特許第6756345号(P6756345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756345
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】無線通信モジュール
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/08 20090101AFI20200907BHJP
   H04W 48/02 20090101ALI20200907BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20200907BHJP
【FI】
   H04W88/08
   H04W48/02
   H04W4/38
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-122296(P2018-122296)
(22)【出願日】2018年6月27日
(65)【公開番号】特開2020-5101(P2020-5101A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 将照
【審査官】 桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−078533(JP,A)
【文献】 特開2018−007122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドデバイスとの間で無線通信を行うアクセスポイントに設けられた無線通信モジュールであって、
エンドデバイス用として動作する第1動作モードと、アクセスポイント用として動作し、上位制御部との間でシリアルデータ通信を行う第2動作モードとを含む複数の動作モードで動作可能に構成され、
前記第2動作モードで動作するよう予め設定されており、
前記第2動作モードにおいて、前記エンドデバイスから送信されるデータの送信元情報又は宛先情報に基づいて、前記データの受信を制限する複数の受信モードで動作し、
前記複数の受信モードは、
前記データの前記宛先情報が、前記アクセスポイントを指定する情報である場合、又は、ブロードキャスト方式での送信を示す情報である場合、前記データの受信を許可する第1受信モード、
前記データの前記宛先情報が、前記アクセスポイントを指定する情報である場合、前記データの受信を許可し、そうでない場合には、前記データの受信を拒否する第2受信モード、
前記データの前記送信元情報が、予め指定された前記エンドデバイスを示す情報である場合、前記データの受信を許可し、前記データの前記送信元情報が、予め指定された前記エンドデバイスを示す情報でない場合、前記データの受信を拒否する第3受信モード、
を含み、
前記上位制御部からのコマンドの内容に応じて、受信モードが設定される、
無線通信モジュール。
【請求項2】
前記エンドデバイスは、1又は複数のエンドデバイスから構成され、
前記アクセスポイントと前記1又は複数のエンドデバイスとは、スター型のネットワークトポロジを構成するように無線接続され、
前記無線通信は、周波数帯域が920MHz帯である電波を用いて行われ、
前記1又は複数のエンドデバイスのそれぞれは、センサを備え、
前記データは、前記センサの検出結果である、
請求項に記載された無線通信モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信モジュールに関する。特に、本発明は、無線通信ネットワークシステムにおいて、エンドデバイスとの間で無線通信を行うアクセスポイントに設けられる無線通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信ネットワークシステムでは、エンドデバイスとアクセスポイントとの間においてセキュリティが確保されたコネクションを確立する方法として、様々な方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、無線ネットワークの各装置を選択する方法が開示されている。特許文献1の方法では、無線リモート装置が、RSSI(Received Signal Strength Indication)値に対応した第1閾値を含むブロードキャストメッセージを無線ネットワークの各装置へ送出する。無線ネットワークの各装置は、受信されたブロードキャストメッセージのRSSI測定を行い、受信されたブロードキャストメッセージに含まれる第1閾値とRSSI測定値とを比較する。そして、無線ネットワークの各装置では、第1閾値より大きいRSSI測定値を測定した無線ネットワークの装置だけが、RSSI測定値を含むユニキャストメッセージを無線リモート装置へ送信する。その後、無線リモート装置では、最大のRSSI測定値を含むユニキャストメッセージを送信した装置を、最良の通信リンク品質を有する装置として選択し、コマンドを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−514319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、無線ネットワークの各装置と無線リモート装置とが、RSSIという受信信号強度に基づくペアリング技術を用いることによって、両者間のコネクションを確立している。更に、特許文献1の方法では、無線ネットワークの各装置と無線リモート装置とのそれぞれに、専用の無線通信モジュールを用意する必要がある。このようなことから、特許文献1の方法では、無線ネットワークの各装置及び無線リモート装置のそれぞれの構成が複雑になると共に、セキュリティが確保されたコネクションを確立するには非常に手間が掛かり、消費電力も大きくなる。よって、特許文献1の方法では、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムを構築することは、容易ではない。