(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前面に開口部を有する貯蔵室内に着脱可能に配されて内容物を出し入れ時に前後にスライド移動する収納容器を備えた冷蔵庫において、前記収納容器の両側壁に突設して前方から順に配される各一対の第1摺動子、第2摺動子及び第3摺動子と、スライド移動時に前記第1摺動子及び前記第2摺動子を摺動案内する主案内部と、前記主案内部の上方に配されるとともに前記収納容器の着脱時に前記第3摺動子を摺動案内する補助案内部と、前記補助案内部の上方に配してスライド移動時に前記第3摺動子の当接により前記収納容器の前進を規制する第1規制部とを備え、
前記主案内部及び前記補助案内部の前端が、前記開口部に設けられていることを特徴とする冷蔵庫。
前記収納容器の着脱時に、後傾姿勢の前記収納容器の前記第3摺動子が前記第1規制部の下方を通過するように前記補助案内部により前記第3摺動子を摺動案内するとともに、前記第3摺動子が前記第1規制部を通過する際に、前記第1摺動子が前記主案内部の前端よりも後方に配されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
前記主案内部の前端下部に形成した段差によって、前記収納容器の着脱時に前記収納容器の後傾角度を規制する角度規制部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
前記第1摺動子が前記第2摺動子よりも下方に配されるとともに、前記主案内部が後部で分岐して前記第1摺動子が嵌合する第1嵌合溝と、前記第2摺動子が嵌合する第2嵌合溝とを有し、前記収納容器の装着時に、前記第3摺動子が前記第1規制部の下方を通過した後に、前記第2摺動子が前記第2嵌合溝に嵌合することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷蔵庫。
前記第1摺動子及び前記第2摺動子が同じ高さに配されるとともに、前記収納容器が収納された状態で、前記主案内部は前記第1摺動子及び前記第2摺動子の両方が嵌合する嵌合溝を有し、前記収納容器の装着時に、前記第3摺動子が前記第1規制部の下方を通過した後に、前記第2摺動子が前記嵌合溝に嵌合することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の冷蔵庫1の正面図であり、
図2は冷蔵庫1の側面断面図である。
【0020】
冷蔵庫1は上方から順に冷蔵室2、野菜室3及び冷凍室4を有している。各貯蔵室は断熱壁20で仕切られている。また、冷凍室4内には前面に開口部38aを有する貯氷室38が設けられる。貯氷室38は仕切壁40により側方及び下方を囲まれている。
【0021】
また、冷蔵室2は例えば4℃に設定され、貯蔵物を冷蔵保存する。野菜室3は冷蔵室2よりも高温の例えば8℃に設定され、野菜等の貯蔵物を冷蔵保存する。冷凍室4は例えば−20℃に設定され、貯蔵物を冷凍保存する。
【0022】
冷蔵室2は観音開きの扉5Lと5Rとを有する。野菜室3は引き出し式の扉6を有する。冷凍室4は観音開きの扉7Lと7Rとを有する。
【0023】
冷蔵庫1の背面には圧縮機9が設けられている。圧縮機9には冷却器10、凝縮器(不図示)、膨張器(不図示)が接続され、イソブタン等の冷媒を循環させて冷凍サイクルを形成している。
【0024】
また、各貯蔵室の背後には冷気通路(不図示)が設けられ、冷凍サイクルの低温側である冷却器10と熱交換した空気が冷気通路を介して各貯蔵室に送られる。
【0025】
また、冷蔵庫1は自動的に氷を作成する自動製氷器12を備えている。自動製氷器12は冷蔵室2内に配される給水タンク21、貯氷室38内に配される製氷皿31及び貯氷容器(収納容器)33を備える。
【0026】
製氷皿31は貯氷容器33の上方に配され、給水タンク21から製氷皿31への水の給水は給水パイプ25を介して行われる。給水パイプ25は冷蔵室2から断熱壁20を通って貯氷室38へ延設され、給水パイプ25の下端は製氷皿31の上方に配されている。
【0027】
製氷皿31には給水パイプ25から給水タンク21内の水が供給され、製氷が行われる。また、製氷皿31は製氷モータ32に連結されている。製氷モータ32は製氷皿31を捻り、製氷皿31から氷Mを離脱させて貯氷容器33に落下させる。
【0028】
