特許第6755890号(P6755890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6755890非特異的増幅産物を減少させる為の方法及び組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755890
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】非特異的増幅産物を減少させる為の方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6844 20180101AFI20200907BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   C12Q1/6844 Z
   C12N15/09 Z
【請求項の数】14
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2017-560886(P2017-560886)
(86)(22)【出願日】2016年2月11日
(65)【公表番号】特表2018-506307(P2018-506307A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】US2016017454
(87)【国際公開番号】WO2016130746
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2018年11月14日
(31)【優先権主張番号】62/114,788
(32)【優先日】2015年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/150,600
(32)【優先日】2015年4月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517281727
【氏名又は名称】パラゴン ゲノミクス,インク.
【氏名又は名称原語表記】PARAGON GENOMICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジートング
【審査官】 川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/095605(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0014634(US,A1)
【文献】 Biotechniques, 2000, Vol. 28, No. 4, pp. 676-677, 680-681
【文献】 Appl. Environ. Microbiol., 2001, Vol. 67, No. 2, pp. 880-887
【文献】 Nucleic Acids Res., 2005, Vol. 33, No. 6, e58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/6844
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法であって、
前記方法は:
少なくとも10対の標的特異的プライマーを含む複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅する工程であって、前記増幅工程は、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を生じさせる、工程;
異常なDNA構造を認識するリゾルバーゼを導入する工程;並びに
前記非特異的増幅産物をリゾルバーゼで切断して、前記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程
を含み、
前記リゾルバーゼは、T4エンドヌクレアーゼVII又はT7エンドヌクレアーゼIのうちの一方である、方法。
【請求項2】
前記切断された非特異的増幅産物を除去し、前記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を残す工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増幅工程は、マルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記標的核酸は、DNA、RNA、ゲノムDNA、又はcDNAを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記標的特異的プライマーは、100,000超の前記標的特異的プライマーを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記リゾルバーゼは、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含む、異常なDNA構造を認識する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記リゾルバーゼは、T4エンドヌクレアーゼVIIである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記非特異的増幅産物をエキソヌクレアーゼで切断する工程を更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の標的特異的増幅産物及び前記複数の非特異的増幅産物上で末端修復を行った後に、ラムダエキソヌクレアーゼ又は大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼIのうちの少なくとも一方を含むエキソヌクレアーゼで前記非特異的増幅産物を切断する工程を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記リゾルバーゼを導入する前記工程の前に、前記複数の標的特異的増幅産物及び前記複数の非特異的増幅産物上で末端修復を行う工程を更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リゾルバーゼを導入する前記工程の後に、前記複数の標的特異的増幅産物の前記かなりの割合に対してアダプターを連結させる工程を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記リゾルバーゼで前記非特異的増幅産物を切断する前記工程は、前記非特異的増幅産物及び前記複数の標的特異的増幅産物を、約0.2U〜1000Uのリゾルバーゼに対して、0.5分〜60分、16℃〜37℃で曝露する工程を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の標的特異的増幅産物の前記かなりの割合は、前記複数の標的特異的増幅産物の50%超を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
非特異的増幅産物を選択的に除去する鋳型依存性プライマー伸張反応用のキットであって、
前記キットは:
ポリメラーゼ;
少なくとも10対の標的特異的プライマーを含む複数の標的特異的プライマー対;
増幅緩衝液;リゾルバーゼ緩衝液;
異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識して切断する少なくとも1種のリゾルバーゼ;及び
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を用いて、前記リゾルバーゼを使用した増幅後に、増幅反応による非特異的増幅産物を除去する為の前記キットを使用するための説明書
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は:2015年2月11日出願の米国仮特許出願第62/114,788号「マルチプレックスPCRにおいて非特異的増幅産物を排除する為の方法(A method for eliminating nonspecific amplification products in multiplex PCR)」、及び2015年4月21日出願の米国仮特許出願第62/150,600号「非特異的増幅産物を減少させる為の方法及び組成物(Methods and Compositions for Reducing Non-Specific Amplification Products)」のそれぞれに対して優先権を主張する。各上記仮出願は、その全体において引用により本明細書に援用される。
【0002】
引用による援用
本明細書に記載の全ての刊行物及び特許出願は、個々の刊行物又は特許出願それぞれが引用により援用されることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、それらの全体が引用により本明細書に援用される。
【0003】
本明細書に記載の方法、組成物、システム、及びキットは、ヌクレオチド配列の増幅に関する。特に、本明細書に記載の方法、組成物、システム、及びキットは、次世代シーケンシング(NGS)を含むマルチプレックスPCR中のように多数の異なるヌクレオチド領域を増幅する場合の、非特異的増幅産物(例えば、プライマーダイマー)の減少に関する。
【背景技術】
【0004】
ユニプレックスPCR(uniplex PCR)反応(以後、ユニプレックスPCRと呼ぶ)では、反応は典型的には、鋳型DNA、1つの増幅部位に隣接している2つのプライマー、熱安定性DNAポリメラーゼ、dNTP、及び緩衝液を含む。得られる増幅産物アンプリコンは、通常、1つ又は複数の標的DNAフラグメントである。時折生じる非特異的増幅産物は、通常は、アニーリング温度、マグネシウム濃度のようなPCR条件を細かく調整することにより、又はプライマーのよりストリンジェントな設計により除去される。
【0005】
マルチプレックスPCRは、同じチューブ又はウェルの中で複数の標的DNAフラグメントを同時に増幅することをいう。これは、プライマーの2以上の対を一緒に入れることを伴う。実際の適用において、通常、数十〜数万の異なる種の標的DNAフラグメントが1つのチューブの中で同時に増幅されるとみられる。マルチプレックスPCRは、異なるDNAフラグメントが1つのチューブの中で一緒に増幅される必要がある場合に、ユニプレックスPCRを上回る驚くほどの簡潔さ、処理量、及び経済的利点を提供する。これは、貴重な試料(例えば、臨床試料)を取り扱う際にもまた頻繁に使用される。
【0006】
マルチプレックスPCRについては、ヒト、動物、穀類、及び植物における遺伝子及び微生物の検出及び臨床診断において、種の確認において、並びにより最近では、次世代シーケンシング(デノボ(de novo)シーケンシング及びターゲットリシーケンシングを含むがこれらに限定されるわけではない)用の試料及びライブラリーの調製において、すでに幅広い用途が見いだされている。遺伝子の試験及び診断においては、マルチプレックスPCRは、一塩基多型(SNP)、遺伝子型判定、コピー数のバリエーション、エピジェネティクス、遺伝子発現、及び突然変異のアッセイ、並びにハイブリダイゼーションアレイにおいて使用される。
【0007】
マルチプレックスPCRには、典型的には、多数のプライマーを同一体積で特定の濃度で一緒に入れることが求められる。数千のプライマーが使用される場合は、これらのプライマーは、非常に多量に、例えば最大数マイクログラムまで蓄積される。マルチプレックスPCRの難しさは、これらのプライマーが互いにアニーリングして、膨大な量の非特異的増幅産物の発生をもたらし得ることにある。これらの非特異的増幅産物は、通常は、標的フラグメントを検出不可能にするか、又は標的フラグメントの生産を単純に相殺する。
【0008】
これらの多量のプライマー及び生じるバックグラウンド「ノイズ」の問題にもかかわらず、マルチプレックスPCRを実行可能にする為の現在の技術としては、以下を挙げることができる:非常に狭いパラメーターの範囲内でプライマーを特異的に設計すること、及び/又はエキゾチックマーカーを組み込むこと(例えば、特許文献1及び2は、チミジンをウリジンで置き換えることによるプライマーの修飾を記載しており、その結果、非特異的産物が、それらの長さに沿って散りばめられた多数のウリジンを含むプライマーの非特異的アニーリングにより主に形成され、これに基づいて非特異的産物を特異的に標的化できる);プライマー−ダイマーの形成を妨げる又は減少させる為のオリゴヌクレオチドの使用(例えば、特許文献3を参照のこと);並びにユニバーサルプライマーとの組み合わせにおいてブロックされるタグ化された標的特異的プライマー、及びブロック化プライマーを特異的に活性化する為のストラテジーの使用(例えば、特許文献4を参照のこと)。これらの技術の全てに相当な欠点があり、制限がある。
【0009】
例えば、プライマー設計に集中する、核酸増幅の際のプライマー−ダイマーのような人工物の形成を回避する又は減少させる為の方法は、増幅の際のプールの中の他のプライマーとの間で最小限の相互作用を示すと予想されるプライマー対を設計するように進行し、多くの場合はその為に専用のソフトウェアパッケージ(例えば、ディー・エヌ・エー・ソフトウェア社(DNAsoftware)のビジュアル・オー・エム・ピー(Visual OMP)、マルチ・ピー・エル・エックス(MultiPLX)、エー・ビー・アイ社(ABI)のプライマー・エクスプレス(Primer Express)等)を利用する。そのようなソフトウェアの使用により、プライマーを、可能な限り標的特異的又はアンプリコン特異的となるように設計でき、多くの場合は、プライマーは、プライマー−プライマー相互作用、プライマー−ダイマーの形成及びスーパーアンプリコンを最小限にするようにサブセットにグループ化される。しかし、ストリンジェントな設計パラメーターは、同時に一緒に増幅できるアンプリコンの数を制限し、場合によっては、いくつかのアンプリコンの増幅を完全に妨げ得る。他の現在の方法には、増幅工程の際のプライマー人工物を最小限にする又は防ぐ為に、重複のないプールにプライマーを分離する為の多数のPCRプライマープールの使用が必要である。他の方法としては、反応あたりの増幅産物の全体の収量を増大させる為の、多数のプライマープール、又はシングルプレックス(single plex)反応の使用が挙げられる。
【0010】
マルチプレックスPCR反応においては、各プライマー対は増幅反応において、限られた量のdNTP、ポリメラーゼ、及び他の試薬について、更なるプライマー対と競合する。プライマーは、ユニプレックスPCRにおける長さより長く(24〜35塩基)、より高い融点(65℃以上)及び50〜60%のGC含量を持ち、全てのプライマーにまたがって類似する融点を維持し、3’末端の相補的配列及び3個以上のG又はCの並びを回避するように設計され得る。プライマーの各対の特異性は、1つの標的フラグメントが増幅されることを確実にする為に、最初にユニプレックスPCRにおいて確認される。プライマー対の濃度は、収量の均一性を確実にする為に、通常は、50nMから400nMまでに滴定される。プライマーは重複していないプールに分けられる。dNTPS、マグネシウム、及び熱安定性DNAポリメラーゼの最適濃度が決定され、これらは通常は、ユニプレックスPCRにおける濃度より高い。そして塩濃度もまた、増幅の特異性が最適となるように滴定される。最適化されたこれらのパラメーターを用いて、通常は2〜5の標的断片が同時にうまく増幅される。プライマーのコンピューターを利用した更なる設計により、同じチューブの中で約20の標的フラグメントを同時に増幅する方法が市場で見られる。非特異的産物を減少させる又は排除することの難しさが原因で、日常的に行われる診断の実施においてはわずか数十の標的しか、現在は増幅されない。これらの方法は、プライマー及びPCR条件の慎重な設計を必要とし、一般的な診断用途についての標準法として使用できていない。
【0011】
マルチプレックスPCRにおいて増幅される標的の数を拡大する為のおびただしい数のネストプライマー又は類似するストラテジーが報告されている。これらの方法は、非特異的産物の生成を緩和する場合があり、また、非特異的産物の生成を必ずしも常に緩和するのではない。加えて、更なるプライマー層、操作及び循環ストラテジーがこれらの方法において必要とされる。従って、これらの方法については限られた用途しか見いだされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第8,586,310号
【特許文献2】米国特許第8,673,560号
【特許文献3】国際公開特許第2015063154号
【特許文献4】米国公開特許第20140329245号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、プライマーダイマーを含む人工物(非特異的増幅産物とも呼ばれる)の形成を回避するか又は最小限にしつつ、核酸分子の集団の中で多数の標的核酸分子の選択的増幅を可能にする、改良された方法、組成物、システム、装置、及びキットが必要である。人工物の形成を回避するか又は最小限にしつつ、ゲノムDNA及び/又はホルマリン固定したパラフィン包埋(FFPE)DNAのような単一の核酸試料からの多数の標的核酸分子の選択的増幅を可能にする、改良された方法、組成物、システム、装置、及びキットもまた必要である。1つの反応において数千の標的特異的核酸分子の同時増幅を可能にする、任意の適用可能な下流のアッセイ又は分析において使用できる改良された方法、組成物、システム、及びキットもまた当該分野で必要である。本明細書に記載の方法、組成物、システム、及びキットは、上記で議論された課題及び制限に対処できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一般に、本明細書に記載されるのは、鋳型依存性のプライマー伸張反応から非特異的増幅産物を減少させる為の方法、組成物、システム、及びキットである。これらの方法、組成物、システム、及びキットは、複数のプライマーが使用され得、非特異的ハイブリダイゼーション及び/又は増幅産物(いわゆる「プライマーダイマー」を含む)が生じ得る任意の反応において有用であり得る。例えば、本明細書に記載の方法、組成物、システム、及びキットは、マルチプレックスPCR及び次世代シーケンシングを伴う使用に特に十分に好適となり得る。
【0015】
本明細書に記載の方法、組成物、システム、及びキットは、リゾルバーゼ、並びに特に、T4エンドヌクレアーゼVII及び/又はT7エンドヌクレアーゼIを用いて、非特異的増幅産物を効率的に切断し、過剰量の複数のプライマー対(例えば、>10、>100、>1000、>10,000等)が使用される増幅(例えば、マルチプレックス増幅)の間又は後に同じ反応混合物中の標的特異的増幅産物の実質的な割合を残すことができるという、新規かつ予想外の発見により生じる。いずれの特定の操作原理にも囚われず、本明細書に記載の方法、組成物、システム、及びキットは、これらが異常な部位(例えば、ホリデー構造(Holliday structure)若しくはジャンクション(junction)、分岐したDNA、Y構造(Y-structure)、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNA)を標的とするため、予想外に有効である。このような異常な部位は、マルチプレックス増幅における非特異的増幅産物の大部分の特徴であり、驚くべきことに、これらの異常な部位を標的とすることにより、標的特異的増幅産物のかなりの割合を完全なまま残しつつ、マルチプレックス増幅を有意に純粋なものとすることができる。
【0016】
例えば、鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法は、以下を含み得る:複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅する工程(ここでは、上記増幅工程は、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を生じさせる);異常なDNA構造を認識するリゾルバーゼを導入し、上記非特異的増幅産物をリゾルバーゼで切断して、上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程。任意の適切なリゾルバーゼが使用され得る。特に、上記リゾルバーゼは、T4エンドヌクレアーゼVII又はT7エンドヌクレアーゼIのうちの一方であり得る。いくつかの例では、リゾルバーゼはT4エンドヌクレアーゼVIIである。
【0017】
例えば、鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法は、以下を含み得る:複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅することにより、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む混合物を形成する工程;異常なDNA構造を認識するリゾルバーゼを上記混合物に導入し、上記複数の非特異的増幅産物をリゾルバーゼで切断して、上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程(ここでは、リゾルバーゼはT4エンドヌクレアーゼVII又はT7エンドヌクレアーゼIのうちのである);並びに上記切断された非特異的増幅産物を除去し、上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を残す工程。
【0018】
鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法は、以下を含み得る:複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅することにより、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む混合物を形成する工程;T4エンドヌクレアーゼVIIを上記混合物に導入する工程(ここでは、T4エンドヌクレアーゼVIIは上記非特異的増幅産物上の異常なDNA構造を認識する);上記複数の非特異的増幅産物をT4エンドヌクレアーゼVIIで切断して、上記複数の標的特異的増幅産物の50%超を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程;並びに上記切断された非特異的増幅産物を除去し、上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を残す工程。
【0019】
これらの方法のうちのいずれにおいては、ポリヌクレオチドの増幅及びリゾルバーゼを使用した切断の後、DNAリガーゼが、特異的標的(及びそれに伴うものではない非特異的産物)上に負った任意のニックを埋める為に使用され得、1回以上のPCRが標的を増幅させる為に行われる得る。そのような場合は、第1の複数の標的特異的プライマーの対が、第2のPCRプライマーの配列の少なくとも一部を含有し得る。
【0020】
例えば、鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法は、以下を含み得る:複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅することにより、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む混合物を形成する工程;異常なDNA構造を認識するリゾルバーゼを上記混合物に導入し、上記複数の非特異的増幅産物をリゾルバーゼで切断して、上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程(ここでは、リゾルバーゼはT4エンドヌクレアーゼVII又はT7エンドヌクレアーゼIのうちの一方である);上記切断された非特異的増幅産物を除去し、上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を残す工程;上記標的特異的増幅産物上のニックをDNAリガーゼで修復する工程;並びに上記標的特異的増幅産物を再増幅する工程。
【0021】
これらの方法のうちのいずれでは、上記方法は、上記切断された非特異的増幅産物を除去し、上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を残す工程もまた含み得る。
【0022】
本明細書に記載の方法のうちのいずれは、上記標的特異的増幅産物を分析する工程を含み得る。上記分析工程は、次世代シーケンシング反応のようなシーケンシングを含むがこれに限定されない任意の適切な方法又は技術を含み得る。
【0023】
上記増幅は、任意の適切なポリヌクレオチド増幅技術(特に、マルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む)を含み得る。
【0024】
一般的には、上記標的核酸は、DNA又はRNA(例えば、ゲノムDNA又はcDNA)を含み得る。
【0025】
上記標的特異的プライマーは、10対以上(例えば、少なくとも10対)の標的特異的プライマー、10対〜100,000対、10対〜1000対、1,000対〜100,000対、100,000対超の標的特異的プライマーのような、任意の適切な複数の対を含み得る。
【0026】
本明細書に記載の方法のうちのいずれでは、リゾルバーゼが異常なポリヌクレオチド(例えば、DNA)構造を認識する。特に、リゾルバーゼは、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含む異常なポリヌクレオチド構造を認識する。
【0027】
これらの方法のうちのいずれは、上記リゾルバーゼの導入及び/又は上記リゾルバーゼでの処理の前又は後のいずれかに、上記複数の標的特異的増幅産物及び上記複数の非特異的増幅産物上で末端修復を行う工程を含み得る。例えば、本明細書に記載の方法のうちのいずれは、上記リゾルバーゼの導入前に、上記複数の標的特異的増幅産物及び上記複数の非特異的増幅産物上で末端修復を行う工程を含み得る。
【0028】
これらの方法のうちのいずれは、上記リゾルバーゼの導入後に、上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合に対してアダプターを連結させる工程を含み得る。上記アダプターは、少なくとも3個の連続するホスホロチオエートを含み得る。
【0029】
