特許第6756559号(P6756559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756559
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20200907BHJP
【FI】
   D06F58/02 K
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-187409(P2016-187409)
(22)【出願日】2016年9月26日
(65)【公開番号】特開2018-50702(P2018-50702A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 祥彰
(72)【発明者】
【氏名】本田 民樹
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−280997(JP,A)
【文献】 特開平01−131697(JP,A)
【文献】 実開昭53−069060(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/00−58/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容する乾燥室と、該乾燥室内を通過する空気流を発生させるファン装置と、前記乾燥室内における空気流の通過位置に配設されたフィルタユニットとを備える衣類乾燥機において、
前記フィルタユニットは、乾燥中の衣類から出る糸屑類を捕捉するフィルタと、該フィルタを前記乾燥室の内部側から覆うフィルタカバーと、前記乾燥室の内壁に固定されて前記フィルタ及び前記フィルタカバーを支持するフィルタ支持部材とを備え、
前記フィルタカバーは、前記フィルタ支持部材に着脱自在に連結する連結部を備え、該連結部による前記フィルタ支持部材への連結を解除したとき、前記フィルタカバーが前記フィルタを保持した状態で前記フィルタ支持部材から離反可能となり、
前記フィルタ支持部材は、筒状の支持部と、該支持部の内面から内方に突出する凸部とを備え、
前記フィルタカバーの前記連結部は、前記フィルタ支持部材の前記支持部に挿入自在に形成された延出部と、該延出部の外側面に設けられて押圧操作により搖動する複数の操作片と、該操作片に設けられて前記フィルタ支持部材の前記凸部に係止し、該操作片の操作により前記凸部との係止が解除される爪部とを備えることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項2】
衣類を収容する乾燥室と、該乾燥室内を通過する空気流を発生させるファン装置と、前記乾燥室内における空気流の通過位置に配設されたフィルタユニットとを備える衣類乾燥機において、
前記フィルタユニットは、乾燥中の衣類から出る糸屑類を捕捉するフィルタと、該フィルタを前記乾燥室の内部側から覆うフィルタカバーと、前記乾燥室の内壁に固定されて前記フィルタ及び前記フィルタカバーを支持するフィルタ支持部材とを備え、
前記フィルタカバーは、前記フィルタ支持部材に着脱自在に連結する連結部を備え、該連結部による前記フィルタ支持部材への連結を解除したとき、前記フィルタカバーが前記フィルタを保持した状態で前記フィルタ支持部材から離反可能となり、
前記フィルタは、前記フィルタカバーに着脱自在に連結する他の連結部を備え、前記フィルタカバーを前記フィルタ支持部材から離反させたとき、該他の連結部による前記フィルタカバーへの連結が解除可能となり、
前記フィルタカバーは、筒状の周壁部と、該周壁部の内面から内方に突出する他の凸部とを備え、
前記フィルタの前記他の連結部は、前記フィルタカバーの前記周壁部に挿入自在に形成された筒部と、該筒部の外側面に設けられて押圧操作により搖動する複数の他の操作片と、該他の操作片に設けられて前記フィルタカバーの前記他の凸部に係止し、該他の操作片の操作により前記他の凸部との係止が解除される他の爪部とを備えることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の衣類乾燥機において、
