(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755930
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】スライドレール組立体
(51)【国際特許分類】
A47B 88/49 20170101AFI20200907BHJP
【FI】
A47B88/08
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-242357(P2018-242357)
(22)【出願日】2018年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-155075(P2019-155075A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2018年12月26日
(31)【優先権主張番号】107108197
(32)【優先日】2018年3月8日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】何 俊毅
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第03195760(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0092462(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部及び後部を有する第1レールであって、該第1レールは第1ブロック構造及び第2ブロック構造を含む、第1レールと、
前部及び後部を有する第2レールと、
前記第1レール及び前記第2レールの間に取り付けられている第3レールと、
前記第3レールに可動に配置されている連動部材と、
を含むスライドレール組立体であって、
前記第1ブロック構造は、前記第3レールが前記第1レールに対して相対的に後退位置にあるときに、前記第3レールが前記後退位置から後退方向に移動することを防止するように構成され、
前記第3レールが前記後退位置にあるときに、前記第2レールは、前記第2レールの前記後部が所定距離だけ前記第1レールの前記後部を越えた状態で、前記第3レールに対して相対的に、前記後退方向に所定位置へ移動可能であり、
前記第2レールが前記後退方向に移動される過程の間に、前記第2レールは前記連動部材を第1状態から第2状態に切り換えることが可能であり、これにより、前記第2状態にある前記連動部材が、前記第3レールが前記後退方向と反対方向である伸長方向に前記後退位置から移動されることを防止するために、前記第2ブロック構造と共働する、スライドレール組立体。
【請求項2】
前記連動部材は、前記第3レールに回転可能に取り付けられ、スライドレール組立体はさらに、弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記連動部材に弾性力を与えるように構成され、前記連動部材を前記第1状態に保持し、前記第3レールは、前記第1レールに向かって開いた開放孔を有し、前記連動部材は、前記開放孔を貫通する延長部を有し、
前記第2レールが前記連動部材を前記第1状態から前記第2状態に切り換えるように前記後退方向に移動されたときに、前記連動部材は、前記第2ブロック構造と共働する前記延長部を介して前記第2状態に保持され、前記第2レールは第1壁と、第2壁と、前記第1壁及び前記第2壁の間に接続された側壁とを備え、前記連動部材は、前記第2レールの前記第1壁及び前記第2壁のうち一つを介して前記第2状態に切り換わるように駆動され、前記連動部材はさらに、支持部分を備え、前記連動部材は、前記第2レールの前記第1壁及び前記第2壁のうち一つに当たる前記支持部分を介して、前記連動部材を前記第2状態に保持することが可能である、請求項1に記載のスライドレール組立体。
【請求項3】
さらに、前ブラケット及び後ブラケットを備え、前記前ブラケット及び前記後ブラケットが、前記第1レールの前記前部及び前記後部にそれぞれ近接して配置されている請求項1又は2に記載のスライドレール組立体。
【請求項4】
さらに、前記第1レールの前記前部及び前記後部の間に配置され、ガイド部及びブロック部分を有する補助部材を備え、前記連動部材が第1状態にあるときに、前記連動部材は、第2ブロック構造と共働せず、前記第3レールが前記第1レールに対して相対的に伸長方向に移動されることを可能にし、
前記連動部材が第1状態にあり、前記第3レールが前記第1レールに対して第1伸長位置へと前記伸長方向に動かされる間に、前記連動部材は、前記ガイド部によって前記ブロック部分にガイドされて、前記第3レールが前記第1伸長位置に到達した場合に前記第3レールが前記第1レールに対して相対的に前記後退方向に移動するのを防止し、
