(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に搭載され、プログラム又はデータを記憶する記憶部並びに前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを読み出して実行する処理部を有する車載機器の前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを更新する処理を行う車載更新システムであって、
更新用のプログラム又はデータを記憶する更新用記憶部と、
前記更新用記憶部に記憶された更新用のプログラム又はデータを前記車載機器へ送信する更新用情報送信部と、
前記更新用情報送信部による更新用のプログラム又はデータの前記車載機器への送信を中断する処理を行う中断処理部と、
前記車両の周辺を撮像するカメラと、
前記カメラが撮像した画像から人の顔を検出する顔検出部と
を備え、
前記車載機器の記憶部は、前記処理部が実行しているプログラム又はデータを記憶した第1記憶領域、及び、更新用のプログラム又はデータを記憶する第2記憶領域を含み、
前記車載機器は、
前記更新用情報送信部が送信した更新用のプログラム又はデータを受信する更新用情報受信部と、
前記更新用情報受信部が更新用のプログラム又はデータを受信した場合、前記処理部による前記第1記憶領域に記憶されたプログラム又はデータの実行を停止し、前記更新用情報受信部が受信した更新用のプログラム又はデータを前記第2記憶領域に書き込む処理を行う更新用情報書込処理部と、
前記中断処理部が送信を中断した場合に、前記処理部による前記第1記憶領域に記憶されたプログラム又はデータの実行に復帰する処理を行う復帰処理部と、
更新用のプログラム又はデータの前記第2記憶領域への書き込みを完了した後、前記処理部によるプログラム又はデータの実行対象を前記第1記憶領域から前記第2記憶領域へ変更する更新処理部と
を有し、
前記中断処理部は、前記顔検出部が検出した顔が登録された顔と一致する場合に、前記更新用のプログラム又はデータの送信を中断すること
を特徴とする車載更新システム。
前記無線通信部、前記距離判定部、前記更新用記憶部、前記車両外の装置から更新用のプログラム又はデータを取得して前記更新用記憶部に記憶する更新用情報取得部、及び、前記中断処理部を有する車載更新装置を備えること
を特徴とする請求項5に記載の車載更新システム。
車両に搭載され、プログラム又はデータを記憶する記憶部並びに前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを読み出して実行する処理部を有する車載機器の前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを更新する処理を行う車載更新装置であって、
前記車両外の装置から更新用のプログラム又はデータを取得する更新用情報取得部と、
前記更新用情報取得部が取得した更新用のプログラム又はデータを記憶する更新用記憶部と、
前記更新用記憶部に記憶された更新用のプログラム又はデータを前記車載機器へ送信する更新用情報送信部と、
前記更新用情報送信部による更新用のプログラム又はデータの前記車載機器への送信を中断する処理を行う中断処理部と、
前記車両の周辺を撮像するカメラが撮像した画像から人の顔を検出する顔検出部と
を備え、
前記中断処理部は、前記顔検出部が検出した顔が登録された顔と一致する場合に、前記更新用のプログラム又はデータの送信を中断すること
を特徴とする車載更新装置。
車両に搭載され、プログラム又はデータを記憶する記憶部並びに前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを読み出して実行する処理部を有する車載機器の前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを更新する更新方法であって、
前記車載機器の記憶部は、前記処理部が実行しているプログラム又はデータを記憶した第1記憶領域、及び、更新用のプログラム又はデータを記憶する第2記憶領域を含み、
更新用記憶部に記憶された更新用のプログラム又はデータを前記車載機器へ送信し、
前記車両の周辺を撮像するカメラが撮像した画像から人の顔を検出し、
検出した顔が登録された顔と一致する場合に、更新用のプログラム又はデータの前記車載機器への送信を中断し、
前記車載機器が、更新用のプログラム又はデータを受信した場合、前記処理部による前記第1記憶領域に記憶されたプログラム又はデータの実行を停止し、受信した更新用のプログラム又はデータを前記第2記憶領域に書き込み、
前記車載機器が、更新用のプログラム又はデータの送信が中断された場合、前記処理部による前記第1記憶領域に記憶されたプログラム又はデータの実行に復帰し、
前記車載機器が、更新用のプログラム又はデータの前記第2記憶領域への書き込みを完了した後、前記処理部によるプログラム又はデータの実行対象を前記第1記憶領域から前記第2記憶領域へ変更すること
を特徴とする更新方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ECUの記憶部に記憶されたプログラム又はデータの更新を行っている場合、このECUは更新処理が完了するまでの間には通常の処理を行うができない。このため、ECUの更新処理が完了するまで、車両が走行することができなくなる。ユーザが緊急に車両を使用する必要が生じた場合などに、ECUの更新処理によって車両が使用不可能な状態である虞があり、ユーザの車両使用に関する利便性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ユーザの車両使用に関する利便性の低下を防止して車載機器の更新処理を行うことができる車載更新システム、車載更新装
置及び更新方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載更新システムは、車両に搭載され、プログラム又はデータを記憶する記憶部並びに前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを読み出して実行する処理部を有する車載機器の前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを更新する処理を行う車載更新システムであって、更新用のプログラム又はデータを記憶する更新用記憶部と、前記更新用記憶部に記憶された更新用のプログラム又はデータを前記車載機器へ送信する更新用情報送信部と、前記更新用情報送信部による更新用のプログラム又はデータの前記車載機器への送信を中断する処理を行う中断処理部と
、前記車両の周辺を撮像するカメラと、前記カメラが撮像した画像から人の顔を検出する顔検出部とを備え、前記車載機器の記憶部は、前記処理部が実行しているプログラム又はデータを記憶した第1記憶領域、及び、更新用のプログラム又はデータを記憶する第2記憶領域を含み、前記車載機器は、前記更新用情報送信部が送信した更新用のプログラム又はデータを受信する更新用情報受信部と、前記更新用情報受信部が更新用のプログラム又はデータを受信した場合、前記処理部による前記第1記憶領域に記憶されたプログラム又はデータの実行を停止し、前記更新用情報受信部が受信した更新用のプログラム又はデータを前記第2記憶領域に書き込む処理を行う更新用情報書込処理部と、前記中断処理部が送信を中断した場合に、前記処理部による前記第1記憶領域に記憶されたプログラム又はデータの実行に復帰する処理を行う復帰処理部と、更新用のプログラム又はデータの前記第2記憶領域への書き込みを完了した後、前記処理部によるプログラム又はデータの実行対象を前記第1記憶領域から前記第2記憶領域へ変更する更新処理部とを有