前記フィルタは、少なくとも一部が前記フィルタカバーの外方に露出する形状に形成されていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の衣類乾燥機において、
前記フィルタカバーと前記フィルタとは色分けされていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の衣類乾燥機において、
前記フィルタカバーは、前記乾燥室の内壁に対して回転自在に設けられていることを特徴とする衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯後の衣類、タオル、シーツ等を乾燥させる衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の衣類乾燥機は、乾燥室である回転ドラムの内部に洗濯後の衣類(所謂洗濯物でタオルやシーツ等の布製品も含む)を収容し、回転ドラム内に温風を供給しつつ回転ドラムを回転させることによって内部の衣類を乾燥させる。乾燥中、回転ドラムが回転することにより内部の衣類は定位置に止まることなく常に動いた状態となる。これにより、温風が衣類に満遍なく当たって衣類の乾燥が効率良く進む。
【0003】
しかし、回転ドラムの内部で動き回る衣類からは、糸屑類が発生する。このため、温風の出口側となる回転ドラムの内壁には、フィルタユニットが設けられている。フィルタユニットは、糸屑類を捕捉するフィルタと、フィルタを覆うことにより乾燥中の衣類とフィルタとの接触を防止するためのフィルタカバーとで構成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−186397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルタは、糸屑類を捕捉することによって通気性が低下する。このため、フィルタは、定期的に回転ドラムから取り外して掃除が行われる。フィルタを掃除するときには、先ずフィルタカバーを回転ドラムから取り外してフィルタを露出させ、その後、回転ドラムからフィルタを取り外す。
【0006】
しかし、上記のように、フィルタカバーを回転ドラムから取り外すと、糸屑類が付着したフィルタの捕捉面が回転ドラムの内部で露出する。この状態でフィルタを回転ドラムから取り外す作業を行うと、フィルタの捕捉面に作業者の手や指が触れて回転ドラムの内部に糸屑類が飛散するおそれがある。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、フィルタにおける糸屑類が捕捉されている面への接触を防止して、乾燥室からのフィルタの取り外しを極めて容易に行うことができる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、衣類を収容する乾燥室と、該乾燥室内を通過する空気流を発生させるファン装置と、前記乾燥室内における空気流の通過位置に配設されたフィルタユニットとを備える衣類乾燥機において、前記フィルタユニットは、乾燥中の衣類から出る糸屑類を捕捉するフィルタと、該フィルタを前記乾燥室の内部側から覆うフィルタカバーと、前記乾燥室の内壁に固定されて前記フィルタ及び前記フィルタカバーを支持するフィルタ支持部材とを備え、前記フィルタカバーは、前記フィルタ支持部材に着脱自在に連結する連結部を備え、該連結部による前記フィルタ支持部材への連結を解除したとき、前記フィルタカバーが前記フィルタを保持した状態で前記フィルタ支持部材から離反可能となり、前記フィルタ支持部材は、筒状の支持部と、該支持部の内面から内方に突出する凸部とを備え、前記フィルタカバーの前記連結部は、前記フィルタ支持部材の前記支持部に挿入自在に形成された延出部と、該延出部の外側面に設けられて押圧操作により搖動する複数の操作片と、該操作片に設けられて前記フィルタ支持部材の前記凸部に係止し、該操作片の操作により前記凸部との係止が解除される爪部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、前記連結部による連結を解除するだけで、フィルタカバーが乾燥室に固定されたフィルタ支持部材から離脱する。これによりフィルタカバーを容易に乾燥室から取り外すことができる。フィルタカバーを乾燥室から取り外すと、フィルタがフィルタカバーに保持された状態でフィルタカバーと共に外れる。このとき、フィルタは、フィルタカバーに収容された状態で、フィルタにおける糸屑類が捕捉されている面に直接触れることなく取り外せる。よって、フィルタの掃除等の際に乾燥室からフィルタを取り外すとき、フィルタによって捕捉された糸屑類を乾燥室内で飛散させることなく取り外すことができる。