ブロック部材が前記第3レールに配置され、該ブロック部材は前記第3レールの前部に近接し、スライドレール組立体はさらに、移動部材と弾性基部とを備え、前記移動部材は前記第2レールに回転可能に取り付けられ、前記弾性基部は、前記移動部材を所定状態に保持するように前記移動部材に弾性力を与え、前記第3レールが前記第1伸長位置にあるときに、前記所定状態にある前記移動部材は、前記第2レールが前記第3レールに対して相対的に前記伸長方向に移動される過程の間に、前記ブロック部材に当たることが可能であり、前記第2レールを前記第3レールに対して相対的に第2伸長位置になるようにし、スライドレール組立体はさらに、前記移動部材を操作する構造の作動部材を備え、前記第2レールが前記第2伸長位置にあるときに、前記作動部材は、前記移動部材を所定位置でなくなるように駆動するように操作され、前記伸長方向に前記第3レールから前記第2レールが分離されることを可能にする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスライドレール組立体。
【請求項5】
第1ブロック構造及び第2ブロック構造を有する第1レールと、
前記第1レールに対して相対的に可動である第3レールと、
前記第3レールに対して相対的に可動である第2レールと、
前記第3レールに可動に配置されている連動部材とを備え、
前記第1ブロック構造は、前記第3レールが前記第1レールに対して相対的に後退位置にあるときに、前記第3レールが前記後退位置から後退方向に移動することを防止するように構成され、
前記第2レールは、前記第2レールが前記後退方向に閉鎖位置から移動されたときに前記連動部材を第1状態から第2状態に切り換えることが可能であり、これにより、前記第2状態にある前記連動部材は、前記第3レールが前記後退方向と反対方向である伸長方向に前記後退位置から移動されることを防止するために、前記第2ブロック構造と共働する、スライドレール組立体。
【請求項6】
前記連動部材は、前記第3レールに回転可能に取り付けられ、スライドレール組立体はさらに、弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記連動部材に弾性力を与えるように構成され、前記連動部材を前記第1状態に保持し、前記第3レールは、前記第1レールに向かって開いた開放孔を有し、前記連動部材は、前記開放孔を貫通する延長部を有し、前記閉鎖位置から前記後退方向に移動された前記第2レールは、前記連動部材を前記第1状態から前記第2状態に切り換え、前記第2状態にある前記連動部材は、前記延長部が前記第2ブロック構造と共働することを可能にし、前記第2レールは第1壁と、第2壁と、前記第1壁及び前記第2壁の間に接続された側壁とを備え、前記第2レールは前記第1壁及び前記第2壁のうち一つを介して前記第1状態から前記第2状態に切り換わるように前記連動部材を駆動し、前記連動部材はさらに、支持部分を備え、前記連動部材を前記第2状態に保持するように前記支持部分を介して前記第2レールの前記第1壁及び前記第2壁のうち一つに当たることが可能である、請求項5に記載のスライドレール組立体。
【請求項7】
さらに、前ブラケット及び後ブラケットを備え、前記前ブラケット及び前記後ブラケットが、前記第1レールの前部及び後部にそれぞれ近接して配置されている請求項5又は6に記載のスライドレール組立体。
【請求項8】
ラックに取り付けられるように構成されているスライドレール組立体であって、当該スライドレール組立体は、
前ブラケット及び後ブラケットをそれぞれ介してラックの第1柱及び第2柱に取り付けられている前部及び後部を有する第1レールであり、該第1レールは第1ブロック構造及び第2ブロック構造を備える、第1レールと、
前部及び後部を有する第2レールと、
前記第1レール及び前記第2レールの間に取り付けられている第3レールと、
前記第3レールに回転可能に取り付けられている連動部材と、
前記連動部材に弾性力を与えるように構成されている弾性部材と、
を含み、
前記第1ブロック構造は、前記第3レールが前記第1レールに対して相対的に後退位置にあるときに、前記第3レールが前記後退位置から後退方向に移動することを防止するように構成され、
前記第3レールが前記後退位置にあるときに、前記第2レールは、前記第2レールの前記後部がある距離だけ前記第1レールの前記後部を越えた状態で、前記第3レールに対して相対的に、前記後退方向に閉鎖位置から所定位置へ移動可能であり、
前記第2レールが閉鎖位置から前記後退方向に移動される過程の間に、前記第2レールは前記連動部材を第1状態から第2状態に切り換えることが可能であり、これにより、前記第2状態にある前記連動部材は、前記第3レールが伸長方向に前記後退位置から移動されることを防止するために、前記第2ブロック構造と共働する、スライドレール組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドレール組立体に関し、さらに詳しくは、載せる物品のために保管(メンテナンス、maintenance)をより容易にすることができるスライドレール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(発明者:Kitten)中の図面(例えば