し、前記中断処理部は、前記顔検出部が検出した顔が登録された顔と一致する場合に、前記更新用のプログラム又はデータの送信を中断することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る車載更新システムは、前記中断処理部は、前記車両の周辺の状況に応じて、前記更新用のプログラム又はデータの送信を中断することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る車載更新システムは、前記中断処理部が、前記車両の周辺に、前記車両の利用者が存在する場合に、前記更新用のプログラム又はデータの送信を中断することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る車載更新システムは、可搬型の通信器との間で無線通信を行う無線通信部を備え、前記中断処理部は、前記無線通信部による前記通信器との通信結果に応じて、前記更新用のプログラム又はデータの送信を中断することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車載更新システムは、前記無線通信部による前記通信器との通信結果に応じて、前記通信器までの距離を判定する距離判定部を備え、前記中断処理部は、前記距離判定部が判定した距離が所定距離より近い場合に、送信を中断することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る車載更新システムは、前記無線通信部、前記距離判定部、及び、前記距離判定部の判定結果を送信する距離判定結果送信部を有する無線通信装置と、前記更新用記憶部、前記車両外の装置から更新用のプログラム又はデータを取得して前記更新用記憶部に記憶する更新用情報取得部、前記無線通信装置の距離判定結果送信部が送信した判定結果を受信する距離判定結果受信部、及び、前記中断処理部を有する車載更新装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る車載更新システムは、前記無線通信部、及び、前記無線通信部による前記通信器との通信結果を送信する通信結果送信部を有する無線通信装置と、前記更新用記憶部、前記車両外の装置から更新用のプログラム又はデータを取得して前記更新用記憶部に記憶する更新用情報取得部、前記無線通信装置の通信結果送信部が送信した通信結果を受信する通信結果受信部、前記距離判定部、及び、前記中断処理部を有する車載更新装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る車載更新システムは、前記無線通信部、前記距離判定部、前記更新用記憶部、前記車両外の装置から更新用のプログラム又はデータを取得して前記更新用記憶部に記憶する更新用情報取得部、及び、前記中断処理部を有する車載更新装置を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る車載更新システムは、人の生体情報を取得する生体情報取得部を備え、前記中断処理部は、前記生体情報取得部が取得した生体情報に応じて、前記更新用のプログラム又はデータの送信を中断することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る車載更新装置は、車両に搭載され、プログラム又はデータを記憶する記憶部並びに前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを読み出して実行する処理部を有する車載機器の前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを更新する処理を行う車載更新装置であって、前記車両外の装置から更新用のプログラム又はデータを取得する更新用情報取得部と、前記更新用情報取得部が取得した更新用のプログラム又はデータを記憶する更新用記憶部と、前記更新用記憶部に記憶された更新用のプログラム又はデータを前記車載機器へ送信する更新用情報送信部と、前記更新用情報送信部による更新用のプログラム又はデータの前記車載機器への送信を中断する処理を行う中断処理部と
、前記車両の周辺を撮像するカメラが撮像した画像から人の顔を検出する顔検出部とを備え
、前記中断処理部は、前記顔検出部が検出した顔が登録された顔と一致する場合に、前記更新用のプログラム又はデータの送信を中断することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る更新方法は、車両に搭載され、プログラム又はデータを記憶する記憶部並びに前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを読み出して実行する処理部を有する車載機器の前記記憶部に記憶されたプログラム又はデータを更新する更新方法であって、前記車載機器の記憶部は、前記処理部が実行しているプログラム又はデータを記憶した第1記憶領域、及び、更新用のプログラム又はデータを記憶する第2記憶領域を含み、更新用記憶部に記憶された更新用のプログラム又はデータを前記車載機器へ送信し、
前記車両の周辺を撮像するカメラが撮像した画像から人の顔を検出し、検出した顔が登録された顔と一致する場合に、更新用のプログラム又はデータの前記車載機器への送信を中断し、前記車載機器が、更新用のプログラム又はデータを受信した場合、前記処理部による前記第1記憶領域に記憶されたプログラム又はデータの実行を停止し、受信した更新用のプログラム又はデータを前記第2記憶領域に書き込み、前記車載機器が、更新用のプログラム又はデータの送信が中断された場合、前記処理部による前記第1記憶領域に記憶されたプログラム又はデータの実行に復帰し、前記車載機器が、更新用のプログラム又はデータの前記第2記憶領域への書き込みを完了した後、前記処理部によるプログラム又はデータの実行対象を前記第1記憶領域から前記第2記憶領域へ変更することを特徴とする。
【0020】
本発明においては、更新用記憶部に記憶された更新用のプログラム又はデータを車載機器へ送信し、車載機器が受信した更新用のプログラム又はデータを自身の記憶部に書き込むことによって更新処理が行われる。ただし車載機器は、その時点で実行しているプログラム又はデータ(更新前のプログラム又はデータ)を記憶した第1記憶領域と、更新用のプログラム又はデータを書き込む第2記憶領域とを記憶部に有しており、第1記憶領域のプログラム又はデータを上書きすることなく、受信した更新用のプログラム又はデータを記憶部の第2記憶領域に書き込む。車載機器は、書き込み完了後に、プログラム又はデータの実行対象を第1記憶領域から第2記憶領域へ変更することで、プログラム又はデータを更新する。なお更新処理の完了後には、車載機器の記憶部の第1記憶領域及び第2記憶領域の関係は反転し、次回の更新処理を行う際には前回の更新処理で更新用のプログラム又はデータを書き込んだ領域が第1
記憶領域となる。
【0021】
更に本発明においては、車載機器への更新用のプログラム又はデータの送信を中断することを可能とする。更新用のプログラム又はデータの送信が中断された場合、車載機器は、第2記憶領域への書き込みを中断し、第1記憶領域に記憶されたプログラム又はデータの実行に復帰する。車載機器の更新処理を中断し、更新前の状態での動作に復帰することを可能とすることにより、更新処理の途中であってもユーザが車両を使用することが可能となる。
【0022】
また本発明においては、車両周辺の状況に応じて更新用のプログラム又はデータの送信を中断する。例えば、車両周辺に車両の資料者が存在する場合に中断を行う構成とすることができる。これにより車両が利用される可能性がある場合に更新処理を中断することが可能となる。
【0023】
また本発明においては、車両のユーザなどが所持する可搬型の通信器との無線通信を行い、その通信結果に応じて車載機器への更新用のプログラム又はデータの送信を中断する。可搬型の通信器は、例えば車両のドアのロックを遠隔で操作する無線キーとすることができる。無線キーとの通信結果に応じて、ユーザが車両を使用する可能性があるか否かを推測することができる。可搬型の通信器との通信結果に応じて車載機器の更新処理を中断し、更新前の状態での動作に復帰することを可能とすることにより、更新処理の途中であってもユーザが車両を使用することが可能となる。
【0024】
また本発明においては、可搬型の通信器との通信結果に応じて、通信器までの距離を判定する。例えば通信器から送信される無線信号の信号強度に応じて距離を推定することができ、この距離が所定距離より近いか又は遠いかを判定することができる。通信器までの距離が近い場合、この通信器を所持するユーザが車両の近くに存在し、ユーザが車両を利用する可能性が高いと推測できる。このような場合に車載機器の更新処理を中断しておくことにより、ユーザが車両を走行させようとした際に、円滑に車両の走行を開始することができる。
【0025】
また本発明においては、可搬型の通信器との無線通信を行う無線通信装置が通信結果に基づく距離判定を行って判定結果を送信し、更新用のプログラム又はデータの記憶及び送信を行う車載更新装置が無線通信装置からの判定結果を受信して中断処理を行う。
又は、本発明においては、可搬型の通信器との無線通信を行う無線通信装置が通信結果を送信し、更新用のプログラム又はデータの記憶及び送信を行う車載更新装置が無線通信装置からの通信結果に基づく距離判定を行って中断処理を行う。
