(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記全体印刷長さと前記第1長さとを比較し、前記全体印刷長さが前記第1長さより大きい場合、前記全体印刷長さを分割し各々が前記第1長さ内に収まるようにした複数の前記印刷データを作成するとともに、印刷後に各印刷データに沿って印刷された部分を繋げるようにしたときに、前記全体印刷長さにするとともに複数の前記パターンの間隔が等しくなるような複数の前記印刷データ各々の長さ方向の端部を示すマークが印刷される前記印刷データを作成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラベルプリンタ。
前記制御部は、前記第1長さ内に収まるように前記全体印刷長さを分割し複数の前記印刷データを作成する際に、連続する前記印刷データの切り替り目が隣接する前記パターン間の中間位置となるように前記印刷データを作成することを特徴とする請求項3に記載のラベルプリンタ。
前記制御部は、前記第2印刷データ作成処理において、前記全体印刷長さと前記第2長さとを比較し、前記全体印刷長さが前記第2長さより大きい場合、前記全体印刷長さを分割し各々が前記第2長さ内に収まるようにした複数の前記印刷データを作成するとともに、印刷後に各印刷データに沿って印刷された部分を繋げるようにしたときに、前記全体印刷長さにするとともに複数の前記パターンの間隔が等しくなるような複数の前記印刷データ各々の長さ方向の端部を示すマークが印刷される前記印刷データを作成することを特徴とする請求項5に記載のラベルプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0011】
「印刷装置1の構成」
以下、
図1〜
図5を参照しながら本発明に係る実施形態の印刷装置1の構成を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る実施形態の印刷装置1の斜視図である。印刷装置1は、被印刷媒体Mに印刷を行うサーマルヘッド10を備えるものであり、例えば、長尺状の被印刷媒体Mに、シングルパス方式で印刷を行うラベルプリンタである。
【0013】
以下では、インクリボンRを使用する熱転写方式のラベルプリンタを例にして説明するが、印刷方式は特に限定されず、例えば、感熱紙を使用する感熱方式であってもよい。
また、被印刷媒体Mは、例えば、接着層を有する基材と、接着層を覆うように剥離可能に基材に貼付された剥離紙とを有するテープ部材であってもよく、離型紙なしのテープ部材であってもよい。
【0014】
印刷装置1は、
図1に示すように、装置筐体2と、入力部3と、表示部4と、開閉蓋18と、カセット収納部19とを備える。
装置筐体2の上面には、入力部3、表示部4、及び閉蓋18が配置されている。
【0015】
また、図示しないが、装置筐体2には、電源コード接続端子、外部機器接続端子、記憶媒体挿入口等が設けられている。
【0016】
さらに、印刷装置1は、長尺方向に沿って被印刷媒体Mに印刷を行う長尺方向印刷モードと、幅方向に沿って被印刷媒体Mに印刷を行う幅方向印刷モードと、を選択することが可能になっており、例えば、長尺方向印刷モード及び幅方向印刷モードの選択は、入力部3に対する入力によって実現される。
【0017】
入力部3は、入力キー、十字キー、変換キー、決定キーなどの種々のキーを備える。表示部4は、例えば液晶表示パネルであり、入力部3からの入力に対応する文字等、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等を表示する。
【0018】
また、印刷中には、被印刷媒体Mへの印刷が指示された文字や図形等(以下、文字、図形及び記号等を指して図形文字という場合がある。)の内容が表示され、印刷処理の進捗状況が表示されてもよい。
なお、表示部4にはタッチパネルユニットが設けられていてもよく、その場合、表示部4を入力部3の一部として看做してもよい。
【0019】
また、表示部4は、印刷装置1の異常が検知されたときに所定のメッセージを表示して、印刷装置1の異常を利用者に報知してもよい。
即ち、表示部4は、印刷装置1の異常を報知する報知部である。
【0020】
開閉蓋18は、カセット収納部19の上部に開閉可能に配置されている。開閉蓋18は、ボタン18aを押下されることにより開放される。
【0021】
開閉蓋18には、この開閉蓋18が閉じた状態でもカセット収納部19にテープカセット30(
図2参照)が収納されているか否かを目視で確認可能とするために、窓18bが形成されている。
【0022】
また、装置筐体2の側面には、排出口2aが形成されている。印刷装置1内で印刷が行われた被印刷媒体Mは、排出口2aから装置外へ排出される。
【0023】
図2は印刷装置1に収納されるテープカセット30の斜視図であり、
図3は印刷装置1のカセット収納部19の斜視図であり、
図4は印刷装置1の断面図である。
【0024】
図2に示すテープカセット30は、
図3に示すカセット収納部19に着脱自在に収納され、テープカセット30がカセット収納部19に収納された状態は、
図4に示すようになる。
【0025】
テープカセット30は、
図2に示すように、サーマルヘッド被挿入部36及び係合部37が形成された、被印刷媒体MとインクリボンRを収容するカセットケース31を有する。
【0026】
カセットケース31には、テープコア32とインクリボン供給コア34とインクリボン巻取りコア35とが設けられている。
【0027】
被印刷媒体Mは、カセットケース31内部のテープコア32にロール状に巻かれている(
図4参照)。
【0028】
また、熱転写用のインクリボンRは、その先端がインクリボン巻取りコア35に巻きつけられた状態で、カセットケース31内部のインクリボン供給コア34にロール状に巻かれている(
図4参照)。
【0029】
装置筐体2のカセット収納部19には、
図3に示すように、テープカセット30を所定の位置で支持するための複数のカセット受け部20が設けられている。
【0030】
また、カセット受け部20には、テープカセット30が収容するテープ(被印刷媒体M)の幅を認識するためのテープ幅認識スイッチ24が設けられている。
【0031】
テープ幅認識スイッチ24は、カセットの形状に基づいて長尺状の被印刷媒体Mの幅方向の幅(第1長さt1)を認識する幅認識部である。
【0032】
カセット収納部19には、さらに、複数の発熱素子10aを有し、被印刷媒体Mに印刷を行うサーマルヘッド10と、被印刷媒体Mを搬送する搬送部であるプラテンローラ21と、テープコア係合軸22と、インクリボン巻取り駆動軸23が設けられている。
【0033】
また、複数の発熱素子10aは、図示しないが、テープカセット30がカセット収納部19に収納された状態では、被印刷媒体Mの長尺方向と対応するライン上及び被印刷媒体Mの幅方向と対応するライン上に配列されている。
【0034】
さらに、サーマルヘッド10には、サーミスタ13が埋め込まれている。サーミスタ13は、サーマルヘッド10の温度を測定するヘッド温度測定部である。
