【実施例】
【0048】
次に、比較例及び実施例を用いて、本発明のTi-Al系合金1の製造方法が有する作用効果について詳しく説明する。
実施例及び比較例は、チタン材料にアルミ材料を混ぜ合わせて調整された合金材料に対して、CaO-CaF
2のフラックス3を添加して、合金材料中に含まれるO(酸素)を脱酸したものである。
【0049】
なお、実施例1はAlを40質量%、Oを0.8質量%含む合金材料について、第1工程〜第4工程の処理を行ったものである。また、実施例2はAlを60質量%、Oを0.8質量%含む合金材料について、第1工程〜第4工程の処理を行ったものである。実施例3はAlを45質量%、Oを0.8質量%含む合金材料について、第1工程〜第4工程の処理を行ったものである。実施例4はAlを52質量%、Oを0.8質量%含む合金材料について、第1工程〜第4工程の処理を行ったものである。
【0050】
なお、実施例1〜4の溶解原料2の分割数は「11」であり、第1分割体41〜第11分割体51のそれぞれに対して、1回の溶解操作と1回の引き下げ操作とで構成された「基本操作」を行っている。
また、比較例1は、実施例1と同じ組成の合金材料を用いたものであるが、第1工程の際に溶解原料2の分割を行わず、第2工程で溶解操作だけを行って鋳塊を得たものとなっている。比較例1では、得られた鋳塊に対して、さらに第4工程を行って、Ti-30Alの鋳塊を得たものとなっている。
【0051】
さらに、比較例2は、比較例1と同じ処理を行って鋳塊を得たものであり、得られた鋳塊の特定部位のみを用いて第4工程を行ったものである。
さらに、比較例3は、実施例1と同様に、Alを40質量%、Oを0.8質量%含む合金材料について、第1工程〜第4工程の処理を行ったものである。比較例3が実施例1と異なるのは溶解原料2にフラックス3を配合していない点である。
【0052】
具体的には、上述した第1工程〜第4工程は、以下のような条件で実施した。
まず、第1工程は、スクラップTi、酸化チタン(TiO
2)、純Alを合金材料とし、比較例1、比較例2、実施例1についてはCaO-CaF
2系のフラックス3をTi-Al系合金1の重量に対して10%配合して、比較例3についてはフラックス3を配合せずに、溶解原料2を作製した。これらの比較例及び実施例に用いるフラックス3は、CaO:CaF
2=2:8重量比となるようにCaOとCaF
2とを含むフラックス3(CaO-CaF
2系のフラックス3)である。
【0053】
また、第2工程は、底がない(無底の)水冷銅るつぼ5(内径80mm)中に第1工程で調製した溶解原料2を装入し、不活性ガスであるアルゴンを用いたAr雰囲気下で、圧力が6.6×10
4Paとされた条件下で誘導溶解装置を用いて溶解した。なお、実施例1及び比較例3の第2工程では、第1工程で溶解原料2を11分割して第1分割体41〜第3分割体51を予め形成しておき、溶解操作と引き下げ操作とをそれぞれの分割体に対して1回ずつ行い、溶解原料2を溶解させて脱酸を進行させた。また、比較例1及び比較例2については、上述したように第2工程自体を実施していない。
【0054】
このようにして第2工程で鋳造された鋳塊については、溶製後の鋳塊内部をSEMにて観察した。
また、第3工程では、第2工程で鋳造された鋳塊について、鋳塊の表面に対して機械的手段としてショットブラストを行い、鋳塊の表面に付着した表面付着フラックス層8を除去した。第3工程で表面付着フラックス層8が除去された鋳塊については、鋳塊中に含まれる酸素濃度を不活性ガス融解法にて分析した。
【0055】
さらに、第4工程では、第3工程で表面付着フラックス層8が除去された鋳塊について、プラズマアーク溶解炉を用いて、酸素濃度が0.05質量%の純Tiを添加し、Ti-30質量%Al合金を溶製した。第4工程で溶製されたTi-30質量%Al合金の鋳塊についても、第3工程後の鋳塊と同様に酸素濃度を不活性ガス融解法にて分析した。