これらの構成により、無線通信装置及び車載更新装置が協働して車載機器の更新処理を中断する処理を実現できる。
【0026】
また本発明においては、可搬型の通信器との無線通信を行う機能を、更新用のプログラム又はデータの記憶及び送信を行う車載更新装置に設け、車載更新装置が可搬型通信器との通信結果に基づく距離判定を行って中断処理を行う。このように、可搬型の通信器との無線通信と、更新用のプログラム又はデータの車載機器への送信を1つの装置にて行う構成としてもよい。
【0027】
また本発明においては、車両周辺をカメラで撮像し、撮像結果に応じて更新用のプログラム又はデータの送信を中断する。例えば、カメラの撮像画像から人の顔検出を行い、顔が検出された場合に更新用のプログラム又はデータの送信を中断する構成とすることができる。また更に、検出された顔が車両のユーザとして登録された顔と一致するか否かの顔認証を行い、認証結果に応じて更新用のプログラム又はデータの送信を中断する構成とすることができる。これらにより、車両を利用する可能性があるユーザが車両周辺に存在する場合に更新処理を中断することが可能となる。
【0028】
また本発明においては、人の生体情報を取得して、取得した生体情報に応じて更新用のプログラム又はデータの送信を中断する。例えば、車両のユーザの指紋情報又は静脈情報等を取得し、指紋認証又は静脈認証等の認証処理を行って、認証成功した場合にのみ車両のドアのアンロック又はエンジンの始動等を行うことができるシステムにおいて、認証成功した場合に更新処理を中断する構成とすることができる。これにより、ユーザが車両を利用する可能性が高い場合に更新処理を中断することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による場合は、車載機器の更新処理を中断し、車載機器を更新前のプログラム又はデータによる動作に復帰させることが可能な構成とすることにより、更新処理の途中であってもユーザが車両を使用することが可能となり、ユーザの車両使用に関する利便性の低下を防止して車載機器の更新処理を行うことができる
【発明を実施するための形態】
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る車載更新システムの構成を示す模式図である。本実施の形態に係る車載更新システムは、車両1に搭載されたECU(Electronic Control Unit)2及びBCM(Body Control Module)6等の複数の装置が、車両1内に配された通信線及びゲートウェイ4を介して相互に通信を行うシステムである。本実施の形態に係る車載更新システムでは、ECU2が更新処理の対象となる車載機器に相当し、ゲートウェイ4が更新用のプログラム又はデータを送信する車載更新装置に相当し、BCM6が可搬型の通信器に相当する無線キー7との無線通信を行う無線通信装置に相当する。また本実施の形態に係る車載更新システムでは、ゲートウェイ4に通信線を介してTCU(Telematics Communication Unit)5が接続されており、ゲートウェイ4はTCU5を介して車両1外に設置されたサーバ装置9との通信を行うことができる。
【0032】
ECU2は、例えば車両1のエンジンの動作を制御するECU、エアバッグの動作を制御するECU、及び、ABS(Antilock Brake System)の動作を制御するECU等の種々のECUが含まれ得る。各ECU2は、車両1内に配された通信線に接続され、この通信線を介して他のECU2、ゲートウェイ4及びBCM6等との間でデータの送受信を行うことができる。ECU2は、内部の記憶部に記憶されたプログラム及びデータを読み出して実行することによって、各々の処理を行っている。ECU2が記憶するプログラム又はデータは、例えば機能追加又は不具合修正等の目的で更新が行われる場合がある。
【0033】
ゲートウェイ4は、車両1の車内ネットワークを構成する複数の通信線が接続され、通信線間のデータの送受信を中継する処理を行う。
図1に示す例においては、ゲートウェイ4には4つの通信線が接続されている。ゲートウェイ4は、いずれかの通信線から受信したデータを他の通信線へ送信することによって、データの中継を行う。
【0034】
TCU5は、例えば携帯電話通信網を利用した無線通信を行うことによって、サーバ装置9との間でデータの送受信を行うことができる。TCU5は、車両1内に配された通信線を介してゲートウェイ4に接続されており、ゲートウェイ4との間で有線通信によるデータの送受信を行うことができる。これによりTCU5は、ゲートウェイ4及びサーバ装置9の間の通信を中継することができ、ゲートウェイ4から与えられたデータをサーバ装置9へ送信すると共に、サーバ装置9から受信したデータをゲートウェイ4へ与える。
【0035】
サーバ装置9は、車両1に搭載されるECU2にて実行されるプログラム及びデータを管理及び記憶している。サーバ装置9は、車両1からの問合わせに応じてプログラムなどの更新が必要であるか否かを通知すると共に、更新が必要である場合には更新用のプログラム及びデータを車両1へ配信する処理を行う。
【0036】
BCM6は、車両1のドアのロック/アンロック、照明の点灯/消灯、及び、ワイパーの動作等を制御する装置である。BCM6は、可搬型の無線キー7との間で無線通信を行う機能を有しており、無線キー7との通信結果に応じて例えばドアのロック/アンロックを制御する。本実施の形態に係るBCM6は、例えば無線キー7から送信された無線信号の受信強度に基づいて、無線キー7との距離を算出する機能を有している。BCM6は、算出した無線キー7との距離に関する情報を、車両1内の通信線を介してゲートウェイ4へ送信する。
【0037】
また本実施の形態に係るゲートウェイ4は、例えば車両1の走行中にTCU5を介してサーバ装置9との通信を行い、ECU2の更新処理に必要な更新用のプログラム又はデータをサーバ装置9から取得して記憶しておく。ゲートウェイ4は、例えば車両1が停車状態となり、所定時刻に至るなどの所定の更新条件が満たされた場合に、記憶しておいた更新用のプログラム又はデータを更新対象のECU2へ送信することによって、ECU2の記憶部に記憶されたプログラム又はデータを更新する処理を行う。また少なくともこの更新処理を行っている間、ゲートウェイ4は、BCM6が算出する無線キー7との距離に関する情報を取得し、無線キー7が車両1の近くに存在する場合(無線キー7までの距離が所定距離より近い場合)に、ECU2の更新処理を中断する。更新処理が中断された場合、ECU2は、更新前のプログラム又はデータによる動作に復帰する。
【0038】
図2は、ECU2の構成を示すブロック図である。なお本図においては、複数のECU2に共通の機能ブロックを抜き出して示しており、ECU2毎に異なる機能ブロックについては図示を省略している。本実施の形態に係るECU2は、処理部21、記憶部22及び通信部23等を備えて構成されている。処理部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成され、記憶部22に記憶されたプログラム22aを読み出して実行することにより、種々の演算処理を行う。なお記憶部22に記憶されるプログラム22aは、ECU2毎にその内容が異なっている。
【0039】
記憶部22は、フラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部22は、処理部21が実行するプログラム22aと、このプログラム22aの実行に必要なデータとを記憶する。なお以下において”プログラム22a”との記載には、プログラム22aと、このプログラム22aの実行に必要なデータとを含み得る。
【0040】
通信部23は、車内ネットワークを構成する通信線に接続され、例えばCAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに従ってデータの送受信を行う。通信部23は、処理部21から与えられたデータを電気信号に変換して通信線へ出力することによってデータを送信すると共に、通信線の電位をサンプリングして取得することによりデータを受信し、受信したデータを処理部21へ与える。
【0041】
また本実施の形態に係るECU2の処理部21には、更新用情報受信部21a、更新用情報書込処理部21b、更新処理部21c及び復帰処理部21dが設けられている。更新用情報受信部21a〜復帰処理部21dは、記憶部22に記憶されたプログラム22aの更新(アップデート)処理を行うための機能ブロックである。更新用情報受信部21a〜復帰処理部21dは、更新処理の対象となるプログラム22aとは別のプログラム(図示は省略する)を処理部21が実行することにより実現されるソフトウェア的な機能ブロックである。
