形態132に記載の方法。
138.
−Xがp−(tert−ブチル)ベンゾイルクロリドであり;溶媒4がテトラヒドロフラン(THF)である、実施形態132に記載の方法。
139.下記工程をさらに含み、
【化91】
ここで、
がハライド又はスルホン酸であり;
が、ハライド、スクシンイミジル、ヒドロキシスクシンイミジル、アジド、アルケンオキシル、及びアリールオキシルからなる群より選択され;
が−CH(OR)であり;
RがC〜Cアルキルであり;
溶媒1が、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物であり;
溶媒2が、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物であり;
溶媒3が、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、又はそれらの混合物である、
実施形態132〜138のいずれか一項に記載の方法。
140.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態139に記載の方法。
141.Xがスクシンイミジルである、実施形態139に記載の方法。
142.Rが2−アルケン−1−イルであり;Xがスクシンイミジルである、実施形態139に記載の方法。
143.Rが2−アルケン−1−イルである、実施形態139に記載の方法。
144.Xがハライドである、実施形態139に記載の方法。
145.Rが2−アルケン−1−イルであり;Xがハライドである、実施形態139に記載の方法。
146.Rが置換されたアリールである、実施形態139に記載の方法。
147.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態139に記載の方法。
148.Rが2−プロペン−1−イルである、実施形態139に記載の方法。
149.Rがp−メトキシフェニルである、実施形態139に記載の方法。
150.溶媒1が、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の混合物である、実施形態139に記載の方法。
151.溶媒2が、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の混合物である、実施形態139に記載の方法。
152.溶媒3が、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の混合物である、実施形態139に記載の方法。
153.溶媒1が、ジメチルホルムアミド(DMF)とMeOHの混合物である、実施形態139に記載の方法。
154.溶媒2が、ジメチルホルムアミド(DMF)とMeOHの混合物である、実施形態139に記載の方法。
155.溶媒3が、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である、実施形態139に記載の方法。
156.ブレンステッド酸が、カンファースルホン酸(CSA)である、実施形態139に記載の方法。
157.Rが2−プロペン−1−イルであり;Xがスクシンイミジルであり;Rが2−プロペン−1−イルであり;Xがハライドであり;Rがp−メトキシフェニルである、実施形態139に記載の方法。
158.Rが2−プロペン−1−イルであり;Xがスクシンイミジルであり;Rが2−プロペン−1−イルであり;Xがハライドであり;Rがp−メトキシフェニルであり;溶媒1が、ジメチルホルムアミド(DMF)とMeOHの混合物であり;溶媒2が、DMFとMeOHの混合物であり;溶媒3が、テトラヒドロフラン(THF)とMeOHの混合物である、実施形態139に記載の方法
図1
図2
図3