特許第6756572号(P6756572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756572
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】枠体角部構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/88 20060101AFI20200907BHJP
【FI】
   E04B2/88
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-204500(P2016-204500)
(22)【出願日】2016年10月18日
(65)【公開番号】特開2018-66154(P2018-66154A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 玲子
(72)【発明者】
【氏名】奈良 栄達
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 正明
【審査官】 松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−191578(JP,A)
【文献】 実公昭50−038167(JP,Y1)
【文献】 実開昭58−137780(JP,U)
【文献】 特開2000−303571(JP,A)
【文献】 実開昭63−151689(JP,U)
【文献】 実開昭63−073481(JP,U)
【文献】 特開平06−240958(JP,A)
【文献】 実開昭55−176982(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B2/88−2/96
E06B3/96−3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠および横枠を枠組みした枠体と、前記縦枠および前記横枠の内部に配置されたコーナーブロックとによって構成され、
前記縦枠および前記横枠の長手方向における端部は、前記縦枠および前記横枠の長手方向に対して傾斜して互いに対向する傾斜端面を有し、
前記コーナーブロックは、第一差込片部と、前記第一差込片部の長手方向に交差する方向に沿った第二差込片部と、前記第一差込片部が前記縦枠内に差し込まれ、かつ前記第二差込片部が前記横枠内に差し込まれた状態で、前記縦枠および前記横枠の長手方向における端部に当たって前記縦枠および前記横枠の傾斜端面間に隙間を形成する当り部を有し
前記第一差込片部は、前記縦枠の内面に当接する第一内側面および第一外側面を有し、
前記第二差込片部は、前記横枠の内面に当接する第二内側面および第二外側面を有し、
前記当り部は、前記第一内側面および前記第二内側面に連続した当接面によって構成され、
前記当接面は、前記第一差込片部および前記第二差込片部の長手方向に対して傾斜し、
前記第一内側面および前記第二内側面には、前記縦枠および前記横枠の内面に当接する内突部がそれぞれ形成され、
前記第一内側面および前記第二内側面のうち前記内突部および前記当接面間に位置する部分は、前記縦枠および前記横枠の内面に対して間隔を隔てて配置されている
ことを特徴とする枠体角部構造。
【請求項2】
縦枠および横枠を枠組みした枠体と、前記縦枠および前記横枠の内部に配置されたコーナーブロックとによって構成され、
前記縦枠および前記横枠の長手方向における端部は、前記縦枠および前記横枠の長手方向に対して傾斜して互いに対向する傾斜端面を有し、
前記コーナーブロックは、第一差込片部と、前記第一差込片部の長手方向に交差する方向に沿った第二差込片部と、前記第一差込片部が前記縦枠内に差し込まれ、かつ前記第二差込片部が前記横枠内に差し込まれた状態で、前記縦枠および前記横枠の長手方向における端部に当たって前記縦枠および前記横枠の傾斜端面間に隙間を形成する当り部とを有し、
前記第一差込片部は、前記縦枠の内面に当接する第一内側面および第一外側面を有し、
前記第二差込片部は、前記横枠の内面に当接する第二内側面および第二外側面を有し、
前記当り部は、前記第一内側面および前記第二内側面に連続した当接面によって構成され、
前記当接面は、前記第一差込片部および前記第二差込片部の長手方向に対して傾斜し
前記第一外側面および前記第二外側面には、前記縦枠および前記横枠の内面に当接する外突部がそれぞれ形成され、
前記外突部間に位置する部分には、前記縦枠および前記横枠の傾斜端面から離間した凹部が形成されている
ことを特徴とする枠体角部構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の枠体角部構造において、