上述のように、これらの方法のうちのいずれは、上記非特異的増幅産物をエキソヌクレアーゼで切断する工程を含み得る。例えば、これらの方法のうちのいずれは、上記複数の標的特異的増幅産物及び上記複数の非特異的増幅産物上で末端修復及びアダプターの連結を行った後に、ラムダエキソヌクレアーゼ又は大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼIのうちの少なくとも一方を含むエキソヌクレアーゼで上記非特異的増幅産物を切断する工程を含み得る。
【0030】
リゾルバーゼでの処理は、任意の適切な条件(例えば、リゾルバーゼ濃度、処理時間、温度等)で行われ得る。一般的には、リゾルバーゼで上記非特異的増幅産物を切断する工程は、上記非特異的増幅産物及び上記複数の標的特異的増幅産物を、約0.2単位(U)〜1000Uの1種以上のリゾルバーゼに対して、約0.5分〜60分(例えば、0.5分間〜30分間、20分間、15分間等)、10℃〜40℃(例えば、より詳細には16℃〜37℃)で曝露する工程を含み得る。
【0031】
本明細書に記載の方法のうちのいずれでは、リゾルバーゼ処理は、上記複数の標的特異的増幅産物の予め決定されたかなりの割合が上記混合物中で維持されるように滴定され得る。上記複数の標的特異的増幅産物の上記かなりの割合は、上記複数の標的特異的増幅産物の30%以上(及び/又は30%超)、40%以上(及び/又は40%超)、50%以上(及び/又は50%超)、60%以上(及び/又は60%超)、70%以上(及び/又は70%超)、80%以上(及び/又は80%超)、90%以上(及び/又は90%超)、95%以上(及び/又は95%超)を含み得る。このように、リゾルバーゼ反応が行われ得るが、上記標的特異的増幅産物の実質的な切断を防ぐ為に停止される。これは、上記で議論されたようなリゾルバーゼ処理条件を(例えば、約0.2単位(U)〜1000Uの1種以上のリゾルバーゼに対して約0.5分〜60分(例えば、0.5分間〜30分間、20分間、15分間等)、10℃〜40℃(例えば、より詳細には16℃〜37℃)で)調節することにより調節され得る。適切なリゾルバーゼ緩衝液条件が、本明細書に記載のように使用され得る。
【0032】
本明細書に記載の方法のうちのいずれを実施する為のキットもまた本明細書に記載される。例えば、非特異的増幅産物を選択的に除去する鋳型依存性プライマー伸張反応用のキットは、以下を含み得る:ポリメラーゼ;複数の標的特異的プライマー対;増幅緩衝液;リゾルバーゼ緩衝液;異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識して切断する少なくとも1種のリゾルバーゼ;及びリゾルバーゼを使用した増幅後に増幅反応による非特異的増幅産物を除去する為の上記キットの使用についての説明書。これらのキットのうちのいずれは、少なくとも1つの核酸アダプター(少なくとも3個のホスホロチオエートを含む少なくとも1つの核酸アダプターを含む)を含み得る。
【0033】
上記のように、キットの中の標的特異的プライマーは、少なくとも10対の標的特異的プライマー(10以上、100以上、1000以上、10,000以上、10〜100,000、10〜10,000、10〜1000、100〜100,000、100〜10,000、100〜1000、1000〜100,000、1000〜10,000等)を含み得る。例えば、キットは、約1,000〜約100,000の標的特異的プライマーを含み得る。いくつかのバリエーションでは、キットは100,000超の標的特異的プライマーを含む。
【0034】
キットは、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含む異常なポリヌクレオチド構造のような、異常なポリヌクレオチド(例えば、DNA)構造を認識する任意の適切なリゾルバーゼを含み得る。例えば、リゾルバーゼはT4エンドヌクレアーゼVIIであり得る。
【0035】
本明細書に記載のキットのうちのいずれは、非特異的増幅産物の切断の為の1種以上のエキソヌクレアーゼもまた含み得る。例えば、キットは非特異的増幅産物を切断する為のエキソヌクレアーゼを含み得、ここでは、エキソヌクレアーゼはラムダエキソヌクレアーゼ又は大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼIを含む。
【0036】
以下を含む、鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法もまた、本明細書に記載される:複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅することにより、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む混合物を形成する工程;複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、上記非特異的増幅産物を除去する為に異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合するタンパク質に対して上記混合物を導入する工程(ここでは、上記異常なDNA構造は、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含む)。
【0037】
特に、上記異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合する上記タンパク質は、MutSであり得る。一般的には、上記異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合する上記タンパク質は、基体に連結され得る。本明細書中で詳細に記載されるように、非特異的増幅産物を吸着するがそれを切断しないように使用される酵素は、異なる種由来の任意のMutS又はヒトエンドヌクレアーゼVであり得る。好ましい酵素は、大腸菌(E. coli)由来のMutS、又は大腸菌(E. coli)及びサーマス・アクアチカス(T. aquaticus)由来のMutSとヒトエンドヌクレアーゼVとの混合物である。
【0038】
上記のように、本明細書に記載の方法のうちのいずれは、例えば、シーケンシング(例えば、次世代シーケンシング反応)により標的特異的増幅産物を分析する工程を含み得る。
【0039】
一般的には、増幅工程は、マルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行する工程を含み得る。標的核酸はDNA及び/又はRNAを含み得る。標的核酸はゲノムDNA又はcDNAである。任意の適切な数(例えば、10、100、1000、10,000、100,000超等)の標的特異的プライマーが使用され得る。
【0040】
上記のように、本明細書に記載の方法のうちのいずれは、上記異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合するタンパク質に対して、上記混合物を導入する上記工程の前に、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物上で末端修復を行う工程もまた含み得る。これらの方法のうちのいずれは、上記異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合するタンパク質の導入の後、上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合に対してアダプターを連結させる工程を含み得る。上記アダプターは少なくとも3個の連続するホスホロチオエートを含み得る。
【0041】
上記異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合するタンパク質に対して、上記混合物を導入する上記工程は、上記非特異的増幅産物及び上記複数の標的特異的増幅産物を、約0.5分〜60分(例えば、0.5分〜40分、0.5分〜30分、0.5分〜20分等)、約10℃〜40℃(例えば、15℃〜37℃、20℃〜40℃等)のような、任意の適切な時間及びインキュベーション条件で、インキュベートする工程を含み得る。
【0042】
本明細書に記載のマルチプレックスPCRのような増幅反応において非特異的増幅産物を減少させる方法は、増幅反応の任意の適切な構成を含み得、上記増幅反応は、複数のDNAプライマーを利用する任意の反応であり得る。マルチプレックスPCR反応は当該分野で公知の任意のマルチプレックスPCRであり得る。より具体的には、鋳型は任意の供給源に由来するDNAであり得、任意の好熱性DNAポリメラーゼが使用され得、そして制限なく、任意の機能的なpH、塩濃度、添加物、dNTPの濃度、プライマー、並びに10〜100,000(又はそれ以上)超の任意の数のプライマー対を利用できる。2〜30超の任意の機能的であるサイクル数の増幅反応が、使用されるプライマー対の数に応じて、また利用され得る。いくつかの場合では、マルチプレックスPCRのような増幅反応により生じた非特異的増幅産物は、本明細書に記載され、以下に更に詳細に記載される方法に従って及び/又はキットを使用して、増幅産物の全量を約0%〜約50%減少させることができる。本明細書に詳細に記載されるように、非特異的増幅産物を切断する為に使用される酵素(「リゾルバーゼ」)は、定義された異常DNA構造特異的酵素からの任意の1つであり得る。限定ではないが好ましい酵素はT7エンドヌクレアーゼI又はT4エンドヌクレアーゼVIIである。
【0043】
一般的には、リゾルバーゼは、異常なDNA構造を特異的に認識し、異常なDNA構造で又は異常なDNA構造の近くで切断する、酵素又は酵素全体である。従って、リゾルバーゼは、異常DNA構造特異的酵素と呼ばれ得(本明細書中ではリゾルバーゼと総称的に呼ばれる)、ポリヌクレオチド上の異常なDNA構造で又はその近くで非特異的増幅産物を切断し得る。異常なDNA構造は、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は他の完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含み得る。これらは更に、一本鎖DNAフラグメントの3以上のストランドを含む構造を含み得る。これらは、有意な塩基対合を含まないプライマー又はプライマー−鋳型DNAの凝集体であり得る。好ましい異常DNA構造特異的酵素は、T7エンドヌクレアーゼI又はT4エンドヌクレアーゼVIIである。リゾルバーゼであり得る(又は、リゾルバーゼとして作用する酵素の混合物の一部として使用され得る)他の酵素としては、ホリデージャンクションリゾルバーゼ(Holliday junction resolvase)、Serリコンビナーゼ、Tyrリコンビナーゼ、Creリコンビナーゼ、Hinリコンビナーゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼA(RecA)等を挙げることができる。これらのうちの以上(例えば、組み合わせ)が使用され得る。
【0044】
本明細書に詳細に記載されるように、酵素的切断後、切断された非特異的増幅産物は精製により(AMPureビーズ又はカラム濾過のような大きさの選択を伴う任意の一般的な精製方法により)除去され得るか、又は除去されない場合もある。更に、そして本明細書に記載されるように、特異的増幅産物中のニックが、例えば、以下の酵素の任意の1つを使用して更に埋められ得る:9°N(商標)DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、Tfi DNAリガーゼ、アンプリガーゼ(Ampligase)(登録商標)等。特にネストプライマーが増幅反応において使用される場合は、その後、特異的増幅産物が、PCRにより更に増幅され得る。
【0045】
更に、増幅後の酵素的切断前に、増幅産物は当業者に公知の方法により末端修復され得る。アダプターは、上記末端修復された特異的増幅産物の両方の末端に連結により付加され得る。使用されるリガーゼは、T4 DNAリガーゼと、以下のうちの1つとの組み合わせである:9°N(商標)DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、Tfi DNAリガーゼ、アンプリガーゼ(Ampligase)(登録商標)等。アダプターは、3’又は5’末端のいずれかに、ホスホロチオエート若しくはビオチン、又はアダプターがエキソヌクレアーゼで消化されないようにする他の化学基若しくはタンパク質を含有し得る。アダプターの連結後、切断された非特異的増幅産物は、当業者に公知のエキソヌクレアーゼにより更に消化され得る。切断された非特異的増幅産物のエキソヌクレアーゼでの消化後、アダプターが連結された特異的増幅産物はPCRにより更に増幅され得る。
【0046】
このように、非特異的増幅産物が減少した増幅反応を生じさせる方法が開示され、この方法は以下を含み得る:少なくとも1つの標的核酸を含む核酸試料を提供する工程;標的特異的プライマーを使用して、少なくとも1つの標的核酸を増幅する工程(ここでは、増幅により複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物が生じる);並びに、複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じるように非特異的増幅産物を切断する為の異常DNA構造特異的酵素を導入する工程。
【0047】
上述のように、これらの方法のうちのいずれは、上記切断された非特異的増幅産物を除去する工程を更に含み得る。異常DNA構造特異的酵素(リゾルバーゼ)は、上記非特異的増幅産物を異常なDNA構造で切断し得る。上記異常なDNA構造は、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は他の完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含み得る。これらは、一本鎖DNAフラグメントの3以上のストランドを含む構造を更に含み得る。これらは、有意な塩基対合を持たないプライマー又はプライマー−鋳型DNAの凝集体であり得る。好ましい異常DNA構造特異的酵素は、T7エンドヌクレアーゼI又はT4エンドヌクレアーゼVIIである。
【0048】
本明細書に記載の方法は、上記切断された非特異的増幅産物をエキソヌクレアーゼと混合する工程を更に含み得る。エキソヌクレアーゼは、ラムダエキソヌクレアーゼ又は大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼIのうちの少なくとも一方であり得る。更に、この方法は、上記切断された非特異的増幅産物をエキソヌクレアーゼと混合する前に、上記標的特異的増幅産物をエキソヌクレアーゼによる消化から保護する工程を含み得る。保護は、上記標的特異的増幅産物の両方の末端にアダプターを連結させることを含み得る。上記アダプターは少なくとも3個の連続するホスホロチオエートを含み得る。随意に、少なくとも3個の連続するホスホロチオエートは、3個、4個、5個、又は6個の連続するホスホロチオエートを含むことになる。更に、この方法は、T4 DNAリガーゼにより行われる連結工程を含み得る。更に、連結工程は、9°N(商標)DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、Tfi DNAリガーゼ、又はアンプリガーゼ(Ampligase)(登録商標)のうちの少なくとも1つを更に含み得る。
【0049】
上述のように、増幅反応による非特異的増幅産物を除去する為のキットが記載される。上記キットは:少なくとも1つの異常DNA構造特異的酵素(リゾルバーゼ);緩衝液;及び上記増幅反応による非特異的増幅産物を除去する為の上記キットの使用についての説明書を含み得る。上記キットは、少なくとも1つの核酸アダプターを含み得る。上記少なくとも1つの核酸アダプターは、少なくとも3個のホスホロチオエートを含み得る。更に、上記少なくとも3個のホスホロチオエートは、3個、4個、5個、又は6個のホスホロチオエートを含み得る。上記少なくとも3個のホスホロチオエートは連続している場合がある。上記キットは更に、マルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行する為の試薬を含み得、ここでは、上記試薬は、少なくとも緩衝液、dNTP、DNAポリメラーゼ、及び随意に、少なくとも1対の標的特異的プライマーを含む。上記少なくとも1対の標的特異的プライマーは、少なくとも10対の標的特異的プライマーを含み得る。更に、上記キットは、少なくとも1つのエキソヌクレアーゼを含み得る。上記少なくとも1つのエキソヌクレアーゼは、ラムダエキソヌクレアーゼ又は大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼIを含み得る。
【0050】
増幅反応による非特異的増幅産物を除去する為のキットは:少なくとも1つのDNAミスマッチ結合タンパク質(DNA mismatch-binding protein);緩衝液;及び上記増幅反応による非特異的増幅産物を除去する為のキットの使用についての説明書を含み得る。DNAミスマッチ結合タンパク質は、例えば、MutSであり得る。
【0051】
増幅反応において非特異的増幅産物を減少させる際に使用される異常DNA構造特異的酵素が、本明細書中で開示される。上記異常DNA構造特異的酵素は、異常なDNA構造の開始点の近傍で、又は異常なDNA構造の中で、非特異的増幅産物を切断し得る。上記異常なDNA構造は、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は他の完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含み得る。これらは、一本鎖DNAフラグメントの3以上のストランドを含む構造を更に含み得る。これらは、有意な塩基対合を持たないプライマー又はプライマー−鋳型DNAの凝集体であり得る。上記異常DNA構造特異的酵素は、T7エンドヌクレアーゼI又はT4エンドヌクレアーゼVIであり得る。
【0052】
本発明の新規の特徴は、以下の特許請求の範囲の中で詳細に示される。本発明の特徴及び利点の更なる理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を示す以下の「発明を実施するための形態」、及び本発明の添付の図面を参照することにより得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】異常なポリヌクレオチド構造を有する非特異的増幅産物を切断することにより、マルチプレックスPCRにおいて生じた非特異的産物を除去する為の本開示の方法の概略図である。
図2】異常なポリヌクレオチド構造を有する非特異的増幅産物の吸着による、マルチプレックス増幅において生じた非特異的産物を除去する為の本開示の方法の別の例を示す図である。
図3】マルチプレックス増幅反応により標的ポリヌクレオチド増幅産物を得る為の本開示の方法の別の例を説明する図である。
図4】本明細書に記載のマルチプレックス増幅反応により標的DNAフラグメントを得る為の、別の可能性のある方法を示す図である。
図5】マルチプレックス増幅反応により標的増幅産物を得る為の、本開示の代替的な方法を説明する図である。
図6A】様々な処理パラメーター(例えば、37℃で10分間についてのリゾルバーゼの単位)でのリゾルバーゼ(この例ではT4エンドヌクレアーゼVII)の滴定の一例の結果を示すグラフである。
図6B図6Aに示される滴定曲線と類似する滴定曲線において非特異的増幅産物の残留量を示すグラフである(ここでは、非特異的増幅産物は「プライマーダイマー」と呼ばれる)。
図7A】様々な処理条件(37℃で1U、5U、10U)のリゾルバーゼ(この例では、T4エンドヌクレアーゼVII)の時間経過を説明するグラフである。これは、マルチプレックス増幅反応混合物から非特異的増幅産物を除去する為の最適条件を見出す為に使用され得る。
図7B】様々な処理条件(37℃で1U、5U、10U)のリゾルバーゼ(この例では、T4エンドヌクレアーゼVII)の時間経過を説明するグラフである。これは、マルチプレックス増幅反応混合物から非特異的増幅産物を除去する為の最適条件を見出す為に使用され得る。
図8A】非特異的増幅産物により生じる典型的なバックグラウンドを示しているマルチプレックス増幅反応の一例を説明する図である。この例では、非特異的増幅産物は所望される特異的増幅産物(「標的」)を圧倒する。
図8B】非特異的増幅産物中の異常な部位を切断することにより非特異的増幅産物を選択的に除去する為に、リゾルバーゼ(例えば、T4エンドヌクレアーゼVII)で処理することにより鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法の概略図である。
図8C】非特異的増幅産物を選択的に除去する為に、リゾルバーゼで処理することにより非特異的増幅産物を減少させる方法の有効性を説明している例を示す図である。図8Cは、リゾルバーゼでの処理前の結果を示している。
図8D】非特異的増幅産物を選択的に除去する為に、リゾルバーゼで処理することにより非特異的増幅産物を減少させる方法の有効性を説明している例を示す図である。図8Dは、処理後の結果を示しており、207対のプライマーを用いたマルチプレックス増幅反応において生じた非特異的増幅産物の除去を説明している。
図9A】207対の長いプライマーを用いたマルチプレックス増幅反応において生じた非特異的増幅産物の除去の別の例を示す図である。図9Aは、リゾルバーゼでの処理前の結果を説明している。
図9B】207対の長いプライマーを用いたマルチプレックス増幅反応において生じた非特異的増幅産物の除去の別の例を示す図である。図9Bは、非特異的増幅産物の処理及び分解後の結果を示している。
図10A】マルチプレックス増幅反応(この例では、207対のプライマーを使用している)から非特異的増幅産物を除去する為に、様々なDNAポリメラーゼを本明細書に記載の方法と共に使用することを説明する図である。
図10B】マルチプレックス増幅反応(この例では、207対のプライマーを使用している)から非特異的増幅産物を除去する為に、様々なDNAポリメラーゼを本明細書に記載の方法と共に使用することを説明する図である。
図10C】マルチプレックス増幅反応(この例では、207対のプライマーを使用している)から非特異的増幅産物を除去する為に、様々なDNAポリメラーゼを本明細書に記載の方法と共に使用することを説明する図である。
図10D】マルチプレックス増幅反応(この例では、207対のプライマーを使用している)から非特異的増幅産物を除去する為に、様々なDNAポリメラーゼを本明細書に記載の方法と共に使用することを説明する図である。
図10E】マルチプレックス増幅反応(この例では、207対のプライマーを使用している)から非特異的増幅産物を除去する為に、様々なDNAポリメラーゼを本明細書に記載の方法と共に使用することを説明する図である。
図10F】マルチプレックス増幅反応(この例では、207対のプライマーを使用している)から非特異的増幅産物を除去する為に、様々なDNAポリメラーゼを本明細書に記載の方法と共に使用することを説明する図である。
図11】標的アンプリコンの全収量に対するプライマー対の全濃度を増大させることの効果を説明しているグラフであり、全濃度が高ければ高いほど、高い収量が生じ、一方では、本明細書に記載の非特異的増幅産物を除去する為の方法により、なおも効率よく処理されることを示している。この例では、207対のプライマーが使用された。
図12】本明細書に記載の非特異的増幅産物を除去する為の方法を伴うマルチプレックス増幅(ここでもまた207対のプライマーを使用している)についての、アニーリング及び伸張時間の効果を説明するグラフである。
図13】2915対のプライマーを含むマルチプレックス増幅反応(PCR)における、本明細書に記載の非特異的増幅産物を除去する為の方法の一例を説明する図である。
図14】16000対のプライマーを含むマルチプレックス増幅反応(例えば、PCR)における、本明細書に記載の非特異的増幅産物を除去する為の方法の別の例を示す図である。
図15】ヒト乳癌由来のホルマリン固定化パラフィン包埋(FFPE)DNAを使用した、207対のプライマーを用いたマルチプレックス増幅反応の一例を説明する図である。
図16】以下に記載されるような207対のリン酸化されたプライマーを使用するマルチプレックス増幅の失敗した実験例の結果を説明する図である。
図17】本明細書に記載されるようなマルチプレックス増幅及び非特異的増幅産物を除去する為のリゾルバーゼでの処理を使用した、ライブラリー(例えば、シーケンシング用)の作製の結果の一例を示す図である(この例では、207対のプライマーを使用している)。
図18】本明細書に記載されるようなマルチプレックス増幅及び非特異的増幅産物を除去する為のリゾルバーゼでの処理を使用した、ライブラリー(例えば、シーケンシング用)の作製方法の別の例を説明する図である(この例では、2915対のプライマーを使用している)。
図19】本明細書に記載されるようなマルチプレックス増幅及び非特異的増幅産物を除去する為のリゾルバーゼでの処理を使用した、ライブラリー(例えば、シーケンシング用)の作製方法の別の例を説明する図である(この例では、207対のプライマーを使用している)。
図20】本明細書に記載されるようなマルチプレックス増幅及び非特異的増幅産物を除去する為のリゾルバーゼでの処理を使用したライブラリー(例えば、シーケンシング用)の作製方法の別の例を説明する図である(この例では、207対の長いプライマーを使用している)。
図21A】ライブラリー(例えば、シーケンシング用)を作製する方法の概略図である。
図21B】16000対の長いプライマーを使用している、本明細書に記載されるようなマルチプレックス増幅及び非特異的増幅産物を除去する為のリゾルバーゼでの処理を使用したライブラリーの作製の為の図21Aに示される方法のような方法の結果を説明する図である。
図22】マルチプレックス増幅及び非特異的増幅産物を除去する為のリゾルバーゼでの処理を使用した本明細書に記載の方法(この例では、207対のプライマーを使用している)を使用して作製したライブラリーからのシーケンシングに基づく質の確認を説明する表(本明細書中では表1とも呼ばれる)を示す図である。
図23】本明細書に記載のマルチプレックス増幅及び非特異的増幅産物を除去する為のリゾルバーゼでの処理を使用した方法の、(207対の長いプライマーを用いて作製した)ライブラリーからのシーケンシングの結果に基づく質の確認を説明する表(本明細書中では表2と呼ばれる)である。
図24】本明細書に記載のマルチプレックス増幅及び非特異的増幅産物を除去する為のリゾルバーゼでの処理を使用した方法の、(16000対のプライマーを用いて作製した)ライブラリーからのシーケンシングの結果に基づく質の確認を説明する表(本明細書中では表3と呼ばれる)である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
