(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド部材は、開放された場合には、自身を通じて前記搬送部材が前記搬送ベルトから取り出されることを許容する一方、閉塞部材により閉塞された場合には、前記搬送部材が前記搬送ベルトから取り外されることを規制する切欠を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の硬貨検銭装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る硬貨検銭装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態である硬貨検銭装置が適用された硬貨処理機の内部構造を示す斜視図である。ここで例示される硬貨処理機1は、例えば釣銭機として適用されるものであり、入金された硬貨を金種毎に収納する一方、出金指示により収納する硬貨を払い出すものである。このような硬貨処理機1は、硬貨検銭装置1a及び硬貨搬送装置1bを備えて構成してある。
【0021】
硬貨検銭装置1aは、入金部2を通じて入金された硬貨の真偽及び金種を鑑別するものである。入金部2は、
図1に示すように、硬貨投入口2aを有しており、硬貨が入金される部分である。かかる硬貨検銭装置1aの構成については後述する。
【0022】
硬貨搬送装置1bは、硬貨検銭装置1aで真偽及び金種が鑑別された硬貨(正貨)を搬送し、その搬送途中で該硬貨の金種を判別するとともに、該硬貨を金種毎に振り分けて硬貨収納部3に送出するものである。ここで、硬貨収納部3は、硬貨搬送装置1bで振り分けられた硬貨を金種毎に収納するものであり、出金指示が与えられた場合には、該当する硬貨を出金部4に送出して、該出金部4を通じて外部に払い出させるものである。
【0023】
図2は、
図1に示した硬貨検銭装置、すなわち本実施の形態である硬貨検銭装置を示す斜視図であり、
図3は、
図2に示した硬貨検銭装置の一部の構成要素を省略して示す斜視図であり、
図4は、
図2及び
図3に示した硬貨検銭装置の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。
【0024】
硬貨検銭装置1aは、
図2〜
図4に示すように、分離部10と、搬送部20と、案内部材30と、鑑別部40と、制御部(制御手段)60とを備えて構成してある。
【0025】
分離部10は、入金部2を通じて入金されるとともに、入金搬送部11を通じて搬送された硬貨を搬送部20に1枚ずつ分離させた状態で送出するものである。尚、本明細書においては、分離部10は特徴的な構成要素ではないため、かかる分離部10の説明を割愛する。
【0026】
図5及び
図6は、それぞれ
図2及び
図3に示した硬貨検銭装置1aの要部を示すものであり、
図5は平面図であり、
図6は底面図である。これら
図5及び
図6に示すように、搬送部20は、搬送プーリ21と、搬送ベルト22(
図7参照)と、搬送部材23と、ガイド部材24と、送出フラッパ25と、偽貨開口26とを備えて構成してある。
【0027】
搬送プーリ21は、
図7にも示すように前後一対となる態様で設置してある。前方側の搬送プーリ21aは、搬送モータ21cの出力軸に連係ギアユニット21dを介して連係してある。この搬送モータ21cは、制御部60から駆動指令が与えられることにより駆動し、該制御部60から駆動停止指令が与えられることにより駆動停止するものである。
【0028】
上記前方側の搬送プーリ21aは、搬送モータ21cの駆動により、自身の中心軸を軸心としてその軸心回りに回転する駆動プーリである。かかる前方側の搬送プーリ21aは、搬送モータ21cの駆動力が付与されることにより、左方から見て反時計回りの方向に回転する。
【0029】
搬送ベルト22は、左右一対となる左側の搬送ベルト22Lと右側の搬送ベルト22Rとを有して構成してある。これら搬送ベルト22(22L,22R)は、それぞれ搬送プーリ21間に無端状に張設してある。このような搬送ベルト22は、搬送モータ21cの駆動によって前方側の搬送プーリ21aが回転することにより、その延在方向に沿って変位する。より詳細に説明すると、搬送ベルト22は、前方側の搬送プーリ21aが回転することにより、上方部分が後方に向かいつつ下方部分が前方に向かう態様で変位する。
【0030】