【0035】
テープカセット30がカセット収納部19に収納された状態では、
図4に示すように、カセットケース31に設けられた係合部37がカセット収納部19に設けられたカセット受け部20に支持されて、サーマルヘッド10がカセットケース31に形成されたサーマルヘッド被挿入部36に挿入される。
【0036】
また、テープコア係合軸22には、テープカセット30のテープコア32が係合し、さらに、インクリボン巻取り駆動軸23には、インクリボン巻取りコア35が係合する。
【0037】
印刷装置1に印刷指示が入力されると、被印刷媒体Mは、プラテンローラ21の回転によりテープコア32から繰り出される。
この際、インクリボン巻取り駆動軸23がプラテンローラ21に同調して回転することで、被印刷媒体MとともにインクリボンRがインクリボン供給コア34から繰り出される。
【0038】
これにより、被印刷媒体MとインクリボンRは重なった状態で搬送される。そして、サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過する際にインクリボンRがサーマルヘッド10によって加熱されることで、インクが被印刷媒体Mに転写され、印刷が行われる。
【0039】
サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過した使用済みのインクリボンRは、インクリボン巻取りコア35に巻き取られる。
【0040】
一方、サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過した印刷済みの被印刷媒体Mは、ハーフカット機構16及びフルカット機構17で切断され、排出口2aから排出される。
【0041】
図5は、印刷装置1のハードウェア構成を示したブロック図である。
印刷装置1は、上述の入力部3、表示部4、サーマルヘッド10、サーミスタ13、ハーフカット機構16、フルカット機構17、プラテンローラ21、テープ幅認識スイッチ24に加えて、制御部5、ROM6(Read Only Memory)、RAM7(Random Access Memory)、表示部駆動回路8、ヘッド駆動回路9、搬送用モータ駆動回路11、ステッピングモータ12、カッターモータ駆動回路14、カッターモータ15、及び、電源回路40を備える。
なお、少なくとも制御部5、ROM6、及びRAM7は、印刷装置1のコンピュータを構成する。
【0042】
制御部5は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ5aを含む。
また、制御部5は、ROM6に記憶されているプログラムをプロセッサ5aに実行させることで、印刷装置1の各部の動作を制御する。
【0043】
制御部5は、例えば、制御信号(ストローブ信号、ラッチ信号、クロック信号)と印刷データをヘッド駆動回路9へ供給し、ヘッド駆動回路9を介してサーマルヘッド10を制御する。
【0044】
また、制御部5は、モータ駆動回路(搬送用モータ駆動回路11、カッターモータ駆動回路14)を介してモータ(ステッピングモータ12、カッターモータ15)を制御する。
【0045】
制御部5の各機能は、専用のモジュール(ハードウェア)で実現されていてもよく、また、ROM6に格納されているプログラム(ソフトウェア)をプロセッサ5aが実行することにより実現されてもよい。
【0046】
ROM6は、被印刷媒体Mに印刷を行うプログラム、プログラムの実行に必要な各種データ(例えば、フォント、通電テーブル、図形文字間の間隔、所定幅の余白、サーマルヘッド10の複数の発熱素子10aが設けられた領域の幅方向の幅等)を記憶する。
【0047】
ROM6は、制御部5によって読取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。
【0048】
RAM7は、ユーザによって入力された図形文字パターンを含む入力データ、及び、テープ幅認識スイッチ24によって認識された長尺状の被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1等を一時的に記憶するものである。
さらに、RAM7は、表示データを一時的に記憶する表示データ記憶部を含む。
【0049】
表示部駆動回路8は、RAM7に記憶された表示データに基づいて表示部4を制御する。
そして、表示部4は、表示部駆動回路8の制御下で、例えば、印刷処理の進捗状況が認識可能な態様で印刷内容を表示してもよい。
【0050】
ヘッド駆動回路9は、制御部5から供給された制御信号と印刷データに基づいてサーマルヘッド10を駆動するヘッド駆動部であり、印刷データを保持するラッチ回路9aを備えている。
【0051】
より詳細には、ヘッド駆動回路9前側ローブ信号がONである通電期間中に、ラッチ回路9aから出力された印刷データに基づいて複数の発熱素子10aに対して電圧の通電又は非通電を制御する。
【0052】
サーマルヘッド10は、被印刷媒体Mの長尺方向及び幅方向に沿って配列された複数の発熱素子10aを有する印刷部であり、ヘッド駆動回路9が、制御部5から供給されたストローブ信号により指定される通電期間中に、ラッチ回路9aから出力された印刷データに応じて発熱素子10aへ電流を選択的に流すことで、発熱素子10aが発熱してインクリボンRを加熱する。
これにより、サーマルヘッド10は、熱転写により被印刷媒体Mに1ラインずつ印刷を行う。
即ち、本実施形態の印刷装置1は、サーマルラインプリンタである。
【0053】
搬送用モータ駆動回路11は、ステッピングモータ12を駆動し、ステッピングモータ12は、プラテンローラ21を回転させる。
【0054】
そして、プラテンローラ21は、ステッピングモータ12の動力によって回転し、被印刷媒体Mの長尺方向に被印刷媒体Mを搬送する搬送部である。
【0055】
カッターモータ駆動回路14は、カッターモータ15を駆動する。
そして、ハーフカット機構16及びフルカット機構17は、カッターモータ15の動力によって動作し、被印刷媒体Mをハーフカット又はフルカットする。
なお、フルカットとは、被印刷媒体Mの基材を剥離紙とともに幅方向に沿って切断する動作のことであり、ハーフカットは、基材のみを幅方向に沿って切断する動作のことである。
【0056】
電源回路40は、ACアダプタ50からの直流電圧(例えば、24V)から出力電圧を生成し、印刷装置1の各部に電力を供給する電源部である。
【0057】
以下、
図6〜
図18を参照しながら本発明に係る実施形態の印刷装置1に用いられる幅方向印刷モードについて詳細に説明する。
なお、印刷装置1の長尺方向印刷モードについては、一般的なものであるため説明を省略する。
【0058】
予めテープ幅認識スイッチ24は、テープカセット30がカセット収納部19に収納された状態で、長尺状の被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1(
図9参照)を認識し、認識された第1長さt1がRAM7に一時的に記憶される。
【0059】