概して、多数の異なるヌクレオチド領域を増幅する場合に非特異的増幅産物(例えば、プライマーダイマー)を減少させることにより標的特異的増幅産物を増幅する又はその増幅を改善する為に使用され得る方法、組成物、システム、及びキットが本明細書中で記載される。これらの方法、組成物、システム、及びキットは、典型的には、異常なDNA構造を認識しそれに結合する、及び/若しくは異常なDNA構造を切断する1種以上のリゾルバーゼを含む、又は1種類以上のリゾルバーゼの使用を含む。
【0055】
例えば、本明細書中で提供される方法は、マルチプレックス増幅(例えば、PCR)プロトコール又は複数のDNAプライマー若しくはオリゴヌクレオチドを含む任意の他の方法の改良に使用され得る。より詳細には、本明細書中で提供される方法は、マルチプレックスPCRプロトコール又は複数のDNAプライマー若しくはオリゴヌクレオチドを含む任意の他の方法において非特異的増幅産物を減少させる為に使用され得る。本明細書中で開示される方法は、非特異的増幅産物が除去され、標的DNAアンプリコンが保存されるようにマルチプレックスPCR反応を実行する為の最適化されたプロトコールを提供する。全体として、上記方法は、改良された核酸ライブラリーの調製方法に関し得る。
【0056】
1つの態様では、増幅反応による非特異的増幅産物を減少させる為の方法が提供される。上記方法は、少なくとも1つの標的核酸を含む核酸試料を提供する工程を含み得る。核酸はRNA又はDNAであり得る。DNAは、ゲノムDNA又はcDNA又はそれらの任意の組み合わせであり得る。DNAは一本鎖又は二本鎖であり得る。DNAは、真核生物細胞、古細菌細胞、細菌細胞、マイコバクテリア細胞、バクテリオファージ、DNAウイルス、若しくはRNAウイルスに由来し得るか、又はRNAから変換され得る。いくつかの場合では、DNAは哺乳動物に由来し得る。いくつかの場合では、DNAはヒトに由来し得る。DNAは未修飾(例えば、メチル化、グリコシル化等)の状態であり得、又は修飾された状態でもあり得る。核酸は増幅反応において使用され得る。増幅反応で使用される核酸は、少なくとも1つの標的核酸配列を含み得る。標的核酸配列とは、核酸の混合物の中で、(例えば標的特異的プライマーを用いて)標的化され、富化される核酸配列を総称的に指す。増幅反応は、複数のDNAプライマー又はオリゴヌクレオチドをそれらの対応している標的に対してハイブリダイズさせる工程を伴う、任意の方法であり得る。増幅はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり得る。ある例では、増幅反応はマルチプレックスPCRである。他の例では、増幅反応は、2以上の対のオリゴヌクレオチドを用いるライゲーションエクステンション(ligation extension)、ネストマルチプレックスPCR(nested multiplex PCR)、全ゲノム増幅、全エキソン増幅又は等温増幅反応等による増幅であり得る。一例として、マルチプレックスPCRは、複数のアンプリコンを生じるように、1つの容器(即ち、チューブ、ウェル、バイアル等)の中での複数の標的核酸の同時増幅を提供する。マルチプレックスPCRは一般に、複数の標的核酸を選択的に富化できる複数の標的特異的プライマー対の使用を伴う。複数の標的特異的プライマー対は、10未満〜100,000超のプライマー対であり得る。ある場合では、複数の標的特異的プライマー対は、少なくとも10対の標的特異的プライマー対を含む。別の場合では、複数の標的特異的プライマー対は、約10〜約100のプライマー対を含む。別の場合では、複数の標的特異的プライマー対は、約100〜約1,000のプライマー対を含む。更に別の場合では、複数の標的特異的プライマー対は、約1,000〜約100,000のプライマー対を含む。更なる場合では、複数の標的特異的プライマー対は100,000超のプライマー対を含む。
【0057】
プライマーは、未修飾の塩基及び/若しくはホスホジエステル結合、又は修飾された塩基及び/若しくはホスホジエステル結合、保護されていない5’末端若しくは保護された5’末端、5’リン酸化末端又は5’非リン酸化末端を含み得る。プライマー対は、アンプリコンの長さが100塩基対未満から1000塩基対を上回るまでになり得るように設計され得る。本開示において想定されるマルチプレックスPCR反応は、PCR反応において一般的に使用される熱安定性DNAポリメラーゼにより行われ得る。熱安定性DNAポリメラーゼは野生型であり得、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性、若しくは3’−5’エキソヌクレアーゼ活性及び5’−3’エキソヌクレアーゼ活性の両方を有し得るか、又はより高い忠実度の為の熱安定性ポリメラーゼの混合物であり得るか、又は長いアンプリコンを合成できるか、又はより速い合成速度を有する。適切な熱安定性DNAポリメラーゼの一例は、Taq DNAポリメラーゼであり得る。PCRについての熱プロフィール(温度及び時間)が最適化され得、プライマー濃度もまた、最高の性能に達するように最適化され得る。最後に、アンプリコンの最適な増幅を促し得る任意の添加物が使用され得る。これらの添加物として、ジメチルスルホキシド、ベタイン、ホルムアミド、Triton X−100、Tween 20、Nonidet P−40、4−メチルモルホリンN−オキサイド、塩化テトラメチルアンモニウム、7−デアザ−2’−デオキシグアノシン、L−プロリン、ウシ血清アルブミン、トレハロース、及びT4遺伝子の32タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書に記載の方法は、標的特異的プライマーを使用して標的核酸を増幅する工程を含み得る。ここでは、増幅工程により複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物が生じる。マルチプレックスPCR反応は、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む複数の増幅産物を生じ得る。いくつかの場合では、複数の標的特異的増幅産物が、増幅反応における最も豊富な増幅産物であり得(即ち、増幅反応産物の50%超)、他の場合では、複数の非特異的増幅産物が、増幅反応における最も豊富な増幅産物であり得る。いくつかの場合では、非特異的増幅産物が減少した増幅反応を生じるように(即ち、標的特異的増幅産物が増幅反応における最も豊富な増幅産物となるように)、非特異的増幅産物を除去する又は減少させることが望まれ得る。
【0059】
非特異的増幅産物は、多くの場合、増幅反応中の標的特異的増幅産物を分析する能力を妨げる可能性がある、マルチプレックスPCR反応の望ましくない副産物である。非特異的増幅産物の形成は、マルチプレックスPCR反応において利用されるプライマー対の数に依存し得る。増幅反応における非特異的増幅産物の形成は、以下を含む多数の要因に依存し得る複雑なプロセスであり得る:使用されるプライマー対の数、反応の温度、反応における塩濃度、プライマーの長さ、プライマーのGC含有量、二次構造の形成、及びプライマー−プライマー結合とプライマー−鋳型結合との間での競合。マルチプレックスPCRの早期サイクルでは、非特異的増幅産物は、プライマー間での部分的なアニーリング、若しくはプライマー−鋳型DNA間での部分的なアニーリングにより、又はプライマー及び/若しくはプライマーと鋳型DNAとの有意な塩基対合を伴わない凝集により、最初に形成される。マルチプレックスPCRのこれらの早期段階では、これらの非特異的増幅産物は、それらの構造の一部として、完全にはマッチしていないDNAの領域を含有し得る(即ち、部分的にアニーリングした部分は、完全にはマッチしていないDNA構造を含有し、新しく合成された部分は、完全にマッチした二本鎖DNAである)。マルチプレックスPCRのより後期のサイクルでは、これらの完全にはマッチしていない領域が、完全にマッチした二本鎖DNAとなる(即ち、非特異的増幅産物の全体構造は完全に塩基対合した二本鎖DNAとなる)。
【0060】
驚くべきことに、本発明者らは、限られた数のPCRサイクル(即ち、8〜28サイクル)内で、異常なDNA構造の切断を支援する条件下でマルチプレックスPCR産物をT4エンドヌクレアーゼVIIで処理することにより、非特異的増幅産物を減少させることができることを決定した。T4エンドヌクレアーゼVII及びT7エンドヌクレアーゼI等は、広範囲に及ぶ基質を有する酵素の群に属する。T4エンドヌクレアーゼVII及びT7エンドヌクレアーゼIが、完全にマッチした二本鎖DNAとは異なる様々な異常なDNA構造を認識し、異常なDNA構造の開始部位から1〜10塩基以内でDNAの一方又は両方のストランドを切断することが、一連の刊行物において報告されている。これらの異常なDNA構造としては、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、ミスマッチ、ホリデー構造又はジャンクション、及び他の種の完全にはマッチしていないDNAが挙げられる。これらは更に、一本鎖DNAフラグメントの3以上のストランドを含有する構造を含み得る。これらは、有意な塩基対合を持たないプライマー又はプライマー−鋳型DNAの凝集体であり得る。驚くべきことに、マルチプレックスPCRの最初の8〜28サイクルで形成される非特異的増幅産物は、T4エンドヌクレアーゼVIIと類似する活性を持つ酵素により切断され得る、様々な異常な二本鎖及び一本鎖DNA構造を含む。マルチプレックスPCRの最初の8〜28サイクルで生じる非特異的増幅産物をT4エンドヌクレアーゼVIIでの切断により除去することができる方法、組成物、システム、及びキットが本明細書に記載される。これらの発見は本開示の方法についての特別な用途である。
【0061】
本明細書に記載の方法は、増幅反応を、非特異的増幅産物を切断する為の酵素と接触させることにより、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程を更に含み得る。本明細書中で使用される場合は、用語「接触工程、接触させること(contacting)」は、本明細書に記載されるように、そのような酵素を既存の混合物に導入することと同等である。本開示の方法は、異常なDNA構造を認識して切断し得る様々な酵素を使用できる。いくつかの場合は、本明細書中で開示される方法を実行する為に有用な酵素は異常DNA構造特異的酵素である。用語「異常DNA構造特異的酵素」は、異常なDNA構造に結合し、切断する酵素を指すものとして本明細書中で使用される。複数形は、異常なDNA構造に結合し、切断する複数の酵素をいうように本明細書中で使用されるであろう。異常DNA構造特異的酵素は一般的には、不完全にマッチした(即ち、非相補的な)塩基の少なくとも2つの対のストレッチにおいて、異常な二本鎖DNA構造の近傍で又は異常な二本鎖DNA構造の中でいずれかのストランド(即ち、センス又はアンチセンス)上に少なくとも1つの断裂又は切断事象を起こす少なくとも1つの活性を有するが、これに限定されない。これらの異常DNA構造特異的酵素は、異常なDNA構造の切断に限定されない複数の酵素活性を有し得る。異常DNA構造特異的酵素は、DNA骨格のホスホジエステル結合を切断し、二本鎖DNAの一本鎖の中に断裂又はニックを生じさせることができる。本明細書中で開示される異常DNA構造特異的酵素は、ホリデー構造又はジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、ミスマッチ、及び他の種の完全にはマッチしていないDNAを含むがこれらに限定されない、様々な異常なDNA構造を認識できる。これらは更に、一本鎖DNAフラグメントの3以上のストランドを含む構造を含み得る。これらは、有意な塩基対合を持たないプライマー又はプライマー−鋳型DNAの凝集体であり得る。いくつかの場合では、異常DNA構造特異的酵素は、特定のタイプの異常なDNA構造を認識できる。他の場合は、異常DNA構造特異的酵素は、2以上のタイプの異常なDNA構造を認識できる。本明細書中で提供される方法は、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む増幅反応において生じた異常なDNA構造を認識して切断できる異常DNA構造特異的酵素を組み合わせることができる。いくつかの場合では、異常DNA構造特異的酵素は、非特異的増幅産物を選択的に切断できる。いくつかの場合では、異常DNA構造特異的酵素は、非特異的増幅産物及び標的特異的増幅産物の両方を切断できる。いくつかの例では、異常DNA構造特異的酵素は、標的特異的増幅産物の量を減少させることなく、増幅反応中の非特異的増幅産物の量を減少させることができる。他の例では、非特異的増幅産物及び標的特異的増幅産物の両方を減少させることができる。いくつかの場合は、増幅反応は、非特異的増幅産物を実質的に含まないものであり得る。非特異的増幅産物を実質的に含まないことは、増殖反応中の非特異的増幅産物の量が、50%を上回って、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%まで減少したことを意味し得る。
【0062】
本明細書中で提供される方法において異常なDNA構造を切断する為に利用できる、異常DNA構造特異的酵素の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ファージT7由来のバクテリオファージホリデージャンクションリゾルバーゼT7エンドヌクレアーゼI、又はファージT3、YeO3−12由来のそのホモログ;ファージT4由来のT4エンドヌクレアーゼVII、又はファージYeO3−12、L5、D29由来のそのホモログ;ラムダファージ由来のRap、ポックスウイルス由来のA22、又はファージP22、H−19B、933W、21、PS34、VT2−Sa、D3由来のそれらのホモログ;ファージbIL66/67/70由来のRuvC様エンドヌクレアーゼ、又はファージsk1、c2、vML3、712由来のそのホモログ;r1t由来のRusA、ファージSPP1由来のG44P、又はファージTuc、ul36、g1e、82、HK122/97、PVL、TM4、A118由来のそれらのホモログ;flapエンドヌクレアーゼ(FEN)、又は細菌、古細菌、及び真核生物細胞由来のそのホモログ;エンドヌクレアーゼV、又は大腸菌(E. coli)エンドヌクレアーゼV、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)エンドヌクレアーゼVを含む、細菌、古細菌、及び真核生物細胞由来のそのホモログ;RuvC、RecU、Hjc、Hje、Hjr、CCE1、YDC2、XPGクラス:GEN1/Yen1、UvrCクラス:Slx1−Slx4、ERCC4クラス:Xpf(Xpf−Ercc1)、Mus81(MUS81−EME1/Mms4)を含む、細菌、古細菌、及び真核生物由来の構造特異的エンドヌクレアーゼ;細菌由来のミスマッチ修復酵素MutHLS;真菌及び植物由来の一本鎖特異的ヌクレアーゼ。これらは、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のS1ヌクレアーゼ、ペニシリウム−シトリヌ(Penicillium citrinum)由来のP1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、又はCELヌクレアーゼファミリー(CEL I及びSP1)を含む。本明細書中で提供される方法において異常なDNA構造に結合するが、これを切断しないように利用され得る酵素の例としては、細菌由来のMutS又はヒトエンドヌクレアーゼVが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な例では、異常DNA構造特異的酵素は、T7エンドヌクレアーゼI又はT4エンドヌクレアーゼVIIであり得る。本明細書に記載の開示の方法を実行できる、原則として任意の異常DNA構造特異的酵素又はその突然変異体が想定されることが理解されるものとする。より詳細には、異常なDNA構造を切断する又はそれに結合できる任意の異常DNA構造特異的酵素又はその突然変異体を使用できる。
【0063】
開示の他の方法では、非特異的増幅産物を、異常なDNA構造の切断を伴わずに増幅反応から除去することができる。この場合、複数の標的特異的増幅産物及び非特異的増幅産物を含む増幅反応を、DNAミスマッチ結合タンパク質と接触させることができる。このタイプのタンパク質は、DNAミスマッチ修復経路(DNA合成又は組換えの際にDNAミスマッチを認識し修復する為のシステム)に関与する酵素であり得る。これらの例では、DNAミスマッチ結合タンパク質は、核酸試料中の、対合していない塩基のストレッチを含むDNA塩基対ミスマッチ(即ち、非相補的な塩基の対合)に選択的に結合できる。これらの例では、非特異的増幅産物はDNAミスマッチ結合タンパク質に選択的に結合でき、一方、標的特異的増幅産物はDNAミスマッチ結合タンパク質には結合しないであろう。本明細書に記載の方法において有用なDNAミスマッチ結合タンパク質は、核酸試料中の少なくとも1つのDNAミスマッチを認識して結合し得る任意のDNAミスマッチ結合タンパク質であり得る。1つの特別な例では、DNAミスマッチ結合タンパク質はMutSであり得る。MutSは細菌(いくつかの場合では、大腸菌(E. coli)又はサーマス・アクアチカス(T. aquaticus))に由来し得る。いくつかの場合では、DNAミスマッチ結合タンパク質は固体支持体上に固定化され得る。この例では、非特異的増幅産物は固体支持体上に吸着され、増幅反応から除去され得る。特別な例が開示されているが、原則として、非特異的増幅産物を選択的に結合できるあらゆる物質を使用できる。
【0064】
いくつかの場合では、上記方法は、増幅反応から切断された非特異的増幅産物を除去する工程を含み得る。他の場合では、切断された非特異的増幅産物は除去されない。切断された非特異的産物は、エキソヌクレアーゼにより小さいオリゴヌクレオチド及びヌクレオチドに更に消化され得る。これらは、二本鎖DNA特異的エキソヌクレアーゼ及び一本鎖DNA特異的エキソヌクレアーゼを含む。いくつかの場合では、エキソヌクレアーゼは、ラムダエキソヌクレアーゼ、大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼI、又は2つの組み合わせであり得る。この例では、エキソヌクレアーゼでの消化により標的特異的増幅産物の末端を保護することが所望される場合がある。この場合は、エキソヌクレアーゼは非特異的増幅産物を消化し、標的特異的増幅産物は消化しない。1つの例では、標的特異的増幅産物を消化から保護する工程は、標的特異的増幅産物の末端へのアダプターの連結を含み得る。これらのアダプターは、センスストランドの3’末端に複数の連続するホスホロチオエートを有し得る。ホスホロチオエートは、ヌクレアーゼによる切断に耐える正常なDNAの変異体である。いくつかの場合では、アダプターは、センスストランドの3’末端に3個、4個、5個、6個、又は7個以上の連続するホスホロチオエートを含み得る。1つの例では、アダプターは、以下により詳細に記載されるように、次世代シーケンシング用のライブラリーを作製する為に使用されるアダプターであり得る。アダプターは更に、バーコード又はタグを含み得る。アダプターが連結された標的DNAフラグメントは、PCRにより更に増幅され得る。いくつかの場合では、アダプターはセンスストランドの5’末端でリン酸化される。いくつかの場合では、アダプターのアンチセンスストランドの3’末端は、チミジン(T)突出を有し得る。この例では、アダプターのT突出は、末端修復されたA末端標的特異的増幅産物に連結され得る。
【0065】
いくつかの場合では、本明細書中で記載される増幅産物は、次世代シーケンシング用のライブラリーを調製する為に使用され得る。次世代シーケンシングの用途に有用なアダプターを、上記のように、標的特異的増幅産物の末端に連結させることができる。いくつかの場合では、アダプターは、センスストランドの3’末端に複数の連続するホスホロチオエートを有し得る。いくつかの場合では、アダプターは、センスストランドの3’末端に3個、4個、5個、6個、又は7個以上の連続するホスホロチオエートを含み得る。アダプターは、次世代シーケンシングプラットフォーム上で有用なシーケンシングアダプター(例えば、イルミナ・トゥルーシーク・アダプター(Illumina TruSeq adapter))であり得る。例えば、本発明の方法は、米国特許第5,750,341号(メルセビッツ(Macevicz)著);同第6,306,597号(メルセビッツ(Macevicz)著);及び同第5,969,119号(メルセビッツ(Macevicz)著)に記載されているような、イルミナ株式会社(Illumina)により市販されている方法による次世代シーケンシングに有用である。
【0066】
キット
本開示は更に、本明細書中で開示される方法を実行する為に有用なキットを提供する。1つの態様では、本開示はマルチプレックスPCR反応を実行する為、及び非特異的増幅産物を減少させる為のキットを提供する。この例では、キットはマルチプレックスPCR反応における使用に適している試薬(例えば、限定ではないが、緩衝液、dNTP、及びDNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ))を含み得る。マルチプレックスPCR反応において使用される複数のプライマー対は別々に販売されているものであってよい。いくつかの場合では、プライマー対は注文品である。いくつかの場合では、プライマー対は注文者により選択される。いくつかの場合では、プライマー対は標的特異的プライマー対である。他の場合では、プライマー対はランダムプライマー対であり得る。プライマー対は、10〜100,000超のプライマー対を含み得る。この例のキットは更に、非特異的増幅産物を減少させる為に適している異常DNA構造特異的酵素及び緩衝液(例えば、T4エンドヌクレアーゼVII)を含み得る。この例のキットは更に、DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)及び2回目のPCRを実行する為の1対のPCRプライマーを含み得る。
【0067】
別の場合では、本開示は、次世代シーケンシング用のアダプターが連結されたライブラリーを調製する為のキットを提供する。この例では、キットは、マルチプレックスPCR反応を実行する為、及び非特異的増幅産物を減少させる為の上記で開示された任意の試薬、並びに、ライブラリーの調製の為の更なる試薬を含み得る。ライブラリーの調製用の更なる試薬は、末端修復に適している酵素及び緩衝液(例えば、クレノウポリメラーゼ(Klenow polymerase)及び/又はT4 DNAポリメラーゼ)、増幅末端の5’末端のリン酸化に適している酵素及び緩衝液(例えば、T4ポリヌクレオチドキナーゼ)、Aテーリング(A-tailing)に適している酵素及び緩衝液(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)、連結反応を実行する為に適しているアダプター、DNAリガーゼ、及び緩衝液、エキソヌクレアーゼ(例えば、ラムダエキソヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼI)、並びに、アダプターが連結された核酸を増幅する為のPCRプライマーを含み得るが、これらに限定されない。アダプターは、複数のホスホロチオエートを含むアダプター、及び/又は次世代シーケンシング.に適しているアダプターを含む、本明細書中で開示される任意のアダプター又はそれらの組み合わせであり得る。DNAリガーゼは、T4 DNAリガーゼと、9°N(商標)DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、Tfi DNAリガーゼ、及びアンプリガーゼ(Ampligase)(登録商標)からなる群より選択される少なくとも1つの更なるリガーゼとを含み得る。アダプターが連結された核酸の増幅に使用されるPCRプライマーは、アダプター配列の少なくとも一部にアニーリングする配列を含み得る。
【0068】
別の場合では、本開示は、マルチプレックスPCR反応、及び非特異的増幅産物を減少させる為の代替的な方法を実行する為のキットを提供する。この例では、キットは、マルチプレックスPCR反応での使用に適している試薬(例えば、限定ではないが、緩衝液、dNTP、及びDNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ)を含み得る。マルチプレックスPCR反応で使用される複数のプライマー対は別々に販売されているものであってよい。いくつかの場合では、プライマー対は注文品である。いくつかの場合では、プライマー対は注文者により選択される。いくつかの場合では、プライマー対は標的特異的プライマー対である。他の場合では、プライマー対はランダムプライマー対であり得る。プライマー対は、10〜100,000超のプライマー対を含み得る。キットは更に、DNAミスマッチ結合タンパク質(例えば、MutS)を含み得る。いくつかの場合では、表面にMutSが結合させられた固体支持体がキットの中に提供され得る。他の場合では、MutS及び固体支持体は、固体支持体にMutSを結合させる為に適している試薬とは別に提供され得る。キットは更に、本開示の方法を実行する為に適している任意の適切な洗浄緩衝液、溶離緩衝液等を含み得る。
【0069】
本開示の特定の態様及び図がここで詳細に参照されるであろう。そのような態様は例として提供されるにすぎない。おびただしい数のバリエーション、変更、及び置き換えが、本開示から逸脱することなくここで当業者には思い浮かぶであろう。
【0070】
図1では、マルチプレックスPCRが、鋳型DNA、プライマー、dNTP、及び熱安定性DNAポリメラーゼを用いて行われる。プライマーの対の数は、1つのチューブ又はウェルの中の1つの反応において、10未満〜100,000超の任意の数であり得る。PCR産物は、標的DNAフラグメント(即ち、アンプリコン)及び異常なDNA構造を含有する様々な非特異的産物を含む。上記産物は、異常なDNA構造の近傍で二本鎖を切断し、一方、標的DNAフラグメントは完全なまま残すT4エンドヌクレアーゼVIIと接触させられる。標的DNAフラグメントは、切断された非特異的産物を除去する為の更なる精製を用いて又はそれを伴わずに得られ、様々な下流での用途に使用される。大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼIが、一本鎖DNAを小さいオリゴヌクレオチド及びヌクレオチドに分解する為に、マルチプレックスPCR後にT4エンドヌクレアーゼVIIと共に使用され得る。標的DNAフラグメントは、ニックトランスレーションにより蛍光又は放射性同位体で標識され、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、又は検出及び診断の為の他の技術で分析され得る。更に、標的DNAフラグメント中のニックは、以下の酵素の任意の1つで埋めることができる:9°N(商標)DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、Tfi DNAリガーゼ、アンプリガーゼ(Ampligase)(登録商標)等。ネストプライマーがマルチプレックスPCRにおいて使用される限りは、ニックの充填後、DNAフラグメントをPCRによって更に増幅できる。
