特許第6756446号(P6756446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756446
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 7/16 20060101AFI20200907BHJP
   B05C 5/04 20060101ALI20200907BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20200907BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20200907BHJP
   G01N 25/72 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   B65B7/16 E
   B05C5/04
   B05C11/00
   B05C11/10
   G01N25/72 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-249701(P2015-249701)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-114497(P2017-114497A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(72)【発明者】
【氏名】金原 圭司
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−034778(JP,A)
【文献】 特開平05−115822(JP,A)
【文献】 特開2004−020243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 7/16
B05C 5/04−11/04
G01N 25/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルトが塗布される塗布面、及び、当該塗布面に塗布されたホットメルトにより当該塗布面に接着される接着面を有するワークが有する当該塗布面に対してホットメルトを塗布する塗布部と、
前記ワークのうちの、前記塗布部により塗布されたホットメルトにより塗布面に接着された接着面における当該塗布面とは反対側の面を撮影して、熱画像を得る赤外線カメラと、
前記赤外線カメラにより得られた熱画像から、規定温度範囲内の面積を算出する面積算出部と、
前記面積算出部により算出された面積から、ホットメルトの塗布量を算出する塗布量算出部と、
前記塗布量算出部により算出されたホットメルトの塗布量が閾値範囲内であるかを判定する塗布量判定部と、
前記塗布量判定部による判定結果に応じて、前記塗布部に対してホットメルトの塗布量を変更するよう指示する塗布量変更部と
を備えた塗布装置。
【請求項2】
前記塗布量変更部は、前記塗布量判定部によりホットメルトの塗布量が前記閾値範囲の上限値を上回ると判定された場合に、前記塗布部に対して、ホットメルトの塗布量を減らすように指示し、前記塗布量判定部によりホットメルトの塗布量が前記閾値範囲の下限値を下回ると判定された場合に、前記塗布部に対して、ホットメルトの塗布量を増やすように指示する
ことを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークに対してホットメルトを塗布する塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ペットボトル又は缶等の製品を段ボールに梱包するパッケージ成形ラインにおいて、段ボールの接着手段としてホットメルトが利用されている。
また、ホットメルトにより接着されたワーク(段ボール等)に対して、赤外線カメラを用いて接着状態の良否判定を行うものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−34778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワークに対してホットメルトを塗布する従来の塗布装置(ホットメルトアプリケーター、メルター)では、ホットメルトの塗布量の設定値を変更することはできるが、実際の接着状態に応じて塗布量を調整することはできないという課題がある。そのため、塗布装置が置かれた環境の変化(季節等による温度湿度等の変化)又はホットメルトのロット変更による溶融温度の違い等により、実際の接着状態が変化しても、自動で塗布量を変更することはできない。
