特許第6755989号(P6755989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6755989
(24)【登録日】2020年8月28日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】デバイス送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20200907BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20200907BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   A61M25/092
   A61M25/00 520
   A61M25/09 550
【請求項の数】7
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2019-38264(P2019-38264)
(22)【出願日】2019年3月4日
(62)【分割の表示】特願2016-541674(P2016-541674)の分割
【原出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2019-134924(P2019-134924A)
(43)【公開日】2019年8月15日
【審査請求日】2019年3月4日
(31)【優先権主張番号】61/919,669
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517416374
【氏名又は名称】マイクロベンション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROVENTION, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ヒース ボウマン
(72)【発明者】
【氏名】ロス ツカシマ
【審査官】 村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−522072(JP,A)
【文献】 特開2000−233027(JP,A)
【文献】 特開2006−334198(JP,A)
【文献】 特表2000−514320(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0168666(US,A1)
【文献】 国際公開第2000/54832(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向可能なカテーテルシステムであって、前記操向可能なカテーテルシステムは、
電力供給から電流が供給されるように構成されたカテーテルと、
前記カテーテル内移動かつ回転可能なガイドワイヤであって、該ガイドワイヤは、第1の膨張係数を有する第1の金属を含む第1の断面部と、前記第1の膨張係数とは異なる第2の膨張係数を有する第2の金属を含む第2の断面部とを含む、ガイドワイヤ
を備え、前記カテーテルから直接前記ガイドワイヤに電力を供給することは、前記ガイドワイヤの温度を上昇させ、前記第1の金属を第1の比率で拡張させるとともに前記第2の金属を第2の比率で拡張させ、それにより前記ガイドワイヤを屈曲させる、操向可能なカテーテルシステム。
【請求項2】
前記カテーテルは、遠位電気接点の近位に配置された近位電気接点を備、両方の接点は、前記電力供給源から前記ガイドワイヤに電流を印加して、前記ガイドワイヤの温度を上昇させるように構成されている、請求項1に記載の操向可能なカテーテルシステム。
【請求項3】
前記近位電気接点および前記遠位電気接点は、互いから約0.5〜3cm離間されている、請求項2に記載の操向可能なカテーテルシステム。
【請求項4】
前記電力供給源は、前記電力供給源を起動するように構成されたユーザインターフェースおよび制御システムをさらに備える、請求項1に記載の操向可能なカテーテルシステム。
【請求項5】
前記ガイドワイヤの遠位端は、前記第1の金属および前記第2の金属を備える、請求項に記載の操向可能なカテーテルシステム。
【請求項6】
前記ガイドワイヤの長さ全体は、前記第1の金属および前記第2の金属を備える、請求項に記載の操向可能なカテーテルシステム。
【請求項7】
前記第1の断面部分および前記第2の断面部分は、各々、前記ガイドワイヤの断面全体の半分である、請求項に記載の操向可能なカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「Device Delivery System」と題する2013年12月20日に出願された米国仮出願番号第61/919,669号に基づく優先権を主張しており、この仮出願は、その全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
血管閉塞が、多くの場合、限定ではないが、動脈瘤、心房中隔欠損、卵円孔開存、左心耳閉塞、動脈管開存、瘻孔、動静脈奇形、殺菌を目的とする卵管閉塞、および末梢血管系内の閉塞の治療を含む、種々の場合において必要である。血管閉塞の一方法は、血管または奇形もしくは動脈瘤を、塞栓を目的とするコイルで充填するステップを伴う。そのようなコイルは、塞栓コイルと呼ばれ得る。典型的な塞栓コイル技術は、コイルが種々の段階で導入され得るように設定された長さのコイルを利用する。コイルが短すぎて血管/奇形/動脈瘤を十分に充塞しない場合、複数のコイルが、導入される必要があり得、これは、手技時間を延ばし得る。空間に対してコイルが長すぎる場合、コイルが、血管/奇形/動脈瘤から突き出る危険性がある。可変長脱離可能コイルの使用は、精密な量の塞栓コイルが、血管/奇形/動脈瘤内に留置されることを可能にするであろう。
【0003】
ガイドワイヤが、典型的には、血管系内の特定の標的面積に対して送達デバイスを追跡するように使用される。蛇行した解剖学的構造を通してのナビゲーションは、困難であり得る。ナビゲーションおよび追跡を補助するために、血管系内でその形状を操作し得るガイドワイヤが、したがって、有益となるであろう。
【0004】
カテーテルセンサシステムが、塞栓コイルを、コイルに沿った1つまたはそれを上回る点において脱離させるために、塞栓コイルと相互作用するように使用されてもよい。カテーテルセンサシステムはまた、ガイドワイヤ等の他のデバイスとともに使用されてもよい。ガイドワイヤは、1つまたはそれを上回るカテーテルセンサとの電気接触を介して伝達される、インパルスに応答して屈曲してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
一実施形態では、塞栓コイル脱離システムは、ヒータと、塞栓コイルの区分間に分解可能リンクを伴う塞栓コイルとを備える。
【0006】
別の実施形態では、塞栓コイル脱離システムは、電気接点を伴うカテーテルと、塞栓コイルの区分間に分解可能リンクを伴う塞栓コイルとを備える。
【0007】
別の実施形態では、塞栓コイル脱離システムは、電気接点を伴うカテーテルと、塞栓コイルの区分間に脱離可能リンクを伴う塞栓コイルとを備える。
【0008】
一実施形態では、塞栓コイルは、塞栓コイルの区分間に、分解可能リンクを含む。
【0009】
別の実施形態では、塞栓コイルは、塞栓コイルの区分間に、脱離可能リンクを含む。脱離可能リンクは、分解可能部を含んでもよい。
【0010】
別の実施形態では、塞栓コイルは、同一のタイプのコイルを備える、コイル区分を含む。
【0011】
別の実施形態では、塞栓コイルは、種々のタイプのコイルを備える、コイル区分を含む。
【0012】
別の実施形態では、ガイドワイヤ操向システムは、バイメタルガイドワイヤと、電気接点を伴うカテーテルとを備える。
【0013】
別の実施形態では、ガイドワイヤ操向システムは、バイメタルガイドワイヤと、ヒータコイルとを備える。
【0014】
別の実施形態では、組み合わせられた塞栓コイル脱離およびガイドワイヤ操向システムは、塞栓コイルおよび/またはガイドワイヤとインターフェースするように使用される、電気接点を伴うカテーテルを備える。
【0015】
別の実施形態では、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルを通して留置されるデバイスと相互作用する、電気接点を含む。
【0016】
別の実施形態では、塞栓連鎖は、モノフィラメント上に固定される、複数の球体を備える。球体は、管腔への開口を通して分配され得る、薬物等の材料で充填される、中空管腔を含むことができる。塞栓連鎖は、(例えば、カテーテル内の接点からの)電流を2つの隣接する球体間に印加し、球体を加熱させ、それによって、モノフィラメントを破壊することによって、脱離されることができる。
【0017】
別の実施形態では、塞栓コイルは、電力供給源の1つの端子と電気連通し、カテーテル上の接点が、電力供給源の別の端子と電気連通する。カテーテルの接点が塞栓コイル上の継手と整合し、電力供給源が起動されると、継手は、破壊され、塞栓コイルの一部を解放する。
【0018】
別の実施形態では、塞栓コイルは、電力供給源の1つの端子と電気連通し、カテーテル上の接点が、電力供給源の別の端子と電気連通する。電力供給源が起動されると、カテーテルの外側に位置付けられる、電解的に分離可能な継手が、分解され、塞栓コイルを分離する。カテーテルはさらに、カテーテル内に依然としてある任意の継手もまた分解されることを防止するために、非導電性流体で充填される。
【0019】
別の実施形態では、カテーテルは、金属ハイポチューブまたは薄く平坦な金属シートを切断するレーザによって形成される、加熱コイルを含む。いくつかの加熱コイルは、相互に内側に重複する層において、カテーテルの長さに沿って軸方向に直列して、または相互に隣接かつ並列して配列されることができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
カテーテルであって、
第1の極性をもつ接点と、
前記第1の極性をもつ接点に近接する、反対極性の1つまたはそれを上回る接点と、
を備え、前記接点は、前記カテーテルを通して送達される、1つまたはそれを上回るデバイスと電気的に相互作用する、カテーテル。
(項目2)
前記カテーテルは、塞栓コイルを送達し、これと相互作用するように使用される、項目1に記載のカテーテル。
(項目3)
前記カテーテルは、ガイドワイヤを送達し、これと相互作用するように使用される、項目1に記載のカテーテル。
(項目4)
前記接点は、1つまたはそれを上回るワイヤを介して、ユーザインターフェースに接続される、項目1に記載のカテーテル。
(項目5)
前記ユーザインターフェースは、前記カテーテル表面内に埋め込まれた1つまたはそれを上回るワイヤを介して、前記接点に接続される、項目4に記載のカテーテル。
(項目6)
カテーテルにおいて使用される接点であって、
前記カテーテルの表面内に埋め込まれ、第1の金属物質を含む、リングと、
前記リングに接続される、1つまたはそれを上回る金属接点であって、異なる第2の金属物質を含む、1つまたはそれを上回る接点と、
を備える、接点。
(項目7)
前記第1の金属物質は、ニチロール、ステンレス鋼、およびばね鋼から成る群から選択される、項目6に記載の接点。
(項目8)
前記第2の金属物質は、金である、項目7に記載の接点。
(項目9)
塞栓コイル脱離システムであって、
1つまたはそれを上回る極性をもつ接点を備える、カテーテルと、
前記カテーテルを通して送達されるコイルであって、2つまたはそれを上回るコイル区分を備える、コイルと、
前記2つまたはそれを上回るコイル区分間に結合される、1つまたはそれを上回るリンクと、を備え、前記1つまたはそれを上回るリンクは、前記1つまたはそれを上回る極性をもつ接点と電気的に相互作用する、塞栓コイル脱離システム。
(項目10)
前記1つまたはそれを上回るリンクは、ヒータを含む、項目9に記載のコイル脱離システム。
(項目11)
前記1つまたはそれを上回るリンクは、張力部材を含む、項目9に記載のコイル脱離システム。
(項目12)
前記1つまたはそれを上回るリンクは、前記張力部材をさらなる張力下に置くように構成される、1つまたはそれを上回る部材を含む、項目9に記載のコイル脱離システム。
(項目13)
塞栓コイルであって、
2つまたはそれを上回るコイル区分と、