【0071】
図1では、マルチプレックスPCRで生じた非特異的増幅産物を除去する為の手順の模式図は、マルチプレックスPCR後に、非特異的増幅産物がリゾルバーゼ(この例では、T4エンドヌクレアーゼVII)で切断され得、随意に精製によって除去され得ることを示している。標的アンプリコンは続く工程で直接使用され得るか、又は収量を増大させるか又はアダプターのような更なる配列を付加するかのいずれかの為にPCRの更なる回が行われ、ライブラリーとして使用されるかのいずれかであり得る。
【0072】
或いは、又は更に、ポリヌクレオチド中の異常に結合するタンパク質(例えば、リゾルバーゼ)が、非特異的結合増幅産物を単に切断するのではなく、非特異的結合増幅産物に結合し、除去する為に使用され得る。例えば、リゾルバーゼ又はリゾルバーゼの異常に結合する部分は、固相基体に繋がれ得る。図2は、マルチプレックスPCRで生じた非特異的増幅産物を除去する為の手順の模式図である。マルチプレックスPCR後に、非特異的増幅産物は、固定化されたMutS又は様々な生物由来の固定化されたMutSの組み合わせの上に吸着され、一方、標的DNAフラグメントは溶液中に存在し、非特異的産物から分離される。固定化されたMutSは、カラム又はカートリッジの中に含有され得、大腸菌(E. coli)又はサーマス・アクアチカス(Thermus aquaticus)由来のものであり得る。MutSは、ポリヌクレオチド中の異常に結合する為の1つ以上の結合部位を含む。
【0073】
図2では、マルチプレックスPCRが、鋳型DNA、プライマー、dNTP、及び好熱性DNAポリメラーゼを用いて行われる。プライマーの対の数は、1つのチューブ又はウェルの中の1つの反応において、10未満〜100,000超の任意の数であり得る。PCR産物は、標的DNAフラグメント(即ち、アンプリコン)及び異常なDNA構造を含有する様々な非特異的産物を含む。これらのPCR産物は、固定化されたMutS又は様々な生物由来の固定化されたMutSの組み合わせと接触させられる。非特異的産物は固定化されたタンパク質上に吸着され、一方、標的DNAフラグメントは溶液中に存在し、非特異的産物から分離される。上記のように、固定化されたMutSは、大腸菌(E. coli)又はサーマス・アクアチカス(Thermus aquaticus)に由来のものであり得る。
【0074】
本明細書に記載の任意の方法がライブラリーを作製する為に使用され得る。ライブラリーは、例えば、シーケンシングに使用され得る。これは図3及び図21Aで説明される。図3は、マルチプレックスPCRで生じた非特異的増幅産物を除去する為の手順、及び標的アンプリコン由来のライブラリーの模式図である。手順は、DNAフラグメントの末端の末端修復、非特異的産物の切断、アダプターの連結、連結されていないアダプターの除去、及びライブラリーの更なる増幅を含む。
【0075】
図3では、マルチプレックスPCRが、鋳型DNA、リン酸化されていないプライマー、dNTP、及び熱安定性DNAポリメラーゼを用いて行われる。プライマーの対の数は、1つのチューブ又はウェルの中の1つの反応において、10未満〜100,000超の任意の数であり得る。産物は、標的DNAフラグメント(即ち、アンプリコン)、及び異常なDNA構造を含有する様々な非特異的産物を含む。PCR後、上記産物は、T4 DNAポリメラーゼにより末端修復されて平滑末端が作製され、その後、T4ポリヌクレオチドキナーゼにより5’末端がリン酸化され、その後、Taqポリメラーゼにより、dATPを含有する緩衝液中で3’末端にAが付加される。上記産物は、次いで、異常なDNA構造で又は異常なDNA構造の近くで二本鎖を切断し、一方、標的DNAフラグメントは完全なまま残すT4エンドヌクレアーゼVIIと接触させられる。次いで、DNA混合物がアダプターと連結される。アダプターは、センスストランドの3’末端に3個から6個の連続するホスホロチオエートを含有する(図3ではN3’により示される)。DNA混合物が大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼI及びラムダエキソヌクレアーゼにより消化される場合では、標的DNAフラグメントは、アダプターにより両側が保護され、一方、全ての他のDNAフラグメントは小さいオリゴヌクレオチド及びヌクレオチドに分解される。標的DNAフラグメントは、非特異的産物の破片を除去する為の更なる精製を伴って、又はそのような精製を伴わずに、様々な下流での用途に使用され得る。
【0076】
より詳細には、アダプターはセンスストランドの5’末端でリン酸化される。アンチセンスストランドの3’末端は、末端修復されたPCR産物とのT−A連結を可能にする余分なTを含有する。
【0077】
更に詳細には、連結反応は、T4 DNAリガーゼと、以下のDNAリガーゼのうちの1つとを含む:9°N(商標)DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、Tfi DNAリガーゼ、アンプリガーゼ(Ampligase)(登録商標)等。
【0078】
更に詳細には、アダプターの連結及び非特異的産物の除去の後、標的DNAフラグメントがPCRによって更に増幅され得る。
【0079】
図4は、マルチプレックスPCRで生じた非特異的増幅産物を除去する為の予想される手順及び標的アンプリコン由来のライブラリーの模式図である。この手順では、リン酸化されたプライマーが使用される。上記手順は、DNAフラグメントの末端の末端修復、非特異的産物の切断、アダプターの連結、連結されていないアダプターの除去、及びライブラリーの更なる増幅を含む。図4では、マルチプレックスPCRにおいてリン酸化されたプライマーが使用される。PCRは、鋳型DNA、リン酸化されたプライマー、dNTP、及び熱安定性DNAポリメラーゼを用いて行われる。プライマーの対の数は、1つのチューブ又はウェルの中の1つの反応において、10未満〜100,000超の任意の数であり得る。産物は、標的DNAフラグメント(即ち、アンプリコン)、及び異常な構造を含有する様々な非特異的産物を含む。上記産物は、異常なDNA構造の近傍で二本鎖を切断し、一方、標的DNAフラグメントは完全なまま残すT4エンドヌクレアーゼVIIと接触させられる。次いで、DNA混合物がアダプターと連結される。アダプターは、センスストランドの3’末端に3個から6個の連続するホスホロチオエートを含有する(図4ではN3’により示される)。DNA混合物が大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼI及びラムダエキソヌクレアーゼにより消化される場合では、標的DNAフラグメントは、アダプターにより両側が保護され、一方、全ての他のDNAフラグメントは小さいオリゴヌクレオチド及びヌクレオチドに分解される。標的DNAフラグメントは、非特異的産物の破片を除去する為の更なる精製を伴って、又はそのような精製を伴わずに、様々な下流での用途に使用され得る。より詳細には、アダプターは、センスストランドの5’末端でリン酸化され得る。アンチセンスストランドの3’末端は、PCR産物とのT−A連結を可能にする余分なTを含有する。更に詳細には、連結反応は、T4 DNAリガーゼと、以下のDNAリガーゼのうちの1つとを含み得る:9°N(商標)DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、Tfi DNAリガーゼ、アンプリガーゼ(Ampligase)(登録商標)等。アダプターの連結及び非特異的産物の除去の後、標的DNAフラグメントはPCRにより更に増幅され得る。
【0080】
図5は、マルチプレックスPCRで生じた非特異的増幅産物を除去する為の手順の別のバリエーション、及び標的アンプリコン由来のライブラリーの模式図を示す。この手順では、連結されていないアダプターは消化によって除去されない。この手順は、DNAフラグメントの末端の末端修復、非特異的産物の切断、アダプターの連結、及びライブラリーの更なる増幅を含む。図5では、マルチプレックスPCRは、鋳型DNA、リン酸化されていないプライマー、dNTP、及び熱安定性DNAポリメラーゼを用いて行われる。プライマーの対の数は、1つのチューブ又はウェルの中の1つの反応において、10未満〜100,000超の任意の数であり得る。産物は、標的DNAフラグメント(即ち、アンプリコン)、及び異常な構造を含有する様々な非特異的産物を含む。上記産物は、T4 DNAポリメラーゼにより末端修復されて平滑末端が作製され、その後、T4ポリヌクレオチドキナーゼにより5’末端がリン酸化され、その後、Taqポリメラーゼにより、dATPを含有する緩衝液中で3’末端にAが付加される。上記産物は、次いで、異常なDNA構造の近傍で二本鎖を切断し、一方、標的DNAフラグメントは完全なまま残すT4エンドヌクレアーゼVIIと接触させられる。その後、DNA混合物がアダプターと連結される。連結された標的DNAフラグメントはPCRにより更に増幅される。
【0081】
アダプターはセンスストランドの5’末端でリン酸化され得る。アンチセンスストランドの3’末端は、末端修復されたPCR産物とのT−A連結を可能にする余分なTを含有する。アダプターはホスホロチオエートを含有しない。連結反応は、T4 DNAリガーゼと、以下のDNAリガーゼのうちの1つとを含み得る:9°N(商標)DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、Tth DNAリガーゼ、Tfi DNAリガーゼ、アンプリガーゼ(Ampligase)(登録商標)等。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を説明する目的の為に提供され、いずれにしても本発明を限定するようには意味されない。本実施例は、本明細書に記載の方法と共に、好ましい実施形態を代表的に表しており、例示であり、そして本発明の範囲を限定するようには意図されない。特許請求の範囲により定義される本発明の意図に含まれる本発明の中での変更及び他の用途を、当業者は思い浮かべるであろう。
【0083】
実施例1
実施例1は、上で簡単に論じたように図1に示されており、鋳型DNA、プライマー、dNTP、及び熱安定性DNAポリメラーゼを用いるマルチプレックスPCRの模式図を示す。
【0084】
実施例2
実施例2は、上で論じたように図2に示されており、鋳型DNA、プライマー、dNTP、及び好熱性DNAポリメラーゼを用いるマルチプレックスPCRの1つの方法である。
【0085】
実施例3
上で簡単に論じた図3に示した実施例3は、鋳型DNA、リン酸化されていないプライマー、dNTP、及び熱安定性DNAポリメラーゼを用いるマルチプレックスPCRの1つの方法である。
【0086】
実施例4
上で簡単に論じた図4に示した実施例4は、マルチプレックスPCRにおいて使用されるリン酸化されたプライマーを用いるマルチプレックスPCRの1つの方法である。
【0087】
実施例5
図5に示し、上で簡単に論じた実施例5は、鋳型DNA、リン酸化されていないプライマー、dNTP、及び熱安定性DNAポリメラーゼを用いるマルチプレックスPCRの模式図である。
【0088】
実施例6:反応条件の最適化
本明細書に記載の任意の方法で、リゾルバーゼ条件(濃度、緩衝液、インキュベーション/処理時間、及び/又は温度)を決定できる。上記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる為の、リゾルバーゼの使用についての一般的なパラメーターが本明細書中で提供される。例えば、一般的には、標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、リゾルバーゼで非特異的増幅産物を切断することは、非特異的増幅産物及び複数の標的特異的増幅産物を、約0.2U〜1000Uのリゾルバーゼに対して、0.5分〜60分、16℃〜37℃で曝露することを含み得る。図6A〜7Bはそのような範囲の決定を説明している。図6A及び6Bは、207対のプライマーが関係するマルチプレックスPCRにおいて非特異的増幅産物を除去する為に使用できる濃度の範囲を見出す為の、T4エンドヌクレアーゼVIIの滴定を説明している。T4エンドヌクレアーゼVIIの効果は、残留している標的DNAの量又は残留しているプライマーダイマーの量のいずれかによりアッセイした。以下に更に詳細に記載するように、約0.5〜20の範囲(例えば、およそ10単位)のT4エンドヌクレアーゼVIIが十分であることが明らかになった。図7A〜7Bは、207対のプライマーを含むマルチプレックスPCRにおいて非特異的増幅産物を除去する為の最適な時間を見出す為の、T4エンドヌクレアーゼVIIの時間経過の例を示す。T4エンドヌクレアーゼVIIの効果は、残留している標的DNAの量のいずれかによりアッセイした。約0.5分〜20分(例えば、5分)のインキュベーションが十分であることが明らかになった。
【0089】
様々な活性により異常なDNA構造の近傍でDNAを切断できる酵素が多く存在するが、T7エンドヌクレアーゼI、T4エンドヌクレアーゼVII、並びに大腸菌(E. coli)及びサーモトガ・マリティマ(T. maritima)由来のエンドヌクレアーゼVは市販されている。T7エンドヌクレアーゼI及びT4エンドヌクレアーゼVIIはいずれも、様々な異常なDNA構造に対して強力な活性を有することが報告されている。T7エンドヌクレアーゼIは6ヌクレオチドまでの長さの5’突出末端を生じ、一方、T4エンドヌクレアーゼVIIは同じ長さの3’突出末端を生じる。これらの2つのエンドヌクレアーゼはまた、一本鎖DNAに対して強い活性を有する。これらは機能的に互換性がある。エンドヌクレアーゼVは、DNA中のデオキシアデノシンの脱アミノ化産物であるデオキシイノシンを認識するDNA修復酵素と考えられており、多くの場合はデオキシイノシン3’エンドヌクレアーゼと呼ばれる。エンドヌクレアーゼVは様々な異常なDNA構造に対して弱い活性を有する。これらの酵素は全て、二本鎖DNA上にランダムなニックを作製する。多量の酵素を用いて長時間インキュベートすると、二本鎖DNAはDNAフラグメントのより小さい断片に徐々に切断されるであろう。これらの理由から、T4エンドヌクレアーゼVIIを以下の実験で使用したが、他のリゾルバーゼを使用してもよく、本明細書に記載の方法、キット、及び組成物はT4エンドヌクレアーゼVIIに限定されない。
【0090】
T4エンドヌクレアーゼVIIの最適濃度を見出す為に、本発明者らはマルチプレックスPCRを実行し、次いで、T4エンドヌクレアーゼVIIを使用して増幅産物を処理した。小さいDNAフラグメントを磁性ビーズでの1回の精製により除去した。得られたDNAを、バイオアナライザー(BioAnalyzer)の高感度チップでアッセイした。
【0091】
イオンアンプリシーク(商標)ホットスポットキャンサーパネルv2(Ion AmpliSeqTM hotspot cancer panel v2)(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4475346)のプライマーパネルをマルチプレックスPCRに使用した。このプライマーパネルは、50の発癌遺伝子及び腫瘍抑制遺伝子に由来するおよそ2,800のCOSMIC突然変異を網羅する。これは1つのプールの中に207のプライマー対を有する。マルチプレックスPCR反応を10μl中で行った。以下の構成成分を0.2mlの薄壁PCRチューブ(トーマスサイエンティフィック社(Thomas Scientific)、スナップストリップIIナチュラル0.2ml PCRストリップチューブ(Snapstrip II natural 0.2ml PCR strip tube)、カタログ番号1228F73)のそれぞれに添加した:5μlの2倍に濃縮したプライマープール、1μlの10×PCR緩衝液(1×PCR緩衝液:それぞれ50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、5mMのMgCl2、0.8mMのdNTP)、2μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)(エンザイマティック社(Enzymatics)、P7500−LC−F)、1μlの10ng/μlのヒトDNA(コーリエル社(Coriell Institute)、NA12878)、及び1μlの蒸留水。
【0092】
0.2mlの薄壁PCRチューブに付属のキャップで蓋をし、3秒間軽くボルテックスし、そしてミニセントリフュージ(mini centrifuge)(ピペットコム社(Pipette.com)、マイフュージ12プレイスミニセントリフュージ(MyFuge 12 place mini centrifuge)、カタログ番号C1012)の中で3秒間回転させた。PCR反応混合物の表面を覆う為の鉱油は必要なかった。チューブをサーモスサイクラー(thermos cycler)(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated)、ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4314878)の中に置いた。
【0093】
PCRは、最初に2分間98℃に保持し、続いて、98℃で15秒間の変性及びアニーリング及び60℃で4分間の合成を17サイクル行った。サイクル後、反応物を次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0094】
PCR後、以下の構成成分を上記反応物に直接添加した:10μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、1μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で10分間インキュベートした。
【0095】
インキュベーション後、反応を1ulの0.5MのEDTAで停止させた。DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。常磁性ビーズはアムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)(アムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)、MagSi−NGSprep、カタログ番号MD61021)によるものであった。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、次に、増幅させて混合したアンプリコンの体積の1.6倍に相当する64μlのMagSi−NGSprepビーズを、増幅させたアンプリコンを含有するチューブに添加した。チューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。次いで、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。マグネティックラックの内側の磁石は、ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)によるものであった(ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)、カタログ番号D4X0DIA−N52)。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを取り出さずに、150μlの新しく作った70%エタノールをチューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージで3秒間回転させた。チューブの内側に残留しているエタノールの全ての液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、40μlの蒸留水をチューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を新しいチューブに移した。DNAフラグメントをこの方法によって計2回、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズを用いて精製した。最後の精製の後、DNAフラグメントを5μlの蒸留水中に溶離させ、以下の工程においてアッセイした。
【0096】
DNAフラグメントの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。前の工程で得た1μlの精製したDNAフラグメントを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。上記のように、図6Aは、37℃で10分間、0〜200単位のT4エンドヌクレアーゼVII(T4E7とも呼ばれる)により処理した、残留している標的DNAを示している。残留している標的DNAは、期待される大きさのPCR産物をいう。本発明者らは、二本鎖DNAがより高濃度のT4エンドヌクレアーゼVIIで分解されることを観察した。これは、類似する大きさの非特異的産物を酵素により除去されて、標的DNAが後に残ったこともまた示し得る。
【0097】
図6Bは、37℃で10分の0〜200単位のT4E7 T4エンドヌクレアーゼVIIにより、残存しているプライマーダイマーを示している。非特異的増幅産物の量は減少した。加えて、本発明者らは、バイオアナライザー(BioAnalyzer)でアッセイすることにより、非特異的増幅産物の大きさがより小さくシフトしたことを観察した。これは、非特異的増幅産物がT4エンドヌクレアーゼVIIによって少なくとも1回切断されたことを示している。これらは、選択的消化及び/又はポリメラーゼ連鎖反応の更なる回のような更なるアプローチによる、これらのフラグメントの除去を容易にするであろう。
【0098】
非特異的増幅産物は、一度切断された後に除去することができるので、上記結果は、限定されたT4エンドヌクレアーゼVIIの活性が十分であることを示している。これにより、標的DNAを維持し、一方で非特異的増幅産物を除去することができる。
【0099】
マルチプレックスPCRを上記のように行った。PCR後、以下の構成成分を上記反応物に直接添加した:10μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、1μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で様々な時間インキュベートした。インキュベーション後、上記のように反応を停止させ、DNAを精製し、バイオアナライザー(BioAnalyzer)でアッセイした。
【0100】
第1の実験では、T4エンドヌクレアーゼVIIの効果を5分のインターバルで20分までアッセイした(図7A)。本発明者らは、低濃度(5単位)のT4エンドヌクレアーゼVIIを用いた標的DNAの段階的な減少、及び10単位のT4エンドヌクレアーゼVIIでの標的DNAの急な減少を観察した。第2の実験では、T4エンドヌクレアーゼVIIの効果を1分のインターバルで9分までアッセイした(図7B)。この滴定により、37℃で5分の10単位のT4エンドヌクレアーゼVIIが非特異的増幅産物を除去する為に十分であることが明らかになった。
【0101】
図8Aは、非特異的増幅産物により生じる典型的なバックグランドを示している例示的なマルチプレックス増幅反応を説明している。この実施例における標的特異的増幅産物は、塩基対の大きさ(bp)についての相対的な蛍光強度(蛍光単位の量、FU)を示しているグラフに基づくと、サイズマーカーの間で、非特異的増幅産物(「マルチプレックスPCRにより生じたバックグラウンド」)に実質的に圧倒されている。
【0102】
実施例7
図8Bは、図1及び図3〜5で例示した方法と同様に、マルチプレックス増幅手順において非特異的増幅産物を減少させ、標的特異的増幅産物を明らかにする為のリゾルバーゼ(例えば、T4エンドヌクレアーゼVII)の使用を説明している。図8Bでは、リゾルバーゼは、示したような1つ以上の異常なポリヌクレオチド構造(例えば、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNA)を有すると仮定される、バックグラウンドである非特異的増幅産物を標的とする。
【0103】
図8C及び8Dは、この方法の実施例を説明する。イオンアンプリシーク(商標)ホットスポットキャンサーパネルv2(Ion AmpliSeqTM hotspot cancer panel v2)(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4475346)のプライマーパネルをマルチプレックスPCRで使用した。このプライマーパネルは、50の発癌遺伝子及び腫瘍抑制遺伝子に由来するおよそ2,800のCOSMIC突然変異を網羅する。これは1つのプールの中に207のプライマー対を有する。マルチプレックスPCR反応を10μl中で行った。以下の構成成分を0.2mlの薄壁PCRチューブ(トーマスサイエンティフィック社(Thomas Scientific)、スナップストリップIIナチュラル0.2ml PCRストリップチューブ(Snapstrip II natural 0.2ml PCR strip tube)、カタログ番号1228F73)のそれぞれに添加した:5μlの2倍に濃縮したプライマープール、1μlの10×PCR緩衝液(1×PCR緩衝液:それぞれ50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、5mMのMgCl2、0.8mMのdNTP)、2μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)(エンザイマティック社(Enzymatics)、P7500−LC−F)、1μlの10ng/μlのヒトDNA(コーリエル社(Coriell Institute)、NA12878)、及び1μlの蒸留水。