【0042】
更新用情報受信部21aは、通信線を介してゲートウェイ4から送信される更新用のプログラムを通信部23にて受信し、受信した更新用のプログラムをバッファメモリ(図示は省略する)などに蓄積する処理を行う。更新用情報書込処理部21bは、更新用情報受信部21aが蓄積した更新用のプログラムを、記憶部22の空き領域に書き込む処理を行う。更新処理部21cは、更新用情報書込処理部21bが更新用のプログラムの書き込みを完了した後、記憶部22に記憶されている更新前のプログラムを無効化し、新たに書き込んだ更新用のプログラムを有効化することによって、プログラム22aの更新を行う。復帰処理部21dは、ゲートウェイ4からの更新用のプログラムの送信が中断された場合に、記憶部22に記憶されている更新前のプログラムによる処理を開始し、更新処理を行う前の状態での動作に復帰する処理を行う。
【0043】
図3は、ECU2が行う更新処理を説明するための模式図である。本実施の形態に係るECU2の記憶部22は、少なくともプログラム22aを2セット分記憶しておくのに十分な記憶容量を有している。
図3の上段に示す例では、記憶部22には、プログラム22aと、このプログラム22aと同程度の容量の空き領域22bとが存在している。このときに記憶部22に記憶されているプログラム22aは有効とされ、処理部21がこのプログラム22aを読み出して実行している。
【0044】
更新用情報受信部21aがゲートウェイ4から更新用のプログラムを受信した場合、更新用情報書込処理部21bは、更新前のプログラム22aに上書きすることなく、記憶部22の空き領域22bに受信した更新用のプログラム22aを記憶する。更新用情報書込処理部21bが更新用のプログラム22aをエラーなく記憶部22に書き込み完了した後、更新処理部21cは、更新前のプログラム22aを無効化し、新たに記憶した更新用のプログラム22aを有効化することによって、更新処理を完了する。その後、ECU2の処理部21は、有効化された更新用のプログラム22aを読み出して実行する。なお無効化した更新前のプログラム22aは、例えば何らかのタイミングで消去されてもよく、また例えば消去されることなく記憶部22内に残され、次の更新処理の際に空き領域22bと扱われてもよい。
【0045】
このように、本実施の形態に係るECU2は、更新前のプログラム22aを記憶する領域(第1の領域)と、更新用のプログラム22aを記憶する領域(第2の領域)とを少なくとも記憶部22に設けている。即ち各ECU2はプログラム22aを少なくとも2セット分は記憶することができる記憶領域を有している。更新処理のためにゲートウェイ
4が送信した更新用のプログラム22aを受信したECU2は、更新前のプログラム22aが記憶された領域とは別の領域に、受信した更新用のプログラム22aを記憶する。即ちECU2では、更新前のプログラム22aが上書きされることなく、更新用のプログラム22aが記憶部22に記憶される。ECU2は、更新用のプログラム22aを記憶部22に記憶し終えた後、更新前のプログラム22aを無効化し、更新用のプログラム22aを有効化することによって、処理部21が実行するプログラム22aを切り替える。即ちECU2は、処理部21のブート対象とするプログラムの切り替えを行うことによって、更新処理を完了する。
【0046】
図4は、ゲートウェイ4の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るゲートウェイ4は、処理部41、記憶部42、及び、4つの車内通信部43等を備えて構成されている。処理部41は、例えばCPU又はMPU等の演算処理装置を用いて構成され、記憶部42又は図示しないROM(Read Only Memory)等に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、種々の演算処理を行う。本実施の形態において処理部41は、車内ネットワークを構成する通信線間のデータ送受信を中継する処理、及び、ECU2の更新処理等に必要な演算処理を行う。
【0047】
記憶部42は、フラッシュメモリ又はEEPROM等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部42は、例えば処理部41が実行するプログラム及びこのプログラムの実行に必要なデータなどを記憶する。また記憶部42は、ECU2の更新用のプログラムを記憶する。記憶部42は、処理部41の処理の過程で生成されたデータなどを記憶してもよい。
【0048】
車内通信部43は、車内ネットワークを構成する通信線にそれぞれ接続され、例えばCANなどの通信プロトコルに従ってデータの送受信を行う。車内通信部43は、処理部41から与えられたデータを電気信号に変換して通信線へ出力することによって情報を送信すると共に、通信線の電位をサンプリングして取得することによりデータを受信し、受信したデータを処理部41へ与える。なおゲートウェイ4が備える4つの車内通信部43は、それぞれ異なる通信プロトコルに従って通信を行うものであってもよい。
【0049】
また処理部41には、記憶部42又はROM等に記憶されたプログラムが実行されることによって、更新用情報取得部41a、更新用情報送信部
41b、通信結果受信部41c、距離判定部41d及び中断処理部41e等がソフトウェア的な機能ブロックとして実現される。更新用情報取得部41aは、所定のタイミングでTCU5を介したサーバ装置9との通信を行い、車両1に搭載されたECU2のプログラム22aの更新が必要であるか否かを問い合わせる。更新要否の問合わせを行う所定のタイミングは、例えば1日毎又は1週間毎等のように所定周期としてよく、また例えば車両1のIGスイッチがオフ状態からオン状態へ切り替えられる都度などとしてもよい。更新が必要であるとの通知をサーバ装置9から与えられた場合、更新用情報取得部41aは、TCU5を介してサーバ装置9から更新に必要なプログラム及びデータ等(以下、単に更新用のプログラムという)を取得して記憶部42に記憶する。このときに更新用情報取得部41aは、更新が必要な全てのECU2について、更新用プログラムの取得を行う。
【0050】
更新用情報送信部41bは、所定のタイミングで、サーバ装置9から取得して記憶部42に記憶された更新用のプログラムを読み出し、読み出した更新用のプログラムを更新処理の対象となるECU2へ送信する処理を行う。更新用のプログラムの送信を行う所定のタイミングは、例えば車両のIGスイッチがオフ状態になり、且つ、午前2時などの所定時刻に至った場合としてもよく、また例えばIGスイッチがオフ状態となった後すぐとしてもよく、これら以外のタイミングとしてもよい。更新処理の対象となるECU2が複数存在する場合、更新用情報送信部41bは、適宜の順序で更新用のプログラムの送信を行い、更新処理対象の全てのECU2について更新用のプログラムの送信を行う。ゲートウェイ4から更新用のプログラムを受信したECU2は、受信した更新用のプログラムを記憶部22の空き領域22bに書き込む。
【0051】
通信結果受信部41cは、車内通信部43により車内ネットワークを介して、BCM6から無線キー7との通信結果に関する情報を受信する処理を行う。本実施の形態に係るBCM6は、無線キー7との間で無線信号の送受信を行い、無線キー7から受信した無線信号の信号強度を検出する機能を有しており、検出した信号強度に関する情報を含むメッセージをゲートウェイ4へ送信する。このメッセージを受信した通信結果受信部41cは、無線キー7から受信した無線信号の信号強度に関する情報を距離判定部41dへ与える。
【0052】
距離判定部41dは、通信結果受信部41cがBCM6から受信した情報に基づいて、無線キー7から受信した無線信号の信号強度が所定強度を超えるか否かを判定することによって、無線キー7が車両1から所定距離内に存在するか否かを判定する。距離判定部41dは、無線キー7が車両1から所定距離内に存在するか否かの判定結果を、中断処理部41eへ与える。
【0053】
中断処理部41eは、距離判定部41dの判定結果に応じて、更新用情報送信部41bによるECU2への更新用のプログラムの送信処理を中断し、ECU2のプログラム22aの更新処理を中断する処理を行う。即ち中断処理部41eは、無線キー7が車両1から所定距離内に存在すると判定された場合に、更新用情報送信部41bによるECU2への更新用のプログラムの送信処理を中断する。またこのときに中断処理部41eは、更新処理の中段をECU2へ通知してもよい。更新処理が中断されたECU2は、復帰処理部21dにより更新前のプログラム22aによる動作に復帰する。
