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特許6755963真円のマイクロ波焼灼アンテナ及システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755963
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】真円のマイクロ波焼灼アンテナ及システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20200907BHJP
【FI】
   A61B18/18 100
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-550778(P2018-550778)
(86)(22)【出願日】2018年3月14日
(65)【公表番号】特表2019-515713(P2019-515713A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】CN2018078952
(87)【国際公開番号】WO2018192325
(87)【国際公開日】20181025
【審査請求日】2018年9月21日
(31)【優先権主張番号】201710260121.3
(32)【優先日】2017年4月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518339571
【氏名又は名称】南通融鋒医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Mima−Pro (Nan Tong) Scientific Inc
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 鵬
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲てい▼
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−180550(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/054156(WO,A1)
【文献】 特開2012−101080(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105596079(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104688335(CN,A)
【文献】 特開2010−094518(JP,A)
【文献】 特開2012−139495(JP,A)
【文献】 特表2017−533740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針頭部、針棒、同軸ケーブル、導水管及びチョークリングを備え、同軸ケーブル及び導水管を収容するチャンバを有し、導水管と同軸ケーブルとの間に給水路が設置され、導水管と針棒との間に戻り路が設置されるマイクロ波焼灼アンテナであって、
前記チャンバ及び導水管がアンテナの先端に前向きに延在し、アンテナの発射窓の少なくとも一部が導水管内に位置し、それにより冷却媒体でアンテナの発射窓領域の温度を下げることができ、
前記導水管は、針頭部に接近する第一サブ管及び針頭部から離れる第二サブ管を有し、前記第一サブ管は、マイクロ波発射領域の導水管であって、マイクロ波透過可能な絶縁材質であり、マイクロ波を外向きに放射可能にし、前記第二サブ管は、マイクロ波遮蔽可能な金属材質であり、前記第一サブ管の針頭部から離れる側の端部と前記第二サブ管の針頭部に接近する側の端部とが密封結合され、
前記チョークリングは、前記戻り路に設けられ前記針棒との間に隙間があるように前記導水管に密封固定され、且つ前記チョークリングの前記針頭部に接近する側には前記導水管は前記第一サブ管のみが位置し、前記チョークリングの前記針頭部から離れる側には前記導水管は前記第二サブ管のみが位置し、マイクロ波を遮断するとともに、該隙間により冷却媒体を還流させることを特徴とするマイクロ波焼灼アンテナ。
【請求項2】
前記針頭部は止まり穴を有し、前記止まり穴内に電極コアを有し、同軸ケーブルの内導体が電極コアに接続され、電極コアと同軸ケーブルの外導体との間にアンテナ発射窓を形成し、前記導水管の先端が前記止まり穴の底部に接近又は当接することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波焼灼アンテナ。
【請求項3】
前記針頭部が金属とげであり、金属とげの末端が後向きに突起し、同軸ケーブルの内導体が該金属とげの末端に接続され、金属とげの末端の後端と同軸ケーブルの外導体の先端との間にアンテナの発射窓を形成することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波焼灼アンテナ。
【請求項4】
金属とげが誘電体スリーブによって針棒に接続され、誘電体スリーブと同軸ケーブルとの間にキャビティを有し、導水管が該キャビティ内に前向きに延在することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波焼灼アンテナ。
【請求項5】