図2)は、複数の載せる物品(本米国特許の明細書ではシャーシと呼ばれ、符号130が付されている)を開示している。載せる物品(130)のそれぞれの両側部が、それぞれ支持スライド(134,136)を介してラック(132)に取り付けられている。使用するときには、載せる物品のそれぞれが所定方向(例えば前側に向けて)にラックから送り出され、ラックの前側から伸長されることだけが可能であり、載せる物品の部品又はモジュールの修理又は取り換えをより容易にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8379410号
【特許文献2】米国特許第7218526号
【特許文献3】米国特許第8083298号
【発明の概要】
【0004】
しかし、スライドレール組立体又は載せる物品の保管の様々な要請のために、上述の操作モードが使用できない場合がある。従って、さまざまな保管の目的のためにどのようにスライドレール組立体を開発するかが問題となってきている。
【0005】
本発明は、保管をより容易にすることができるスライドレール組立体に関する。
【0006】
本発明の実施形態によれば、スライドレール組立体は、第1レール、第2レール及び第3レールを備えている。第1レールは、前部及び後部を有し、第1ブロック構造を備えている。第2レールは、前部及び後部を有する。第3レールは、第1レール及び第2レールの間に取り付けられている。第1ブロック構造は、第3レールが第1レールに対して相対的に後退位置にあるときに、第3レールが後退位置から後退方向に移動することを防止するように構成されている。第3レールが後退位置にあるときに、第2レールは、第2レールの後部がある距離だけ第1レールの後部を越えた状態で、第3レールに対して相対的に、後退方向に所定位置へ移動可能である。
【0007】
好ましくは、第1レールはさらに第2ブロック構造を備え、スライドレール組立体はさらに、第3レールに可動に配置されている連動部材を備えている。第2レールが後退方向に移動される過程の間に、第2レールは連動部材を第1状態から第2状態に切り換えることが可能であり、これにより、第2状態にある連動部材が、第3レールが後退方向と反対方向である伸長方向(extended direction、開放方向)に後退位置から移動されることを防止するために、第2ブロック構造と共働する。
【0008】
好ましくは、連動部材は、第3レールに回転可能に取り付けられ、スライドレール組立体はさらに、弾性部材を備え、弾性部材は、連動部材に弾性力を与えるように構成され、連動部材を第1状態に保持する。第3レールは、第1レールに向かって開いた開放孔を有し、連動部材は、開放孔を貫通する延長部を有する。第2レールが連動部材を第1状態から第2状態に切り換えるように後退方向に移動されたときに、連動部材は、第2ブロック構造と共働する延長部を介して第2状態に保持されている。第2レールは第1壁と、第2壁と、第1壁及び第2壁の間に接続された側壁とを備え、連動部材は、第2レールの第1壁及び第2壁のうち一つを介して第2状態に切り換わるように駆動されている。連動部材はさらに、支持部分を備え、連動部材は、第2レールの第1壁及び第2壁のうち一つに当たる支持部分を介して、連動部材を第2状態に保持することが可能である。
【0009】
さらに、前ブラケット及び後ブラケットを備え、前ブラケット及び後ブラケットが、第1レールの前部及び後部にそれぞれ近接して配置されている。
【0010】
スライドレール組立体はさらに、第1レールの前部及び後部の間に配置され、ガイド部及びブロック部分を有する補助部材を備えている。連動部材が第1状態にあるときに、連動部材は、第2ブロック構造と共働せず、第3レールが第1レールに対して相対的に伸長方向に移動されることを可能にする。連動部材は、連動部材が移動される所定の移動の間にガイド部によってブロック部分へガイドされ、第3レールが第1伸長位置にあるときに第3レールが第1レールに対して相対的に後退方向に移動することを防止する。ブロック部材が第3レールに配置され、第3レールの前部に近接し、スライドレール組立体はさらに、移動部材と弾性基部とを備えている。移動部材は第2レールに回転可能に取り付けられている。弾性基部は、移動部材を所定状態に保持するように移動部材に弾性力を与える。第3レールが第1伸長位置にあるときに、所定状態にある移動部材は、第2レールが第3レールに対して相対的に伸長方向に移動される過程の間に、ブロック部材に当たることが可能であり、第2レールを第3レールに対して相対的に第2伸長位置になるようにする。スライドレール組立体はさらに、移動部材を操作する構造の作動部材を備えている。第2レールが第2伸長位置にあるときに、作動部材は、移動部材を所定位置でなくなるように駆動するように操作され、伸長方向に第3レールから第2レールが分離されることを可能にする。