【0054】
なお、中断処理部41eによりECU2の更新処理が中断された後、無線キー7が車両1から所定距離内に存在しないと距離判定部41dが判定した場合、中断処理部41eは更新処理の中断を解除してよい。中断が解除された場合、更新用情報送信部41bは、更新用のプログラムの送信を再開してよい。なお更新用のプログラムの送信を再開する場合、更新用情報送信部41bは、中断された続きから送信を再開してもよく、中断された更新用のプログラムの最初から再び送信を行ってもよい。また更新用のプログラムの送信を再開するタイミングは、例えば無線キー7が車両1から所定距離内に存在しないと判定された直後であってもよく、また例えばこの判定がなされた後に所定時間が経過した場合など、無線キー7が車両1から所定距離内に存在しないと判定され且つ所定の条件が満たされたタイミングとしてもよい。
【0055】
図5は、BCM6の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るBCM6は、処理部61、記憶部62、車内通信部63、制御信号出力部64、無線通信部65及び信号強度判定部67等を備えて構成されている。処理部61は、例えばCPU又はMPU等の演算処理装置を用いて構成され、記憶部62又は図示しないROM等に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、種々の演算処理を行う。本実施の形態において処理部61は、無線キー7との間で無線通信を行う処理、この無線通信の結果に応じて車両1のドアのロック/アンロックを制御する処理、及び、無線キー7から受信した無線信号の信号強度をゲートウェイ4へ通知する処理等を行う。
【0056】
記憶部62は、フラッシュメモリ又はEEPROM等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部62は、例えば処理部61が実行するプログラム及びこのプログラムの実行に必要なデータなどを記憶し、処理部61の処理の過程で生成されたデータなどを記憶してもよい。車内通信部63は、車内ネットワークを構成する通信線に接続され、例えばCANなどの通信プロトコルに従ってデータの送受信を行う。車内通信部63は、処理部61から与えられたデータを電気信号に変換して通信線へ出力することによって情報を送信すると共に、通信線の電位をサンプリングして取得することによりデータを受信し、受信したデータを処理部61へ与える。
【0057】
制御信号出力部64は、車両1の各ドアに設けられたドアロック機構68と制御信号線を介して接続されている。制御信号出力部64は、処理部61の処理に基づき、ドアロック機構68の動作を制御する制御信号を出力する。ドアロック機構68は、車両1のドアのロック/アンロックを行う機械機構と、この機械機構を動作させるモータ又はアクチュエータ等とを有し、BCM6から与えられる制御信号に応じてドアのロック/アンロックを行う。
【0058】
無線通信部65は、車両1内の適所に配されたアンテナ66が接続されており、アンテナ66を介して無線信号の送受信を行うことによって、無線キー7との間で無線通信を行う。なおアンテナ66は、送信用のものと受信用のものとが別に設けられてよい。無線通信部65は、送信メッセージを変調した信号をアンテナ66へ出力することによって無線キー7へのメッセージ送信を行うと共に、アンテナ66にて受信した信号を復調して無線キー7からのメッセージを取得する。無線通信部65は、処理部61から与えられたメッセージを無線キー7へ送信すると共に、無線キー7から受信したメッセージを処理部61へ与える。
【0059】
信号強度判定部67は、無線信号の信号強度を判定するものであり、いわゆるRSSI(Received Signal Strength Indication)の機能を有する。信号強度判定部67は、無線通信部65が無線キー7から受信した無線信号の信号強度を判定し、判定結果を処理部61へ与える。
【0060】
また処理部61には、記憶部62又はROM等に記憶されたプログラムが実行されることによって、通信処理部61a、ドアロック制御処理部61b及び通信結果送信部61c等がソフトウェア的な機能ブロックとして実現される。通信処理部61aは、無線キー7との間で行う無線通信に係る処理を行う。本実施の形態において通信処理部61aは、車両1のIGスイッチがオフ状態であっても、周期的に無線キー7へ所定の無線信号を送信する処理を行っている。無線キー7は、車両1から所定の無線信号を受信した場合に応答を行う。通信処理部61aは、所定の無線信号の送信に対する無線キー7からの応答が得られた場合に、無線キー7との間で必要な情報交換を無線通信により行い、例えば認証処理などを行って無線キー7が正当なものであるか否かを判定する。通信処理部61aは、正当な無線キー7との無線通信が成立した場合、その旨をドアロック制御処理部61bへ通知する。
【0061】
ドアロック制御処理部61bは、通信処理部61aによる無線キー7との通信結果に応じて、ドアロック機構68による車両1のドアのロック/アンロックを制御する。ドアロック制御処理部61bは、例えば正当な無線キー7との無線通信が成立した場合にドアをアンロックし、正当な無線キー7との無線通信を行うことができない場合にドアをロックする。ドアロック制御処理部61bは、ドアのロック/アンロックを行う命令を制御信号出力部64へ与え、制御信号出力部64はこの命令に応じてドアロック機構68への制御信号を生成して出力する。
【0062】
通信結果送信部61cは、無線通信部65にて無線キー7との無線通信が行われる都度、無線キー7との間で行った無線通信の結果に係る情報、本実施の形態においては信号強度判定部67が判定した無線キー7からの無線信号の信号強度の情報を、ゲートウェイ4へ送信する。
【0063】
図6は、ゲートウェイ4が行う更新用プログラム取得処理の手順を示すフローチャートである。ゲートウェイ4の処理部41の更新用情報取得部41aは、車両1のIGスイッチがオフ状態からオン状態へ切り替えられたか否かを判定する(ステップS1)。IGスイッチがオン状態へ切り替えられていない場合(S1:NO)、更新用情報取得部41aは、IGスイッチがオン状態へ切り替えられるまで待機する。IGスイッチがオン状態へ切り替えられた場合(S1:YES)、更新用情報取得部41aは、TCU5を介した無線通信を行い、サーバ装置9へ車両1に搭載されたECU2のプログラムの更新の有無を問い合わせる(ステップS2)。
【0064】
更新用情報取得部41aは、問い合わせに対してサーバ装置9から送信される応答を、TCU5を介して受信する(ステップS3)。この応答には、更新の有無の他に、更新が必要なプログラムに係る情報、例えばプログラムの識別情報及びデータ量等の情報が含まれている。更新用情報取得部41aは、サーバ装置9からの応答に基づいて、車両1に搭載されたECU2のプログラムの更新の有無を判定する(ステップS4)。更新がない場合(S4:NO)、更新用情報取得部41aは、ステップS1へ処理を戻す。更新がある場合(S4:YES)、更新用情報取得部41aは、サーバ装置9へ更新用プログラムの送信を要求する(ステップS5)。更新用情報取得部41aは、要求に応じてサーバ装置9から送信される更新用プログラムを、TCU5を介して受信し(ステップS6)、受信した更新用プログラムを記憶部12に記憶して(ステップS7)、ステップS1へ処理を戻す。
【0065】
図7は、サーバ装置9が行う更新用プログラム送信処理の手順を示すフローチャートである。サーバ装置9は、車両1のゲートウェイ4からECU2のプログラムの更新有無の問合わせを受信したか否かを判定する(ステップS21)。問合わせを受信していない場合(S21:NO)、サーバ装置9は、ステップS24へ処理を進める。問合わせを受信した場合(S21:YES)、サーバ装置9は、車両1のプログラムのバージョンなどを記録するデータベースにアクセスすることによって、問合わせに係る車両1のECU2のプログラムについての更新の有無を調査する(ステップS22)。サーバ装置9は、調査結果として得られた更新の有無を応答として問合わせ元のゲートウェイ4へ送信し(ステップS23)、ステップS24へ処理を進める。
【0066】