実施例及び比較例の分析結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
「比較例1」
比較例1は、上述したように第1工程で溶解原料2の分割を行わず、第2工程では分割されていない溶解原料2に対して引き下げ操作を伴わない溶解操作のみを行って、鋳塊を得たものである。
比較例1で得られた鋳塊を、第2工程後に取り出して目視すると、鋳塊の表面には表面付着フラックス層8が形成されていた。また、比較例1においては、合金組織の内部に巻込まれているフラックス3も目視で確認できた。
【0058】
また、「比較例1」の鋳塊については、鋳塊内部に対するSEM観察も行っている。SEMによって観察したところ、鋳塊内部に、Al
2O
3やフラックス3が存在しない部位と、フラックス3が存在する部位とが、混在していることが確認された。
さらに、得られた鋳塊について酸素濃度を不活性ガス融解法にて分析した結果、介在物が存在していない部位には酸素が0.50質量%、介在物が存在している部位には酸素が1.16質量%検出された。
【0059】
さらに、上述した鋳塊を第4工程でプラズマアーク溶解炉を用いて溶解し、上記鋳塊に純Ti(酸素濃度0.05質量%)を添加してTi-30質量%Al合金を溶製して、得られたTi-30質量%Al合金の鋳塊の酸素濃度を不活性ガス融解法で分析した。分析の結果、酸素が0.79質量%検出された。さらにまた、Ti-30質量%Al合金の鋳塊の内部をSEMにて観察すると、Al
2O
3等の酸化物介在物の存在は確認されなかった。
【0060】
上述した目視検査及びSEM観察の結果から、比較例1では、得られた鋳塊にフラックス3及び酸化物系介在物(非金属系介在物)が残り、このフラックス3及び酸化物系介在物が鋳塊内部にまで残っていると判断され、Ti-Al系合金1中の酸素を十分に低減できていないことがわかる。
また、比較例のTi-Al系合金1中の酸素濃度を計測すると、介在物の有無にかかわらず0.1質量%を大きく上回る酸素が検出されており、酸素濃度からもTi-Al系合金1中から酸素を十分に低減できていないことがわかった。
【0061】
さらに、一度溶製した鋳塊を第4工程で再溶解させると、介在物が存在していない部分では酸素濃度が0.50質量%から0.79質量%に上昇した。これは、第4工程で鋳塊に純Ti10を添加して成分調整を行うと、鋳塊中に残されていた酸化物系介在物が純Tiにより分解してTi-Al中に再溶解し、酸素濃度が上昇してしまったものと考えられる。
「比較例2」
比較例2は、比較例1と同様の溶解原料2、溶解方法にて鋳塊を溶製したものである。そのため、溶製した鋳塊の介在物が存在していない部位の酸素濃度は0.51質量%であり、介在物が存在している部位は1.12質量%となっている。この比較例2の鋳塊のうち、介在物が存在していない部位を選んで、プラズマアーク溶解炉を用いて溶解し、純Ti10(酸素濃度0.05質量%)を添加してTi-30質量%Al合金の鋳塊を溶製した。溶製した鋳塊について酸素濃度を分析した結果、酸素濃度は0.42質量%と比較例1よりも低下した結果となった。
【0062】
このことから、比較例1と異なり、Al
2O
3等の介在物がほとんど確認されなかった部位を使用して第4工程を行うと、鋳塊に含まれていたAl
2O
3等の酸化物系介在物の分解に伴う酸素濃度上昇は抑えられることがわかる。しかし、介在物が存在する部位は再溶解の原料としては使用できないため、表1の「歩留」の評価は比較例1が○であるのに対し、×の評価結果となっている。このことから、比較例2では、鋳塊に含まれる酸素濃度は低下できるものの、歩留が悪いという結果となり、総合的な評価は×となっている。
