(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生体認証部は、前記第2操作時に、少なくとも、前記第1の向きと前記第2の向きとが互いに所定の許容範囲を超えて異なっているとき、前記認証は不成立として、少なくとも前記生体情報取得部を動作させないように制御することを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
前記生体認証部は、前記第1操作時に前記認証が不成立であったとき、及び、前記第2操作時に前記認証が不成立であったときに、少なくとも前記生体情報取得部を動作させないように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の生体認証装置。
前記生体情報取得部は、前記生体認証装置の前記使用者への装着時又は前記生体認証装置の前記使用者からの取り外し時に、前記生体情報取得部に接触した前記使用者の指の第1の生体情報と、前記生体情報取得部に接触した前記指の向き、及び、前記生体認証装置の空間的な動きに対応する動作データ、の少なくとも何れかによる所定情報と、を取得し、
前記生体認証部は、前記第1の生体情報と前記所定情報とに基づいて、前記認証を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の生体認証装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態と言う)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0011】
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係る生体認証装置10の外観及び生体認証装置10が使用者(以下、ユーザとも記す)の装着部である腕部14に装着されたときの装着状態を示す図である。本実施形態に係る生体認証装置10は、ユーザの腕部に装着可能に構成されていて、生体認証装置10がユーザの腕部に装着される、又は、装着状態から外される際の指の動作と連動してユーザの認証を行うものである。ここで、腕部14はユーザの手首又は腕である。
【0012】
このため、生体認証装置10は、
図1(a),(b)に示すように、腕部14に装着するためのバンド部材12を有し、このバンド部材12の一端側の、腕部14に装着されたときに外側となる側の面(以下、表面と記す)に生体情報取得部11が実装されている。この生体情報取得部11は、例えば指紋センサ11aを有し、生体情報としてユーザの指Fの指紋を取得する。生体情報取得部11における指紋センサ11aは、例えば静電容量型の指紋センサである。なお、指紋センサ11aは静電容量型に限るものではなく、例えば光学式でもよく、具体的な形式は限定されない。バンド部材12の他端側には、一つ又は複数の接続孔17と、バンド部材12の一端側を通すことが可能な大きさに形成されている貫通孔12bとが設けられており、バンド部材12の長さ方向の概ね中央には、生体情報取得部11により取得された生体情報に基づく認証動作を制御する制御機能を有する本体部13が設けられている。各接続孔17は後述する接続ピン18が嵌る大きさとなっている。
【0013】
この生体認証装置10を腕部14に装着する際には、
図1(b),(c)に示すように、バンド部材12を腕部14に巻きつけて、バンド部材12の一端側を他端側の貫通孔12bに通して、バンド部材12の、腕部に装着されたときに内側となる側の面(以下、裏面と記す)の生体情報取得部11の実装位置の反対側に設けられている、後述する接続ピン18を接続孔17に差し込んで嵌めるように構成されている。
【0014】
また、腕部14に装着されている生体認証装置10を腕部14から外す際には、接続孔17に差し込まれている接続ピン18を接続孔17から抜くように構成されている。
【0015】
この接続ピン18を接続孔17に差し込んで嵌めて生体認証装置10を腕部14に装着するとき、及び、接続孔17に差し込まれている接続ピン18を接続孔17から抜いて、生体認証装置10を腕部14から外すとき、
図1(d)に示すように、ユーザの指Fを生体情報取得部11の指紋センサ11aの検知面に接触させる動作を行うように構成されている。このとき生体情報取得部11の指紋センサ11aは、検知面に接触しているユーザの指Fの指紋を生体情報として取得する。
【0016】
すなわち、生体認証装置10は、バンド部材12によりユーザの腕部に装着される際及び腕部から外される際のユーザの指の自然な動きに伴って、ユーザの生体情報を取得することができるように構成されている。
