(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756388
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】原子層堆積阻害材料
(51)【国際特許分類】
C23C 16/04 20060101AFI20200907BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20200907BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20200907BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20200907BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20200907BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20200907BHJP
H01G 4/33 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
C23C16/04
H01G4/30 160
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/318 C
H01L21/205
C23C16/455
H01G4/33 102
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-40782(P2019-40782)
(22)【出願日】2019年3月6日
(62)【分割の表示】特願2017-506464(P2017-506464)の分割
【原出願日】2016年3月8日
(65)【公開番号】特開2019-135325(P2019-135325A)
(43)【公開日】2019年8月15日
【審査請求日】2019年3月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-51240(P2015-51240)
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】岩地 直樹
【審査官】
今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−009788(JP,A)
【文献】
特開2008−218507(JP,A)
【文献】
特開2012−084638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/04
C23C 16/455
H01G 4/30
H01G 4/33
H01L 21/205
H01L 21/316
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、フッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂層と、原子層堆積法により形成された無機材料層とを有して成る電子部品であって、
前記含フッ素樹脂層と、前記無機材料の層とが、前記基板の含フッ素樹脂層および無機材料層が形成されている面に平行な方向に隣接して位置し、
前記含フッ素樹脂層は、下記式(I):
X−[(CR12)p−CR4R5−(CR22)r−CR6R7−
(CR32)q]n−Y (I)
[式中:
XおよびYが、それぞれ独立して、H、FまたはCR113であり;
R11は、それぞれ独立して、HまたはFであり;
R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、HまたはFであり;
R4およびR6は、それぞれ独立して、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であり;
R5およびR7は、それぞれ独立して、フッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であるか、あるいは
R5およびR7は、一緒になって、
−(O)s−(CR122)t−
(式中、
R12は、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であり、
sは0〜2の整数であり、tは1〜6の整数であり、
式中、OおよびCR122の存在順序は、記載の順に限定されず、任意である。)
で表される基を形成してもよく;
p、qおよびrは、それぞれ独立して、0〜6の整数であり;
nは、任意の自然数である。]
で表される含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料から形成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
フッ素含有量が40at%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
無機材料が、TiN、AINまたはSiNであることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の電子部品。
【請求項4】
基板と、フッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂層と、窒化物の層とを有して成る電子部品であって、
前記含フッ素樹脂層と、前記窒化物の層とが、前記基板の含フッ素樹脂層および窒化物の層が形成されている面に平行な方向に隣接して位置し、