かかる搬送ベルト22を介して前方側の搬送プーリ21aに連係される後方側の搬送プーリ21bは、該後方側の搬送プーリ21bの回転により、自身の中心軸を軸心として左方から見て反時計回りに回転する。つまり、後方側の搬送プーリ21bは、前方側の搬送プーリ21aの回転に応じて回転する従動プーリである。
【0031】
搬送部材23は、複数設けられており、それぞれが左右一対の搬送ベルト22を跨る態様で、該搬送ベルト22の延在方向に沿って等間隔となる態様で設けてある。このような搬送部材23は、
図8にも示すように、右端部に設けられた右端凹凸部23aが右側の搬送ベルト22Rの外面に設けられた右側凹凸部22aに嵌合するとともに、左端部に設けられた左端凹凸部23bが左側の搬送ベルト22Lの外面に設けられた左側凹凸部22bに嵌合することにより、左右一対の搬送ベルト22を跨る態様で固定されている。これにより、搬送部材23は、搬送ベルト22の変位に応じて該搬送ベルト22の延在方向に沿って変位するものである。
【0032】
この搬送部材23は、後述する通過センサ(光センサ)51に検知されるよう遮光材料により形成してある。尚、透光性材料により形成されている場合には着色されていることが望ましい。
【0033】
かかる搬送部材23は、搬送ベルト22の変位方向の下流側を臨む面23c、すなわち、搬送ベルト22の上方部分では後方を臨む面であり搬送ベルト22の下方部分では前方を臨む面がV字状を成している。つまり、搬送部材23は、
図9にも示すように、搬送ベルト22の変位方向の下流側を臨む面23cにおいて、左方に向かうに連れて該変位方向の上流側に傾斜する面と、右方に向かうに連れて該変位方向の上流側に傾斜する面とが中央部分で連続することでV字状を成している。
【0034】
また搬送部材23の左右両端部においては、湾曲面23dが構成してある。より詳細に説明すると、搬送部材23の左端部においては、左端凹凸部23bが形成された面と反対側の面、すなわち左側の搬送ベルト22Lの外面に接する面と反対側の面が外方に突となる湾曲状を成すことにより湾曲面23dが構成してある。また搬送部材23の右端部においては、右端凹凸部23aが形成された面と反対側の面、すなわち右側の搬送ベルト22Rの外面に接する面と反対側の面が外方に突となる湾曲状を成すことにより湾曲面23dが構成してある。
【0035】
ガイド部材24は、搬送装置本体を構成するものであり、
図10に示すように、左右一対となる左側ガイド部材24Lと右側ガイド部材24Rとを有して構成してある。左側ガイド部材24Lは、左側前方ガイド部24L1と左側後方ガイド部24L2とが係合して構成してある。このような左側ガイド部材24Lは、左側ガイド基部241aと、左側ガイド規制部242aとを有している。
【0036】
左側ガイド基部241aは、左側の搬送ベルト22Lの左側に配置されており、該左側の搬送ベルト22Lの左方を覆うものである。尚、左側ガイド基部241aには、適宜開口が形成されている。左側ガイド規制部242aは、左側の搬送ベルト22Lの外面に対向する態様で左側ガイド基部241aに一体的に設けてある。つまり、左側ガイド部材24Lは、左側の搬送ベルト22Lの外面に一部が対向した状態で該左側の搬送ベルト22Lを囲繞するよう設けてある。
【0037】
かかる左側ガイド部材24Lは、左側ガイド基部241aにより搬送部材23が左側の搬送ベルト22Lに対して左方に移動して該搬送ベルト22から離脱することを規制するとともに、左側ガイド規制部242aにより搬送部材23が左側の搬送ベルト22Lに対して上方、下方、前方及び後方のいずれかに移動して該搬送ベルト22から離脱することを規制するものである。
【0038】
右側ガイド部材24Rは、右側前方ガイド部24R1と右側後方ガイド部24R2とが係合して構成してある。このような右側ガイド部材24Rは、右側ガイド基部241bと、右側ガイド規制部242bとを有している。
【0039】
右側ガイド基部241bは、右側の搬送ベルト22Rの右側に配置されており、該右側の搬送ベルト22Rの右方を覆うものである。尚、右側ガイド基部241bには、適宜開口が形成されている。右側ガイド規制部242bは、右側の搬送ベルト22Rの外面に対向する態様で右側ガイド基部241bに一体的に設けてある。つまり、右側ガイド部材24Rは、右側の搬送ベルト22Rの外面に一部が対向した状態で該右側の搬送ベルト22Rを囲繞するよう設けてある。