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、スライドレール組立体は、第1レール、第2レール、第3レール及び連動部材を備えている。第1レールは、第1ブロック構造及び第2ブロック構造を有する。第3レールは、第1レールに対して相対的に可動である。第2レールは、第3レールに対して相対的に可動である。連動部材は、第3レールに可動に配置されている。第1ブロック構造は、第3レールが第1レールに対して相対的に後退位置にあるときに、第3レールが後退位置から後退方向に移動することを防止するように構成されている。第2レールは、第2レールが後退方向に閉鎖位置から移動されたときに連動部材を第1状態から第2状態に切り換えることが可能であり、これにより、第2状態にある連動部材は、第3レールが後退方向と反対方向である伸長方向に後退位置から移動されることを防止するために、第2ブロック構造と共働する。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、ラックに取り付けられるように構成されているスライドレール組立体は、第1レール、第2レール及び第3レールを備えている。第1レールは、前ブラケット及び後ブラケットをそれぞれ介してラックの第1柱及び第2柱に取り付けられている前部及び後部を有する。第1レールは、第1ブロック構造を備えている。第2レールは、前部及び後部を有する。第3レールは、第1レール及び第2レールの間に取り付けられている。第1ブロック構造は、第3レールが第1レールに対して相対的に後退位置にあるときに、第3レールが後退位置から後退方向に移動することを防止するように構成され、第3レールが後退位置にあるときに、第2レールは、第2レールの後部がある距離だけ第1レールの後部を越えた状態で、第3レールに対して相対的に、後退方向に閉鎖位置から所定位置へ移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のこれらの、また他の目的は、様々な図及び図面に例示されている好ましい実施形態に関する下記の詳細な説明を読めば、当業者に確実に明らかになることである。
【0014】
【
図1】ラックの下階層に配置された載せる物品がラックの前側に送り出されている、本発明の実施形態に係るラックシステムの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係り、ラック内に構成されたスライドレール組立体を示す分解図である。
【
図3】本発明の実施形態に係り、ラック内に構成されたスライドレール組立体を示す組み立て図である。
【
図4】本発明の実施形態に係り、ラック内に構成され、後退位置にあるスライドレール組立体を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係り、スライドレール組立体の第2レールが第1又は第3レールに対して後退方向に閉鎖位置から移動されている、ラック内に構成されたスライドレール組立体を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係り、スライドレール組立体の第2レールが後退方向に所定位置へ移動されている、ラック内に構成されたスライドレール組立体を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係り、スライドレール組立体の第2及び第3レールが第1レールに対して伸長方向(開放方向)に移動されている、ラック内に構成されたスライドレール組立体を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係り、移動部材がブロック部材に当たるまで、スライドレール組立体の第2レールが伸長方向に移動されている、ラック内に構成されたスライドレール組立体を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係り、移動部材が操作されてもはやブロック部材に当たっていない、ラック内に構成されたスライドレール組立体を示す図である。
【
図15】ラックの上階層に配置された載せる物品がラックの後側へ送り出されている、本発明の実施形態に係るラックシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すラックシステム100では、載せる物品102は引き出しとして構成され、その二つの反対の側にスライドレール組立体20を備えている。載せる物品102はラックに取り付けられる。このラックは、取り付けるべきスライドレール組立体20のそれぞれに対して複数の柱を有する。実際に用いる例では、スライドレール組立体20は、第1レール22と、第1レール22に対して可動な第2レール24とを有する。好ましくはスライドレール組立体20は、第1レール22,第2レール24の間に取り付けられた第3レール26をさらに備え、第3レール26は第1レール22に対して相対的な第2レール24の変位を長くする構成になっている。
