(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756581
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】排気ターボ過給機
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20200907BHJP
F01D 25/24 20060101ALI20200907BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20200907BHJP
F01D 1/28 20060101ALI20200907BHJP
F01D 5/04 20060101ALI20200907BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
F02B39/00 Q
F02B39/00 D
F02B39/00 U
F01D25/24 E
F01D25/24 N
F01D25/00 F
F01D25/00 L
F01D1/28
F01D5/04
F01D5/28
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-211223(P2016-211223)
(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公開番号】特開2018-71410(P2018-71410A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】澤下 真人
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭50−000690(JP,B1)
【文献】
特開平09−013904(JP,A)
【文献】
特開昭59−180007(JP,A)
【文献】
特開昭46−006854(JP,A)
【文献】
実開昭57−109202(JP,U)
【文献】
特開平09−177557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
F01D 1/28
F01D 5/04
F01D 5/28
F01D 25/00
F01D 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の一端部に固定されたタービンと、前記タービンが回転自在に配置されたタービン室とを有し、前記回転軸は軸受けハウジングに回転自在に保持されて、前記タービン室はタービンハウジングに設けており、前記タービンを構成するブレードの外縁とタービン室との間には僅かのクリアランスを設けている排気ターボ過給機であって、
前記タービンハウジングのうち少なくともタービン室は前記タービンよりも柔らかい金属で形成されている一方、
前記タービンを構成するブレードのうち前記タービン室と対向した外縁に、外周側に位置した外端面と回転方向前方に向いた前端面とを交叉させた鋭角部が形成されており、前記鋭角部の外端面を回転方向前方に向けて回転軸心から遠ざかるように傾斜させると共に、前記鋭角部の前端面を回転方向前方に向けて前傾させることにより、前記鋭角部を、回転軸心方向から見て回転方向前方に向けて尖った切り刃に形成している、
排気ターボ過給機。
【請求項2】
回転軸の一端部に固定されたタービンと、前記タービンが回転自在に配置されたタービン室とを有し、前記回転軸は軸受けハウジングに回転自在に保持されて、前記タービン室はタービンハウジングに設けており、前記タービンを構成するブレードの外縁とタービン室との間には僅かのクリアランスを設けている排気ターボ過給機であって、
前記タービン室を含むタービンハウジングと前記軸受けハウジングとは、アルミ製の鋳造品として一体化されている一方、
前記タービンはアルミよりも遥かに高い硬度の合金製であり、前記タービンを構成するブレードのうち前記タービン室と対向した外縁に、軸心方向から見て回転方向前方に向けて尖った鋭角部を形成している、
排気ターボ過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動車用等の内燃機関に装備する排気ターボ過給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排気ターボ過給機は、排気ガスで駆動されるタービンによってコンプレッサを回転させるものであり、タービンとコンプレッサとは回転軸によって連結されている。回転軸は、一般に、フローティングメタルを介して軸受けハウジングで回転自在に保持されており、従って、タービンとコンプレッサは、軸心がごく僅かに振れ動いている。
【0003】
そして、タービンは多数枚のブレードを有している一方、タービンハウジングのうちタービンの外周外側には渦状のスクロール部が形成されており、スクロール部に周方向から流入した排気ガスがブレードに当たることによってタービンを回転駆動しており、仕事をした排気ガスは、タービンの回転軸心方向に排出される。
【0004】