【0011】
しかも、上記構成によれば、複数の操作片を複数の指で同時に摘むようにして押圧力を付与するだけで、操作片が搖動して爪部によるフィルタ支持部材の凸部への係止が解除される。そして、複数の指で操作片を同時に摘んだ状態のままフィルタカバーを乾燥室内から取り出せばよいので、乾燥室からのフィルタカバーの取り外し作業を極めて容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明は、衣類を収容する乾燥室と、該乾燥室内を通過する空気流を発生させるファン装置と、前記乾燥室内における空気流の通過位置に配設されたフィルタユニットとを備える衣類乾燥機において、前記フィルタユニットは、乾燥中の衣類から出る糸屑類を捕捉するフィルタと、該フィルタを前記乾燥室の内部側から覆うフィルタカバーと、前記乾燥室の内壁に固定されて前記フィルタ及び前記フィルタカバーを支持するフィルタ支持部材とを備え、前記フィルタカバーは、前記フィルタ支持部材に着脱自在に連結する連結部を備え、該連結部による前記フィルタ支持部材への連結を解除したとき、前記フィルタカバーが前記フィルタを保持した状態で前記フィルタ支持部材から離反可能となり、前記フィルタは、前記フィルタカバーに着脱自在に連結する他の連結部を備え、前記フィルタカバーを前記フィルタ支持部材から離反させたとき、該他の連結部による前記フィルタカバーへの連結が解除可能となり、前記フィルタカバーは、筒状の周壁部と、該周壁部の内面から内方に突出する他の凸部とを備え、前記フィルタの前記他の連結部は、前記フィルタカバーの前記周壁部に挿入自在に形成された筒部と、該筒部の外側面に設けられて押圧操作により搖動する複数の他の操作片と、該他の操作片に設けられて前記フィルタカバーの前記他の凸部に係止し、該他の操作片の操作により前記他の凸部との係止が解除される他の爪部とを備えることを特徴とする。
【0013】
乾燥室から取り外したフィルタカバーにおいては、フィルタが備える他の連結部による連結を解除するだけで、フィルタをフィルタカバーから取り外すことができる。
【0015】
しかも、上記構成により、フィルタカバーを保持した手と異なる方の手の複数の指で、フィルタの複数の他の操作片を同時に摘んで押圧力を付与することで、他の操作片が搖動して他の爪部による他の凸部への係止が解除される。このように、一方の手に保持したフィルタカバーからフィルタを他方の手で取り外せるので、フィルタカバーとフィルタとの分離を円滑に行うことができる。
【0016】
また、本発明において、前記フィルタは、少なくとも一部が前記フィルタカバーの外方に露出する形状に形成されていることが好ましい。これによれば、フィルタカバーによってフィルタが完全に隠されることがなく、フィルタの一部が視認できるので、フィルタの付け忘れを防止することができる。
【0017】
また、本発明において、前記フィルタカバーと前記フィルタとは色分けされていることが好ましい。これによれば、フィルタとフィルタカバーとの夫々の存在が一見して即座に認識でき、組み付け状態の確認が容易となると共に、フィルタの組み付け忘れの発見も容易となる。
【0018】
また、本発明において、前記フィルタカバーは、前記乾燥室の内壁に対して回転自在に設けられていることが好ましい。これによれば、乾燥室からフィルタカバーを取り外すために連結部の連結を解除するとき、連結部の操作が容易となる位置まで(例えば、指で操作片を操作しやすい向きまで)フィルタカバーを回転させることができる。よって、取り外し作業の際に所望の位置までフィルタカバーを回転させてフィルタカバーの取り外し作業を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態の衣類乾燥機の構成を模式的に示す図。