貯氷容器33は製氷皿31から離脱された氷Mを貯留する。使用者は扉7Lを開けた後に貯氷容器33を前方に引き出して氷Mを使用する。また、貯氷容器33は貯氷室38から着脱できるように設けられている。
【0029】
図3は貯氷容器33の斜視図を示している。貯氷容器33は矩形状の底面に前面壁34、側面壁36、37、背面壁35が起立して上方が開放された箱状に形成されている。また、前面壁34の上部には取手部34aが設けられている。取手部34aの底部は凹状に形成されており、底部に下方から手指を挿入して貯氷容器33を前後方向に出し入れすることができる。
【0030】
また、貯氷容器33の側面壁36及び側面壁37には前方から順に各一対の第1摺動子41、第2摺動子42及び第3摺動子43が突設されている。第1摺動子41の上方に第2摺動子42が配され、第2摺動子42の上方に第3摺動子43が配されている。
【0031】
図4は貯氷室38の側面断面図を示している。貯氷室38の両側壁39の内面には前後方向に延びる主案内部51及び補助案内部52が設けられる。主案内部51及び補助案内部52の前端は開口部38aに設けられている。主案内部51は側壁39に凹設した溝形状に形成される。詳細を後述するように、貯氷容器33は氷Mを取り出す際に第1摺動子41及び第2摺動子42が主案内部51に摺動案内されて前後にスライド移動する。
【0032】
主案内部51の後部は嵌合溝51e及び嵌合溝51fに分岐する。嵌合溝51e(第1嵌合溝)は第1摺動子41が嵌合し、嵌合溝51eの上方に配される嵌合溝51f(第2嵌合溝)は第2摺動子42が嵌合する。
【0033】
主案内部51の前部には嵌合溝51eの下面に連続して前方が下がる傾斜面51aが設けられる。傾斜面51aの前端には段差51bが設けられている。段差51bは規制部51c(第2規制部)と角度規制部51dとを有する。
【0034】
規制部51cは傾斜面51aの前端から立設し、第1摺動子41が当接して貯氷容器33の前進を規制する。また、角度規制部51dは規制部51cの上端から前方に延びる。つまり、規制部51cは角度規制部51dの後方に配されている。また、角度規制部51dの前端部には段差部58が設けられている。
【0035】
補助案内部52は主案内部51の上方に配され、側壁39上に設けた段差によりレール状に形成される。詳細を後述するように、貯氷容器33の着脱時に第3摺動子43が補助案内部52に摺動案内される。
【0036】
補助案内部52の上方には緩衝装置54(第1規制部)が設けられる。緩衝装置54は第3摺動子43が当接して貯氷容器33の前進を規制する。緩衝装置54はアーム部56、捻りバネ55及び支持部57を有している。支持部57は側壁39上に設けられ、アーム部56を前後方向に回動可能に軸支する。アーム部56は支持部57により上部を軸支され、後面に第3摺動子43の当接面56aが形成される。
【0037】
捻りバネ55は両端をそれぞれ支持部57及びアーム部56に係止され、当接面56aが後方に回動する方向にアーム部56を付勢する。また、側壁39上には捻りバネ55により付勢されたアーム部56を係止する係止部60が設けられる。
【0038】
図4に示すように、貯氷容器33が後端まで挿入された状態において第1摺動子41が嵌合溝51eに嵌合し、第2摺動子42は嵌合溝51fに嵌合している。また、第3摺動子43は補助案内部52に当接せずに浮いた状態で配されている。
【0039】
この状態から取手部34aの底部に手指を掛けて貯氷容器33の前部を支持しながら貯氷容器33を前方に引き出す。このとき、嵌合溝51e、51fが第1、第2摺動子41、42を各々摺動案内する。貯氷容器33の前進移動時、貯氷容器33は第1、第2摺動子41、42で支持されており、貯氷容器33の重みによる使用者の手指に掛かる負担を軽減することができる。
【0040】
さらに貯氷容器33を前進させると、
図5に示すように、第1摺動子41が傾斜面51aを摺動する。このとき、第2摺動子42を支点にして貯氷容器33が前傾姿勢になる。そして、第3摺動子43がアーム部56の当接面56aに後方から当接する。
【0041】
図6に示すように、貯氷容器33をさらに前進させると、第3摺動子43が緩衝装置54のアーム部56を前方に押圧する。この時、アーム部56に働く後方への付勢力によって貯氷容器33の前方への移動速度が低下する。緩衝装置54によって貯氷容器33が減速するため、貯氷容器33を前方に引き出す際に、第1摺動子41が規制部51cに勢いよく衝突して破損するのを防止することができる。
