特許第6756543号(P6756543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756543
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】脱臭体
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20200907BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20200907BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20200907BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20200907BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20200907BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20200907BHJP
   B01J 27/187 20060101ALI20200907BHJP
   B01J 23/889 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   B01D53/86 110
   A61L9/014ZAB
   A61L9/00 C
   B01J20/20 D
   B01J35/04 301Z
   B01J35/10 301J
   B01J27/187 A
   B01J23/889 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-156959(P2016-156959)
(22)【出願日】2016年8月9日
(65)【公開番号】特開2018-23548(P2018-23548A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】503386517
【氏名又は名称】神鋼アクテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土谷 伸子
【審査官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−192485(JP,A)
【文献】 特開2005−21239(JP,A)
【文献】 特開2008−259545(JP,A)
【文献】 特開平9−19489(JP,A)
【文献】 特開平11−188086(JP,A)
【文献】 特開2007−125466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/86
A61L 9/00−9/22
B01J 21/00−37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
80%以上の高い相対湿度環境下で使用される脱臭体であって、
ハニカム状の構造体を有
前記構造体は、隔壁によって区画されかつ臭気成分の流通路となる複数のセルを備え、該セル数は前記構造体の1平方インチあたり300〜400個であり、前記隔壁の厚さは0.3〜0.45mmであり、
前記構造体は、活性炭及び金属酸化触媒を含み、かつ前記活性炭を0質量%以上含有することを特徴とする脱臭体。
【請求項2】
前記構造体中、前記活性炭の質量を1としたときの前記金属酸化触媒の質量が0.02〜0.5であることを特徴とする請求項1に記載の脱臭体。
【請求項3】
前記金属酸化触媒が、Mnに加えて、Cu、Fe、Co、Zn、P、Ti、Ni、Al、Zr、Mg、Ca、Li、Sr及びKからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の脱臭体。
【請求項4】
前記金属酸化触媒のBET比表面積が、80〜400m/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱臭体。
【請求項5】
前記活性炭のBET比表面積が、800〜2200m/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱臭体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭体に関する。より詳しくは、本発明は、湿度環境下にある水回り空間において使用可能な脱臭体に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場、食品製造工場、半導体製造工場等の浄化槽や水処理設備からは、各種の臭気成分が発生しており、こうした臭気成分の除去を行うことが必要である。
例えば、下水処理場の臭気は特徴的であり、臭気成分として、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、硫化水素、アセトアルデヒド、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸等が挙げられる。中でも、硫黄系成分である硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチルは同時に発生し、不快な強い臭気を発するため、現場ではその脱臭が求められている。