前記含フッ素樹脂層は、下記式(I):
X−[(CR12)p−CR4R5−(CR22)r−CR6R7−
(CR32)q]n−Y (I)
[式中:
XおよびYが、それぞれ独立して、H、FまたはCR113であり;
R11は、それぞれ独立して、HまたはFであり;
R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、HまたはFであり;
R4およびR6は、それぞれ独立して、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であり;
R5およびR7は、それぞれ独立して、フッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であるか、あるいは
R5およびR7は、一緒になって、
−(O)s−(CR122)t−
(式中、
R12は、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であり、
sは0〜2の整数であり、tは1〜6の整数であり、
式中、OおよびCR122の存在順序は、記載の順に限定されず、任意である。)
で表される基を形成してもよく;
p、qおよびrは、それぞれ独立して、0〜6の整数であり;
nは、任意の自然数である。]
で表される含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料から形成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項5】
フッ素含有量が40at%以上であることを特徴とする、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
窒化物が、TiN、AINまたはSiNであることを特徴とする、請求項4または5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記含フッ素樹脂が、
R1およびR3がFであり、pが1または2であり、
R4およびR6が、Fであり、
R5およびR7が、一緒になって、−O−CF2−CF2−または−O−CF(CF3)2−O−を形成し、
qが0または1であり、
rが0である
式(I)で表される樹脂であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記含フッ素樹脂が、水素原子を含まないことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項9】
コンデンサである、請求項1〜8のいずれかに記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子層堆積法を用いる基板上への選択的成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子層堆積法(ALD:Atomic layer deposition)は、種々の電子部品、例えばコンデンサ、半導体デバイス等の製造に利用されており、例えば、電極または配線としての導電性薄膜や、誘電体層としての絶縁性薄膜がALDにより形成されている。このような薄膜、特に、電極または配線としての導電性薄膜を形成する場合には、基板上の所定の位置に所定の形状の薄膜を形成するためのパターニング技術が必要となる。ALDを用いる薄膜形成におけるパターニング技術としては、いくつかの報告がある。例えば、非特許文献1には、チタンイソプロポキシド(TiIP)と水蒸気(H
2O)の組み合わせからTiO
2をALDにより成膜する場合、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)上にはTiO
2膜が形成されず、これを原子層堆積阻害材料として基材上にパターニングすることにより、TiO
2膜を選択的に成膜できることが記載されている。また、特許文献1および2には、アクリル系樹脂に代表される種々のポリマーおよびオルガノシロキサンを原子層堆積阻害材料として用いることにより、選択的な成膜が可能になることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−540773号公報
【特許文献2】特表2011−501779号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Area selective atomic layer deposition of titanium dioxide: Effect of precursor chemistry, J. Vac. Sci. technol. B 24(6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなパターニング技術は、ALD条件、特に温度について制限があり、例えば非特許文献1の方法は、200℃を超える条件ではPMMAが熱分解してしまい使用できず、引用文献1および2の方法も、同様の理由から、250℃を超える条件では使用できない。また、本発明者らの研究により、従来のパターニング技術では、阻害効果が十分でない場合があることが見出された。
【0006】
従って、本発明の目的は、高温条件下でも使用することができ、阻害効果が高い原子層堆積阻害材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の含フッ素樹脂、特にフッ素含有量が高く、第3級炭素または第4級炭素を有し、官能基を有しない含フッ素樹脂を用いることにより、高温条件下でも原子層堆積の阻害効果を十分に得ることができることを見出し本発明に至った。
