(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、
図1〜
図8を参照しながら説明する。なお、実施形態においては、接続管50の筒状部51からガイド部55へと向う方向(
図3の上方向)を上方向と定義し、その反対の方向を下方向と定義し、これらを左右方向と定義して説明する。
【0014】
接続構造によって横配管200に接続される器具は、便器装置100であり、便器装置100は、
図1に示すように、複数連立するブース1−1、1−2、1−3を備えたパブリックトイレ設備1の各ブース1−1、1−2、1−3に1つずつ配置された壁掛け式の便器装置である。
【0015】
図2に示すように、便器装置100は、便器本体10と、便座(図示せず)と、便蓋(図示せず)と、を備える。便座(図示せず)及び便蓋(図示せず)は、便器本体10の上部に配置され、便器本体10に対して開閉可能に取り付けられる。なお、便座及び便蓋については、便宜上図示を省略している。
【0016】
便器本体10は、トイレ室の壁1011に取り付けられている。便器本体10は、衛生陶器により形成される。便器本体10は、
図2に示すように、便鉢11と、吐水口としての第1吐水口(図示せず)と、第2吐水口(図示せず)と、洗浄水導水路(図示せず)と、を有する。洗浄水導水路(図示せず)は、洗浄水を、第1吐水口(図示せず)及び第2吐水口(図示せず)に向けて流通させる。第1吐水口(図示せず)及び第2吐水口(図示せず)は、洗浄水導水路(図示せず)を通して流通された洗浄水を、便鉢11の内部に吐出する。そして、洗浄水は、便器排水路入口(図示せず)及び便器排水路出口121を介して便器装置100の外部に排出される。
【0017】
本実施形態の接続構造によって便器装置100に接続される横配管200は、複数の横配管200同士が、接続構造を構成する接続管50により互いに連結され接続された状態とされて、トイレ室の壁1011の裏側において、複数連立するブース1−1、1−2、1−3の全てに渡るように、即ち、複数連立するブース1−1、1−2、1−3の一端のブース1−1から他端のブース1−3に至るまで、配置されている。換言すれば、横配管200は、複数の便器装置100にそれぞれ接続された接続管50同士を連結する。
【0018】
横配管200は、一端側から他端側に向って傾斜して配置されている。このため、接続管50により互いに接続された横配管200は、全体として、複数連立するブース1−1、1−2、1−3の一端のブース1−1から他端のブース1−3に至るまで、1/100程度の勾配で傾斜して配置されている。接続管50により互いに接続された横配管200において、傾斜の上端部は、横配管200を流通する固液混合物としての汚物の流通方向A(以下「流通方向A」と言う)における上流端であり、傾斜の下端部は、流通方向Aにおける下流端である。下流端は、縦配管300(
図1参照)に接続されており、横配管200を流通した汚物は、横配管200の下流端から縦配管300に流入する。
【0019】
図2に示すように、排水管接続構造は、接続管50と蛇腹状管部材70とを備えており、横配管接続構造は、接続管50を備えている。接続管50は、一の横配管としての流通方向Aにおける上流側の横配管200−1と、他の横配管としての流通方向Aにおける下流側の横配管200−2とを接続し、上流側の横配管200−1から流通する固液混合物を下流側の横配管200−2へ流通する。
【0020】
接続管50は、一般に「チーズ」と呼ばれており、筒状部51と、ガイド部55とを有し、ポリ塩化ビニルにより一体成形されて構成されている。筒状部51は、円筒形状を有している。
図3、
図7等に示すように、筒状部51の一端部及び他端部は、それぞれ内周面大径部511、521を有しており、筒状部51の一端部の内周面大径部511と他端部の内周面大径部521とは、中間筒部53により接続されている。筒状部51の一端部の内周面大径部511は、筒状部51の一端部近傍の部分の内径D11、即ち、内周面大径部511に接続されている中間筒部53の一端部の内径D11に対して拡径した内径D12を有している。筒状部51の他端部の内周面大径部521は、筒状部51の他端部近傍の部分の内径D21、即ち、内周面大径部521に接続されている中間筒部53の他端部の内径D21に対して拡径した内径D22を有している。内径D12の値と内径D22の値とは、同一である。中間筒部53の軸方向における長さは、113mm程度であり、中間筒部53の一端部の内径D11は、105mm程度であり、中間筒部53の他端部の内径D21は、99mm程度である。
【0021】
図2、