【0003】
従来からこのような臭気を脱臭するために、数多くの技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、複合酸化物の粉体にコロイダルシリカ及び水を混合し、均一に分解するまで撹拌して作製した複合酸化物のスラリーに、吸湿性能を有するハニカム状の基材を浸漬させた後、乾燥させることにより、前記基材の表面に硫化水素除去性能を有する触媒を添着させ、湿度70%以上の高湿度環境下において硫化水素除去性能が向上するように構成された脱臭フィルターが開示されている。この脱臭フィルターに用いられる複合酸化物は、マンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれかを含む。
【0004】
また、特許文献2には、少なくとも硫化水素に対して化学吸着作用を有する吸着剤と、物理吸着作用を有する吸着剤と、コバルトを含み触媒作用を有する触媒剤と、前記吸着剤および触媒剤とを担持する担体から構成され、前記化学吸着作用を有する吸着剤は触媒作用を備え、かつマンガン、銅、コバルトのうち少なくとも二種類以上を含む複合酸化物であり、前記物理吸着作用を有する触媒剤は、ナトリウム成分またはカリウム成分を1wt%未満となるようにしたものであり、前記触媒剤によりアルデヒド類から転化したカルボン酸を吸着除去する脱臭体が開示されている。
そしてまた、特許文献3には、多孔質担体に、ハロゲン、不揮発性酸及びアルカリ金属ハロゲン化物を均一に担持させてなる吸着剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4892231号公報
【特許文献2】特許第4887756号公報
【特許文献3】特開2001−129392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の脱臭体は金属酸化触媒と無機鉱物やゼオライトとを組み合わせて脱臭効果を得るものであるが、湿度環境下での使用は脱臭性能が低下する。例えば、特許文献2に記載のように疎水性ゼオライトを脱臭剤として用いると、下水処理場等の相対湿度が高い環境下では、疎水性ゼオライトが十分な撥水性を示さず、水分を吸収してしまい、その脱臭性能を低下させるという問題点があった。また、特許文献3に記載の吸着剤は、長期間の使用により吸着剤に白色の析出物が形成され、脱臭性能が劣化するという問題点があった。
【0007】
したがって本発明は、湿度環境下、具体的には80%RHを超える高湿度環境下にある水回り空間で使用する場合であっても優れた脱臭性能を有し、複数の臭気成分を同時に効率的に除去することのできる脱臭体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、脱臭体をハニカム構造からなるものとし、該ハニカム構造におけるセルの単位面積あたりの個数を特定化し、脱臭性能を発現する材料として活性炭及び金属酸化触媒を採用するとともに、該ハニカム構造における該活性炭の構成比率を特定化することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は以下の(1)〜(6)に係るものである。
(1)ハニカム状の構造体を有する脱臭体であって、前記構造体は、隔壁によって区画されかつ臭気成分の流通路となる複数のセルを備え、該セル数は前記構造体の1平方インチあたり150〜400個であり、前記構造体は、活性炭及び金属酸化触媒を含み、かつ前記活性炭を40質量%以上含有することを特徴とする脱臭体。
(2)前記構造体中、前記活性炭の質量を1としたときの前記金属酸化触媒の質量が0.02〜0.5であることを特徴とする前記(1)に記載の脱臭体。
(3)前記金属酸化触媒が、Mnと、Cu、Fe、Co、Zn、P、Ti、Ni、Al、Zr、Mg、Ca、Li、Sr及びKからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の脱臭体。
(4)前記金属酸化触媒のBET比表面積が、80〜400m/gであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の脱臭体。
(5)前記活性炭のBET比表面積が、800〜2200m/gであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の脱臭体。
(6)前記構造体の前記隔壁の厚さが、0.2〜0.45mmであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の脱臭体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の脱臭体はハニカム状の構造体からなり、該構造体は、隔壁によって区画されかつ臭気成分の流通路となるセルを1平方インチあたり150〜400個有している。このように単位面積あたりのセル数を特定範囲に定めることにより、圧力損失が抑制され、脱臭性能が高まり、かつ脱臭体を高強度とすることができる。