金属とげが針棒に接続され、針棒の先端と同軸ケーブルとの間にキャビティを有し、導水管が該キャビティ内に前向きに延在することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波焼灼アンテナ。
【請求項6】
真円にマイクロ波焼灼をするためのマイクロ波焼灼システムであって、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロ波焼灼アンテナを備えることを特徴とするマイクロ波焼灼システム。
【請求項7】
真円にマイクロ波焼灼をするためのマイクロ波焼灼システムに用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロ波焼灼アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真円のマイクロ波焼灼アンテナに関し、マイクロ波焼灼針技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
現代技術及び腫瘍学の発展に伴い、数十年来、中国国内ではマイクロ波腫瘍焼灼技術が飛躍的な進展を遂げた。マイクロ波腫瘍焼灼はマイクロ波を組織に作用すると熱効果を発生させることができ、数分間乃至数十分間の時間内に、その熱場の中心温度が100℃以上に達し、腫瘍組織が瞬時に高温で凝固、不活化され、それにより腫瘍焼灼治療の目的を実現する。マイクロ波腫瘍焼灼技術はマイクロ波焼灼針をヒト組織の病巣に刺し、その先端からマイクロ波エネルギーを発射し続けることで、手術を施し、その効率が高く、傷口が小さく、且つ組織への作用深さ及び範囲をいずれも制御できるため、全身の固形腫瘍の焼灼手術に適用する。
【0003】
現在、臨床において使用されるマイクロ波焼灼針は、
針体の先端の動作温度が高く、マイクロ波エネルギーの発射安定性に影響を与えると同時に、針棒の温度が高いため、正常組織にやけどをしてしまい、
針体の先端のマイクロ波発射構造が欠点を有するため、使用可能なマイクロ波出力パワーを制限してしまい、
従来のマイクロ波焼灼による破損形態が丸くなく(棒状又は楕円)、真円率が0.7より小さく、焼灼短径が3センチメートルより小さく、一回で3センチメートルの腫瘍を治療できず、臨床において使用される時に大幅に制限され、完全な焼灼治療を確保できず、結果を予知できないという欠点を有する。
【0004】
上記技術的問題を解決するために、出願者は2010年9月に特許局に特許出願CN201020520138.1を提出した。「ハイパワーで使用できる水冷マイクロ波焼灼針」に関し、該案は発射端の後方の同軸ケーブルにチョークリング(防水軸)を溶接し、同軸ケーブルの外側に覆うように設けられている導水管の先端がチョークリングに固定され、それにより給排水路を形成し、冷却媒体(水)で針体の先端(マイクロ波発射領域の後端)を水冷し、従って、ある程度で上記問題を解決したが、該案における焼灼による真円率が0.9に達さないため、さらなる研究開発及び改良を必要とする。
【0005】
マイクロ波で焼灼する時、腫瘍組織が迅速に凝固・脱水された後、組織の誘電率が動的に変化し、且つ高温による炭化(≧140℃)又はコークス化(約110℃)後のコア組織の誘電率が大幅に変化し、マイクロ波の波長が長くなるため、クロール波の回折能力が高くなる(チョークリングを迂回できる)。同時に、炭化後の組織が1つの反射面を形成し、マイクロ波エネルギーの一部を針棒の方向(アンテナの後端)へ反射させ、その共通の結果、焼灼し続ける時にマイクロ波アンテナの焼灼による形態が丸くなく、臨床実験において「真円」率(短径/長径)が0.7を超えることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする技術的問題は、従来技術の上記欠点を克服し、真円のマイクロ波焼灼アンテナ及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の技術的問題を解決するために、針頭部、針棒、同軸ケーブル、導水管及びチョークリングを備え、同軸ケーブル及び導水管を収容するチャンバを有し、導水管と同軸ケーブルとの間に給水路が設置され、導水管と針棒との間に戻り路が設置される本発明に係る真円のマイクロ波焼灼アンテナであって、前記チャンバ及び導水管がアンテナの先端に前向きに延在し、アンテナの発射窓の少なくとも一部が導水管内に位置し、それにより冷却媒体でアンテナの発射窓領域の温度を下げることができ、マイクロ波発射領域の導水管がマイクロ波透過可能な材質であり、マイクロ波を外向きに放射可能にし、導水管の残りの部分がマイクロ波遮蔽材質であり、発射領域の後方に位置するチョークリングが導水管に密封固定され、それによりチョークリングがマイクロ波を遮断する役割を果たし、チョークリングと針棒との間に隙間があり、該隙間は冷却媒体の還流に用いられることを特徴とする。
【0008】
マイクロ波透過可能な材質が絶縁材質であり、マイクロ波遮蔽材質が金属材質である。
【0009】
本発明は従来の焼灼アンテナの水冷構造を改良し、アンテナの発射窓を導水管内に設置し、それにより冷却媒体(水)でアンテナの先端の温度を下げることができ、高温領域の腫瘍組織が短時間内に炭化又はコークス化することを防止し、高温領域の腫瘍組織の誘電率の変化が小さく、従って、手術中にマイクロ波の波長が基本的に安定し、そのクロール能力が低いため、チョークリングと協働してそれを抑制することができ、同時に、背景技術に言及される「炭化組織で形成された反射面」がなく、マイクロ波焼灼による形態をより丸めるように確保し、「真円」率(短径/長径)が0.95に達し、且つ、針頭部の高温領域の温度が効果的に制御されるため、パワーの増加及び焼灼時間の延長によって更に大きな焼灼半径(5cm以上)を実現することができる。