図2】フィルタユニットの分解斜視図。
図3】フィルタユニットの連結状態を部分的に示す断面図。
図4】フィルタ及びフィルタカバーの外周部の説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の衣類乾燥機1は、図1に示すように、本体ケース2と、乾燥室として設けられた回転ドラム3とを備えている。本体ケース2の正面側には衣類投入口4が開設されている。衣類投入口4は、片開き式の扉5で覆われており、その衣類投入口4の内側には、回転ドラム3が回動自在な状態で軸支されている。
【0021】
回転ドラム3は、回転軸線(図示省略)が水平方向となる姿勢で設けられている。本体ケース2の衣類投入口4側を向く回転ドラム3の端部には、正面開放部6が形成されている。正面開放部6の外周は、リング板7によって回動自在な状態で本体ケース2に支持されている。
【0022】
一方、回転ドラム3の奥壁8(内壁)は、本体ケース2の支持軸9によって回動自在な状態で支持されている。回転ドラム3の奥壁8の内側には、後述するフィルタユニット10が設けられている。回転ドラム3の奥壁8の外側(背面側)には、回転ドラム3内の空気を本体ケース2の外部へ導く排気ダクト11が設けられている。
【0023】
排気ダクト11は、回転ドラム3の奥壁8の外側から本体ケース2の上部の排気口12へ向かって延設されている。排気ダクト11内には、排気ファン13(ファン装置)が組み込まれている。
【0024】
排気ファン13は、その回転により回転ドラム3内の空気を排出すると共に、回転ドラム3内に温風を引き込む気流を発生させる。即ち、排気ファン13が回転すると、外気が本体ケース2の底部に形成されている給気口14から本体ケース2の内部へ取り込まれる。本体ケース2の内部へ取り込まれた外気は、後述するガスバーナ23の炎に加熱されて温風となり、後述する温風ダクト17を通って回転ドラム3内へ送られる。そして、回転ドラム3の内部で衣類Wの湿気を吸収した温風はフィルタユニット10を通過して排気ダクト11へ向かい、排気口12から本体ケース2の外部へ排出される。
【0025】
本体ケース2内には、回転ドラム3および排気ファン13を回転させるためのモータ15と、外気を加熱して温風を生成する燃焼ユニット16と、温風を回転ドラム3内へ導く温風ダクト17とが設けられている。更に、乾燥運転時にモータ15の駆動や燃焼ユニット16の点消火動作等を制御するコントローラ18が設けられている。
【0026】
モータ15は、二つの駆動軸(第1駆動軸19、第2駆動軸20)を備えている。第1駆動軸19の回転力は、第1伝動ベルト21を介して回転ドラム3へ伝達され、回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3の回転は、内部に収容されている衣類Wを定位置に止めることなく常に動かすために行われる。第2駆動軸20の回転力は、第2伝動ベルト22を介して排気ファン13へ伝達され、排気ファン13を回転させる。排気ファン13の回転により、回転ドラム3内部に気流が形成される。
【0027】
燃焼ユニット16は、ガスバーナ23、ガス噴射ノズル24、及び、ガス供給弁装置25を備えることにより構成されている。ガス供給弁装置25から供給された燃料ガスは、ガス噴射ノズル24からガスバーナ23のガス入口26へ向けて噴射される。これにより、燃料ガスがガス入口26周辺の空気と共にガスバーナ23に導かれて燃焼し、外気が加熱される。なお、ガスバーナ23へ供給する燃焼用空気も、加熱するための空気と同じく本体ケース2の底部の給気口14から取り込まれる。
【0028】
温風ダクト17は、ガスバーナ23の上方からリング板7に形成された温風出口27まで延設されており、ガスバーナ23により加熱生成された温風は、温風ダクト17を通って温風出口27へ導かれ、回転ドラム3内へ送り込まれる。
【0029】