【0040】
かかる右側ガイド部材24Rは、右側ガイド基部241bにより搬送部材23が右側の搬送ベルト22Rに対して右方に移動して該搬送ベルト22から離脱することを規制するとともに、右側ガイド規制部242bにより搬送部材23が右側の搬送ベルト22Rに対して上方、下方、前方及び後方のいずれかに移動して該搬送ベルト22から離脱することを規制するものである。
【0041】
ところで、ガイド部材24(左側ガイド部材24L及び右側ガイド部材24R)のガイド規制部(左側ガイド規制部242a及び右側ガイド規制部242b)は、搬送ベルト22の外面に対向する態様で設けてあるので、搬送プーリ21の外周部分に位置する搬送ベルト22に対向する部分は湾曲状を成している。そして、搬送部材23の左右両端部には湾曲面23dが構成してあるので、
図11に拡大して示すように、搬送部材23が搬送プーリ21の外周部分を搬送ベルト22の変位に伴って移動する際に、凹凸部(左側凹凸部22b及び右側凹凸部22a)が搬送ベルト22の凹凸部(左側凹凸部22b及び右側凹凸部22a)に嵌合した状態を保持しつつ湾曲面23dがガイド規制部242a,242bにおける搬送ベルト22の外面と対向する面と摺接する。つまり、搬送部材23を搬送ベルト22に良好に係合させながら該搬送ベルト22の変位に伴って移動させることができる。
【0042】
上記ガイド部材24には、
図12に示すように、左側切欠243a及び右側切欠243bが形成してある。左側切欠243aは、左側後方ガイド部24L2に形成してある。右側切欠243bは、左側切欠243aと左右一対となるもので、右側後方ガイド部24R2に形成してある。これら左側切欠243a及び右側切欠243bは、搬送ベルト22の一部を露出するものであり、その前後方向の長さが搬送部材23の前後方向の長さよりも大きい。つまり、切欠(左側切欠243a及び右側切欠243b)は、搬送部材23が通過することのできる大きさを有しており、常態においては閉塞部材244に閉塞されるものである。
【0043】
かかる切欠(左側切欠243a及び右側切欠243b)は、閉塞部材244により閉塞された場合には、搬送部材23が搬送ベルト22から取り外されることを規制するものであり、その一方閉塞部材244が取り外されて開放された場合には、自身を通じて搬送部材23が搬送ベルト22から取り出されることを許容するものである。
【0044】
送出フラッパ25は、
図3及び
図5に示すように、左右一対の搬送ベルト22間に設けられた搬送基部27に設けてある。より詳細には、送出フラッパ25は、搬送基部27に形成された送出口25aの左側縁部に揺動可能に設けてある。ここで送出口25aは、送出通路28に連通する開口であり、自身を通過する硬貨を、送出通路28を通じて硬貨搬送装置1bに送出可能なものである。
【0045】
このような送出フラッパ25は、常態においては、送出口25aを硬貨が通過することを規制する態様で閉成するものである。そして、送出フラッパ駆動機構25bが駆動することにより、送出フラッパ25は、開く方向に揺動して送出口25aを開成するものである。ここで、送出フラッパ駆動機構25bは、制御部60から駆動指令が与えられることにより駆動して送出フラッパ25を開く方向に揺動させ、該制御部60から駆動停止指令が与えられることにより駆動停止して、送出フラッパ25が送出口25aを閉成することを許容するものである。
【0046】
偽貨開口26は、
図3、
図5及び
図6に示すように、搬送基部27における送出口25aの後方側に形成された矩形状の開口である。かかる偽貨開口26は、硬貨の通過を許容する十分な大きさを有している。この偽貨開口26を通過した硬貨は、ガイド部材24とともに搬送装置本体を構成する底部20a1に載置される。
【0047】
案内部材30は、
図2に示すように、ガイド部材24及び底部20a1とともに搬送装置本体を構成する天部20a2における送出口25aの上方部分に設けてある。この案内部材30は、
図13に示すように、案内軸部31と案内作用部32とを有している。
【0048】
案内軸部31は、左右方向に沿って延在する円柱状部材である。案内作用部32は、案内軸部31の径方向外部に向けて、より詳細には、後方に向けて延在する部位である。
【0049】