【0017】
図2は、生体認証装置10の表面側の構造(a)、裏面側の構造(b)、(a)のII―II線に沿った断面を矢印方向に見た断面構造図(c)、及び、生体認証装置10が装着されたときの接続ピン18と接続孔17との接触構造(d),(e)を示す図である。
図2(a)から(c)に示すように、バンド部材12の一端側と本体部13との間には、一端が本体部13に接続されているフレキシブル配線基板15が内蔵され、バンド部材12の他端側と本体部13との間には、一端が本体部13に接続されているフレキシブル配線基板16が内蔵されている。
【0018】
フレキシブル配線基板15の一端側のバンド部材12の表面側には生体情報取得部11が実装され、フレキシブル配線基板15の一端側のバンド部材12の裏面側には、接続ピン18が実装されている。
図2(c)に示すように、接続ピン18はバンド部材12の裏面から突出するように設けられている。生体情報取得部11は指紋センサ11aを有し、例えば指紋センサ11aの一部がバンド部材12内に埋め込まれて実装されている。ここで、指紋センサ11aの検知面はバンド部材12の表面側となっている。
【0019】
フレキシブル配線基板16の他端側の、バンド部材12の複数の接続孔17のそれぞれに対応する位置には、接続孔17と同じ大きさを有し、内周面に導体が形成されている貫通孔17bが設けられている。
【0020】
フレキシブル配線基板15には配線パターン15a、15bが形成されていて、配線パターン15aを介して本体部13と生体情報取得部11とが電気的に接続され、配線パターン15bを介して本体部13と接続ピン18とが電気的に接続されている。また、フレキシブル配線基板16には配線パターン16aが形成されていて、配線パターン16aを介して本体部13と貫通孔17bの内周面とが電気的に接続されている。ここで、バンド部材12の各接続孔17の内周面に、貫通孔17bの内周面の導体と電気的に接続される導体が設けられていることが好ましい。
【0021】
生体認証装置10を腕部14に装着するときには、
図2(d)に示すように、バンド部材12の一端側の裏面側に設けられている接続ピン18を、バンド部材12の他端側の、腕部14の太さに応じた適当な位置の接続孔17に差し込むようにする。これにより、
図1(c)に示したように、バンド部材12が腕部14に巻きつけられて固定されるとともに、
図2(e)に示すように、接続ピン18が貫通孔17bに嵌って、接続ピン18と配線パターン16aとが電気的に接続される。ここで、接続ピン18と貫通孔17bとは、本発明における装着検知用接続端子部19をなす。ここで、接続孔17は、例えば、接続ピン18が一度押し込まれたときには接続ピン18が接続孔17に嵌って抜けない状態となり、再度接続ピン18が押し込まれたときには接続ピン18を接続孔17から抜くことができる、周知の構造を有している。そして、本体部13は、この装着検知用接続端子部19により、接続ピン18と配線パターン16aとが電気的に接続されたことを検知すると、生体認証装置10が腕部14に装着されたと判断する。
【0022】
本体部13は、生体認証装置10が腕部14に装着される操作時には、生体情報取得部11により取得された指紋の照合に基づいてユーザの認証を行い、生体認証装置10が腕部14から外される操作時には、生体情報取得部11により取得された指紋の照合と、指紋センサ11aに接触している指Fの向きが、生体認証装置10が腕部14に装着されたときの指Fの向きと同じか否かの判定と、に基づいてユーザの認証を行うように構成されている。詳しくは後述する。
【0023】
なお、本発明は、生体情報がユーザの指紋のみに基づく態様に限るものではない。指紋データに基づく生体情報に加えて、後述する生体インピーダンスや静脈、脈波等、ユーザに固有の生体情報を付加するようにしてもよい。これにより、より正確な認証結果を得ることができる。
【0024】
図3は、本実施形態に係る生体認証装置10の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係る生体認証装置10は、本体部13と、装着検知用接続端子部19と、生体情報取得部11と、を有し、本体部13は、制御部131と、記憶部132と、認証データ記憶部133と、報知部134と、装着検知部135と、生体認証部136と、バッテリ137と、通信部138と、を有している。本体部13においては、各ブロック131〜138は、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本で構成された内部バス140を介して共通に接続されている。