【0104】
0.2mlの薄壁PCRチューブに付属のキャップで蓋をし、3秒間軽くボルテックスし、そしてミニセントリフュージ(ピペットコム社(Pipette.com)、マイフュージ12プレイスミニセントリフュージ(MyFuge 12 place mini centrifuge)、カタログ番号C1012)の中で3秒間回転させた。PCR反応混合物の表面を覆う為の鉱油は必要なかった。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated)、ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4314878)の中に置いた。
【0105】
PCRは、最初に2分間98℃に保持し、続いて、98℃で15秒間の変性及びアニーリング及び60℃で4分間の合成を15サイクル行った。サイクル後、反応物を次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0106】
PCR後、以下の構成成分を上記反応物に直接添加した:10μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、1μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で10分間インキュベートした。
【0107】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。常磁性ビーズはアムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)(アムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)、MagSi−NGSprep、カタログ番号MD61021)によるものであった。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、次に、増幅させて混合したアンプリコンの体積の1.6倍に相当する64μlのMagSi−NGSprepビーズを、増幅させたアンプリコンを含有するチューブに添加した。チューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。次いで、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。マグネティックラックの内側の磁石は、ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)によるものであった(ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)、カタログ番号D4X0DIA−N52)。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを取り出さずに、150μlの新しく作った70%エタノールをチューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージで3秒間回転させた。チューブの内側に残留しているエタノールの全ての液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、40μlの蒸留水をチューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を新しいチューブに移した。DNAフラグメントをこの方法によって計2回、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズを用いて精製した。最後の精製の後、DNAフラグメントを5μlの蒸留水中に溶離させ、以下の工程においてアッセイした。
【0108】
DNAフラグメントの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。前の工程で得た1μlの精製したDNAフラグメントを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。結果を図8C及び8Dに示す。図8Cは、T4エンドヌクレアーゼVIIによる消化前の標的アンプリコン及び非特異的増幅産物の存在を示している。非特異的増幅産物は200bp〜2000bp超である。100bp〜200bpのピークが標的DNAフラグメントであった。図8Dは、T4エンドヌクレアーゼVIIでの消化後の効果を示している。200bp〜2000bp超の非特異的増幅産物を、T4エンドヌクレアーゼでの消化及びそれに続く精製により除去した。
【0109】
実施例8
非特異的増幅産物の同様の減少を、図9A〜9Bに示すように、207対の長いプライマーを用いたマルチプレックスPCRにおいて見ることができる。この実施例では、5’CCTACACGACGCTCTTCCGATCT3’を各正方向プライマーの5’末端に付加し、5’TTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCT3’を各逆方向プライマーの5’末端に付加したことを除いて、プライマーパネルは、イオンアンプリシーク(商標)ホットスポットキャンサーパネルv2(Ion AmpliSeqTM hotspot cancer panel v2)(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4475346)のプライマーパネルと同じであった。これらの「長い」プライマーは、PCRの更なる回によるアンプリコン上へのアダプターの容易な付加を可能にする。
【0110】
マルチプレックスPCR、並びに、それに続く処理及びアッセイを実施する方法は、上記実施例7の方法と同じであった。結果を図9A〜9Bに示す。図9Aは、T4エンドヌクレアーゼVIIでの消化の前の、長いプライマーを用いたマルチプレックスPCRの結果を示している。図9Bは、T4エンドヌクレアーゼVIIでの消化による非特異的増幅産物の除去を示している。
【0111】
実施例9:マルチプレックスPCRにおけるポリメラーゼ
一般的には、任意の適切なポリメラーゼが、本明細書中で記載される増幅(マルチプレックス増幅)を実行する為に使用され得る。本明細書中で記載される方法、組成物、及びキットは、様々な酵素に対応している。図10A〜10Fは、マルチプレックスPCRにおける様々なポリメラーゼ酵素の使用を説明している。各実施例において、マルチプレックスPCRを、5単位のプラチナタック(Platinum taq)(図10A)、チタンタック(Titanium taq)(図10B)、オムニ・クレンタック(Omni Klen taq)(図10C)、タッククレノウ(Taq Klenow)(図10D)、KOD DNAポリメラーゼ(図10E)、及びTfi DNAポリメラーゼ(図10F)を各マルチプレックスPCR反応で使用したことを除いて、上記実施例6に記載したように行った。PCR後、以下の構成成分を上記反応物に直接添加した:10μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、1μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。インキュベーション後、0.5MのEDTAで反応を停止させた。DNAを、実施例6で記載したように、精製し、バイオアナライザー(BioAnalyzer)でアッセイした。結果は、プラチナタック(Platinum taq)、チタンタック(Titanium taq)、及びオムニ・クレンタック(Omni Klen taq)は比較可能な量の標的アンプリコンを生じ、一方、タッククレノウ(Taq Klenow)、KOD DNAポリメラーゼ、及びTfi DNAポリメラーゼは非常に多量の非特異的増幅産物を生じたことを示している。この実施例では、プラチナタック(Platinum taq)、チタンタック(Titanium taq)、及びオムニ・クレンタック(Omni Klen taq)がマルチプレックスPCRに好ましいものであり得る。
【0112】
実施例10
マルチプレックスPCR中のプライマー濃度を滴定できる。この実施例では、20、30、40、50nMの207対のプライマーを各マルチプレックスPCR反応において使用したことを除いて、実施例6で記載したようにマルチプレックスPCRを行った。PCR後、以下の構成成分を上記反応物に直接添加した:10μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、1μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。インキュベーション後、0.5MのEDTAで反応を停止させた。DNAを、実施例6で記載したように、精製し、バイオアナライザー(BioAnalyzer)でアッセイした。結果を図11に示す。この実験は、高濃度のプライマーがより多量の標的アンプリコンをもたらしたことを示していた。
【0113】
実施例11
マルチプレックスPCRのアニーリング及び伸張時間もまた、図12に示すように、本明細書中で記載される効果を最適化する為に調整できる。この実施例では、1分、2分、3分のアニーリング及び伸張時間を各マルチプレックスPCR反応において使用したことを除いて、実施例6で記載したようにマルチプレックスPCRを行った。PCR後、以下の構成成分を上記反応物に直接添加した:10μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、1μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。インキュベーション後、0.5MのEDTAで反応を停止させた。DNAを、実施例6で記載したように、精製し、バイオアナライザー(BioAnalyzer)でアッセイした。結果を図12に示す。この実験は、1分のアニーリング及び伸張が、より多量の標的アンプリコンをもたらしたことを示していた。
【0114】
実施例12
上記のように、多数のプライマー対を本明細書に記載の方法において使用でき、それでもなお非特異的増幅産物の実質的な減少を生じさせることができる。例えば、図13は、2915対のプライマーを含むマルチプレックスPCRにおける非特異的増幅産物の除去を説明している。
【0115】
プライマーパネルはキアゲン・ジーンリード・ディー・エヌ・エー・シーク・ヒト乳癌パネル(Qiagen GeneRead DNAseq human breast cancer panel)(キアゲン社(Qiagen)、カタログ番号NGHS−001X−12)であった。このパネルは、2915対のプライマーで268621の標的塩基の44の遺伝子を網羅し、各プールがおよそ730のプライマー対を含有する4つのプールに分けられている。このパネルについては、20×シーケンシング深度中央値で98.2%のカバー率、96.8%の特異性、91%の均一性が報告されている。このパネルの各プライマー中にはウラシルヌクレオチドは存在せず、また、いずれの他の塩基の修飾も存在しない。このプライマーパネルは2倍濃縮されている。従って、4回のPCR反応をプライマーの4つのプールのそれぞれを用いて行い、各反応の全PCR体積の50%が4つのプールのそれぞれであった。
【0116】
各マルチプレックスPCR反応を10μlで行った。以下の構成成分を0.2mlの薄壁PCRチューブ(トーマスサイエンティフィック社(Thomas Scientific)、スナップストリップIIナチュラル0.2ml PCRストリップチューブ(Snapstrip II natural 0.2ml PCR strip tube)、カタログ番号1228F73)のそれぞれに添加した:5μlの2倍に濃縮したプライマープール、1μlの10×PCR緩衝液(1×PCR緩衝液:それぞれ50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、5mMのMgCl2、0.8mMのdNTP)、2μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)(エンザイマティック社(Enzymatics)、P7500−LC−F)、1μlの10ng/μlのヒトDNA(コーリエル社(Coriell Institute)、NA12878)、及び1μlの蒸留水。キアゲン・ジーンリード・ディー・エヌ・エー・シーク・ヒト乳癌パネル(Qiagen GeneRead DNAseq human breast cancer panel)については4つのマルチプレックスPCR反応が存在した。
【0117】
0.2mlの薄壁PCRチューブに付属のキャップで蓋をし、3秒間軽くボルテックスし、そしてミニセントリフュージ(ピペットコム社(Pipette.com)、マイフュージ12プレイスミニセントリフュージ(MyFuge 12 place mini centrifuge)、カタログ番号C1012)の中で3秒間回転させた。PCR反応混合物の表面を覆う為の鉱油は必要なかった。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated)、ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4314878)の中に置いた。以下の2種類の温度プロフィールをプライマーパネルのそれぞれについて実行した。
【0118】
キアゲン・ジーンリード・ディー・エヌ・エー・シーク・ヒト乳癌パネル(Qiagen GeneRead DNAseq human breast cancer panel)については、PCRを、最初に2分間98℃に保持し、続いて、98℃で15秒間の変性及びアニーリング及び60℃で4分間の合成を15サイクル行った。サイクル後、反応物を次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0119】
インキュベーション後、反応混合物を、緩衝液を交換せずにこの工程に直接進めた。以下の構成成分を、各上記反応物に直接添加した:40μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、4μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0120】
インキュベーション後、0.5MのEDTAで反応を停止させた。DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、128μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、5μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を新しいチューブに移し、以下の工程においてアッセイした。
【0121】
DNAフラグメントの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。前の工程で得た1μlの精製したDNAフラグメントを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。結果を図13に示す。
【0122】
実施例13
図14は、16000対のプライマーを必要とするマルチプレックスPCRにおける非特異的増幅産物の除去の一例を説明している。この実施例では、プライマーパネルは、イオンアンプリシーク(商標)コンプリヘンシブ・キャンサー・パネル(Ion AmpliSeq(商標)comprehensive cancer panel)(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4477685)であった。このプライマーパネルは、頻繁に突然変異する、学術論文に記載されている409の重要な腫瘍抑制遺伝子及び発癌遺伝子の全てのエキソンを網羅する。これは、4つのプールの中に16000のプライマー対を有し、各プールがおよそ4,000のプライマー対を有する。アンプリコンの長さは125〜175塩基対までの範囲であり、標的領域はおよそ173万塩基を網羅する。ライブラリーをこのパネル及びライフテクノロジーズ社(Life Technologies)のイオンアンプリシーク(商標)ライブラリーキット2.0(Ion AmpliSeq(商標)Library Kit 2.0)を用いて作製し、ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)のイオン・ピー・ジー・エム(商標)システム(Ion PGM(商標)system)でシーケンシングした場合、このパネルは、97%の標的塩基(1回の実行あたりで、マップされた全塩基のうち、標的領域にマップされた塩基)について>20%のシークエンシング深度中央値で94%のカバー率が報告されている。マルチプレックスPCRでは、4つのプライマープールのそれぞれに鋳型としての10ngのヒトゲノムDNAが必要であり、パネル全体を網羅する為には合計40ngが必要である。このプライマーパネルの各プライマーの中には少なくとも1つのウラシルヌクレオチドが存在する。このプライマーパネルは2倍濃縮されている。従って、4つのPCR反応をプライマーの4つのプールのそれぞれを用いて行った。
【0123】
各マルチプレックスPCR反応を10μlで行った。以下の構成成分を0.2mlの薄壁PCRチューブ(トーマスサイエンティフィック社(Thomas Scientific)、スナップストリップIIナチュラル0.2ml PCRストリップチューブ(Snapstrip II natural 0.2ml PCR strip tube)、カタログ番号1228F73)のそれぞれに添加した:5μlの2倍に濃縮したプライマープール、1μlの10×PCR緩衝液(1×PCR緩衝液:それぞれ50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、5mMのMgCl2、0.8mMのdNTP)、2μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)(エンザイマティック社(Enzymatics)、P7500−LC−F)、1μlの10ng/μlのヒトDNA(コーリエル社(Coriell Institute)、NA12878)、及び1μlの蒸留水。イオンアンプリシーク(商標)コンプリヘンシブ・キャンサー・パネル(Ion AmpliSeq(商標)comprehensive cancer panel)については4つのマルチプレックスPCR反応が存在し、キアゲン・ジーンリード・ディー・エヌ・エー・シーク・ヒト乳癌パネル(Qiagen GeneRead DNAseq human breast cancer panel)については4つのマルチプレックスPCR反応が存在した。
【0124】
0.2mlの薄壁PCRチューブに付属のキャップで蓋をし、3秒間軽くボルテックスし、そしてミニセントリフュージ(ピペットコム社(Pipette.com)、マイフュージ12プレイスミニセントリフュージ(MyFuge 12 place mini centrifuge)、カタログ番号C1012)の中で3秒間回転させた。PCR反応混合物の表面を覆う為の鉱油は必要なかった。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated)、ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4314878)の中に置いた。以下の2種類の温度プロフィールをプライマーパネルのそれぞれについて実行した。
【0125】
PCRは、最初に2分間98℃に保持し、続いて、98℃で15秒間の変性及びアニーリング及び60℃で8分間の合成を13サイクル行った。サイクル後、反応物を次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0126】
インキュベーション後、反応混合物を、緩衝液を交換せずにこの工程に直接進めた。以下の構成成分を、各上記反応物に直接添加した:20μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、2μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0127】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、128μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、10μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を新しいチューブに移し、以下の工程においてアッセイした。
【0128】
DNAフラグメントの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。前の工程で得た1μlの精製したDNAフラグメントを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。結果を図14に示す。
【0129】
実施例14
本明細書に記載の方法は、非常に小さい及び/又は損傷したDNA鋳型を用いる場合(特に、鋳型としてのFFPE DNAを伴うマルチプレックスPCRにおける非特異的増幅産物の除去の為を含む)にもなお使用できる。この実施例では、10ngのFFPE DNAを各マルチプレックスPCR反応において使用したことを除いて、実施例6で記載したようにマルチプレックスPCRを行った。PCR後、以下の構成成分を上記反応物に直接添加した:10μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、1μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。インキュベーション後、0.5MのEDTAで反応を停止させた。DNAを、実施例6で記載したように精製し、バイオアナライザー(BioAnalyzer)でアッセイした。結果を図15に示す。この実験は、207対のプライマー及び10ngのFFPA DNAを含むマルチプレックスPCRにより非特異的増幅産物が効率よく除去されたことを示していた。
【0130】
実施例15
本明細書に記載の方法を使用して、リン酸化されたプライマーを含むマルチプレックスPCRを試みた。イオンアンプリシーク(商標)ホットスポットキャンサーパネルv2(Ion AmpliSeqTM hotspot cancer panel v2)(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4475346)のプライマーパネルをT4ポリヌクレオチドキナーゼによって5’末端でリン酸化した。次いで、プライマーをマルチプレックスPCR反応において10μl中で50nMで使用した。その後、マルチプレックスPCR及びDNA精製を実施例8に記載したように行った。精製したDNAを20μlの蒸留水の中でマグネティックビーズから溶離させた。
【0131】
DNAフラグメントを、先に精製したDNA溶液に対して以下を添加することにより合計40μlの中で平滑末端にした:4μlの10×ブラントエンドバッファー(Blunt end Buffer)(1×ブラントバッファー(blunt buffer):それぞれ50mMのTris−HCl(pH7.6)、10mMのMgCl2、10mMのβ−メルカプトエタノール、1mMのATP、0.4mMのdNTP)、12単位のT4 DNAポリメラーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4DP−100)、40単位のポリヌクレオチドキナーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4PK−100)。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを室温で10分間インキュベートした。
【0132】
反応後、実施例8で記載したように、DNAを1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。DNAを20μlの蒸留水の中でマグネティックビーズから溶離させた。
【0133】
以下の構成成分を精製したDNA溶液に添加した:4μlの10×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer)(1×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer):50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2)、0.5μlの100mMのATP、1μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で40μLまで。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを72℃で10分間インキュベートした。
【0134】
インキュベーション後、反応混合物を、緩衝液を交換せずにこの工程に直接進めた。以下の構成成分を、各上記反応物に直接添加した:20μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、2μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0135】
反応後、実施例8で記載したように、DNAを1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製し、10μlの蒸留水の中で溶離させた。
【0136】
アダプターの連結の為に、2つのオリゴヌクレオチドをインテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。一方のオリゴは、イルミナ・トゥルーシーク・ユニバーサルアダプター(Illumina TruSeq universal adapter)(5’AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT3’)と同じヌクレオチド配列を有しており、他方は、トゥルーシーク・アダプター・インデックス1(TruSeq adapter index 1)(5’PGATCGGAAGAGCACACGTCTGAACTCCAGTCACATCACGATCTCGTATGCCGTCTTCTG3’)と同じ配列を有する。ここでは、は、配列に更に付加されたホスホロチオエート結合を表す。二本鎖アダプターを作製する為に、上記オリゴを、0.2mlの薄壁PCRチューブ中の100μlの全量の中で、1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(50mMのTrisHCl(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのATP、10mMのDTT)中に、それぞれ10μMで一緒に混合した。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))の中に置き、95℃で2分間、75℃で1分間、55℃で1分間加熱し、次の工程に進めるまで25℃に保持した。