図7に示すように、筒状部51の一端部の内周面大径部511には、筒状部51の内周面に沿って一の横配管としての、流通方向Aにおける上流側の横配管200−1の端部を挿入可能である。筒状部51の他端部の内周面大径部521には、筒状部51の内周面に沿って他の横配管としての、流通方向Aにおける下流側の横配管200−2の端部を挿入可能である。
【0022】
前述のように、内周面大径部511、521は、内周面大径部511に接続されている中間筒部53の一端部の内径D11、内周面大径部521に接続されている中間筒部53の他端部の内径D21、に対して、拡径した内径D12、D22をそれぞれ有している。このため、筒状部51の一端部の内周面大径部511と中間筒部53の一端部との接続部分は、内径の差による一端部側段部501を構成している。同様に、筒状部51の他端部の内周面大径部521と中間筒部53の他端部との接続部分は、内径の差による他端部側段部502を構成している。
【0023】
中間筒部53の一端部の内周面の内径D11と、筒状部51の一端部の内周面大径部511の内径D12との差の1/2の値、即ち、一端部側段部501における、中間筒部53の一端部の内周面と、筒状部の一端部の内周面大径部511の内周面と、の高さの差の値H1は、所定の値未満である。また、中間筒部53の他端部の内周面の内径D21と、筒状部51の他端部の内周面大径部521の内径D22との差の1/2の値、即ち、他端部側段部502における、中間筒部53の他端部の内周面と、筒状部51の他端部の内周面大径部521の内周面と、の高さの差の値H2は、所定の値を超える。ここで、所定の値とは、具体的には、内周面大径部511、521に挿入される横配管200の端部の厚さT1である(内径とは直径を意味するため、内径の差の1/2の値が内径の差により生ずる一端部側段部501、他端部側段部502の高さの値H1、H2であり、この高さと、横配管200の端部の厚さT1と、を比較する)。例えば、一端部側段部501における段差と、他端部側段部502における段差との差が3mm以上あれば、上述の所定の値と、H1と、H2との大小関係は担保される。横配管200としては、「JIS K 6741」で規定されるポリ塩化ビニルパイプ「VP100」が用いられる。
【0024】
図7に示すように、中間筒部53の一端部(内径D11を有する部分)の内周面と中間筒部53の他端部(内径D21を有する部分)の内周面とは、連続的に接続されており、中間筒部53の内周面は、中間筒部53の一端部から、中間筒部53の他端部へ至るまで、一定の割合で縮径している。即ち、中間筒部53の軸心に沿った断面では、中間筒部53の内周面は、中間筒部53の一端部から、中間筒部53の他端部へ至るまで、一定の割合で縮径するテーパー形状を有している。ここで「連続的に接続」とは、中間筒部53の一端部の内周面と中間筒部53の他端部の内周面との間の、中間筒部53の内周面の部分には、凸部や凹部が形成されて不連続な形状となっておらず、中間筒部53の軸心に沿った断面で見た場合には、例えば、
図7に示すように、一直線状を有していることを意味する。従って、筒状部51の一端部側の中間筒部53の一端部の内径D11は、筒状部51の他端部側の中間筒部53の他端部の内径D21よりも大きい。
【0025】
この構成により、前述のように接続管50により互いに接続された横配管200は、全体として流通方向Aにおける上流側から下流側へ向って下るような勾配を有して傾斜して配置されているが、これに対して中間筒部53には、この勾配が緩くなるような勾配が設けられている。本実施形態のように、横配管200の勾配の値が小さい場合には、中間筒部53において、流通方向Aにおける下流側から上流側へ向って下るような逆勾配となるが、この場合であっても、逆勾配の値は小さく、また、中間筒部53は、横配管200と比較して中間筒部53の軸方向における長さは短いため、横配管200における汚物の流れを阻害するには至らない。
【0026】
図3等に示すように、内周面大径部511、521の外側面には、目盛り513、523が形成されている。内周面大径部511、521の外側面の最上位置に、目盛り513、523の所定の値を合わせることにより、内周面大径部511、521を所定の回転角度として、接続管50に接続される蛇腹状管部材70の曲り具合を適切にすることができるように構成されている。また、中間筒部53の側面には、流通方向Aを示す記載535が形成されている。
【0027】
ガイド部55は、
図7、