【0042】
貯氷容器33をさらに前進させると、第1摺動子41が規制部51cに当接する。第1摺動子41は規制部51cによって前方への移動が規制されており、貯氷容器33をこれ以上水平方向前方へ引き出すことはできない。このため、貯氷容器33が貯氷室38から外れて落下するのを防止することができる。
【0043】
また、貯氷容器33の前部が傾斜面51aに沿って下方に傾いており、氷Mが貯氷容器33の前部に集まって貯氷容器33が引き出される。従って、氷Mを貯氷容器33から取り出し易くなり、利便性が向上する。また、第1摺動子41が規制部51cに当接するときには緩衝装置54によって貯氷容器33が減速している。このため、第1摺動子41が規制部51cに衝突する衝撃によって貯氷容器33内の氷Mが飛散することを防止できる。
【0044】
なお、規制部51cの前方の角度規制部51dに段差部58が設けられる。このため、使用者が誤って貯氷容器33の前部を持ち上げながら前方に引き出した際に、角度規制部51dに乗り上げた第1摺動子41が段差部58に当接する。これにより、貯氷容器33の前方への移動が規制され、使用者が誤って貯氷容器33を取り外して貯氷容器33が落下するのを防止することができる。
【0045】
次に、貯氷容器33を取り外す場合は、
図7に示すように、規制部51cに第1摺動子41が当接した貯氷容器33の前部が持ち上げられる。これにより、第2摺動子42を支点にして第1摺動子41が上昇し、第3摺動子43が下方に回動してアーム部56から離れる。これにより、アーム部56は後方に回動して係止部60により係止される。
【0046】
図8に示すように、貯氷容器33の前部がさらに持ち上げられると、第1摺動子41が角度規制部51dの上方に配され、貯氷容器33が後傾姿勢をとる。この時、第3摺動子43が補助案内部52に当接して貯氷容器33の自重を支持して第2摺動子42は嵌合溝51fから離れる。
【0047】
そして、
図9に示すように、後傾姿勢の貯氷容器33を水平方向前方に引き出すことにより、第3摺動子43が貯氷容器33を支持しながら補助案内部52により摺動案内される。これにより、主案内部51から第1摺動子41が脱離する。続いて、主案内部51から第2摺動子42が脱離し、最後に補助案内部52から第3摺動子43が脱離する。これにより、貯氷容器33が取り出される。
【0048】
なお、第3摺動子43が緩衝装置54を通過する際に、主案内部51内に第1摺動子41が配されており、貯氷容器33の後傾角度が制限される。従って、第3摺動子43が緩衝装置54を通過する際に、第1摺動子41又は第2摺動子42を支点にして第3摺動子43が上方に回動するのを防ぎ、第3摺動子43及び緩衝装置54の衝突による破損を防止することができる。
【0049】
次に、貯氷容器33の装着時は、
図9に示すように第3摺動子43を補助案内部52に摺動させながら貯氷容器33を後方に差し込む。次に、第2摺動子42を主案内部51に挿入し、貯氷容器33を後傾姿勢にして主案内部51の上面に摺動させる。これにより、貯氷容器33は前後方向に第2摺動子42及び第3摺動子43の二点で支持され、後傾姿勢の傾斜角度が制限される。
【0050】
なお、主案内部51及び補助案内部52の前端が開口部38aに設けられており、使用者は挿入時に目視で確認しながら、第3摺動子43を主案内部51の前端から挿入した後、第2摺動子42及び第1摺動子41を順に補助案内部の前端に挿入することができる。このため、第1摺動子41、第2摺動子42及び第3摺動子43が主案内部51及び補助案内部52の前端から上下にずれて衝突し、破損するのを防止して貯氷容器33を円滑に装着することができる。
【0051】
貯氷容器33をさらに後進させると、
図10に示すように、第1摺動子41が主案内部51に挿入される。このとき、第2摺動子42及び第3摺動子43で支持された貯氷容器33は所定角度以上に後傾しないため、第1摺動子41が持ち上げられて補助案内部52に誤って挿入するのを防ぐことができる。
【0052】
また、第1摺動子41を主案内部51に挿入するために、貯氷容器33の前部を持ち上げておく必要があり、主案内部51内の第2摺動子42が降下し過ぎないように規制される。そして、