【0008】
本発明の第1の要旨によれば、フッ素含有量が30at%以上であり、少なくとも1つの第3級炭素もしくは第4級炭素を有し、かつ、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびイミド基を有しない含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料が提供される。
【0009】
本発明の第2の要旨によれば、フッ素含有量が30at%以上であり、250℃の原子層堆積条件下に曝された場合のフッ素含有量の減少率が、50%以下である含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料が提供される。
【0010】
本発明の第3の要旨によれば、250℃の原子層堆積条件下に曝された後のフッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料が提供される。
【0011】
本発明の第4の要旨によれば、下記式(I):
X−[(CR
12)
p−CR
4R
5−(CR
22)
r−CR
6R
7−(CR
32)
q]
n−Y ・・・(I)
[式中:
XおよびYが、それぞれ独立して、H、FまたはCR
113であり;
R
11は、それぞれ独立して、HまたはFであり;
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、HまたはFであり;
R
4およびR
6は、それぞれ独立して、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であり;
R
5およびR
7は、それぞれ独立して、フッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であるか、あるいは
R
5およびR
7は、一緒になって、
−(O)
s−(CR
122)
t−
(式中、
R
12は、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であり、
sは0〜2の整数であり、tは1〜6の整数であり、
式中、OおよびCR
122の存在順序は、記載の順に限定されず、任意である。)
で表される基を形成してもよく;
p、qおよびrは、それぞれ独立して、0〜6の整数であり;
nは、任意の自然数である。]
で表される含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料が提供される。
【0012】
本発明の第5の要旨によれば、基板上に無機材料の薄膜のパターンを原子層堆積法により形成する方法であって、
基板上に、上記の原子層堆積阻害材料を用いて、原子層堆積阻害層のパターンを形成すること、
次いで、原子層堆積法により、原子層堆積阻害層が存在しない領域に、無機材料の層を形成すること、
を含む方法が提供される。
【0013】
本発明の第6の要旨によれば、基板と、フッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂層と、原子層堆積法により形成された無機材料の層とを有して成る電子部品であって、
前記含フッ素樹脂層と、前記無機材料の層とが隣接して位置することを特徴とする電子部品が提供される。
【0014】
本発明の第7の要旨によれば、基板と、フッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂層と、窒化物の層とを有して成る電子部品であって、
前記含フッ素樹脂層と、前記窒化物の層とが隣接して位置することを特徴とする電子部品が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特定の含フッ素樹脂、特にフッ素含有量が高く、第3級炭素または第4級炭素を有し、官能基を有しない含フッ素樹脂を原子層堆積阻害材料として用いることにより、高温条件下での原子層堆積法であっても、好適に原子層堆積阻害効果を得ることができ、所望のパターンの薄膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明を用いて製造されるコンデンサ1の断面図である。
【
図2-1】
図2(a)〜(c)は、本発明を用いて製造されるコンデンサ1の製造工程を説明するための図である。
【
図2-2】
図2(d)〜(e)は、本発明を用いて製造されるコンデンサ1の製造工程を説明するための図である。
【
図3】原子層堆積法後の含フッ素樹脂中のフッ素含有量を測定する領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の原子層堆積阻害材料は、含フッ素樹脂から構成される。
【0018】
一の態様において、上記含フッ素樹脂のフッ素含有量は、30at%以上であり、好ましくは40at%以上、より好ましくは50at%以上である。含フッ素樹脂のフッ素含有量を30at%以上とすることにより、原子層堆積阻害効果がより高くなる。また、フッ素含有量の上限は、特に限定されず、その樹脂の構造上とり得る最大のフッ素含有量、即ちパーフルオロ化した場合のフッ素含有量であってもよい。
【0019】