【0025】
制御部131は、本実施形態に係る生体認証装置10の制御中枢となり、バッテリ137から電力供給を受け、記憶部132に記録されたプログラムに基づき、各ブロック132,133,134,135,136,138及び生体情報取得部11の制御を行う。記憶部132には、制御部131が実行するプログラムが記憶されている。
【0026】
認証データ記憶部133には、使用者(ユーザ)の認証を行うための基準指紋データ及び基準方向データが記憶されている。認証データ記憶部133は、例えば、記憶部132とは別体で用意されるフラッシュメモリ等である。なお、認証データ記憶部133を備えず、記憶部132に基準指紋データ及び基準方向データが記憶されている構成であってもよい。
【0027】
通信部138は、USB(Universal Serial Bus)等の有線、あるいは、Bluetooth(登録商標),NFC、Wi−Fi等無線を使用して、予め設定された外部装置20(セキュリティ管理のために使用時に認証を必要とするPC(パーソナルコンピュータ)やスマートホン、ゲート等)と有線又は無線による通信リンク21を設定して、相互に情報通信を行うことが可能とされている。通信部138は、生体認証装置10がユーザの腕部14に装着されて、ユーザの認証ができたとき、外部装置20に対して、セキュリティロックの解除に必要なユーザの識別情報(ID)等の情報を送信して、外部装置20を、セキュリティが解除(セキュリティアンロック)されて、アクセス可能な状態に設定する。また、通信部138は、生体認証装置10がユーザの腕部14に装着されてもユーザの認証ができなかったとき、及び、生体認証装置10がユーザの腕部14から外されたとき、外部装置20に対して、ログアウト状態に設定するために必要な情報を送信して、外部装置20を、セキュリティが設定(セキュリティロック)されて、アクセス不可な状態に設定する。
【0028】
報知部134は、生体認証装置10の状態(例えば、電源のON/OFF、認証機能のON/OFF等)や認証結果等の情報を報知する。報知部134は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)等の表示デバイスやブザー等の音声出力デバイスで構成される。
【0029】
装着検知部135は、装着検知用接続端子部19において、接続ピン18と配線パターン16aとが電気的に接続されたことが検知されたときに、バンド部材12の両端が接続されて生体認証装置10が腕部14に装着されたことを検知して、これを制御部131へ出力する。ここで、装着検知用接続端子部19は、フレキシブル配線基板15に形成されている配線パターン15b及び配線パターン15bに接続されている接続ピン18と、フレキシブル配線基板16に形成されている配線パターン16aと配線パターン16aに接続されている貫通孔17bを含む。制御部131は、装着検知部135からの検知結果に基づき、生体認証部136における生体認証処理を起動する。
【0030】
生体情報取得部11は、バンド部材12に設けられてユーザの生体情報を取得して、これを制御部131に出力するものであり、例えば指紋センサ11aである。指紋センサ11aは検知面に接触しているユーザの指Fの指紋を取得する。
【0031】
生体認証部136は、生体情報取得部11で取得された指紋の照合に基づいてユーザの認証を行ない、その認証の結果を制御部131に出力する。
【0032】
生体認証部136は、更に、指紋センサ11aが取得した指Fの指紋に基づいて、検知面に接触しているユーザの指Fの向きを検出し、生体認証装置10が腕部14かた外されたときには、指紋の照合に加えて、指紋センサ11aに接触している指Fの向きが、生体認証装置10が腕部14に装着される操作時の指Fの向きと同じか否かの判定を含めてユーザの認証を行う。なお、指Fの向きの検出は、例えば、指紋照合において、認証データ記憶部133に記憶されている基準指紋データによる基準指紋に対して指紋センサ11aが取得した指Fの指紋を回転させて一致したときの、基準指紋に対する回転角度を指Fの向きとして検出する。ここで、検出される回転角度の値をそのままユーザの指Fの方向としてもよいし、1回転(360°)を例えば8から10個の複数に区分して、この複数の区分のうちの、検出される回転角度が含まれる区分を指Fの方向としてもよい。
【0033】
なお、指Fの向きの検出方法は、指紋照合に基づく方式に限るものではなく、例えば、生体情報取得部11が指紋センサ11aの他にカメラを有していて、カメラにより指Fの方向を検出する構成であってもよい。