【0016】
ここで述べる第1レール22の二つの部分(例えば前部と後部)が、ラックシステム100の第1柱104と第2柱106とに取り付けられている。さらに、第2レール24は第1レール22に対して相対的に閉鎖位置になることができる。第1レール22は、載せる物品102(
図1に示すように、ラックの上側の階層に配置された載せる物品102)をラックに収容することを可能にする。これに代えて、第2レール24は第1レール22又は第3レール26に対して相対的に伸長位置になることができる。第2レール24は、載せる物品102(
図1に示すように、ラックの下側の階層に配置された載せる物品102)をラックの中から取り出すことを可能にする。
【0017】
図2,3に示すように、第1レール22,第2レール24,第3レール26以外に、本発明の実施形態によるスライドレール組立体20は、好ましくは連動部材(working member)28を備えている。
【0018】
第1レール22は前部30aと後部30bとを有する。好ましくは、スライドレール組立体20はさらに、前ブラケット29と後ブラケット31とを備え、これらはそれぞれ、第1レール22の前部30a,後部30bに近接して配置されている。前ブラケット29,後ブラケット31はスライドレール組立体20を第1柱104,第2柱106に取り付ける構成になっている。前ブラケット29,後ブラケット31は、当業者に知られているものであり、簡素化のために本願では記載を省略する。第1レール22は第1ブロック構造32,第2ブロック構造34を備えている。実際に用いる例では、第1レール22はさらに第1壁36aと、第2壁36bと、第1レール22の第1壁36a,第2壁36bの間に接続された側壁38とを備えている。第1レール22の第1壁36a,第2壁36b,側壁38は、組み合わされて第1長手方向経路を画定する。好ましくは、第1ブロック構造32,第2ブロック構造34は第1レール22の側壁38上に位置し、第1ブロック構造32は第1レール22の後部30bに近接している。第2ブロック構造34,第1ブロック構造32は長手方向に間隔をおいて位置している。第1ブロック構造32,第2ブロック構造34は突起又は突出したブロックとして例示されているが、本発明ではそれに限定されない。好ましくは、スライドレール組立体20はさらに補助部材40を備え、これは第1レール22の前部30a,後部30bの間に配置されて第1レール22の側壁38上に位置する。補助部材40はガイド部42と、ガイド部42に近接したブロック部分44とを備えている。好ましくは、補助部材40は第1レール22に固着されている。
【0019】
第3レール26は第1レール22,第2レール24の間に可動に取り付けられている。詳しく述べると、第3レール26は第1レール22中の第1長手方向経路に取り付けられ、第1レール22に対して相対的に可動である。第3レール26は前部46aと後部46bとを有する。第3レール26は第1壁48aと、第2壁48bと、第3レール26の第1壁48a,第2壁48bの間に接続された側壁50とを備えている。第3レール26の第1壁48a,第2壁48b,側壁50は、組み合わされて第2長手方向経路を画定する。好ましくは、ブロック部材49が第3レール26に配置され、第3レール26の前部46aに近接している。例えば、ブロック部材49は突出部又は突出ブロックである。好ましくは、ブロック部材49は第3レール26の側壁50に固着されている。
【0020】
連動部材28は第3レール26に可動に配置されている。即ち、連動部材28は軸部材51を介して第3レール26の側壁50に回転可能に取り付けられ、連動部材28は第3レール26の後部46bに近接している。好ましくは、スライドレール組立体20はさらに弾性部材52を備え、これは連動部材28に弾性力を与える構成であり、連動部材28を第1状態に保持する。好ましくは、第3レール26は開放孔54を有し、これは第1レール22の側壁38に向かって開いている。好ましくは、連動部材28は延長部56を有し、これは開放孔54を貫通している。
【0021】
第2レール24は、第3レール26中の第2長手方向経路に取り付けられ、第3レール26に対して相対的に可動である。この第2レール24は通常は、載せる物品102を載せるように構成されている。これは
図15に示した載せる物品102として言及されうる。載せる物品は例えば、電子機器であるが、本発明はこれに限定されない。第2レール24は前部58aと後部58bとを有する。第2レール24は、第1壁60aと、第2壁60bと、第2レール24の第1壁60a,第2壁60bの間に接続された側壁62とを備えている。好ましくは、スライドレール組立体20はさらに、移動部材64と弾性基部66と作動部材68とを備えている。移動部材は第2レール24の側壁62に回転可能に取り付けられている。弾性基部66は弾性力部分67を有し、これは移動部材64に弾性力を与え、移動部材64を所定状態に保持する。作動部材68は、移動部材64を作動して移動させるように構成されている。好ましくは、作動部材68は、作動部分68aと、作動部分68aから所定の長さだけ延びている延長部68bとを備えている。延長部68bは実質的に、第2レール24の長手方向に配置されている。