図8に示すように、筒状部51の中間筒部53の側面から、中間筒部53の外方、且つ、流通方向Aにおける上流側に斜めに分岐して延びる管状を有しており、筒状部51の軸心に平行な面で切断されたような形状を有している。従って、ガイド部55の他端部552の開口は、筒状部51の中間筒部53の半径方向外方へ向って開口し、長手方向が流通方向Aに平行な楕円形状を有している。
【0028】
より詳細には、
図7に示すように、ガイド部55の一端部551は、流通方向Aの下流側において、他端部側段部502に至るまで延びている。流通方向Aの上流側におけるガイド部55の他端部552の開口端縁553は、流通方向Aの上流側における、筒状部51の一端部の内周面大径部511の端縁に至るまで延びている。流通方向Aの上流側のガイド部55の側面555は、蛇腹状管部材70の一端開口部71に流入する汚物の流入方向B(
図7における下方向、以下「流入方向B」と言う)に対して、流通方向Aへ汚物の流れを変えるように、流通方向Aの下流側へ向って傾斜している。これに対して流通方向Aの下流側のガイド部55の側面556は、ガイド部55の他端部552から流入方向Bへ平行に延び、途中から流通方向Aへ汚物の流れを変えるように、流通方向Aの下流側へ向って傾斜している。
【0029】
即ち、ガイド部55の一端部(
図7に示すガイド部55の下端部)は、中間筒部53の側面に接続され、ガイド部55の他端部(
図7に示すガイド部55の上端部)は、蛇腹状管部材70の他端開口部72が接続され、蛇腹状管部材70に流入した汚物が、ガイド部55の他端部からガイド部55の内部に流入し、ガイド部55は、汚物を筒状部51へ流通する。
【0030】
図8に示すように、ガイド部55の他端部の開口の周縁部には、蛇腹状管部材70(
図7参照)の他端開口部72が接続されているときに、ガイド部55の他端部の開口の周縁部から蛇腹状管部材70の他端開口部72が外れることを抑制するための滑り止め溝557が、ガイド部55の他端部の開口を一周するように複数形成されている。
【0031】
ガイド部55の内部空間は、筒状部51の中間筒部53の内部空間に連通している。
図4に示すように、流通方向Aにおけるガイド部55の上流側の外面と、下流側の外面には、リブ558、559が設けられている。リブ558、559は、その延長上に筒状部51の軸心を含む位置関係を有する板状を有しており、ガイド部55と筒状部51とを掛け渡すように、ガイド部55及び筒状部51と一体成形されて接続されている。
【0032】
図7等に示すように、蛇腹状管部材70は、一端開口部71と、他端開口部72と、蛇腹状を有し一端開口部71と他端開口部72とを接続する中間部分73と、を有しており、ゴムにより一体成形されて構成されている。一端開口部71は、円環状を有しており、便器装置100の便器排水路出口121(
図2参照)に接続されている。他端開口部72は、楕円環状を有しており、接続管50のガイド部55の他端部552の開口の周縁部の全体を覆うようにして、ガイド部55の他端部552の開口の周縁部に接続されている。蛇腹状管部材70は、便器装置100からの固液混合物としての汚物を接続管50へ流通する。
【0033】
より詳細には、一端開口部71は、一端開口部接続部711を有している。一端開口部接続部711は、便器装置100の便器排水路出口121に接続可能に構成されており、一端開口部71の開口端縁712からフランジ状に一端開口部71の略半径方向外方へ広がり、そして更に、一端開口部71の開口の軸方向へ延びる形状を有している。他端開口部72は、他端開口部接続部721を有している。他端開口部接続部721は、接続管50のガイド部55の他端部(上端部)に接続可能に構成されており、他端開口部72の開口端縁722からフランジ状に他端開口部72の略半径方向外方へ広がり、そして更に、他端開口部72の開口の軸方向へ延びる形状を有している。一端開口部71の開口は、
図6に示すように、流入方向Bにおいて(
図7参照)、ガイド部55の一端部寄りの部分の内面(側面555)に対向する。
【0034】
中間部分73は、蛇腹部731と、傾斜筒部735とを有している。蛇腹部731は、蛇腹部731の軸心方向に直交する方向で切った断面が円形又は楕円形を有する蛇腹状を有している。蛇腹部731の下端部は、蛇腹状管部材70の他端開口部72の開口端縁722に接続されており、蛇腹部731の上端部は、傾斜筒部735の下端部に接続されている。
【0035】
蛇腹部731においては、
図4、
図7等に示すように、上端部から下端部に向うにつれて、流通方向Aにおける蛇腹部731の上流端部(
図7に示す左側の端部)は同一の位置にあるが、流通方向Aにおける蛇腹部731の下流端部は、上端部から下端部に向うにつれて、徐々に流通方向Aの下流側へ広がる形状を有している。従って、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の一端開口部71の端縁(