先ず、ユーザが入力部3にて図形文字パターンの入力を行い、ユーザによって入力された複数の図形文字パターンを含む入力データがRAM7に一時的に記憶される。
そして、その後、ユーザが幅方向印刷モードを選択すると、幅方向印刷が開始される。
【0060】
<幅方向印刷>
以下、幅方向印刷の全体の流れを示すフローチャートである
図6を参照しながら、具体的に、幅方向印刷の内容について説明する。
【0061】
例えば、サーマルヘッド10の複数の発熱素子10aが設けられた領域の幅方向の第2長さt2は、装置構成であるため予めわかっており、ROM6に記憶されている。
【0062】
そこで、制御部5は、ステップS10において、ROM6から読み出したサーマルヘッド10の複数の発熱素子10aが設けられた領域の幅方向の第2長さt2と、RAM7から読み出した長尺状の被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1とを比較する。
【0063】
そして、制御部5は、
図9に示すように、第2長さt2が第1長さt1以上である場合(YES)、即ち、サーマルヘッド10による印刷が被印刷媒体Mの幅方向の全体に対して可能である場合、第1印刷データを作成するための第1印刷データ作成処理(ステップS20)を行う。
なお、第1印刷データ作成処理(ステップS20)の詳細については後述する。
【0064】
一方、制御部5は、第2長さt2が第1長さt1よりも小さい場合(NO)、即ち、サーマルヘッド10による印刷が被印刷媒体Mの幅方向の全体に対して可能ではない場合、第2印刷データを作成するための第2印刷データ作成処理(ステップS30)を行う。
なお、第2印刷データ作成処理(ステップS30)の詳細については後述する。
【0065】
そして、制御部5は、第1印刷データ作成処理(ステップS20)又は第2印刷データ作成処理(ステップS30)が終了すると、印刷・カット処理(ステップS40)に移行する。
【0066】
ステップS40に移行すると、ヘッド駆動回路9が、制御部5の作成した第1印刷データ又は第2印刷データに従って、サーマルヘッド10を駆動させ、被印刷媒体Mに印刷を行うとともに、カッターモータ駆動回路14が、制御部5から供給される制御信号に基づいて、カッターモータ15を駆動させて、ハーフカット機構16及びフルカット機構17を動作させ、印刷済みの被印刷媒体Mを1ラインずつハーフカット又はフルカットし、ステップS40が終わると、幅方向印刷が終了する。
【0067】
<第1印刷データ作成処理>
次に、第1印刷データ作成処理(ステップS20)のフローチャートである
図7を参照しながら、具体的に、第1印刷データ作成処理(ステップS20)の内容について説明する。
【0068】
先ず、ステップS21において、制御部5は、RAM7から読み出した入力データに基づいた複数の図形文字パターンの前後にROM6から読み出した所定幅yの余白を付加した全体データの全体印刷長さである第3長さt3と、RAM7から読み出した長尺状の被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1と、を比較する。
【0069】
そして、
図9に示すように、全体データの全体印刷長さである第3長さt3が被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1以下である場合(YES)、1ラインの印刷データを作成する1ライン第1印刷データ作成処理(ステップS22)を行う。
なお、1ライン第1印刷データ作成処理(ステップS22)の詳細については後述する。
【0070】
一方、第3長さt3が第1長さt1よりも大きい場合(NO)、複数ラインの印刷データを作成する複数ライン第1印刷データ作成処理(ステップS23)を行う。
なお、複数ライン第1印刷データ作成処理(ステップS23)の詳細については後述する。
【0071】
1ライン第1印刷データ作成処理(ステップS22)又は複数ライン第1印刷データ作成処理(ステップS23)が終了すると、
図6に示す幅方向印刷のフローチャートに戻る。
【0072】
<1ライン第1印刷データ作成処理>
次に、第1印刷データ作成処理(ステップS20)における1ライン第1印刷データ作成処理(ステップS22)のフローチャートである
図8を参照しながら、具体的に、1ライン印刷データ作成処理(ステップS22)の内容について説明する。
なお、
図9は、1ライン第1印刷データに従ってマークmが付加されて幅方向に沿って印刷される被印刷媒体Mのイメージ図である。
【0073】
先ず、ステップS221において、制御部5は、入力データに基づいた複数の図形文字パターンの前後に所定幅yの余白を付加した全体データを90度回転して被印刷媒体Mの幅方向に沿って展開させる。
【0074】
次に、制御部5は、ステップS222において、
図9に示すように、展開させた全体データを印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)側に一致させるようにし、一端(左端)側に所定幅yの余白ができるようにした印刷データを作成する。
【0075】
そして、制御部5は、ステップS223において、全体データの全体印刷長さである第3長さt3が被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1と同じであるかを判定する。
ここで、制御部5は、第3長さt3が第1長さt1と同じである場合(YES)、ステップS225に移行し、
図9に示すように、第3長さt3が第1長さt1と同じではない場合(NO)、ステップS224に移行する。
【0076】
ステップS224に移行した場合、制御部5は、
図9に示すように、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)からマークmまでの距離が全体データの全体印刷長さである第3長さt3になるように、マークmに関する情報を印刷データに付加し、その後、制御部5は、ステップS225において、印刷データにマークmに関する情報を付加したものを、1ライン第1印刷データとする。
【0077】
一方、第3長さt3が第1長さt1と同じであり、ステップS223から、ステップS225に移行した場合、制御部5は、ステップS225において、印刷データそのものを1ライン第1印刷データとする。
【0078】
そして、ステップS225が終了すると、
図7に示す第1印刷データ作成処理(ステップS20)のフローチャートに戻る。
【0079】
このように第1印刷データ作成処理(ステップS20)における1ライン印刷データ作成処理(ステップS22)では、全体データの全体印刷長さである第3長さt3が被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1と同じである場合、印刷済みの被印刷媒体Mをハーフカット又はフルカットするだけでよい状態のため、1ライン第1印刷データに従って幅方向に沿って印刷される被印刷媒体Mに全体印刷長さになるような全体データの端部を示すマークmが付加されない。