前記2つまたはそれを上回るコイル区分間に結合される、1つまたはそれを上回るリンクであって、
張力部材を含む、前記1つまたはそれを上回るリンクと、を備え、
前記1つまたはそれを上回るリンクは、前記張力部材をさらなる張力下に置くように構成される、1つまたはそれを上回る部材を含む、塞栓コイル。
(項目14)
前記張力部材をさらなる張力下に置くように構成される、前記1つまたはそれを上回る部材は、前記張力部材に結合される、ヒータおよび1つまたはそれを上回るばねを含む、項目13に記載の塞栓コイル。
(項目15)
2つまたはそれを上回るコイル区分間に置かれる、リンクであって、
張力部材と、
前記張力部材をさらなる張力下に置くように構成される、1つまたはそれを上回る部材と、
を備える、リンク。
(項目16)
前記張力部材をさらなる張力下に置くように構成される、前記1つまたはそれを上回る部材は、前記張力部材に結合される、ヒータおよび1つまたはそれを上回るばねを含む、項目15に記載のリンク。
(項目17)
操向可能カテーテルシステムであって、
1つまたはそれを上回る極性をもつ接点を備える、カテーテルと、
前記1つまたはそれを上回る接点と電気的に相互作用する、ガイドワイヤと、
を備える、操向可能カテーテルシステム。
(項目18)
前記ガイドワイヤは、バイメタル複合物である、項目17に記載の操向可能カテーテル。
(項目19)
前記ガイドワイヤは、電気インパルスに応答して偏向する、項目18に記載の操向可能カテーテル。
(項目20)
塞栓コイルを送達する方法であって、
1つまたはそれを上回る極性をもつ接点を備えるカテーテルを、血管系内の治療部位に案内するステップと、
2つまたはそれを上回るコイル区分および1つまたはそれを上回るリンクを備える塞栓コイルを、前記カテーテルを通して押動するステップと、
前記塞栓コイルのリンクおよびカテーテル接点が電気的相互作用するように、前記塞栓コイルのリンクを、前記カテーテル接点に整合させるステップと、
前記リンクが前記カテーテル接点と整合されると、電気インパルスを送電するように、ユーザインターフェースと相互作用するステップと、
を含む、方法。
(項目21)
カテーテルを操向する方法であって、
1つまたはそれを上回る極性をもつ接点を備える、カテーテルを提供するステップと、
前記カテーテルを通して、ガイドワイヤを押動するステップと、
前記ガイドワイヤが前記1つまたはそれを上回る接点と電気連通すると、電気インパルスを送電するために、ユーザインターフェースとの相互作用を介して、前記ガイドワイヤの遠位先端を屈曲させるステップと、
前記屈曲されたガイドワイヤの遠位先端が、所望される方向に配向されるように、前記カテーテルの近位端にトルクをかけるステップと、
を含む、方法。
(項目22)
塞栓連鎖であって、
モノフィラメントと、
それぞれ、前記モノフィラメントが位置する通路を有する、複数の連鎖部材と、
を備え、前記複数の連鎖部材は、電気的に導電性の材料を含む、塞栓連鎖。
(項目23)
前記連鎖部材はそれぞれ、球体である、項目22に記載の塞栓連鎖。
(項目24)
前記連鎖部材はそれぞれ、薬物で充填される内部管腔と、前記薬物を解放するための前記管腔中への開口とを有する、項目22に記載の塞栓連鎖。
(項目25)
前記モノフィラメントは、電圧が2つの隣接する連鎖部材間に印加されると、分離可能である、項目22に記載の塞栓連鎖。
(項目26)
塞栓コイル脱離システムであって、
複数のコイル区分と、前記複数のコイル区分をともに接続する複数の継手とを有する、塞栓コイルと、
電力供給源と電気連通する第1の電気接点を有する、カテーテルと、
前記塞栓コイルに接続され、前記電力供給源と電気連通する、プッシャと、
を備え、前記電力供給源の起動は、前記複数の継手のうちの1つを切断する、塞栓コイル脱離システム。
(項目27)
塞栓コイル脱離システムであって、
複数のコイル区分と、前記複数のコイル区分をともに接続する複数の継手とを有する、塞栓コイルと、
電力供給源と電気連通する第1の電気接点を有し、非導電性流体で充填される、カテーテルと、
前記塞栓コイルに接続され、前記電力供給源と電気連通する、プッシャと、
を備え、前記電力供給源の起動は、前記カテーテルの外側に位置付けられる、前記複数の継手のうちの1つを電解的に切断する、塞栓コイル脱離システム。
(項目28)
カテーテルであって、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体内に位置する、ヒータであって、円筒形形状を有する第1の加熱コイルと、円筒形形状を有する第2のヒータコイルとを備え、前記第1の加熱コイルは、前記第2のヒータコイル内に位置する、ヒータと、
を備える、カテーテル。
(項目29)
カテーテルであって、
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体内に配置される、複数の個別起動ヒータコイルと、
を備える、カテーテル。
(項目30)
前記複数のヒータコイルは、前記カテーテルの長さに沿って、軸方向に位置付けられる、項目29に記載のカテーテル。
(項目31)
前記複数のヒータコイルは、相互に平行に位置付けられる、項目29に記載のカテーテル。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用される、塞栓コイルを例証する。
【0021】
図2図2は、図1の塞栓コイルを利用する、塞栓コイル脱離システムを例証する。
【0022】
図2a図2aは、図2の塞栓コイル脱離システムのヒータを示す。
【0023】
図3図3は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用される、別の塞栓コイルを例証する。
【0024】
図4図4−7は、図3の塞栓コイルを利用する、塞栓コイル脱離システムを例証する。
図5図4−7は、図3の塞栓コイルを利用する、塞栓コイル脱離システムを例証する。
図6図4−7は、図3の塞栓コイルを利用する、塞栓コイル脱離システムを例証する。
図7図4−7は、図3の塞栓コイルを利用する、塞栓コイル脱離システムを例証する。
【0025】
図8図8は、図3の塞栓コイルを利用する、別の塞栓コイル脱離システムを例証する。
【0026】
図9図9−12は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用される脱離可能リンクを利用する、塞栓コイルを例証する。
図10図9−12は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用される脱離可能リンクを利用する、塞栓コイルを例証する。
図11図9−12は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用される脱離可能リンクを利用する、塞栓コイルを例証する。
図12図9−12は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用される脱離可能リンクを利用する、塞栓コイルを例証する。
【0027】
図13図13−16は、図9−12の塞栓コイルを利用する、塞栓コイル脱離システムを例証する。
図14図13−16は、図9−12の塞栓コイルを利用する、塞栓コイル脱離システムを例証する。
図15図13−16は、図9−12の塞栓コイルを利用する、塞栓コイル脱離システムを例証する。
図16図13−16は、図9−12の塞栓コイルを利用する、塞栓コイル脱離システムを例証する。
【0028】
図17図17−20は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用され得る、接点を例証する。
図18図17−20は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用され得る、接点を例証する。
図19図17−20は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用され得る、接点を例証する。
図20図17−20は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用され得る、接点を例証する。
【0029】
図21図21−22は、球体の塞栓連鎖を例証する。
図22図21−22は、球体の塞栓連鎖を例証する。
【0030】
図23図23は、塞栓コイルのための分離可能継手を例証する。
【0031】
図24図24は、カテーテルの電極との電気接触によって分離され得る、複数の継手を伴う塞栓コイルを例証する。
【0032】
図25図25は、塞栓コイル上の電解継手を破壊する、カテーテルを例証する。
【0033】
図26図26は、ガイドワイヤ操向システムにおいて使用される、カテーテルを例証する。
【0034】
図27図27−28は、カテーテルを通して送達されているガイドワイヤを伴う、図26からのカテーテルを例証する。
図28図27−28は、カテーテルを通して送達されているガイドワイヤを伴う、図26からのカテーテルを例証する。
【0035】
図29図29は、組み合わせられた塞栓コイル脱離およびガイドワイヤ操向システムにおいて使用される、カテーテルを例証する。
【0036】
図30図30は、塞栓コイルとともに使用される、図29からのカテーテルを例証する。
【0037】
図31図31−32は、ガイドワイヤとともに使用される、図29からのカテーテルを例証する。
図32図31−32は、ガイドワイヤとともに使用される、図29からのカテーテルを例証する。
【0038】
図33図33−34は、血管系内の屈曲可能なガイドワイヤを例証する。
図34図33−34は、血管系内の屈曲可能なガイドワイヤを例証する。
【0039】
図35図35は、カテーテルシステムのためのヒータコイルを例証する。
【0040】
図36図36は、図35のヒータコイルを形成するために使用され得る材料の平坦なレーザカットシートを例証する。
【0041】
図37図37−39は、カテーテル内の図35からの複数のヒータの種々の構成を例証する。
図38図37−39は、カテーテル内の図35からの複数のヒータの種々の構成を例証する。
図39図37−39は、カテーテル内の図35からの複数のヒータの種々の構成を例証する。
【0042】
図40図40は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【0043】
図41図41は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【0044】
図42図42−45は、図9の塞栓デバイスの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図43図42−45は、図9の塞栓デバイスの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図44図42−45は、図9の塞栓デバイスの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図45図42−45は、図9の塞栓デバイスの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
【0045】
図46図46は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【0046】
図47図47は、図46の脱離システムのヒータコイルを例証する。
【0047】
図48図48は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【0048】
図49図49−50は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
図50図49−50は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【0049】
図51図51は、図49−50からのカテーテルの脱離システムのピストン部材を例証する。
【0050】
図52図52は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【0051】
図53図53−54は、図20の脱離システムの断面図を例証する。
図54図53−54は、図20の脱離システムの断面図を例証する。
【0052】
