特許第6756575号(P6756575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6756575フィンチューブ型熱交換器及びこの熱交換器を備える燃焼装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756575
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】フィンチューブ型熱交換器及びこの熱交換器を備える燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20200907BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20200907BHJP
   F24H 1/12 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   F28F1/32 Q
   F24H9/00 A
   F24H1/12 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-205690(P2016-205690)
(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-66519(P2018-66519A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 翔太
(72)【発明者】
【氏名】原田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 英克
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−227294(JP,A)
【文献】 特開2010−230290(JP,A)
【文献】 特開平8−327270(JP,A)
【文献】 米国特許第6644389(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/32
F24H 1/12
F28D 1/04
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナからの燃焼ガスが内部に流れる胴体と、胴体内に収納される、起立姿勢で板厚方向に並設された複数のフィンと、これらフィンを貫通する伝熱管とを備えるフィンチューブ型熱交換器であって、伝熱管は上下2段に配置され、下段の複数の伝熱管の各配置ピッチ部分の上方に位置させて上段の各伝熱管が配置され、更に、上下各段の伝熱管の並び方向を横方向として、各フィンに、下段の各伝熱管の上方部分に位置させて、フィンをトンネル状に切起すことで形成される横方向に細長い形状の切起しフィン部が上下複数設けられるものにおいて、
下段の横方向最外側の伝熱管の上方部分に設けられる上下複数の切起しフィン部を外側切起しフィン部群、下段の横方向最外側ではない伝熱管の上方部分に設けられる上下複数の切起しフィン部を内側切起しフィン部群として、外側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部は、少なくとも横方向外側の端部が内側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部よりも下方に位置するように、横方向外側に向かって下方に傾斜していることを特徴とするフィンチューブ型熱交換器。
【請求項2】
外側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部の横方向外側の端部は、外側切起しフィン部群の他の切起しフィン部の横方向外側の端部よりも横方向内側に位置することを特徴とする請求項1記載のフィンチューブ型熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2記載のフィンチューブ型熱交換器と、この熱交換器を加熱する熱源となるバーナとを備えることを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナからの燃焼ガスが内部に流れる胴体と、胴体内に収納される、起立姿勢で板厚方向に並設された複数のフィンと、これらフィンを貫通する伝熱管とを備えるフィンチューブ型熱交換器及びこの熱交換器を備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置等の燃焼装置に設けられるフィンチューブ型熱交換器として、伝熱管が上下2段に配置され、下段の複数の伝熱管の各配置ピッチ部分の上方に位置させて上段の各伝熱管が配置され、更に、上下各段の伝熱管の並び方向を横方向として、各フィンに、下段の各伝熱管の上方部分に位置させて、フィンをトンネル状に切起すことで形成される横方向に細長い形状の切起しフィン部を上下複数設け、熱交換効率を向上させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、熱交換器の耐久性を向上させるには、燃焼ガスによる胴体の過熱を抑制することが望まれる。そのためには、下段の横方向最外側の伝熱管の上方部分に流れる燃焼ガスが胴体に近付かないようにする必要がある。ここで、上記従来例の熱交換器では、下段の横方向最外側の伝熱管の上方部分に設けられる上下複数の切起しフィン部(外側切起しフィン部群)が全て横方向に真直であり、外側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部の内側のトンネル状空隙に流入する燃焼ガスの中心流線は、当該切起しフィン部の横方向中心から真下にのびる線に一致する。