図11に示すように、第2摺動子42は嵌合溝51eに挿入されずに嵌合溝51fに誘導されて挿入される。
【0053】
この時、第1摺動子41が角度規制部51dの上方まで移動した位置で第2摺動子42は既に嵌合溝51f内に挿入されている。このため、貯氷容器33を更に後傾させると嵌合溝51f内の第2摺動子42と補助案内部52内の第3摺動子43によって貯氷容器33が支持され、所定の角度以上に後傾しないように規制される。したがって、第1摺動子41の嵌合溝51fへの誤挿入を防止できる。
【0054】
また、第3摺動子43が緩衝装置54を通過するまでは貯氷容器33の重みにより第3摺動子43が補助案内部52の下面に当接することで貯氷容器33の後部が支持されている。このため、第3摺動子43が補助案内部52の下面から離れて浮く状態になり難い。従って、第3摺動子43が緩衝装置54の下方を通過する際に、第3摺動子43が緩衝装置54に衝突するのを防止できる。
【0055】
貯氷容器33をさらに後進させると、
図12に示すように、第2摺動子42が嵌合溝51fに嵌合する。このとき、第3摺動子43が緩衝装置54の下方を通過した後であり、貯氷容器33を前傾させて第2摺動子42を支点にして第3摺動子43が上方に回動した場合でも第3摺動子43及び緩衝装置54が衝突し、破損するのを防止することができる。
【0056】
図13に示すように、貯氷容器33が後傾姿勢を維持した状態でさらに後進すると、前述の通り、貯氷容器33は第2摺動子42及び第3摺動子43によって、所定の角度以上に後傾しないように規制されている。このため、第1摺動子41が嵌合溝51eに挿入されずに嵌合溝51e、51f間の仕切壁59の前端部に当接する。
【0057】
そして、
図14に示すように、貯氷容器33の前部を下方に下げて後傾姿勢を前傾姿勢に戻すことにより、第2摺動子42を支点にして第1摺動子41が下方に回動して傾斜面51aに当接する。また、第3摺動子43は上方に持ち上げられて補助案内部52上から離れ、緩衝装置54の後方に配される。
【0058】
さらに貯氷容器33を後進させると、嵌合溝51eにより第1摺動子41が摺動案内され、嵌合溝51fにより第2摺動子42が摺動案内される。この時、貯氷容器33が第1摺動子41及び第2摺動子42により前後の2点で支持され、貯氷容器33の姿勢が安定して挿入される。そして、前述の
図4に示すように貯氷容器33が後端位置に配される。
【0059】
本実施形態によると、主案内部51及び補助案内部52の前端が開口部38aに設けられており、使用者は挿入時に目視で確認しながら、第3摺動子43を主案内部51の前端から挿入した後、第2摺動子42及び第1摺動子41を順に補助案内部の前端に挿入することができる。このため、第1摺動子41、第2摺動子42及び第3摺動子43が主案内部51及び補助案内部52の前端から上下にずれて衝突し、破損するのを防止して貯氷容器33を円滑に装着することができる。
【0060】
また、貯氷容器33の着脱時に、後傾姿勢の貯氷容器33の第3摺動子43が緩衝装置54(第1規制部)の下方を通過するように補助案内部52により第3摺動子43を摺動案内するとともに、第3摺動子43が緩衝装置54を通過する際に、第1摺動子41が主案内部51の前端よりも後方に配される。これにより、貯氷容器33の後傾角度が制限される。従って、第1摺動子41又は第2摺動子42を支点にして第3摺動子43が上方に回動するのを防ぐことができる。従って、第3摺動子43及び緩衝装置54の衝突による破損を防止することができる。
【0061】
また、主案内部51の前端下部に形成した段差51bによって、貯氷容器33の着脱時に貯氷容器33の後傾角度を規制する角度規制部51dを設けた。これにより、脱着時に第1摺動子41が角度規制部51dを乗り越える際の貯氷容器33の後傾角度を規制することができる。従って、第3摺動子43が緩衝装置54を通過する際に第3摺動子43が上方に回動して緩衝装置54に衝突するのを防止することができる。
【0062】
また、第1摺動子41が第2摺動子42よりも下方に配されるとともに、主案内部51が後部で分岐して第1摺動子41が嵌合する嵌合溝51e(第1嵌合溝)と、第2摺動子42が嵌合する嵌合溝51f(第2嵌合溝)とを有し、貯氷容器33の装着時に、第3摺動子43が緩衝装置54(第1規制部)の下方を通過した後に、第2摺動子42が嵌合溝51fに嵌合する。これにより、第2摺動子42は第3摺動子43が緩衝装置54を通過する際に主案内部51内に浮いた状態にある。従って、貯氷容器33の後傾角度を変えても第2摺動子42が嵌合溝51fの下面に当接して支点となり第3摺動子43が上方に回動して緩衝装置54に衝突するのを防止することができる。