【0010】
また、本発明は更に真円のマイクロ波焼灼システムを提供し、上記特殊構造の真円のマイクロ波焼灼アンテナを使用することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明を更に説明する。
図1図1は実施例1の真円のマイクロ波焼灼アンテナの先端部の断面図である。
図2図2は実施例2の真円のマイクロ波焼灼アンテナの先端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。
【0013】
実施例1
図1に示すように、本実施例の真円のマイクロ波焼灼アンテナは針頭部4、針棒1、同軸ケーブル2、導水管6及びチョークリング7を備える。アンテナは同軸ケーブル2及び導水管6を収容するチャンバを有し、導水管6と同軸ケーブル2との間に給水路が設置され(好ましくは、導水管6と同軸ケーブル2との間の隙間を給水路とする)、導水管6と針棒1との間に戻り路が設置される(好ましくは、導水管6と針棒1との間の隙間を戻り路とする)。図1に示すように、針頭部4(二酸化ジルコニウムとげ)は開口部が後方に向かう止まり穴を有し、止まり穴内に電極コア3が設置され、同軸ケーブル2の内導体が電極コア3に接続(導電接続)され、電極コア3と同軸ケーブルの外導体2との間にアンテナ発射窓5を形成する。止まり穴の孔壁及び電極コア3、同軸ケーブルの外導体2の間にキャビティを形成し、導水管の先端が前記止まり穴の底部に接近又は当接し、アンテナの発射窓5(少なくとも一部)を導水管内に位置させ、それにより冷却媒体でアンテナの発射窓領域の温度を下げることができる。本例において、導水管に寄与して、冷却媒体をアンテナの最先端に導流し、従って、マイクロ波放射中心領域を冷却して温度を下げることができる。
【0014】
図1に示すように、本実施例において、導水管6が針頭部に接近する第一サブ管61及び針頭部から離れる第二サブ管62を有し、第一サブ管61が絶縁材質であり、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を用いてもよく、マイクロ波を外向きに放射可能にし、その後部が第二サブ管61に密封接続され、冷却媒体を前向きに搬送するように確保し、第二サブ管62が金属材質であり、銅又はステンレスを用いてもよく、その前部がチョークリング71に密封溶接固定され、それによりチョークリングがマイクロ波を遮断する役割を果たし、チョークリングと針棒との間に隙間があり、該隙間は冷却媒体の還流に用いられる。図1には、アンテナチャンバ内の矢印で冷却媒体の流れ方向を示す。
【0015】
本実施例において、導水管6の第一サブ管61及び第二サブ管62が密封結合され、チョークリング7が第二サブ管62を覆うようにして設けられて、密封溶接固定される。導水管及びチョークリングが更にほかの組立構造を用いてもよく、例えば、
第一サブ管61及び第二サブ管62がそれぞれチョークリング7の前後両端に固定され、
第一サブ管がチョークリング7の孔に挿入して密封固定され、第二サブ管62がチョークリング7の後端に密封溶接され、
チョークリング7が第二サブ管62を覆うようにして設けられ、第一サブ管61が第二サブ管62の前部に挿入される。
【0016】
上記組立構造を用いれば、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0017】
実施例2
図2に示すように、本実施例は実施例1の主体構造とほぼ同様であり、相違点はアンテナの先端部である。本例において、針頭部4が金属とげであり、金属とげの末端に後向きの突起9を有し、同軸ケーブル2の内導体が該金属とげの末端(突起9)に接続され、金属とげの末端(突起9)の後端と同軸ケーブル2の外導体の先端との間にアンテナの発射窓5を形成する。針頭部4が誘電体スリーブ8によって針棒1に接続され、誘電体スリーブ8と同軸ケーブル2との間にキャビティを有し、導水管が該キャビティ内に前向きに延在し、アンテナの発射窓の少なくとも一部が導水管内に位置し、それにより冷却媒体でアンテナの発射窓領域の温度を下げることができる。
【0018】
さらなる変形構造として、金属とげが針棒に直接接続され、針棒の先端と同軸ケーブルとの間にキャビティを有し、導水管が該キャビティ内に前向きに延在し、アンテナの発射窓の少なくとも一部を導水管内に位置させる。
【0019】
また、本発明は更に真円のマイクロ波焼灼システムを提供し、上記真円のマイクロ波焼灼アンテナを備える。本発明は更に上記真円のマイクロ波焼灼アンテナを真円のマイクロ波焼灼システムに用いることを保護する。
【0020】
上記実施例を除き、本発明は更にほかの実施形態があってもよい。均等置換又は等価変換によって形成された技術は、いずれも本発明に要求される保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0021】
1 針棒
2 同軸ケーブル
3 電極コア
4 針頭部
5 アンテナ発射窓
6 導水管
61 第一サブ管
62 第二サブ管
7 チョークリング
8 誘電体スリーブ
9 突起
図1
図2