図7に示す左側の端縁)は、蛇腹状管部材70の一端開口部71に流入する固液混合物の流入方向B(
図7に示す下方向)から蛇腹状管部材70の一端開口部71を見たときに、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の中間部分73の内方へ突出する蛇腹状管部材70の中間部分73の内周面の突出端部(
図7に示す中間部分73の蛇腹部731の左側の蛇腹状の内周面のうちの、中間部分73の内方へ最も突出した部分)、及び、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の他端開口部72の開口端縁722(
図7に示す左側の開口端縁722)に一致する位置関係を有する。
【0036】
図5等に示すように、傾斜筒部735は、蛇腹部731の軸心に対して所定の角度で傾斜する軸心を有する略筒状を有している。従って、
図5等に示すように、傾斜筒部735の傾斜する方向の側の側面(
図5に示す左側の側面)は短く構成され、傾斜筒部735の傾斜する方向の側とは反対の側の側面(
図5に示す右側の側面)は長く構成されている。長く構成された側面は、部分的に蛇腹状を有している。
【0037】
図7等に示すように、蛇腹状管部材70において、他端開口部72は一端開口部71よりも、開口の面積が大きく構成されている。
図7に示すように、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の一端開口部71の端縁は、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の他端開口部72が接続される接続管50の開口部の端縁、即ち、流通方向Aの上流側におけるガイド部55の他端部の開口端縁553よりも、僅かに流通方向Aの下流側に位置している。
【0038】
以上の構成を備える本実施形態に係る接続構造を備えるパブリックトイレ設備1における、器具としての便器装置100からの横配管200への汚物等の流れについて説明する。
便器装置100の使用者が便器装置100を使用し終わると、洗浄水は、洗浄水導水路(図示せず)によって、第1吐水口(図示せず)及び第2吐水口(図示せず)に向けて流通させられ、第1吐水口(図示せず)及び第2吐水口(図示せず)から、便鉢11の内部に吐出される。そして、洗浄水は、汚物や紙とともに便器排水路入口(図示せず)及び便器排水路出口121(
図2参照)を介して便器装置100の外部に排出され、蛇腹状管部材70の一端開口部71(
図7参照)から蛇腹状管部材70の内部へ流入する。
【0039】
このとき、前述のように、蛇腹状管部材70の一端開口部71の端縁は、蛇腹状管部材70の一端開口部71に流入する固液混合物の流入方向B(
図7に示す下方向)において、蛇腹状管部材70の中間部分73の蛇腹部731の内周面、及び、蛇腹状管部材70の他端開口部72の開口端縁722に一致する位置関係を有するため、蛇腹状管部材70の一端開口部71から流入した汚物や紙は、蛇腹部731の内周面に直接衝突せずに、蛇腹状管部材70を流通して通過し、接続管50のガイド部55の他端部の開口に流入する。
【0040】
ガイド部55に流入したガイド部55の側面555の内面に衝突することにより、流通方向Aにおける下流方向へ流れの向きが変えられ、ガイド部55によって、蛇腹状管部材70に流入した固液混合物としての洗浄水及び汚物等は、流通方向Aにおいて蛇腹状管部材70の他端開口部72よりも下流側の筒状部51の部分へ向けて流通し、ガイド部55の一端部の開口から中間筒部53へ流入する。この際、ガイド部55の一端部は、流通方向Aの下流側において、他端部側段部502に至るまで延びているため、ガイド部55の一端部の開口から中間筒部53へ流入する洗浄水及び汚物等は、接続管50の他端部の内周面大径部521に接続されて他端部側段部502に位置している、流通方向Aの下流側の横配管200−2の端部の端縁よりも、流通方向Aの下流側を狙うように、
図7の斜め右下方向へ向って流入する。そして、横配管200−2へ流入した汚物は、横配管200−2において流通方向Aの下流側へ流通し、横配管200の最下流端部に接続されている縦配管300へ流通する。
【0041】
接続管50及び横配管200において汚物等が流通する際には、汚物等は、一端部側段部501と他端部側段部502とを通過する。この際、一端部側段部501においては、流通方向Aの上流側の横配管200−1の端部の内周面の内径D13は、流通方向Aの下流側に位置する筒状部51の内周面(中間筒部53の内周面)の内径D11よりも小さく、流通方向Aの上流側の横配管200−1の端部の内周面は、中間筒部53の端部の半径方向内方に位置している。