【0063】
また、緩衝装置54によって貯氷容器33の前方への前進を規制するため、前進する貯氷容器33が減速される。このため、第3摺動子43と従来例のような前進の規制部との高速の衝突による第3摺動子43の破損を防止することができる。
【0064】
また、貯氷容器33のスライド移動時に第3摺動子43の押圧により緩衝装置54が変位した後、第1摺動子41が当接して貯氷容器33の前進を規制する規制部51c(第2規制部)を角度規制部51dの後方に設けた。これにより、第1摺動子41及び規制部51cとの高速の衝突による破損を防止することができる。
【0065】
また、角度規制部51dに段差部58が形成される。このため、使用者が誤って貯氷容器33の前部を持ち上げながら前方に引き出した際に、角度規制部51dに乗り上げた第1摺動子41が段差部58に当接する。これにより、貯氷容器33の前方への移動が規制され、使用者が誤って貯氷容器33を取り外して貯氷容器33が落下するのを防止することができる。
【0066】
<第2実施形態>
図15は第2実施形態の貯氷容器33の側面断面図を示している。なお、第1実施形態と同様の部分には同一符号を付して説明を省略する。第1実施形態に対して第2実施形態は主案内部51が分岐しておらず、主案内部51は嵌合溝51gを有する。また、緩衝装置54(
図4参照)に替えて規制部(第1規制部)61が設けられている。
【0067】
主案内部51及び補助案内部52は貯氷室38の側壁39に凹設した溝形状に形成される。主案内部51の後部には第1摺動子41及び第2摺動子42が嵌合する嵌合溝51gが設けられる。嵌合溝51gの前方は上方に拡幅され、嵌合溝51gの前端から上方に延びる垂直面51hが形成される。また、主案内部51の前端部には段差51bから成る規制部51c(第2規制部)及び角度規制部51dが形成される。
【0068】
補助案内部52は後部が拡幅され、段差によって規制部61が形成される。また、案内部52の上面には連続して前方に上がる傾斜面52aが設けられている。これにより、補助案内部52の前部が上方に徐々に拡幅される。
【0069】
また、貯氷容器33の第1摺動子41及び第2摺動子42は同じ高さに設けられ、第3摺動子43よりも下方に配される。また、第3摺動子43は第2摺動子42を中心にして第2摺動子42の垂直上方から30度以上後方に回動させた位置に配されている。
【0070】
図16に示すように、後端位置の貯氷容器33が水平方向前方に引き出されると、第3摺動子43が規制部61に当接する。これにより、貯氷容器33の前進が規制され、貯氷容器33が貯氷室38から外れて落下することを防止できる。
【0071】
貯氷容器33を取り外す場合は、第3摺動子43が規制部61に当接した状態から
図17に示すように、貯氷容器33の前部が持ち上げられる。これにより、第2摺動子42を支点にして第1摺動子41が回動し、角度規制部51dよりも上方に配される。また、第3摺動子43は下方に回動し、補助案内部52の下面に当接するとともに規制部61の下方に配される。
【0072】
このとき、第3摺動子43は第2摺動子42を中心にして第2摺動子42の垂直上方から30度以上後方に回動させた位置に配されているため、第3摺動子43が補助案内部52の下面に当接したとき貯氷容器33の後傾姿勢の傾斜角度が小さく保たれ、貯氷容器33の取り外しの利便性が向上する。
【0073】
後傾姿勢の貯氷容器33を水平方向前方へ引き出すと、補助案内部52により第3摺動子43が摺動案内され、嵌合溝51gにより第2摺動子42が摺動案内される。このとき、貯氷容器33が第2摺動子42及び第3摺動子43により前後の2点で支持され、貯氷容器33を円滑に引き出すことができる。
【0074】
貯氷容器33をさらに水平方向前方へ引き出し、
図18に示すように、第3摺動子43が規制部61の下方を通過して第1摺動子41が主案内部51から脱離した後、貯氷容器33の後部を持ち上げると第3摺動子43が傾斜面52aに当接する。
【0075】