図55図55は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【0053】
図56図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図57図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図58図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図59図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図60図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図61図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図62図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図63図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図64図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
図65図56−65は、図55のカテーテルからの脱離システムの種々の構成要素を例証する。
【0054】
図66図66は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【0055】
図67図67−68は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
図68図67−68は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【0056】
図69図69−70は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
図70図69−70は、脱離可能継手を有する、塞栓デバイスの別の実施形態を例証する。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(実施形態の説明)
本発明の具体的実施形態が、ここで、付随の図面を参照して説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において具現化され得、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を完全に伝え得るように提供される。付随の図面において例証される実施形態の詳細な説明において使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。図面では、同様の番号は、同様の要素を指す。
【0058】
別様に定義されない限り、本明細書に使用される(技術的および科学的用語を含む)全ての用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されると同一の意味を有する。一般的に使用される辞書において定義されるもの等の用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一貫する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書にそのように明示的に定義されない限り、理想化された、または過度に形式式な意味に解釈されないであろうことをさらに理解されたい。
【0059】
脱離システムを説明する、第US8182506号および第US20060200192号は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。後述されるユーザインターフェースは、これらの参考文献において言及される原理を利用し得る。
【0060】
図1−8に関して、図面の左側の要素は、図面の右側の要素に対して遠位にあると見なされる(また、その結果、図面の右側の要素は、図面の左側の要素に対して近位にあると見なされる)ことに留意されたい。
【0061】
塞栓コイル脱離システムは、塞栓コイルと、脱離システムとを含む。図1は、塞栓コイル脱離システムにおいて使用される、コイル10を例証する。コイル10は、区分間のリンク14によって分離される、複数のコイル区分12を含む。リンク14は、分解可能であり、リンクが十分に分解されると、コイル区分12は、コイル10の残部から脱離する。
【0062】
近位プッシャ20(例えば、カテーテルからコイル10を押動するように、コイル10に取り付けられる伸長部材)が、コイル10の近位端に接続され、随意に、最近位コイル区分とプッシャとの間に、別のリンク14を含んでもよい。一実施例では、図1のリンク14は、熱分解的に分解可能である。リンク14は、コイルを構成する材料よりも低い融点を有する材料から作製されてもよい。一実施例では、ポリマーが、リンク14のために使用される。リンク14は、複数のストランドであるように示されているが、(図3のリンク14において示されるもの等の)より厚い中実リンク、単一ストランド、または管状部材もまた、使用されてもよい。
【0063】
図2は、図1の塞栓コイル10とともに使用され得る、脱離システムを例証する。脱離システムは、好ましくは、ヒータ16をカテーテルの遠位端の近傍に位置させるようにサイズ決定される、ワイヤ追跡部材18の遠位端に位置する、ヒータ16を含む。先に議論されるように、ヒータ16は、コイル10からの種々のコイル区分12のうちの2つの間に脱離を生じさせるために、リンク14を溶解または分解することができる。
【0064】
ワイヤ追跡部材18の近位部が、プッシャ20を通した通路内に位置し、したがって、ワイヤ追跡部材18の任意の移動から独立してプッシャ20を押動または引動することを可能にすることができる。ワイヤ追跡部材18のための材料は、限定ではないが、ステンレス鋼、ニチロール、ポリエチレン、ポリイミド、またはそのような材料の任意の組み合わせを含む、任意の種々の金属またはポリマーであり得る。ワイヤ追跡部材18は、好ましくは、ヒータ16に電流を伝達させるために、負および正の電流ライン19を含む。ワイヤ追跡部材18の近位端は、正および負の端子ならびに電力供給源を選択的に起動させる機構を伴う、バッテリまたは電圧源に接続されることができる。
【0065】
ヒータ16は、ワイヤコイルであり得、好ましくは、白金またはタンタル等の高電気抵抗材料から作製される。ワイヤ追跡部材18およびヒータ16の外径は、好ましくは、コイル10の内径が、その上を摺動しながら、典型的なマイクロカテーテル内に依然として嵌合することを可能にするために十分に小さい。例えば、約0.017インチの管腔を伴うマイクロカテーテルに関して、コイル10の最大外径は、約0.016インチであり得る。比較的大きな0.003インチの糸状直径を仮定して、ワイヤ追跡部材18は、約0.008インチ未満またはそれに等しい外径を有してもよい。ワイヤ追跡部材の最適なサイズは、本システムの可撓性を犠牲にしない限り、可能な限り大きくてもよい。一実施例では、ワイヤ追跡部材18は、外径において0.003インチ〜0.012インチに及び得る。
【0066】
図2aは、ヒータ16およびワイヤ追跡部材18の拡大図を示す。電流のための流出および流入流路を提供するために、電流ライン19のうちの1つが、ヒータ16の近位部に接続し、別の電流ライン19が、ヒータ16の遠位部に接続する。この点で、電流は、ヒータ16に選択的に印加され、熱を生成することができる。ヒータ16がコイル10のリンク14のうちの1つと整合されると、ヒータ16は、コイル10の内側からリンク14を加熱し、2つの隣接するコイル区分12を相互に切断させる。
【0067】
コイル区分を備えるコイル10は、放射線不透過性の生体適合性材料から作製されてもよい。一実施例では、これは、92/8比の白金/タングステン材料から作製される。図1に示されるコイルに関して、コイル区分12は、リンク14と接続されてもよく、リンクは、PET(ポリエチレンテレフタラート)、Engageポリマー、またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の材料から作製される、モノフィラメントである。これらのモノフィラメント接合部は、接合部がヒータと正しく整合され、適切なエネルギーがヒータに供給されると、ヒータ16によって生成される熱によって分離状態になる。代替として、リンクは、管状形態を有してもよく、ヒータ16から生成される熱は、リンケージを溶解する。別の代替実施形態では、リンク14は、図3に見られるような完全に中実(すなわち、充填された円筒形形状)であり得る。
【0068】
プッシャ20は、ワイヤ追跡部材18上の容易な追跡と、送達デバイス(例えば、マイクロカテーテル)内の容易な追跡を可能にするために、コイル10に類似する寸法のハイポチューブ含んでいてもよい。プッシャ20は、ステンレス鋼もしくはニチロール等の金属またはポリエチレンもしくはポリイミド等のポリマーから作製されることができる。
【0069】
図3は、別の脱離システムにおいて使用され得る、別のコイル11を例証する。中実リンク15は、図1に示されるモノフィラメントリンク14よりも厚いものであるように示される。コイルリンク15は、コイル脱離システムの特性に応じて、リンク14と交換可能であってもよい(すなわち、図1および図3に示されるリンクは両方とも、単一コイル10、11上で使用されることができる)。これらの図は、コイルの実施形態およびコイル脱離システムの実施形態の代表として示される。リンク14は、好ましくは、完全に中実(または代替として、中空通路を伴う円筒形)であるため、図2aのワイヤ追跡部材18およびヒータ16とともにそれらを使用することは、望ましくない場合がある。したがって、コイル11上に配置されるマイクロカテーテルを介して加熱機構を使用することが、所望され得る。
【0070】
図4は、塞栓コイル11の整合を確認または判定するために、コイル脱離システムにおいて使用される、マイクロカテーテル22を例証する。脱離システムは、このカテーテル22の遠位端の近傍に電気接点26を伴う、マイクロカテーテル22を含む。図4では、これらの接点は、任意の電気的に導電性の材料から作製される、電流伝搬要素の対(より近位の場所における1つおよびより遠位の場所における1つ)として示される。これらの接点26はそれぞれ、カテーテルの内側通路の内周の周囲に延在する、リングであり得るか、またはコイル11のごく一部にのみ接触する、1つまたはそれを上回る点もしくは弧であり得る。他の電気接点(ヒータコイル、電極等)もまた、使用されることができる。
【0071】
脱離システムは、塞栓コイル11の整合を確認するだけではなく、整合が正しい場合、脱離動作を開始するために使用されてもよい。例えば、整合は、近位接点26Aと遠位接点26との間の抵抗、容量、共鳴周波数、および/または金属検出等の値を測定することによって、判定されてもよい。接点26は、ワイヤ28を介して、本デバイスの近位端において制御システムに接続される。ワイヤ28は、制御システムへの近位の接点26Aのセットと、制御システムに戻る遠位の接点26Bのセットとの間に延在する。制御システムは、脱離シーケンス(すなわち、リンケージを分離させるように加熱するステップ)を開始するだけではなく、(さらに以下に議論される)正しい整合を測定することができる。
【0072】
図5−7は、塞栓コイル26の適切な整合を確認するために使用される、図4のカテーテル25を示す。塞栓コイル10は、リンク14によって相互接続される一連の区分12を含むため、軸方向整合は、電気接点26の2つのセット間で測定された値(例えば、抵抗)に基づいて判定される。
【0073】
例えば、図5では、コイル区分12の一部のみが、近位接点26Aと遠位接点26Bの両方に接触し、コイル区分12の材料特性に基づく第1の抵抗値の測定を可能にする。図6では、リンケージ14が、遠位接点26Bに接触する一方、区分12は、近位接点26Aに接触し、したがって、第2の抵抗値が、リンク14の材料特性に基づいて測定される。図7では、遠位接点26Bは、リンケージ14に接触し、近位接点26Aは、区分12に接触し、したがって、第3の抵抗測定値を提供する。
【0074】