次いでサーバ装置9は、車両1のゲートウェイ4から更新用プログラムの送信要求を受信したか否かを判定する(ステップS24)。送信要求を受信していない場合(S24:NO)、サーバ装置9は、ステップS21へ処理を戻す。送信要求を受信した場合(S24:YES)、サーバ装置9は、要求元の車両1のECU2にて更新処理を行うべき更新用プログラムを読み出し、要求元のゲートウェイ4へ送信する(ステップS25)。更新用プログラムの送信完了後、サーバ装置9は、更新用プログラムを送信した旨を記録するためにデータベースを更新し(ステップS26)、ステップS21へ処理を戻す。
【0067】
図8は、ゲートウェイ4が行う更新処理の手順を示すフローチャートである。ゲートウェイ4の処理部41は、例えば車両1のIGスイッチがオフ状態となり且つ所定の時刻に至った場合など、所定の更新処理を行うタイミングに至ったか否かを判定する(ステップS31)。更新処理を行うタイミングに至っていない場合(S31:NO)、処理部41は、更新処理を行うタイミングに至るまで待機する。更新処理を行うタイミングに至った場合(S31:YES)、処理部41は、記憶部12に未使用の更新処理プログラムが記憶されているか否かを調べることによって、更新処理を行う必要があるか否かを判定する(ステップS32)。更新処理を行う必要がない場合(S32:NO)、処理部41は、ステップS31へ処理を戻す。更新処理を行う必要がある場合(S32:YES)、処理部41は、車内通信部43にて、更新処理を行うECU2に対して更新処理を行う旨を通知する(ステップS33)。
【0068】
次いで処理部41は、通信結果受信部41cがBCM6から受信した通信結果に基づき、BCM6が無線キー7から受信した無線信号の信号強度が閾値を超えるか否かを距離判定部41dが判定することにより、無線キー7が車両1の近くに存在するか否かを判定する(ステップS34)。無線キー7が車両1の近くに存在しない場合(S34:NO)、処理部41の更新用情報送信部41bは、記憶部42に記憶された更新用のプログラムを読み出して、更新対象のECU2へ送信する(ステップS35)。このときに更新用情報送信部41bは、記憶部42に記憶された更新用のプログラムを所定のデータサイズに分割し、分割した更新用のプログラムを順次的にECU2へ送信する。更新用情報送信部41bは、記憶部42に記憶されている更新
用のプログラムのECU2への送信を完了したか否かを調べることにより、ECU2の更新処理が完了したか否かを判定する(ステップS36)。更新処理が完了していない場合(S36:NO)、処理部41は、ステップS34へ処理を戻す。
【0069】
またステップS34にて、無線キー7が車両1の近くに存在する場合(S34:YES)、処理部41の中断処理部41eは、更新用情報送信部41bによる更新用のプログラムの送信を中断し、更新処理を中断する旨をECU2へ通知する処理を行う(ステップS37)。中断処理部41eは、無線キー7が車両1の近くに存在しなくなり、更新処理を中断する要因がなくなった場合、更新処理を中断したECU2に対して更新処理を行う旨の通知を再送し、ステップS34へ処理を戻す。処理部41は、更新用のプログラムのECU2への送信と、必要に応じて送信の中断とを行いながら、更新用のプログラムのECU2への送信を継続して行う。更新処理が完了した場合(S36:YES)、処理部41は、更新完了した更新用プログラムを記憶部42から消去して(ステップS38)、ステップS31へ処理を戻す。
【0070】
図9は、BCM6が行う処理の手順を示すフローチャートである。BCM6は例えば数ミリ秒〜数秒程度の周期で無線キー7との無線通信を試みており、処理部61の通信処理部61aは、無線キー7との無線通信を行うタイミングに至ったか否かを判定する(ステップS41)。無線通信を行うタイミングに至っていない場合(S41:NO)、通信処理部61aは、無線通信を行うタイミングに至るまで待機する。無線通信を行うタイミングに至った場合(S41:YES)、通信処理部61aは、所定の無線信号をアンテナ66から送信する(ステップS42)。この無線信号の到達範囲内に無線キー7が存在する場合には、無線信号を受信した無線キー7は受信した旨を無線通信にて応答する。
【0071】
BCM6の通信処理部61aは、無線キー7から応答が得られたか否かを判定する(ステップS43)。応答が得られなかった場合(S43:NO)、通信処理部61aは、ステップS41へ処理を戻す。無線キー7からの応答が得られた場合(S43:YES)、通信処理部61aは、無線キー7との間で無線通信による情報交換を行い、得られた情報に基づいて認証処理を行う(ステップS44)。認証処理の結果に基づいて、通信処理部61aは、無線通信相手の無線キー7が正当な無線キー7であるか否かを判定する(ステップS45)。正当な無線キー7でない場合(S45:NO)、通信処理部61aは、ステップS41へ処理を戻す。
【0072】
無線通信相手が正当な無線キー7である場合(S45:YES)、処理部61の通信結果送信部61cは、信号強度判定部67による無線キー7から受信した無線信号の信号強度の判定結果を取得する(ステップS46)。通信結果送信部61cは、取得した信号強度の判定結果を、車内通信部63にてゲートウェイ4へ送信する(ステップS47)。また処理部61のドアロック制御処理部61bは、無線キー7との無線通信に応じて、車両1のドアのロック/アンロックを制御し(ステップS48)、ステップS41へ処理を戻す。
【0073】
図10は、ECU2が行う更新処理の手順を示すフローチャートである。ECU2の処理部21は、記憶部22に記憶されたプログラム22aの更新処理を行う旨の通知をゲートウェイ4から受信したか否かを判定する(ステップS51)。通知を受信していない場合(S51:NO)、処理部21は、更新処理を行う旨の通知を受信するまで待機する。更新処理を行う旨の通知を受信した場合S(51:YES)、処理部21は、記憶部22に記憶されたプログラム22aによる通常の処理を停止し(ステップS52)、通常の動作モードから更新処理を行うモードへと切り替わる。
【0074】
処理部21の更新用情報受信部21aは、ゲートウェイ4から送信される更新用のプログラム(所定のデータサイズに分割された更新用のプログラム)を受信したか否かを判定する(ステップS53)。更新用のプログラムを受信した場合(S53:YES)、処理部21の更新用情報書込処理部21bは、受信した更新用のプログラムを、記憶部22の空き領域22bへ書き込む(ステップS55)。処理部21は、ゲートウェイ4から受信すべき更新用のプログラムの全てを受信して書き込みを完了したか否かを判定する(ステップS56)。更新用のプログラムの全てについての書き込みが完了していない場合(S56:NO)、処理部21は、ステップS53へ処理を戻す。更新用のプログラムの全ての書き込みが完了した場合(S56:YES)、処理部21の更新処理部21cは、記憶部22に記憶されている更新前のプログラム22aを無効化し、新たに記憶した更新用のプログラム22aを有効化することによって、処理部21が実行するプログラム22aの切り替えを行い(ステップS57)、ステップS51へ処理を戻す。これによりECU2は、更新処理を行うモードから、更新されたプログラム22aによる通常動作モードへと切り替わる。
【0075】
ゲートウェイ4から更新用のプログラムを受信していない場合(S53:NO)、処理部21は、ゲートウェイ4から更新処理を中断する旨の通知を受信したか否かを判定する(ステップS54)。中断の通知を受信していない場合(S54:NO)、処理部21は、ステップS53へ処理を戻し、ゲートウェイ4から更新用のプログラム又は更新処理中断の通知を受信するまで待機する。更新処理を中断する旨の通知を受信した場合(S54:YES)、処理部21の復帰処理部21dは、更新用のプログラムの受信及び書き込みを中断して、記憶部22に記憶されている更新前のプログラム22aによる動作に復帰する処理を行い(ステップS58)、ステップS51へ処理を戻す。これによりECU2は、更新処理を行うモードから、更新前のプログラム22aによる通常動作モードへと切り替わる。
【0076】
以上の構成の本実施の形態に係る車載更新システムでは、ゲートウェイ4の記憶部42に記憶された更新用のプログラムをECU2へ送信し、ECU2が受信した更新用のプログラムを自身の記憶部22に書き込むことによって更新処理が行われる。ただしECU2は、更新前のプログラム22aを記憶した第1の記憶領域と、更新用のプログラムを書き込む第2の記憶領域(空き領域22b)とを記憶部22に有しており、更新前のプログラム22aを上書きすることなく、ゲートウェイ4から受信した更新前のプログラムを記憶部22に書き込むことができる。ECU2は、更新用のプログラムの書き込み完了後に、記憶部22に記憶された更新前のプログラム22aから新たに書き込んだ更新用のプログラム22aへ処理部21のブート対象を変更することで、プログラム22aの更新を行う。