なお、第3摺動子43が規制部61を通過する際に、第1摺動子41は主案内部51内に配されており、貯氷容器33の後傾角度が制限されている。
【0076】
この姿勢で第3摺動子43を傾斜面52aに摺動させながら貯氷容器33を引き出すと、第2摺動子42が角度規制部51dよりも上方に移動して第2摺動子42が主案内部51から脱離し、最後に第3摺動子43が補助案内部52から脱離する。これにより、貯氷容器33が貯氷室38から取り外される。傾斜面52aを設けることにより、貯氷容器33を小さく後傾させた姿勢で第2摺動子42を主案内部51から容易に脱離させることができ、利便性が向上する。
【0077】
貯氷容器33を貯氷室38に装着する場合は、
図18に示すように、第3摺動子43を傾斜面52aに摺動させて貯氷容器33を水平方向後方に差し込む。そして、第2摺動子42を主案内部51に挿入して第2摺動子42を主案内部51の下面に当接させて貯氷容器33を水平方向後方に更に差し込む。
【0078】
図17に示すように、貯氷容器33の前部を持ち上げて第1摺動子41が主案内部51に挿入される高さまで貯氷容器33を後傾させてさらに水平方向後方に差し込む。これにより、貯氷容器33は第3摺動子43が補助案内部52に摺動案内されて第2摺動子42が主案内部51に摺動案内される。そして、第3摺動子43が規制部61の下方を通過した後に第2摺動子42が嵌合溝51gに嵌合する。更に貯氷容器33を水平方向後方に差し込むことにより、第1摺動子41が角度規制部51dの後端上方を通過する。
【0079】
なお、第2摺動子42は第3摺動子43が規制部61を通過した後に嵌合溝51gに嵌合する。このため、第3摺動子43が規制部61を通過する際に嵌合溝51gに嵌合する第2摺動子42が支点となって第3摺動子43が上方に回動するのを防ぐことができる。これにより、第3摺動子43が規制部61に衝突するのを防止することができる。
【0080】
第1摺動子41が角度規制部51dの後端上方を通過すると、
図16に示すように、貯氷容器33の前部が下げられる。これにより、第2摺動子42を支点にして第1摺動子41は下方に回動し、第1摺動子41が主案内部51の下面に当接する。また、第3摺動子43は既に規制部61の下方を通過し、上方に回動して規制部61に面して配される。
【0081】
さらに貯氷容器33が後進すると、第1摺動子41及び第2摺動子42が嵌合溝51gに摺動案内され、
図15に示すように後端位置に配される。
【0082】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1摺動子41及び第2摺動子42が同じ嵌合溝51gにより摺動案内されるため、主案内部51の構造を簡素化して冷蔵庫1のコストを削減することができる。
【0083】
また、傾斜面52aを設けることにより、貯氷容器33の装脱の際、貯氷容器33の後傾姿勢の傾斜角度を小さくして第2摺動子42を主案内部51へ容易に着脱させることができる。
【0084】
また、第1摺動子41及び第2摺動子42が同じ高さに配されるとともに、貯氷容器33が収納された状態で、主案内部51は第1摺動子41及び第2摺動子42の両方が嵌合する嵌合溝51gを有し、貯氷容器33の装着時に、第3摺動子43が規制部61の下方を通過した後に、第2摺動子42が嵌合溝51gに嵌合する。
【0085】
これにより、嵌合溝51gに嵌合する第2摺動子42が支点となって第3摺動子43が上方に回動して規制部61に衝突するのを防止することができる。
【0086】
本実施形態において、第1実施形態と同様の傾斜面51a(
図4参照)を設けてもよい。また、第1実施形態と同様に規制部61の替わりに緩衝装置54を設けることにより、貯氷容器33を引き出す際に減速させて、貯氷容器33内の氷Mが飛散することを防止できる。
【0087】
<第3実施形態>
図19は第3実施形態の貯氷容器33の側面断面図を示している。なお、第2実施形態と同様の部分には同一符号を付して説明を省略する。第2実施形態に対して第3実施形態は傾斜面52aが設けられていない。
【0088】
図20に示すように、後端位置の貯氷容器33が水平方向前方に引き出されると、第3摺動子43が規制部61に当接する。これにより、貯氷容器33の前進が規制され、貯氷容器33が貯氷室38から外れて落下することを防止できる。
【0089】
貯氷容器33を取り外す場合は、第3摺動子43が規制部61に当接した状態から