フッ素樹脂中のフッ素含有量は、当該分野で公知の方法により測定することができ、例えば、樹脂の断面を走査透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析(STEM−EDS:Scanning Transmission Electron Microscope-Energy Dispersive Spectroscopy)、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectrometry)等により測定することができる。
【0020】
この態様において、含フッ素樹脂は、官能基を有しない。官能基とは、他の分子と反応性を有する基であり、例えばエステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イミド基、アミド基、スルホ基、アミノ基、チオール基、ニトロ基、フェニル基が挙げられる。本発明において、「官能基を有しない」とは、含フッ素樹脂中に官能基が実質的に存在しないことを意味し、完全にゼロである必要はない。実質的に存在しないとは、ALD環境に付した場合にも樹脂全体に対して影響を与えない量を意味し、例えば、特に限定するものではないが、樹脂中に存在する官能基の量が、樹脂全体に対して、1mmol%以下であればよい。含フッ素樹脂は、官能基を有しないことにより、高温(例えば、250℃以上)でのALD成膜においても、より高い原子層堆積阻害効果を発揮することができる。本発明はいかなる理論にも拘束されないが、高温のALD条件下では、官能基が活性化され、この部分を基点に樹脂の分解が促進されるため、官能基が存在すると原子層堆積阻害効果が低下すると考えられる。
【0021】
含フッ素樹脂中の官能基の存在は、当該分野で公知の方法により確認することができ、例えば、赤外線スペクトルにより確認することができる。
【0022】
この態様において、含フッ素樹脂は、少なくとも1つの第3級炭素または第4級炭素を有する。好ましくは、第3級炭素または第4級炭素は、含フッ素樹脂のモノマー単位に少なくとも1つ存在する。含フッ素樹脂は、第3級炭素または第4級炭素を有することにより、高温でのALD成膜においても、より高い原子層堆積阻害効果を発揮することができる。
【0023】
含フッ素樹脂中の第3級炭素または第4級炭素の存在は、当該分野で公知の方法により確認することができ、例えば、
13C−NMR(DEPT法:Distorsionless Enhancement by Polarization Transfer)により確認することができる。
【0024】
別の態様において、上記含フッ素樹脂は、250℃の原子層堆積条件下に曝された場合のフッ素含有量の減少率が、50%以下であり、好ましくは30%以下である。原子層堆積の条件に付した場合のフッ素含有量の減少率を、50%以下とすることにより、含フッ素樹脂の原子層堆積阻害材料としての機能が保持され、より高い原子層堆積効果を得ることができる。
【0025】
上記態様と同様に、含フッ素樹脂のフッ素含有量は、好ましくは30at%以上であり、より好ましくは50at%以上である。含フッ素樹脂のフッ素含有量を30at%以上とすることにより、原子層堆積阻害効果がより高くなる。
【0026】
この態様においては、上記フッ素含有量の減少率が低いほど、含フッ素樹脂のフッ素含有量を少なくすることができる。しかしながら、当然、フッ素含有量の減少率が低く、かつ、フッ素含有量が高いことが好ましい。
【0027】
この態様において、好ましくは、上記の態様と同様に、含フッ素樹脂は、官能基を有さず、および/または第3級炭素または第4級炭素を有し得る。
【0028】
さらに別の態様において、上記含フッ素樹脂は、250℃の原子層堆積条件下に曝された後のフッ素含有量が25at%以上であり、好ましくは40at%以上、さらに好ましくは50at%以上である。含フッ素樹脂は、このような原子層堆積の条件に付された後に、25at%以上のフッ素含有量を有することにより、より高い原子層堆積効果を発揮することができる。
【0029】
この態様において、好ましくは、上記の態様と同様に、フッ素含有量は、30at%以上であり、より好ましくは50at%以上である。また、好ましくは、含フッ素樹脂は、官能基を有さず、および/または第3級炭素または第4級炭素を有し得る。
【0030】
さらに別の態様において、上記含フッ素樹脂は、下記式(I):
X−[(CR
12)
p−CR
4R
5−(CR
22)
r−CR
6R
7−(CR
32)
q]
n−Y
・・・(I)
で表される含フッ素樹脂である。
【0031】
上記式中、XおよびYは、それぞれ独立して、H、FまたはCR
113である。前記R
11は、それぞれ独立して、HまたはFである。好ましくは、XおよびYは、それぞれ独立して、FまたはCF
3である。
【0032】
上記式中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、HまたはFであり、好ましくはすべてのR
1、R
2およびR
3はFである。
【0033】
上記式中、R
4およびR
6は、それぞれ独立して、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個(1個以上6個以下)のアルキル基である。前記炭素数1〜6個のアルキル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、好ましくは炭素数1〜3個のアルキル基であり、特にメチル基が好ましい。上記アルキル基は、フッ素により全置換されていていることが好ましく、即ちパーフルオロアルキル基が好ましい。好ましいパーフルオロアルキル基は、トリフルオロメチル基である。R
4およびR
6は、好ましくは、Fまたは炭素数1〜6個のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは、Fまたはトリフルオロメチル基である。