【0080】
一方、全体データの全体印刷長さである第3長さt3が被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1よりも小さい場合、左右の余白を同じにするためには、被印刷媒体Mをハーフカット又はフルカットした後に、余白が合うように、さらに切り取る必要があるため、
図9に示すように、1ライン第1印刷データに従って幅方向に沿って印刷される被印刷媒体Mに全体印刷長さになるような全体データの端部を示すマークmが付加され、そのマークmに従って切り取りを行うだけで、所定幅yの余白の状態とすることができる。
【0081】
<複数ライン第1印刷データ作成処理>
次に、第1印刷データ作成処理(ステップS20)における複数ライン第1印刷データ作成処理(ステップS23)のフローチャートである
図10を参照しながら、具体的に、複数ライン第1印刷データ作成処理(ステップS23)の内容について説明する。
【0082】
なお、
図11は2ライン第1印刷データに従ってマークmが付加されて幅方向に沿って印刷される被印刷媒体Mのイメージ図であり、
図12は3ライン第1印刷データに従ってマークmが付加されて幅方向に沿って印刷される被印刷媒体Mのイメージ図である。
【0083】
先ず、制御部5は、ステップS231において、入力データに基づいた複数の図形文字パターンの前後に所定幅yの余白を付加した全体データを、各々が被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1内に収まるように分割する。
なお、ステップS231での全体データを分割して分割された複数のデータを作成する処理では、複数の図形文字パターンの隣接する図形文字の中間位置で分割したときに、第1長さt1内に収まる最大の幅となるように、それぞれのデータが作成される。
【0084】
例えば、
図11に示すように、全体データを2分割することで第1長さt1内に収める分割されたデータにすることができる場合、つまり、前側の分割データ(余白+ABCD)と後側の分割データ(EF+余白)に分割する場合、前側の分割データは、隣接する図形文字であるDとEの中間位置で分割した場合が第1長さt1内に収まる最大の幅となるため、前側の分割データと後側の分割データの切り替り目がDとEの中間位置になっている。
【0085】
同様に、
図12に示すように、全体データを3分割に分割することで第1長さt1内に収める分割されたデータにすることができる場合、つまり、前側の分割データ(余白+ABCD)と中間の分割データ(EFGH)と後側の分割データ(IJKL+余白)とに分割する場合、前側の分割データは、隣接する図形文字であるDとEの中間位置で分割した場合が第1長さt1内に収まる最大の幅となるため、前側の分割データと中間の分割データの切り替り目がDとEの中間位置になっているとともに、中間の分割データは、隣接する図形文字であるHとIの中間位置で分割した場合が第1長さt1内に収まる最大の幅となるため、中間の分割データと後側の分割データの切り替り目がHとIの中間位置になっている。
なお、全体データを、各々が第1長さt1内に収まるように分割したときの分割数が4分割以上であった場合には、中間の分割データが複数になるだけである。
【0086】
次に、制御部5は、ステップS232において、分割された複数のデータを90度回転して被印刷媒体Mの幅方向に沿って展開させる。
【0087】
そして、制御部5は、ステップS233において、90度回転された前側の分割データをセットする。
【0088】
続いて、制御部5は、ステップS234において、
図11又は
図12に示すように、前側の分割データの切り替り目が被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)に一致するようにした前側の印刷データを作成する。
なお、このように作成された前側の印刷データは、被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の他端側に位置する図形文字パターンまでの距離が図形文字パターン間の間隔xの1/2となっている。
【0089】
そして、制御部5は、ステップS235において、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンまでの距離が所定幅yと同じであるかを判定し、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンまでの距離が所定幅yと同じである場合(YES)にはステップS237に移行する。
【0090】
一方、制御部5は、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンまでの距離が所定幅yと同じではない場合(NO)にはステップS236に移行して、
図11又は
図12に示すように、印刷後に最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンからマークmまでの距離が所定幅yとなる位置にマークmが表示されるように、マークmに関する情報を前側の印刷データに付加し、その後、制御部5は、ステップS237において、前側の印刷データにマークmに関する情報を付加したものを、前側の第1印刷データとする。
【0091】
一方、ステップS235から、ステップS237に移行した場合、制御部5は、ステップS237において、前側の印刷データをそのまま前側の第1印刷データとする。
【0092】
引き続き、制御部5は、ステップS233’において、90度回転された次の分割データをセットする。
【0093】
そして、制御部5は、ステップS234’において、セットされた次の分割データが中間の分割データであるかを判定する。
ここで、制御部5は、次の分割データが中間の分割データである場合(YES)にはステップS235’に移行し、一方、次の分割データが中間の分割データではない場合(NO)、つまり、後側の分割データである場合にはステップS234”に移行する。
【0094】
そして、ステップS235’に移行した場合、
図12に示すように、制御部5は、中間の分割データの後側の切り替り目が被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)に一致するようにした中間の印刷データを作成する。
なお、このように作成された中間の印刷データは、被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の他端側に位置する図形文字パターンまでの距離が図形文字パターン間の間隔xの1/2となっている。
【0095】
そして、制御部5は、ステップS236’において、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンまでの距離が間隔xの1/2と同じであるかを判定し、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンまでの距離が間隔xの1/2と同じである場合(YES)、ステップS238’に移行する。