そのため、下段の横方向最外側の伝熱管の横方向内側から当該伝熱管の上方に向かう燃焼ガスの主たる流れは、外側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部の横方向中心の直下まで横方向外側に迂回してから上記中心流線に沿って上方に向かうことになる。その結果、燃焼ガスがフィンの横方向外側に位置する胴体の側板部に近付き、その過熱を生じやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−227294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、燃焼ガスによる胴体の側板部の過熱を抑制できるようにしたフィンチューブ型熱交換器及びこの熱交換器を備える燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナからの燃焼ガスが内部に流れる胴体と、胴体内に収納される、起立姿勢で板厚方向に並設された複数のフィンと、これらフィンを貫通する伝熱管とを備えるフィンチューブ型熱交換器であって、伝熱管は上下2段に配置され、下段の複数の伝熱管の各配置ピッチ部分の上方に位置させて上段の各伝熱管が配置され、更に、上下各段の伝熱管の並び方向を横方向として、各フィンに、下段の各伝熱管の上方部分に位置させて、フィンをトンネル状に切起すことで形成される横方向に細長い形状の切起しフィン部が上下複数設けられるものにおいて、下段の横方向最外側の伝熱管の上方部分に設けられる上下複数の切起しフィン部を外側切起しフィン部群、下段の横方向最外側ではない伝熱管の上方部分に設けられる上下複数の切起しフィン部を内側切起しフィン部群として、外側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部は、少なくとも横方向外側の端部が内側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部よりも下方に位置するように、横方向外側に向かって下方に傾斜していることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、外側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部の内側のトンネル状空隙に流入する燃焼ガスの中心流線が、当該切起しフィン部の横方向中心から下方に向けて横方向内側に傾いた方向にのびる線に一致する。そのため、下段の横方向最外側の伝熱管の横方向内側から当該伝熱管の上方に向かう燃焼ガスの主たる流れは、外側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部の横方向中心の真下まで横方向外側に迂回することなく、上記中心流線に沿って上方に向かう。その結果、フィンの横方向外側に位置する胴体の側板部に燃焼ガスがあまり近付かず、燃焼ガスによる側板部の過熱を抑制できる。
【0008】
また、本発明において、外側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部の横方向外側の端部は、外側切起しフィン部群の他の切起しフィン部の横方向外側の端部よりも横方向内側に位置することが望ましい。これによれば、外側切起しフィン部群の最下側の切起しフィン部の内側のトンネル状空隙に向かう燃焼ガスの流れが胴体の側板部からより離れて、燃焼ガスによる側板部の過熱をより効果的に抑制できる。
【0009】
本発明の燃焼装置は、上記本発明のフィンチューブ型熱交換器と、この熱交換器を加熱する熱源となるバーナとを備えることを特徴とする。これによれば、熱効率を高めて、且つ、熱交換器の胴体側板部の過熱を防止できるようにした燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態のフィンチューブ型熱交換器の斜視図。
図2】実施形態のフィンチューブ型熱交換器の要部の切断側面図。
図3図2のIII−III線で切断したフィンチューブ型熱交換器と燃焼装置の他の構成部材とを含む断面図。
図4】実施形態のフィンチューブ型熱交換器に設けられるフィンの板厚方向一方側から見た斜視図。
図5】実施形態のフィンチューブ型熱交換器に設けられるフィンの板厚方向他方側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図3に示す本発明の実施形態のフィンチューブ型熱交換器Aは給湯装置から成る燃焼装置に設けられる熱交換器である。図3を参照して、燃焼装置は、フィンチューブ型熱交換器Aと、この熱交換器Aを加熱する熱源となるバーナ100とを備えている。
【0012】
バーナ100は、燃焼筐101内に複数並設され、この燃焼筐101の上にフィンチューブ型熱交換器Aが設置されている。尚、燃焼筐101内の下部には、バーナ100の配置部に対し仕切板102で仕切られた給気室103が設けられており、給気室103に図外のファンから供給される空気が仕切り板102に形成した多数の分布孔102aを介してバーナ100に燃焼用二次空気として供給される。また、燃焼筐100の下部前面にはガスマニホールド104が配置されている。ガスマニホールド104には、各バーナ100の下部前端の流入口100aに臨むノズル104aが設けられている。そして、流入口100aにノズル104aから燃料ガスが供給されると共に給気室103から燃焼用一次空気が供給され、燃料ガスと一次空気との混合気がバーナ100の上端の炎口部から噴出して燃焼する。
【0013】
フィンチューブ型熱交換器Aは、燃焼筐101の上端に結合される、バーナ100からの燃焼ガスが内部に流れる胴体1と、胴体1内に収納される、起立姿勢で板厚方向に並設された複数の銅板製のフィン2と、これらフィン2を貫通する複数の銅製の伝熱管3とを備えており、伝熱管3に流す水を燃焼ガスとの熱交換で加熱する。