また、構造体は、活性炭及び金属酸化触媒を含み、かつ活性炭は構造体の40質量%以上を構成している。活性炭は、従来の疎水性ゼオライトに比べて極めて疎水性が高いので、例えば、80%以上の高い相対湿度環境下であっても水分を吸収せず、臭気成分を効率的に吸着するとともに、金属酸化触媒と水との接触を防止でき、該触媒の臭気成分の分解効率を向上させ、優れた脱臭性能を提供することができる。
また、活性炭は高い比表面積を有する多孔質材料であるので、硫黄系成分に加えてその他の成分も良好に吸着することができ、金属酸化触媒による分解を促進できる。したがって複数の臭気成分を同時に効率的に除去することができ、脱臭成分ごとに脱臭体を用意する必要がない。これにより、設置スペースが限られていたとしても、1つの脱臭体の設置だけで各種脱臭成分を除去することができ、コスト削減に寄与することが可能となる。
【0011】
以上のように、本発明の脱臭体によれば、相対湿度が高い環境下であっても優れた脱臭性能を有し、複数の臭気成分を同時に効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、本発明の構造体の一実施形態の構造を説明する斜視図である。
図1B図1Bは、本発明の構造体の他の実施形態の構造を説明する斜視図である。
図1C図1Cは、本発明の構造体の他の実施形態の構造を説明する斜視図である。
図2図2は、悪臭ガスの除去率を算出するための測定装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について更に詳しく説明する。
本発明の脱臭体はハニカム状の構造体を有する。本発明におけるハニカム状の構造体は、隔壁によって区画されかつ臭気成分の流通路となる複数のセルを備える。
【0014】
本発明において、ハニカム状の構造体におけるセルの形状としては特に制限されず、従来から公知の各種構造を採用することができる。図1A図1Cは、本発明のハニカム状の構造体1A〜1Cの実施形態の構造を説明する斜視図である。セルの形状は、例えば、臭気成分の流通方向に対する略垂直方向において、図1Aに示したような六角形状、図1Bに示したような四角形状、三角形状等のセルの断面形状を有することができる。また、図1Cに示したようなコルゲートハニカム構造であることもできる。
【0015】
構造体は、臭気成分を含んだガスの流通方向に対して略垂直方向の断面における1平方インチあたりのセルの個数(以下、「セル数」と言うことがある。)が150〜400個である。セル数が150個/inch未満では、処理すべき臭気成分を含むガス(以下、「悪臭ガス」と言うことがある。)と構造体に含まれる活性炭及び金属酸化触媒との接触の機会が減少し、脱臭性能が悪化する場合がある。逆にセル数が400個/inchを超えると、圧力損失が上昇し、脱臭性能が悪化する場合がある。
セル数は、200個/inch以上であることが好ましく、300個/inch以上であることがより好ましく、また、350個/inch以下であることが好ましい。
【0016】
構造体の隔壁の厚さは、悪臭ガスの流通方向に対する略垂直方向の断面において、0.2〜0.45mmであることが好ましい。隔壁の厚さがこの範囲であることにより、高い脱臭性能を維持しながら、ハニカム構造の強度を高め、かつ空気中の塵埃やミスト状成分の付着による目詰まりを防止でき、圧力損失を抑制することができる。
前記隔壁の厚さは、0.25mm以上がより好ましく、0.28mm以上が更に好ましく、0.3mm以上が特に好ましく、また、0.4mm以下がより好ましく、0.35mm以下が更に好ましい。
【0017】
本発明の脱臭体を構成するハニカム状の構造体は、活性炭及び金属酸化触媒を含む。構造体中に活性炭と金属酸化触媒を含有することで、80%以上の高い相対湿度環境下であっても水分を吸収せず、臭気成分を効率的に吸着するとともに、金属酸化触媒と水との接触を防止できるため、該触媒の臭気成分の分解効率を向上させ、優れた脱臭性能を提供することができる。そして、活性炭が硫黄系成分に加えてその他の成分も良好に吸着することができるので、金属酸化触媒による分解を促進することができる。
【0018】
活性炭としては、原料炭化物を水蒸気や薬品により賦活化したものが挙げられ、市販されているものを利用できる。
構造体における活性炭の割合は40質量%以上である。活性炭の含有量が40質量%未満であると、悪臭ガスに含まれる臭気成分の吸着量が減少し、脱臭性能が悪化する場合がある。構造体における活性炭の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。また、長期にわたりハニカム構造を保持するためには、活性炭の含有量の上限は、98質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
【0019】