一実施例では、カテーテル25内の所望される軸方向整合は、図6に示され(例えば、第2の抵抗値によって検出され)、リンク14の分解は、コイル11の残部からコイル区分12を分離させるように開始され得る。一実施例では、所望される整合が測定されると、信号が、ユーザに中継され得る(すなわち、ユーザインターフェースデバイス上の光および/または音)。ユーザは、脱離を開始するために、インターフェースと相互作用し得る(例えば、ボタンを押す)。
【0075】
一実施例では、接点26はまた、所望に応じて、リンク14を分離させるように熱を中継することもできる。別の実施例では、制御システムに結合される代替熱システム(例えば、カテーテル25内のヒータコイル)が、所望に応じて、リンク14を分離させるように使用されることができる。いったんユーザがボタンを押すと、適切な抵抗値が接点26に対する塞栓コイル11の位置に基づいて測定された時点で、脱離が、自動的に開始される。熱分解脱離に加えて、電解または他の脱離機構もまた、リンク14を分離させるように使用され得る。
【0076】
接点26はまた、コイル構成要素の適切な整合を確認するために値(例えば、抵抗)を測定することに加えて、リンク14の分解を介して、脱離を開始するように熱を伝達または生じさせることもできる。例えば、接点26は、リンク14の各側上の2つの区分12を加熱するために、十分な電流を供給し、区分12に、リンク14を溶解させることができる。具体的には、回路は、制御システム間に、一方のワイヤ28を通して、接点26の一方のセットを通して、塞栓コイルの一部(2つのワイヤ間に接触する部分)を通して、接点26の他方のセットを通して、他方のワイヤ28を通して、制御システムに戻るように延在する。ワイヤ28のうちの一方は、制御システム内の電圧源における正の端子に取り付けられることができる一方、他方のワイヤ28は、制御システム内の電圧源の負の端子に取り付けられることができ、回路を完成させる。別の実施形態では、接点はそれぞれ、接点のそれぞれに、それ自体で熱を選択的に生成させる、付加的なワイヤに接続されることができる。
【0077】
図8は、接点26Cおよび26Dが平行平板コンデンサを備えることを除いて、図4に示されるカテーテル25に類似するカテーテル27を例証する。具体的には、接点26Cおよび26Dは、それぞれ、プレート、弧、円形点形状、または類似する形状であり、好ましくは、カテーテル27の管腔内で相互に直接に向かい合って位置する。接点26Cおよび26Dは、ワイヤ28を介して、前述されたものと類似する制御システムの正および負の端子に結合され、容量が測定されることを可能にする。平行接点26Cおよび26D間を通過する材料の誘電定数に応じて、容量は、変動し得る。したがって、コイル区分およびリンクは、異なる材料から作製されるため、1つの容量値が、コイル区分12に対して観察される一方、別の誘電定数値が、リンク14に対して観察され得る。リンク14の測定された誘電定数に基づいて、特定の容量値が制御システムによって測定されると、前述されたものと類似する脱離シーケンスが、開始されることができる。
【0078】
図9−16に関して、図面の右側の要素は、図面の左側の要素に対して遠位にあると見なされる(また、その結果、図面の左側の要素は、図面の右側の要素に対して近位にあると見なされる)ことに留意されたい。
【0079】
図9は、2つの隣接するコイル区分12を接続する脱離可能リンク30を利用する、脱離システムを例証する。脱離可能リンク30は、分解可能要素を含む、カプセル状部を備える。
【0080】
図10は、リンク30の拡大図を示す一方、図11は、図10に示されるリンク30の分解図を提供する。リンク30は、任意の生体適合性の非導電性材料から作製され得る、絶縁スリーブ36を含む。ポリイミド等のポリマーまたはセラミックが、絶縁スリーブのために使用され得る材料の実施例である。
【0081】
2つの導電性シリンダまたはスリーブ34および35が、それぞれ、接着剤または糊を介して、絶縁スリーブ36の近位端および遠位端に噛合される。導電性スリーブ34、35は、92/8比の白金/タングステン材料等の導電性材料を含む。
【0082】
ワイヤのコイルであり得る、ヒータ40が、近位導電性スリーブ34と遠位導電性スリーブ35との間の面積に及び、その端部42(例えば、そのワイヤの端部またはコイルの張出部)を、スリーブ34および35のそれぞれにおける溝または陥凹44に接続する。スリーブ34、35は導電性であるため、電流は、2つの導電性スリーブ34と35との間を、ヒータ40を通して通過し、ヒータ40に熱を生成させることができる。一実施例では、ヒータ40は、絶縁スリーブ36上に位置付けられ、別の実施例では、ヒータ40は、絶縁スリーブ36内に位置する。両方の実施例では、ヒータ40は、好ましくは、ヒータ40内で増進し得る熱を放熱させないように、絶縁スリーブ36との有意な接触を有さないであろう。ヒータは、好ましくは、高電気抵抗もまた有する、生体適合性材料から作製される。一実施例では、ヒータは、92/8比の白金/タングステン材料から作製され、そしてコイルである。
【0083】
キャップ32が、遠位導電性スリーブ35の遠位に位置し、遠位に位置するコイル区分12に添着される。一実施例では、キャップ32もまた、92/8比の白金/タングステン材料から作製されてもよい。別の塞栓コイル区分12が、近位導電性スリーブ34の近位に添着され、一実施例では、遠位コイル区分は、キャップ32に溶接され、近位コイル区分は、近位導電性スリーブ34に溶接される。
【0084】
モノフィラメント50に対して可撓性の接続点を提供するために、ばね38が、キャップ32の遠位に位置する一方、別のばね37が、近位導電性スリーブ34の近位に位置する。ポリマー(例えば、PTFEまたはEngage)を含み得る、モノフィラメントワイヤ50は、好ましくは、近位ばね37の近位部と、遠位スプリング38の遠位部とに結束されるが、任意のタイプの接続も、使用されることができる。好ましくは、モノフィラメント50における最小限の緩みまたはいくらか多少の張力が、これが2つのばね37、38間に結束されるとき、存在する。
【0085】
図12は、図10−11に関して議論されるものに類似するが、2つのばねの代わりに単一ばね46を含む、コイル脱離システムにおいて使用される、脱離可能リンク31の別の実施形態を示す。ばね46は、リンク31全体に及び、ヒータ40内に位置する。2つのばね間に及ぶモノフィラメント50の代わりに、これは、ばね46内にかつそれを通して延在する。一実施例では、モノフィラメントは、ばね46の近位部と、(遠位キャップ32に接続する)遠位コイル区分とに結束されてもよい。別の実施例では、ばね46は、ヒータ40の外部に位置する。
【0086】
リンク30または31を利用する脱離動作が、ここで、説明される。リンク30(または31)が、各塞栓コイル区分12間に位置する。図13は、種々の塞栓コイル区分12と、該区分間の(但し、リンク30もまた使用され得る)リンク31とを含む、塞栓コイルを示す。図において示される区分12およびリンク31の数は、例証のみを目的としている。リンク30は、他の構成要素の中でもとりわけ、近位導電性スリーブ34と、遠位導電性スリーブ35と、ヒータ40とを含む。コイルは、マイクロカテーテルまたは送達デバイス22を通して送達される。
【0087】
送達デバイスは、前述される接点と類似する、接点52および54を含む。これら接点は、示されるワイヤを介して接点に極性を与えるために、制御システムに接続され、すなわち、一方の接点は、正の極性を有し、他方は、負の極性を有する。これら接点は、電圧源を伴う制御システムに接続されてもよく、一方の接点は、電圧源の正の端子に接続され、他方は、電圧源の負の端子に接続される。代替として、交流システム等の他の電圧源も、使用されることができる。例として、接点52は、正の極性を有し、接点54は、負の極性を有する。
【0088】
図13に見られるように、接点52が近位導電性スリーブ34と整合し、接点54が遠位導電性スリーブ34と整合すると、回路は、完成され、電流が、正の接点52を通して、近位導電性スリーブ34を通して、ヒータコイル40を通して、遠位導電性スリーブ35を通して、接点54を通して、制御システム/電圧源に戻るように流れることを可能にする。一実施例では、ユーザインターフェースが、説明されるシステムとインターフェースをとる制御システム/電圧源を格納してもよい。視覚または音声的手掛かり(すなわち、光および/または音)が、接点52、54と導電性スリーブ34、35との間に適切な整合が達成されると、提供されることができる。ユーザは、次いで、脱離を開始するために、ボタンを押下してもよく、ボタンを押下することで、本システムにインパルスを提供する。
【0089】
電流がヒータ40を通して流れるにつれて、これは、加熱されるであろう。図11を参照すると、この熱は、最初に、モノフィラメントワイヤ50を伸長させ、順に、ばね37と38との間の張力を上昇させ得る。ばね37、38およびフィラメント50が十分な張力に到達すると、ワイヤ50は、破壊され、図14に見られるように、遠位キャップ32および遠位コイル38の血管系中への脱離をもたらす。遠位キャップ32は、好ましくは、これが独自に血管系中に脱離することを防止するために、遠位導電性スリーブ35に(例えば、接着剤を介して)機械的に添着されることに留意されたい。キャプ32および遠位コイル(すなわち、導電性スリーブ34および35、絶縁スリーブ36)の近位の構成要素は、前述されるように、全ての近位リンク構成要素間に置かれる接合構成要素に起因して、残りの近位塞栓コイル区分と添着されたままである。
【0090】
別の脱離シーケンスが、塞栓コイルの別の場所において開始される場合、これらの他の構成要素(すなわち、遠位導電性スリーブ35、絶縁スリーブ36、近位導電性スリーブ34等)は、次の脱離シーケンスが開始すると、次いで、血管系中に脱離し得る。本シーケンスは、図13−16に例証される。図13では、第1の脱離シーケンスが、開始され、したがって、図14に示されるようなコイルの残部から、遠位キャップ32および遠位コイル区分12を分離させる。図15では、コイルが、次の脱離区域またはリンク31が接点52、54と並べられるまで、押動される。脱離シーケンスが、次いで、再び開始され、次の群が、次いで、図16に示されるように脱離される。
【0091】
好ましくは、全てのリンク構成要素は、ポリマー(モノフィラメント50、絶縁スリーブ36)または生体適合性金属(ヒータ42、導電性スリーブ35および35、ばね37および38、キャップ32、コイル区分12)のいずれかを含む生体適合性である。図12に示されるリンク実施形態31に関して、ヒータ40から生成される熱は、モノフィラメントワイヤ50を拡張させ、ワイヤが格納される一体型ばね46を、該ワイヤが破壊されるまで伸長させる。モノフィラメント50の遠位端が遠位塞栓コイル区分12に取り付けられる場合、遠位塞栓コイル区分12は、次いで、脱離すし得る。
【0092】
別の実施形態では、別のシステムが、ヒータ40を通電するために利用されることができる。本システムは、同一のユーザインターフェースと結合されることができる。本並列システムは、ヒータ40に熱を提供し、脱離を促進するために、別の回路のセットを利用し得る。一実施例では、脱離システムは、リンクが接点と適切に整合されると、ユーザに手掛かりを提供する。ユーザは、次いで、並列システムに、ヒータ40を加熱させ、コイル区分を脱離させであろう措置を講じ得る(すなわち、ユーザインターフェース上のボタンを押す)。
【0093】
別の実施形態では、リンクが適切に整合されるとき、いかなる手掛かりも、ユーザに提供されない。代わりに、脱離が所望されると、ユーザは、ある措置を講じてもよい(すなわち、ユーザインターフェース上のボタンを押す)。次いで、リンクが適切に整合されると、脱離シーケンスが、始まる。ヒータ40の加熱は、前述されるように、並列または統合システムの一部であり得る。
【0094】
図4−7、8、13−16に示されるコイル脱離システムは、あるタイプのインテリジェントマイクロカテーテルを例証し、マイクロカテーテル22は、マイクロカテーテルの遠位端の近傍に、接点を介して塞栓コイル位置を読み取るための手段を有する。説明される種々のシステムの他の実施形態は、マイクロカテーテルを通して送達される、ハイポチューブ、より小さいマイクロカテーテル、または他の送達デバイスを利用し得る。コイルは、このハイポチューブ/より小さいマイクロカテーテル/内側送達デバイスを通して送達され、ハイポチューブ/より小さいマイクロカテーテル/内側送達デバイスは、塞栓コイル位置を読み取るための接点を有するであろう。