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明の課題の一例は、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムを簡単に構築することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る無線通信モジュールは、エンドデバイスとの間で無線通信を行うアクセスポイントに設けられた無線通信モジュールであって、エンドデバイス用として動作する第1動作モードと、アクセスポイント用として動作し、上位制御部との間でシリアルデータ通信を行う第2動作モードとを含む複数の動作モードで動作可能に構成され、前記第2動作モードで動作するよう予め設定されており、前記第2動作モードにおいて、前記エンドデバイスから送信されるデータの送信元情報又は宛先情報に基づいて、前記データの受信を制限する複数の受信モードで動作し、前記複数の受信モードは、前記データの前記宛先情報が、前記アクセスポイントを指定する情報である場合、又は、ブロードキャスト方式での送信を示す情報である場合、前記データの受信を許可する第1受信モード、前記データの前記宛先情報が、前記アクセスポイントを指定する情報である場合、前記データの受信を許可し、そうでない場合には、前記データの受信を拒否する第2受信モード、前記データの前記送信元情報が、予め指定された前記エンドデバイスを示す情報である場合、前記データの受信を許可し、前記データの前記送信元情報が、予め指定された前記エンドデバイスを示す情報でない場合、前記データの受信を拒否する第3受信モード、を含み、前記上位制御部からのコマンドの内容に応じて、受信モードが設定される。
【0010】
好適には、前記無線通信モジュールにおいて、前記エンドデバイスは、1又は複数のエンドデバイスから構成され、前記アクセスポイントと前記1又は複数のエンドデバイスとは、スター型のネットワークトポロジを構成するように無線接続され、前記無線通信は、周波数帯域が920MHz帯である電波を用いて行われ、前記1又は複数のエンドデバイスのそれぞれは、センサを備え、前記データは、前記センサの検出結果である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る無線通信モジュールは、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムを簡単に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図2】エンドデバイス及びアクセスポイントの機能的構成を示すブロック図である。
図3】第1無線通信モジュール及び第2無線通信モジュールの動作モードを説明するための図である。
図4】第2無線通信モジュールの受信モードを説明するための図である。
図5】アクセスポイントで行われる第1データ受信処理の流れを示す図である。
図6】アクセスポイントで行われる第2データ受信処理の流れを示す図である。
図7】アクセスポイントで行われる第3データ受信処理の流れを示す図である。
図8】実施形態2に係る無線通信システムで行われるデータ通信処理の流れを示す図である。
図9】実施形態3に係る無線通信システムで行われるデータ通信処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
[実施形態1:無線通信システム及び無線通信モジュールの構成]
図1は、実施形態1に係る無線通信システム1の構成を示す図である。
【0015】
無線通信システム1は、エンドデバイス2とアクセスポイント3とが無線接続されたコンピュータネットワークシステムである。無線通信システム1は、低消費電力で長距離通信が可能な無線通信ネットワークシステムである。無線通信システム1の無線通信に用いられる電波の周波数帯域は、その使用に関する免許が不要な帯域であり、例えば、日本においては920MHz帯域である。無線通信システム1は、IoT(Internet of Things)又はM2M(Machine to Machine)等の技術分野に適したシステムであってよい。
【0016】
無線通信システム1は、図1に示されるように、1又は複数のエンドデバイス2と、アクセスポイント3と、上位制御部4とを有する。アクセスポイント3と1又は複数のエンドデバイス2とは、1対Nのスター型のネットワークトポロジを構成するように無線接続される。上位制御部4は、アクセスポイント3と接続された、サーバ等の上位制御装置のコントローラである。
【0017】
無線通信システム1では、1又は複数のエンドデバイス2のそれぞれで取得されたデータが、アクセスポイント3へ送信され、アクセスポイント3と接続された上位制御部4に送信される。そして、上位制御部4へ送信されたデータは、上位制御部4の各種アプリケーションプログラムで分析及び加工され、各種サービスの提供等に活用される。無線通信システム1は、図1に示された装置以外の各種機器を有してよい。
【0018】
図2は、エンドデバイス2及びアクセスポイント3の機能的構成を示すブロック図である。
【0019】
1又は複数のエンドデバイス2のそれぞれは、上位制御部4へ送信するためにアクセスポイント3へ送信される各種データを取得する機器である。1又は複数のエンドデバイス2のそれぞれは、温度等の所定物理量の検出等を行って各種データを取得するセンサを備えた機器であってよい。
【0020】
エンドデバイス2は、図2に示されるように、データ取得部21と、端末制御部22と、第1無線通信モジュール23とを備える。
【0021】
データ取得部21は、アクセスポイント3へ送信される各種データを取得する。データ取得部21は、所定物理量の検出等を行う各種センサであってよい。データ取得部21で取得されるデータは、各種センサの検出値等の検出結果であってよい。データ取得部21は、端末制御部22と接続され、取得されたデータを端末制御部22へ出力する。
【0022】