【0034】
上記式中、R
5およびR
7は、それぞれ独立して、フッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基である。このフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基は、好ましくはパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜3個のパーフルオロアルキル基である。
【0035】
また、R
5およびR
7は、一緒になって、
−(O)
s−(CR
122)
t−
(式中、
R
12は、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であり、
sは0以上2以下の整数であり、tは1以上6以下の整数であり、
式中、OおよびCR
122の存在順序は、記載の順に限定されず、任意である。)
で表される基を形成してもよい。
【0036】
この場合、R
5およびR
7は、それらが結合する炭素原子および−(CR
22)
r−基と下記の構造を有する環を形成する。
【化1】
【0037】
式中、sまたはtを付して括弧でくくられた各単位(OおよびCR
122)の存在順序は式中において任意である。例えば、sが1であり、tが2である場合、−O−CR
122−CR
122−、−CR
122−O−CR
122−、−CR
122−CR
122−O−のいずれであってもよい。
【0038】
R
12は、好ましくはFまたは炭素数1〜6個のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはFまたはトリフルオロメチル基である。
【0039】
好ましい−(O)
s−(CR
122)
t−は、−O−CR
122−O−または−(CF
2)
a−O−(CF
2)
b−(CFR
12)
c−(式中、aは0以上5以下の整数であり、bは0以上4以下の整数であり、cは0または1である)である。より好ましい−(O)
s−(CR
122)
t−は、−O−C(CF
3)
2−O−または−O−CF
2−CF
2−である。
【0040】
上記式中、p、qおよびrは、それぞれ独立して、0以上6以下の整数である。好ましくは、pおよびqは、0以上2以下の整数であり、rは0または1である。
【0041】
上記式中、nは、任意の自然数である。nは、特に限定されないが、例えば5以上10000以下の範囲であり得る。
【0042】
好ましいフッ素樹脂の例としては、例えば、下記構造:
【化2】
を有するフッ素樹脂が挙げられる。これらは、それぞれ、デュポン株式会社から商品名「テフロン(登録商標)AF」および旭硝子株式会社から商品名「サイトップ(登録商標)」として入手することができる。
【0043】
上記式(I)で表される含フッ素樹脂を用いることにより、より高い原子層堆積阻害効果を得ることができる。
【0044】
好ましい態様において、上記した含フッ素樹脂は、水素原子を含まない。即ち、上記した含フッ素樹脂は、炭素原子、フッ素原子および所望により酸素原子からなる。
【0045】
上記した含フッ素樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、1万以上が好ましくは、例えば1万以上100万以下、好ましくは2万以上50万以下であり得る。
【0046】
上記した含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料を用いることにより、高温(例えば250℃以上または300℃以上)条件など厳しい条件下であっても、基板上に薄膜のパターンを良好に形成することができる。
【0047】
従って、本発明は、基板上に無機材料の薄膜のパターンを原子層堆積法により形成する方法であって、
基板上に、上記した含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料を用いて、原子層堆積阻害層のパターンを形成すること、
次いで、原子層堆積法により、原子層堆積阻害層が存在しない領域に、無機材料の層を形成すること、
を含む方法も提供する。
【0048】
以下、本発明の方法を、
図1に示すコンデンサの製造において利用される場合を例として、図面を参照しながら説明する。但し、本発明は、以下の実施態様に限定されないことに留意されたい。
【0049】
図1に示すように、本実施態様で製造されるコンデンサ1は、概略的には、基板としての下部電極2と、その上に形成された原子層堆積阻害層4と、原子層堆積阻害層4に隣接して基板2上に順に形成された誘電体層6および上部電極8と、これらの端部に形成された端子電極10,10’とを有して成る。一方の端子電極10は、下部電極2と電気的に接続され、上部電極8と電気的に離隔されている。一方、他方の端子電極10’は上部電極8と電気的に接続され、下部電極2と電気的に離隔されている。
【0050】
まず、最初に基板(下部電極2)を準備する。次いで、基板2上に上記含フッ素樹脂から構成された原子層堆積阻害材料を所定の箇所に、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の印刷技術を利用して、原子層堆積阻害層4を形成する(
図2(a))。尚、この原子層堆積阻害層4を形成する方法は、上記した印刷技術に限定されず、原子層堆積阻害材料を基板の所定の位置に適用し、原子層堆積阻害層を形成できる方法であれば特に限定されない。
【0051】
