特許第6755891号(P6755891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6755891ニードルシースのための把持具、キャップ、自動注射器および把持具を生産する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755891
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】ニードルシースのための把持具、キャップ、自動注射器および把持具を生産する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20200907BHJP
【FI】
   A61M5/32 502
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-562584(P2017-562584)
(86)(22)【出願日】2016年6月2日
(65)【公表番号】特表2018-520738(P2018-520738A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】EP2016062459
(87)【国際公開番号】WO2016193353
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年5月24日
(31)【優先権主張番号】15170595.1
(32)【優先日】2015年6月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マーク・ケンプ
(72)【発明者】
【氏名】ルイーズ・ホジソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・サイクス
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/154498(WO,A1)
【文献】 特表2011−528247(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02361648(EP,A1)
【文献】 特開平09−285542(JP,A)
【文献】 特表2014−530083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針(4)を覆って取り外し可能に配置される、ニードルシース(5)のための把持具(11.2)であって、
シート(11.11)から形成され、複数のキャリア部(11.5)を形成するために、複数の長手方向の折り目の縁部(11.4)に沿って複数折り曲げられた把持キャリア(11.3)であって、複数のキャリア部(11.5)のうちの2つ以上が、該キャリア部(11.5)の表面から突出するそれぞれのバーブ(11.8)を有する把持キャリアを含む、前記把持具。
【請求項2】
把持キャリア(11.3)は1枚の金属シートである、請求項1に記載の把持具(11.2)。
【請求項3】
折り曲げられる前の状態で、把持キャリア(11.3)は平坦である、請求項1または2に記載の把持具(11.2)。
【請求項4】
折り曲げられた状態で、把持キャリア(11.3)は多角形断面を有するパイプ形態または円筒形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の把持具(11.2)。
【請求項5】
把持キャリア(11.3)は、外側のキャリア部(11.5)が一部重複するように折り曲げられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の把持具(11.2)。
【請求項6】
複数のキャリア部(11.5)のうちの少なくとも2つは切り抜き部(11.7)を含み、そこからバーブ(11.8)が同じ方向に折り曲げられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の把持具(11.2)。
【請求項7】
バーブ(11.8)はフック形態、または尖った形態を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の把持具(11.2)。
【請求項8】
把持キャリア(11.3)は、1つまたはそれ以上の拘持スロット(11.12)また
は拘持突起部(11.14)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の把持具(11.2)。
【請求項9】
拘持突起部(11.14)およびバーブ(11.8)は、把持キャリア(11.3)からそれぞれ反対方向に折り曲げられる、請求項8に記載の把持具(11.2)。
【請求項10】
組み立ての向きを示す配向要素(11.10)を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の把持具(11.2)。
【請求項11】
自動注射器(1)のキャップ(11)であって、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の把持具(11.2)を含む、前記キャップ。
【請求項12】