前記縦枠の長手方向に対する当該縦枠の傾斜端面の傾斜角度と前記横枠の長手方向に対する当該横枠の傾斜端面の傾斜角度とは、前記縦枠および前記横枠の長手方向の交差角度を半分に割った角度とされ、
前記当接面は、前記傾斜端面に沿った方向に直交して配置されている
ことを特徴とする枠体角部構造。
【請求項4】
請求項に記載の枠体角部構造において、
前記第一外側面および前記第二外側面には、前記縦枠および前記横枠の内面に当接する外突部がそれぞれ形成され、
前記外突部間に位置する部分には、前記縦枠および前記横枠の傾斜端面から離間した凹部が形成されている
ことを特徴とする枠体角部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁として用いられるカーテンウォールなどの枠体角部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上枠、下枠および左右の縦枠を枠組みして構成されるフレームと、フレームの内側に組み込まれたガラスパネルとで構成されたカーテンウォールが知られている(特許文献1参照)。
このカーテンウォールでは、上枠、下枠および左右の縦枠の長手方向端面が45度の傾斜面となるように切断されており、各傾斜面同士を突合せ、かつL字状に形成されたコーナーブロックを枠内に挿入してボルト止めすることで、枠体角部構造が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−317518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した枠体角部構造において、上枠、下枠および左右の縦枠の各傾斜面同士の突合せ部分をシールする場合には、各傾斜面間にシールするための隙間を形成する必要がある。
しかし、前記隙間が形成されるように各枠同士を位置決めすることは容易ではなく手間を要する。例えば各枠同士の位置決め誤差によって前記隙間が潰れてしまった場合には、当該隙間に不定形シール材を充填することができず、また、前記隙間に介在させようとしたシート状の定形シール材が切れてしまうおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、各枠の長手方向における端面間にシール用の隙間を容易に形成できる枠体角部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の枠体角部構造は、縦枠および横枠を枠組みした枠体と、前記縦枠および前記横枠の内部に配置されたコーナーブロックとによって構成され、前記縦枠および前記横枠の長手方向における端部は、前記縦枠および前記横枠の長手方向に対して傾斜して互いに対向する傾斜端面を有し、前記コーナーブロックは、第一差込片部と、前記第一差込片部の長手方向に交差する方向に沿った第二差込片部と、前記第一差込片部が前記縦枠内に差し込まれ、かつ前記第二差込片部が前記横枠内に差し込まれた状態で、前記縦枠および前記横枠の長手方向における端部に当たって前記縦枠および前記横枠の傾斜端面間に隙間を形成する当り部を有し、前記第一差込片部は、前記縦枠の内面に当接する第一内側面および第一外側面を有し、前記第二差込片部は、前記横枠の内面に当接する第二内側面および第二外側面を有し、前記当り部は、前記第一内側面および前記第二内側面に連続した当接面によって構成され、前記当接面は、前記第一差込片部および前記第二差込片部の長手方向に対して傾斜し、前記第一内側面および前記第二内側面には、前記縦枠および前記横枠の内面に当接する内突部がそれぞれ形成され、前記第一内側面および前記第二内側面のうち前記内突部および前記当接面間に位置する部分は、前記縦枠および前記横枠の内面に対して間隔を隔てて配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の枠体角部構造によれば、縦枠および横枠の傾斜端面間にコーナーブロックとは別体のスペーサ等を介在させることなく、コーナーブロックを縦枠および横枠の内部に配置するだけで、当り部が縦枠および横枠の長手方向における端部に当たって互いに対向する傾斜端面間にシール用の隙間を容易に形成できる。
また、コーナーブロックが縦枠および横枠内に配置された状態で、第一差込片部および第二差込片部の長手方向に対して傾斜した当接面が縦枠および横枠の長手方向における端部に当接する。このため、縦枠および横枠の傾斜端面間に介在される突部などをコーナーブロックに設けることなく、当該傾斜端面間に隙間を形成できる。また、当該隙間に前記突部やスペーサなどが介在されてシール材の充填や設置を邪魔することがない。