【0077】
更に本実施の形態に係る車載更新システムでは、車両1のユーザなどが所持する無線キー7との無線通信をBCM6が行い、その通信結果である受信信号の信号強度に関する情報をBCM6がゲートウェイ4へ送信する。ゲートウェイ4は、信号強度が閾値を超えるか否かに応じて無線キー7が車両1の近くに存在するか否かを判定し、無線キー7が近くに存在する場合には、ECU2への更新用のプログラムの送信を中断し、更新処理を中断する。更新用のプログラムの送信が中断され、更新処理が中断されたECU2は、更新用のプログラムの記憶部22への書き込みを中断し、記憶部22に記憶されている更新前のプログラムによる動作に復帰する。
【0078】
無線キー7が車両1の近くに存在する場合、これを所持するユーザが車両1の近くに存在し、車両1が使用される可能性が高いと推測できる。このような場合にECU2の更新処理を中断して元の状態へ復帰させておくことによって、更新処理の途中であってもユーザは車両1を利用することができる。よって本実施の形態に係る車載更新システムは、ユーザの車両使用に関する利便性の低下を防止して、ECU2の更新処理を行うことができる。
【0079】
なお本実施の形態においては、BCM6が無線通信を行う可搬型の通信器を車両1の無線キー7としたが、これに限るものではない。例えばユーザが所持する携帯電話機又はスマートフォン等の通信機器との無線通信を行い、これらの通信機器が車両1の近くに存在するか否かを判定する構成としてもよい。また、車両1に搭載されたゲートウェイ4がサーバ装置9からの更新用のプログラムの取得及び各ECU2への更新用のプログラムの送信等を行う構成、即ちゲートウェイ4が車載更新装置として機能する構成としたが、これに限るものではない。いずれかのECU2、TCU5、BCM6又はこれら以外の車載機器が車載更新装置としての処理を行う構成としてもよい。また更新用のプログラムを無線通信にて車外のサーバ装置9から取得する構成としたが、これに限るものではない。例えば更新用のプログラムが記録された記録媒体をゲートウェイ4が読み込むことによって更新用のプログラムを取得する構成としてもよい。また更新対象の通信装置をECU2としたが、これに限るものではなく、ECU2以外の種々の通信装置を更新処理の対象としてよい。
【0080】
また、車両1のディーラなどにおいてプログラム22aを更新する更新装置を車内ネットワークに接続し、この更新装置からECU2へ更新用のプログラムを送信することで更新処理を行う機能を、上述のサーバ装置9から取得した更新用のプログラムをゲートウェイ4がECU2へ送信することで更新処理を行う機能と併用してもよい。ただしこの構成の場合、ディーラなどで更新装置を用いた更新処理を行っている際に無線キー7が車両1の近くに存在していても、更新処理を中断する必要はない。
【0081】
また本実施の形態においては、ユーザが所持する無線キー7が車両1に近づいた場合にドアをアンロックする構成としたが、これに限るものではない。例えば、無線キー7を所持するユーザが車両1のドアに設けられたスイッチを操作した場合、又は、ユーザが無線キー7に設けられたスイッチを操作した場合に、車両1のドアをアンロックする構成としてもよい。このような構成の場合、BCM6は周期的な無線信号の送信を行う必要はない。BCM6は、例えば車両1のドアのスイッチが操作された場合、又は、無線キー7から操作に応じた無線信号を受信した場合に、無線キー7との認証処理などを行い、正当な無線キー7との無線通信が成立した旨をゲートウェイ4へ通信結果として通知する構成とすることができる。ゲートウェイ4は、BCM
6から正当な無線キー7との無線通信が成立した旨の通知を受信した場合に、ECU2の更新処理を中断する構成とすることができる。
【0082】
(実施の形態2)
上述の実施の形態1に係る車載更新システムでは、BCM6が無線キー7から受信した無線信号の信号強度に係る情報をゲートウェイ4へ送信し、ゲートウェイ4がこの信号強度に基づいて無線キー7が車両1の近くに存在するか否かを判定する構成であった。
これに対して実施の形態2に係る車載更新システムは、無線キー7から受信した無線信号の信号強度に基づいて、無線キー7が車両1の近くに存在するか否かの判定をBCM6が行う構成である。
【0083】
図11は、実施の形態2に係るBCM206の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係るBCM206は、
図5に示した実施の形態1に係るBCM6の処理部61に設けられた通信結果送信部61cに代えて、距離判定部261c及び距離判定結果送信部261dが処理部61に設けられた構成である。距離判定部261cは、信号強度判定部67が判定した無線キー7からの無線信号の信号強度に基づいて、この信号強度が所定強度を超えるか否かを判定することによって、無線キー7が車両1から所定距離内に存在するか否かを判定する。距離判定結果送信部261dは、無線通信部65にて無線キー7との無線通信が行われる都度、距離判定部261cの判定結果をゲートウェイ204へ送信する。
【0084】
図12は、実施の形態2に係るゲートウェイ204の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係るゲートウェイ204は、
図4に示した実施の形態1に係るゲートウェイ4の処理部41に設けられた距離判定部41dが設けられておらず、且つ、通信結果受信部41cに代えて距離判定結果受信部241cが設けられた構成である。距離判定結果受信部241cは、車内通信部43により車内ネットワークを介して、BCM206から無線キー7が車両1の近くに存在するか否かの判定結果を受信する処理を行う。距離判定結果受信部241cは、受信した判定結果を中断処理部41eへ与える。中断処理部41eは、距離判定結果受信部241cから与えられた判定結果に応じて、更新用情報送信部41bによるECU2への更新用のプログラムの送信処理を中断し、ECU2のプログラム22aの更新処理を中断する処理を行う。
【0085】
以上の構成の実施の形態2に係る車載更新システムは、無線キー7から受信した無線信号の信号強度に基づく距離判定をBCM206が行って判定結果をゲートウェイ204へ送信する構成である。このように、無線キー7から受信した無線信号の信号強度に基づく距離判定は、車両1に搭載されたいずれの装置が行ってもよい。
【0086】
なお、実施の形態2に係る車載更新システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載更新システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0087】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る車載
更新システムは、実施の形態1に係る車載
更新システムのゲートウェイ4及びBCM6の機能を、1つのゲートウェイに集約した構成である。
図13は、実施の形態3に係るゲートウェイ304の構成を示すブロック図である。実施の形態3に係るゲートウェイ304は、処理部41、記憶部42、複数の車内通信部43、制御信号出力部364、無線通信部365及び信号強度判定部367等を備えて構成されている。なお
図13においては、通信線を介してECU2が接続された車内通信部43を1つのみ図示しているが、これは図面を簡略化するためであり、ゲートウェイ304は実際には同様の車内通信部43を2つ以上備えている。
【0088】
処理部41は、通信線間のデータ送受信を中継する処理、無線キー7との間で無線通信を行う処理、この無線通信の結果に応じて車両1のドアのロック/アンロックを制御する処理、及び、ECU2の更新処理等に必要な演算処理を行う。記憶部42は、例えば処理部41が実行するプログラム及びこのプログラムの実行に必要なデータなどを記憶すると共に、ECU2の更新用のプログラムを記憶する。車内通信部43は、処理部41から与えられたデータを電気信号に変換して通信線へ出力することによって情報を送信すると共に、通信線の電位をサンプリングして取得することによりデータを受信し、受信したデータを処理部41へ与える。
【0089】