回転ドラム3の内部に送り込まれた温風は、回転する回転ドラム3に収容されている衣類Wを乾燥させた後、フィルタユニット10を通過して排気ファン13に向かう。このとき、衣類Wから発生した糸屑類がフィルタユニット10に捕捉される。
【0030】
フィルタユニット10は、図1及び図2に示すように、フィルタ28と、フィルタカバー29と、フィルタ支持部材30とによって構成されている。なお、フィルタ28とフィルタカバー29とは共に対応する円形状であるが、本実施形態においては、フィルタ28の外径がフィルタカバー29の外径より僅かに大きく形成されている。
【0031】
フィルタ28は、円形の外周枠31と、外周枠31と同心の内周枠32と、気流が通過するときに気流に運ばれた糸屑類を捕捉する捕捉材33とで構成されている。外周枠31は、その全周にわたって形成されて回転ドラム3の内側を開放面とする溝条34を備えている。内周枠32は、円筒状の外筒部35と、外筒部35に対して同心円筒状の内筒部36(筒部)とを備えている。内筒部36の内周面の一部は、周方向に配列され複数の凹部37により歯車状に形成されている。
【0032】
また、図2及び図3に示すように、内筒部36の外側面の対称位置の夫々には、第1操作舌片38(他の操作片)が設けられている。第1操作舌片38は、第1ヒンジ部39を介して内筒部36に連設されており、第1ヒンジ部39により弾発的に搖動自在とされている。一対の第1操作舌片38は、外面に突出する第1爪部40(他の爪部)を備えている。また、外筒部35の各第1操作舌片38に対応する位置には、両第1操作舌片38を押圧操作する際に、操作者の指(通常は母指と示指)を夫々差し込む空間を確保するための窪み部41が形成されている。なお、内筒部36、第1操作舌片38、及び第1爪部40は、本発明における他の連結部を構成するものである。
【0033】
フィルタカバー29は、図1及び図2に示すように、中央部に位置して回転ドラム3の内側に向かって隆起する隆起部42と、隆起部42の外周に形成されて通気自在の網目部43と、網目部43の外側の全周にわたって形成されて回転ドラム3の外側に向かって延びるスカート部44と、網目部43の外周縁側の一部から回転ドラム3の内側に向かって突出する一対の突出部45とを備えている。突出部45は、側面視略三角形状に形成され、回転ドラム3の軸線方向を高さ方向としたとき、隆起部42よりも僅かに高く形成されている。
【0034】
また、図3に示すように、隆起部42の裏面側の中央部には、回転ドラム3の軸線に沿って延出する延出基部46(延出部)が形成されている。更に、隆起部42の裏面側には、延出基部46の外側を空隙を存して包囲する円筒状の周壁部47が形成されている。周壁部47の内周面には、周方向に連続する第1環状凸部48(他の凸部)が形成されている。
【0035】
また、延出基部46の外側面の対称位置の夫々には、第2操作舌片49(操作片)が設けられている。第2操作舌片49は、第2ヒンジ部50を介して延出基部46に連設されており、第2ヒンジ部50により弾発的に搖動自在とされている。一対の第2操作舌片49は、外面に突出する第2爪部51(爪部)を備えている。
【0036】
また、図2に示すように、隆起部42の各第2操作舌片49に対応する位置には、両第2操作舌片49を押圧操作する際に、操作者の指(通常は母指と示指)を夫々差し込むための差込孔52が形成されている。なお、延出基部46、第2操作舌片49、及び第2爪部51は、本発明における連結部を構成するものである。
【0037】
フィルタ支持部材30は、図1及び図2に示すように、回転ドラム3の奥壁8に固定する板状基部53と、板状基部53に一体に形成されて回転ドラム3の内方に向って突出する筒状支持部54(支持部)とを備えている。筒状支持部54は、回転ドラム3の回転軸線(図示省略)と同心の筒状に形成されている。筒状支持部54の外周面には、周方向に所定間隔を存して放射状に突出する複数の係止凸部55が形成されている。
【0038】
フィルタ支持部材30の筒状支持部54は、フィルタ28の内周枠32が備えている内筒部36に挿着される。このとき、フィルタ支持部材30の筒状支持部54の外周面に形成されている係止凸部55に、フィルタ28の内筒部36に歯車状に形成されている凹部37が係止することにより、フィルタ28がフィルタ支持部材30に対して回り止めされる。更に、筒状支持部54の内周面には、周方向に連続する第2環状凸部56(凸部)が形成されている。