更に、前述した間隔がない場合と比べ、第一内側面および第二内側面に対する当接面の連続部分間の寸法を大きくできる。このため、当接面の面領域が広がり、縦枠および横枠の長手方向における端部同士の位置ズレの補正可能範囲を拡大できる。
【0008】
本発明の枠体角部構造は縦枠および横枠を枠組みした枠体と、前記縦枠および前記横枠の内部に配置されたコーナーブロックとによって構成され、前記縦枠および前記横枠の長手方向における端部は、前記縦枠および前記横枠の長手方向に対して傾斜して互いに対向する傾斜端面を有し、前記コーナーブロックは、第一差込片部と、前記第一差込片部の長手方向に交差する方向に沿った第二差込片部と、前記第一差込片部が前記縦枠内に差し込まれ、かつ前記第二差込片部が前記横枠内に差し込まれた状態で、前記縦枠および前記横枠の長手方向における端部に当たって前記縦枠および前記横枠の傾斜端面間に隙間を形成する当り部とを有し、前記第一差込片部は、前記縦枠の内面に当接する第一内側面および第一外側面を有し、前記第二差込片部は、前記横枠の内面に当接する第二内側面および第二外側面を有し、前記当り部は、前記第一内側面および前記第二内側面に連続した当接面によって構成され、前記当接面は、前記第一差込片部および前記第二差込片部の長手方向に対して傾斜し、前記第一外側面および前記第二外側面には、前記縦枠および前記横枠の内面に当接する外突部がそれぞれ形成され、前記外突部間に位置する部分には、前記縦枠および前記横枠の傾斜端面から離間した凹部が形成されていること特徴とする
本発明の枠体角部構造によれば、縦枠および横枠の傾斜端面間にコーナーブロックとは別体のスペーサ等を介在させることなく、コーナーブロックを縦枠および横枠の内部に配置するだけで、当り部が縦枠および横枠の長手方向における端部に当たって互いに対向する傾斜端面間にシール用の隙間を容易に形成できる。
また、コーナーブロックが縦枠および横枠内に配置された状態で、第一差込片部および第二差込片部の長手方向に対して傾斜した当接面が縦枠および横枠の長手方向における端部に当接する。このため、縦枠および横枠の傾斜端面間に介在される突部などをコーナーブロックに設けることなく、当該傾斜端面間に隙間を形成できる。また、当該隙間に前記突部やスペーサなどが介在されてシール材の充填や設置を邪魔することがない。
更に、前述した外突部が縦枠および横枠の内面に当接した状態で、コーナーブロックの凹部によって各傾斜端面間の隙間から充填されるシール材のシール溜りを形成できる。
【0009】
本発明の枠体角部構造では、前記縦枠の長手方向に対する当該縦枠の傾斜端面の傾斜角度と前記横枠の長手方向に対する当該横枠の傾斜端面の傾斜角度とは、前記縦枠および前記横枠の長手方向の交差角度を半分に割った角度とされ、前記当接面は、前記傾斜端面に沿った方向に直交して配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、縦枠および横枠の長手方向における端部が当接面に当接することで、縦枠および横枠の長手方向における端部の当接面に対する当接角度が同じ角度となるように、縦枠および横枠の各傾斜端面同士の位置合わせを補助できる。
【0010】
本発明の枠体角部構造では、前記第一内側面および前記第二内側面にそれぞれ形成された前記内突部と、前記第一外側面および前記第二外側面にそれぞれ形成された前記外突部との双方を有していてもよい。
このような構成によれば、前記内凸部および前記外突部を形成することによる前述した作用効果を発揮できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各枠の長手方向における端面間にシール充填用の隙間を容易に形成できる枠体角部構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る枠体角部構造を備えるカーテンウォールユニットを示す外観姿図。
図2図1に示すII−II線に沿った断面図。
図3図1に示すIII−III線に沿った断面図。
図4】前記実施形態に係る枠体角部構造を示す斜視図。
図5】前記実施形態に係る枠体角部構造を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1図3は、本実施形態に係る枠体角部構造を備えるカーテンウォールユニット10を示している。カーテンウォールユニット10は、上下方向に並設されることで、建物の外壁面であるカーテンウォールを構成し、室内外(屋内外)を仕切るものである。なお、建物は、梁と、梁で支持される床スラブとを備えており、床スラブの下部には吊り天井が設置されている。各カーテンウォールユニット10は、床スラブにそれぞれ吊られて設置されている。