制御信号出力部364は、処理部41の処理に基づいてドアロック機構68の動作を制御する制御信号を出力し、車両1のドアのロック/アンロックを行う。無線通信部365は、車両1内の適所に配されたアンテナ66を介して無線信号の送受信を行うことによって、無線キー7との間で無線通信を行う。信号強度判定部367は、無線通信部365が無線キー7から受信した無線信号の信号強度を判定し、判定結果を処理部41へ与える。
【0090】
また処理部41には、記憶部42又はROM等に記憶されたプログラムが実行されることによって、更新用情報取得部41a、更新用情報送信部41b、通信処理部341c、距離判定部41d、中断処理部41e及びドアロック制御処理部341f等がソフトウェア的な機能ブロックとして実現される。更新用情報取得部41aは、TCU5を介してサーバ装置9から更新用のプログラムを取得して記憶部42に記憶する。更新用情報送信部41bは、所定のタイミングで、サーバ装置9から取得して記憶部42に記憶された更新用のプログラムを読み出し、読み出した更新用のプログラムを更新処理の対象となるECU2へ送信する処理を行う。
【0091】
通信処理部341cは、無線キー7との間で行う無線通信に係る処理を行う。距離判定部41dは、信号強度判定部367が判定した無線キー7からの無線信号の信号強度に基づいて、この信号強度が所定強度を超えるか否かを判定することによって、無線キー7が車両1から所定距離内に存在するか否かを判定する。中断処理部41eは、距離判定部41dの判定結果に応じて、更新用情報送信部41bによるECU2への更新用のプログラムの送信処理を中断し、ECU2のプログラム22aの更新処理を中断する処理を行う。ドアロック制御処理部341fは、通信処理部341cによる無線キー7との通信結果に応じて、ドアロック機構68による車両1のドアのロック/アンロックを制御する。
【0092】
以上の構成の実施の形態3に係る車載更新システムは、通信線間の通信を中継する処理、無線キー7との無線通信処理、車両1のドアのロック/アンロック処理、及び、ECU2の更新処理等を1つの装置(ゲートウェイ304)が行う構成である。1つの装置にてこれらの処理を行う構成とすることにより、車両1に搭載される装置の数を削減できる。また更に、ゲートウェイ304がTCU5の機能を兼ね備える構成としてもよい。
【0093】
なお、実施の形態3に係る車載更新システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載更新システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0094】
(実施の形態4)
図14は、実施の形態4に係る車載更新システムの構成を示す模式図である。実施の形態4に係る車載更新システムは、車両1の周辺を撮像する車外カメラ406を備えている。車外カメラ406は、所定の周期で車両1の周辺を撮像し、撮像により得られた画像を、車内ネットワークを介してゲートウェイ404へ入力する。なお車外カメラ406は、車両1の周囲を360°に亘って撮像することが可能な構成が好ましいが、車両1の周辺の一部のみを撮像する構成であってもよい。この場合に車外カメラ406は、車両1の運転席のドアの近傍を少なくとも撮像する構成であることが好ましい。なお車外カメラ406は、複数のカメラで実現されるものであってよい。
【0095】
図15は、実施の形態4に係るゲートウェイ404の構成を示すブロック図である。実施の形態4に係るゲートウェイ404には、顔検出処理部441fが処理部41にソフトウェア的な機能ブロックとして設けられている。顔検出処理部441fは、車外カメラ406から入力される画像から人の顔を検出する処理を行う。
【0096】
また更に、顔検出処理部441fは、車外カメラ406の撮像画像から検出した顔が、予め登録された車両1のユーザの顔と一致するか否かの判定を行う。なお顔検出処理部441fが行う人の顔の検出処理及び検出した顔が登録された顔と一致するか否かの判定処理は、既存の技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0097】
実施の形態4に係るゲートウェイ404の中断処理部41eは、顔検出処理部441fが車外カメラ406の撮像画像から車両1のユーザの顔を検出した場合、更新用情報送信部41bによるECU2への更新用のプログラムの送信処理を中断し、ECU2のプログラム22aの更新処理を中断する処理を行う。更新処理が中断されたECU2は、復帰処理部21dにより更新前のプログラム22aによる動作に復帰する。
【0098】
以上の構成の実施の形態4に係る車載更新システムは、車両1の周辺を車外カメラ406にて撮像し、撮像結果に応じてゲートウェイ404がECU2への更新用プログラムの送信を中断する。例えばゲートウェイ404は、車外カメラ406の撮像画像から人の顔検出を行い、顔が検出された場合に更新用プログラムの送信を中断する構成とすることができる。また更に、検出された顔が車両1のユーザとして登録された顔と一致するか否かの顔認証を行い、認証結果に応じて更新用プログラムの送信を中断する構成とすることができる。これらにより、車両1を利用する可能性があるユーザが車両1の周辺に存在する場合に、更新処理を中断することが可能となる。
【0099】
なお、実施の形態4においては、車外カメラ406の撮像画像をゲートウェイ404が取得し、ゲートウェイ404が顔検出などの処理を行う構成としたが、これに限るものではない。例えば、車外カメラ406が顔検出などの処理を行い、処理結果をゲートウェイ404へ通知する構成としてもよい。
【0100】
また実施の形態4に係る車載更新システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載更新システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0101】
(実施の形態5)
図16は、実施の形態5に係る車載更新システムの構成を示す模式図である。実施の形態5に係る車載更新システムは、認証装置507を備えている。認証装置507は、例えばユーザの生体情報である指紋又は静脈の情報を取得し、取得した生体情報が予め登録された生体情報と一致するか否かを判定することにより、ユーザの認証を行う装置である。
【0102】
実施の形態5に係る車載更新システムでは、車両1のドアの外側に、ユーザの生体情報を取得するための装置(認証装置507の一部であってよい)が設けられており、この装置が取得した生体情報に基づいて認証装置507が認証処理を行う。認証装置507による認証処理の結果は、BCM506へ与えられる。取得した生体情報が登録されたものと一致すると認証装置507が判定した場合、即ち認証成功の結果が認証装置507から与えられた場合、BCM506は、車両1のドアをアンロックする。
【0103】
また実施の形態5に係る車載更新システムでは、認証装置507の認証結果がゲートウェイ504へ与えられる。ゲートウェイ504の中断処理部41eは、認証装置507から認証成功の結果が与えられた場合、更新用情報送信部41bによるECU2への更新用のプログラムの送信処理を中断し、ECU2のプログラム22aの更新処理を中断する処理を行う。更新処理が中断されたECU2は、復帰処理部21dにより更新前のプログラム22aによる動作に復帰する。
【0104】
以上の構成の実施の形態5に係る車載更新システムは、人の生体情報を取得して、取得した生体情報に応じて更新用プログラムの送信を中断する。例えば、車両1のユーザの指紋情報又は静脈情報等の生体情報を認証装置507が取得し、指紋認証又は静脈認証等の認証処理を行って、認証成功した場合にのみBCM506が車両1のドアのアンロック又はエンジンの始動等を行うことができるシステムにおいて、認証成功した場合にゲートウェイ504が更新処理を中断する構成とすることができる。これにより、ユーザが車両1を利用する可能性が高い場合に更新処理を中断することが可能となる。
【0105】
なお、実施の形態5においては、認証装置507が生体情報の取得及び認証処理を行い、認証結果をゲートウェイ504及びBCM506へ通知する構成としたが、これに限るものではない。例えばBCM506が生体情報の取得及び認証処理を行い、認証結果をゲートウェイ504へ通知する構成としてもよい。また例えばゲートウェイ504が生体情報の取得及び認証処理を行い、認証結果をBCM506へ通知する構成としてもよい。
【0106】
また実施の形態5に係る車載更新システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載更新システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。