端末制御部22は、エンドデバイス2の各構成要素を統括的に制御するコントローラである。端末制御部22は、プロセッサ及び記憶装置を含むと共に、エンドデバイス2の各種機能が実装された各種プログラムを含んで構成される。端末制御部22は、データ取得部21から出力されたデータを受け取る。端末制御部22は、受け取られたデータを第1無線通信モジュール23へ送信する。
【0023】
第1無線通信モジュール23は、エンドデバイス2に設けられ、アクセスポイント3との間で無線通信を行うための無線通信モジュールである。
【0024】
第1無線通信モジュール23は、図2に示されるように、第1無線通信モジュール23をその周辺回路である端末制御部22と通信可能に接続するためのIF(interface)回路部24を備える。更に、第1無線通信モジュール23は、アンテナを含み、アクセスポイント3へ送信されるデータを所定の通信プロトコルに準じて送信する無線通信回路部25を備える。更に、第1無線通信モジュール23は、制御部27が各種処理を実行するために必要な各種プログラム等が記憶された記憶部26を備える。更に、第1無線通信モジュール23は、第1無線通信モジュール23の各構成要素を統括的に制御する制御部27を備える。
【0025】
アクセスポイント3は、エンドデバイス2からのデータ送信を受け付け、上位制御部4との通信を仲介する機器である。アクセスポイント3は、図2に示されるように、第2無線通信モジュール31を備える。
【0026】
第2無線通信モジュール31は、アクセスポイント3に設けられ、エンドデバイス2との間で無線通信を行うための無線通信モジュールである。
【0027】
第2無線通信モジュール31は、図2に示されるように、IF回路部32と、無線通信回路部33と、記憶部34と、制御部35とを備える。
【0028】
第2無線通信モジュール31は、IF回路部32、無線通信回路部33、記憶部34及び制御部35を備えたSoC(System on a Chip)と、このSoCが搭載されるプリント基板とから構成されてよい。プリント基板には、プリントアンテナが設けられてもよいし、外部アンテナとの接続に用いられるコネクタが設けられてもよい。第2無線通信モジュール31は、第1無線通信モジュール23と略同一のハードウェア及びファームウェアで構成される。
【0029】
IF回路部32は、第2無線通信モジュール31をその周辺回路と通信可能に接続するためのIF回路である。第2無線通信モジュール31の周辺回路は、例えば、上位制御部4等である。IF回路部32は、シリアルデータ通信形式に対応したIF回路であってよい。IF回路部32は、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver - Transmitter)形式に対応したIF回路であってよい。
【0030】
第2無線通信モジュール31と上位制御部4とのデータ通信は、所定のコマンド体系に基づいて行われる。所定のコマンド体系は、ATコマンド等の、UART通信に係る汎用的なコマンド体系であってよい。この所定のコマンド体系は、第2無線通信モジュール31と上位制御部4とのデータ通信だけでなく、端末制御部22と第1無線通信モジュール23とのデータ通信でも使用され、無線通信システム1全体で共有されている。
【0031】
無線通信回路部33は、アンテナを含み、エンドデバイス2から送信されたデータを、所定の通信プロトコルに準じて受信する。
【0032】
記憶部34には、制御部35が各種処理を実行するために必要な各種プログラム及び各種設定情報、並びに、各種処理の結果として一時的に生じたデータ等が記憶される。特に、記憶部34には、無線通信システム1の通信機能を実現するためのファームウェアが予め記憶されている。このファームウェアは、エンドデバイス2とアクセスポイント3との間の無線通信に係るプログラムと、エンドデバイス2又はアクセスポイント3におけるシリアルデータ通信に係るプログラムと、第2無線通信モジュール31を複数の動作モードで動作させるためのプログラムとを含む。更に、このファームウェアは、第2無線通信モジュール31を複数の受信モードで動作させるためのプログラムを含む。なお、複数の動作モードの詳細については、図3を用いて後述する。複数の受信モードの詳細については、図4を用いて後述する。
【0033】
制御部35は、プロセッサを含み、第2無線通信モジュール31の各構成要素を統括的に制御して、第2無線通信モジュール31の各種機能を実現するための各種処理を実行する。特に、制御部35は、第1無線通信モジュール23と第2無線通信モジュール31との間の無線通信を行う際には、記憶部34に記憶されたプログラムに基づいて、無線通信回路部33の動作を制御する。また、制御部35は、第2無線通信モジュール31がその起動時に設定された動作モードで動作するよう、IF回路部32及び無線通信回路部33を含む第2無線通信モジュール31の各構成要素を制御する。また、制御部35は、上位制御部4からのコマンドを受信した際には、第2無線通信モジュール31がコマンド受信時に設定された受信モードで動作するよう、IF回路部32及び無線通信回路部33を含む第2無線通信モジュール31の各構成要素を制御する。
【0034】
[実施形態1:無線通信モジュールの動作モード]
図3は、第1無線通信モジュール23及び第2無線通信モジュール31の動作モードを説明するための図である。
【0035】
上述のように、第1無線通信モジュール23及び第2無線通信モジュール31は、互いに略同一のハードウェア及びファームウェアで構成される。このファームウェアには、第1無線通信モジュール23及び第2無線通信モジュール31を、複数の動作モードで動作させるためのプログラムが含まれる。複数の動作モードは、第1動作モード及び第2動作モードを含む。
【0036】
第1動作モードは、エンドデバイス2に設けられる無線通信モジュールの通信機能を実現するための動作モードである。具体的には、第1動作モードは、エンドデバイス2の端末制御部22との間でシリアルデータ通信を行い、第2無線通信モジュール31との間で所定の通信プロトコルに準じて無線通信を行う動作モードである。