【0015】
カーテンウォールユニット10は、枠体20と、パネル21,22とを備える段窓によって構成されている。
枠体20は、アルミ製の押出形材によって形成された上枠30(横枠)、下枠40(横枠)、無目50および左右の縦枠60(60A,60B)を枠組みして構成されている。上枠30、下枠40および左右の縦枠60(60A,60B)は、断面形状が同一の枠形材25と、枠形材25に係合する押縁26とによって枠組みして構成されている。無目50は、左右の縦枠60A,60Bに取り付けられている。
【0016】
上枠30、無目50および左右の縦枠60A,60Bは、上側の開口23を形成しており、下枠40、無目50および左右の縦枠60A,60Bは、下側の開口24を形成している。パネル21は、単層ガラスパネルによって形成されて開口23に配置されている。パネル22は、複層ガラスパネルによって形成されて開口24に配置されている。
【0017】
上枠30は、図2に示すように、枠形材25と、押縁26とによって構成されている。枠形材25は、パネル対向片部251(室外見付け片部)と、各見込み片部252,253と、室内見付け片部254と、係合片部255とを有している。
【0018】
パネル対向片部251は、枠形材25の見付け方向に沿っており、その室外面には、パネル21の室内面に当接するガスケット11が装着された室外突部251Aが形成されている。また、パネル対向片部251から室外側に向かって係合片部255が延出している。
【0019】
各見込み片部252,253は、パネル対向片部251にそれぞれ連続している。上枠30において、内側見込み片部252は、外側見込み片部253に対して下方に位置している。内側見込み片部252の室内側部分には、耐火パネル15の上縁部が取り付けられている。外側見込み片部253には、水密材12および気密材13がそれぞれ装着された装着部253A,253Bが形成されている。水密材12は、気密材13よりも室外側との等圧空間を形成するための間隔を隔てて室外側に位置している。
【0020】
室内見付け片部254は、各見込み片部252,253に連続している。各見込み片部252,253には、仕切り片部256,257が連続しており、この仕切り片部256,257によって枠形材25内に三つのホロー28A,28B,28Cが形成されている。ホロー28Bよりも室外側に位置するホロー28Aと、ホロー28Bよりも室内側に位置するホロー28Cには、後述するコーナーブロック71が配置されている。
【0021】
上枠30の外側見込み片部253のうち装着部253A,253B間に位置する部分には、前述した等圧空間に浸入した水を排水するための排水口31が形成されている。この排水口31から排水された水は、上枠30および左右の縦枠60A,60Bのホロー28Bを通って下枠40の排水口43から排水される。
【0022】
ここで、水密材12は、ヒレ部を有して形成され、装着部253Aに装着されており、気密材13は、装着部253Aよりも室内側に位置した装着部253Bに装着されている。なお、装着部253A,253B間には、嵌合凸部材(図示省略)がはめ込まれている。
【0023】
押縁26は、断面略L字形状に形成されており、係合片部255に係合されている。この押縁26は、パネル21の室外面に当接するガスケット17を介して当該パネル21の室外面を押えている。
【0024】
下枠40は、図2に示すように、前述した枠形材25および押縁26によって構成されており、上枠30に対して上下逆向きに配置されている。下枠40のパネル対向片部251に形成された室外突部251Aには、パネル22の室内面に当接するガスケット18が装着されている。下枠40の押縁26に装着されたガスケット17は、パネル22の室外面に当接している。なお、下枠40には排水口31は形成されていない。
【0025】
下枠40の装着部253A,253B間には、上枠30の嵌合凸部材に嵌合した嵌合凹部材(図示省略)がはめ込まれている。
下枠40の水密材12のヒレ部は、上枠30の水密材12のヒレ部に当接しており、下枠40の気密材13は、上枠30の気密材13に当接しており、これら水密材12および気密材13間に外部空間と等圧とされる等圧空間が形成されている。
下枠40の外側見込み片部253には、装着部253Aよりも室内側部分と室外側部分とに通気口41,42が形成されている。また、下枠40の外側見込み片部253の両端部側には、下枠40の長手方向に沿って通気口41と並んだ排水口43が形成されており、各ホロー28Bを通る水は、この排水口43から排水される。
【0026】