このように、タービンは排気ガスの流れに晒されて回転するものであるため、排気ガスの運動エネルギをタービンの回転トルクとして有効利用するためには、排気ガスを逃がすことなくタービンのブレードに当てることが重要であり、従って、タービンとタービン室との間のクリアランスは、タービンの回転を阻害しない範囲で、できるだけ小さいのが好ましい。
【0005】
このタービンとタービン室との間のクリアランスの管理は、排気ターボ過給機の性能を左右する重要な要素であるが、タービンハウジングが排気ガスによって熱膨張すると、クリアランスの大きさも変化することになる。そこで、特許文献1には、タービンハウジングをアルミ製とすると共に、タービンハウジングに冷却水ジャケットを設けて、冷却水ジャケットへの冷却水の供給を制御してタービンハウジングの熱膨張を制御することにより、タービンとタービン室との間のクリアランスを一定化することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−19711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、実際にどの程度の効果を期待できるのか定かでないが、まず、構造が著しく複雑になるという問題がある。また、特許文献1は、タービンとタービン室との間のクリアランスが適正な値に設定されていることを前提にしているが、組み付けの誤差等により、タービンとタービン室との間のクリアランスは各過給機ごとに個体差が存在しており、この個体差が個々の排気ターボ過給機の性能を左右させている。従って、現実的には、個体差を無くして、クリアランスを必要最小限度に保持することが重要である。
【0008】
このような個体差の是正手段として、タービン室の内面に柔らかい素材製の調整層を溶射によって形成し、排気ターボ過給機の運転によって調整層の表面部をタービンで除去することが行われている。つまり、既述のように、タービンが若干ながら振れ動いて回転することを利用して、調整層の内径を小さ目に設定しておくことにより、タービンの回転によって調整層を部分的に削除(研削)するものであり、この方法では、個体差を吸収して、タービンとタービン室との間のクリアランスを必要最小限度にできるといえる。
【0009】
しかし、この方法では、調整層を適切な厚さに溶射するのに手間がかかるため、製造コストが嵩むという問題がある。また、排気ターボ過給機を使用しているうちに調整層が剥がれると、クリアランスが大きくなり過ぎて排気ターボ過給機の性能が大幅にダウンしてしまう問題もある。更に、この方法はタービンには特段の加工は施していないため、タービンハウジングの端面がタービン室の内周面に面接触することが有り得るが、すると、ブレードに大きな曲げ力が作用して、ブレードが変形
したり折損したりする可能性もある。
【0010】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、簡単な構造で適切なクリアランスを確保できる技術を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、
「回転軸の一端部に固定されたタービンと、前記タービンが回転自在に配置されたタービン室とを有し、前記回転軸は軸受けハウジングに回転自在に保持されて、前記タービン室はタービンハウジングに設けており、前記タービンを構成するブレードの外縁とタービン室との間には僅かのクリアランスを設けている
」
という基本構成において、
「前記タービンハウジングのうち少なくともタービン室は前記タービンよりも柔らかい金属で形成されている一方、
前記タービンを構成するブレードのうち前記タービン室と対向した外縁に、
外周側に位置した外端面と回転方向前方に向いた前端面とを交叉させた鋭角部が形成されており、前記鋭角部の外端面を回転方向前方に向けて回転軸心から遠ざかるように傾斜させると共に、前記鋭角部の前端面を回転方向前方に向けて前傾させることにより、前記鋭角部を、回転軸心方向から見て回転方向
前方に向けて尖った
切り刃に形成している
」
という構成が付加されている。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1と同じ基本構成において、
「前記タービン室を含むタービンハウジングと前記軸受けハウジングとは、アルミ製の鋳造品として一体化されている一方、前記タービン
はアルミよりも遥かに高い硬度の合金製であ
り、前記タービンを構成するブレードのうち前記タービン室と対向した外縁に、軸心方向から見て回転方向前方に向けて尖った鋭角部を形成している」
という構成が付加されている。
【0013】
請求項2を更に具体化すると、アルミとしては、例えばJISで規定するAC2CやAC4B、AC4Dが挙げられる。他方、タービンの素材としては、Ni系等の耐熱硬質合金(例えばインコネル(登録商標)の713C)が挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明は、ブレードの鋭角部が切り刃として機能するため、タービン室を、タービンの回転は許容しつつ小さ目の寸法に設定しておくと、内燃機関の運転に伴ってタービンが極く僅かに振れながら回転することにより、タービンの各ブレードがタービン室の内周面にまんべん無く当たっていき、すると、ブレードの群によってタービン室が微量ずつ削り取られていき、やがて、タービン室の内周は適正な寸法に保持される。