【0034】
(実施形態の駆動制御方法)
以下、本実施形態における認証動作を説明する
図4及び本実施形態におけるリスト型の生体認証装置10の動作を示す
図5〜
図7のフローチャートを参照しながら、
図1〜
図3に示す本実施形態に係る生体認証装置10の駆動制御方法について詳細に説明する。
【0035】
図5に示すように、生体認証装置10における制御部131は、電源ONされた後、まず、通信部138により、対象に設定されている外部装置20との、有線又は無線による通信リンクを設定する(ステップS101)。次いで、認証機能をONに設定する(ステップS102)。
【0036】
次に、認証データ記憶部133に、ユーザの認証を行うための基準指紋データが登録済みであるか否かを判断する(ステップS103)。ここで、認証データ記憶部133に基準指紋データが登録されていない場合(ステップS103“NO”)、認証データ記憶部133に基準指紋データを登録する処理(ステップS104)を行う。この基準指紋データの登録処理においては、ユーザが指Fを指紋センサ11aの検知面に接触させている状態で指紋センサ11aを動作させて指Fの指紋200を基準指紋として取得させる。このとき、生体認証装置10は、腕部14に装着されている状態であってもよいし、腕部14に装着されていない状態であってもよい。
図4(a)に、指紋センサ11aが取得した基準指紋200の一例を示す。そして、制御部131は、指紋センサ11aによる指紋の取得が完了した後、
図4(b)に示すような、基準指紋200における線の交点等の複数の特徴点201を周知の手法により抽出する。この基準指紋200及び複数の特徴点201に応じたデータを、基準指紋データとして、認証データ記憶部133の所定の領域に保存(登録)する。
【0037】
次いで、制御部131は、装着検知部135により、生体認証装置10のユーザの腕部14への着脱を監視する(ステップS105)。このユーザの腕部14への着脱の監視は、装着検知用接続端子部19による、接続ピン18と配線パターン16aとが電気的に接続されたか否かの検知結果を監視することによって行われる。そして、装着検知用接続端子部19により接続ピン18と配線パターン16aとが電気的に接続されたことが検知されたとき、生体認証装置10が装着されたと判断し(ステップS106“YES”)、装着検知用接続端子部19により接続ピン18と配線パターン16aとが電気的に接続されたことが検知されていないときには、生体認証装置10は装着されていないと判断し(ステップS106“NO”)、生体認証装置10のユーザの腕部14への着脱の監視(ステップS105)を継続する。
【0038】
次いで、ステップS106で、生体認証装置10がユーザの腕部14に装着されたと判断されたとき(ステップS106“YES”)、制御部131は、認証機能がONに設定されているか否かを判別する(ステップS107)。そして、認証機能がONに設定されているとき(ステップS107“YES”)、生体情報取得部11の指紋センサ11aにより、生体認証装置10のユーザの腕部14への装着動作時に指紋センサ11aの検知面に接触しているユーザの指Fの指紋300を取得する(ステップS108)。
図4(c)に、このときに指紋センサ11aが取得した指紋300の一例を示す。制御部131は、指紋300が取得された後、指紋300における線の交点等の複数の特徴点301を周知の手法により抽出する。
図4(c)は、便宜上、指紋300に複数の特徴点301を重ねて示している。
【0039】
続いて、制御部131は、生体認証部136により、取得した指紋300と、認証データ記憶部133に登録されている基準指紋データに基づく基準指紋200との指紋照合を行う(ステップS109、ステップS110)。ステップS109における指紋照合では、具体的には、
図4(d)に示すように、指紋300における複数の特徴点301と、基準指紋200における複数の特徴点201との位置を比較することにより照合を行う。このとき、生体認証部136は、基準指紋200に対して指紋300を面内で回転させて、各特徴点301と各特徴点201とが合致する回転角度を探索する。
図4(d)は、指紋300を左回転方向に角度θだけ回転させたときに指紋300の各特徴点301が基準指紋200の各特徴点201の位置と合致する状態となった場合を示している。このようにして指紋照合ができてユーザの認証ができたとき(ステップS110“YES”)、制御部131は、この角度θを検知して、これをユーザの認証のための基準方向とし、これに対応する基準方向データを、記憶部132の所定の領域に保存する(ステップS111)。ここで、検出される回転角度を基準方向としたが、1回転(360°)を例えば8から10個の複数に区分して、この複数の区分のうちの、検出される回転角度が含まれる特定の区分を基準方向としてもよい。