【0096】
一方、制御部5は、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンまでの距離が間隔xの1/2と同じではない場合(NO)にはステップS237’に移行して、
図12に示すように、印刷後に最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンからマークmまでの距離が間隔xの1/2となる位置にマークmが表示されるように、マークmに関する情報を中間の印刷データに付加し、その後、制御部5は、ステップS238’において、中間の印刷データにマークmに関する情報を付加したものを、中間の第1印刷データとする。
【0097】
一方、ステップS236’ から、ステップS238’に移行した場合には、制御部5は、中間の印刷データをそのまま中間の第1印刷データとする。
【0098】
ステップS238’が終了すると、ステップS233’に戻る。
即ち、制御部5は、90度回転された次の分割データをセットする。
【0099】
なお、次の分割データが2番目の中間の分割データである場合には、ステップS234’からステップS238’が、再び、行われ、2番目の中間の第1印刷データが作成されることになる。
したがって、中間の分割データが複数存在する場合には、その中間の分割データの数分だけ中間の第1印刷データ(1番目の中間の第1印刷データ、2番目の中間の第1印刷データ・・・)が作成されることになる。
【0100】
一方、ステップS237又はステップS238’からステップS233’に移行してセットされた分割データが後側の分割データである場合、ステップS234’の判定がNOとなり、制御部5は、ステップS234”において、
図11又は
図12に示すように、後側の分割データの切り替り目が被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)に一致するようにした後側の印刷データを作成する。
なお、このようにして作成された後側の印刷データは、被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンまでの距離が図形文字パターン間の間隔xの1/2となっている。
【0101】
そして、制御部5は、ステップS235”において、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の他端側に位置する図形文字パターンまでの距離が所定幅yと同じであるかを判定し、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の他端側に位置する図形文字パターンまでの距離が所定幅yと同じである場合(YES)にはステップS237”に移行する。
【0102】
一方、制御部5は、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の他端側に位置する図形文字パターンまでの距離が所定幅yと同じではない場合(NO)にはステップS236”に移行して、
図11又は
図12に示すように、印刷後に最も被印刷媒体Mの幅方向の他端側に位置する図形文字パターンからマークmまでの距離が所定幅yとなる位置にマークmが表示されるように、マークmに関する情報を後側の印刷データに付加し、その後、制御部5は、ステップS237”において、後側の印刷データにマークmに関する情報を付加したものを、後側の第1印刷データとする。
【0103】
一方、ステップS235”から、ステップS237”に移行した場合には、制御部5は、後側の印刷データを後側の第1印刷データとする。
【0104】
そして、ステップS237”が終了し、前側の第1印刷データ及び後側の第1印刷データを有する複数ライン第1印刷データ、又は、前側の第1印刷データ、中間の第1印刷データ(なお、中間の第1印刷データは複数の場合がある。)及び後側の第1印刷データを有する複数ライン第1印刷データが作成されると、
図7に示す第1印刷データ作成処理(ステップS20)のフローチャートに戻る。
【0105】
以上のような処理によって、
図11及び
図12に示すような印刷が行われる複数ライン第1印刷データが作成される。
【0106】
そして、
図11に示すような印刷の場合、印刷データの切り替り目が隣接する図形文字であるDとEの中間位置にあり、図形文字Dと被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)までの距離が図形文字の配列の間隔xの1/2となるように印刷されるものとなっているとともに、図形文字Eと被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)までの距離が図形文字の配列の間隔xの1/2となるように印刷されるものとなっている。
【0107】
したがって、1ライン目の印刷部分の被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)と2ライン目の印刷部分の被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)を当接させるように繋げるだけで、図形文字DとEとの間の間隔xが、他の図形文字パターン間の間隔xと同じにでき、被印刷媒体Mの端は機械的に作成された極めて正確な直線状態になっているため、繋ぎ目に隙間が発生することが抑制でき、見栄え良く繋げることができる。
【0108】
また、前側の図形文字Aから余白を取った位置、及び、後側の図形文字Fから余白を取った位置には、マークmが印刷されることになるため、印刷後にそのマークmに沿って切り取りを行うだけで、繋げたときに全体データの全体印刷長さである第3長さt3とすることができる。
【0109】
そして、
図12に示す場合であっても同様に、印刷後に各第1印刷データ(前側の第1印刷データ、中間の第1印刷データ及び後側の第1印刷データ)に沿って印刷された部分を繋げるようにしたときに、第3長さt3にするとともに複数の図形文字パターンの間隔xを等しくするようにするための適切な位置にマークmが印刷されるようになっている。
【0110】
このように、第1印刷データ作成処理(ステップS20)における複数ライン第1印刷データ作成処理(ステップS23)では、第3長さt3を分割し、各々が第1長さt1内に収まるようにした複数の第1印刷データが、印刷後に各第1印刷データに沿って印刷された部分を繋げるようにしたときに、第3長さt3にするとともに複数の図形文字パターンの間隔xが等しくなるような複数の印刷データ各々の端部を示すマークmが印刷される複数の第1印刷データを有する複数ライン第1印刷データの作成が行われている。
【0111】
したがって、ユーザはマークmに従って切り取りを行い、切り取りを行った各被印刷媒体Mを繋げるだけでよい。
【0112】
なお、印刷データの切り替り目は、必ずしも、隣接する図形文字の中間位置である必要はない。
しかしながら、