【0137】
以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:4μlのT4 DNAリガーゼ緩衝液、2μlの10μMのアダプター、1μlのT4 DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0202S)、1μlの9°N(商標)DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0238S)、及び蒸留水で40μLまで。16℃で15分間、次いで45℃で15分間インキュベートした。
【0138】
以下の構成成分を上記反応に直接添加した:1ulのラムダエキソヌクレアーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0262S)、1ulの大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼI(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0293S)。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0139】
反応後、DNAを、実施例8に記載したように、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製し、20μlの蒸留水の中で溶離させた。
【0140】
上記工程により得たDNAフラグメントを、PCRによって5サイクル更に増幅した。以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:5μlの10×PCR緩衝液、2.5μlの10μMのプライマーミックス、2μlのオムニ・クレンタック・ポリメラーゼ(Omni KlenTaq polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で50μlまで。PCRを、サーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))で、98℃で2分間の変性、その後、98℃で15秒、58℃で1分の5サイクルにより実行し、その後、次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0141】
PCRに使用したプライマーは以下であった:5’AATGATACGGCGACCACCGA3’及び5’CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT3’。これらのオリゴは、インテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。
【0142】
最後に、DNAを、実施例8に記載したように、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製し、20μlのTE緩衝液の中で磁気ビーズから溶離させた。
【0143】
ライブラリーの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。先の工程で得た各ライブラリー1μlを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。結果を図16に示す。この実施例では、連結及び2回目のPCRの後、有意な量の標的アンプリコンは生じなかった。
【0144】
実施例16
連結されていないアダプターを除去する工程を含まないライブラリーの作製を、本明細書に記載の方法を使用してうまく実行できた。その後、マルチプレックスPCR及びDNA精製を実施例8に記載したように行った。精製したDNAを20μlの蒸留水の中でマグネティックビーズから溶離させた。
【0145】
DNAフラグメントを、先に精製したDNA溶液に対して以下を添加することにより合計40μlの中で平滑末端にした:4μlの10×ブラントエンドバッファー(Blunt end Buffer)(1×ブラントバッファー(blunt buffer):それぞれ50mMのTris−HCl(pH7.6)、10mMのMgCl2、10mMのβ−メルカプトエタノール、1mMのATP、0.4mMのdNTP)、12単位のT4 DNAポリメラーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4DP−100)、40単位のポリヌクレオチドキナーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4PK−100)。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを室温で10分間インキュベートした。
【0146】
反応後、実施例8で記載したように、DNAを1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。DNAを20μlの蒸留水の中でマグネティックビーズから溶離させた。
【0147】
以下の構成成分を精製したDNA溶液に添加した:4μlの10×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer)(1×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer):50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2)、0.5μlの100mMのATP、1μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で40μLまで。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを72℃で10分間インキュベートした。
【0148】
インキュベーション後、反応混合物を、緩衝液を交換せずにこの工程に直接進めた。以下の構成成分を、各上記反応物に直接添加した:20μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、2μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0149】
反応後、実施例8で記載したように、DNAを1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製し、10μlの蒸留水の中で溶離させた。
【0150】
アダプターの連結の為に、2つのオリゴヌクレオチドをインテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。一方のオリゴは、イルミナ・トゥルーシーク・ユニバーサルアダプター(Illumina TruSeq universal adapter)(5’AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT3’)と同じヌクレオチド配列を有しており、他方は、トゥルーシーク・アダプター・インデックス1(TruSeq adapter index 1)(5’PGATCGGAAGAGCACACGTCTGAACTCCAGTCACATCACGATCTCGTATGCCGTCTTCTG3’)と同じ配列を有する。ここでは、は、配列に更に付加されたホスホロチオエート結合を表す。二本鎖アダプターを作製する為に、上記オリゴを、0.2mlの薄壁PCRチューブ中の100μlの全量の中で、1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(50mMのTrisHCl(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのATP、10mMのDTT)中に、それぞれ10μMで一緒に混合した。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))の中に置き、95℃で2分間、75℃で1分間、55℃で1分間加熱し、次の工程に進めるまで25℃に保持した。
【0151】
以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:4μlのT4 DNAリガーゼ緩衝液、2μlの10μMのアダプター、1μlのT4 DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0202S)、1μlの9°N(商標)DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0238S)、及び蒸留水で40μLまで。16℃で15分間、その後45℃で15分間インキュベートした。
【0152】
反応後、DNAを、実施例8に記載したように、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製し、20μlの蒸留水の中で溶離させた。
【0153】
上記工程により得たDNAフラグメントを、PCRによって5サイクル更に増幅した。以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:5μlの10×PCR緩衝液、2.5μlの10μMのプライマーミックス、2μlのオムニ・クレンタック・ポリメラーゼ(Omni KlenTaq polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で50μlまで。PCRを、サーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))で、98℃で2分間の変性、その後、98℃で15秒、58℃で1分の5サイクルにより実行し、その後、次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0154】
PCRに使用したプライマーは以下であった:5’AATGATACGGCGACCACCGA3’及び5’CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT3’。これらのオリゴは、インテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。
【0155】
最後に、DNAを、実施例8に記載したように、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製し、20μlのTE緩衝液の中で磁気ビーズから溶離させた。
【0156】
ライブラリーの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。先の工程で得た各ライブラリー1μlを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。結果を図17に示す。いくつかの非特異的産物が最終的なライブラリーの中に存在していた。
【0157】
実施例17
本明細書に記載の方法を使用してライブラリーを作製できる。例えば、図18は、2915対のプライマーを含むライブラリーの生産において非特異的増幅産物を除去する為のリゾルバーゼの使用の結果を説明している。
【0158】
この実施例では、実施例8で記載したようなプライマーパネルキアゲン・ジーンリード・ディー・エヌ・エー・シーク・ヒト乳癌パネル(Qiagen GeneRead DNAseq human breast cancer panel)(キアゲン社(Qiagen)、カタログ番号NGHS−001X−12)を使用して、ライブラリーを作製する為のワークフローを試験した。その後、マルチプレックスPCR及びDNA精製を実施例8に記載したように行った。精製したDNAを20μlの蒸留水の中でマグネティックビーズから溶離させた。
【0159】
DNAフラグメントを、先に精製したDNA溶液に対して以下を添加することにより合計40μlの中で平滑末端にした:4μlの10×ブラントエンドバッファー(Blunt end Buffer)(1×ブラントバッファー(blunt buffer):それぞれ50mMのTris−HCl(pH7.6)、10mMのMgCl2、10mMのβ−メルカプトエタノール、1mMのATP、0.4mMのdNTP)、12単位のT4 DNAポリメラーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4DP−100)、40単位のポリヌクレオチドキナーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4PK−100)。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを室温で10分間インキュベートした。
【0160】
反応後、実施例8で記載したように、DNAを1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。DNAを20μlの蒸留水の中でマグネティックビーズから溶離させた。
【0161】
以下の構成成分を精製したDNA溶液に添加した:4μlの10×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer)(1×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer):50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2)、0.5μlの100mMのATP、1μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で40μLまで。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを72℃で10分間インキュベートした。
【0162】
インキュベーション後、反応混合物を、緩衝液を交換せずにこの工程に直接進めた。以下の構成成分を、各上記反応物に直接添加した:20μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、2μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0163】
反応後、実施例8で記載したように、DNAを1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製し、10μlの蒸留水の中で溶離させた。
【0164】
アダプターの連結の為に、2つのオリゴヌクレオチドをインテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。一方のオリゴは、イルミナ・トゥルーシーク・ユニバーサルアダプター(Illumina TruSeq universal adapter)(5’AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT3’)と同じヌクレオチド配列を有しており、他方は、トゥルーシーク・アダプター・インデックス1(TruSeq adapter index 1)(5’PGATCGGAAGAGCACACGTCTGAACTCCAGTCACATCACGATCTCGTATGCCGTCTTCTG3’)と同じ配列を有する。ここでは、は、配列に更に付加されたホスホロチオエート結合を表す。二本鎖アダプターを作製する為に、上記オリゴを、0.2mlの薄壁PCRチューブ中の100μlの全量の中で、1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(50mMのTrisHCl(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのATP、10mMのDTT)中に、それぞれ10μMで一緒に混合した。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))の中に置き、95℃で2分間、75℃で1分間、55℃で1分間加熱し、次の工程に進めるまで25℃に保持した。
【0165】
以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:4μlのT4 DNAリガーゼ緩衝液、2μlの10μMのアダプター、1μlのT4 DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0202S)、1μlの9°N商標)DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0238S)、及び蒸留水で40μLまで。16℃で15分間、次いで45℃で15分間インキュベートした。
【0166】
以下の構成成分を上記反応に直接添加した:1ulのラムダエキソヌクレアーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0262S)、1ulの大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼI(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0293S)。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0167】
反応後、DNAを、実施例8に記載したように、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製し、20μlの蒸留水の中で溶離させた。
【0168】
上記工程により得たDNAフラグメントを、PCRによって5サイクル更に増幅した。以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:5μlの10×PCR緩衝液、2.5μlの10μMのプライマーミックス、2μlのオムニ・クレンタック・ポリメラーゼ(Omni KlenTaq polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で50μlまで。PCRを、サーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))で、98℃で2分間の変性、その後、98℃で15秒、58℃で1分の5サイクルにより実行し、その後、次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0169】
PCRに使用したプライマーは以下であった:5’AATGATACGGCGACCACCGA3’及び5’CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT3’。これらのオリゴは、インテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。
【0170】
最後に、DNAを、実施例8に記載したように、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製し、20μlのTE緩衝液の中で磁気ビーズから溶離させた。
【0171】
ライブラリーの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。先の工程で得た各ライブラリー1μlを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。結果を図18に示す。この実施例では、標的増幅産物が200〜300bpの間のピークにより示される。ごくわずかなバックグラウンドが上記で議論したリゾルバーゼ処理後に残っている。
【0172】
実施例18
図19は、シーケンシング用の207対のプライマーを用いて作製したライブラリーの別の例を説明している。この実施例では、イオンアンプリシーク(商標)ホットスポットキャンサーパネルv2(Ion AmpliSeqTM hotspot cancer panel v2)(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4475346)のプライマーパネルをマルチプレックスPCRにおいて使用した。このプライマーパネルは、50の発癌遺伝子及び腫瘍抑制遺伝子に由来するおよそ2,800のCOSMIC突然変異を網羅する。これは1つのプールの中に207のプライマー対を有する。マルチプレックスPCR反応を10μl中で行った。以下の構成成分を0.2mlの薄壁PCRチューブ(トーマスサイエンティフィック社(Thomas Scientific)、スナップストリップIIナチュラル0.2ml PCRストリップチューブ(Snapstrip II natural 0.2ml PCR strip tube)、カタログ番号1228F73)のそれぞれに添加した:5μlの2倍に濃縮したプライマープール、1μlの10×PCR緩衝液(1×PCR緩衝液:それぞれ50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、5mMのMgCl2、0.8mMのdNTP)、2μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)(エンザイマティック社(Enzymatics)、P7500−LC−F)、1μlの10ng/μlのヒトDNA(コーリエル社(Coriell Institute)、NA12878)、及び1μlの蒸留水。
【0173】
0.2mlの薄壁PCRチューブに付属のキャップで蓋をし、3秒間軽くボルテックスし、そしてミニセントリフュージ(ピペットコム社(Pipette.com)、マイフュージ12プレイスミニセントリフュージ(MyFuge 12 place mini centrifuge)、カタログ番号C1012)の中で3秒間回転させた。PCR反応混合物の表面を覆う為の鉱油は必要なかった。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated)、ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4314878)の中に置いた。
【0174】
PCRは、最初に98℃で2分間保ち、続いて、98℃で15秒間の変性及びアニーリング及び60℃で4分間の合成を17サイクル行った。サイクル後、反応物を次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0175】
PCR後、常磁性ビーズを用いてDNAを吸着し、次いで上記常磁性ビーズを70%のエタノールで洗浄して、タンパク質、dNTP、塩、及びPCRプライマーの部分を取り除く除去した。常磁性ビーズはアムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)(アムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)、MagSi−NGSprep、カタログ番号MD61021)によるものであった。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、次に、増幅させて混合したアンプリコンの体積の1.6倍に相当する64μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。マグネティックラックの内側の磁石は、ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)によるものであった(ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)、カタログ番号D4X0DIA−N52)。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、20μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0176】
DNAフラグメントを、先に精製したDNA溶液に対して以下を添加することにより合計40μlの中で平滑末端にした:4μlの10×ブラントエンドバッファー(Blunt end Buffer)(1×ブラントバッファー(blunt buffer):それぞれ50mMのTris−HCl(pH7.6)、10mMのMgCl2、10mMのβ−メルカプトエタノール、1mMのATP、0.4mMのdNTP)、12単位のT4 DNAポリメラーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4DP−100)、40単位のポリヌクレオチドキナーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4PK−100)。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを室温で10分間インキュベートした。
【0177】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、64μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、20μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0178】
以下の構成成分を精製したDNA溶液に添加した:4μlの10×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer)(1×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer):50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2)、0.5μlの100mMのATP、1μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で40μLまで。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを72℃で10分間インキュベートした。
【0179】