【0042】
また、他端部側段部502においては、下流側の横配管200−2に対して、流通方向Aの上流側に位置する筒状部51の内周面の内径D21の方が、流通方向Aの下流側の横配管200−2の端部の内周面の内径D13よりも小さく、横配管200−2の半径方向内方に位置している。このため、筒状部51を流れる汚物や紙等は、一端部側段部501、他端部側段部502において引っ掛かりにくく、横配管200を通して縦配管300へ滞りにくく流通しやすい。
【0043】
上記構成の実施形態による、排水管接続構造、及び、トイレ設備によれば、以下のような効果を得ることができる。
排水管接続構造は、一の横配管200としての上流側の横配管200−1と他の横配管200としての下流側の横配管200−2とを接続し、上流側の横配管200−1から流通する固液混合物を下流側の横配管200−2へ流通する接続管50と、一端開口部71と他端開口部72と蛇腹状を有し一端開口部71と他端開口部72とを接続する中間部分73とを有し、一端開口部71は便器装置100に接続され、他端開口部72は接続管50に接続され、便器装置100からの固液混合物を接続管50へ流通する蛇腹状管部材70と、を備える。
一の横配管200及び他の横配管200において流通する固液混合物の流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の一端開口部71の開口端縁712は、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の他端開口部72が接続される接続管50の開口部の開口端縁553よりも、流通方向Aの下流側に位置する。
【0044】
この構成により、蛇腹状管部材70に汚物等が流入する際に、蛇腹状管部材70の蛇腹状の内周面に汚物等が衝突しにくく、水の乱流の発生を抑えることができ、節水化されて汚物等を流す水の量が減少した場合であっても、汚物の流速が低下することを抑えることができる。このため、流下する汚物等の勢いを維持して下流側へ導くことができる。
【0045】
また、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の一端開口部71の端縁は、蛇腹状管部材70の一端開口部71に流入する固液混合物の流入方向Bから蛇腹状管部材70の一端開口部71を見たときに、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の中間部分73の内方へ突出する蛇腹状管部材70の中間部分73の内周面の突出端部、及び、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の他端開口部72の端縁に一致する位置関係を有する。この構成により、蛇腹状管部材70における流通方向Aの上流側において蛇腹状管部材70に流入した汚物等が不必要に上流側へ膨らんで流れることを抑えることができる。このため、流通方向Aの蛇腹状管部材70の上流側において、水の乱流の発生を抑えることができる。
【0046】
また、接続管50は、筒状部51と、ガイド部55と、を有する。
ガイド部55の一端部は、筒状部51の側面に接続され、ガイド部55の他端部は、蛇腹状管部材70の他端開口部72に接続され、流入方向Bにおいて、蛇腹状管部材70の一端開口部71の開口は、ガイド部55の一端部寄りの部分の内面(側面555)に対向し、ガイド部55は、蛇腹状管部材70に流入した固液混合物を、流通方向Aにおいて蛇腹状管部材70の他端開口部72よりも下流側の筒状部51の部分へ向けて流通する。
筒状部51の他端部は、筒状部51の内周面に沿って他の横配管200の端部を挿入可能に、筒状部51の他端部近傍の部分の内径に対して拡径した内周面大径部521を有し、内周面大径部521の内周面と筒状部51の他端部近傍の部分の内周面(中間筒部53の内周面)とは、内径の差による他端部側段部502を形成する。ガイド部55の一端部は、流通方向Aにおいて、他端部側段部502まで延びている。
【0047】
この構成により、ガイド部55へ流入した汚物等を、ガイド部55によって案内して、他端部側段部502よりも下流側を狙うように、他端部側段部502における接続管50の軸心寄りの方向へ流すことができる。このため、主として汚物等を他端部側段部502に衝突するように流さずに、極力他端部側段部502を回避するように汚物等を流すことができる。この結果、他端部側段部502に汚物等を引っ掛かりにくくすることができる。