このような案内部材30は、案内作用部32が天部20a2に形成された案内開口20a3を通過する態様で、案内軸部31が該天部20a2に設けられた案内支持片20a4に架設されることにより、案内軸部31の中心軸回りに揺動可能に設けてある。
【0050】
より詳細に説明すると、案内部材30は、案内作用部32の下端部分が搬送部20により後方に向けて搬送される硬貨の通過領域Aに進退移動する態様で揺動可能に設けてあり、常態においては、案内作用部32の下端部分が通過領域Aに進出移動した姿勢となっている。かかる案内部材30は、送出フラッパ25により送出口25aが閉成されている場合には、通過領域Aを通過する硬貨に押圧されて該通過領域Aから退行移動する態様で揺動することにより該硬貨が後方へ通過することを許容する一方、送出フラッパ25により送出口25aが開成されている場合には、該通過領域Aを通過する硬貨に当接して該硬貨を送出口25aに案内するものである。
【0051】
鑑別部40は、
図2、
図3及び
図5に示したように、分離部10よりも後方側であって送出口25aよりも前方側となる個所に設置してある。この鑑別部40は、
図14及び
図15に示すように、下部本体部40aと上部本体部40bとを有している。
【0052】
下部本体部40aは、搬送プーリ21間に無端状に張設された搬送ベルト22の上方部分よりも下方に設けてある。この下部本体部40aは、複数の磁気センサ41を収納する筐体である。ここで複数の磁気センサ41は、搬送ベルト22間の中央部分(左側の搬送ベルト22Lと右側搬送ベルト22との中央部分:
図14の一点鎖線で例示する部分)に対向する態様で前後方向に沿って配置されている。
【0053】
このような下部本体部40aには、係止溝42、軸支溝43及び軸支片44が形成してある。係止溝42は、下部本体部40aの左端部において前後に2つ設けてある。これら係止溝42を形成する前方上端部421は、後方に向けて延在しており、後方上端部422との間に開放部分を形成している。また前方上端部421の上面には案内面421aが形成してある。案内面421aは、後方に向かうに連れて漸次下方に向けて湾曲する面である。
【0054】
軸支溝43は、下部本体部40aの右側前端部に形成してある。軸支片44は、下部本体部40aの右側後端部に設けてある。この軸支片44には、軸支孔44aが形成してある。尚、下部本体部40aの右側端部には、軸支溝43と軸支片44との間に配線用貫通孔45が形成してある。この配線用貫通孔45は、上部本体部40bの配線を通過させるための孔である。
【0055】
上部本体部40bは、下部本体部40aと同様に、複数の磁気センサ41を収納する筐体である。このような上部本体部40bは、右端部に後方に向けて突出する後方軸状部46が軸支孔44aを挿通し、かつ右端部に前方に向けて突出する前方軸状部47が軸支溝43に進入することで、後方軸状部46及び前方軸状部47の中心軸を軸心としてその軸心回りに揺動可能に下部本体部40aに支持されている。
【0056】
この上部本体部40bと下部本体部40aとの間には本体スプリング48が介在している。この本体スプリング48は、後方軸状部46を巻回する態様で設置してあり、上部本体部40bを開く方向、すなわち上方向に揺動する態様で付勢するとともに、該上部本体部40bを後方軸状部46の中心軸に沿って前方に向けて付勢する付勢手段である。
【0057】
かかる上部本体部40bを本体スプリング48の付勢力に抗して閉じる方向(下方向)に揺動させると、左端部に設けられた係止突起49が、
図16に示すように係止溝42の前方上端部421に当接する。上述したように前方上端部421には案内面421aが形成してあるので、上部本体部40bの揺動により係止突起49が案内面421aを摺接し、その後に
図17に示すように係止溝42に進入する。上述したように上部本体部40bは、上部スプリングにより下部本体部40aに対して前方に向けて付勢されているので、上部スプリングの付勢力により、
図18に示すように、係止突起49が係止溝42の前端縁部42aに当接するとともに、前方上端部421の下端縁部(係止溝42の上端縁部)42bに当接し、
図19に示すように上部本体部40bが下部本体部40aに係止する。
【0058】