本発明において、悪臭ガスに含まれる臭気成分の吸着量を増加させ、脱臭性能を更に高めるという観点から、活性炭のBET比表面積は、800m/g以上であることが好ましく、1200m/g以上がより好ましく、1400m/g以上が更に好ましく、また、2200m/g以下であることが好ましく、2000m/g以下がより好ましく、1800m/g以下が更に好ましい。活性炭のBET比表面積はが800m/g以上であると、悪臭ガスとの接触面積が大きくなり、脱臭効率を高めることができるため好ましく、2200m/g以下であると、カサ密度を低く抑えられ成型しやすくなるため好ましい。
なお、BET比表面積は、ガス吸着法によるBET式等に従い測定することができる。
【0020】
活性炭の平均粒子径は、通気性、成形性、吸着性能等の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上が更に好ましく、また、100μm以下であることが好ましく、70μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。活性炭の平均粒子径が5μm以上であると、効率よく成型でき、100μm以下であると、高い吸着性能を保持できる。
【0021】
金属酸化触媒は、金属元素を含み、悪臭ガスに含まれる臭気成分を脱臭できる触媒であれば特に制限されない。金属元素としては、例えば、Mn、Cu、Fe、Co、Zn、Ti、Ni、Al、Zr、Mg、Ca、Li、Sr、K等が挙げられ、金属酸化触媒中の金属元素は1種のみであっても2種以上が含まれていてもよい。硫黄系成分に代表される臭気成分に加えてその他の成分も良好に分解できるという観点から、Mnと、Cu、Fe、Co、Zn、P、Ti、Ni、Al、Zr、Mg、Ca、Li、Sr及びKからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを含む金属酸化触媒を用いることが好ましく、脱臭性能に優れるという観点から、MnとCuを含む金属酸化触媒が好ましく、これらが複合酸化物をなしている形態が更に好ましい。
【0022】
なお、MnとCu、Fe、Co、Zn、P、Ti、Ni、Al、Zr、Mg、Ca、Li、Sr及びKからなる群から選択される少なくとも1種の元素とを組み合わせて用いる場合、Cu、Fe、Co、Zn、P、Ti、Ni、Al、Zr、Mg、Ca、Li、Sr及びKからなる群から選択される少なくとも1種の元素の含有比は、Mnの質量を1としたときに0.2以上であることが好ましく、0.25以上がより好ましく、また、3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。
【0023】
本発明に使用される金属酸化触媒は、これらの元素の酸化物又はその他の化合物を出発材料とし、公知の手段に基づき調製することができる。
【0024】
本発明において、脱臭性能に優れるという観点から、金属酸化触媒のBET比表面積は、80m/g以上であることが好ましく、100m/g以上がより好ましく、150m/g以上が更に好ましく、また、400m/g以下であることが好ましく、300m/g以下がより好ましく、250m/g以下が更に好ましい。金属酸化触媒のBET比表面積が80m/g以上であると脱臭成分の分解性能が十分に発揮されるため好ましく、400m/g以下であるとカサ密度が低く抑えられ生産効率が良好であるため好ましい。
【0025】
本発明における金属酸化触媒は、例えば臭気成分が硫化水素及びメチルメルカプタンの場合、次の反応を触媒することができる。
S + 1/2O → HO + S
2CHSH + 1/2O → (CH + H
上式において、生じた二硫化メチルも更に本発明における金属酸化触媒によって更に分解され得る。
【0026】
本発明において、脱臭性能に優れるという観点から、構造体に含まれる活性炭の質量を1としたとき、金属酸化触媒の質量は0.02以上であることが好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、0.5以下であることが好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下が更に好ましい。活性炭の質量1に対して金属酸化触媒の質量が0.02以上であると効率的に分解反応を促進することができるため好ましく、0.5以下であると脱臭体本体からの触媒の着脱が少なくでき、かつ高価な触媒を必要以上に使わなくて済むため好ましい。
【0027】
本発明の消臭体を構成する構造体には、所望に応じてその他の成分を含有することができる。その他の成分としては、特に制限されないが、結合材として、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、セリアゾル、粘土鉱物、メチルセルロース等;消臭剤として、例えば、サイクロデキストリン、界面活性剤、ポリフェノール類、カテキン、植物精油等;酸化防止剤として、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、カロテン、ポリフェノール類、没食子酸、クロロゲン酸、カテキン、ルチン、タンニン酸、エラグ酸、オイゲノール、ゲラニオール、チモール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルクレゾール、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキノン、ノルジヒドログアカレチック酸、ローズマリー抽出物、クローブ抽出物、米ぬか抽出物、コーヒー抽出物、セージ抽出物、ハトムギ抽出物、ドクダミ抽出物等が挙げられる。