【0040】
次いで、生体認証装置10は、通信部138により、外部装置20に対して、セキュリティロックの解除に必要なユーザの識別情報(ID)等の情報を送信して、外部装置20を、セキュリティが解除(セキュリティアンロック)されて、アクセス可能な状態に設定する(ステップS112)。そして、制御部131は、装着検知部135による生体認証装置10のユーザの腕部14への着脱の監視(ステップS105)に戻る。
【0041】
一方、指紋照合において指紋300を1回転(360°)させても各特徴点301が基準指紋200の各特徴点201と一致しない場合、指紋照合できずユーザの認証ができないと判断し(ステップS110“NO”)、制御部131は、認証機能をOFFに設定する(ステップS113)。次いで、通信部138により、外部装置20に対して、ログアウト状態に設定するために必要な情報を送信して、外部装置20を、セキュリティが設定(セキュリティロック)されて、アクセス不可な状態に設定する(ステップS114)。
【0042】
ユーザの認証ができたときには、外部装置20がアクセス可能な状態に設定(ステップS112)された後、制御部131は、装着検知部135により、生体認証装置10のユーザの腕部14への着脱を監視する(ステップS115、ステップS116)。
【0043】
次いで、ステップS116で、生体認証装置10がユーザの腕部14から外されたと判断されたとき(ステップS116“YES”)、制御部131は、生体情報取得部11の指紋センサ11aにより、生体認証装置10をユーザの腕部14から外す動作時に指紋センサ11aの検知面に接触したユーザの指Fの指紋300を取得する(ステップS117)。
【0044】
続いて、制御部131は、生体認証部136により、取得した指紋300と、認証データ記憶部133に登録されている基準指紋データに基づく基準指紋200との指紋照合を行う(ステップS118、ステップS119)。ステップS118における指紋照合では、ステップS109のときと同様に、指紋300の各特徴点301と基準指紋200の各特徴点201とが合致する回転角度を探索する。このようにして指紋照合ができてユーザの認証ができたとき(ステップS119“YES”)、制御部131は、指紋300の各特徴点301と基準指紋200の各特徴点201とが合致する回転角度をユーザの指Fの向きとして検出する(ステップS120)。
【0045】
ここで、指紋照合できずユーザの認証ができないと判断したとき(ステップS119“NO”)、制御部131は、認証機能をOFFに設定する(ステップS113)。次いで、通信部138により、外部装置20に対して、ログアウト状態に設定するために必要な情報を送信して、外部装置20を、セキュリティが設定(セキュリティロック)されて、アクセス不可な状態に設定して(ステップS114)、装着検知部135による生体認証装置10のユーザの腕部14への着脱の監視(ステップS105)に戻る。
【0046】
指紋照合ができてユーザの認証ができたとき、制御部131は、指紋300の各特徴点301と基準指紋200の各特徴点201とが合致する指Fの向きが検出された後、生体認証部136において、検出したユーザの指Fの向きと、認証データ記憶部133に記憶されている、生体認証装置10のユーザの腕部14への装着時のユーザの指Fの向きに対応する、基準方向データによる基準方向とを比較する(ステップS121、ステップS122)。そして、検出したユーザの指Fの向きが基準方向と所定の許容範囲内で一致していると判断したとき(ステップS122“YES”)、通信部138により、外部装置20に対して、ログアウト状態に設定するために必要な情報を送信して、外部装置20を、セキュリティが設定(セキュリティロック)されて、アクセス不可な状態に設定して(ステップS123)、装着検知部135による生体認証装置10のユーザの腕部14への着脱の監視(ステップS105)に戻る。
【0047】
一方、検出したユーザの指Fの向きが基準方向と許容範囲を超えて異なっていると判断したとき(ステップS122“NO”)、制御部131は、認証機能をOFFに設定する(ステップS113)。次いで、通信部138により、外部装置20に対して、ログアウト状態に設定するために必要な情報を送信して、外部装置20を、セキュリティが設定(セキュリティロック)されて、アクセス不可な状態に設定して(ステップS114)、装着検知部135による生体認証装置10のユーザの腕部14への着脱の監視(ステップS105)に戻る。