【0095】
図17および18は、接点52、54がリングであるか、または円筒形に成形される、接点52、54の一実施形態を示す。接点52、54は、ニチロール、ばね鋼、ステンレス鋼、または類似する材料から作製されることができ、金等の導電性材料を含む導電性先端56を有し、図18の上面輪郭図に最良に見られる。塞栓コイルが付近を通過するにつれて、先端56は、異なる領域に接触し、リング52、54との電気連通を提供する。
【0096】
正しい脱離整合のために、先端56は、回路を完成させるように導電性スリーブ34、35と並ぶ。脱離が、次いで、所望される場合、ユーザによって開始されることができる。接点は、制御システムに接続され、これは、接点を適切に極性を与えるために、電圧源上に正および負の電圧端子を含むことができる。したがって、接点52は、正であり得、接点54は、負であり得、逆もまた同様である。
【0097】
図19は、マイクロカテーテル22内に位置する接点52、54を示す。本図では、接点52、54は、マイクロカテーテルの遠位端の近傍の、該マイクロカテーテルの内径と外径との間の領域内に(すなわち、マイクロカテーテル壁内に)埋め込まれる。必要な回路もまた、マイクロカテーテルを通して、本領域に沿って長手方向に延設されることができる。代替として、ワイヤの他の導電性要素(すなわち、導電性スリーブまたは導電性トレース)が、制御システムに戻るように接続するために、マイクロカテーテルの特定の領域を通して長手方向に延設され得る。別の実施例では、これらの接点は、マイクロカテーテルの外側上に位置してもよい。別の実施例では、これらの接点は、内側管腔領域の周辺に位置してもよい。
【0098】
図20は、塞栓コイルが通過しつつある本システムを示す。接点52、54は、マイクロカテーテル内に埋め込まれ、他方の端部において電圧源に(1つの接点は正の端子に、別の接点は負の端子に)接続される。代替として、交流システム等の他の電圧源も、使用されることができる。前述されるように、コイルが通過し、脱離区域が接点52、54と、先端56と正しく並べられると、回路は、完成される。したがって、導電性スリーブ34、35が接点52、54と正しく並ぶと、回路は、完成され、脱離が、所望される場合、前述される様式で開始されることができる。
【0099】
一実施形態では、塞栓コイル(例えば、10または11)を構成する、コイル区分12は、種々のタイプのコイルを利用してもよい。例えば、動脈瘤を充填するとき、多くの場合、比較的堅固な骨組コイルが、最初に、動脈瘤の周辺に骨組を組むために展開される。比較的軟質の充填コイルが、次いで、動脈瘤内の空間を充填するために使用される。さらに軟質の最終コイルが、最後に、動脈瘤の空間内に残された小空間を充填するために使用される。
【0100】
塞栓コイル脱離システムにおいて使用される塞栓コイルが、骨組コイルとしての塞栓コイルのいくつかの区分と、充填コイルとしてのいくつかの区分と、最終コイルとしてのいくつかの区分とを利用し得る。一実施例では、最遠位コイル区分は、骨組コイルであり、次に最遠位の区分は、充填コイルであり、最近位区分は、最終コイルであろう。別の実施例では、最遠位コイル区分は、骨組コイルであり、次の区分は、充填コイルであろう。別の実施例では、最遠位コイル区分は、充填コイルであり、次の区分は、最終コイルであろう。代替として、骨組、充填、および最終コイルの種々の組み合わせが、塞栓コイルのコイル区分として使用され得る。動作時間が、動脈瘤/奇形治療のために必要な異なるタイプのコイルを備える、種々のコイル区分を伴う1つの塞栓コイルを有することによって、かなり高速化され得る。
【0101】
別の実施形態では、塞栓コイルを備えるコイル区分は、同一タイプのコイルを利用してもよい。一実施例では、塞栓コイルのうちの1つは、骨組コイルのみから成り、別のものは、充填コイルのみから成り、別のものは、最終コイルのみから成り得る。種々の点においてコイルを脱離する能力は、コイル長を具体的な動脈瘤/奇形体積にカスタマイズし、その時に、次のタイプのコイルが、必要に応じて、導入され得る。一実施例では、第1の塞栓コイルは、骨組コイル区分を利用する。これは、最初に導入され、次いで、所望に応じて、適切な脱離区域において脱離される。充填コイル区分を利用する第2の塞栓コイルが、次いで、使用され、所望に応じて、適切な脱離区域において脱離される。最後に、最終コイル区分を利用する第3の塞栓コイルが、次いで、使用され、所望に応じて、適切な脱離区域において脱離される。
【0102】
塞栓コイルおよび/または塞栓コイル脱離システムを送達ならびに/もしくは利用する種々の方法もまた、想定される。塞栓コイルを送達する方法が、脱離領域を伴う塞栓コイルを提供するステップと、送達デバイスを通してそのようなコイルを送達するステップと、血管系内にコイルの全てまたは一部を脱離するために、脱離システムを利用する脱離シーケンスを開始するステップとを利用してもよい。脱離システムを利用する方法が、可変脱離領域を伴うコイルを提供するステップ、次いで、血管系内にコイルの全てまたは一部を脱離するために、適切なときに脱離シーケンスを利用するステップを伴ってもよい。指示手段が、随意に、脱離領域が適切に整合されると、それをユーザに警告するために提供されてもよい。
【0103】
想定される他の方法は、複数のコイル区分を有する塞栓コイルを提供するステップであって、各区分は、一意のタイプのコイル(すなわち、骨組、充填、または最終コイル)を備える、ステップと、送達デバイスを通してこのコイルを送達するステップと、脱離システムを利用して、コイルタイプのそれぞれを選択的に脱離するステップとを含む。別の方法が、各コイルが異なるタイプのコイルを含む(すなわち、1つのコイルが、骨組コイル区分のみを有し、別のコイルが、充填コイル区分のみを有し、別のコイルが、最終コイル区分のみを有する)、種々の塞栓コイルを提供するステップを含み得る。第1のコイルは、送達デバイスを通して送達され、脱離シーケンスが、所望に応じて、開始される。次のコイルは、次いで、送達デバイスを通して送達され、脱離が、所望に応じて、開始され、以下同様である。
【0104】
議論される方法は、限定することを意図するものではなく、前述されるデバイス、技法、および実施形態がまた、種々の動作方法を利用し得る方法の実施例を強調しているだけである。
【0105】
図21および22は、先に議論される塞栓コイルと同様に使用され得る、脱離可能塞栓球体連鎖100の実施例を例証する。好ましくは、各球体102は、それを通して延在する通路106を含み、モノフィラメントまたはテザー部材106が通過することを可能にする。一実施形態では、球体102は、モノフィラメント通路108に開放し、それによって、球体102とモノフィラメント108の両方に結着する、通路104を通して接着剤112を注入することによって、モノフィラメント108に係留されることができる。好ましくは、複数の球体102は、モノフィラメント108上に固定され、相互に隣接かつ接触する。
【0106】
図22に最良に見られるように、球体102は、中空であり、開口110を介して患者内に解放され得る、ヒドロゲル、泡状物質、および/または薬物を含み得る、内部空洞または管腔102Aを形成する。開口110の種々の側面が、材料が解放される速度を上昇または低下させるように、調節されることができる。例えば、開口110の直径および深さは、表面張力ならびに毛細管作用が、分散される材料の主要な機構であることを可能にするように、調節されることができる。この点で、開口サイズを減少させるか、または開口深さ(すなわち、開口110の周囲の球体102の壁の厚さ)を増加させることで、材料の送達の比率を減少させてもよい。別の実施例では、開口110は、通常の大気圧において、材料(例えば、薬物)が球体102内で安定しているが、球体102が患者の血管系に進入すると、球体102から薬物を駆動する勾配が形成されるように、設計されることができる。さらに別の実施例では、生体吸収性または生体分解性プラグ(例えば、PGLA)が、開口110中に置かれることができ、薬物送達を始めるまでの所望される時間の長さ(例えば、数分、数時間、数日、またはさらには数ヶ月)に応じて、種々の厚さを有することができる。
【0107】
球体102は、白金、パラジウム、ニチロール、タンタル、またはステンレス鋼等の金属を含んでいてもよい。代替として、球体102は、導電性材料を用いてめっきされる、ポリマーを含んでいてもよい。例えば、0.017インチのカテーテル管腔が使用される場合、0.013インチ〜0.016インチの直径の球体が、使用されてもよい。しかしながら、これは、例証的実施例としてのみ提供され、種々のサイズが、想定され、種々のサイズのカテーテルとともに使用されることができる。
【0108】
概して、球体連鎖100は、本明細書において議論されるカテーテル実施形態のいずれか等、その管腔内に電気接点を含む任意のカテーテルとともに使用されることができる。一実施形態では、モノフィラメント108は、金属または導電的にめっきされたポリマー(例えば、金を用いてめっきされたポリイミド)から作製され、これは、(例えば、電気接点がカテーテル管腔の内側に軸方向に離間されるとき)電流が、2つまたはそれを上回る球体102間に伝導されることを可能にする。したがって、電流は、1つの球体102を通して、モノフィラメント108中に、隣接する球体102を通して、第2の接点を通して外に伝導し、それによって、モノフィラメント108を加熱し、ポリマーを溶解し、2つの球体102を分離させる。
【0109】
別の実施形態では、非めっきポリマーモノフィラメント108が、球体102を接続するために使用されることができる。この点で、電流は、1つの球体102から、隣接する球体102に直接、それらの接点を介して相互に通過するであろう。この電流は、2つの球体102を加熱させ、モノフィラメント108を溶解および破壊するであろう。
【0110】
球体という用語が、連鎖100の要素102を説明するために使用されているが、他の成形された部材も、代替として使用され得る。例えば、円柱、立方体、中空鞍形状、または類似する多面形状がある。したがって、球体という用語は、球状に成形された要素102のみに限定されることを意味しない。
【0111】
一実施形態では、モノフィラメント108は、球体102のそれぞれの間に接触を維持するように、球体102間で張力をかけられる。別の実施形態では、モノフィラメント108は、球体102間では張力下にない。
【0112】
モノフィラメント通路106は、直線であるように示されているが、湾曲通路もまた、可能である。この点で、通路106の開口部は、相互に平行ではないであろう。湾曲通路106を伴ういくつかの球体102は、二次形状を連鎖100に付与するように使用され得ることがさらに想定される。
【0113】
別の実施形態では、球体102はさらに、その外面上にわたって配置される、ワイヤコイルを有してもよい。例えば、単一コイルが、連鎖100全体を被覆してもよく、または複数のより小さいコイルが、それぞれ、球体102の1つまたはそれを上回るものを被覆してもよい。
【0114】
図23は、2つのコイル区分12を相互に分離させるように選択的に解放され得る、継手120を有する塞栓コイルの別の実施形態を例証する。継手120は、2つの接点バンド122に接続される、ヒューズリンク124を含む。一実施形態では、ヒューズリンク122は、接点バンド122の開口を通して延在し、接点間の張力を維持するための結び目124を形成する。一実施例では、ヒューズリンク124は、金または類似する導電性材料を用いてめっきされる、ポリイミドモノフィラメントまたはハイポチューブを含む。接点バンド122が、(例えば、本明細書内の前述されたカテーテルのいずれか等の)カテーテル内で電気接点と整合状態になると、電流が、ヒューズリンク124を通して流れ、めっきを破砕し、ポリイミドを破壊する。したがって、継手120は、分離し、1つの区分12を別のものから切断する。本明細書に説明される他の実施形態のように、マイクロコイルが、複数のコイル区分12を取り付ける継手のいくつかを有してもよく、これは、オペレータに、コイルの脱離部の選択肢を可能にする。
【0115】