【0022】
図4に示すように、スライドレール組立体20は前ブラケット29,後ブラケット31を介して第1柱104,第2柱106に取り付けられている。このときにスライドレール組立体20は後退位置にある。第3レール26が第1レール22に対して相対的に後退位置Rにあるときに、第1ブロック構造32は、第3レール26が後退位置Rから後退方向D1に移動することを防止する構成になっている。つまり、第3レール26が後退位置Rにあるときに、第1ブロック構造32は第3レール26の一部分(例えば後部46b)に当たることができるので、後退位置Rにある第3レール26が第1レール22に対して相対的に後退方向D1に移動することを防止する。
図5に示す通り、この連動部材28は、弾性部材52の弾性力によって第1状態S1に保持することができる。この第3レール26が後退位置Rにあって連動部材28が第1状態S1にあるときには、第1レール22の第2ブロック構造34は連動部材28の延長部56に当たらないので、第3レール26を、後退位置で、後退方向D1と反対方向である開放方向(opening direction、伸長方向)に可動にする。他方では、第3レール26が後退位置Rにあって連動部材28が第1状態S1にあるときには、第2レール24は閉鎖位置Xにあり、第2壁60bは、連動部材28の支持部分70に対応しているか、これに向かって位置する。好ましくは、支持部分70はガイド部72を有する。第3レール26が後退位置Rにあって連動部材が第1状態S1にあるときには、第2レール24の後部58bの第2壁60bは、連動部材28の支持部分70のガイド部72に対応しているか、これに向かって位置する。このガイド部72は例えば、傾斜面又は円弧状の面である。
【0023】
図4〜6に示すように、第3レール26が第1レール22に対して相対的に後退位置Rにあるときに、第2レール24は閉鎖位置Xから第3レール26に対して後退方向D1に可動である。さらに、第2レール24が後退方向D1に移動される過程の間に、第2レール24は、後部58bの第2壁60bを介して(
図5に示す)支持部分70のガイド部72に当接する。従って連動部材28を駆動し、第1状態S1から第2状態S2に変化させる。これは
図7に示してある。これにより、第2ブロック構造34と共働する第2状態S2での連動部材28は、第3レール26が後退位置Rから、後退方向と逆方向である開放方向に移動することを防止する。
【0024】
特に、第2レール24が後退方向D1に移動して連動部材28を駆動し、第2状態S2に変わるようにしたときに、第2状態S2にある連動部材が延長部56を介して第2ブロック構造34と共働する。例えば、連動部材28が第2状態S2にあるときに、第1レール22の第2ブロック構造34は連動部材28の延長部56をブロックすることができ、後退位置Rにある第3レール26が開放方向に移動することを防止する。この連動部材28が第2状態S2にあるときに、弾性部材52は、弾性力を蓄積する状態にある。好ましくは連動部材28は、第2レール24の第2壁60bに当たっている支持部分70を介して、連動部材28を第2状態S2に保持することが可能である。
【0025】
図8に示すように、第3レール26が第1レール22に対して相対的に後退位置Rにあり、第2レール24がさらに第3レール26に対して相対的に後退方向D1に所定位置P(又は奥側閉鎖位置(over−closed position))に移動したときに、第2レール24の後部58bは、ある距離だけ第1レール22の後部30b(又は第2柱106)を越えて位置する。
【0026】
図8〜10に示すように、第2レール24が第3レール26に対して相対的に、後退方向D1と反対方向である開放方向D2に移動されたときに、第2レール24が開放方向D2に所定ステップへ移動されるまで、連動部材28の支持部分70は第2レール24の第2壁60bにもはや当接しない。これにより連動部材28は、弾性部材52に応答する弾性力を第2状態S2から解放し、第1状態S1に復帰する。
【0027】
さらに連動部材28が第1状態S1にあるときに、連動部材28は第2ブロック構造34と共働しない(言い換えれば、第2ブロック構造34が連動部材28の延長部56をブロックしない)ので、第3レール26は、第1レール22に対して相対的に後退位置Rから開放方向D2に可動にされる。
連動部材28が第1状態S1にあり、第3レール26が
第1レール22に対して第1伸張位置E1へと開放方向D2に動かされる間、連動部材28の延長部56は補助部材40のガイド部42によってブロック部分44へガイドされ