図21に示すように、貯氷容器33の前部が持ち上げられる。これにより、第2摺動子42を支点にして第1摺動子41が回動し、角度規制部51dよりも上方に配される。また、第3摺動子43は下方に回動し、補助案内部52の下面に当接するとともに規制部61の下方に配される。
【0090】
後傾姿勢の貯氷容器33を水平方向前方へ引き出すと、補助案内部52により第3摺動子43が摺動案内され、嵌合溝51gにより第2摺動子42が摺動案内される。このとき、貯氷容器33が第2摺動子42及び第3摺動子43により前後の2点で支持され、貯氷容器33を円滑に引き出すことができる。
【0091】
貯氷容器33をさらに水平方向前方へ引き出すと、
図22に示すように、第3摺動子43が規制部61の下方を通過する。また、第1摺動子41が主案内部51から脱離し、第2摺動子42が規制部51cに当接する。これにより、貯氷容器33の前進が規制される。従って、使用者が誤って貯氷容器33の前部を持ち上げながら引き出した際に、貯氷容器33が貯氷室38から外れて落下することを防止できる。
【0092】
第2摺動子42が規制部51cに当接すると、
図23に示すように、貯氷容器33の前部がさらに持ち上げられる。これにより、第3摺動子43を支点にして第2摺動子42が角度規制部51dよりも上方に回動する。
【0093】
この姿勢で貯氷容器33を水平方向前方へ引き出すことにより、第2摺動子42が主案内部51から脱離して第3摺動子43が補助案内部52から脱離する。これにより、貯氷容器33が貯氷室38から取り外される。
【0094】
貯氷容器33を貯氷室38に装着する場合は、
図23に示すように、第3摺動子43を補助案内部52に摺動させて貯氷容器33が水平方向後方に差し込まれる。そして、第2摺動子42を主案内部51に挿入する。
【0095】
第2摺動子42が主案内部51に挿入されると、
図22に示すように、貯氷容器33の前部を下げて第3摺動子43を支点にして第2摺動子42を下方に回動させる。これにより、第2摺動子42が主案内部51の下面に当接する。
【0096】
図21に示すように、貯氷容器33をさらに水平方向後方に差し込むと、貯氷容器33は第3摺動子43が補助案内部52に摺動案内されて第2摺動子42が主案内部51に摺動案内される。そして、第3摺動子43が規制部61の下方を通過した後に第2摺動子42が嵌合溝51gに嵌合する。更に貯氷容器33を水平方向後方に差し込むことにより、第1摺動子41が角度規制部51dの後端上方を通過する。
【0097】
第1摺動子41が角度規制部51dの後端上方を通過すると、
図20に示すように、貯氷容器33の前部が下げられる。これにより、第2摺動子42を支点にして第1摺動子41は下方に回動し、第1摺動子41が主案内部51の下面に当接する。また、第3摺動子43は既に規制部61の下方を通過し、上方に回動して規制部61に面して配される。
【0098】
さらに貯氷容器33が後進すると、第1摺動子41及び第2摺動子42が嵌合溝51gに摺動案内され、
図19に示すように後端位置に配される。
【0099】
<第4実施形態>
図24は第4実施形態の貯氷室38を示す側面断面図である。なお、第3実施形態と同様の部分には同一符号を付して説明を省略する。第3実施形態に対して第4実施形態は規制部51c及び角度規制部51dが省かれている。
【0100】
本実施形態によると、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、貯氷容器33を着脱する際に、貯氷容器33の後傾姿勢の傾斜角度を小さくして第2摺動子42を主案内部51に対して着脱することができる。これにより、貯氷容器33を貯氷室38から容易に着脱することができる。
【0101】
なお、本実施形態によると、規制部51cが省かれているため、規制部61の替わりに緩衝装置54を設けた場合、貯氷容器33の前方への移動が規制されず、緩衝装置54が破損する虞がある。このため、規制部61の替わりに緩衝装置54を設けない方が好ましい。
【0102】
その他本発明は、第1〜第4実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、貯氷容器33以外にも冷蔵室2、野菜室3及び冷凍室4内に着脱可能に配されて前後にスライド移動する収納容器に用いることができる。