図24は、複数の電解的に脱離可能な継手134を有する、マイクロコイル130のさらに別の実施形態を例証する。継手134は、好ましくは、各コイル区分12の端部に接続される、導電性リング136と、リング136のうちの2つをともに結合する、電解リンク138とを含む。マイクロコイル130は、好ましくは、プッシャ120の近位端において電源に接続される一方、接点137は、同一の電源の異なる極性の端子に接続される。マイクロコイル130が、電気接点137が継手134の遠位リング136に接触するように整合されると、回路が、作成される。具体的には、回路経路は、プッシャ120の近位端において始まり、コイル区分12を通して、近位リング136を通して、電解リンク138を通して、遠位リング136を通して、接点137を通して、電源に戻るように通過する。電圧がこの回路に印加されると、電解リンクは、電解的に分解し始め、それによって、継手134の遠位にあるマイクロコイル130の一部を解放する。
【0116】
一実施形態では、マイクロコイル130およびプッシャ120は、電気伝導率を向上させるために、金または他の高伝導率めっき材料でめっきされることができる。別の実施形態では、電解リンク138の代わりに、熱、熱機械、RF、機械、および光学等、他のタイプのリンクも、使用されることができる。
【0117】
図25に見られるように、マイクロコイル130はまた、カテーテルの電気接点146がカテーテル144の遠位端に位置する、若干異なるカテーテル144とともに使用され、接点146の間に、患者の血液を通して、マイクロカテーテル130中に回路を作成することができる。カテーテル144内に依然としてあるリンク138の全てが、電解的に分解することを防止するために、電気を伝導しないパージ流体140(例えば、約0ppmの塩またはイオンを伴う流体)が、カテーテルの管腔中に圧送される。この非導電性流体が、カテーテルの端部の直近かつ遠位の継手134の分解を妨害することを防止するために、カテーテルの管腔に接続するパージ孔142(または代替として、スリットもしくは類似する形状)が、接点146の近位に位置付けられる。この点で、非導電性パージ流体140は、接点146の近位でカテーテル144から退出し、継手134と接点146との間の伝導率を可能にする。一実施例では、非導電性流体140は、ヨウ素であり得、これはまた、ユーザが、X線下の流体を視認することを可能にし、カテーテル内により良好に留まるように、より高い粘性であり得る。概して、本実施形態は、患者の血液が電流の大部分を伝搬するため、カテーテル内の継手134と接点との精密な整合およびそれらの間の接触の必要性を減少させる、または排除する。一実施例では、電解リンク138は、ステンレス鋼を含み、コイル区分は、白金を含む。
【0118】
図26は、ガイドワイヤ送達システムのために使用される、カテーテル150の実施形態を例証する。カテーテルは、近位電気接点58と、遠位電気接点54とを含み、これらは、近位の電力および制御システムから、反対の極性を与えられる。ユーザが(例えば、本明細書の他の実施形態に関して説明される制御/電力システムと類似する)制御システムとインターフェースをとるために使用し得る、ユーザインタフェース(すなわち、ボタン)が、存在してもよい。接点54が正の極性を有するように示され、接点58が負として示されているが、これらは、逆転されることができる。接点は、設計において、図17−18の接点と類似し得る。
【0119】
図27−28は、ガイドワイヤ60とともに使用される、カテーテルを示す。ガイドワイヤ60は、好ましくは、十分に高い温度に暴露されると、ガイドワイヤ60が屈曲し得るように、バイメタル複合物から作製される。一実施例では、ガイドワイヤ60の半分(すなわち、ガイドワイヤの断面の半円)は、第1の金属を含む一方、他方の半分は、異なる膨張係数を伴う第2の金属を含む。電流が接点54および58を介してガイドワイヤ60に印加されると、ガイドワイヤ60は、温度において上昇する。金属が異なる比率において拡張するため、ガイドワイヤは、一方向に屈曲する。この屈曲は、ガイドワイヤ60を屈曲させ、ガイドワイヤ60を所望される方向に向けて回転させ、ガイドワイヤをさらに前進させることによって、血管系を通してガイドワイヤ60およびカテーテルを操向することに役立つように使用されることができる。一実施例では、ガイドワイヤ60の遠位部のみが、各側上で2つの金属を含み。別の実施例では、ガイドワイヤ60全体は、それぞれ、異なる金属である両半分を含む。
【0120】
使用実施例の一方法では、カテーテル150は、血管内の分岐部に到達し得、操向システムは、ガイドワイヤ60の遠位端を屈曲させることを(ユーザインターフェースを介して)可能にすることができる。ユーザは、次いで、屈曲が、カテーテルを操向することをユーザが所望する方向に指向されるように、カテーテル150およびガイドワイヤ60にトルクをかけるか、またはそれらを回転させることができる(図33−34参照)。ガイドワイヤを屈曲させるように十分に高い温度上昇を生成するために、接点は、好ましくは、より高い電流流路が、熱伝達を増加させることを可能にするように離間される。一実施例では、この間隔は、約0.5〜3cmである。使用される材料および利用される電気インパルス等の要因が、接点間に要求される間隔に影響を及ぼし得る。
【0121】
図29は、組み合わせられたガイドワイヤ塞栓コイルシステムにおいて使用される、カテーテル152を示す。カテーテルは、3つの接点52、54、58を利用する。より遠位の接点52、54は、塞栓コイル脱離システム(例えば、本明細書に議論される塞栓コイルのいずれか)とともに使用される一方、接点54、58は、ガイドワイヤ60とともに使用される。接点52、58は、好ましくは、同一の極性を有する一方、最遠位接点54は、反対の極性を有する。接点54は、正の極性を有するように示され、52、58は、負の極性を有するように示されているが、これは、54が負の極性を有し、52、58が正の極性を有するように切り替えられ得る。一実施例では、ユーザインターフェースが、ガイドワイヤシステムまたは塞栓コイル脱離システムと相互作用するために、2つのボタンを有し得る。接点52、54、58は、図17−18に示される接点と類似する。
【0122】
別の実施形態では、カテーテル/送達デバイス(すなわち、シース、ハイポチューブ、マイクロカテーテル、またはカテーテル)が、電気接点を利用する。カテーテルは、これが該カテーテルを通して置かれるデバイスと相互作用する、電気接点を備えるため、インテリジェントカテーテルと見なされることができる。接点は、接点に極性を与えるために電気システムに接続される。接点は、カテーテルを通過するデバイス(すなわち、前述される塞栓コイルおよび/またはガイドワイヤ)と相互作用するように使用されることができる。ユーザは、前述されるユーザインターフェースを介してシーケンス(すなわち、塞栓コイル脱離またはガイドワイヤ操作)を開始するために、インターフェースを有してもよい。一実施例では、組み合わせられた塞栓コイル脱離および操向可能ガイドワイヤシステムに関して、ユーザインターフェースは、2つのボタンを有し、1つは、コイルを脱離するためのものであり、別のものは、ガイドワイヤを屈曲し、送達システムを操向する際に補助するためのものであろう。一方のボタンをたたくことで、塞栓コイル脱離システムの回路を通してインパルスを送電し、他方のボタンをたたくことで、ガイドワイヤシステムの回路を通してインパルスを送電するであろう。インテリジェントマイクロカテーテルは、図4、8、13、21、24に示され、説明される、接点構造のいずれかを利用し得る。
【0123】
図30は、塞栓コイルとともに使用される、組み合わせられたシステムを示す。接点52、54は、コイルと相互作用し、ユーザがそのように所望するとき、コイル区分を脱離させるように使用される。
【0124】
図31は、ガイドワイヤとともに使用される、組み合わせられたシステムを示す。接点54、58は、ガイドワイヤと相互作用するように使用される。一実施例では、ガイドワイヤは、接点先端56に当たるために、送達デバイス/マイクロカテーテルの内径とほぼ同じ厚さである。別の実施例では、ガイドワイヤは、接点先端とインターフェースするために、選択的領域において拡大された直径領域を有する。
【0125】
別の実施形態では、接点52、54は、他の近位接点58を含むことなく、組み合わせられたガイドワイヤ塞栓コイルシステムにおいて使用されることができる。本実施形態では、ガイドワイヤは、ガイドワイヤを屈曲させるために、ガイドワイヤの遠位部内にそのような冗長な電流流路を必要とせず、そのため、付加的な近位接点56は、必要とされない。バイメタル複合物において使用される材料および電流を生成するために使用されるインパルスは、ガイドワイヤの遠位端を屈曲させるために、ガイドワイヤを通して必要とされる電流流路を最小限にし得る性質であり、これらは、本特定の実施形態において有用であろう。
【0126】
接点システムに代わる別の実施形態では、ガイドワイヤ自体が、該ガイドワイヤの遠位端上に置かれるヒータコイルを有し得る。コイルの一方の端部は、正の極性を有し、他方の端部は、負の極性を有するであろう。ユーザインターフェースが、本システムの近位端に結合され、ユーザが、インパルスを生成し、ヒータコイルを通して電流を送電し、ガイドワイヤの遠位先端を加熱し、これを偏向させるために、本システムと相互作用し得る。ユーザは、次いで、ガイドワイヤを所望される方向に整合し、血管系を通してカテーテルを操縦する際に補助するために、本システムの近位端にトルクをかけ得る。代替として、コイルを加熱し、ガイドワイヤの遠位端の偏向を生じさせるために、ガイドワイヤは、ガイドワイヤの遠位端上に置かれるヒータコイルを有し、ヒータコイルは、(前述されるような)カテーテル中に内蔵された接点システムと電気的に相互作用してもよい。ヒータコイルは、カテーテルの電気接点に接触し、接点は、ユーザインターフェースに結合され、そのため、ユーザは、所望に応じて、本システムを通してインパルスを送り得る。インパルスが送電されると、ガイドワイヤは、ヒータコイルを介して、生成された熱に応答して偏向し、屈曲されたガイドワイヤは、次いで、カテーテルを操縦するために使用される。
【0127】
ガイドワイヤの遠位先端上に置かれるヒータコイルに代わる別の実施形態では、マイクロカテーテルが、マイクロカテーテルの遠位部内に統合ヒータコイルを有し得る。統合ヒータコイルの一方の端部は、正の極性を有し、他方の端部は、負の極性を有するであろう。コイルは、本システムの近位端に結合されるユーザインターフェース中に統合され得、ユーザが、インパルスを生成し、ヒータコイルを通して電流を送電するために、本システムと相互作用し得る。ヒータコイルは、ガイドワイヤに近接近して位置するか、またはそれとの直接接触を有し得る。ガイドワイヤがカテーテルの遠位端に位置するとき、ユーザは、ヒータコイルを加熱し得、これは、ガイドワイヤの遠位先端を偏向させる。ユーザは、次いで、ガイドワイヤを所望される方向に整合し、血管系を通してカテーテルを操縦する際に補助するために、本システムの近位端にトルクをかけ得る。
【0128】
図35は、複数の180度の曲線によって相互に接続される、複数の隣接する真っ直ぐな区分160Bを含む、ヒータコイル160の実施形態を例証する。このパターンは、最終的に電力供給源および制御システムに接続する、ワイヤまたは類似する導電性部材に接続される、端部160Aで終端する。
【0129】
一実施形態では、白金等の高抵抗性金属を含むハイポチューブが、この「ジグザグ」パターンにレーザカットされることができる。別の実施形態では、薄い金属シートが、このパターンにレーザカットされ、次いで、円筒形形状に湾曲されることができる。好ましくは、ヒータ160は、ポリイミド、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、またはパリレン等の絶縁材料を用いてコーティングされる。これらの技法によって加熱コイル160を作成することによって、コイルは、比較的小さな厚さ(例えば、0.009インチ等)を有するが、依然として、有意な量の電気抵抗を生成することができる。
【0130】