【0037】
第2動作モードは、アクセスポイント3に設けられる無線通信モジュールの通信機能を実現するための動作モードである。具体的には、第2動作モードは、第1無線通信モジュール23との間で所定の通信プロトコルに準じて無線通信を行い、上位制御部4との間でシリアルデータ通信を行う動作モードである。
【0038】
第1無線通信モジュール23及び第2無線通信モジュール31のそれぞれは、電源投入時又はハードウェアリセット時等の起動時に、データ入出力ポートがどのような状態であるかに応じて、第1動作モード又は第2動作モードの何れかが設定される。そして、第1無線通信モジュール23及び第2無線通信モジュール31のそれぞれは、設定された動作モードに応じて、エンドデバイス2に設けられる無線通信モジュールとして動作するのか、アクセスポイント3に設けられる無線通信モジュールとして動作するのかが決定される。このように、第1無線通信モジュール23及び第2無線通信モジュール31は、共通のハードウェア及びファームウェアで構成されるものの、起動時に設定された動作モードに応じて、異なる通信機能を実現するように動作することができる。
【0039】
[実施形態1:第2無線通信モジュールの受信モード]
図4は、第2無線通信モジュール31の受信モードを説明するための図である。
【0040】
第2無線通信モジュール31に予め記憶されたファームウェアには、第2無線通信モジュール31を複数の受信モードで動作させるためのプログラムが含まれる。受信モードは、エンドデバイス2から送信されたデータに対する受信処理の方式を示す。複数の受信モードのそれぞれでは、エンドデバイス2から送信されたデータの送信元情報又は宛先情報に基づいて、送信されたデータの受信を許可するか否かが判断される。すなわち、第2無線通信モジュール31では、複数の受信モードの何れで受信処理を行う場合でも、送信されたデータの送信元情報又は宛先情報に基づいて、データの受信を制限する。複数の受信モードは、第1受信モード、第2受信モード及び第3受信モードを含む。
【0041】
第1受信モードは、エンドデバイス2から送信されたデータの宛先情報が、アクセスポイント3自身を指定する情報、又は、ブロードキャスト方式での送信を示す情報である場合には、データを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を許可するモードである。そうでない場合には、第1受信モードは、データを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を拒否するモードである。
【0042】
ブロードキャスト方式での送信を示す情報であるとは、無線通信システム1のネットワーク内に存在する不特定多数の機器が宛先であることを示す情報である。不特定多数の機器が宛先であることを示す情報は、例えば16進数表記で「0xFF」など、エンドデバイス2との間で予め定められていればよい。アクセスポイント3を指定する情報は、アクセスポイント3の識別情報である。アクセスポイント3の識別情報は、アクセスポイント3に設けられた第2無線通信モジュール31のMAC(Media Access Control)アドレスの下位32ビットであってよい。
【0043】
第2受信モードは、エンドデバイス2から送信されたデータの宛先情報が、アクセスポイント3自身を指定する情報である場合には、データを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を許可するモードである。そうでない場合には、第2受信モードは、データを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を拒否するモードである。
【0044】
第3受信モードは、エンドデバイス2から送信されたデータの送信元情報が、予め指定されたエンドデバイス2を示す情報である場合には、データを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を許可するモードである。そうでない場合には、第3受信モードは、データを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を許可するモードである。
【0045】
予め指定されたエンドデバイス2を示す情報とは、受信を許可するとして予め指定されたエンドデバイス2の識別情報である。エンドデバイス2の識別情報は、エンドデバイス2に設けられた第1無線通信モジュール23のMACアドレスの下位32ビットであってよい。受信を許可するエンドデバイス2は、起動時にデフォルトで指定されてもよいし、上位制御部4からのコマンドによって指定されてもよい。
【0046】
第2無線通信モジュール31は、受信モードを設定する上位制御部4からのコマンドを受信時に、コマンドの内容に応じて、第1〜第3受信モードの何れかが設定される。そして、第2無線通信モジュール31は、設定された受信モードに応じて、エンドデバイス2から送信されたデータに対する受信処理を行い、データの受信を制限する。なお、第2無線通信モジュール31では、上述の上位制御部4からのコマンドを受信する前、デフォルトの受信モードとして第1受信モードを設定してよい。このように、第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2との間でペアリングに係る通信が行われなくても、アクセスポイント3側の設定だけで、データの受信を制限することができる。
【0047】
[実施形態1:データ通信処理]
本実施形態では、エンドデバイス2で取得されたデータを、上位制御部4へ送信するために無線通信システム1で行われる処理を、単に「データ通信処理」とも称する。また、本実施形態では、データ通信処理のうち、エンドデバイス2からアクセスポイント3へデータを送信する処理を、単に「データ送信処理」とも称する。また、本実施形態では、データ通信処理のうち、エンドデバイス2から送信されたデータをアクセスポイント3で受信する処理を、単に「データ受信処理」とも称する。