このように上部本体部40bが下部本体部40aに係止した状態では、上部本体部40bは、搬送プーリ21間に無端状に張設された搬送ベルト22の上方部分よりも上方に位置しており、内部に収納された磁気センサ41は、それぞれ下部本体部40aに収納された磁気センサ41と上下一対の状態となる。つまり、上部本体部40bは、係止突起49が係止溝42の前端縁部42a及び前方上端部421の下端縁部42bに当接して下部本体部40aと係止される場合には、複数の磁気センサ41が搬送ベルト22間の中央部分(左側の搬送ベルト22Lと右側搬送ベルト22との中央部分)に対向する態様で前後方向に沿って配置されるとともに、同じ検知機能を有する磁気センサ41と上下一対に配置されて検知部50(
図4及び
図5参照)を構成する。
【0059】
検知部50は、搬送ベルト22間の中央部分に対向する態様で前後方向に沿って設けられた下部本体部40aの複数の磁気センサ41及び上部本体部40bの複数の磁気センサ41により構成され、これら磁気センサ41により通過する硬貨の特性を検知するものである。そして、検知部50の前後方向の中央部には、硬貨の厚みを検知する磁気センサ41aが配置されている。
【0060】
このような鑑別部40は、搬送部20により後方に向けて搬送される硬貨が所定の鑑別領域を通過する際に、検知部50を通じて硬貨の特性を検知して該硬貨の真偽及び金種を鑑別する。そして、鑑別部40は、その鑑別結果を鑑別信号として制御部60に与えるものである。
【0061】
上記鑑別部40には、上記構成の他に、通過センサ51及び複数のボールプレッシャ(押圧部材)52が設けてある。通過センサ51は、いわゆる光センサであり、硬貨及び搬送部材23が所定の鑑別領域を通過することを検知する通過検知手段である。この通過センサ51は、硬貨及び搬送部材23の通過を検知した場合には、通過信号を制御部60に送出するものである。かかる通過センサ51は、発光部51aが上部本体部40bに設けられ、受光部51bが下部本体部40aに設けられており、搬送ベルト22間の中央部分よりもずれた位置に配置してある。
【0062】
ボールプレッシャ52は、上部本体部40bに設けてある。かかるボールプレッシャ52は、硬貨よりも硬質な例えばセラミックにより形成されたボール(球状体)52aをボールスプリング52bにより常時下方に向けて付勢するものであり、鑑別領域を通過する硬貨を下方に向けて押圧するものである。
【0063】
このようなボールプレッシャ52は、
図20に示すように、搬送ベルト22間の中央部分(一点鎖線で示す部分)を基準にして左右一対となる態様で前後方向に沿って設置してある。より詳細には、ボールプレッシャ52は、前方側より硬貨の厚みを検知する磁気センサ41aに向けて左右幅が漸次小さくなる態様で設置してあるとともに、該磁気センサ41より後方側に向けて左右幅が漸次大きくなる態様で設置してある。
【0064】
制御部60は、メモリ61に記憶されたプログラムやデータにしたがって硬貨検銭装置1aの動作を統括的に制御するものである。かかる制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0065】
以上のような構成を有する硬貨検銭装置1aにおいては、入金部2を通じて複数の硬貨が入金されて、硬貨処理機1の動作を統括的に制御する硬貨処理主制御部100から制御部60に動作指令が与えられることにより、制御部60が搬送モータ21cに対して駆動指令を与える。
【0066】
これにより搬送モータ21cが駆動し、搬送部20では、搬送プーリ21が左方から見て反時計回りに回転することにより、搬送ベルト22が延在方向に沿って変位する。一方、入金部2を通じて入金された硬貨は、分離部10にて1枚ずつ分離させた状態で搬送部20に供給される。
【0067】
搬送部20に供給された硬貨は、搬送基部27の上面に横倒姿勢の状態で載置される。上述したように搬送ベルト22がその延在方向に変位しているので、該搬送ベルト22に固定された搬送部材23が、搬送基部27の上面に載置された硬貨を後方に向けて押圧して該硬貨を後方に向けて搬送する。
【0068】
ここで搬送部材23は、搬送ベルト22の変位方向の下流側を臨む面23cがV字状を成しているので、
図9に示すように、該下流側を臨む面23cが搬送ベルト22の変位より硬貨を押圧する面となり、硬貨を左右方向の中央部分に寄せた状態で後方に向けて搬送することができる。
【0069】
このようにして搬送部材23により押圧された状態で硬貨を後方に向けて搬送し、搬送される硬貨が鑑別部40による鑑別領域に至ると、該鑑別部40が通過センサ51を通じて硬貨の通過を検知するとともに、検知部50を通じて該硬貨の真偽及び金種を鑑別する。この鑑別部40は、鑑別結果を鑑別信号として制御部60に送出する。