次いで、原子層堆積阻害層4を形成した基板2上に、原子層堆積法を用いて、誘電体層6を形成する。この際、原子層堆積阻害層4の上には、誘電体層6は形成されない(
図2(b))。誘電体層6を形成する材料としては、絶縁性であれば特に限定されないが、例えば、AlO
x(例えば、Al
2O
3)、SiO
x(例えば、SiO
2)、AlTiO
x、SiTiO
x、HfO
x、TaO
x、ZrO
x、HfSiO
x、ZrSiO
x、TiZrO
x、TiZrWO
x、TiO
x、SrTiO
x、PbTiO
x、BaTiO
x、BaSrTiO
x、BaCaTiO
x、SiAlO
x等の金属酸化物;AlN
x、SiN
x、AlScN
x等の金属窒化物;またはAlO
xN
y、SiO
xN
y、HfSiO
xN
y、SiC
xO
yNz等(xおよびyは、任意の数字である)の金属酸窒化物が挙げられる。
【0052】
次いで、誘電体層6の上に、原子層堆積法を用いて、上部電極8を形成する。この際、原子層堆積阻害層4の上には、上部電極8は形成されない(
図2(c))。上部電極を構成する材料は、導電性であれば特に限定されないが、Ni、Cu、Al、W、Ti、Ag、Au、Pt、Zn、Sn、Pb、Fe、Cr、Mo、Ru、Pd、Taおよびそれらの合金層、例えばCuNi、AuNi、AuSn、ならびにTiN、TiAlN、TiON、TiAlON、TaN等の金属酸化物、金属酸窒化物などが挙げられ、TiN、TiONが好ましい。
【0053】
上記のようにして得られた積層体を、原子層堆積阻害層4の中間の位置で切断し、(
図2(d))、最後に端子電極10,10’をメッキにより形成することにより(
図2(e))、本実施形態のコンデンサ1が製造される。
【0054】
本発明の方法によれば、誘電体層6および上部電極8の形成において、原子層堆積阻害層4上にこれらの膜が形成されず、所望のパターンの層を形成することができる。上記の実施態様においては、上部電極8の形成時に、原子層堆積阻害層4上に導電性物質が付着すると、端子電極10と上部電極8との絶縁性が低下し、端子電極10を介して上部電極8と下部電極2が短絡する可能性がある。本発明は、このような可能性を実質的になくすことができる点で有利である。特に、上部電極を形成する材料として窒化物(例えば、TiN)を用いる場合には、より厳しい条件で原子層堆積が行われるので、本発明は非常に有利である。
【0055】
尚、上記実施形態においては、基板として下部電極を用いているが、本発明はこれに限定されず、種々の基板、例えば他の導電性基板、絶縁性基板、半導体基板などを用いることができる。また、本発明は、基板の上に直接原子層堆積阻害層を形成する態様に限定されず、基板の上に他の層を形成してもよい。例えば上記実施形態においては下部電極2の上にバッファー層を形成し、その上に原子層堆積阻害層を形成してもよい。
【0056】
本発明の方法を用いて形成された電子部品は、通常、基板上において、含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害層と、原子層堆積法により形成された無機材料の層とが隣接して位置する。
【0057】
従って、本発明は、基板と、フッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂層と、原子層堆積法により形成された無機材料の層とを有して成る電子部品であって、
前記含フッ素樹脂層と、前記無機材料の層とが隣接して位置することを特徴とする電子部品をも提供する。
【0058】
尚、上記隣接とは、含フッ素樹脂層と無機材料の層とが隣合って実質的に接触している状態を意味する。実質的に接触しているとは、完全に密着している状態だけではなく、ごく僅か、例えばALDにより成膜する際のガスが侵入し得ない程度(数nm)の隙間が存在する状態も含む。
【0059】
上記したように、窒化物を原子層堆積法により形成する場合には、厳しい条件、例えば250℃以上の条件が必要となるため、本発明の原子層堆積阻害材料の使用は非常に有利である。
【0060】
従って、別の態様において、本発明は、基板と、フッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂層と、窒化物の層とを有して成る電子部品であって、
前記含フッ素樹脂層と、前記窒化物の層とが隣接して位置することを特徴とする電子部品を提供する。
【0061】
本発明において、原子層堆積阻害層の上面(基板側の面と対向する面)には、実質的に上記無機材料または窒化物の層は存在しない。
【0062】
上記電子部品の発明において、含フッ素樹脂層のフッ素含有量は、好ましくは、フッ素含有量が40at%以上である。また、上記含フッ素樹脂層は、好ましくは、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびイミド基が存在しない。
【0063】
上記無機材料は、好ましくは、窒化物である。窒化物としては、例えばTiN、AINまたはSiNが挙げられる。
【0064】
尚、上記含フッ素樹脂層中のフッ素含有量は、含フッ素樹脂層と無機材料(または窒化物)の層との界面から含フッ素樹脂の内部へ100nmの領域(例えば
図3に示す領域)のフッ素含有量の平均値である。
【0065】
上記電子部品は、上記したコンデンサに限定されず、他の電子部品、例えば、トランジスタ、回路基板、半導体デバイス等であってもよい。
【0066】
以上、本発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【実施例】
【0067】
試験例1