図12の中間の第1印刷データによる印刷部分(図形文字EFGHの印刷部分参照)を見るとわかるとおり、図形文字E側の部分は、印刷後にユーザがマークmに沿って切り取りを行うことになり、図形文字に近接してマークmが設けられていると、切り取りのときに繋げたときに見栄え上の問題がない範囲で微小に切り取り位置がズレただけでも図形文字の部分を傷つけることになる。
【0113】
一方、本実施形態のように、マークmが隣接する図形文字の中間位置に設けられるようになっていれば、そのように微小にズレた程度であれば、図形文字が傷つくことがないため、本実施形態のように、印刷データの切り替り目を隣接する図形文字の中間位置にしておくことが好ましい。
【0114】
<第2印刷データ作成処理>
次に、第2印刷データ作成処理(ステップS30)のフローチャートである
図13を参照しながら、
図6の第2印刷データ作成処理(ステップS30)に移行したときの処理について説明する。
【0115】
先に、
図6を参照して説明したように、第2印刷データ作成処理(ステップS30)に移行する場合とは、サーマルヘッド10の複数の発熱素子10aが設けられた領域の幅方向の第2長さt2が被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1よりも小さい場合(NO)である。
【0116】
このため、1ラインで印刷を行うことになるのか、複数ラインに分割して印刷を行うことになるのかは第2長さt2を基準として決められることになり、以下、
図13を参照しながら具体的に説明する。
【0117】
先ず、制御部5は、ステップS31において、RAM7から読み出した入力データに基づいた複数の図形文字パターンの前後にROM6から読み出した所定幅yの余白を付加した全体データの全体印刷長さである第3長さt3と、ROM6から読み出したサーマルヘッド10の複数の発熱素子10aが設けられた領域の幅方向の第2長さt2と、を比較する。
【0118】
そして、制御部5は、第3長さt3が第2長さt2以下である場合(YES)、1ライン第2印刷データを作成する1ライン第2印刷データ作成処理(ステップS32)を行う。
なお、1ライン第2印刷データ作成処理(ステップS32)の詳細については後述する。
【0119】
一方、制御部5は、第3長さt3が第2長さt2よりも大きい場合(NO)、複数ライン第2印刷データを作成する複数ライン第2印刷データ作成処理(ステップS33)を行う。
なお、複数ライン第2印刷データ作成処理(ステップS33)の詳細については後述する。
【0120】
そして、1ライン第2印刷データ作成処理(ステップS32)又は複数ライン第2印刷データ作成処理(ステップS33)が終了すると、
図6に示す幅方向印刷のフローチャートに戻り、ステップS40において、作成された印刷データに従った印刷及びカット(ハーフカット又はフルカット)が行われ、全体の処理が終了することになる。
【0121】
<1ライン第2印刷データ作成処理>
次に、第2印刷データ作成処理(ステップS30)における1ライン第2印刷データ作成処理(ステップS32)のフローチャートである
図14を参照しながら、具体的に1ライン第2印刷データ作成処理(ステップS32)の内容について説明する。
なお、
図15は、1ライン第2印刷データに従ってマークmが付加されて幅方向に沿って印刷される被印刷媒体Mのイメージ図である。
【0122】
先ず、制御部5は、ステップS321において、入力データに基づいた複数の図形文字パターンの前後に所定幅yの余白を付加した全体データを90度回転して被印刷媒体Mの幅方向に沿って展開させる。
【0123】
次に、制御部5は、ステップS322において、
図15に示すように、展開させた全体データを印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端側に一致させるようにし、一端側に所定幅yの余白ができるようにした印刷データを作成する。
【0124】
このようにすると、先にも説明したように、第2印刷データ作成処理に移行している場合、サーマルヘッド10の複数の発熱素子10aが設けられた領域の幅方向の第2長さt2よりもが被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1のほうが大きいため、被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)側には、必ず余計な余りとなる部分が発生する。
【0125】
そこで、制御部5は、ステップS323において、
図15に示すように、印刷後に被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)からマークmまでの距離が全体データの全体印刷長さである第3長さt3になる位置にマークmが表示されるように、マークmに関する情報を印刷データに付加する。
【0126】
そして、制御部5は、ステップS324において、印刷データにマークmに関する情報を付加したものを、1ライン第2印刷データとし、ステップS324が終了すると、
図13に示す第2印刷データ作成処理(ステップS30)のフローチャートに戻る。
【0127】
以上のような処理によって、作成された1ライン第2印刷データに従って、印刷が行われると、
図15に示すような印刷となり、被印刷媒体Mに全体印刷長さになるような全体データの端部を示すマークmが付加されているため、そのマークmに沿って、ユーザは切り取りを行うだけで、所定幅yの余白の状態とすることができる。
【0128】
<複数ライン第2印刷データ作成処理>
次に、第2印刷データ作成処理(ステップS30)における複数ライン第2印刷データ作成処理(ステップS33)のフローチャートである
図16を参照しながら、具体的に、複数ライン第2印刷データ作成処理(ステップS33)の内容について説明する。
【0129】
なお、
図17は複数ライン第2印刷データの一例である2ライン第2印刷データに従ってマークmが付加されて幅方向に沿って印刷される被印刷媒体Mのイメージ図であり、
図18は複数ライン第2印刷データの一例である3ラインの第2印刷データに従ってマークmが付加されて幅方向に沿って印刷される被印刷媒体Mのイメージ図である。
【0130】
先ず、制御部5は、ステップS331において、入力データに基づいた複数の図形文字パターンの前後に所定幅yの余白を付加した全体データを、各々が第2長さt2内に収まるように分割する。
なお、ステップS331での全体データを分割して分割された複数のデータを作成する処理では、複数の図形文字パターンの隣接する図形文字の中間位置で分割したときに、第2長さt2内に収まる最大の幅となるように、それぞれのデータが作成される。
【0131】
例えば、
図17に示すように、全体データを2分割することで第2長さt2内に収める分割されたデータにすることができる場合、つまり、前側の分割データ(余白+ABC)と後側の分割データ(DE+余白)に分割する場合、前側の分割データは、隣接する図形文字であるDとEの中間位置で分割した場合が第2長さt2内に収まる最大の幅となるため、前側の分割データと後側の分割データの切り替り目がDとEの中間位置になっている。