インキュベーション後、反応混合物を、緩衝液を交換せずにこの工程に直接進めた。以下の構成成分を、各上記反応物に直接添加した:20μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、2μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0180】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、128μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、10μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0181】
アダプターとの連結の為に、2つのオリゴヌクレオチドをインテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。一方のオリゴは、イルミナ・トゥルーシーク・ユニバーサルアダプター(Illumina TruSeq universal adapter)(5’AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT3’)と同じヌクレオチド配列を有しており、他方は、トゥルーシーク・アダプター・インデックス1(TruSeq adapter index 1)(5’PGATCGGAAGAGCACACGTCTGAACTCCAGTCACATCACGATCTCGTATGCCGTCTTCTG3’)と同じ配列を有する。ここでは、は、配列に更に付加されたホスホロチオエート結合を表す。二本鎖アダプターを作製する為に、上記オリゴを、0.2mlの薄壁PCRチューブ中の100μlの全量の中で、1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(50mMのTrisHCl(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのATP、10mMのDTT)中に、それぞれ10μMで一緒に混合した。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))の中に置き、95℃で2分間、75℃で1分間、55℃で1分間加熱し、次の工程に進めるまで25℃に保持した。
【0182】
以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:4μlのT4 DNAリガーゼ緩衝液、2μlの10μMのアダプター、1μlのT4 DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0202S)、1μlの9°N(商標)DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0238S)、及び蒸留水で40μLまで。16℃で15分間、次いで45℃で15分間インキュベートした。
【0183】
以下の構成成分を上記反応に直接添加した:1ulのラムダエキソヌクレアーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0262S)、1ulの大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼI(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0293S)。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0184】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、64μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、20μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0185】
上記工程により得たDNAフラグメントを、PCRによって5サイクル更に増幅した。以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:5μlの10×PCR緩衝液、2.5μlの10μMのプライマーミックス、2μlのオムニ・クレンタック・ポリメラーゼ(Omni KlenTaq polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で50μlまで。PCRを、サーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))で、98℃で2分間の変性、次いで、98℃で15秒、58℃で1分の5サイクルにより実行し、その後、次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0186】
PCRに使用したプライマーは以下であった:5’AATGATACGGCGACCACCGA3’及び5’CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT3’。これらのオリゴは、インテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。
【0187】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、64μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、20μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0188】
ライブラリーの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。先の工程で得た各ライブラリー1μlを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。結果を図19に示す。このライブラリーをシークマティック・エル・シー・シー社(SeqMatic LLC)(フリーモント(Fremont),CA 94539)によりシーケンシング及び分析し、結果を図22(表1)に示す。このライブラリーは300塩基対(例えば、200〜400bp)の主要なピークを有していた。表1は、207対のプライマーを用いたライブラリーのシーケンシング結果の質的確認を示している。詳細の最重要点は、PCT_PF_UQ_READS_ALIGNED 99.46%、PCT_AMPLIFIED_BASES 95.63%、平均値の≧20%にあるアンプリコンの百分率98.55%である。被覆率(PCT_TARGET_BASES_2X−PCT_TARGET_BASES_100X)は、この実施例では優れた(99.97〜100%)被覆率を示し、一方、均一性(98.55%の平均値の≧20%にあるアンプリコンの百分率)は極めて高かった。
【0189】
実施例19
図20は、シーケンシング用の207対の長いプライマーを用いて本明細書に記載したように作製したライブラリーの別の例を示している。このライブラリーの分析を図23の表(表2)に示す。この実施例では、プライマーパネルは、5’CCTACACGACGCTCTTCCGATCT3’を各正方向プライマーの5’末端に付加し、5’TTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCT3’を各逆方向プライマーの5’末端に付加したことを除いて、イオンアンプリシーク(商標)ホットスポットキャンサーパネルv2(Ion AmpliSeqTM hotspot cancer panel v2)(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4475346)のプライマーパネルと同じであった。これらの「長い」プライマーは、PCRの更なる回によるアンプリコン上へのアダプターの容易な付加を可能にする。マルチプレックスPCR反応を10μl中で行った。以下の構成成分を0.2mlの薄壁PCRチューブ(トーマスサイエンティフィック社(Thomas Scientific)、スナップストリップIIナチュラル0.2ml PCRストリップチューブ(Snapstrip II natural 0.2ml PCR strip tube)、カタログ番号1228F73)のそれぞれに添加した:5μlの2倍に濃縮したプライマープール、1μlの10×PCR緩衝液(1×PCR緩衝液:それぞれ50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、5mMのMgCl2、0.8mMのdNTP)、2μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)(エンザイマティック社(Enzymatics)、P7500−LC−F)、1μlの10ng/μlのヒトDNA(コーリエル社(Coriell Institute)、NA12878)、及び1μlの蒸留水。
【0190】
0.2mlの薄壁PCRチューブに付属のキャップで蓋をし、3秒間軽くボルテックスし、そしてミニセントリフュージ(ピペットコム社(Pipette.com)、マイフュージ12プレイスミニセントリフュージ(MyFuge 12 place mini centrifuge)、カタログ番号C1012)の中で3秒間回転させた。PCR反応混合物の表面を覆う為の鉱油は必要なかった。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated)、ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4314878)の中に置いた。
【0191】
PCRは、最初に2分間98℃に保持し、続いて、98℃で15秒間の変性及びアニーリング及び60℃で4分間の合成を17サイクル行った。サイクル後、反応物を次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0192】
PCR後、常磁性ビーズを用いてDNAを吸着し、次いで上記常磁性ビーズを70%のエタノールで洗浄して、タンパク質、dNTP、塩、及びPCRプライマーの部分を取り除く除去した。常磁性ビーズはアムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)(アムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)、MagSi−NGSprep、カタログ番号MD61021)によるものであった。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、次に、増幅させて混合したアンプリコンの体積の1.6倍に相当する64μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。マグネティックラックの内側の磁石は、ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)によるものであった(ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)、カタログ番号D4X0DIA−N52)。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、20μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0193】
以下の構成成分を、各上記反応物に直接添加した:20μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、2μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0194】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、128μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、10μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0195】
上記工程により得たDNAフラグメントを、PCRによって5サイクル更に増幅した。以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:5μlの10×PCR緩衝液、2.5μlの10μMのプライマーミックス、2μlのオムニ・クレンタック・ポリメラーゼ(Omni KlenTaq polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で50μlまで。PCRを、サーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))で、98℃で2分間の変性、その後、98℃で15秒、58℃で1分の5サイクルにより実行し、その後、次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0196】
PCRに使用したプライマーは以下であった:5’AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT3’及び5’GATCGGAAGAGCACACGTCTGAACTCCAGTCACATCACGATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG3’。これらのオリゴは、インテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。
【0197】
ライブラリーの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。先の工程で得た各ライブラリー1μlを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。結果を図20に示す。このライブラリーをシークマティック・エル・シー・シー社(シークマティック・エル・シー・シー社(SeqMatic LLC))(フリーモント(フリーモント(Fremont)),CA 94539)によりシーケンシング及び分析し、結果を図23の表2に表した。このライブラリーは300塩基対(例えば、200〜400)の主要なピークを有していた。図23に示した207対の長いプライマーを用いたライブラリーのシーケンシング結果の質的確認は、PCT_PF_UQ_READS_ALIGNED 99.62%、PCT_AMPLIFIED_BASES 98.94%、及び高い均一性(例えば、平均値の≧20%にあるアンプリコンの百分率97.52%)を含む詳細の最重要点を示している。
【0198】
実施例20
図21Aは、非特異的増幅産物を減少させる為のリゾルバーゼでの処理を含め本明細書に記載したように作製したライブラリーの別の例の結果を示している。ここでは、ライブラリーを、シーケンシング用の16000対のプライマーを用いて作製した。表3(図24)はこのライブラリーの分析を記載している。
【0199】
プライマーパネルは、イオンアンプリシーク(商標)コンプリヘンシブ・キャンサー・パネル(Ion AmpliSeq(商標)comprehensive cancer panel)(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4477685)であった。このプライマーパネルは、頻繁に突然変異する、学術論文に記載されている409の重要な腫瘍抑制遺伝子及び発癌遺伝子の全てのエキソンを網羅する。これは、4つのプールの中に16000のプライマー対を有し、各プールがおよそ4,000のプライマー対を有する。アンプリコンの長さは125〜175塩基対までの範囲であり、標的領域はおよそ173万塩基を網羅する。ライブラリーをこのパネル及びライフテクノロジーズ社(Life Technologies)のIon AmpliSeq(商標)Library Kit 2.0を用いて作製し、ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)のイオン・ピー・ジー・エム(商標)システム(Ion PGM(商標)system)でシーケンシングした場合、このパネルは、97%の標的塩基(1回の実行あたりマップされた全ての塩基のうち、標的領域にマップされた塩基)について>20%のシークエンシング深度中央値で94%のカバー率が報告されている。マルチプレックスPCRでは、4つのプライマープールのそれぞれに鋳型としての10ngのヒトゲノムDNAが必要であり、パネル全体を網羅する為には合計40ngが必要である。このプライマーパネルの各プライマーの中には少なくとも1つのウラシルヌクレオチドが存在する。このプライマーパネルは2倍濃縮されている。従って、4つのPCR反応をプライマーの4つのプールのそれぞれを用いて行った。
【0200】
マルチプレックスPCR反応を10μl中で行った。以下の構成成分を0.2mlの薄壁PCRチューブ(トーマスサイエンティフィック社(Thomas Scientific)、スナップストリップIIナチュラル0.2ml PCRストリップチューブ(Snapstrip II natural 0.2ml PCR strip tube)、カタログ番号1228F73)のそれぞれに添加した:5μlの2倍に濃縮したプライマープール、1μlの10×PCR緩衝液(1×PCR緩衝液:それぞれ50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、5mMのMgCl2、0.8mMのdNTP)、2μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)(エンザイマティック社(Enzymatics)、P7500−LC−F)、1μlの10ng/μlのヒトDNA(コーリエル社(Coriell Institute)、NA12878)、及び1μlの蒸留水。イオンアンプリシーク(商標)コンプリヘンシブ・キャンサー・パネル(Ion AmpliSeq(商標)comprehensive cancer panel)について4つのマルチプレックスPCR反応が存在した。
【0201】
0.2mlの薄壁PCRチューブに付属のキャップで蓋をし、3秒間軽くボルテックスし、そしてミニセントリフュージ(ピペットコム社(Pipette.com)、マイフュージ12プレイスミニセントリフュージ(MyFuge 12 place mini centrifuge)、カタログ番号C1012)の中で3秒間回転させた。PCR反応混合物の表面を覆う為の鉱油は必要なかった。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated)、ライフテクノロジーズ社(Life Technologies)、カタログ番号4314878)の中に置いた。以下の2種類の温度プロフィールをプライマーパネルのそれぞれについて実行した。
【0202】
PCRは、最初に2分間98℃に保持し、続いて、98℃で15秒間の変性及びアニーリング及び60℃で8分間の合成を13サイクル行った。サイクル後、反応物を次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0203】
PCR後、いずれかのイオンアンプリシーク(商標)コンプリヘンシブ・キャンサー・パネル(Ion AmpliSeq(商標)comprehensive cancer panel)のフルプライマーパネルを表している4つの反応を合わせて1つにし、40μlの増幅させたアンプリコンライブラリーの1つのチューブを得た。常磁性ビーズを用いてDNAを吸着し、次いで上記常磁性ビーズを70%のエタノールで洗浄して、タンパク質、dNTP、塩、及びPCRプライマーの部分を取り除く除去した。常磁性ビーズはアムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)(アムスバイオ・エル・シー・シー社(Amsbio LLC)、MagSi−NGSprep、カタログ番号MD61021)によるものであった。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、次に、増幅させて混合したアンプリコンの体積の1.6倍に相当する64μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。マグネティックラックの内側の磁石は、ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)によるものであった(ケイ・ジェイ・マグネティクス社(KJ Magnetics)、カタログ番号D4X0DIA−N52)。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、20μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0204】
DNAフラグメントを、先に精製したDNA溶液に対して以下を添加することにより合計40μlの中で平滑末端にした:4μlの10×ブラントエンドバッファー(Blunt end Buffer)(1×ブラントバッファー(blunt buffer):それぞれ50mMのTris−HCl(pH7.6)、10mMのMgCl2、10mMのβ−メルカプトエタノール、1mMのATP、0.4mMのdNTP)、12単位のT4 DNAポリメラーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4DP−100)、40単位のポリヌクレオチドキナーゼ(モレキュラー・クローニング・ラボラトリーズ(Molecular Cloning laboratories)、カタログ番号T4PK−100)。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを室温で10分間インキュベートした。
【0205】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、64μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、20μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0206】
以下の構成成分を精製したDNA溶液に添加した:4μlの10×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer)(1×Aテーリングバッファー(A-tailing buffer):50mMのTrisHCl(pH8.3)、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2)、0.5μlの100mMのATP、1μlのオムニ・クレンタックDNAポリメラーゼ(Omni KlenTaq DNA polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で40μLまで。各チューブの中の反応混合物を、最初にミニセントリフュージの中で3秒間軽く回転させてチューブの底に全ての液滴を集め、3秒間ボルテックスし、その後、再び3秒間回転させて反応物の均一性を確保した。チューブを72℃で10分間インキュベートした。
【0207】
インキュベーション後、反応混合物を、緩衝液を交換せずにこの工程に直接進めた。以下の構成成分を、各上記反応物に直接添加した:20μlの2×消化緩衝液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、15mMのMgCl2、20mMのβ−メルカプトエタノール)、2μlのT4エンドヌクレアーゼVII(アフィメトリクス社(Affymetrix)、部品番号78300 50KU)、18ulの蒸留水。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0208】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、128μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、10μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0209】
アダプターとの連結の為に、2つのオリゴヌクレオチドをインテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。一方のオリゴは、イルミナ・トゥルーシーク・ユニバーサルアダプター(Illumina TruSeq universal adapter)(5’AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT3’)と同じヌクレオチド配列を有しており、他方は、トゥルーシーク・アダプター・インデックス1(TruSeq adapter index 1)(5’PGATCGGAAGAGCACACGTCTGAACTCCAGTCACATCACGATCTCGTATGCCGTCTTCTG3’)と同じ配列を有する。ここでは、は、配列に更に付加されたホスホロチオエート結合を表す。二本鎖アダプターを作製する為に、上記オリゴを、0.2mlの薄壁PCRチューブ中の100μlの全量の中で、1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(50mMのTrisHCl(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのATP、10mMのDTT)中に、それぞれ10μMで一緒に混合した。チューブをサーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96-well gold plated))の中に置き、95℃で2分間、75℃で1分間、55℃で1分間加熱し、次の工程に進めるまで25℃に保持した。
【0210】
以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:4μlのT4 DNAリガーゼ緩衝液、2μlの10μMのアダプター、1μlのT4 DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0202S)、1μlの9°N(商標)DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0238S)、及び蒸留水で40μLまで。16℃で15分間、次いで45℃で15分間インキュベートした。
【0211】