約10cm角のAl基板上にディスペンサーを用いて、下記表1に示す材料A〜Eを用いて、それぞれ、下記表1に示す膜厚、6mmピッチで線幅1mmの格子状パターンをスクリーン印刷により形成した。次いで、パターンを形成した基板上に、原子層堆積法を用いて、絶縁層としてAlOx(原料:トリメチルアルミニウム;条件:180サイクル;250℃)を、電極層としてTiN膜(原料:テトラキスジメチルアミノチタンおよびアンモニア;条件:100サイクル;250℃)を成膜した。尚、材料DおよびEは実施例である。材料Aはフッ素不含樹脂であり、材料Bは分子中にエステル結合を有する含フッ素樹脂であり、材料Cは末端に−Si(OH)
3を有する含フッ素樹脂であり、これらは比較例である。
【0068】
【表1】
【0069】
【化3】
【0070】
(評価)
・樹脂塗布部の電気抵抗値
成膜後の樹脂塗布部の電気抵抗値(樹脂塗布部の格子により形成された隣接するセル間の抵抗値)を二端子法で測定した。結果を下記表2に示す。
【0071】
・樹脂塗布部のX線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)分析
また、上記の抵抗値が高かった材料B、DおよびEについて、ALD前後に、樹脂塗布部を、X線光電子分光装置により表面分析した。結果を下記表2に併せて示す。測定箇所は、格子が交わる箇所の中心付近の直径2nmのスポットとした。
【0072】
【表2】
【0073】
・ALD後のフッ素含有量
ALD後の試料を、収束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)により加工して、断面を露出させた。断面のTiN膜と樹脂層の界面から100nmの領域(
図3参照)の平均フッ素量を、STEM−EDS測定装置(STEM:日本電子株式会社(JEM−2200FS)、EDS検出器:日本電子株式会社(ドライSD60GV)、EDSシステム:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社(Noran system7))により測定した。
【0074】
結果は、樹脂DおよびEは、フッ素含有量が30at%以上であった。一方、樹脂Bは、フッ素含有量が僅か(3at%以下)であり、樹脂Cはフッ素がほぼ存在しなかった(定量下限以下)。
【0075】
上記の結果から明らかなように、フッ素含有量が30at%以上で、官能基を有しない材料DおよびEを用いた場合には、ALD後も樹脂塗布部において高い抵抗値を維持し、また、樹脂上にTiがほとんど存在しなかった。一方、フッ素不含樹脂である材料Aおよび末端に官能基を有する材料Cを用いた場合には、ALD後に樹脂塗布部の抵抗値が著しく低下し、また、樹脂上にTiが多く存在した。エステル結合を有する材料Bを用いた場合には、抵抗値は高かったが、樹脂上にTiが存在し、ALD阻害効果は十分ではなかった。以上から、本発明の範囲内にあるALD阻害材料は、非常に良好なALD阻害効果を有することが確認された。また、高いALD阻害効果を有する樹脂は、ALD後もフッ素含有量が高いことが確認された。尚、ここには記載していないが、ZrOx、SiOx、AlN、SiN、Al、CuおよびZrにおいても同様の効果が得られることが確認されている。
【0076】
試験例2
約10cm角のAl基板上に、ALD法を用いて、AlOx(原料:トリメチルアルミニウム;条件:180サイクル;250℃)を成膜した。次いで、試験例1と同様に、樹脂Dおよび樹脂Dの末端をCOOHとした樹脂D’を用いて、スクリーン印刷法により格子状パターンを形成した。次いで、ALD法を用いてTiN膜を成膜した(原料:テトラキスジメチルアミノチタンおよびアンモニア;条件:100サイクル;310℃)。
【0077】
(評価)
試験例1と同様に、ALD前後に、樹脂塗布部を、X線光電子分光装置により表面分析した。結果を下記表3に示す。
【表3】
【0078】
上記の結果から明らかなように、本発明の範囲内にある樹脂Dは、310℃での成膜であっても良好なALD阻害効果を有していた。一方、末端にCOOH基を有する樹脂D’は、ALD後の樹脂表面にTiが多く存在した。本発明はいかなる理論にも拘束されないが、これは、樹脂D’においては末端のCOOHが活性点となり、樹脂の劣化または分解が進行して、十分なALD阻害効果が得られなかったと考えられる。
【0079】
試験例3
ALD阻害材料としてフッ素含有量が約50at%であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用い、ALD法の温度条件を変える以外は(低温:約235℃;高温:約280℃)試験例1と同様にして、AlOxおよびTiNを連続成膜した。
【0080】
ALD後に、樹脂上のXPS分析を実施した結果、低温(約235℃)の場合のみALD阻害効果が確認できた。高温(約280℃)の場合には、PTFE上に、Tiが観察され、ALD膜の阻害効果が失われていることが確認された。
【0081】
本発明はいかなる理論にも拘束されないが、これは、PTFEはフッ素含有量は高いが、第1級炭素と第2級炭素しか含んでいないため、ALD中に解重合が生じやすくなっているためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の原子層堆積阻害材料は、種々の電子部品の製造において好適に用いられる。
本開示は、以下の態様を含む。