【0132】
同様に、
図18に示すように、全体データを3分割に分割することで第2長さt2内に収める分割されたデータにすることができる場合、つまり、前側の分割データ(余白+ABC)と中間の分割データ(DEF)と後側の分割データ(GH+余白)とに分割する場合、前側の分割データは、隣接する図形文字であるDとEの中間位置で分割した場合が第2長さt2内に収まる最大の幅となるため、前側の分割データと中間の分割データの切り替り目がCとDの中間位置になっているとともに、中間の分割データは、隣接する図形文字であるFとGの中間位置で分割した場合が第2長さt2内に収まる最大の幅となるため、中間の分割データと後側の分割データの切り替り目がFとGの中間位置になっている。
なお、全体データを、各々が第2長さt2内に収まるように分割したときの分割数が4分割以上であった場合には、中間の分割データが複数になるだけである。
【0133】
次に、制御部5は、ステップS332において、分割された複数のデータを90度回転して被印刷媒体Mの幅方向に沿って展開させる。
【0134】
そして、制御部5は、ステップS333において、90度回転された前側の分割データをセットする。
【0135】
続いて、制御部5は、ステップS334において、
図17又は
図18に示すように、前側の分割データの余白側が被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)に一致するようにした前側の印刷データを作成する。
なお、このように作成された前側の印刷データは、余白の最初の位置が被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)に一致した状態となっている。
【0136】
そして、先にも触れたように、第2印刷データ作成処理に移行している場合、サーマルヘッド10の複数の発熱素子10aが設けられた領域の幅方向の第2長さt2よりもが被印刷媒体Mの幅方向の第1長さt1のほうが大きいため、被印刷媒体Mの幅方向の他端(右端)側には、必ず余計な余りとなる部分が発生する。
【0137】
このため引き続き、制御部5は、ステップS335において、
図17又は
図18に示すように、印刷後に最も被印刷媒体Mの幅方向の他端側に位置する図形文字パターンからマークmまでの距離が図形文字パターン間の間隔xの1/2となる位置にマークmが表示されるように、マークmに関する情報を前側の印刷データに付加する。
【0138】
そして、制御部5は、ステップS336において、前側の印刷データにマークmに関する情報を付加したものを、前側の第2印刷データとする。
【0139】
引き続き、制御部5は、ステップS333’において、90度回転された次の分割データをセットする。
【0140】
そして、制御部5は、ステップS334’において、セットされた次の分割データが中間の分割データであるかを判定する。
ここで、制御部5は、次の分割データが中間の分割データである場合(YES)にはステップS335’に移行し、一方、次の分割データが中間の分割データではない場合(NO)、つまり、後側の分割データである場合にはステップS334”に移行する。
【0141】
そして、ステップS335’に移行した場合、
図18に示すように、制御部5は、中間の分割データの前側の切り替り目が被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)に一致するようにした中間の印刷データを作成する。
なお、このように作成された中間の印刷データは、被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンまでの距離が図形文字パターン間の間隔xの1/2となっている。
【0142】
引き続き、制御部5は、ステップS336’において、
図18に示すように、印刷後に最も被印刷媒体Mの幅方向の他端側に位置する図形文字パターンからマークmまでの距離が間隔xの1/2となる位置にマークmが表示されるように、マークmに関する情報を中間の印刷データに付加する。
【0143】
そして、ステップS337’において、中間の印刷データにマークmに関する情報を付加したものを、中間の第2印刷データとする。
【0144】
ステップS337’が終了すると、ステップS333’に戻る。
即ち、制御部5は、90度回転された次の分割データをセットする。
【0145】
なお、次の分割データが2番目の中間の分割データである場合には、ステップS334’からステップS337’の処理が、再び、行われ、2番目の中間の第2印刷データが作成されることになる。
したがって、中間の分割データが複数存在する場合には、その中間の分割データの数分だけ中間の第2印刷データ(1番目の中間の第2印刷データ、2番目の中間の第2印刷データ・・・)が作成されることになる。
【0146】
一方、ステップS336又はステップS337’からステップS333’に移行してセットされた分割データが後側の分割データである場合、ステップS334’の判定がNOとなり、制御部5は、ステップS334”において、
図17又は
図18に示すように、後側の分割データの切り替り目が被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)に一致するようにした後側の印刷データを作成する。
なお、このようにして作成された後側の印刷データは、被印刷媒体Mの幅方向の一端(左端)から最も被印刷媒体Mの幅方向の一端側に位置する図形文字パターンまでの距離が図形文字パターン間の間隔xの1/2となっている。
【0147】
そして、制御部5は、ステップS335”において、
図17又は
図18に示すように、印刷後に最も被印刷媒体Mの幅方向の他端側に位置する図形文字パターンからマークmまでの距離が所定幅yとなる位置にマークmが表示されるように、マークmに関する情報を後側の印刷データに付加する。
【0148】
引き続き、制御部5は、ステップS336”において、後側の印刷データにマークmに関する情報を付加したものを、後側の第2印刷データとする。
【0149】
そして、ステップS336”が終了し、前側の第2印刷データ及び後側の第2印刷データを有する複数ライン第2印刷データ、又は、前側の第2印刷データ、中間の第2印刷データ(なお、中間の第2印刷データは複数の場合がある。)及び後側の第2印刷データを有する複数ライン第2印刷データが作成されると、
図13に示す第2印刷データ作成処理(ステップS30)のフローチャートに戻る。
【0150】
以上のような処理によって、
図17及び
図18に示すような印刷が行われる複数ライン第2印刷データが作成される。
この場合も、全体データの全体印刷長さである第3長さt3を分割し、各々が第1長さt1内に収まるようにした複数の第2印刷データを有する複数ライン第2印刷データは、印刷後に各第2印刷データに沿って印刷された部分を繋げるようにしたときに、第3長さt3にするとともに複数の図形文字パターンの間隔xが等しくなるような複数の印刷データ各々の端部を示すマークmが印刷されるものになっている。