内部キャップ面に配置され、キャップ(11)に把持具(11.2)を保持するように適用される取り付けサポートを含む、請求項11のキャップ(11)。
【請求項13】
取り付けサポートは、把持具(11.2)の1つまたはそれ以上の拘持スロット(11.12)または拘持突起部(11.14)に対応する1つまたはそれ以上の保持突起部(11.13)または保持スロットを含む、請求項12に記載のキャップ(11)。
【請求項14】
自動注射器(1)であって
請求項11〜13のいずれか1項に記載のキャップ(11)を含み、ここで、把持具(11.2)はキャップ(11)に保持され、キャップ(11)は自動注射器(1)に取り外し可能に配置される、前記自動注射器。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の把持具(11.2)を生産する方法であって:
シート(11.11)の形態の把持キャリア(11.3)を提供する工程と;
切断またはスタンピングによって、複数のバーブ(11.8)を把持キャリア(11.3)に形成する工程と;
複数の長手方向の折り目の縁部(11.4)に沿って把持キャリア(11.3)を複数折り曲げて、複数のキャリア部(11.5)のうちの2つ以上がそれぞれのバーブ(11.8)を含むように、複数のキャリア部(11.5)を形成する工程と;
バーブ(11.8)が、キャリア部(11.5)の内面から突出するように、バーブ(11.8)を折り曲げる工程とを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的に、針に取り外し可能に配置される、ニードルシースのための把持具(grasper)に関する。さらに本発明は、このような把持具を伴うキャップ、およびこのような把持具を伴うキャップを含む自動注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
注射を投与することは、使用者および医療従事者にとって、精神的にも肉体的にも、いくつかの危険および困難をもたらすプロセスである。一般的に注射デバイスは、手動デバイスおよび自動注射器の2つのカテゴリに分類される。
【0003】
従来の手動デバイスでは、薬剤を針に通すために手動の力が要求される。これは一般的に、注射中に押圧し続ける必要があるプランジャによって行われる。
【0004】
自動注射器は、使い捨てデバイスまたは再使用可能デバイスとすることができ、自己注射を患者にとってより簡単にすることが意図されている。従来の自動注射器は、手動デバイスからの非経口薬物の送達に必要な行為に、完全にまたは部分的に取って代わることができる。一般的に、このような行為は、保護ニードルシースの取り外し、針の挿入、注射を投与する力の提供を含み、場合によっては使用済み針の取り外しおよび保護を含む。
【0005】
デバイスの針を損傷から保護するため、またはデバイスを使用する前に人を針刺し事故から守るため、針は、保護ニードルキャップ、またはいわゆる保護もしくは剛性ニードルシース(略してRNS)によって覆われる。
【0006】
用量を送達するための自動注射器デバイスを準備するため、保護ニードルシースを針から取り外す必要がある。これは、保護ニードルシースを握るかまたは把持して、針から引っ張り取ることによって成される。
【0007】
保護ニードルシースが自動注射器から確実に取り外せるよう、保護ニードルシースのための改善された把持具、およびこのような改善された把持具を伴うキャップ、ならびにこのような改善された把持具を伴うキャップを含む自動注射器に対する要望が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、保護ニードルが自動注射器から確実に取り外せるよう、保護ニードルシースのための改善された把持具、およびこのような改善された把持具を伴うキャップ、ならびにこのような改善された把持具を伴うキャップを含む自動注射器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1による把持具、請求項11によるキャップ、請求項14による自動注射器、および請求項15による把持具を生産する方法によって達成される。
【0010】
例示的な実施形態は、従属請求項に記載される。
【0011】
本開示によれば、針を覆って取り外し可能に配置される、ニードルシースのための把持具が提供される。把持具はシートから形成され、複数のキャリア部を形成するために、複数の長手方向の折り目の縁部に沿って複数折り曲げられた把持キャリアを含み、複数のキャリア部のうちの2つ以上が、キャリア部の表面から突出するそれぞれのバーブを含む。
【0012】
代替の開示によれば、針を覆って取り外し可能に配置される、ニードルシースのための把持具が提供される。把持具は、角度の付いた複数のキャリア部を伴う把持キャリアを含む射出成形部材として形成され、複数のキャリア部のうちの2つ以上が、キャリア部の表面から突出するそれぞれのバーブを含む。
【0013】
1枚のシートから折り曲げられるバーブは、製造が容易で、高い製造歩溜まりおよび低い部材コストをもたらす。さらに把持具は、自動注射器のキャップ、またはニードルシースのリムーバに組み付けられるのが容易である。自動注射器のキャップを取り外すときに、バーブによって、保護ニードルシースを自動的に掴むこと、および取り外すことが可能となる。