また、特許文献1に開示された装置では、赤外線カメラを用いて接着状態の良否判定を行っている。しかしながら、この装置では、上記と同様に、実際の接着状態に応じて塗布量を調整することはできない。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、実際の接着状態に応じてホットメルトの塗布量を調整することができる塗布装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る塗布装置は、ホットメルトが塗布される塗布面、及び、当該塗布面に塗布されたホットメルトにより当該塗布面に接着される接着面を有するワークが有する当該塗布面に対してホットメルトを塗布する塗布部と、ワークのうちの、塗布部により塗布されたホットメルトにより塗布面に接着された接着面における当該塗布面とは反対側の面を撮影して、熱画像を得る赤外線カメラと、赤外線カメラにより得られた熱画像から、規定温度範囲内の面積を算出する面積算出部と、面積算出部により算出された面積から、ホットメルトの塗布量を算出する塗布量算出部と、塗布量算出部により算出されたホットメルトの塗布量が閾値範囲内であるかを判定する塗布量判定部と、塗布量判定部による判定結果に応じて、塗布部に対してホットメルトの塗布量を変更するよう指示する塗布量変更部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、実際の接着状態に応じてホットメルトの塗布量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係る塗布装置の構成例を示す図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る塗布装置の動作例を示すフローチャートである。
図3】この発明の実施の形態1に係る塗布装置の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る塗布装置1の構成例を示す図である。
塗布装置1は、ワーク2(段ボール2a等)に対してホットメルト3を塗布する装置であり、例えばペットボトル又は缶等の製品を段ボール2aに梱包するパッケージ成形ラインに用いられる。この塗布装置1は、図1に示すように、塗布部11、赤外線サーモグラフィ(赤外線カメラ)12、面積算出部13、塗布量算出部14、塗布量判定部15及び塗布量変更部16を備えている。
【0010】
塗布部11は、ワーク2に対してホットメルト3を塗布するものである。また、塗布部11は、塗布量変更部16による指示に応じて、ホットメルト3の塗布量を変更する機能を有している。この際、塗布部11は、ホットメルト3の塗布条件(ホットメルト3の塗布量の設定値及び加熱温度)を変更することで、実際にワーク2に塗布する塗布量を変更する。
【0011】
赤外線サーモグラフィ12は、塗布部11によりホットメルト3が塗布されて接着されたワーク2を撮影して、熱画像を得るものである。
【0012】
面積算出部13は、赤外線サーモグラフィ12により撮影された熱画像から、規定温度範囲内の面積を算出するものである。なお、この規定温度範囲としては、ワーク2に塗布されたホットメルト3の面積を検出可能な温度範囲(例えば40℃以上)が予め設定される。
【0013】
塗布量算出部14は、面積算出部13により算出された面積から、ワーク2上のホットメルト3の塗布量を算出するものである。
【0014】
塗布量判定部15は、塗布量算出部14により算出されたホットメルト3の塗布量が閾値範囲内であるかを判定するものである。なお、閾値範囲は予め設定される。
【0015】
塗布量変更部16は、塗布量判定部15による判定結果に応じて、塗布部11に対してホットメルト3の塗布量を変更するよう指示するものである。ここで、塗布量変更部16は、塗布量判定部15によりホットメルト3の塗布量が閾値範囲の上限値を上回ると判定された場合には、塗布部11に対して、ホットメルト3の塗布量を減らすように指示する。一方、塗布量変更部16は、塗布量判定部15によりホットメルト3の塗布量が閾値範囲の下限値を下回ると判定された場合には、塗布部11に対して、ホットメルト3の塗布量を増やすように指示する。また、塗布量変更部16は、塗布量判定部15によりホットメルト3の塗布量が閾値範囲内であると判定された場合には、塗布部11に対するホットメルト3の塗布量の変更指示は行わない。
【0016】
なお、塗布部11の塗布量変更機能、面積算出部13、塗布量算出部14、塗布量判定部15及び塗布量変更部16は、ソフトウェアに基づくCPUを用いたプログラム処理によって実行される。
【0017】
次に、上記のように構成された塗布装置1の動作例について、図2,3を用いて説明する。なお以下では、図3に示すように、塗布装置1がパッケージ成形ラインに用いられ、段ボール2aに対してホットメルト3を塗布する場合を例に説明を行う。また図3では、塗布装置1のうち、塗布部11のホットメルト3を出射するノズルヘッド部111及び赤外線サーモグラフィ12のみを図示している。また、赤外線サーモグラフィ12は、段ボール2a上のホットメルト3の温度分布を検出可能なライン上の位置に配置されている。
【0018】
塗布装置1の動作例では、図2に示すように、まず、塗布部11は、段ボール2aに対してホットメルト3を塗布する(ステップST1)。図3の例では、段ボール2aの一面の四隅にホットメルト3を塗布している。その後、段ボール2aは、蓋が閉じられてホットメルト3により接着される。
【0019】
次いで、赤外線サーモグラフィ12は、塗布部11によりホットメルト3が塗布されて接着された段ボール2aを撮影して、熱画像を得る(ステップST2)。図3の例では、段ボール2aの接着された箇所(蓋側)を撮影している。この赤外線サーモグラフィ12によって、接着状態のホットメルト3の温度分布を検出することができる。
なお図3の例では、段ボール2aの一面の四隅にホットメルト3を塗布しているが、この四隅全てを検査対象とする必要はなく、一箇所でよい。また、通常は、全ての段ボール2aについて検査を行う。