【0048】
データ送信処理では、エンドデバイス2は、取得されたデータをパケット単位でアクセスポイント3へ送信する。本実施形態では、エンドデバイス2からアクセスポイント3へ送信されるパケットを、単に「送信パケット」とも称する。同様に、本実施形態では、送信パケットに応答するためにアクセスポイント3からエンドデバイス2へ送信されるパケットを、単に「応答パケット」とも称する。
【0049】
データ通信処理の際、端末制御部22は、データ取得部21で取得されたデータを受け取ると、このデータを含む送信コマンドを作成して、第1無線通信モジュール23へ送信する。第1無線通信モジュール23は、受信されたコマンドを確認する。そして、第1無線通信モジュール23は、コマンドが送信コマンドであれば、送信コマンドに含まれるデータがアクセスポイント3へ送信するデータであると判断し、データ送信処理を行う。
【0050】
アクセスポイント3では、エンドデバイス2からデータが送信されると、第2無線通信モジュール31がデータ受信処理を行う。この際、アクセスポイント3は、設定された受信モードに応じたデータ受信処理を行う。本実施形態では、第1受信モードに応じたデータ受信処理を、単に「第1データ受信処理」とも称する。また、本実施形態では、第2受信モードに応じたデータ受信処理を、単に「第2データ受信処理」とも称する。また、本実施形態では、第3受信モードに応じたデータ受信処理を、単に「第3データ受信処理」とも称する。
【0051】
図5は、アクセスポイント3で行われる第1データ受信処理の流れを示す図である。
【0052】
ステップ501において、第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2から送信された送信パケットの送信元情報及び宛先情報を特定する。
【0053】
ステップ502において、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの宛先情報がブロードキャスト方式での送信を示す情報であるか否かを判断する。ブロードキャスト方式での送信を示す情報であるとは、上述のように、不特定多数の機器が宛先であることを示す情報であり、予め定められた情報である。第2無線通信モジュール31は、送信パケットの宛先情報がブロードキャスト方式での送信を示す情報である場合、ステップ504へ移行する。一方、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの宛先情報がブロードキャスト方式での送信を示す情報でない場合、ステップ503へ移行する。
【0054】
ステップ503において、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの宛先情報が自身を指定する情報であるか否かを判断する。自身を指定する情報とは、上述のように、アクセスポイント3の識別情報であり、アクセスポイント3の識別情報は、第2無線通信モジュール31のMACアドレスの下位32ビットであってよい。第2無線通信モジュール31は、送信パケットの宛先情報が自身を指定する情報でない場合、ステップ507へ移行する。一方、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの宛先情報が自身を指定する情報である場合、ステップ504へ移行する。
【0055】
ステップ504において、第2無線通信モジュール31は、送信パケットを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を許可すると判断する。そして、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの送信元情報を記憶してよい。送信パケットの送信元情報は、上述のように、送信パケットを送信したエンドデバイス2の識別情報であり、第1無線通信モジュール23のMACアドレスの下位32ビットであってよい。
【0056】
ステップ505において、第2無線通信モジュール31は、肯定応答を示す応答パケットをエンドデバイス2へ送信する。
【0057】
ステップ506において、第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2からの送信パケットを、正常に受信した受信データとして上位制御部4へ送信する。その後、第2無線通信モジュール31は、本処理を終了する。
【0058】
ステップ507において、第2無線通信モジュール31は、送信パケットを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を拒否すると判断する。そして、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの送信元情報を記憶してよい。
【0059】
ステップ508において、第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2からの送信パケットを破棄する。その後、第2無線通信モジュール31は、本処理を終了する。なお、第2無線通信モジュール31は、否定応答を示す応答パケットをエンドデバイス2へ送信してもよい。
【0060】
図6は、アクセスポイント3で行われる第2データ受信処理の流れを示す図である。
【0061】
ステップ601において、第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2から送信された送信パケットの送信元情報及び宛先情報を特定する。
【0062】
ステップ602において、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの宛先情報が自身を指定する情報であるか否かを判断する。第2無線通信モジュール31は、送信パケットの宛先情報が自身を指定する情報でない場合、ステップ606へ移行する。一方、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの宛先情報が自身を指定する情報である場合、ステップ603へ移行する。