【0028】
本発明におけるハニカム構造は、公知の手法に従えばよいが、例えば次のようにして調製することができる。
(1)活性炭粉末と結合材とを混練し、押出成形して所望の形状のハニカム予備成形体とした後、焼成し、ハニカム状の予備構造体とする。これとは別に、金属酸化触媒と結合材との混合物を用意し、これを予備構造体のセルの表面に担持させる。
(2)活性炭粉末と金属酸化触媒と結合材とを一括に混練し、押出成形して所望の形状のハニカム予備成形体とした後、焼成し、ハニカム状の構造体とする。
【0029】
本発明の脱臭体は、硫黄系成分である硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル等の不快な強い臭気を発生する物質及びその他の悪臭成分を良好に吸着及び分解することができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0031】
<<性能試験1:実施例1〜3、比較例1〜2>>
(実施例1)
活性炭粉末(BET比表面積1200m/g、平均粒子径20μm)600g、結合材としての粘土鉱物粉末900g、及びメチルセルロース150gを混練し、押出成形して断面視が四角形状のハニカム予備成形体を得た。その後、500℃で5時間焼成し、予備構造体を作製した。
金属酸化触媒としてMn−Cu複合酸化物(Mn:Cu(質量比)=1:0.4、BET比表面積150m/g)400g、結合材としてのシリカゾル1000g、及び水100gを混合して金属酸化物混合液を作製した。
予備構造体を金属酸化物混合液に含浸添着させることにより、金属酸化触媒をセルの表面に担持させ(金属酸化触媒添着)、ハニカム状の構造体を作製した。
これを乾燥し、脱臭体を製造した。得られた脱臭体のサイズは、縦15cm、横15cm、長さ3cmであった。
【0032】
(実施例2)
活性炭粉末の含有量を60質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして脱臭体を作製した。
【0033】
(実施例3)
活性炭粉末(BET比表面積1200m/g、平均粒子径20μm)710g、金属酸化触媒としてMn−Cu複合酸化物(Mn:Cu(質量比)=1:0.4、BET比表面積150m/g)290g、結合材としての粘土鉱物粉末400g、及びメチルセルロース150gを混練し、押出成形して断面視が四角形状のハニカム予備成形体を得た(金属酸化触媒練り込み)。
これを乾燥し、300℃で5時間焼成し、脱臭体を製造した。得られた脱臭体のサイズは、縦15cm、横15cm、長さ3cmであった。
【0034】
(比較例1)
活性炭粉末の含有量を20質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして脱臭体を作製した。
【0035】
(比較例2)
金属酸化触媒を用いなかった以外は、実施例3と同様にして脱臭体を作製した。
【0036】
<セル数と隔壁厚さの測定>
得られた脱臭体について、セル数と隔壁厚さを測定した。結果を表1に示す。
セル数:断面形状における1平方インチあたりのセルの個数
隔壁厚さ(mm):断面形状における隔壁の厚さ
【0037】
<試験例1:1パス脱臭性能の測定>
実施例1〜3及び比較例1〜2で製造した脱臭体について、脱臭性能の評価を行った。
図2は、悪臭ガスの除去率を算出するための測定装置の説明図である。この測定装置においては、密閉可能な円筒形状の治具10の内部に、脱臭体12が設置される。悪臭ガスG1は、治具10のガス入口部13から導入され、脱臭体12を通過した後のガスG2がガス出口部14から排出されるようになっている。なお、脱臭体容積は3.4ccである。
悪臭ガスG1として硫化水素を用い、ガス濃度5ppm、流量8.5L/分、測定時温度25℃、測定時相対湿度80%、SV150,000h−1の条件で脱臭性能を評価した。脱臭体12への通気開始から60分後に脱臭体通過後のガスG2をシリンジにて分取し、ガスクロマトグラフィ法(GC/FID)を用いて臭気成分の濃度を測定した。脱臭性能は下記式の除去率(%)として表した。
除去率(%)=(Ci−Cr)/Ci×100
式中、Ciは治具10のガス入口部13における悪臭ガス濃度(ppm)であり、Crは治具10のガス出口部14における悪臭ガス濃度(ppm)である。
結果を表1に示す。
【0038】
<試験例2:圧力損失の測定>
実施例1〜3及び比較例1〜2で製造した脱臭体について、圧力損失を測定した。厚さ(悪臭ガスの流通方向の厚さ)が30mmの脱臭体を採用し、面風速1m/秒で通気して、微差圧計により脱臭体の入り口側と出口側との圧力損失差を測定した。
結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1の結果より、脱臭体を構成する構造体中に活性炭と金属酸化触媒を含有し、かつ活性炭を40質量%以上含有させた実施例1〜3は、活性炭の含有量が20質量%である比較例1、金属酸化触媒を含有しない比較例2に比べて、悪臭ガスの除去率が高くなることがわかった。また、実施例1〜3、比較例1〜2は、セル数が同じであるが、圧力損失に大きな差は見られなかった。