ヒータコイル160は比較的薄いため、図37に見られるように、カテーテルの一実施形態が、コイル160と、これの中に位置する第2の小型内側コイル163とを含む、二層ヒータアセンブリ162を含み得る。そのようなアセンブリ162は、ヒータアセンブリ162が、カテーテルにより多くの量の熱を提供し、そして/または冗長性を提供することを可能にするであろう。他の実施形態が、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれを上回るヒータコイルの層を含んでもよい。ヒータコイルの層は、それぞれ、電力を供給するための独立した電気ワイヤを有することができる、またはコイルはそれぞれ、直列にともに連鎖されることができる。代替として、単一ハイポチューブ(図36)が、複数層構成に巻回されることができ、ハイポチューブの各連続的ロールが、ヒータの新しい層になる。本構成では、ヒータコイルが同一のハイポチューブパターンを含むため、ワイヤの1つのセットのみが、システム全体を加熱するために必要とされるであろう。
【0131】
図38は、複数の独立して動作可能なヒータ区域を生成するために、その長さに沿って複数の互い違い(staggered)のヒータコイルを有する、カテーテルヒータアセンブリ169の別の実施形態を例証する。具体的には、カテーテル164は、近位ヒータコイル165と、中間ヒータコイル166と、遠位ヒータコイル167とを含み、その全てが、設計において、コイル160と類似する。3つのコイルが示されているが、そのようなカテーテルは、任意の数のコイル(例えば、1〜100個のコイル)を含み得る。異なる離散ヒータコイルの追加は、塞栓コイルの脱離継手の冗長性、温度制御、および/またはユーザ標的を提供する。
【0132】
図39は、カテーテル168が、相互に平行に位置付けられる複数のヒータコイル160(例えば、3つのコイル)を有する、さらに別の実施形態の断面図を例証する。好ましくは、コイル160は、それぞれ、その独自のカテーテル管腔通路内に位置し、それによって、(例えば、インプラントを脱離する、または前述されるようなガイドワイヤを屈曲するために)いくつかの異なるデバイスが、同一のカテーテルから使用され、加熱されることを可能にする。
【0133】
以下により詳細に議論されるように、図40〜は、塞栓デバイスの種々の区分をともに接続し、ユーザによって選択的に分離され得る、種々の付加的なリンクまたは継手実施形態を開示する。コイル部12は、これらの実施形態に関して説明されているが、球体102等の本明細書において説明される任意の塞栓デバイスが、これらの継手と併用され得ることを理解されたい。
【0134】
図40に目を向けると、コイル部12の間等、塞栓デバイスの2つの部分を接続する脱離継手252の別の実施形態が、示される。脱離継手52は、血液、造影剤、生理食塩水、または他の一般的に注入される介入流体等の液体に暴露されると、(化学的または別様に)分解し得る、接合材料254とともに保持される。例えば、接合材料254は、液体に暴露されると、溶液に解離し得る、NaClまたは類似する塩等の塩を含んでもよい。
【0135】
一実施例では、接合材料254は、外側の電気的に制御される膜256を介して、液体に選択的に暴露されることができる。電流が本明細書において説明されるカテーテル実施形態のいずれかを介して印加されると、膜は、流体が継手252に進入することを可能にし、接合材料254(例えば、NaCl)が溶液になり、コイル部12が相互に分離することを可能にする。一実施例では、外側膜256は、カシーウェンゼル湿潤遷移効果を介して動作し、これは、Bormashenko、Edward、Roman Pogreb、Sagi Balter、およびDoron Aurbachの「Electrically Controlled Membranes Exploiting Cassie−Wenzel Wetting Transitions」(Scientific Reports 3 (2013年))に説明され、その内容は、本明細書に参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0136】
別の実施例では、外側膜部256は、電流がカテーテルを介して通過されると、ヒドロゲルに、その流体を放出させ、収縮させる、ヒドロゲルの層であり得る。いったん十分に収縮されると、ヒドロゲルは、塞栓デバイスの外側からの流体(例えば、カテーテルの内側からの生理食塩水)が、継手252に進入し、接合材料254を分解することを可能にし得る。一実施形態では、ヒドロゲルのみが、使用される。別の実施形態では、ヒドロゲルは、その上に透過性フィルムまたは層を有する。
【0137】
別の実施例では、外側膜256は、薄いフィルムであってもよく、これは、カテーテルからの電流がこれに印加されると、溶解または分解する。例えば、このフィルムは、ヒータの起動を介して溶解するために十分な融点を伴う、ポリウレタンまたはポリオレフィン等のポリマーを含み得る。
【0138】
代替実施形態では、継手252の内面255は、内側通路253から接合材料254への流体(例えば、生理食塩水または造影剤)の通過を選択的に可能にするように構成され得る。この流体の選択的通過は、外側膜256に関して議論された機構のいずれかを介して遂行されることができ、単独で、または外側膜256に加えて、使用されることができる(すなわち、両方の膜は、流体の通過を選択的に可能にすることができる)。
【0139】
図41−45は、継手272を介して相互に脱離可能であるコイル部12を有する、塞栓デバイス270の種々の側面を例証する。概して、継手272は、起動されると、接着部材284を溶解し、それによって、隣接するコイル部12を解放する、コイル部12の遠位端に取り付けられる複数の加熱要素274を含む。
【0140】
図42に最良に見られるように、接着部材284は、別のコイル部12の近位端に固定される、遠位リング282の溝282A内に位置する。加熱要素274はまた、接着部材284が加熱要素274を遠位リング282に固定または固着させ、それによって、2つの隣接するコイル部12をともに維持するように、溝282A内に位置付けられる。
【0141】
一実施形態では、加熱要素274は、複数の略矩形形状を形成するが、単一の四角形または複数の円形ループ等、種々の異なる形状が、可能である。
【0142】
電流が、遠位導電性リング280および近位導電性リング276(両方とも、絶縁層278によって分離される)を介して、加熱要素74のそれぞれに分配される。リング280および276はそれぞれ、(本明細書のいずれかに説明される)カテーテル内の電流供給要素によって、接触されることができる。
【0143】
加熱要素274は、好ましくは、遠位リング280のみと電気接触する、第1の端部274Aと、近位リング276のみと電気接触する、第2の端部274Bとを有する。図44および45に見られるように、本配列は、遠位リング280の開口280Aのうちの1つのみの中への進入を可能にする、比較的短い長さを有する第1の端部274Aと、開口280を通して、かつ絶縁層278の開口を通して、近位リング276の開口276Aのうちの1つの中に延在する、比較的長い長さを有する第2の端部274Bとによって遂行されることができる。絶縁部材281がさらに、遠位リング280の開口280A内に位置する第2の端部274Bの一部上に位置し、それによって、そうでなければ電流が加熱要素274を通して完全に流れることを妨げるであろう電気接触を防止することができる。
【0144】
図46は、隣接するコイル区分12間に複数の継手292を伴う、区分化された塞栓デバイス290の別の実施形態を例証する。継手292は、デバイス290の壁の周囲に軸方向かつ円周方向に位置する、複数のテザーまたはモノフィラメント296によって、ともに保持される。各テザー296は、アンカ98を介して、両方のコイル部12に張力下で係留される。アンカは、接着剤、接合剤、テザー296が結束され得る別個の要素、または類似する締結機構であり得る。
【0145】
テザー296は、好ましくは、テザー296のそれぞれの近傍に位置する抵抗ヒータ294によって破壊される。例えば、図46および47は、リング形状を形成するように、隣接する湾曲領域294Bによって接続される、複数のコイル状部294Aを含む、抵抗ヒータリング294を例証する。コイル状部294Aはそれぞれ、好ましくは、テザー部材296への効率的な熱伝達を可能にするように、テザー部材296のうちの1つの周囲に巻き付けられる。最後に、電気ワイヤ60および61が、ヒータ294の一部と、それぞれ、電気接点リング295および297とに接続される。リング295および297が(本明細書のいずれかに説明されるもの等の)カテーテル内の電気接点と整合し、電流がユーザによって印加されると、コイル294Aは、加熱され、テザー部材296を溶解または破壊し、デバイス290のコイル部12を相互に解放し、それによって、患者内にデバイスの一部を解放する。
【0146】
図48は、デバイス300が複数の異なる場所において選択的に脱離され得るように、複数のコイル区分12を接続する複数の電解継手102を有する、塞栓デバイス300(例えば、マイクロコイル)の別の実施形態を例証する。具体的には、継手302は、好ましくは、中間犠牲アノードリング308と接触する、近位リング304および遠位リング306を含む。(デバイス300の近位端に接続される)プッシャの近位端が、正電流をリング304に提供するように、電力供給源に接続される一方、負電流が、カテーテル300内からの流体を介して、または患者と接触する電極を介して患者の血液を通して、供給される。リング304、306および中間犠牲アノードリング308は、アノードリング308の急速なガルバニック腐食を生じさせるように選択される(すなわち、アノードリング308は、アノードとして作用し、リング304、306は、カソードとして作用する)。いったんアノードリング308が十分に腐食されると、(リング106を含む)デバイス300の遠位コイル部12は、近位コイル部12から切断される。
【0147】
図49−51は、デバイス310をデバイス310に沿った種々の場所において選択的に脱離および解放し得る、複数の機械的解放機構を有する、塞栓デバイス310の別の実施形態を例証する。具体的には、デバイス310は、機械的解放機構を係合解除させるために、外向きに移動するピン316を有する、1つまたはそれを上回るピストン314を含む。一実施例では、機械的解放機構は、掛止位置(図49)から掛止解除位置(図50)に移動され得る、フック部316Aをピン316の遠位端上に含む。しかしながら、種々の異なる掛止機構が、ピストン314とともに使用され得ることを理解されたい。
【0148】
図19は、圧力耐性筐体322およびキャップ320が、加熱されると拡張する材料324を含む、ピストン314の1つの可能性として考えられる実施形態を例証する。材料324は、ピストン314の移動を生じさせるために十分に高い膨張係数を伴う、任意のワックス、オイル、または類似する材料であり得る。別の実施例では、材料324は、比較的高い膨張係数を伴う、水銀、エタノール、または他の材料であり得る。ヒータコイル312が起動されると、これは、ピストン314を加熱し、材料324を筐体322内で拡張させ、それによって、筐体322から少なくとも部分的にピン316を押し出す。
【0149】
図52−54は、複数のコイル区分12を接続する複数の機械的解放機構332を有する、塞栓デバイス330の別の実施形態を例証する。具体的には、解放機構332は、相互に対して位置付けられ、複数のテザー部材またはフィラメント338を介してともに接続または保持される、近位リング334および遠位リング336を含む。図53のリングの断面図において最良に見られるように、リング334および336は、最初に、相互に対して略凹形状を有する(例えば、相互の間に断面長円形を形成する)。しかしながら、リング334および336が加熱されると、リングへの電流の直接印加またはカテーテル(例えば、前述されるカテーテル)内の隣接するヒータコイルのいずれかによって、リング334および336は、反対方向に屈曲し、凸形状(図54)を形成する。この形状変化は、概して、テザー部材338が接続される、リングの端部の距離を相互に増加させ、それによって、テザー部材338を破砕または破壊し、デバイス330の遠位コイル部12が、近位コイル部12から切断されることを可能にする。
【0150】