【0070】
制御部60は、鑑別部40からの鑑別信号を入力し、その鑑別結果が正貨である場合、送出フラッパ駆動機構25bに対して駆動指令を与える。これにより、送出フラッパ駆動機構25bが駆動し、送出フラッパ25は、開く方向に揺動して送出口25aを開成する。このように送出フラッパ25が送出口25aを開成すると、鑑別領域を通過して搬送部材23により押圧された状態で後方に搬送される硬貨は、案内部材30に当接して姿勢を変化させながら、送出口25aを通過し、硬貨搬送装置1bに送出される。正貨と鑑別された硬貨が送出口25aを通過した後、制御部60は、送出フラッパ駆動機構25bに駆動停止指令を与える。これにより、送出口25aは送出フラッパ25に閉成される。
【0071】
一方、制御部60は、鑑別部40からの鑑別信号を入力し、その鑑別結果が偽貨である場合、送出フラッパ駆動機構25bに対して駆動指令を与えずに、送出フラッパ25による送出口25aの閉成を維持させる。
【0072】
これにより、鑑別領域を通過して搬送部材23により押圧された状態で後方に搬送される硬貨は、送出フラッパ25の上面を通過し、偽貨開口26を通過して下方に落下する。このようにして下方に落下した硬貨は、搬送装置本体の底部20a1に横倒姿勢で載置される。
【0073】
ところで、搬送プーリ21の回転により、搬送ベルト22の下方部分は前方に向かって変位している。そのため、搬送部20の下方では、
図6に示すように、搬送ベルト22に固定された搬送部材23が前方に向けて移動しているので、上記底部20a1に載置された硬貨を搬送部材23が前方に向けて押圧した状態で搬送することができる。このとき、搬送部材23は、搬送ベルト22の変位方向の下流側を臨む面23cがV字状を成しているので、硬貨を左右方向の中央部分に寄せた状態で後方に向けて搬送することができる。
【0074】
このようにして、搬送部20は、前方に向けて搬送した硬貨(偽貨)を図示せぬ払出ユニットに送出する。払出ユニットは、自身に払い出された硬貨を出金部4に送出して、該出金部4に設けられた硬貨払出口4a(
図1参照)より外部に払い出させるものである。
【0075】
ところで、入金部2を通じて入金された硬貨の搬送が終了することで、硬貨処理主制御部100から停止指令が与えられた場合、制御部60は、搬送部駆動停止制御を実施する。
【0076】
図21は、
図4に示した制御部が実施する搬送部駆動停止制御の処理内容を示すフローチャートである。
【0077】
この搬送部駆動停止制御において制御部60は、通過センサ51からの通過信号の入力待ちとなる(ステップS101)。そして、通過センサ51がいずれかの搬送部材23の通過を検知することにより、該通過センサ51から通過信号を入力した場合(ステップS101:Yes)、制御部60は、予め決められた所定時間の経過待ちとなる(ステップS102)。ここで所定時間は、通過センサ51の検知領域から搬送部材23が離脱するとともに、次の搬送部材23が検知領域に到達しない時間である。
【0078】
所定時間が経過した場合(ステップS102:Yes)、制御部60は、搬送モータ21cに駆動停止指令を送出し(ステップS103)、その後に手順をリターンさせて今回の搬送部駆動停止制御を終了する。これにより搬送部20の駆動が停止される。
【0079】
以上説明したように、硬貨検銭装置1aは、入金部2を通じて入金された硬貨の真偽及び金種を鑑別し、正貨と鑑別された硬貨については、硬貨搬送装置1bに送出する一方、偽貨と鑑別された硬貨については、出金部4を通じて外部に払い出させている。
【0080】
そして、このような硬貨検銭装置1aによれば、搬送部20を構成する搬送ベルト22が、前後一対となる態様で設けられた搬送プーリ21間に左右一対となる態様で無端状に張設され、左右両端部が搬送ベルト22の外面に取り付けられた搬送部材23が、搬送ベルト22の変位に応じて入金された硬貨を横倒姿勢の状態で後方に搬送するとともに、鑑別部40により偽貨と鑑別された硬貨を横倒姿勢の状態で前方に搬送するので、搬送部20の前後方向の長さの短縮化を図ることができる。しかも、従来のように入金された硬貨を搬送する搬送部と、鑑別部により偽貨と鑑別された搬送部とを別個に設ける必要がないので、部品点数を削減することができる。従って、装置全体の小型化を図りつつ、製造コストの低減化を図ることができる。