【0048】
本実施形態においては、生体認証装置10のユーザの腕部14への装着時、及び、腕部14から外すときに取得されたユーザの指紋に対する指紋照合ができなかったときに生体認証装置10の認証機能がOFFに設定されて、それ以降、生体認証装置10による指紋照合が行えなくなることに加えて、更に、生体認証装置10のユーザの腕部14への装着時に指紋センサ11aに接触したユーザの指Fの向きと、生体認証装置10をユーザの腕部14から外すときに指紋センサ11aに接触したユーザの指Fの向きとを比較して、両者が一致しないときには生体認証装置10の認証機能がOFFに設定されて、それ以降、生体認証装置10による指紋照合が行えなくなるように構成されている。
【0049】
ここで、生体認証装置10のユーザの腕部14への装着時に指紋センサ11aに接触したユーザの指Fの向きは、そのユーザだけが知り得る情報であり、しかも生体認証装置10をユーザの腕部14に装着する度に異なるものとすることができるから、例えば指紋コピーを使って指紋照合ができたとしても、指の向きまで合わせることは困難である。すなわち、例えば、ユーザに装着されている生体認証装置10を、指紋コピーを使用して他人が外したとした場合、指紋コピーにより指紋照合はできていたとしても、そのときの指の向きが装着時の指の向きとは異なっていれば、生体認証装置10の認証機能がOFFに設定されるため、外部機器をアクセスすることはできないことになる。これにより、指紋照合のみを用いる場合に比べて、セキュリティを高めることができる。
【0050】
なお、ユーザ本人が生体認証装置10を使用している場合であっても、生体認証装置10をユーザの腕部14から外すときの指紋センサ11aに対する指Fの向きを、誤って、装着時の向きから変えしまった場合にも、生体認証装置10の認証機能がOFFに設定されてしまって、外部機器をアクセスすることができなくなってしまう。この場合には、例えば、外部装置20側でユーザ認証を行って、生体認証装置10の認証機能をONに設定し直す設定処理を行う。
図7は、このときの外部装置20での設定処理動作を示す。
【0051】
この設定処理動作では、
図7に示すように、まず、ユーザにより外部装置20に、ユーザID、パスワード等の本人確認情報を入力する(ステップS201)。次いで、外部装置20は、入力された本人確認情報に基づいてユーザ認証を行う(ステップS201、S203)。そして、ユーザ認証が完了した場合(ステップS203“YES”)、外部装置20は生体認証装置10と通信して、生体認証装置10の認証機能をONに設定する。一方、ユーザ認証ができなかった場合には(ステップS203“NO”)、生体認証装置10に対する設定は行われない。
【0052】
(変形例)
上記実施形態において、生体情報取得部11は指紋センサ11aを有するとしたが、更に、ユーザの生体インピーダンスを測定する構成を備えていて、指紋照合に加えて、この生体インピーダンスの値もユーザの認証に用いるようにしてもよい。この場合の構成の一例を
図8に示す。すなわち、
図8(a),(b)に示すように、ユーザの生体インピーダンスを測定するための一対の第1及び第2の電極11c,11dを備えている。第1の電極11cは例えば指紋センサ11aの周囲に設けられて、その上端が上部に突出して露出していて、図示しない配線によって本体部13内の回路と電気的に接続されており、生体認証装置10の装着時及び外す際にユーザの指Fが指紋センサ11aの検知面に接触したときに、指Fの一部が第1の電極11cに接触するようになっている。第2の電極11dは、本体部13の裏面側に設けられていて、その裏面側の面が露出しており、図示しない配線により本体部13内の回路と電気的に接続されており、
図8(b)に示すように、生体認証装置10がユーザの腕部14に巻きつけられて装着されているときに、第2の電極11dの裏面側の面が腕部14に接触するようになっている。そして、
図8(b)、(c)に示すように、生体認証装置10がユーザの腕部14に巻きつけて装着されて、ユーザの指Fが指紋センサ11aの検知面に接触したときに、第1の電極11cに接触した指Fと、第2の電極11dに接触した腕部14との間に、ユーザの両腕と胴体部分を介して導電路Lが形成される。このときに本体部13内の回路により第1の電極11cと第2の電極11dの間に電圧を印加すると、導電路Lに電流が流れ、この電流値を測定することによりユーザの生体インピーダンスを測定することができる。この生体インピーダンスの値はユーザによって異なるため、これをユーザの認証に利用することができる。