【0151】
したがって、ユーザはマークmに従って切り取りを行い、切り取りを行った各被印刷媒体Mを繋げるだけでよい。
【0152】
なお、複数ライン第2印刷データ作成処理(ステップS33)においても、印刷データの切り替り目は、必ずしも、隣接する図形文字の中間位置である必要はないが、先に説明したように、印刷データの切り替り目は、隣接する図形文字の中間位置であることが好ましい。
【0153】
この実施形態では、所定幅yの余白は、ROM6に予め記憶されているが、これに限定されるものではなく、例えば、ユーザによって所定幅yを変更可能に入力されてもよく、この場合、入力された所定幅yの余白が、一時的にRAM7に記憶されている。
また、この実施形態では、図形文字パターン間の間隔xは、所定幅yの余白と同様に、ROM6に予め記憶されているが、これに限定されるものではなく、例えば、ユーザによって図形文字パターン間の間隔xを変更可能に入力されてもよく、この場合、入力された図形文字パターン間の間隔xが、一時的にRAM7に記憶されている。
なお、この実施形態では、所定幅yは、図形文字パターン間の間隔xよりも大きくなるように設定されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図形文字パターン間の間隔xと同じになる、又は、小さくなるように設定されてもよい。
【0154】
以上、具体的な実施形態に基づき本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲には、本発明の目的が達成される範囲での様々な変形や改良などが含まれるものであり、そのことは当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0155】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲のとおりである。
[請求項1]
長尺状の被印刷媒体の幅方向の第1長さを認識する幅認識部と、
ユーザによって入力された入力データに基づいた少なくとも1つのパターンを前記被印刷媒体の前記幅方向に沿って配置されるように印刷するための印刷データを作成する制御部と、
前記印刷データに従って前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
を備え、
前記制御部は、前記入力データに基づいた前記パターンの前後に余白を付加した全体データの全体印刷長さと前記第1長さとを比較し、前記全体印刷長さが前記第1長さより小さい場合、前記被印刷媒体に、前記全体印刷長さになるような前記全体データの端部を示すマークが印刷される前記印刷データを作成することを特徴とする印刷装置。
[請求項2]
前記印刷部は、複数の素子が前記被印刷媒体の前記幅方向と対応するライン上に設けられ、前記印刷データに従って前記複数の素子が発熱することで前記被印刷媒体に印刷を行い、
前記制御部は、前記印刷部の前記複数の素子が設けられた領域である第2長さが前記第1長さよりも大きい場合に前記印刷データを作成するための第1印刷データ作成処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
[請求項3]
前記制御部は、前記全体印刷長さと前記第1長さとを比較し、前記全体印刷長さが前記第1長さより大きい場合、前記全体印刷長さを分割し各々が前記第1長さ内に収まるようにした複数の前記印刷データを作成するとともに、印刷後に各印刷データに沿って印刷された部分を繋げるようにしたときに、前記全体印刷長さにするとともに複数の前記パターンの間隔が等しくなるような複数の前記印刷データ各々の端部を示すマークが印刷される前記印刷データを作成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
[請求項4]
前記制御部は、前記第1長さ内に収まるように前記全体印刷長さを分割し複数の前記印刷データを作成する際に、連続する前記印刷データの切り替り目が隣接する前記パターン間の中間位置となるように前記印刷データを作成することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
[請求項5]
前記制御部は、前記第2長さが前記第1長さよりも小さい場合に前記印刷データを作成するための第2印刷データ作成処理を行い、
前記制御部は、前記入力データの前記パターンの前後に余白を付加した全体データの全体印刷長さと前記第2長さとを比較し、前記全体印刷長さが前記第2長さより小さい場合、前記被印刷媒体に、前記全体印刷長さになるような前記全体データの端部を示すマークが印刷される前記印刷データを作成することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
[請求項6]
前記制御部は、前記第2印刷データ作成処理において、前記全体印刷長さと前記第2長さとを比較し、前記全体印刷長さが前記第2長さより大きい場合、前記全体印刷長さを分割し各々が前記第2長さ内に収まるようにした複数の前記印刷データを作成するとともに、印刷後に各印刷データに沿って印刷された部分を繋げるようにしたときに、前記全体印刷長さにするとともに複数の前記パターンの間隔が等しくなるような複数の前記印刷データ各々の端部を示すマークが印刷される前記印刷データを作成することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
[請求項7]
長尺状の被印刷媒体に印刷部による印刷を行う印刷方法であって、
前記被印刷媒体の幅方向の第1長さを認識するステップと、
ユーザによって入力された入力データに基づいた少なく1つのパターンを前記被印刷媒体の前記幅方向に沿って配置されるように印刷するための印刷データを作成するステップと、
前記印刷データに従って前記被印刷媒体に印刷を行うステップと、
を含み、
前記印刷データを作成するステップにおいて、前記入力データに基づいた前記パターンの前後に余白を付加した全体データの全体印刷長さと前記第1長さとを比較し、前記全体印刷長さが前記第1長さより小さい場合、前記被印刷媒体に、前記全体印刷長さになるような前記全体データの端部を示すマークが印刷される前記印刷データを作成することを特徴とする印刷方法。
[請求項8]
印刷装置用のプログラムであって、
印刷装置の制御部に、
ユーザによって入力された入力データに基づいた少なく1つのパターンを前記被印刷媒体の前記幅方向に沿って配置されるように印刷するための印刷データを作成させる処理と、
前記印刷データに従って前記被印刷媒体に印刷を行わせる処理と、
を少なくとも実行させ、
前記印刷データを作成させる処理が、前記入力データに基づいた前記パターンの前後に余白を付加した全体データの全体印刷長さと前記第1長さとを比較し、前記全体印刷長さが前記第1長さより小さい場合、前記被印刷媒体に、前記全体印刷長さになるような前記全体データの端部を示すマークが印刷される前記印刷データを作成させる処理であることを特徴とするプログラム。