縦枠60A,60Bは、図3に示すように、前述した枠形材25および押縁26によってそれぞれ構成されており、互いに左右逆向きに配置されている。縦枠60A,60Bは、無目50よりも上側部分でパネル21を保持しており、無目50よりも下側部分でパネル22を保持している。なお、縦枠60A,60Bには、排水口31,43および通気口41,42は形成されていない。
【0027】
図1において、上枠30の左端部および縦枠60Aの上端部によって左上側のコーナー部70A(角部)が形成され、上枠30の右端部および縦枠60Bの上端部によって右上側のコーナー部70B(角部)が形成され、下枠40の左端部および縦枠60Aの下端部によって左下側のコーナー部70C(角部)が形成され、下枠40の右端部および縦枠60Bの下端部によって右下側のコーナー部70D(角部)が形成されている。
各コーナー部70(70A〜70D)の構造(枠体角部構造)は、図4,5に示すように概略同様に構成されているので、左下のコーナー部70Cについて説明し、他のコーナー部70A,70B,70Dについての説明は省略する。なお、図4(A)はコーナー部70Cを示す斜視図であり、図4(B)は縦枠60Aを外した状態の斜視図であり、図5は縦枠60Aおよび下枠40の内部にあるコーナーブロック71を示す説明図である。
【0028】
図5に示すように、各枠形材25の長手方向における端部25Aには、当該各枠形材25の長手方向に対して45度の角度で切断された傾斜端面27が形成されている。縦枠60Aの長手方向と下枠40の長手方向との交差角度は90度であり、傾斜端面27は、前記交差角度を半分に割った角度に設定されている。
図5には、縦枠60Aと下枠40の端部25Aが示されており、これらの傾斜端面27同士がシール材充填用の隙間Cを隔てて対向して配置されている。
この隙間Cは、コーナー部70Cの内部に配置されたコーナーブロック71(71A,71B)によって形成されている。図4に示すように、コーナーブロック71Aは、ホロー28Aに配置されており、コーナーブロック71Bは、ホロー28Cに配置されている。
【0029】
コーナーブロック71Aは、図4,5に示すように、第一差込片部72と、第一差込片部72の長手方向に交差する方向に沿った第二差込片部73と、第一差込片部72および第二差込片部73の交差部分に形成された当り部を構成する当接面74とを有している。
【0030】
第一差込片部72は、縦枠60Aの端部25Aからホロー28Aに差し込まれており、縦枠60Aの外側見込み片部253にボルト16によってボルト止めされている。
第一差込片部72は、縦枠60Aの内側見込み片部252の内面に当接する第一内側面721と、縦枠60Aの外側見込み片部253の内面に当接する第一外側面722と、第一内側面721および第一外側面722に連続した先端面723とを有している。
また、第一差込片部72は、上下方向に沿って延びているとともに、内部が肉抜きされて中空とされている。先端面723は、その第一外側面722に対する連続部分が第一内側面721に対する連続部分よりも上方に位置するように第一差込片部72の長手方向に対して傾斜している。
【0031】
第一内側面721には、縦枠60Aの内側見込み片部252の内面に当接する内突部721Aが上下方向に沿って複数形成されている。複数の内突部721Aのうち最下部に位置する内突部721Aと当接面74との間に位置する第一内側面721の部分は、縦枠60Aの内側見込み片部252の内面に対して間隔を隔てて配置されている。
【0032】
第一外側面722は、縦枠60Aの外側見込み片部253の内面に当接する外突部722Aが上下方向に沿って複数形成されている。
【0033】
第二差込片部73は、下枠40の端部25Aからホロー28Aに差し込まれており、下枠40の外側見込み片部253にボルト16によってボルト止めされている。
第二差込片部73は、下枠40の内側見込み片部252の内面に当接する第二内側面731と、下枠40の外側見込み片部253の内面に当接する第二外側面732と、第二内側面731および第二外側面732に連続した先端面733とを有している。
また、第二差込片部73は、左右方向に沿って延びているとともに、内部が肉抜きされて中空とされている。先端面733は、その第二外側面732に対する連続部分が第二内側面731に対する連続部分よりも図5において右側に位置するように、第二差込片部73の長手方向に対して傾斜している。
【0034】
第二内側面731には、下枠40の内側見込み片部252の内面に当接する内突部731Aが左右方向に沿って複数形成されている。複数の内突部731Aのうち図5において最も左側に位置する内突部731Aと当接面74との間に位置する第二内側面731の部分は、下枠40の内側見込み片部252の内面に対して間隔を隔てて配置されている。