【0081】
特に、搬送ベルト22の外面に一部が対向した状態で該搬送ベルト22を囲繞するよう設けられたガイド部材24が、搬送部材23が搬送ベルト22から離脱することを規制するので、搬送部材23により硬貨を良好に搬送することができる。
【0082】
またガイド部材24に形成された切欠(左側切欠243a及び右側切欠243b)が、開放された場合には、自身を通じて搬送部材23が搬送ベルト22から取り出されることを許容する一方、閉塞部材244により閉塞された場合には、搬送部材23が搬送ベルト22から取り外されることを規制するので、開放される場合には、自身を通じて搬送部材23の交換作業を行うことができる。つまり、いずれかの搬送部材23が破損等した場合に、装置を分解等しなくても、閉塞部材244を外して切欠を開放させることで搬送部材23の交換作業を容易に行うことができる。
【0083】
上記硬貨検銭装置1aによれば、搬送部20を構成する搬送部材23は、搬送ベルト22の変位により硬貨を押圧する面がV字状を成しているので、硬貨を左右方向の中央部分に寄せた状態で搬送することができ、これにより、硬貨の搬送位置を制限した状態で硬貨の搬送を安定的に行うことができるとともに、鑑別部40による鑑別精度の向上を図ることができる。
【0084】
上記硬貨検銭装置1aによれば、制御部60が、硬貨処理主制御部100から停止指令が与えられた場合に、通過センサ51がいずれかの搬送部材23の通過を検知してから所定時間の経過後に該搬送ベルト22の変位を停止させるので、搬送部材23が通過センサ51の検知領域に存在することを防止することができる。これにより、次に入金された硬貨を搬送する場合に通過センサ51が検知領域にある搬送部材23を硬貨と誤検知してしまうことを回避することができる。
【0085】
上記硬貨検銭装置1aによれば、搬送部材23により後方に搬送される硬貨を上方から押圧する鑑別部40のボールプレッシャ52が、搬送ベルト22間の中央部分を基準にして左右一対となる態様で前後方向に沿って設置され、かつ前方側より硬貨の厚みを検知する磁気センサ41に向けて左右幅が漸次小さくなる態様で設置されているので、搬送部材23により搬送される硬貨を搬送ベルト22間の中央部に確実に寄せることができ、検知部50による検知精度の向上により鑑別部40による鑑別精度の向上を図ることができる。
【0086】
しかも、ボールプレッシャ52は、厚みを検知する磁気センサ41より後方側に向けて左右幅が漸次大きくなる態様で設置されているので、該磁気センサ41を通過した硬貨に対する押圧力を徐々に解除して該硬貨を搬送部材23の形状に依存して搬送させることができ、搬送ベルト22の中央部分よりも右側に偏っている送出口25aに硬貨を確実に案内させることができる。
【0087】
更に、ボールプレッシャ52は、左右幅が異なる態様で設置されているので、硬貨を搬送する搬送部材23の特定の個所のみを押圧することがない。これにより、搬送部材23が破損等してしまうことを抑制することができる。
【0088】
上記硬貨検銭装置1aによれば、下部本体部40aの係止溝42を構成する前方上端部421には案内面421aが形成され、かつ上部本体部40bが、本体スプリング48により開く方向に付勢されるとともに、後方軸状部46の中心軸に沿って前方に向けて付勢されているので、上部本体部40bを閉じる方向に揺動させるだけで係止突起49が案内面421aを摺接して係止溝42に進入し、係止溝42に進入した係止突起49が係止溝42の前端縁部42aに当接するとともに前方上端部421の下端縁部42bに当接して、磁気センサ41をそれぞれ上下一致させた状態で下部本体部40aに係止させることができる。つまり、上部本体部40bを閉じる方向に揺動させれば容易に磁気センサ41の位置決めを行うことができる。
【0089】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0090】
上述した実施の形態では、ボールプレッシャ52が厚みを検知する磁気センサ41より後方側に向けて左右幅が漸次大きくなる態様で設置されていたが、本発明においては、押圧部材は、前方側より検知部の前後方向の中央部に向けて左右幅が漸次小さくなる態様で設置されていれば、その後の配列はどのような形態であっても構わない。