【0014】
伝熱管3は、上下2段に配置されている。下段には、4本の伝熱管3が配置され、上段には、下段の伝熱管3の各配置ピッチ部分の上方に位置させて、各1本、計3本の伝熱管3が配置されている。そして、これら7本の伝熱管3が直列に接続されるように、隣接する各2本の伝熱管3,3を胴体1の外部で各Uベント31を介して接続し、更に、上流端(図3で下段左端)の伝熱管3に給水管32を接続し、下流端(図3で上段左端)の伝熱管3に図外の出湯管を接続する。
【0015】
図4図5も参照して、各フィン2には、各伝熱管3を貫通させるための第1孔部21と、第1孔部21に隣接する、ロウ材を挿通するための第2孔部22とが形成されている。第1孔部21は、フィン2の板厚方向一方に筒状に突出するバーリング部21aを有するバーリング加工孔で構成されている。そして、並設状態のフィン2の各第1孔部21と各第2孔部22とに夫々各伝熱管3と各ロウ材とを挿通したサブアッセンブリを組立て、このサブアッセンブリを各第2孔部22が各第1孔部21の上方に位置するように上下反転させた状態で加熱炉内に投入してロウ材を溶融させ、フィン2をバーリング部21aにおいて伝熱管3にロウ付けする。
【0016】
また、各フィン2には、各第1孔部21を囲うようにして、バーリング部21aの突出方向と同方向に窪ませた環状の窪み部23が形成されている。更に、バーリング部21aの先端の周方向複数個所には、径方向外方に屈曲するフレア部21bが設けられている。そして、フィン2を並設する際、フレア部21bがバーリング部21aの突出方向に隣接するフィン2の窪み部23の側面及び内周面に当接して、フィン2,2間の間隔が一定に保たれると共に、フィン2の上下左右のずれが防止されるようにしている。
【0017】
各フィン2には、更に、下段の伝熱管3の配置ピッチ部分に位置させて、上段の伝熱管3の配置部近傍に達する切欠き部24が形成されている。更に、上下各段の伝熱管3の並び方向を横方向として、各フィン2には、燃焼ガスとの熱交換を促進するために、下段の各伝熱管3の上方部分に位置させて、フィン2をトンネル状に切起すことで形成される横方向に細長い形状の切起しフィン部25が上下複数設けられている。尚、上下に隣接する一方の切起しフィン部25と他方の切起しフィン部25の切起し方向は互いに逆になっている。
【0018】
ここで、下段の横方向最外側の伝熱管3の上方部分に設けられる上下複数の切起しフィン部25を外側切起しフィン部群25out、下段の横方向最外側ではない伝熱管3の上方部分に設けられる上下複数の切起しフィン部25を内側切起しフィン部群25inとして、外側切起しフィン部群25outの最下側の切起しフィン部25Lは、少なくとも横方向外側の端部が内側切起しフィン部群25inの最下側の切起しフィン部25Lよりも下方に位置するように、横方向外側に向かって下方に傾斜している。更に、外側切起しフィン部群25outの最下側の切起しフィン部25Lの横方向外側の端部は、外側切起しフィン部群25outの他の切起しフィン部25の横方向外側の端部よりも横方向内側に位置している。
【0019】
ところで、図3に仮想線で示す如く、外側切起しフィン部群25outの最下側の切起しフィン部25L´が横方向に真直である場合、当該切起しフィン部25L´の内側のトンネル状空隙に流入する燃焼ガスの中心流線は、当該切起しフィン部25L´の横方向中心から真下にのびる線に一致する。そのため、下段の横方向最外側の伝熱管3の横方向内側から当該伝熱管3の上方に向かう燃焼ガスの主たる流れは、図3に矢印bで示す如く、外側切起しフィン部群25outの最下側の切起しフィン部25L´の横方向中心の直下まで横方向外側に迂回してから上記中心流線に沿って上方に向かうことになる。その結果、燃焼ガスの主たる流れが最下側の切起しフィン部25L´より下方位置でフィン2の横方向外側に位置する胴体1の側板部11に近付く。そして、燃焼ガスの主たる流れよりも横方向外側を流れる燃焼ガスも多くあるため、側板部11の過熱を生じやすくなる。
【0020】
これに対し、本実施形態では、外側切起しフィン部群25outの最下側の切起しフィン部25Lの内側のトンネル状空隙に流入する燃焼ガスの中心流線は、当該切起しフィン部25Lが横方向外側に向かって下方に傾斜しているため、当該切起しフィン部25Lの横方向中心から下方に向けて横方向内側に傾いた方向にのびる線に一致する。従って、下段の横方向最外側の伝熱管3の横方向内側から当該伝熱管3の上方に向かう燃焼ガスの主たる流れは、図3に矢印aで示す如く、外側切起しフィン部群25outの最下側の切起しフィン部25Lの横方向中心の真下まで横方向外側に迂回することなく、上記中心流線に沿って上方に向かう。その結果、胴体1の側板部11に燃焼ガスがあまり近付かず、燃焼ガスによる側板部11の過熱を抑制できる。更に、本実施形態では、外側切起しフィン部群25outの最下側の切起しフィン部25Lの横方向外側の端部の位置を横方向内側にずらしているため、当該切起しフィン部25Lの内側のトンネル状空隙に向かう燃焼ガスの流れが胴体1の側板部11からより離れて、燃焼ガスによる側板部11の過熱をより効果的に抑制できる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態の燃焼装置は給湯装置であるが、暖房用の熱媒体を加熱するフィンチューブ型熱交換器とその熱源たるバーナとを備える暖房装置から成る燃焼装置にも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0022】
A…フィンチューブ型熱交換器、1…胴体、2…フィン、25…切起しフィン部、25out…外側切起しフィン部群、25in…中間切起しフィン部群、25L…最下側の切起しフィン部、3…伝熱管、100…バーナ。
図1
図2
図3
図4
図5