「比較例3」
比較例1及び比較例2と同様に、Ti-40質量%Al-0.8質量%Oとなるように、溶解原料2を調製し、鋳塊(2800g)を溶製した。なお、比較例3の溶解原料2は、比較例1及び比較例2と異なり、第1工程で合金材料にフラックス3を配合せずに溶解原料2を作製したものであり、また溶解原料2を11個に分割したものとなっている。具体的には、最初に水冷銅るつぼ5に装入する第1分割体41は原料重量が800g(フラックス3は除く)であり、それ以降に追加装入する第2分割体42〜第11分割体は原料重量がいずれも200gとされている。この第1分割体41の原料(800g)を、純Ti製のスターティングブロック(水冷銅るつぼ5の底部7)上に装入し、Ar雰囲気下で、圧力が6.6×10
4Paのるつぼ内で溶解した。第1分割体41が溶解した後、るつぼの底部7を毎分2mmの速度で5分間(10mm)引き下げて引き下げ操作を実施した。その後、追加装入原料フィーダーに予め装入していた第2以降の分割体の追加原料(200g)を水冷銅るつぼ5内に装入して溶解し、溶解後にるつぼの底部7を引き下げる操作を、第2分割体42〜第11分割体51の全てに対して行って、鋳塊を溶製した。
【0063】
溶製後の比較例3の鋳塊内部をSEMにて観察した結果、比較例1や比較例2と同様に、非金属介在物のAl
2O
3が殆ど存在していない部位と存在している部位とが内部組織にあることが分かった。また、鋳塊の酸素濃度を不活性ガス融解法にて分析した結果、非金属介在物が殆ど存在していない部位の酸素濃度は0.75質量%となり、非金属介在物が存在している部位の酸素濃度は0.94質量%となった。このことから、フラックス3を用いずに溶解及び脱酸を行った場合には、Ti-Al中の非金属介在物であるAl
2O
3は鋳塊表面に殆ど移行せず、鋳塊内に留まってしまっているため、第1工程で溶解原料2の分割を行っていても、酸素濃度は殆ど低減できていないことがわかる。
【0064】
また、上述した比較例3の鋳塊に対して、プラズマアーク溶解炉を用いて、純Ti10(酸素濃度0.05質量%)を添加しTi-30質量%Al合金を溶製してTi-30質量%Al合金の鋳塊を鋳造し、Ti-30質量%Al合金の鋳塊の酸素濃度を分析すると0.60質量%という結果が得られた。このことから、比較例1と同様に、酸化物系介在物が鋳塊内部にまで残っている鋳塊に対して純Tiを添加して成分調整を行っても、鋳塊中に残されていた酸化物系介在物が純Tiにより分解してTi-Al中の酸素濃度が上昇するため、Ti-Al系合金1中の酸素を十分に低減できないと判断される。
「実施例1」
実施例1は、比較例3と同様に溶解原料2を11個に分割し鋳塊を溶製したものである。実施例1が比較例3と異なるのは、フラックス3をTi-Al系合金1重量に対して10質量%配合していることである。
【0065】
溶解操作終了後に取り出した鋳塊表面を目視で確認すると、添加したフラックス3が溶解/凝固して形成されたと思われる層(表面付着フラックス層8)が鋳塊の表面に付着していた。同様な鋳塊内部をSEMにて観察すると、鋳塊内部には殆どAl
2O
3等の非金属介在物(酸化物系介在物)は存在していないことが分かった。これは、鋳塊表面に形成されたフラックス層にAl
2O
3等の非金属介在物が移行したことによるものと推測された。
【0066】
また、この鋳塊表面のフラックス層(表面付着フラックス層8)は、ショットブラストにより、容易に除去することができた。ショットブラストにより表面付着フラックス層8が除去された鋳塊の酸素濃度を不活性ガス融解法にて分析した結果、Al
2O
3が存在していない部位の酸素濃度は0.30質量%であり、わずかにAl
2O