【0015】
つまり、タービン室をタービンで微量ずつ切削することにより、タービン室を、タービンとしっくりと馴染む最小限度の寸法に保持できるのであり、これにより、個体差を無くして、個々の排気ターボ過給機ごとに、タービンとタービン室との間に適切なクリアランスを確保できる。
【0016】
そして、本願発明では、タービン室自体を寸法調整するものであり、溶射のような加工は不要であるため、加工コストのアップは生じない。また、複雑な制御は不要であるため、排気ターボ過給機の全体としての構造が複雑化することもない。更に、タービン室をタービンで寸法調整するものであるから、調整層の剥離のような問題は皆無であり、複雑な制御が不要であることと相まって、高い信頼性を確保できる。
【0017】
また、タービンのブレードは鋭角部によって切削機能を発揮するが、
ブレードの外端面にタービン室の内周面と接触しない逃がし面を形成することで鋭角部が形成されるものであるから、ブレードの
外端面がタービン室と面接触することはなく、従って、ブレードがタービン
室の内周面に当たっても、強い曲げ力が作用することは無くて、ブレードの折損や変形も防止できる。この面でも、高い信頼性を確保できる。
【0018】
請求項2のようにタービンハウジングと軸受けハウジングとを一体化すると、これらを別体で作って組み付ける場合と比較して、組み付けによるばらつきが無い分だけタービンハウジングと軸受けハウジングとの寸法精度が高くなるため、タービンによるタービン室の切削量も少なくなる。その結果、切削時に加わる外力によりタービンが大きく変形するようなこともない。これにより、排気ガスの漏れを抑えて過給性能を向上できる。
【0019】
また、タービン室を含むタービンハウジングと軸受けハウジングとは一体化しているため、排気ターボ過給機の組み立ての手間を抑制できる。更に、タービンは耐熱性に優れた合金製であって非常に硬い一方、アルミは、例えば鋼に比べても硬度が遥かに低いため、タービンによる切削を確実化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る排気ターボ過給機の縦断正面図である。
【
図2】(A)は一部を分離した縦断正面図、(B)はタービンの側面図、(C)はタービンの正面図である。
【
図3】(A)は要部の拡大正面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。
【
図4】他の実施形態を示す図であり、(A)は要部の縦断正面図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は別例図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1).第1実施形態の概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、方向を明確にするため前後・左右の文言を使用するが、これは、回転軸の長手方向を左右方向として、これと直交した水平方向を前後方向としている。まず、
図1〜3に示す第1実施形態を説明する。
【0022】
図1に示すように、排気ターボ過給機は、排気ガスで回転駆動されるタービン1を備えており、タービン1は、回転軸2の一端部に強制嵌合によって固定されている。回転軸2の他端部には、コンプレッサ3がナットで固定されている。
【0023】
タービン1は、タービンハウジング4に形成されたタービン室5に配置されており、他方、回転軸2は、軸受けハウジング6に形成された軸受け部7に、フローティングメタル8を介して回転自在に保持されている。本実施形態では、タービンハウジング4と軸受けハウジング6とは、アルミの鋳造によって一体に製造されている。
【0024】
タービンハウジング4には、タービン室5の外周部に連通したタービン側スクロール空間9が形成されており、タービン側スクロール空間9を挟んだ左右両側に、冷却水ジャケット10が形成されている。タービン側スクロール空間9には、その上部に紙面の奥側から排気ガスが流入する。従って、タービンハウジング4は、紙面と略直交した姿勢の排気ガス導入通路を有しており、この排気ガス導入通路は入口筒部で囲われているが、冷却水ジャケット10は入口筒部にも延びていて、その後端は入口筒部の後端に開口している。
【0025】
タービンハウジング4のタービン室5には、タービン1を駆動した排気ガスが排出される排気出口11が連通しており、排気出口11は軸方向に開口している。排気出口11の端面部に、触媒ケースや排気管が接続される。
【0026】
軸受け部7の上部には、上下方向に貫通したオイル入口12が形成されている。また、軸受け部7の下方には、空洞状のオイル出口空間13が形成されている。更に、軸受け部7の左右両側方には、空洞部14が形成されており、空洞部14は、オイル出口空間13と連通している。
【0027】