【0020】
次いで、面積算出部13は、赤外線サーモグラフィ12により撮影された熱画像から、規定温度範囲内の面積を算出する(ステップST3)。なお、この規定温度範囲としては、段ボール2aに塗布されたホットメルト3の接着面積を検出可能な温度範囲(例えば40℃以上)が予め設定される。
【0021】
次いで、塗布量算出部14は、面積算出部13により算出された面積から、段ボール2a上のホットメルト3の塗布量を算出する(ステップST4)。
【0022】
次いで、塗布量判定部15は、塗布量算出部14により算出されたホットメルト3の塗布量が、予め設定された閾値範囲の上限値を上回るかを判定する(ステップST5)。
【0023】
このステップST5において、塗布量判定部15がホットメルト3の塗布量が閾値範囲の上限値を上回ると判定した場合には、塗布量変更部16は、塗布部11に対して、ホットメルト3の塗布量を減らすように指示する(ステップST6)。すなわち、ホットメルト3の塗布量が多すぎると、接着した際に段ボール2aの隙間からホットメルト3がはみ出してしまい、当該段ボール2a内の製品に付着してしまう恐れがある。そこで、このような場合には、ホットメルト3の塗布量を減らすように指示を行う。そして、塗布部11では、この指示に応じて、ホットメルト3の塗布条件(ホットメルト3の塗布量の設定値及び加熱温度)を変更することで、実際に段ボール2aに塗布する塗布量を減らす。その後、シーケンスはステップST1に戻り、塗布部11は次の段ボール2aに対するホットメルト3の塗布を行う。
【0024】
一方、ステップST5において、塗布量判定部15は、ホットメルト3の塗布量が閾値範囲の上限値を上回らないと判定した場合には、当該塗布量が閾値範囲の下限値を下回るかを判定する(ステップST7)。
【0025】
このステップST7において、塗布量判定部15がホットメルト3の塗布量が閾値範囲の下限値を下回ると判定した場合には、塗布量変更部16は、塗布部11に対して、ホットメルト3の塗布量を増やすように指示する(ステップST8)。すなわち、ホットメルト3の塗布量が少なすぎると、段ボール2aの接着が不十分となる恐れがある。そこで、このような場合には、ホットメルト3の塗布量を増やすように指示を行う。そして、塗布部11では、この指示に応じて、ホットメルト3の塗布条件(ホットメルト3の塗布量の設定値及び加熱温度)を変更することで、実際に段ボール2aに塗布する塗布量を増やす。その後、シーケンスはステップST1に戻り、塗布部11は次の段ボール2aに対するホットメルト3の塗布を行う。
【0026】
一方、ステップST7において、塗布量判定部15がホットメルト3の塗布量が閾値範囲の下限値を下回らないと判定した場合には、シーケンスはステップST1に戻る。すなわち、ホットメルト3の塗布量が閾値範囲内である場合には、塗布量変更部16は塗布部11に対するホットメルト3の塗布量の変更指示は行わない。
【0027】
以上のように、この実施の形態1によれば、ワーク2に対してホットメルト3を塗布する塗布部11と、塗布部11によりホットメルト3が塗布されて接着されたワーク2を撮影して、熱画像を得る赤外線サーモグラフィ12と、赤外線サーモグラフィ12により得られた熱画像から、規定温度範囲内の面積を算出する面積算出部13と、面積算出部13により算出された面積から、ホットメルト3の塗布量を算出する塗布量算出部14と、塗布量算出部14により算出されたホットメルト3の塗布量が閾値範囲内であるかを判定する塗布量判定部15と、塗布量判定部15による判定結果に応じて、塗布部11に対してホットメルト3の塗布量を変更するよう指示する塗布量変更部16とを備えたので、実際の接着状態に応じてホットメルト3の塗布量を調整することができる。すなわち、塗布装置1が置かれた環境の変化(季節等による温度湿度等の変化)又はホットメルト3のロット変更による溶融温度の違い等によって実際の接着状態が変化した場合に、自動で塗布量を変更することができる。その結果、安定した接着を行うことが可能となり、接着品質を向上させることができる。
【0028】
なお上記では、塗布装置1がパッケージ成形ラインで用いられる場合を例に説明を行った。しかしながら、これに限るものではなく、ホットメルト3を塗布するその他の環境(例えば電子基板への塗布等)に対しても同様に本発明を適用可能である。
【0029】
また上記では、赤外線サーモグラフィ12の熱画像(温度分布)を元にホットメルト3の塗布量を算出しているが、この際、1つのワーク2のデータだけを用いて次回の塗布量を決定している。しかしながら、これに限るものではなく、例えば、過去の複数のデータのトレンド又は移動平均を記録部(不図示)に記録しておき、塗布量変更部16では、塗布量判定部15による判定結果と記録部に記録されている情報を用いて、次回の塗布量を決定してもよい。
【0030】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 塗布装置
2 ワーク
2a 段ボール
3 ホットメルト
11 塗布部
12 赤外線サーモグラフィ(赤外線カメラ)
13 面積算出部
14 塗布量算出部
15 塗布量判定部
16 塗布量変更部
111 ノズルヘッド部
図1
図2
図3