【0039】
以上のように構成されているフィルタユニット10は、フィルタ28とフィルタカバー29とが連結された状態で、フィルタカバー29とフィルタ支持部材30とが連結されることにより回転ドラム3に取り付けられている。
【0040】
ここで、フィルタユニット10の各部の連結状態について詳説する。フィルタ支持部材30は、例えば、回転ドラム3の奥壁8の中央部に板状基部53がねじ止めされる等により固定される。これにより、フィルタ支持部材30は、回転ドラム3と一体に回転する。このとき、フィルタ支持部材30の筒状支持部54と回転ドラム3とは同心となっている。
【0041】
フィルタカバー29は、図3に示すように、その周壁部47の第1環状凸部48に、フィルタ28の第1操作舌片38の第1爪部40が係止することで、フィルタ28と連結状態となる。第1環状凸部48は環状に形成されていることにより、第1爪部40が係止状態を維持して第1環状凸部48に摺接自在となる。これにより、フィルタカバー29とフィルタ28とは連結状態を維持しながら相対的に回転自在とされる。
【0042】
このとき、図4に示すように、フィルタカバー29のスカート部44の端縁がフィルタ28の外周枠31の溝条34に入り込む。これにより、所謂ラビリンスシール状の構成を簡易に得ることができ、フィルタカバー29のスカート部44とフィルタ28の外周枠31との間を抜けるような空気の流れを抑制することができる。これによれば、フィルタカバー29のスカート部44とフィルタ28の外周枠31との間の気流の通過に伴う塵詰りが防止される。よって、回転ドラム3と一体的に回転するフィルタ28に対し、フィルタカバー29が回転自在である状態を比較的長期に亘り維持することができる。
【0043】
また、フィルタ28の外周枠31の溝条34にフィルタカバー29のスカート部44の端縁が入り込むことで、フィルタカバー29の外側全周に、フィルタ28の外周枠31の外側端面が露出する。これにより、フィルタカバー29によってフィルタ28が完全に隠されることがなく、フィルタ28の一部が視認できるので、フィルタ28の付け忘れを防止することができる。なお、本実施形態ではフィルタ28をフィルタカバー29よりも大径に形成してフィルタ28の外周の端面を全周にわたって露出させたが、これ以外に、視認性は少し低下するが、フィルタ28の一部をフィルタカバー29から部分的に露出させるようにしてもよい。
【0044】
そして、図3に示すように、フィルタカバー29の延出基部46をフィルタ支持部材30の筒状支持部54に差し込むようにして取り付けると、フィルタカバー29の第2操作舌片49の第2爪部51が、フィルタ支持部材30の筒状支持部54の内周面に形成されている第2環状凸部56に係止する。第2環状凸部56は環状に形成されていることにより、第2爪部51が係止状態を維持して第2環状凸部56に摺接自在となる。これにより、フィルタカバー29は、フィルタ支持部材30との連結状態を維持しながら回転自在とされる。
【0045】
図2及び図3を参照して、フィルタ支持部材30とフィルタ28とは、前述したように、フィルタ支持部材30の係止凸部55に、フィルタ28の歯車状の凹部37が係止することにより回転不能とされる。一方、フィルタカバー29は、回転ドラム3に対して回転自在の状態となる。
【0046】
フィルタカバー29は回転ドラム3に対して回転自在に設けられている。これにより、乾燥中の衣類Wがフィルタカバー29に接触すると、衣類Wからの偏荷重を受けたフィルタカバー29が回転ドラム3と異なる方向に回転したりして衣類Wが振り落され、フィルタカバー29への衣類Wの張り付きが防止される。
【0047】
更に、フィルタカバー29は、一対の突出部45を備えることにより、乾燥中の衣類Wが何れかの突出部45に接触したことによる偏荷重を回転力に変換し易い。しかも、フィルタカバー29が万一衣類Wによって覆われたとき、一対の突出部45により衣類Wと網目部43とに隙間を形成して、一時的な衣類Wの張り付きが生じた場合に通気を確保することができる。