【0014】
例示的な実施形態によれば、把持キャリアは1枚の金属シートである。特に、把持キャリアはスチールまたはアルミニウムのシートから形成される。代替として、把持キャリアは剛性プラスチックまたは射出成形部材として形成される。1枚の金属シートは、様々な形状および薄い厚さを可能にする。1枚の剛性プラスチックまたは射出成形部材は、より容易かつより良いコスト効率で製造される。
【0015】
また、初期状態では把持キャリアは平坦である。折り曲げられた状態で、把持キャリアは、たとえば多面的な形状の多角形断面を有するパイプ形態、または円筒形態を有する。このコンセプトは、把持キャリアの強度および剛性を高め、製造のためのスタンピング処理を削減する。把持キャリアの形状は変えることができ、それによって、たとえば把持具とニードルシースとのロック接続のような機械的な取り付けが生み出されるように、把持具はニードルシースを取り囲む。
【0016】
例示的な実施形態において、把持キャリアは、外側キャリア部が一部重複するように折り曲げられる。したがって、最終的な折り曲げ状態で、把持キャリアはほぼ円形断面を有する。製造中、入れ子構成は防止され、バルク包装は可能である。さらに、最終的な折り曲げ状態で、重複したキャリア部は、把持具の製造公差を補償することができる。
【0017】
別の例示的な実施形態において、複数のキャリア部のうちの少なくとも2つは切り抜き部を含み、そこからバーブが同じ方向に折り曲げられる。特に、バーブは内側に折り曲げられ、保護ニードルシースと係合して保護ニードルシースを掴む。
【0018】
考えられる実施形態において、バーブはフック形態または尖った形態(prong−formed)である。特に、フックの形状のバーブは、保護ニードルシースの外面に食い込み、保護ニードルシースを取り外す間に、ポジティブ連結および/または非ポジティブ連結を形成する。
【0019】
別の実施形態において、把持キャリアは、1つまたはそれ以上の拘持スロットまたは拘持突起部(retain lug)を含む。把持キャリアの薄い壁厚によって、把持キャリアは自動注射器のキャップに組み立てることができ、その両方は、針を包む保護ニードルシースに配置される。拘持スロットまたは拘持突起部によって、把持キャリアを、したがって把持具を自動注射器のキャップに固定可能となり、それによって、使用中に自動注射器のキャップが自動注射器から外される場合に、自動注射器のキャップは、把持具および把持具を伴う保護ニードルシースを捕らえ、それらを自動注射器から、したがって針から取り外す。
【0020】
考えられる実施形態において、拘持突起部、およびバーブは、把持キャリアからそれぞれ反対方向へ径方向に折り曲げられる。特に、拘持突起部は外側に折り曲げられて、たとえば自動注射器のキャップの内部キャップ面に食い込むように掴み、バーブは内側に折り曲げられて、たとえば保護ニードルシースの外面に食い込むように掴む。さらに、拘持突起部、およびバーブは、異なる方向すなわち外側ならびに内側へ径方向に、ならびに異なる方向すなわち後方ならびに前方へ軸方向に、折り曲げられる。
【0021】
本開示の別の態様によれば、自動注射器のキャップが提供され、このキャップは上述の把持具を含む。キャップは、ニードルシースのリムーバを形成するように適用され、自動注射器への安全かつ容易な組立てに役立ち、組立て中はニードルシースに軸力のみが加わり、そのため針の損傷は防止され、したがって組立て中に針が汚染されることはない。
【0022】
例示的な実施形態において、取り付けサポートが内側キャップ面に配置され、把持具をキャップ内に保持するように適用される。たとえば取り付けサポートは、把持具の拘持スロットまたは拘持突起部と対応する保持突起部(holding lug)または保持スロットを含む。
【0023】
本開示の別の態様によれば、自動注射器が提供され、自動注射器は上述の把持具および上述のキャップを含み、把持具はキャップに固定され、キャップは自動注射器に取り外し可能に配置される。
【0024】
例示的な実施形態において、キャップおよび把持具は、把持具とともに自動注射器からキャップを取り外すことによって、ニードルシースを針から取り外すように、接続される。
【0025】
別の例示的な実施形態において、バーブは、ニードルシースを自動注射器に組み付けられる間に、ニードルシースを偏向させて掴むように適用され、キャップが自動注射器から取り外されるときに、ニードルシースをさらに掴むように適用される。
【0026】
バーブは、径方向内側に折り曲げられる。把持具は、角度の付いたバーブの自由端が遠位方向に延びるように、キャップに組み付けられる。
【0027】
本開示の別の態様によれば、把持具を生産する方法が提供され、方法は:
−シートの形態の把持キャリアを提供する工程と;
−切断、スタンピング、または型抜きによって、複数のバーブを把持キャリアに形成する工程と;
−複数の長手方向の折り目の縁部に沿って把持キャリアを複数折り曲げて、複数のキャリア部のうちの2つ以上がそれぞれのバーブを含むように、複数のキャリア部を形成する工程と;