以下の構成成分を上記反応に直接添加した:1ulのラムダエキソヌクレアーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0262S)、1ulの大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼI(ニュー・イングランド・バイオラボ社(New England BioLabs Inc.)、カタログ番号M0293S)。反応物を37℃で5分間インキュベートした。
【0212】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、64μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、20μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0213】
上記工程により得たDNAフラグメントを、PCRによって5サイクル更に増幅した。以下の構成成分を上記DNA溶液に添加した:5μlの10×PCR緩衝液、2.5μlの10μMのプライマーミックス、2μlのオムニ・クレンタック・ポリメラーゼ(Omni KlenTaq polymerase)(4.2単位/μl)、及び蒸留水で50μlまで。PCRを、サーモスサイクラー(ジーンアンプ(登録商標)PCRシステム9700 96ウェルゴールドプレーティッド(GeneAmp(登録商標)PCR system 9700 96−well gold plated))で、98℃で2分間の変性、次いで、98℃で15秒間、58℃で1分間の5サイクルにより実行し、その後、次の工程に進めるまで10℃に保持した。
【0214】
PCRに使用したプライマーは以下であった:5’AATGATACGGCGACCACCGA3’及び5’CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT3’。これらのオリゴは、インテグレイティッドDNAテクノロジーズ株式会社(Integrated DNA Technologies)により合成した。
【0215】
反応後、DNAを、1.6倍量のMagSi−NGSprepビーズで1回精製した。MagSi−NGSprepビーズをボルテックスにより容器内で均一になるように懸濁し、64μlのMagSi−NGSprepビーズを各チューブに添加した。これらのチューブを5秒間ボルテックスすることにより混合し、室温で5分間インキュベートした。その後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの上に2分間置いてビーズを捕捉した。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。マグネティックラックからチューブを動かさずに、150μlの新しく作った70%エタノールを各チューブに添加した。次いで、チューブをマグネットラック上で180度回転させて、各チューブの内壁の一方の側からビーズペレットを剥がし、反対側にペレットさせた。溶液が透明になった後、ビーズペレットをかき乱さないように上清を注意深くピペッティングにより取り出し、廃棄した。ビーズをこの方法で計2回、70%エタノールで洗浄した。最後の洗浄において70%エタノールをピペッティングにより取り出した後、チューブをミニセントリフュージの中で3秒間回転させた。チューブの内側に残留している全てのエタノールの液滴を、ビーズペレットをかき乱すことなく、ピペッティングにより取り出した。ビーズペレットを、チューブのキャップを開けてマグネットラック上で室温で3分間風乾させた。最後に、チューブをマグネティックラックから取り出し、20μlの蒸留水を各チューブに添加した。チューブを5秒間激しくボルテックスしてビーズを蒸留水に再懸濁させ、ミニセントリフュージの中で3秒間回転させ、マグネティックラックの中に2分間置いた。溶液が透明になった後、溶離したDNAフラグメントを含有する上清を、それぞれ新しいチューブに移した。
【0216】
ライブラリーの大きさ、濃度、及び純度を2100バイオアナライザー機器(2100 BioAnalyzer instrument)(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号G2938B)でアッセイした。先の工程で得た各ライブラリー1μlを高感度DNA分析キット(アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、カタログ番号5067−4626)で、供給業者により提供される方法に従ってアッセイした。結果を図21Bに示す。このライブラリーをシークマティック・エル・シー・シー社(SeqMatic LLC)(フリーモント(Fremont),CA 94539)によりシーケンシング及び分析し、結果を表3(図24)に表した。図21Aで概要を説明したように、ライブラリー(次世代シーケンシングに使用できる)を、16000対のプライマー及びヒトゲノムDNA(NA12878)を用いて、実施例3に記載した方法により作製し、最終的なライブラリーを図21Bに示した。このライブラリーは、300塩基対(200〜400bp)の1つのピークがある。表3(図24)に示すように、16000対のプライマーを用いて作製したこのライブラリーのシーケンシング結果の質的確認は、高い被覆率と均一性の両方を生じる(例えば、PCT_PF_UQ_READS_ALIGNED 98.18%、PCT_AMPLIFIED_BASES 99.39%、平均値の≧20%にあるアンプリコンの百分率95.20%)。
【0217】
本明細書中で使用されている用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。例えば、本明細書中で使用される場合、単数形「ある(a、an)」、及び「上記(the)」は、文脈が明白にそうでないことを示していない限りは、複数形も同様に含むことが意図される。更に、用語「含む(comprise)」及び/又は「含む(comprising)」は、本明細書中で使用される場合、記載される特徴、工程、操作、要素、及び/又は構成成分の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、工程、操作、要素、構成成分、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことが、理解されるであろう。本明細書中で使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は、関連する列挙された要素のうちの1つ以上の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを含み、「/」により省略される場合がある。
【0218】
用語「第1の(first)」及び「第2(second)」は本明細書において様々な特徴/要素(工程を含む)を説明する為に使用され得るが、これらの特徴/要素は、文脈がそうでないことを示していない限りは、これらの用語によって限定されないものとする。これらの用語は、1つの特徴/要素を別の特徴/要素と区別する為に使用され得る。従って、本発明の教示から逸脱することなく、以下で議論される第1の特徴/要素を、第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下で議論される第2の特徴/要素を第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0219】
本明細書及び以下の特許請求の範囲全体を通じて、文脈がそうでないことを求めていない限りは、用語「含む(comprise、comprises)」及び「含む(comprising)」のようなバリエーションは、様々な構成成分をその方法及び物品の中で一緒に利用できることを意味する(例えば、組成物、並びにデバイス及び方法を含む装置)。例えば、用語「含む(comprising)」は、任意の記載される要素又は工程の包含を暗に意味するものとして理解され、任意の他の要素又は工程の排除を意味するものとしては理解されないであろう。
【0220】
明細書及び特許請求の範囲においてで使用され(実施例で使用される場合を含む)、そうでないことが明白に記載されていない場合は、用語「約(about)」又は「およそ(approximately)」が明記されていなくても、全ての数値に用語「約(about)」又は「およそ(approximately)」が先行するものとして読むことができる。表現「約(about)」又は「およそ(approximately)」は、大きさ及び/又は位置を説明する際に使用される場合があり、これは、記載された値及び/又は位置が、妥当な予想される値及び/又は位置の範囲内に収まることを指示する。例えば、ある数値は、記載された値(又は値の範囲)の+/−0.1%である値、記載された値(又は値の範囲)の±1%、記載された値(又は値の範囲)の±2%、記載された値(又は値の範囲)の±5%、記載された値(又は値の範囲)の±10%等の値を有し得る。文脈がそうでないことを示していない限りは、本明細書に提供される任意の数値はまた、約その値又はおよそその値も含むと理解されるものとする。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」もまた開示される。本明細書に記載の値の範囲は、その中に包含される全ての副範囲を含むことを意図している。ある値が、その値「以下」であると開示される場合は、当業者には適切に理解されているように、「その値以上」及び、値の間の可能な範囲もまた開示されることもまた理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」及び「X以上」(ここでは、Xは数値である)もまた開示される。明細書全体を通して、データが多数の異なる形式で提供されいること、並びにこのデータが、終点及び始点、並びに複数のデータ点の任意の組み合せの範囲を表すこともまた理解される。例えば、特定のデータ点「10」と、特定のデータ点「15」とが開示される場合、10及び15より大きい、10及び15以上、10及び15未満、10及び15以下、並びに10及び15と等しいことが開示され、更には、10〜15も同様に開示されるとみなされることが理解される。また、2つの特定の単位間にある各単位もまた開示されることも理解される。例えば、10及び15が開示される場合は、11、12、13、及び14もまた開示される。
【0221】
様々な説明の為の実施形態について上に記載してきたが、特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対して任意の多数の変更を行うことができる。例えば、記載された様々な方法の工程が行われる順序は、代替的な実施形態では変更される場合があり、他の代替的な実施形態では、1つ以上の方法の工程が完全にスキップされる場合がある。様々なデバイス及びシステムの実施形態の随意の特徴を、いくつかの実施形態では含めることができ、また他の実施形態では含めないこともできる。従って、上記の説明は、主に例示を目的として提供されたものであり、特許請求の範囲に示される本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
【0222】
本明細書に含まれる実施例及び図は、限定ではなく例示として、本主題を実施できる特定の実施形態を示している。上記のように、他の実施形態を例示した実施形態から利用及び導き出すことができ、その結果、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的な置換及び変更を行うことができる。本主題のそのような実施形態は、本明細書において、単に便宜上、用語「発明(invention)」によって個別的及び/又は集合的に呼称され得るが、これは、2以上の発明が実際に開示されている場合に、本出願の範囲をいずれか1つの発明又は創造的な発想に自発的に限定することを意図するものではない。従って、特定の実施形態について本明細書中で説明及び記載してきたが、同じ目的を達成する為に算出される任意の構成で、示されている特定の実施形態を置換してもよい。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる応用形態又は変形形態を網羅することを意図している。上記説明を検討すれば、上記実施形態及び本明細書で詳細には説明されていない他の実施形態の組み合せが、当業者には明らかであろう。
〔付記1〕
鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法であって、
前記方法は:
複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅する工程であって、前記増幅工程は、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を生じさせる、工程;
異常なDNA構造を認識するリゾルバーゼを導入する工程;並びに
前記非特異的増幅産物をリゾルバーゼで切断して、前記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程
を含み、
前記リゾルバーゼは、T4エンドヌクレアーゼVII又はT7エンドヌクレアーゼIのうちの一方である、方法。
〔付記2〕
前記切断された非特異的増幅産物を除去し、前記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を残す工程を更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記3〕
前記標的特異的増幅産物を分析する工程を更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記4〕
前記分析工程は、次世代シーケンシング反応を含む、付記3に記載の方法。
〔付記5〕
前記増幅工程は、マルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、付記1に記載の方法。
〔付記6〕
前記標的核酸は、DNA又はRNAを含む、付記1に記載の方法。
〔付記7〕
前記標的核酸は、ゲノムDNA又はcDNAである、付記1に記載の方法。
〔付記8〕
前記標的特異的プライマーは、少なくとも10対の前記標的特異的プライマーを含む、付記1に記載の方法。
〔付記9〕
前記標的特異的プライマーは、10対〜1000対の前記標的特異的プライマーを含む、付記1に記載の方法。
〔付記10〕
前記標的特異的プライマーは、1,000〜約100,000対の前記標的特異的プライマーを含む、付記1に記載の方法。
〔付記11〕
前記標的特異的プライマーは、100,000超の前記標的特異的プライマーを含む、付記1に記載の方法。
〔付記12〕
前記リゾルバーゼは、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含む、異常なDNA構造を認識する、付記1に記載の方法。
〔付記13〕
前記リゾルバーゼは、T4エンドヌクレアーゼVIIである、付記1に記載の方法。
〔付記14〕
前記非特異的増幅産物をエキソヌクレアーゼで切断する工程を更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記15〕
前記非特異的増幅産物をエキソヌクレアーゼで切断する工程を更に含み、
前記非特異的増幅産物をエキソヌクレアーゼで切断する前記工程は、前記複数の標的特異的増幅産物及び前記複数の非特異的増幅産物上で末端修復を行った後に、ラムダエキソヌクレアーゼ又は大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼIのうちの少なくとも一方を含むエキソヌクレアーゼで前記非特異的増幅産物を切断する工程を含む、付記1に記載の方法。
〔付記16〕
前記複数の標的特異的増幅産物及び前記複数の非特異的増幅産物上で末端修復を行う工程を更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記17〕
前記リゾルバーゼを導入する前記工程の前に、前記複数の標的特異的増幅産物及び前記複数の非特異的増幅産物上で末端修復を行う工程を更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記18〕
前記リゾルバーゼを導入する前記工程の後に、前記複数の標的特異的増幅産物の前記かなりの割合に対してアダプターを連結させる工程を更に含む、付記1に記載の方法。
〔付記19〕
前記アダプターは、少なくとも3個の連続するホスホロチオエートを含む、付記18に記載の方法。
〔付記20〕
前記リゾルバーゼで前記非特異的増幅産物を切断する前記工程は、前記非特異的増幅産物及び前記複数の標的特異的増幅産物を、約0.2U〜1000Uのリゾルバーゼに対して、0.5分〜60分、16℃〜37℃で曝露する工程を含む、付記1に記載の方法。
〔付記21〕
前記複数の標的特異的増幅産物の前記かなりの割合は、前記複数の標的特異的増幅産物の50%超を含む、付記1に記載の方法。
〔付記22〕
鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法であって、
前記方法は:
複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅することにより、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む混合物を形成する工程;
異常なDNA構造を認識するリゾルバーゼを前記混合物に導入し、前記複数の非特異的増幅産物を前記リゾルバーゼで切断して、前記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程であって、前記リゾルバーゼは、T4エンドヌクレアーゼVII又はT7エンドヌクレアーゼIのうちのである、工程;並びに
前記切断された非特異的増幅産物を除去し、前記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を残す工程
を含む、方法。
〔付記23〕
鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法であって、
前記方法は:
複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅することにより、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む混合物を形成する工程;
T4エンドヌクレアーゼVIIを前記混合物に導入する工程であって、前記T4エンドヌクレアーゼVIIは、前記非特異的増幅産物上の異常なDNA構造を認識する、工程;
前記複数の非特異的増幅産物を前記T4エンドヌクレアーゼVIIで切断して、前記複数の標的特異的増幅産物の50%超を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程;並びに
前記切断された非特異的増幅産物を除去し、前記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を残す工程
を含む、方法。
〔付記24〕
鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法であって、
前記方法は:
複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅することにより、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む混合物を形成する工程;
異常なDNA構造を認識するリゾルバーゼを前記混合物に導入し、前記複数の非特異的増幅産物を前記リゾルバーゼで切断して、前記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、複数の切断された非特異的増幅産物を生じさせる工程であって、前記リゾルバーゼはT4エンドヌクレアーゼVII又はT7エンドヌクレアーゼIのうちの一方である、工程;
前記切断された非特異的増幅産物を除去し、前記複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を残す工程;並びに;
前記標的特異的増幅産物を再増幅する工程
を含む、方法。
〔付記25〕
前記標的特異的増幅産物上のニックをDNAリガーゼで修復する工程を更に含む、付記24に記載の方法。
〔付記26〕
非特異的増幅産物を選択的に除去する鋳型依存性プライマー伸張反応用のキットであって、
前記キットは:
ポリメラーゼ;
複数の標的特異的プライマー対;
増幅緩衝液;リゾルバーゼ緩衝液;
異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識して切断する少なくとも1種のリゾルバーゼ;及び
前記リゾルバーゼを使用した増幅後に、増幅反応による非特異的増幅産物を除去する為の前記キットの使用についての説明書
を含む、キット。
〔付記27〕
少なくとも1つの核酸アダプターを更に含む、付記26に記載のキット。
〔付記28〕
少なくとも1つの核酸アダプターを更に含み、
前記少なくとも1つの核酸アダプターは、少なくとも3個のホスホロチオエートを含む、付記26に記載のキット。
〔付記29〕
前記標的特異的プライマーは、少なくとも10対の標的特異的プライマーを含む、付記26に記載のキット。
〔付記30〕
前記標的特異的プライマーは、約1,000〜約100,000の前記標的特異的プライマーを含む、付記26に記載のキット。
〔付記31〕
前記標的特異的プライマーは、100,000超の前記標的特異的プライマーを含む、付記26に記載のキット。
〔付記32〕
前記リゾルバーゼは、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含む、異常なDNA構造を認識する、付記26に記載のキット。
〔付記33〕
前記リゾルバーゼは、T4エンドヌクレアーゼVIIである、付記26に記載のキット。
〔付記34〕
前記非特異的増幅産物を切断するためのエキソヌクレアーゼを更に含む、付記26に記載のキット。
〔付記35〕
前記非特異的増幅産物を切断するためのエキソヌクレアーゼを更に含み、
前記エキソヌクレアーゼは、ラムダエキソヌクレアーゼ又は大腸菌(E. coli)エキソヌクレアーゼIを含む、付記26に記載のキット。
〔付記36〕
非特異的増幅産物を選択的に除去する鋳型依存性プライマー伸張反応用のキットであって、
前記キットは:
ポリメラーゼ;
複数の標的特異的プライマー対;
増幅緩衝液;
リゾルバーゼ緩衝液;
異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識して切断する少なくとも1種のリゾルバーゼ;
前記標的特異的アンプリコンを再増幅するための再増幅PCRプライマー対;及び
リゾルバーゼを使用した増幅後に増幅反応による非特異的増幅産物を除去する為の前記キットの使用についての説明書
を含む、キット。
〔付記37〕
前記標的特異的プライマーは、少なくとも10対の標的特異的プライマーを含む、付記36に記載のキット。
〔付記38〕
前記標的特異的プライマーは、約1,000〜約100,000の前記標的特異的プライマーを含む、付記36に記載のキット。
〔付記39〕
前記標的特異的プライマーは、100,000超の前記標的特異的プライマーを含む、付記36に記載のキット。
〔付記40〕
前記リゾルバーゼは、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含む、異常なDNA構造を認識する、付記36に記載のキット。
〔付記41〕
前記リゾルバーゼは、T4エンドヌクレアーゼVIIである、付記36に記載のキット。
〔付記42〕
鋳型依存性プライマー伸張反応による非特異的増幅産物を減少させる方法であって、
前記方法は:
複数の標的特異的プライマーの対を使用して、複数の標的核酸を増幅することにより、複数の標的特異的増幅産物及び複数の非特異的増幅産物を含む混合物を形成する工程;
複数の標的特異的増幅産物のかなりの割合を維持しつつ、前記非特異的増幅産物を除去する為に異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合するタンパク質に対して前記混合物を導入する工程であって、前記異常なDNA構造は、ホリデー構造若しくはジャンクション、分岐したDNA、Y構造、十字部、ヘテロデュブレックスループ、かさ高い付加物、一本鎖突出、DNAミスマッチ、又は完全にはマッチしていないDNAのうちの少なくとも1つを含む、工程
を含む、方法。
〔付記43〕
前記異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合する前記タンパク質は、MutSである、付記42に記載の方法。
〔付記44〕
前記異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合する前記タンパク質は、基体に連結される、付記42に記載の方法。
〔付記45〕
前記標的特異的増幅産物を分析する工程を更に含む、付記42に記載の方法。
〔付記46〕
前記標的特異的増幅産物を分析する工程を更に含み、
前記分析工程は、次世代シーケンシング反応を含む、付記42に記載の方法。
〔付記47〕
前記増幅工程は、マルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、付記42に記載の方法。
〔付記48〕
前記標的核酸は、DNA又はRNAを含む、付記42に記載の方法。
〔付記49〕
前記標的核酸は、ゲノムDNA又はcDNAである、付記42に記載の方法。
〔付記50〕
前記標的特異的プライマーは、少なくとも10対の前記標的特異的プライマーを含む、付記42に記載の方法。
〔付記51〕
前記標的特異的プライマーは、約1,000〜約100,000の前記標的特異的プライマーを含む、付記42に記載の方法。
〔付記52〕
前記標的特異的プライマーは、100,000超の前記標的特異的プライマーを含む、付記42に記載の方法。
〔付記53〕
前記異常なDNA構造を有するポリヌクレオチドを認識し、それに結合するタンパク質に対して、前記混合物を導入する前記工程は、前記非特異的増幅産物及び前記複数の標的特異的増幅産物を、0.5分〜20分、20℃〜40℃で、インキュベートする工程を含む、付記42に記載の方法。
〔付記54〕
前記複数の標的特異的増幅産物の前記かなりの割合は、前記複数の標的特異的増幅産物の50%超を含む、付記42に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24