【0048】
また、フィルタカバー29は、一対の突出部45の間に隆起部42を備えていることにより、衣類Wと網目部43との間に通気自在の隙間を一層確実に形成することができ、フィルタカバー29の全面が閉塞された状態となるのを防止することができる。
【0049】
なお、突出部45の数は2つ(一対)に限るものではなく、上記の効果が得られれば、1つ以上で適宜の数だけ設ければよい。
【0050】
ところで、フィルタ28は、捕捉材33の目詰まりによる通気性低下を防止するために、定期的に掃除する必要がある。本実施形態においては、フィルタユニット10が上記のように構成されていることにより、極めて容易にフィルタ28を取り外することができ、掃除等の作業を円滑に行うことができる。
【0051】
即ち、図2及び図3を参照して、フィルタ28を取り外すときには、先ず、フィルタカバー29に形成されている2つの差込孔52から夫々指(母指と示指等)を差し込む。このとき、指を差し込みにくい位置に差込孔52がある場合には、フィルタカバー29を回転ドラム3に対して回転させることで、指を差し込み易い位置に差込孔52の位置を合わせることができる。
【0052】
次いで、差込孔52から差し込んだ2本の指で、両第2操作舌片49を同時に摘むようにして押圧力を付与する。これにより、両第2操作舌片49が第2ヒンジ部50を介して搖動し、第2爪部51によるフィルタ支持部材30の第2環状凸部56への係止が解除される。
【0053】
続いて、両第2操作舌片49を摘んだ状態で、軸線に沿った方向にフィルタカバー29を引き抜くと、フィルタカバー29とフィルタ28とが連結状態でフィルタ支持部材30から外れ、回転ドラム3からの取り外しが完了する。
【0054】
その後、一方の手の指でフィルタカバー29を摘んだ状態とし、他方の手の指でフィルタ28の第1操作舌片38を操作する。即ち、他方の手の2本の指で、フィルタ28に設けられている両第1操作舌片38を同時に摘むようにして押圧力を付与する。このとき、フィルタ28の外筒部35に窪み部41が形成されていることにより、操作者の指が外筒部35と干渉することなく両第1操作舌片38の押圧操作を容易に行うことができる。
【0055】
両第1操作舌片38を押圧することにより、両第1操作舌片38が第1ヒンジ部39を介して搖動し、第1爪部40によるフィルタカバー29の第1環状凸部48への係止が解除される。そして、両第1操作舌片38を摘んだ状態で、フィルタ28をフィルタカバー29から引き離すと、フィルタ28が外れて掃除可能となる。
【0056】
フィルタ28の掃除が完了した後には上記の手順と逆に操作してフィルタ28とフィルタカバー29とを容易に回転ドラム3に取り付けることができる。
【0057】
このとき、フィルタ28とフィルタカバー29とを色分けして(異なる色調、又は異なる色相、又は異なる彩度、又は異なる明度等で)形成しておくことが好ましい。具体的には、フィルタ28を糸屑類が比較的視認し易くなる暗い色(黒色等)に形成し、フィルタカバー29を清潔感のある明るい色(ライトブルー等)とすることが挙げられる。このようにフィルタ28とフィルタカバー29とを色分けしておくことにより、フィルタ28とフィルタカバー29との夫々の存在が確実に認識でき、組み付け状態の確認や組み付け忘れの発見が容易となって有利である。
【0058】
なお、本実施形態においては、第2操作舌片49及び第1操作舌片38を一対設けているものを示したが、一対でなくともよく、好ましくは夫々が2つ以上5つ(片手の指の数)以下であればよい。
【符号の説明】
【0059】
W…衣類、1…衣類乾燥機、3…回転ドラム(乾燥室)、8…奥壁(内壁)、10…フィルタユニット、13…排気ファン(ファン装置)、28…フィルタ、29…フィルタカバー、30…フィルタ支持部材、36…内筒部(筒部)、38…第1操作舌片(他の操作片)、40…第1爪部(他の爪部)、46…延出基部(延出部)、47…周壁部、48…第1環状凸部(他の凸部)、49…第2操作舌片(操作片)、51…第2爪部(爪部)、54…筒状支持部(支持部)、56…第2環状凸部(凸部)。
図1
図2
図3
図4