【0035】
第二外側面732は、下枠40の外側見込み片部253の内面に当接する外突部732Aが左右方向に沿って複数形成されている。
【0036】
コーナーブロック71Aのうち外突部722A,732A間に位置する部分には、縦枠60Aおよび下枠40の外側見込み片部253における各傾斜端面27から離間して位置する凹部75が形成されている。
【0037】
当接面74は、前述した第一内側面721および第二内側面731に連続している。当接面74は、第一差込片部72および第二差込片部73の長手方向に対して等しい傾斜角度をもって傾斜しており、縦枠60Aおよび下枠40の傾斜端面27に沿った方向に直交して配置されている。
【0038】
コーナーブロック71Bは、コーナーブロック71Aと同様に形成されてホロー28Cに配置されている。
【0039】
コーナーブロック71A,71Bの当接面74は、第一差込片部72が縦枠60A内に差し込まれ、かつ第二差込片部73が下枠40内に差し込まれた状態で、縦枠60Aおよび下枠40の端部25A、本実施形態では、傾斜端面27の鋭角エッジに当接している。このように当接面74が端部25Aに当接することによって、縦枠60Aおよび下枠40の相互位置が位置決めされ、各内側見込み片部252における傾斜端面27間に隙間Cが形成されて保たれている。
また、コーナーブロック71A,71Bの外突部722A,732Aが各外側見込み片部253の内面に当接することで、当該各外側見込み片部253における傾斜端面27間に隙間Cが形成されて保たれている。
さらに、コーナーブロック71Aは縦枠60Aおよび下枠40のパネル対向片部251に隣接して配置されているので、これらパネル対向片部251の傾斜端面27にも隙間Cが形成されている。一方、コーナーブロック71Bは、縦枠60Aおよび下枠40の室内見付け片部254に隣接して配置されているので、これら室内見付け片部254間の傾斜端面27にも隙間Cが形成されている。
【0040】
このように縦枠60Aおよび下枠40の傾斜端面27の全周にわたって隙間Cが形成されているので、この隙間Cにシール材を充填することでコーナー部70Cの全周をシールできる。なお、各外側見込み片部253間の隙間Cに充填されたシール材は、凹部75に留まる。
【0041】
[本実施形態の効果]
(1)本実施形態では、カーテンウォールユニット10の枠体角部構造は、縦枠60A,60Bおよび横枠(上枠30、下枠40)を枠組みした枠体20と、上枠30、下枠40および縦枠60A,60Bの内部に配置されたコーナーブロック71とによって構成され、上枠30、下枠40および縦枠60A,60Bの長手方向における端部25Aは、上枠30、下枠40および縦枠60A,60Bの長手方向に対して傾斜して互いに対向する傾斜端面27を有し、コーナーブロック71は、第一差込片部72と、第一差込片部72の長手方向に交差する方向に沿った第二差込片部73と、第一差込片部72が縦枠60A(60B)内に差し込まれ、かつ第二差込片部73が上枠30(下枠40)内に差し込まれた状態で、各端部25Aに当たって各傾斜端面27間に隙間Cを形成する当接面74を有していることを特徴とする。
上記構成を有するため、上枠30および縦枠60A,60Bの傾斜端面27間や下枠40および縦枠60A,60Bの傾斜端面間にコーナーブロック71とは別体のスペーサ等を介在させる必要がなく、コーナーブロック71を上枠30、下枠40および左右の縦枠60A,60Bの内部に配置するだけで、当接面74が各端部25Aに当たって互いに対向する傾斜端面27間にシール材用の隙間Cを容易に形成できる。
さらに、本実施形態では、以下の各効果を発揮できる。
(2)前記実施形態では、第一差込片部72は、縦枠60A(60B)の内面に当接する第一内側面721および第一外側面722を有し、第二差込片部73は、上枠30(下枠40)の内面に当接する第二内側面731および第二外側面732を有し、当接面74は、第一内側面721および第二内側面731に連続した当接面74によって構成され、当接面74は、第一差込片部72および第二差込片部73の長手方向に対して傾斜している。
このため、コーナーブロック71が枠体20内に配置された状態で、第一差込片部72および第二差込片部73の長手方向に対して傾斜した当接面74が各端部25Aに当接する。このため、各傾斜端面27間に介在される突部などをコーナーブロック71に設けることなく、当該傾斜端面27間に隙間Cを形成できる。また、当該隙間Cに前記突部やスペーサなどが介在されてシール材の充填や設置を邪魔することがない。