、第3レール26が第1伸長位置E1に到達した場合に、第3レール26が第1レール22に対して相対的に後退方向D1に移動されることを防止する。即ち、第3レール26が第1伸長位置E1にあるときに、連動部材28の延長部56は補助部材40のブロック部分44でブロックされることが可能であり、第1伸長位置E1にある第3レール26が第1レール22に対して相対的に後退方向D1に動くことを防止する。
【0028】
図11,12に示すように、第3レール26が第1伸長位置E1にあり第2レール24が第3レール26に対して相対的に開放方向D2に移動されたときに、移動部材64が弾性基部66の弾性力部分67の弾性力に応答して所定状態にあることに起因して、移動部材64はブロック部材49に当たり、第2伸長位置E2にある第2レール24を第3レール26に対して相対的に移動させる。
【0029】
図12〜14に示すように、第2レール24が第2伸長位置E2にあるときに、ユーザーは、移動部材64がある角度だけ曲がり、作動部材68を介して所定位置にはなくなるように、移動部材64を操作することができる。言い換えれば、移動部材64はもはやブロック部材49に当たらないので、第2レール24を第3レール26に対して開放方向D2に分離可能にする。これにより、作動部材68の延長部68bは駆動部68cを有し、これは、図に例として示した角度だけ曲がるように移動部材64を駆動することができる(この箇所は当業者に知られているから、簡素化のためにここでは省略する)。この配置によれば、
図15に示された載せる物品102として言及されうる載せる物体を第2レール24が載せているときに、載せる物体と第2レール24とは、第3レール26から分離することができる。
【0030】
図15に示すラックシステムでは、複数の載せる物品102(これらは
図15の下側の階層にある載せる物品102として言及されうる)が、一対のスライドレール組立体20を介してラックの第1柱104,第2柱106に取り付けることができる。このスライドレール組立体20の各構造的配置は上述した通りなので、簡素化のためにここでは記載を省略する。
【0031】
さらに、上記のスライドレール組立体20の構造的配置によれば、第3レール26が第1レール22に対して相対的に後退位置Rにあるときに、載せる物品(これは
図15の上側の階層にある載せる物品102として言及されうる)を載せる第2レール24は、第3レール26に対して相対的に後退方向D1に所定位置P(
図8に示す)へ可動である。また第2レール24の後部58bは、ある距離をおいて第1レール22の後部30b(又は第2柱106)を越えて位置する。この配置によれば、第2レール24又は載せる物品102の保管をより容易にすることが可能である。
【0032】
従って、本発明のスライドレール組立体は下記の事項を特徴とするものである。
【0033】
1:第3レール26が第1レール22に対して相対的に後退位置Rにあり、第2レール24がさらに第3レール26に対して相対的に閉鎖位置Xから後退方向D1に所定位置P(又は奥側閉鎖位置)に移動したときに、第2レール24の後部58bは、ある距離だけ第1レール22の後部30b(又は第2柱106)を越えて位置する。この配置により、第2レール24又は載せる物品102の保管をより容易にすることができる。
【0034】
2:第3レール26が第1レール22に対して相対的に後退位置Rにあるときに、第1ブロック構造32が第3レール26をブロックすることに起因して、第3レール26が後退方向D1に移動することを防止することができる。さらに、第2ブロック構造34が第2状態S2での連動部材28をブロックするので、第3レール26が開放方向D2に移動することを防止できる。
【0035】
3:第3レール26が後退位置Rにあって連動部材28が第1状態S1にあるときに、閉鎖位置Xでの第2レール24は、後退方向D1に移動されることが可能であり、支持部分70に接する後部58bの第2壁60bを介して、連動部材28を第1状態S1から駆動して第2状態S2に変える。
【0036】
4:連動部材28は、第2レール24の第2壁60bに当たっている支持部分70を介して、連動部材28を第2状態S2に保持することが可能である。
【0037】
5:第2レール24は、第1レール22又は第3レール26に対して相対的に閉鎖位置Xに位置することができ、閉鎖位置Xから後退方向D1に所定位置P(又は奥側閉鎖位置)に移動、又は閉鎖位置Xから開放方向D2に伸長位置E2に移動されるようになっている。従って、第2レール24が所定位置Pにあるときには、第2レール24又は載せる物品102の保管に有益である。
【0038】
6:第2レール24は、第3レール26に対して相対的に開放方向D2に分離可能である。この配置により、第2レール24が載せる物品102を載せているときに、載せる物品102,第2レール24は第3レール26から取り外し可能である。従って、第2レール24又は載せる物品102の保管の助けになる。
【0039】
当業者であれば、本発明の教示に従いつつ、装置及び方法のさまざまな改変及び変更を行うことができることが容易に理解されることである。従って、上記の開示は、添付の請求項で規定される範囲によって限定されると解釈されることとする。