−バーブがキャリア部の内面から突出するようにバーブを折り曲げる行程と、を含む。
【0028】
代替えとして、単一の射出成形部材としての把持具が、射出成形を使用して製造される。
【0029】
さらに、本発明の適用範囲は、以降の詳細な記載から明白となろう。しかし、詳細な記載および特定の例は、本発明の例示的な実施形態を示すが、例示として与えられるにすぎないことを理解されたい。なぜなら、当業者にはこの詳細な説明から、本発明の趣旨および範囲内で、様々な変形および変更が明白となるからである。
【0030】
本開示は、以下で与えられる詳細な説明、および添付の図面から、より完全に理解されよう。添付の図面は単なる例示として与えられ、したがってこれらは本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】自動注射器の例示的な実施形態の、部分的な概略斜視図である。
図2A】1枚のシートから形成された把持具の、例示的な実施形態の斜視図である。
図2B】把持具の例示的な実施形態の断面図である。
図3】1枚のシートから形成された把持具の、例示的な実施形態の斜視図である。
図4】1枚のシートの例示的な実施形態の斜視図である。
図5】組み立てられた把持具を伴うキャップの、例示的な実施形態の切断図である。
図6】組み立てられた把持具および組み立てられた保護ニードルシースを伴うキャップの、例示的な実施形態の切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
全ての図において、対応する部材には同じ参照記号が示される。
【0033】
図1は、組立て後の状態にある自動注射器1の、例示的な実施形態の部分的な概略斜視図である。
【0034】
自動注射器1は、スリーブ形状の前方部材2.1および後方部材2.2を有するハウジング2を含む。代替として、ハウジング2は、一体化されたハウジング(図示せず)として形成される場合もある。
【0035】
ハウジング2は、たとえばガラスシリンジなどのシリンジ3を保持するように適用される。シリンジ3は、液体薬剤Mを含み、かつ遠位端に配置された針4を有する、充填済みシリンジであってもよい。別の例示的な実施形態において、シリンジ3は、薬剤Mを含んで(たとえば、ねじ、スナップ、摩擦などにより)取り外し可能な針と係合する、カートリッジであってもよい。示される例示的な実施形態において、シリンジ3はハウジング2内で保持され、その近位端2.4で、シリンジサポート15によって支持される。
【0036】
自動注射器1は、針4に連結される保護ニードルシース5をさらに含む。たとえば、保護ニードルシース5は、取り外し可能に針4と連結される。保護ニードルシース5は、ゴム、または全体または部分的にプラスチックのシェルから構成される、ゴム製ニードルシースまたは剛性ニードルシース(略してRNS)であってもよい。
【0037】
止め具6が、シリンジ3を近位方向Pに封止するため、かつシリンジ3内に含まれる薬剤Mを針4を通して変位させるために、配置される。
【0038】
自動注射器1は、スリーブ状のニードルシュラウド(needle shroud)7をさらに含む。例示的な実施形態において、ニードルシュラウド7はハウジング2と伸縮自在に連結されており、ハウジング2に対して伸張して針4が覆われる位置と、ハウジング2に対して後退して針4が露出される位置との間で、可動である。さらに、シュラウドばね8が、ニードルシュラウド7をハウジング2に対して遠位方向Dへ付勢するよう配置される。
【0039】
圧縮ばねの形状の駆動ばね9が、ハウジング2の近位部に、特に後方部材2.2に配置される。プランジャ10は、駆動ばね9の力を止め具6まで送る役割を担う。例示的な実施形態において、プランジャ10は中空であり、駆動ばね9がプランジャ内に配置され、プランジャ10を後方部材2.2に対して遠位方向Dへ付勢する。別の例示的な実施形態において、プランジャ10は中実であってもよく、駆動ばね9はプランジャ10の近位端2.4と係合してもよい。同様に、駆動ばね9はプランジャ10の外径の周りに巻かれて、シリンジ3内に延びてもよい。
【0040】
プランジャ解放機構12は、ニードルシュラウド7を押し下げる前にプランジャ10を解放するのを防止するように、および、ニードルシュラウド7が十分に押し下げられた後でプランジャ10を解放するように配置される。
【0041】
例示的な実施形態において、自動注射器1は、薬剤送達が完了したことを使用者または患者に示すための可聴フィードバックを生成するため、少なくとも1つの可聴インジケータ13をさらに含む。換言すると:可聴インジケータ13は、使用者または患者に、薬剤Mの全ての用量を使い切ったことを示すように適用される。可聴インジケータ13は、たとえば双安定ばね(bistable spring)のように形成され、後方部材2.2に保持される。
【0042】
組立て中および組立て後の、シリンジ3の正確な支持を可能にするために、自動注射器1は、シリンジ3をハウジング2内の前方すなわち遠位方向Dに取り付け、かつ保持するよう適用されるキャリア16を含む。
【0043】