【0053】
また、生体情報取得部11は、ユーザの腕部の加速度を測定する加速度センサを更に備えていてもよい。このとき、制御部131は、加速度センサにより検出される体動量に基づき、認証結果によらず識別情報の出力を制御することができる。
【0054】
また、生体情報取得部11は、更に、ユーザの静脈パターンを測定するセンサを更に備えていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、フレキシブル配線基板16に形成されている配線パターン16aが複数の貫通孔17bに共通に接続されていて、接続ピン18が複数の貫通孔17a,17b,17cのどこに嵌められたかは感知しないものとした。しかしながら、これに限るものではなく、例えば装着検知部135が、接続ピン18が複数の貫通孔17a,17b,17cのどこに嵌められたかを感知する構成としてもよい。この場合の構成の一例を
図9に示す。すなわち、3つの貫通孔17a,17b,17cを有する場合に、本体部13と貫通孔17aは配線パターン16aで接続され、本体部13と貫通孔17bは配線パターン16bで接続され、本体部13と貫通孔17cは配線パターン16cで接続される構成として、装着検知部135は、接続ピン18が複数の貫通孔17a,17b,17cのどれに嵌っているかを検出可能とする。この場合、指紋照合に加えて、この接続ピン18が複数の貫通孔17a,17b,17cのどれに嵌っているかの検出結果もユーザの認証に用いるようにしてもよい。つまり、例えば、ユーザ本人がこの生体認証装置10を使用しているときには接続ピン18が貫通孔17aに嵌められているとしたときに、接続ピン18が貫通孔17bに嵌められて使用されているときには、ユーザ本人ではない人が使用していると判断することができる。
【0056】
このように、生体情報として指紋のみに依存することなく、ユーザの生体インピーダンス、静脈パターン等、あるいは更に、接続ピン18を嵌めている貫通孔の位置、も含めて認証することにより一層生体認証の精度を向上させることができる。また、例えば、加速度センサにより計測される体動量が所定値以上の場合に、認証が成立してもID等のセキュリティロックの解除に必要な情報の送信を禁止することで、外部装置の柔軟な制御が可能になる。
【0057】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係る生体認証装置10によれば、バンド部材12に設けられてユーザの生体情報を取得する生体情報取得部11と、取得された生体情報に基づいてユーザの認証を行う生体認証部136と、を備え、生体情報取得部11が、生体情報としてユーザの指紋を取得するとともに指紋センサに接触した指の向きを検出して、指紋照合に加えて指の向きもユーザの認証に利用するように構成されていて、この指の向きが本人だけが知り得る情報であって、これを動的に付帯することができるため、指紋照合だけを用いる場合に比べて、指紋コピーによる不正利用等を良好に排除することができて、セキュリティの強化を図ることができる。
【0058】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0059】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0060】
〔付記〕
[請求項1]
使用者に装着される生体認証装置であって、
前記生体認証装置が前記使用者に装着される第1操作時及び前記生体認証装置が前記使用者から外される第2操作時に前記使用者の指が接触する位置に設けられ、接触した前記使用者の前記指により前記使用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報に基づいて前記使用者の認証を行う生体認証部と、
を備え、
前記生体認証部は、前記第1操作時と前記第2操作時とで、少なくとも前記生体情報の照合に基づいて前記認証を行うことを特徴とする生体認証装置。
[請求項2]
前記生体認証部は、更に、前記生体情報取得部により取得された前記生体情報に基づいて、前記生体情報取得部に接触した前記利用者の前記指の向きを検出し、前記第2操作時に、前記生体情報取得部により取得された前記生体情報と、検出した前記指の向きと、に基づいて前記認証を行うことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置
[請求項3]