[1] フッ素含有量が30at%以上であり、少なくとも1つの第3級炭素もしくは第4級炭素を有し、かつ、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびイミド基を有しない含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料。
[2] フッ素含有量が50at%以上であることを特徴とする、上記[1]に記載の原子層堆積阻害材料。
[3] フッ素含有量が30at%以上であり、250℃の原子層堆積条件下に曝された場合のフッ素含有量の減少率が、50%以下である含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料。
[4] フッ素含有量の減少率が、30%以下であることを特徴とする、上記[3]に記載の原子層堆積阻害材料。
[5] 250℃の原子層堆積条件下に曝された後のフッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料。
[6] 250℃の原子層堆積条件下に曝された後のフッ素含有量が40at%以上であることを特徴とする、上記[5]に記載の原子層堆積阻害材料。
[7] 下記式(I):
X−[(CR
12)
p−CR
4R
5−(CR
22)
r−CR
6R
7−(CR
32)
q]
n−Y
(I)
[式中:
XおよびYが、それぞれ独立して、H、FまたはCR
113であり;
R
11は、それぞれ独立して、HまたはFであり;
R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、HまたはFであり;
R
4およびR
6は、それぞれ独立して、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であり;
R
5およびR
7は、それぞれ独立して、フッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であるか、あるいは
R
5およびR
7は、一緒になって、
−(O)
s−(CR
122)
t−
(式中、
R
12は、H、F、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6個のアルキル基であり、
sは0〜2の整数であり、tは1〜6の整数であり、
式中、OおよびCR
122の存在順序は、記載の順に限定されず、任意である。)
で表される基を形成してもよく;
p、qおよびrは、それぞれ独立して、0〜6の整数であり;
nは、任意の自然数である。]
で表される含フッ素樹脂から構成される原子層堆積阻害材料。
[8] 含フッ素樹脂が、
R
1およびR
3がFであり、pが1または2であり、
R
4およびR
6が、Fであり、
R
5およびR
7が、一緒になって、−O−CF
2−CF
2−または−O−CF(CF
3)
2−O−を形成し、
qが0または1であり、
rが0である
式(I)で表される樹脂であることを特徴とする、上記[7]に記載の原子層堆積阻害材料。
[9] 含フッ素樹脂が、水素原子を含まないことを特徴とする、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の原子層堆積阻害材料。
[10] 基板上に無機材料の薄膜のパターンを原子層堆積法により形成する方法であって、
基板上に、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の原子層堆積阻害材料を用いて、原子層堆積阻害層のパターンを形成すること、
次いで、原子層堆積法により、原子層堆積阻害層が存在しない領域に、無機材料の層を形成すること、
を含む方法。
[11] 基板と、フッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂層と、原子層堆積法により形成された無機材料の層とを有して成る電子部品であって、
前記含フッ素樹脂層と、前記無機材料の層とが隣接して位置することを特徴とする電子部品。
[12] フッ素含有量が40at%以上であることを特徴とする、上記[11]に記載の電子部品。
[13] フッ素樹脂層に、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびイミド基が存在しないことを特徴とする上記[11]または[12]に記載の電子部品。
[14] 無機材料が、TiN、AINまたはSiNであることを特徴とする、上記[11]〜[13]のいずれかに記載の電子部品。
[15] 基板と、フッ素含有量が25at%以上である含フッ素樹脂層と、窒化物の層とを有して成る電子部品であって、
前記含フッ素樹脂層と、前記窒化物の層とが隣接して位置することを特徴とする電子部品。
[16] フッ素含有量が40at%以上であることを特徴とする、上記[15]に記載の電子部品。
[17] フッ素樹脂層に、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびイミド基が存在しないことを特徴とする上記[15]または[16]に記載の電子部品。
[18] 窒化物が、TiN、AINまたはSiNであることを特徴とする、上記[15]〜[17]のいずれかに記載の電子部品。
[19] 上記[10]に記載の方法を用いて製造された、上記[11]〜[18]のいずれかに記載の電子部品。
[20] コンデンサである、上記[11]〜[19]のいずれかに記載の電子部品。
【符号の説明】
【0083】
1…コンデンサ
2…基板(下部電極)
4…原子層堆積阻害層
6…誘電体層
8…上部電極
10,10’…端子電極
12…アルミニウム基板
14…AIO
x層
16…TiN層
18…樹脂層
20…測定領域