一実施形態では、リング334および336の温度屈曲挙動は、バイメタル設計(すなわち、リングの第1の側上の第1の金属およびリングの第2の側上の第2の異なる金属)を使用することによって、生成されることができる。別の実施形態では、リング334および336の屈曲挙動は、マルテンサイト/オーステナイト遷移が可能な材料を使用することによって、生成されることができる。例えば、リング334、336は、電流がリングに印加されるか、またはヒータコイルが起動されると、リング334、336がそれらのオーステナイト相に遷移し、それによって、形状も変化させるように、比較的高いオーステナイト最終温度を有する、ニチロールを含むことができる。
【0151】
図55−65は、複数のコイル部12を相互に接続する複数の機械的解放機構342を有する、塞栓デバイス340(例えば、マイクロコイル)の別の実施形態を例証する。機械的解放機構342は、好ましくは、通常動作温度(例えば、体温)にある間、機構342を係止状態に維持するが、電流の直接印加によってか、または隣接するヒータコイルを介してのいずれかで加熱されると、機構342を係止解除させるように形状を変化させ、それによって、隣接するコイル部12を切断し、患者内に塞栓デバイス340の一部を解放する、熱起動ばね部材346を含む。
【0152】
一実施形態では、ばね部材146の温度屈曲挙動は、バイメタル設計(すなわち、ばね部材346の第1の側上の第1の金属およびばね346の第2の側上の第2の異なる金属)を使用することによって、生成されることができる。別の実施形態では、ばね部材346の形状変化挙動は、マルテンサイト/オーステナイト遷移が可能な材料を使用することによって、生成されることができる。例えば、ばね部材346は、電流がばねに印加されるか、またはヒータコイルが起動されると、ばね部材346がそのオーステナイト相に遷移し、それによって、形状も変化させるように、比較的高いオーステナイト最終温度を有する、ニチロールを含むことができる。
【0153】
機械的解放機構342のばね部材346は、基部350上およびその周囲に位置する。ばね部材346はさらに、(図58に最良に見られる)開口350A中に延在する、その端部のうちの1つにおける第1の伸長アンカ部材346Aによって、基部350上の定位置に係留される。ばね部材346はまた、(図58および59に最良に見られる)係止リング348内の開口中に延在する、第2の伸長アンカ部材346Bも含む。この点で、ばね部材346は、通常動作温度(例えば、体温)にある間、係止リング348を基部150に対して第1の回転位置に維持し、(印加される電流またはヒータコイルを介して)加熱されると、係止リング348を回転させる。
【0154】
基部350、ばね部材346、および係止リング348は全て、好ましくは、外側筐体部材352内に含まれ、これは、相互に対するこれらの部材の軸方向位置を維持することに役立つ。図61に最良に見られるように、外側筐体部材352は、リング144上の係止ピン344Aの通過を可能にする、複数の開口352Aを含む。
【0155】
図63−65に最良に見られるように、係止ピン344Aは、開口352Aを通して、係止リング348上のスロット348B中に通過する。図65に最良に見られるように、スロット348Bのそれぞれの一方の端部は、ピン344Aの遠位端に係合するようにサイズ決定および成形される、張出部または辺縁348Cを含む。具体的には、係止ピン344Aの遠位端は、残りの近位部に対して拡大された直径を有し、この遠位端が、辺縁348Cに引っ掛かり、したがって、ピン344Aの離脱を防止することを可能にする。好ましくは、ばね部材346は、辺縁348Cを係止ピン344Aの遠位端上に維持する回転位置に、係止リング348を維持するように構成される。
【0156】
スロット348Bの反対の端部は、ランプ面148Aであり、これは、スロット348Bから係止ピン344Aを押し出すことを補助する。具体的には、ランプ348Aは、係止リング348が回転するにつれて、ランプ348Aが係止ピン344Aを筐体352から軸方向に外向きに押し出すように、リング344に向かって傾斜される。この点で、ばね部材346が加熱されると、係止リング348は、係止ピン344Aと辺縁348Cを係合解除させるように回転し、ピン344Aを外向きに押し出す。リング344および基部350は、それぞれ、デバイス340の近位コイル部12または遠位コイル部12のいずれかに取り付けられるため、機構342を係止解除することは、部分12を相互に分離させ、残りの部分からデバイス340の一部を脱離および解放させる。
【0157】
代替として、機械的解放機構342の係止リング344の回転が、異なる機構を介して実施されることができる。例えば、前述されるピストン314は、熱がピストン314を起動させると、リング344を回転させるように、基部350または筐体352だけではなく、係止リング344にも固定され得る。
【0158】
好ましくは、係止リング344は、リング344を(前述されるような)カテーテルのヒータコイルの近傍に配置し、脱離を生じさせるようにヒータを起動させることによって、起動されることができる。代替として、カテーテルは、カテーテルの内側の電極と整合されると、リング344の各側に電流を提供し(例えば、前述されるカテーテル実施形態を参照)、電流が起動されると、リング344を加熱させ得る。
【0159】
図66は、複数のコイル区分12を解放可能に接続する複数のヒューズ解放機構142を有する、塞栓デバイス360の別の実施形態を例証する。具体的には、コイル部12は、カテーテル360の円周の近傍に位置する、ヒューズ部材362のうちの1つまたはそれを上回る(例えば、複数の)ものによって、ともに保持されることができる。
【0160】
ヒューズ部材362は、好ましくは、近位リング364および遠位リング366に接続される。近位リング364は、ヒューズ部材362を介して、遠位リング366に接続される。好ましくは、ヒューズ部材162は、患者内の周辺組織を損傷させるほど十分な熱を生じさせずに、破砕または破壊され得る材料を含む(この破壊値は、時として、「溶断It」値と称される)。一実施例では、ヒューズは、金めっきポリイミド材料の伸長ハイポチューブを含むことができる。
【0161】
リング364および366がカテーテル(例えば、以前のカテーテル実施形態を参照)内の電極と整合され、電流が起動されると、電流は、ヒューズ部材362を通過し、それによって、部材362を破砕し、デバイス360の一部を解放する。
【0162】
図67および68は、複数のコイル区分12を有する、塞栓デバイスのための解放可能継手380の別の実施形態を例証する。隣接するコイル区分12が、モノフィラメントまたはテザー部材388を介して(例えば、テザー388の各端部における結束を介して、または接着剤を介して)、ともに維持される。図67に最良に見られるように、加熱コイル386は、テザー384の周囲に位置する。加熱コイル386の第1の端部が、第1の導電性筐体部材382に接続される一方、加熱コイル386の第2の端部が、第2の導電性筐体部材384に接続される。筐体部材382および384が、正極26Cおよび負極26Dと整合される(例えば、各筐体部材が、異なる電極に接触している)と、電流が、加熱コイル386を通過し、熱を生成し、テザー388を破壊または溶解し、継手380の遠位のデバイスの一部を解放する。筐体が電気システムから短絡することを防止するために、絶縁層390が、2つの筐体部材382と384との間に配置される。一実施形態では、塞栓デバイスおよびカテーテルは、所望される回転配向を維持するように調節または別様に成形されてもよく、そのため、筐体部材382、384は、電気接点26Cおよび26Dと適切に整合する。
【0163】
図67−68の実施形態はまた、図11−12のカプセルシステムにおいても使用され得、つまり、継手380は、継手の両端におけるばねまたは継手の全体に及ぶ1つのばねを利用し得る。モノフィラメント388は、両方のばねに結束されるか、図12に示されるような1つのばねの2つの端部に結束されるかのいずれかであろう。熱が生成されると、ばねは、図11−12の実施形態と同様に、モノフィラメントを破壊させるように拡張するであろう。
【0164】
図69(分解図)および70(組立図)は、複数のコイル区分を有する、塞栓デバイスのための解放可能継手400の別の実施形態を例証する。具体的には、近位コイル区分402は、中間コイル区分404およびヒューズ解放機構408によって、遠位コイル区分406に解放可能に接続される。ヒューズ解放機構408は、ヒューズ部材414を含む近位カプセル部材416と、カプセル部材410および416をともに相互係止するように、ヒューズ部材414が通過する固定ループ412を含む遠位カプセル部材410とを含む。
【0165】
好ましくは、カプセル部材410および416は、比較的高い温度に耐えるが、電気を伝導しない、セラミック等の材料を含む。近位カプセル部材416は、好ましくは、部材416中にインサート成形される導電性要素416A(例えば、白金)を有し、(例えば、溶接することによって)ヒューズ部材414の端部に対する接続点として、および中間コイル404への接続点としての役割を果たす。近位カプセル部材416は、好ましくは、コイル404との電気接続を成すように、中間コイル404の遠位端の近傍に溶接される。同様に、遠位カプセル部材410は、これの中にプレス成形される金属要素410Aおよびループ412を含み、金属要素410Aが、遠位コイル区分406の内側に溶接されることを可能にする。
【0166】
近位コイル区分402は、好ましくは、セラミックベースまたはチタンベースのコーティング等、その遠位部に沿って絶縁部402Aを含む。同様に、中間コイル区分404は、その近位部に沿って絶縁部404Aを含む。組立状態(例えば、図70)では、絶縁部402Aおよび404Aのみが、相互に結び付けられ、そのため、近位区分402および中間区分404は、相互に機械的に接続された状態になるが、電気的に接続された状態にはならない。最後に、ヒューズリンク418が、ヒューズ414と、近位区分402の非絶縁部とに(例えば、場所418Aにおける溶接を介して)接続される。
【0167】
動作時、塞栓コイルは、本明細書において説明されるカテーテルのいずれか(例えば、図4のカテーテル)等のカテーテル内に前進される。中間区分404の非絶縁部は、カテーテル22内の第1の電気接点26Aと整合され、近位区分402の非絶縁部は、第2の電気接点26Bと整合される。この時点で、回路が、第2の電気接点26B、ヒューズリンク418を通して、ヒューズ414中に、導電性要素416Aを通して、中間コイル区分404中に、最後に、第1の電気接点26A中に完成される。電力供給源およびインターフェースデバイスが、回路の完成を介して(例えば、低レベルの電流の印加を介して)、整合を感知することができる。ユーザが遠位区分406を脱離することを所望すると、高レベルの電流が、電力供給源およびインターフェースデバイスから印加され、ヒューズ414を破壊させ、それによって、遠位カプセル部材410および遠位コイル区分406を解放する。ヒューズ414が破壊されるため、インターフェースおよび電力供給源は、回路における破壊を検出することができ、それによって、脱離が発生したことを確認することができる。
【0168】
好ましくは、解放可能継手400の構成要素は全て、約摂氏700度に45分間耐え得る材料(例えば、絶縁セラミック材料およびチタンベースのコーティング)を含む。これは、塞栓デバイス全体が、解放可能継手400のうちの1つまたはそれを上回るものとともに作成され、次いで、継手400の構成要素に損傷を与えることなく、二次形状に熱硬化されることを可能にする。加えて、非コイル構成要素がコイル区分内に位置するため、継手と、カテーテルおよび/またはカテーテルの電気接点との間の摩擦またはラチェッティングは、少なくなり得る。
【0169】
本発明は、特定の実施形態および用途の観点から説明されているが、当業者は、本教示に照らして、請求される発明の精神から逸脱することなく、またはその範囲を超えることなく、付加的な実施形態および修正を作成することができる。故に、本明細書の図面および説明は、本発明の理解を促進するために、実施例として提供され、その範囲を限定するように解釈されるべきではないことを理解されたい。
図1
図2
図2a
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図70