3等の酸化物系介在物が確認された部位でも酸素濃度は0.40質量%と非常に少なかった。このことから、第1工程でフラックス3を配合すると共に溶解原料2を分割し、第2工程で分割体ごとに溶解操作と引き下げ操作とを繰り返し行った実施例1では、鋳塊中の酸素濃度を大きく低減できることがわかる。
【0067】
また、上述した実施例1の鋳塊についてプラズマアーク溶解炉を用いて溶解しつつ、純Ti10(酸素濃度0.05質量%)を添加してTi-30質量%Al合金の鋳塊を溶製すると、Ti-30質量%Al合金の鋳塊の酸素濃度は0.25質量%にまで低下した。
このことから、実施例1の第4工程では、比較例1〜比較例3とは異なり、鋳塊中に酸化物系介在物がほとんど存在していなかったため、再溶解しても酸素濃度が上昇しておらず、また歩留低下も無いことがわかった。それゆえ、本発明の製造方法を用いれば、低品位な原料を用いて、Al含有量40質量%未満の低酸素なTi-Al系合金1を、歩留まり良く、効率的に製造することが可能であると判断される。
「実施例2」
実施例2は、比較例3と同様に溶解原料2を11個に分割し鋳塊を溶製したものである。実施例2が比較例3と異なるのは、フラックス3をTi-Al系合金1重量に対して10質量%配合していることである。
【0068】
溶解操作終了後に取り出した鋳塊表面を目視で確認すると、添加したフラックス3が溶解/凝固して形成されたと思われる層(表面付着フラックス層8)が鋳塊の表面に付着していた。同様な鋳塊内部をSEMにて観察すると、鋳塊内部には殆どAl
2O
3等の非金属介在物(酸化物系介在物)は存在していないことが分かった。これは、鋳塊表面に形成されたフラックス層にAl
2O
3等の非金属介在物が移行したことによるものと推測された。
【0069】
また、この鋳塊表面のフラックス層(表面付着フラックス層8)は、ショットブラストにより、容易に除去することができた。ショットブラストにより表面付着フラックス層8が除去された鋳塊の酸素濃度を不活性ガス融解法にて分析した結果、Al
2O
3が存在していない部位の酸素濃度は0.045質量%であり、わずかにAl
2O
3等の酸化物系介在物が確認された部位でも酸素濃度は0.065質量%と非常に少なかった。このことから、第1工程でフラックス3を配合すると共に溶解原料2を分割し、第2工程で分割体ごとに溶解操作と引き下げ操作とを繰り返し行った実施例2では、鋳塊中の酸素濃度を大きく低減できることがわかる。
【0070】
また、上述した実施例2の鋳塊についてプラズマアーク溶解炉を用いて溶解しつつ、純Ti10(酸素濃度0.05質量%)を添加してTi-30質量%Al合金の鋳塊を溶製すると、Ti-30質量%Al合金の鋳塊の酸素濃度は0.057質量%にまで低下した。
このことから、実施例2の第4工程では、比較例1〜比較例3とは異なり、鋳塊中に酸化物系介在物がほとんど存在していなかったため、再溶解しても酸素濃度が上昇しておらず、また歩留低下も無いことがわかった。それゆえ、本発明の製造方法を用いれば、低品位な原料を用いて、Al含有量60質量%未満の低酸素なTi-Al系合金1を、歩留まり良く、効率的に製造することが可能であると判断される。
「実施例3」
実施例3は、比較例3と同様に溶解原料2を11個に分割し鋳塊を溶製したものである。実施例3が比較例3と異なるのは、フラックス3をTi-Al系合金1重量に対して10質量%配合していることである。
【0071】
溶解操作終了後に取り出した鋳塊表面を目視で確認すると、添加したフラックス3が溶解/凝固して形成されたと思われる層(表面付着フラックス層8)が鋳塊の表面に付着していた。同様な鋳塊内部をSEMにて観察すると、鋳塊内部には殆どAl
2O
3等の非金属介在物(酸化物系介在物)は存在していないことが分かった。これは、鋳塊表面に形成されたフラックス層にAl