【0063】
ステップ603〜ステップ607において、第2無線通信モジュール31は、図5のステップ504〜508と同様の処理を行う。
【0064】
図7は、アクセスポイント3で行われる第3データ受信処理の流れを示す図である。
【0065】
ステップ701において、第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2から送信された送信パケットの送信元情報及び宛先情報を特定する。
【0066】
ステップ702において、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの送信元情報が、受信を許可するとして予め指定されたエンドデバイス2を示す情報であるか否かを判断する。第2無線通信モジュール31は、送信パケットの送信元情報が、予め指定されたエンドデバイス2を示す情報でない場合、ステップ706へ移行する。一方、第2無線通信モジュール31は、送信パケットの送信元情報が、予め指定されたエンドデバイス2を示す情報である場合、ステップ703へ移行する。
行する。
【0067】
ステップ703〜ステップ707において、第2無線通信モジュール31は、図5のステップ504〜508と同様の処理を行う。
【0068】
[実施形態1:作用効果]
以上のように、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス用として動作する第1動作モードと、アクセスポイント用として動作する第2動作モードとを含む複数の動作モードで動作可能に構成される。そして、第2無線通信モジュール31は、起動時に設定された第2動作モードに応じて、アクセスポイント3の通信機能を実現するように動作することができる。このため、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、無線通信のデータ受信機能を実現するための専用品として構成されるのではなく、無線通信に不可欠な汎用品として構成され得る。それにより、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、大幅にコストを低減することができると共に、無線通信ネットワークシステムの簡単な構築に大きく貢献することができる。
【0069】
加えて、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、設定された受信モードに応じて、エンドデバイス2から送信されたデータの受信を制限する。第2無線通信モジュール31に設定される受信モードは、エンドデバイス2から送信されるデータの送信元情報又は宛先情報に基づいて、データの受信を制限するモードである。また、第2無線通信モジュール31への受信モードの設定は、上位制御部4からのコマンド受信時等に行われる。このため、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2との間でペアリングといった通信が行われなくても、アクセスポイント3側の設定だけで、データの受信を容易に制限することができる。そして、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2との間でペアリングといった通信が行われないため、消費電力を抑制することができる。
【0070】
特に、複数のエンドデバイス2が1つのアクセスポイント3へ接続される場合、従来のエンドデバイスに設けられた無線通信モジュールでは、アクセスポイントとの間で多数のペアリングを行う必要がある。このため、従来の無線通信システムでは、セキュリティが確保されたコネクションを確立するために非常に手間が掛かると共に、アクセスポイント側で多大な電力を消費する。このことは、アクセスポイントの交換が行われた場合には、特に問題となる。また、エンドデバイス2が、センサ機器のように、一旦取り付けられると頻繁に取り外しができない機器である場合には、エンドデバイス2の設定を頻繁に変更することは困難である。
【0071】
実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、アクセスポイント3側の設定だけで、データ受信を容易に制限することができると共に、データ通信以外のエンドデバイス2との無線通信を抑制して消費電力を抑制することができる。
【0072】
このようなことから、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムを、簡単に構築することができる。
【0073】
更に、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2から送信されるデータの送信元情報が、予め指定されたエンドデバイス2を示す情報である場合、データの受信を許可し、そうでない場合、データの受信を拒否することができる。このため、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31では、アクセスポイント3側が意図したエンドデバイス2から送信されたデータだけに、データ受信を制限することができる。よって、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムを、更に簡単に構築することができる。
【0074】
更に、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2から送信されるデータの宛先情報が、アクセスポイント3自身を指定する情報である場合、データの受信を許可し、ブロードキャスト方式での送信を示す情報である場合、データの受信を拒否することができる。このため、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31では、アクセスポイント3側が意図しないエンドデバイス2から送信されたデータを不用意に受信しないようにすることができる。よって、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムを、更に簡単に構築することができる。