製造公差のため、シリンジ3は一様でない長さを有する。したがって、シリンジ3のフランジ3.1は、キャリア16を近位方向Pに突き出す。組立て後、特に収納中、輸送中、および通常の使用中に、シリンジ3をハウジング2に対して軸方向位置に支持するために、シリンジサポート15は、径方向内側または長手方向に延びる1つまたはそれ以上の支持ビーム15.1を含み、組み立てられた状態のシリンジ3の一様でない長さに対処する。支持ビーム15.1は、シリンジ3をハウジング2内で遠位方向Dへ軸方向に付勢し、シリンジ3の一様でない長さを遠位方向Dに補償するように適用される。
【0044】
さらに、自動注射器1は、ハウジング2の遠位端に、特に前方部材2.1の遠位端に取り外し可能に配設されるキャップ11を含む。キャップ11は、キャップ11の取り外しを容易にするための外側のグリップ機能11.1を含んでよく、たとえばキャップを捩る、および/または引っ張って、ハウジング2から外す。
【0045】
キャップ11は、保護ニードルシースと係合して掴むように配置される把持具11.2をさらに含んでよい。把持具11.2は内部グリップ要素を形成して、キャップ11に固定される。
【0046】
キャップ11は、ニードルシースのリムーバを形成するように適用される。この目的のため、キャップ11および把持具11.2は、固定された把持具11.2とともにキャップ11を自動注射器1から取り外すことによって、保護ニードルシース5を針4から取り外すように、接続される。
【0047】
換言すると:把持具11.2は、キャップ11が取り外されるときに、保護ニードルシース5もまた針4から取り外されるように、キャップ11に連結される。
【0048】
さらに、シュラウド事前ロック機構14は、キャップ11が所定の位置にあるときに、ニードルシュラウド7の押し下げを防止するよう配置される。それによって、たとえば搬出中またはパッケージ中などに落下した場合に、自動注射器1が非意図的に作動するのを防止する。
【0049】
図2Aおよび図3は、単片から形成された把持具11.2の例示的な実施形態を示す。図2Bは、把持具11.2の断面の例示的な実施形態を示す。
【0050】
把持具11.2は、少なくとも1つの把持キャリア11.3を含む。把持キャリア11.3は、複数の長手方向の折り目の縁部11.4に沿って複数折り曲げられ、複数のキャリア部11.5を形成する。さらに把持キャリア11.3は、外側のキャリア部11.5が重複領域11.6で一部重複するように、折り曲げられ、または角度を付けられる。したがって、曲げられた状態で、把持キャリア11.3は多角形断面を有するパイプ形態である。把持キャリア11.3が折り曲げられた状態で、一部重複する領域11.6は、把持具11.2の製造公差を補償することができる。
【0051】
保護ニードルシース5を掴むために、複数のキャリア部11.5のうちの2つ以上は切り抜き部11.7を含み、そこからそれぞれのバーブ11.8が折り曲げられ、把持キャリア11.3、したがってキャリア部11.5の内面から内側に突出する。組み立てられた状態で、内側に角度を付けられたバーブ11.8は、自動注射器1の遠位方向Dに延びる。
【0052】
バーブ11.8は、ニードルシース5を自動注射器1に組み付けられる間に、保護ニードルシース5を偏向させて掴むように適用され、キャップ11が自動注射器1から取り外されるときに、ニードルシース5をさらに掴むように適用される。
【0053】
バーブ11.8は、フックとして、または尖った形態に設計される。特に、バーブ11.8はキャリア部11.5の内面から内側に突出し、その自由端に尖った部分11.9を含む。尖った部分11.9は、保護ニードルシース5の外面に押圧するか、または食い込み、組立て中に締り嵌めを形成するか、または少なくとも保護ニードルシース5を取り外す間に、ポジティブ連結および/または非ポジティブ連結を形成するように適用される。別の態様によれば、尖った部分11.9は、把持具11.2が上述のように保護ニードルシース5に組み立てられているときに、すでに保護ニードルシース5の外面に食い込んでいるように適用される場合がある。
【0054】
本実施形態によれば、尖った部分11.9は、バーブにそれぞれ配置される2本スパイク(double spikes)として構成される。この構成は、バーブ11.8毎の、2つの尖った部分11.9のそれぞれの間の凹形によって実現される。凹形のため、および尖った部分11.9の間の距離を制御することによって、保護ニードルシース5の表面に貫入する深さは制限される。これは、保護ニードルシース5がゴム製のニードルシースである場合に、貫入によって針4に接近することによって滅菌状態に影響を与える可能性があるので、特に重要である。
【0055】
さらに、キャップ11内での組立て中の、把持具11.2の正しい向きのために、把持具11.2は、組立ての向きを示す配向要素11.10を含む。配向要素11.10は、触覚インジケータもしくは視覚インジケータ、またはそれらの組み合わせとして設計される。特に、把持キャリア11.3の一方の前方表面が、たとえば波形または尖った外形で、他方の反対側の前方表面が均一で平坦である。
【0056】
図4は、把持キャリア11.3を形成するシート11.11の単片の、例示的な実施形態を示す。
【0057】
本開示の一態様によれば、把持具11.2は以下の工程で生産される:
−シート11.11の形態の把持キャリア11.3を提供する工程;
−切断、スタンピング、またはダイスタンピングによって、複数のバーブ11.8を把持キャリア11.3に形成する工程;
−複数の長手方向の折り目の縁部11.4に沿って把持キャリア11.3を複数折り曲げて、複数のキャリア部11.5のうちの2つ以上がそれぞれのバーブ11.8を含むように、複数のキャリア部11.5を形成する工程;
図2および図3に示されるように、バーブ11.8がキャリア部11.5の内面から突出するように、バーブ11.8を折り曲げる行程。
【0058】
シート11.11は、切断して切り抜き部11.7および切り抜き部11.7のバーブ11.8を形成する、金属シートの単片であってよい。
【0059】
単片の金属シートの代わりに、把持具11.2は、単片のプラスチックシート、もしくは射出成形して折り曲げるか、または単に射出成形によって生産される単片のプラスチック部材として形成される場合がある。代替の把持具11.2は、単一の射出成形部材として形成される。
【0060】
把持具11.2のこの代替の設計によれば、把持具11.2は角度の付いたキャリア部11.5を伴う把持キャリア11.3を形成するために、射出成形を使用することによって製造され、複数のキャリア部のうちの2つ以上は、キャリア部11.5の表面から突出する、それぞれ内側に角度の付いたバーブ11.8を含む。
【0061】
製造方法に関わらず、折り曲げられたシートまたは射出成形から生産される把持具11.2の形状および設計は同じである。したがって、記載された開示の把持具11.2の設計および形状は、両実施形態に該当する。
【0062】
把持具11.2をキャップ11内に保持するために、シート11.11は、把持キャリア11.3の中に切り込んで形成される少なくとも1つの拘持スロット11.12を含む。本実施形態において、たとえば2つの拘持スロット11.12が提供される。拘持スロット11.12は、把持具11.2をキャップ11内に、たとえば図5に示されるキャップ11の保持突起部11.13によって保持するのに役立つ。
【0063】
代替の実施形態において、把持具11.2をキャップ11内に保持するため、把持キャリア11.3は拘持突起部(11.14)(点線)を含んでもよく、キャップ11は保持スロット(図示せず)を含んでもよい。この場合、把持具11.2の任意の拘持突起部11.14およびバーブ11.8は、把持キャリア11.3からそれぞれ反対方向へ径方向に折り曲げられる。
【0064】
特に把持キャリア11.3は、把持キャリア11.3から内側に離れ、および把持具11.2の長手方向軸Aの方向にある角度で、ならびにニードルシース5を掴むためにニードルシース5の外面を支持する、複数のバーブ11.8または爪を含む固定部材として形成され、拘持突起部11.14は、軸Aから離れる角度で外側に折り曲げられて向けられ、キャップ11を掴むためにキャップ11の内部キャップ面を支持する。
【0065】
図5は、拘持スロット11.12を係合する保持突起部11.13によってキャップ11に保持される、組み立てられた把持具11.2を伴うキャップ11の、例示的な実施形態の切断図である。把持具11.2はキャップ11に固定されている。キャップ11は、使用者によって掴まれて、キャップ11を自動注射器1から取り外すための外側グリップ機能11.1を含み、キャップ11は、把持具11.2および把持具11.2を伴う保護ニードルシース5を捕らえ、それらを一緒に自動注射器1から、したがって針4から取り外す。
【0066】
バーブ11.8は内側に折り曲げられるか、または角度を付けられて遠位方向Dに延び、組み立てられた状態で、または遅くともキャップ11の取り外しによる保護ニードルシース5の取り外し中に、ニードルシース5を把持する。
【0067】
図6は、組み立てられた把持具11.2、およびバーブ11.8とニードルシース5との締り嵌めによって、把持具11.2の中に組み立てられた保護ニードルシース5を伴うキャップ11の、例示的な実施形態の切断図である。把持具11.2に保持されるニードルシース5の部分が、バーブ11.8とニードルシース5との締り嵌めを示すために、透明的に示されている。
【0068】
バーブ11.8とニードルシース5との締り嵌めの代替として、バーブ11.8はニードルシース5の外面に食い込んで、少なくとも保護ニードルシース5を取り外す間、連動ロック機構、鉤留めまたは出っ張りおよび切り下げ、プロファイル表面(profiled surface)などによって、たとえばフォースロック接続、フォームフィット接続、および/または摩擦ロック接続などの機械式ロック接続を形成する。