【0048】
また、パブリックトイレ設備1においては、器具は、便器装置100を構成し、横配管200は、複数の便器装置100にそれぞれ接続された接続管50同士を連結し、横配管200は、複数の横配管200の一端側から他端側に向って下るように傾斜して配置されている。この構成により、使用頻度の高いパブリックトイレ設備1においても、排水不良の懸念が少ない状態で、便器装置100を使用することができる。
【0049】
また、上記構成の実施形態による、横配管接続構造によれば、以下のような効果を得ることができる。
横配管接続構造は、一の横配管200としての上流側の横配管200−1と他の横配管200としての下流側の横配管200−2とを接続し、上流側の横配管200−1から流通する固液混合物を下流側の横配管200−2へ流通する接続管50を備える。接続管50は、中間筒部を有する筒状部51を備えている。筒状部51の一端部は、筒状部51の内周面に沿って上流側の横配管200−1の端部を挿入可能に、筒状部51の一端部近傍の部分の内径に対して拡径した内径を有する内周面大径部511を有している。筒状部51の他端部は、筒状部51の内周面に沿って下流側の横配管200−2の端部を挿入可能に、筒状部51の他端部近傍の部分の内径に対して拡径した内径を有する内周面大径部521を有している。
筒状部51の一端部の内周面大径部511と他端部の内周面大径部521とは、中間筒部53により接続される。筒状部51の一端部側の中間筒部53の一端部の内径D11は、筒状部51の他端部側の中間筒部53の他端部の内径D21よりも大きい。中間筒部53の一端部の内周面と、筒状部51の一端部の内周面大径部511の内周面とは、一端部側段部501を形成する。一端部側段部501における段差、即ち、中間筒部53の一端部の内周面の内径D11と、筒状部51の一端部の内周面大径部511の内径との差(高さH1)は、所定の値未満である。中間筒部53の他端部の内周面と、筒状部51の他端部の内周面大径部521の内周面とは、他端部側段部502を形成する。他端部側段部502における段差、即ち、中間筒部53の他端部の内周面の内径と、筒状部51の他端部の内周面大径部521の内径との差(高さH2)は、所定の値を超える。
【0050】
この構成により、所定の値の厚さT1を有する上流側の横配管200−1の端部を筒状部51の一端部の内周面大径部511に挿入すると、上流側の横配管200−1の端部の内周面と、筒状部51の一端部近傍の中間筒部53の内周面とにより段差が生ずる。この段差においては、流通方向Aの上流側の横配管200−1の端部の内周面の内径の方が、流通方向Aの下流側に位置する筒状部51の内周面(中間筒部53の内周面)の内径よりも小さく、中間筒部53の内周面の半径方向内方に位置しているため、上流側の横配管200−1から流れる汚物や紙等が、この段差に引っ掛かりにくい。
【0051】
同様に、所定の値の厚さT1を有する下流側の横配管200−2の端部を筒状部51の他端部の内周面大径部521に挿入すると、下流側の横配管200−2の端部の内周面と、筒状部51の他端部近傍の中間筒部53の内周面とにより段差が形成される。この段差においては、下流側の横配管200−2に対して、流通方向Aの上流側に位置する筒状部51の内周面(中間筒部53の内周面)の内径の方が、流通方向Aの下流側の横配管200−2の端部の内周面の内径よりも小さく、横配管200及び筒状部51の半径方向内方に位置しているため、筒状部51を流れる汚物や紙等が、この段差に引っ掛かりにくい。
【0052】
このため、節水化されて汚物等を流す水の量が減少した場合であっても、汚物や紙の流れが、一端部側段部501や他端部側段部502において阻害されて引っ掛かり、停滞して流れなくなることを抑え、流下する汚物・紙の勢いを殺さず下流側へ導くことができ、縦管まで汚物・紙を搬送されやすくすることができる。
【0053】
また、筒状部51の一端部の内周面大径部511の内径D12の値と、筒状部51の他端部の内周面大径部521の内径D22の値とは、同一である。このため、所定の値の厚さT1と、同一の内径D12、D22と等しい外径と、をそれぞれ有する上流側の横配管200−1の端部、下流側の横配管200−2の端部を、一端部側段部501、他端部側段部502へそれぞれ挿入することにより、確実に段差に汚物や紙等が引っ掛かりにくい構成とすることができる。
【0054】