【0075】
更に、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、エンドデバイス2から送信されるデータを複数の受信モードで受信可能に構成される。そして、第2無線通信モジュール31は、上位制御部4からのコマンド受信時に設定された受信モードに応じて、アクセスポイント3のデータ受信制限機能を実現するように動作することができる。このため、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、上位制御部4からのコマンドに応じて簡単に無線通信システム1のセキュリティを強化することができる。よって、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムを、更に簡単に構築することができる。
【0076】
更に、実施形態1に係る無線通信システム1では、エンドデバイス2は1又は複数のエンドデバイス2から構成され、アクセスポイント3と1又は複数のエンドデバイス2とはスター型のネットワークトポロジを構成するように無線接続される。そして、実施形態1に係る無線通信システム1では、無線通信は、周波数帯域が920MHz帯である電波を用いて行われ、1又は複数のエンドデバイス2のそれぞれはセンサを備え、それぞれのエンドデバイス2から送信されるデータはセンサの検出結果である。すなわち、実施形態1に係る無線通信システム1は、1又は複数のセンサにより取得された様々なデータを、ネットワークを介して収集し、各種サービスの提供に利用するセンサネットワークシステムに好適である。そして、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、センサネットワークシステムに好適な無線通信ネットワークシステムを構築するための無線通信モジュールに適用することができる。よって、実施形態1に係る第2無線通信モジュール31は、センサネットワークシステムとして好適な、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムを、簡単に構築することができる。
【0077】
[他の実施形態]
実施形態2及び3に係る無線通信システム1について説明する。実施形態2及び3に係る無線通信システム1の説明において、実施形態1に係る無線通信システム1と同様の構成及び動作に係る説明については、重複する説明となるため省略する。
【0078】
実施形態2及び3に係る無線通信システム1では、アクセスポイント3が、エンドデバイス2の動作を遠隔から制御する。具体的には、アクセスポイント3は、エンドデバイス2からのデータ送信に対する応答に、エンドデバイス2の動作を制御する制御情報を付加して、エンドデバイス2へ送信する。エンドデバイス2は、この応答に付加された制御情報に応じて、アクセスポイント3へのデータ送信を制御する。
【0079】
図8は、実施形態2に係る無線通信システム1で行われるデータ通信処理の流れを示す図である。
【0080】
実施形態2に係る無線通信システム1では、ステップ801〜805において、実施形態1と同様にデータ送信処理及びデータ受信処理が行われ、第2無線通信モジュール31から上位制御部4へ受信データが送信される。
【0081】
その後、実施形態2に係る無線通信システム1では、ステップ806に示されるように、上位制御部4から第2無線通信モジュール31へ制御情報Aが送信される。制御情報Aは、エンドデバイス2のデータ送信間隔を指定する情報であってよい。上位制御部4は、所定のコマンドに制御情報Aを付加して、第2無線通信モジュール31へ送信してよい。第2無線通信モジュール31は、次回以降のデータ送信に対する応答に制御情報Aを付加するため、制御情報Aを記憶する。そして、第2無線通信モジュール31は、ステップ807に示されるように、制御情報Aの送信が正常に行われたことを通知するOK信号を上位制御部4へ送信する。
【0082】
その後、実施形態2に係る無線通信システム1では、第1無線通信モジュール23から第2無線通信モジュール31へ送信パケットが正常に送信されると、第2無線通信モジュール31から第1無線通信モジュール23へ肯定応答を示す応答パケットが送信される。この際、第2無線通信モジュール31は、ステップ812に示されるように、応答パケットに制御情報Aを付加して第1無線通信モジュール23へ送信する。第1無線通信モジュール23は、ステップ814に示されるように、データ送信が正常に行われたことを通知するOK信号に制御情報Aを付加して端末制御部22へ送信する。
【0083】
その後、実施形態2に係る無線通信システム1では、ステップ815に示されるように、第1無線通信モジュール23及び端末制御部22が、制御情報Aに応じて、データ送信間隔を変更する。例えば、第1無線通信モジュール23及び端末制御部22は、所定期間に亘って消費電力が抑制されるよう、データ送信間隔を延長したり、所定期間に亘ってデータ送信が集中して行われるようデータ送信間隔を短縮したりすることができる。
【0084】
エンドデバイス2の動作を制御する制御情報は、データ送信間隔を指定する制御情報Aに限られない。エンドデバイス2の動作を制御する制御情報は、ステップ821に示されるように、データ送信に用いられる通信チャンネルを指定する制御情報Bであってよい。
【0085】
制御情報が制御情報Bである場合、実施形態2に係る無線通信システム1では、ステップ830に示されるように、第1無線通信モジュール23及び端末制御部22が、制御情報Bに応じて、通信チャンネルを変更する。そして、第2無線通信モジュール31及び上位制御部4においても、制御情報Bに応じて、通信チャンネルを変更する。