【0069】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組み合わせを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0070】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0071】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。たとえば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約−4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0072】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0073】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、GLP−1類似体もしくはGLP−1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0074】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0075】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン−4(Exendin−4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC−2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン−4、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034.MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド(Exenatide)−XTENおよびグルカゴン−Xtenである。
【0076】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0077】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0078】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0079】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG−F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0080】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0081】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペププチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0082】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0083】
例示的な抗体は、アンチPCSK−9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL−6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL−4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0084】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0085】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1〜C6−アルキル基、場合により置換されたC2〜C6−アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10−アリル基、または場合により置換されたC6〜C10−ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0086】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0087】
当業者は、本明細書に記載された物質、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の変更(追加および/または排除)が、本発明の全範囲および趣旨を逸脱することなく成され得ることを理解されたい。本発明は、そのような変更およびその全ての同等物を含包する。
【符号の説明】
【0088】
1 自動注射器
2 ハウジング
2.1 前方部材
2.2 後方部材
2.4 近位端
3 シリンジ
3.1 フランジ
4 針
5 保護ニードルシース
6 止め具
7 ニードルシュラウド
8 シュラウドばね
9 駆動ばね
10 プランジャ
11 キャップ
11.1 グリップ機能
11.2 把持具
11.3 把持キャリア
11.4 折り目の縁部
11.5 キャリア部
11.6 重複領域
11.7 切り抜き部
11.8 バーブ
11.9 尖った部分
11.10 配向要素
11.11 シート
11.12 拘持スロット
11.13 保持突起部
11.14 拘持突起部
12 プランジャ解放機構
13 可聴インジケータ
14 シュラウド事前ロック機構
15 シリンジサポート
15.1 支持ビーム
16 キャリア
D 遠位方向
M 薬剤
P 近位方向
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6