【0041】
<<性能試験2:実施例4〜10、比較例3>>
(実施例4〜10、比較例3)
活性炭粉末の含有量を60質量%となるようにし、断面形状における1平方インチあたりのセルの個数(セル数)と隔壁の厚さを表2に記載するように変更した以外は、実施例1と同様にして脱臭体を作製した。
【0042】
実施例4〜10及び比較例3で製造した脱臭体について、上記試験例1、2の試験を行い、悪臭除去率と圧力損失を測定した。
結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2の結果より、断面形状における1平方インチあたりのセルの個数(セル数)が150〜400個である実施例4〜10は、比較例3に比べて、悪臭ガスの除去率が高く、圧力損失も低いことがわかった。
【0045】
<<性能試験3:実施例1、比較例4〜6>>
(比較例4〜6)
活性炭粉末に代えて表3に記載の担体を使用した以外は、実施例1と同様にして脱臭体を製造した。
【0046】
実施例1及び比較例4〜6で製造した脱臭体について、上記試験例1の脱臭性能試験を行った。なお、試験は、悪臭ガスとしてメチルメルカプタン(ガス濃度5ppm)と硫化水素(ガス濃度5ppm)を用い、それぞれ測定時相対湿度80%又は90%の条件で試験を行った。
結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
表3の結果から、実施例1の脱臭体は、比較例4〜6に比べて、硫化水素及びメチルメルカプタンという複数種のガスの除去率が高く、かつ高い相対湿度であっても高い除去率が維持されていることが分かった。
【0049】
<<性能試験4:実施例1、比較例4〜6>>
<試験例3:72時間脱臭性能の測定>
実施例1及び比較例4〜6で製造した脱臭体について、試験例1と同様の装置を用い、悪臭ガス(硫化水素)を72時間該装置に流通させた後、悪臭ガスの除去率を測定した。
測定条件は、悪臭ガス濃度40ppm、流量0.5L/分、測定時温度25℃、測定時相対湿度80%、SV8,800h−1であった。
結果を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
表4の結果から、実施例1の脱臭体は、比較例4〜6に比べて、72時間という長時間にわたり硫化水素を流通させた後でも高い除去率を示した。したがって、実施例1の脱臭体は耐久性に優れることが分かった。
【0052】
<<性能試験5:実施例1、11〜26>>
(実施例11〜26)
表5に記載の金属酸化触媒を用い、活性炭と金属酸化触媒の割合を表5に記載の割合とした以外は、実施例1と同様にして脱臭体を製造した。なお、表5中、金属酸化触媒の含有量は、活性炭の質量を1としたときの質量比である。
【0053】
実施例11〜26で製造した脱臭体について、上記試験例1の脱臭性能試験を行った。
結果を表5に示す。
【0054】
【表5】
【0055】
表5の結果から、実施例11〜26の脱臭体は、金属酸化触媒の種類を変更しても、硫化水素の高い除去率を示した。
【0056】
<<性能試験6:実施例1、27〜34>>
(実施例27)
活性炭粉末(BET比表面積1200m/g、平均粒子径20μm)900g、結合材としての粘土鉱物粉末600g、及びメチルセルロース150gを混練し、押出成形して断面視が四角形状のハニカム予備成形体を得た。その後、500℃で5時間焼成し、予備構造体を作製した。
金属酸化触媒としてMn−Cu複合酸化物(Mn:Cu(質量比)=1:0.4、BET比表面積50m/g)400g、結合材としてのシリカゾル1000g、及び水100gを混合して金属酸化物混合液を作製した。
予備構造体を金属酸化物混合液に含浸添着させることにより、金属酸化触媒をセルの表面に担持させ(金属酸化触媒添着)、ハニカム状の構造体を作製した。
これを乾燥し、脱臭体を製造した。活性炭の含有量は46質量%であり、得られた脱臭体のサイズは、縦15cm、横15cm、長さ3cm、セル数300個/inchであった。
【0057】
(実施例28〜34)
活性炭と金属酸化触媒をBET比表面積が表6に記載のものを用いた以外は、実施例27と同様にして脱臭体を製造した。
【0058】
実施例27〜34で製造した脱臭体について、上記試験例1の脱臭性能試験を行った。なお、試験は、悪臭ガスとしてメチルメルカプタン(ガス濃度5ppm)と硫化水素(ガス濃度5ppm)を用いた。
結果を表6に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
表6の結果から、いずれの実施例においてもメチルメルカプタンと硫化水素に対する除去率が50%以上であった。中でも、金属酸化触媒のBET比表面積が80m/g以上、活性炭のBET比表面積が、800m/g以上であるとより悪臭ガスの除去率が向上することがわかった。
【符号の説明】
【0061】
1A〜1C ハニカム状の構造体
10 治具
12 脱臭体
13 ガス入口部
14 ガス出口部
G1 悪臭ガス
G2 脱臭体を通過した後のガス
図1A
図1B
図1C
図2