(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755871
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】水冷エアークーラの取付構造
(51)【国際特許分類】
F28D 7/16 20060101AFI20200907BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
F28D7/16 B
F28F3/08 311
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-530890(P2017-530890)
(86)(22)【出願日】2016年7月19日
(86)【国際出願番号】JP2016071940
(87)【国際公開番号】WO2017018431
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2019年3月27日
(31)【優先権主張番号】特願2015-146340(P2015-146340)
(32)【優先日】2015年7月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】小野 純
(72)【発明者】
【氏名】小室 朗
(72)【発明者】
【氏名】大久保 厚
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 喜彦
(72)【発明者】
【氏名】吉野 靖
【審査官】
▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−234298(JP,A)
【文献】
特開2014−163575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/16
F28F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の偏平チューブ(1)が並列されると共に、各偏平チューブ(1)間にエアー通路(2)が配置されてコア(3)を形成し、偏平チューブ(1)の並列方向の一端に端蓋(4)が配置されてクーラの本体(26)を構成し、
そのコア(3)が内部に収納されると共に、外周に開口部(5)が設けられたケーシング(6)を有し、その開口部(5)に前記端蓋(4)が被着され、偏平チューブ(1)の平面に平行に、被冷却用エアーが導かれる水冷エアークーラの取付構造において、
前記ケーシング(6)の開口部(5)の深さ方向の先端縁(5a)と、前記端蓋(4)の底面(4a)とが面一または、その底面(4a)が前記先端縁(5a)よりケーシング(6)の内側に配置されており、
前記開口部(5)の外面側の孔縁には、シール用のOリング(10)が嵌着する環状溝(25)が形成され、その環状溝(25)の深さ分、開口部(5)の厚みがより厚く形成され、少なくともその全厚み分、前記底面(4a)がケーシング(6)の内側に突出している水冷エアークーラの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の水冷エアークーラの取付構造において、
前記端蓋(4)は、その四周に設けた外フランジ部(7)と、その外フランジ部(7)から前記深さ方向に凹陥した平坦な凹部(8)とを具備し、外フランジ部(7)が前記開口部(5)の孔縁(9)に固定されるように形成された水冷エアークーラの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷エアークーラの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水冷エアークーラは、
図4に示す如く、多数の偏平チューブ1を積層し、各偏平チューブ1間にエアー通路2を形成してコア3を構成する。そして、その積層方向の端部に端蓋4を取付けてクーラの本体を形成する。そして、コア3をケーシング6の開口から挿入し、端蓋4をケーシング6の開口に固定する。
ケーシング6の開口縁には、シール用のOリング10が嵌着される環状溝25が形成され、その分だけ開口縁はケーシング6の厚みが厚くなっている。そして、各偏平チューブ1内に冷却水が供給されると共に、偏平チューブ1間のエアー通路2に被冷却用のエアー12が供給され、冷却水とエアーとの間に熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−98496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、
図4の端蓋4の近傍において、端蓋4に隣接するエアー通路2にはエアー12が流通し難くなっている。そのため、端蓋4の近傍での熱交換量が小さくなり、全体として熱交換量が低下する欠点があった。
そこで、本発明は端蓋4の近傍のエアーの流通を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、複数の偏平チューブ1が並列されると共に、各偏平チューブ1間にエアー通路2が配置されてコア3を形成し、偏平チューブ1の並列方向の一端に端蓋4が配置されてクーラの本体26を構成し、
そのコア3が内部に収納されると共に、外周に開口部5が設けられたケーシング6を有し、その開口部5に前記端蓋4が被着され、偏平チューブ1の平面に平行に、被冷却用エアーが導かれる水冷エアークーラの取付構造において、
前記ケーシング6の開口部5の深さ方向の先端縁5aと、前記端蓋4の底面4aとが面一または、その底面4aが前記先端縁5aよりケーシング6の内側に配置され
ており、