また、中間筒部53の内周面は、中間筒部53の一端部から、中間筒部53の他端部へ至るまで、一定の割合で縮径している。このような構成を有し、中間筒部53において逆勾配を有する場合であっても、中間筒部53と横配管200との間の段差に汚物や紙が引っ掛かりやすい場合と比較して、流下する汚物・紙の勢いが大きく損なわれることを抑えることができる。
【0055】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、接続管、蛇腹状管部材、便器装置、横配管等の構成は、上記実施形態における接続管50、蛇腹状管部材70、便器装置100、横配管200等の構成に限定されない。例えば、本実施形態においては、便器装置100は壁掛け式の便器装置により構成されていたが、壁掛け式に限定されない。また、接続管50は便器装置100に接続されていたが、接続管が接続される対象は、便器装置に限定されない。
【0056】
また、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の一端開口部71の端縁は、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の他端開口部72が接続される接続管50の開口部の端縁、即ち、流通方向Aの上流側におけるガイド部55の他端部の開口端縁553よりも、僅かに流通方向Aの下流側に位置していたが、この構成に限定されない。例えば、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の一端開口部71の端縁は、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の他端開口部72が接続される接続管50の開口部の端縁、即ち、流通方向Aの上流側におけるガイド部55の他端部の開口端縁553と一致する位置にあってもよい。
【0057】
また、例えば、本実施形態においては、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の一端開口部71の端縁(開口端縁712)は、蛇腹状管部材70の一端開口部71に流入する固液混合物の流入方向Bから蛇腹状管部材70の一端開口部71を見たときに、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の中間部分73の内方へ突出する蛇腹状管部材70の中間部分73の内周面の突出端部、及び、蛇腹状管部材70の他端開口部72の端縁(開口端縁722)に一致する位置関係を有していたが、この構成に限定されない。
例えば、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の一端開口部71の端縁(開口端縁712)は、蛇腹状管部材70の一端開口部71に流入する固液混合物の流入方向Bから蛇腹状管部材70の一端開口部71を見たときに、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の中間部分73の内方へ突出する蛇腹状管部材70の中間部分73の内周面の突出端部、又は、蛇腹状管部材70の他端開口部72の端縁(開口端縁722)に一致する位置関係を有していてもよいし、又は、蛇腹状管部材70の中間部分73の内方へ突出する蛇腹状管部材70の中間部分73の内周面の突出端部、及び、流通方向Aの上流側における、蛇腹状管部材70の他端開口部72の端縁(開口端縁722)が、蛇腹状管部材70の一端開口部71の端縁(開口端縁712)よりも流通方向Aの上流側(
図7における左側)に位置して、一端開口部71の端縁(開口端縁712)が、蛇腹状管部材70の中間部分73の内周面の突出端部、及び、蛇腹状管部材70の他端開口部72の開口端縁722に重ならない位置関係を有してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、所定の値は、内周面大径部511、521に挿入される上流側及び下流側の横配管200−1、200−2の端部の厚さT1に一致しており、内周面大径部511に挿入される上流側の横配管200−1の端部の厚さT1と、内周面大径部521に挿入される下流側の横配管200−2の端部の厚さT1とは同一であったが、この構成に限定されない。例えば、一端部の内周面大径部511に挿入される上流側の横配管200−1の端部の厚さと、他端部の内周面大径部521に挿入される下流側の横配管200−2の端部の厚さとは、異なっていてもよい。また、本実施形態では、横配管200としては、「JIS K 6741」で規定されるポリ塩化ビニルパイプ「VP100」が用いられたが、これに限定されない。例えば、横配管として、「VP75」が用いられてもよく、これに応じて、内径D11、D21の値が適宜設定されてもよい。