2O
3等の非金属介在物が移行したことによるものと推測された。
【0072】
また、この鋳塊表面のフラックス層(表面付着フラックス層8)は、ショットブラストにより、容易に除去することができた。ショットブラストにより表面付着フラックス層8が除去された鋳塊の酸素濃度を不活性ガス融解法にて分析した結果、Al
2O
3が存在していない部位の酸素濃度は0.16質量%であり、わずかにAl
2O
3等の酸化物系介在物が確認された部位でも酸素濃度は0.20質量%と非常に少なかった。このことから、第1工程でフラックス3を配合すると共に溶解原料2を分割し、第2工程で分割体ごとに溶解操作と引き下げ操作とを繰り返し行った実施例3では、鋳塊中の酸素濃度を大きく低減できることがわかる。
【0073】
また、上述した実施例3の鋳塊についてプラズマアーク溶解炉を用いて溶解しつつ、純Ti10(酸素濃度0.05質量%)を添加してTi-30質量%Al合金の鋳塊を溶製すると、Ti-30質量%Al合金の鋳塊の酸素濃度は0.15質量%にまで低下した。
このことから、実施例3の第4工程では、比較例1〜比較例3とは異なり、鋳塊中に酸化物系介在物がほとんど存在していなかったため、再溶解しても酸素濃度が上昇しておらず、また歩留低下も無いことがわかった。それゆえ、本発明の製造方法を用いれば、低品位な原料を用いて、Al含有量45質量%未満の低酸素なTi-Al系合金1を、歩留まり良く、効率的に製造することが可能であると判断される。
「実施例4」
実施例4は、比較例3と同様に溶解原料2を11個に分割し鋳塊を溶製したものである。実施例4が比較例3と異なるのは、フラックス3をTi-Al系合金1重量に対して10質量%配合していることである。
【0074】
溶解操作終了後に取り出した鋳塊表面を目視で確認すると、添加したフラックス3が溶解/凝固して形成されたと思われる層(表面付着フラックス層8)が鋳塊の表面に付着していた。同様な鋳塊内部をSEMにて観察すると、鋳塊内部には殆どAl
2O
3等の非金属介在物(酸化物系介在物)は存在していないことが分かった。これは、鋳塊表面に形成されたフラックス層にAl
2O
3等の非金属介在物が移行したことによるものと推測された。
【0075】
また、この鋳塊表面のフラックス層(表面付着フラックス層8)は、ショットブラストにより、容易に除去することができた。ショットブラストにより表面付着フラックス層8が除去された鋳塊の酸素濃度を不活性ガス融解法にて分析した結果、Al
2O
3が存在していない部位の酸素濃度は0.042質量%であり、わずかにAl
2O
3等の酸化物系介在物が確認された部位でも酸素濃度は0.060質量%と非常に少なかった。このことから、第1工程でフラックス3を配合すると共に溶解原料2を分割し、第2工程で分割体ごとに溶解操作と引き下げ操作とを繰り返し行った実施例4では、鋳塊中の酸素濃度を大きく低減できることがわかる。
【0076】
また、上述した実施例4の鋳塊についてプラズマアーク溶解炉を用いて溶解しつつ、純Ti10(酸素濃度0.05質量%)を添加してTi-30質量%Al合金の鋳塊を溶製すると、Ti-30質量%Al合金の鋳塊の酸素濃度は0.055質量%にまで低下した。
このことから、実施例4の第4工程では、比較例1〜比較例3とは異なり、鋳塊中に酸化物系介在物がほとんど存在していなかったため、再溶解しても酸素濃度が上昇しておらず、また歩留低下も無いことがわかった。それゆえ、本発明の製造方法を用いれば、低品位な原料を用いて、Al含有量52質量%未満の低酸素なTi-Al系合金1を、歩留まり良く、効率的に製造することが可能であると判断される。
【0077】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。