前記生体情報取得部は、前記第1操作時に当該生体情報取得部に接触した前記使用者の前記指により第1の生体情報を取得し、前記第2操作時に当該生体情報取得部に接触した前記使用者の前記指より第2の生体情報を取得し、
前記生体認証部は、
前記第1の生体情報に基づいて前記第1操作時に前記生体情報取得部に接触した前記指の向きを第1の向きとして検出し、前記第2の生体情報に基づいて前記第2操作時に前記生体情報取得部に接触した前記指の向きを第2の向きとして検出し、
前記第1操作時に、前記第1の生体情報の照合に基づいて前記認証を行い、
前記第2操作時に、前記第2の生体情報の照合、及び、前記第1の向きと前記第2の向きの比較、に基づいて前記認証を行うことを特徴とする請求項2に記載の生体認証装置。
[請求項4]
前記生体認証部は、前記第2操作時に、少なくとも、前記第1の向きと前記第2の向きとが互いに所定の許容範囲を超えて異なっているとき、前記認証は不成立として、少なくとも前記生体情報取得部を動作させないように制御することを特徴とする請求項3に記載の生体認証装置。
[請求項5]
前記生体認証部は、前記第1操作時に前記認証が不成立であったとき、及び、前記第2操作時に前記認証が不成立であったときに、少なくとも前記生体情報取得部を動作させないように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体認証装置。
[請求項6]
更に、予め設定された外部装置と相互に情報を通信することが可能な通信部を有し、
前記通信部は、
前記生体認証部における前記認証が不成立であるとき、前記外部装置をアクセス不可に設定するための情報を前記外部装置に送信して、前記外部装置をアクセス不可に設定し、
前記生体認証部における前記認証が成立したとき、前記外部装置をアクセス可に設定するための情報を前記外部装置に送信して、前記外部装置をアクセス可に設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の生体認証装置。
[請求項7]
更に、前記生体情報取得部が取り付けられ、前記生体認証装置が前記使用者に装着される際に前記使用者の装着部に巻きつけられるバンド部材を有し、
前記バンド部材は、長さ方向の両端に一端部と他端部を有し、前記一端部と前記他端部とは、前記生体認証装置が前記使用者に装着される際に互いに接続され、
前記バンド部材の前記一端部と前記他端部が接続されたか否かを電気的に検知する装着検知部を更に備え、
前記生体情報取得部は、前記装着検知部による検知結果に応じて、前記生体情報の取得動作が制御されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の生体認証装置。
[請求項8]
前記バンド部材の前記一端部は、前記他端部に対して互いに異なる複数の位置で接続可能とされ、
前記装着検知部は、前記バンド部材の前記一端部が前記他端部のどこに接続されているかの接続位置を検知し、
前記生体認証部は、前記生体情報と前記装着検知部による前記接続位置の検知結果とに基づいて、前記認証を行うことを特徴とする請求項7に記載の生体認証装置。
[請求項9]
前記生体情報取得部は指紋センサを備え、前記生体情報として前記使用者の前記指の指紋を取得することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の生体認証装置。
[請求項10]
前記生体認証装置は、前記利用者の手首又は腕に装着され、
前記生体情報取得部は、更に、前記指紋センサによる前記指紋の取得と並行して前記使用者の生体インピーダンスを前記生体情報として測定するための、前記使用者の前記指が接触可能な位置に設けられる第1の電極と前記使用者の前記手首又は前記腕に接触する第2の電極とを備えることを特徴とする請求項9に記載の生体認証装置。
[請求項11]
使用者に装着される生体認証装置の駆動制御方法であって、
前記生体認証装置は、前記使用者に装着される第1操作時及び前記使用者から外される第2操作時に前記使用者の指が接触する位置に設けられている生体情報取得部を有し、
前記生体認証装置が前記使用者に装着される操作時及び前記使用者から外される操作時に接触した前記使用者の前記指により前記使用者の生体情報を取得するステップと、
前記生体情報に基づいて前記使用者の認証を行うステップと、
を含み、
前記認証を行うステップは、前記第1操作時に少なくとも前記生体情報の照合に基づいて前記認証を行うステップと、前記第2操作時に少なくとも前記生体情報の照合に基づいて前記認証を行うステップと、を含むことを有することを特徴とする駆動制御方法。