前記開口部5の外面側の孔縁には、シール用のOリング10が嵌着する環状溝25が形成され、その環状溝25の深さ分、開口部5の厚みがより厚く形成され、少なくともその全厚み分、前記底面4aがケーシング6の内側に突出している水冷エアークーラの取付構造である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の水冷エアークーラの取付構造において、
前記端蓋4は、その四周に設けた外フランジ部7と、その外フランジ部7から前記深さ方向に凹陥した平坦な凹部8とを具備し、外フランジ部7が前記開口部5の孔縁9に固定されるように形成された水冷エアークーラの取付構造である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の取付構造は、ケーシング6の開口部5の深さ方向の先端縁5aと、端蓋4の底面4aとを面一または、その底面4aを先端縁5aよりケーシング6の内側に配置したから、端蓋4の近傍のエアー通路2にもエアーを円滑に流通させて、熱交換を促進できる。
また、Oリング10用の環状溝25の深さ分、開口部の厚みがより厚く形成され、その全厚み分、底面4aがケーシング6の内側に突出している場合には、シール性を確保しつつ、エアーを円滑に流通させて、熱交換を促進できる。
請求項2に記載のように、上記構成において、端蓋4の四周に外フランジ部7を設け、そのフランジ部7から深さ方向に平坦な凹部8を形成した場合には、簡単な構造で端蓋4に近接したエアー通路2にエアーを円滑に流通させて、熱交換を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は本発明の水冷エアークーラの取付構造の横断面図であって、
図2のII−II矢視図である。
図2は同取付構造の分解斜視図である。
図3は
図2のIII−III矢視図である。
図4は従来の水冷エアークーラの取付構造の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
本発明の水冷エアークーラは、クーラの本体26をケーシング6に挿入し、本体の上端に取付けられた端蓋により、組み付けられる構造を有する。
この本体26は、長手方向の一端に膨出部22を有する偏平チューブ1の積層体によりコア3を形成し、そのコア3の積層方向の上端に端蓋4を配置する。その端蓋4は、周縁に外フランジ部7が設けられ、その外フランジ部7からケーシング6の深さ方向に平坦な凹部8を有する。その外フランジ部7の外周には、ボルト孔18が穿設されている。
次に、偏平チューブ1は一対のプレート1aを互いに逆向きに対向させたものである。
各プレート1aは、長手方向の一端に膨出部22を有し、そこに一対の連通孔24が形成されると共に、その幅方向中間に仕切部16が設けられている。
なお、この例では、偏平チューブ1の積層方向の上端位置には一枚のプレート1aのみが直接、端蓋4の下面に接合される。同様に、積層方向の下端にも一枚のプレート1aのみが、下端板23に接合されている。
そして、各偏平チューブ1がその長手方向の端部の膨出部22で一体的にろう付けされる。
図1及び
図3に示すように、各偏平チューブ1の外面の間には、エアー通路2が形成される。
ケーシング6の外周には開口部5が形成され、その開口部5に端蓋4が嵌着して、コア3がケーシング6の内部に収納される。この例では、偏平チューブ1の積層方向の下端に位置する下端板23が、ケーシング6の底に設けた溝部に嵌着する。
なお、ケーシング6の開口部5の開口縁には環状溝25が形成され、そこにOリング10が嵌着される。
そして、外フランジ部7に設けたボルト孔18がケーシング6に設けられたボルト孔18に整合され、それらのボルト孔18にボルト11が螺着されることにより、ケーシング6と本体26とが一体化される。
このとき、端蓋4の底面4aと、開口部5の先端縁5aとが面一に配置される。この底面4aは、ケーシング6の環状溝25によって深さ方向に厚く形成された位置と同一である。
そのため、ケーシング6の一方のエアーマニホールド13から流入したエアー12は、底面4aに隣接するエアー通路2内を開口部5の先端縁5aに邪魔されることなく、円滑に流通する。
この例では、底面4aと開口部5の先端縁5aとが面一に形成されているが、
図1において底面4aをさらに下方に位置させてもよい。
各偏平チューブ1及びプレート1aには、その冷却水マニホールド14を介して冷却水15が供給される。その冷却水15は、仕切部16の周りをUターンし、一方の連通孔24から他方の連通孔24に導かれる。その冷却水15とエアー12との間に熱交換が行われる。
そして、冷却されたエアー12がケーシング6のエアーマニホールド13から出口20に導かれる。
図2に示す如く、この例では、ケーシング6の入口21側のマニホールドが平面視で台形状に形成され、その出口側に複数の出口20が仕切部を介して配置されている。
また、上記実施形態では、積層された各偏平チューブ1間のエアー通路2には何も備えない構成としているが、各エアー通路2にフィン(コルゲートフィン、オフセットフィン等)を介装する構成としてもよい。これにより、エアーの冷却効率を高めることができる。この場合、フィンは偏平チューブの外面側に接触するように配置され、炉内で一体的にろう付けされる。
【符号の説明】
【0009】
1 偏平チューブ
1a プレート
2 エアー通路
3 コア
4 端蓋
4a 底面
5 開口部
5a 先端縁
6 ケーシング
7 外フランジ部
8 凹部
9 孔縁
10 Oリング
11 ボルト
12 エアー
13 エアーマニホールド
14 冷却水マニホールド
15 冷却水
16 仕切部
17 パイプ
18 ボルト孔
20 出口
21 入口
22 膨出部
23 下端板
24 連通孔
25 環状溝
26 本体