(3)前記実施形態では、縦枠60A(60B)の長手方向に対する傾斜端面27の傾斜角度と上枠30(下枠40)の長手方向に対する傾斜端面27の傾斜角度とは、縦枠60A(60B)および上枠30(下枠40)の長手方向の交差角度を半分に割った角度とされ、当接面74は、傾斜端面27に沿った方向に直交して配置されている。
このため、各端部25Aが当接面74に当接することで、各端部25Aの当接面74に対する当接角度が同じ角度となるように、各傾斜端面27同士の位置合わせを補助できる。
(4)前記実施形態では、第一内側面721および第二内側面731には、縦枠60A(60B)および上枠30(下枠40)の内面に当接する内突部721A,731Aがそれぞれ形成され、第一内側面721および第二内側面731のうち内突部721A,731Aおよび当接面74間に位置する部分は、縦枠60A(60B)および上枠30(下枠40)の内面に対して間隔を隔てて配置されている。
このため、前述した間隔がない場合と比べ、第一内側面721および第二内側面731に対する当接面74の連続部分間の寸法を大きくできる。これにより、当接面74の面領域が広がり、各端部25A同士の位置ズレの補正可能範囲を拡大できる。
(5)前記実施形態では、第一外側面722および第二外側面732には、縦枠60A(60B)および上枠30(下枠40)の内面に当接する外突部722A,732Aがそれぞれ形成され、外突部722A,732A間に位置する部分には、各傾斜端面27から離間した凹部75が形成されている。
このため、前述した外突部722A,732Aが縦枠60A(60B)および上枠30(下枠40)の内面に当接した状態で、コーナーブロック71の凹部75によって各傾斜端面27間の隙間Cから充填されるシール材のシール溜りを形成できる。
【0042】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、当接面74は縦枠60A(60B)および上枠30(下枠40)の長手方向に対して等しい傾斜角度をもっているが、これに限られず、互いに異なる傾斜角度をもっていてもよい。
【0043】
前記実施形態では、コーナーブロック71に形成した当接面74によって傾斜端面27間に隙間Cを形成する当り部を構成しているが、これに限られず、例えば、傾斜端面27間に介在される突部を前記当り部としてコーナーブロック71に形成してもよい。
【0044】
前記実施形態では、第一差込片部72および第二差込片部73は、肉抜きされて中空に形成されているが、肉抜きされずに中実とされてもよい。
また、第一内側面721の内突部721Aおよび当接面74間の部分と第二内側面731の内突部731Aおよび当接面74間の部分とは、縦枠60A(60B)および上枠30(下枠40)の内面に対して間隔を隔てて配置されているが、これに限られず、間隔を隔てずに縦枠60A(60B)および上枠30(下枠40)の内面に当接してもよい。
さらに、内突部721A,731Aや外突部722A,732Aの構成を省略して、第一内側面721および第一外側面722の全面が縦枠60(60B)の内面に当接し、第二内側面731および第二外側面732の全面が上枠30(下枠40)の内面に当接してもよい。
【0045】
前記実施形態では、外突部722A,732A間に凹部75が形成されているが、この構成を省略してもよい。
【0046】
前記実施形態では、前述した枠体角部構造が構成されるものとしてカーテンウォールユニット10を説明したが、このほか、ノックダウン式のカーテンウォールや窓などの建具に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…カーテンウォールユニット、11,17,18…ガスケット、12…水密材、13…気密材、15…耐火パネル、16…ボルト、20…枠体、21,22…パネル、23,24…開口、25…枠形材、25A…端部、26…押縁、27…傾斜端面、28A,28B,28C…ホロー、30…上枠、31,43…排水口、40…下枠、41,42…通気口、50…無目、60(60A,60B)…縦枠、70(70A〜70D)…コーナー部、71(71A,71B)…コーナーブロック、72…第一差込片部、73…第二差込片部、74…当接面、75…凹部、251…パネル対向片部、251A…室外突部、252…内側見込み片部、253…外側見込み片部、253A,253B…装着部、254…室内見付け片部、255…係合片部、256,257…仕切り片部、721…第一内側面、721A,731A…内突部、722…第一外側面、722A,732A…外突部、723,733…先端面、731…第二内側面、732…第二外側面、C…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5