【0086】
このように、実施形態2に係る無線通信システム1では、アクセスポイント3が、エンドデバイス2からのデータ送信に対する応答に制御情報を付加することによって、エンドデバイス2の動作を遠隔から制御することができる。それにより、実施形態2に係る無線通信システム1では、専用の構成を新たに設けることなく、シンプルな構成でエンドデバイス2の遠隔制御を実現することができる。特に、エンドデバイス2が、センサ機器のように、一旦取り付けられると頻繁に取り外しができない機器である場合には、エンドデバイス2の設定を頻繁に変更することは困難である。実施形態2に係る無線通信システム1では、エンドデバイス2の遠隔制御を実現することができるため、エンドデバイス2を取り外すことなく簡単にエンドデバイス2の設定が変更可能となり、利便性が向上し得る。よって、実施形態2に係る無線通信システム1では、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムの利便性を向上させることができる。
【0087】
図9は、実施形態3に係る無線通信システム1で行われるデータ通信処理の流れを示す図である。
【0088】
実施形態3に係る無線通信システム1では、ステップ901〜906において、実施形態1と同様にデータ送信処理及びデータ受信処理が行われ、第2無線通信モジュール31から上位制御部4へ受信データが送信される。
【0089】
その後、実施形態3に係る無線通信システム1では、ステップ907に示されるように、上位制御部4から第2無線通信モジュール31へ制御情報Cが送信される。制御情報Cは、アクセスポイント3がデータ受信を許可する送信パケットの宛先情報又は送信元情報を指定する情報であってよい。上位制御部4は、所定のコマンドに制御情報Cを付加して、第2無線通信モジュール31へ送信してよい。第2無線通信モジュール31は、次回以降のデータ送信に対する応答に制御情報Cを付加するため、制御情報Cを記憶する。そして、第2無線通信モジュール31は、ステップ908に示されるように、制御情報Cの送信が正常に行われたことを通知するOK信号を上位制御部4へ送信する。そして、第2無線通信モジュール31は、制御情報Cによって指定された宛先情報又は送信元情報の送信パケットを送信したエンドデバイス2からのデータ受信のみを許可するよう、設定を変更する。
【0090】
その後、実施形態3に係る無線通信システム1では、第1無線通信モジュール23から第2無線通信モジュール31へ送信パケットが送信されると、ステップ914に示されるように、送信パケットの宛先情報又は送信元情報に基づいてデータ受信の可否が判断される。この宛先情報又は送信元情報は、制御情報Cによって指定された宛先情報又は送信元情報とは異なるため、第2無線通信モジュール31は、この送信パケットを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を拒否する。そして、第2無線通信モジュール31は、ステップ915に示されるように、否定応答を示す応答パケットに制御情報Cを付加して第1無線通信モジュール23へ送信する。第1無線通信モジュール23は、ステップ916に示されるように、データ送信が正常に行われなかったことを通知するNG信号に制御情報Cを付加して端末制御部22へ送信する。
【0091】
その後、実施形態3に係る無線通信システム1では、ステップ917に示されるように、第1無線通信モジュール23及び端末制御部22が、制御情報Cに応じて、宛先情報又は送信元情報を変更する。そして、第1無線通信モジュール23は、制御情報Cに応じた宛先情報又は送信元情報で送信パケットを作成し、第2無線通信モジュール31へ送信する。それにより、第2無線通信モジュール31は、ステップ920において、この送信パケットを送信したエンドデバイス2からのデータ受信を許可することができる。
【0092】
このように、実施形態3に係る無線通信システム1では、実施形態2と同様に、シンプルな構成でエンドデバイス2の遠隔制御を実現することができる。よって、実施形態3に係る無線通信システム1は、実施形態2と同様に、低消費電力でシンプルな構成でありセキュリティが確保された無線通信ネットワークシステムの利便性を向上させることができる。
【0093】
[その他]
上述の実施形態において、第2無線通信モジュール31は、特許請求の範囲に記載された「無線通信モジュール」の一例に該当する。エンドデバイス2は、特許請求の範囲に記載された「エンドデバイス」の一例に該当する。アクセスポイント3は、特許請求の範囲に記載された「アクセスポイント」の一例に該当する。データ取得部21は、特許請求の範囲に記載された「センサ」の一例に該当する。
【0094】
上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用することができる。上述の実施形態は、本発明の内容を限定するものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない程度に変更を加えることができる。
【0095】
上述の実施形態及び特許請求の範囲で使用される用語は、限定的でない用語として解釈されるべきである。例えば、「含む」という用語は、「含むものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「備える」という用語は、「備えるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0096】
1 無線通信システム
2 エンドデバイス
3 アクセスポイント
4 上位制御部
21 データ取得部
22 端末制御部
23 第1無線通信モジュール
24 IF回路部
25 無線通信回路部
26 記憶部
27 制御部
31 第2無線通信モジュール
32 IF回路部
33 無線通信回路部
34 記憶部
35 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9