コンプレッサ3は、インナーケース15を介してコンプレッサハウジング16の内部に配置されており、コンプレッサ3の外周外側には、コンプレッサ側スクロール部17が形成されている。吸気は、コンプレッサハウジング16に軸方向から流入して、コンプレッサ側スクロール部17の外周方向(接線方向)に排出される。コンプレッサハウジング16は軸受けハウジング6の端部に外側から嵌まっており、両者は、C形のストッパーリング18を介して抜け不能に連結されている。
【0028】
軸受け部7のうちコンプレッサハウジング16の側の端部には、金属製の第1オイルシール19を固定している。なお、第1オイルシール19の断面表示(ハッチング)は省略している。また、軸受けハウジング6の左端部にはリテーナリング20が固定されており、リテーナリング20と第1オイルシール19との間には、第2オイルシール21が介在している。
【0029】
回転軸2のうちタービンハウジング4の内周穴22に嵌まっている部分は、フローティングメタル8に嵌まっている部分よりも大径になっており、この大径部に複数の環状溝23を形成して、環状溝23にオイルシール24を装着している。そして、タービン1の中心穴25に、回転軸2の一端部2aが焼き嵌め等の強制嵌合によって固定されている。回転軸2とタービンハウジング4の内周穴22との間には、ごく僅かながら隙間が存在しており、回転軸2が僅かに振れ動くことを許容している。
【0030】
(2).タービン
タービン1は、多数枚(複数枚)のブレード26を有している。各ブレード26は、軸心に対してねじれた姿勢になっており、かつ、
図3(B)に示すように、放射方向の外側に行くに従って回転方向
前方にずれるように傾斜している。すなわち、各ブレード26は、回転軸心方向から見て、回転方向
前方に前倒れした姿勢になっている。
【0031】
本実施形態では、タービンハウジング4と軸受けハウジング6とが一体化しているため、回転軸2及びタービン1は、排気出口11の側からタービン室5に嵌め込む必要がある。そこで、タービン室5の外周はストレート状に形成されて、タービン1を構成するブレード26の外端面26aも、回転軸心と平行に形成されている。
【0032】
そして、各ブレード26においてタービン室5の内周面と対向した外縁(自由端)に、回転軸心方向から見て回転方向に向けて尖った鋭角部(切り刃)27を形成している。
鋭角部27は、ブレード26の外端面26aと前端面26bとで形成されており、外端面26aは、回転軸心方向から見て、回転方向
前方に行くに従っ
て軸心から遠ざかる傾斜面になっている
一方、前端面26bは、既述のとおり、回転方向前方に向けて前傾している。
【0033】
つまり、本実施形態では、ブレード26を前倒れ状態に傾斜させると共に、外端面26aを傾斜させることにより、各ブレード26の外縁に
切り刃となる鋭角部27を形成してい
る。
【0034】
排気ターボ過給機の出荷時点では、タービン室5の内径は、タービン1を回転自在に嵌め込みできる程度の最小限度に設定している。そして、回転軸2は、焼き付け防止のために、ごく僅かの半径eだけ振れ動くように設定しているため、内燃機関の回転に伴ってタービン1が駆動されると、各ブレード26の鋭角部27がタービンハウジング4のタービン室5に不規則に当たり、タービンハウジング4の内周面が微量ずつ削り取られる。
【0035】
タービン1の振れ動き量は限られているので、内燃機関をある程度の期間(或いはある程度の時間)運転していると、タービン室5の内周の削り取りもやがて収束するが、削り取りを終えた後のタービン室5の内径は、ブレード26が振れ動いてもつかえることのない最小限度の寸法になるため、タービン1とタービンハウジング4との間のクリアランスは、最小限度に形成される。従って、排気ガスの漏洩を極力防止して、高い過給効率を確保できる。
【0036】
なお、削られて発生した切り粉は排気ガスの流れに乗って下流側に運ばれて、大部分は触媒に保持された状態になるといえる。従って、環境に悪影響を及ぼすことはないし、そもそも微量なので、排気管から大気に放出されても特段の問題は生じない。
【0037】
本実施形態のように、タービンハウジング4と軸受けハウジング6を一体化すると、組み付けの誤差は無くなって回転軸2の振れ動きを僅かにできるため、クリアランスも小さくすることができる。従って、排気ガスの漏洩防止機能が一層高くなる。ブレード26の外端面26aは傾斜しているため、外端面26aがタービン室5に面接触してブレード26に過大な負荷が掛かることはない。従って、ブレード26の変形や折損を防止できる。
【0038】
また、タービンハウジング4は柔らかい金属であるアルミ製である一方、タービン1は硬い合金製であるため、タービン1によるタービン室5の切削を確実化できる。結局、軽量化のためにタービンハウジング4をアルミ製としたことを利用して、タービン1とタービン室5との間のクリアランスを、個体差を無くして最小寸法に設定できるのである。タービンハウジング4をアルミ製にした場合は、実施形態のように冷却水ジャケット10を設けると、タービンハウジング4が熱害を受けることを防止できる。
【0039】
(3).他の実施形態
図4に示す第2実施形態は、タービンハウジング4と軸受けハウジング6とを別体に製造して、図示しない固定具で一体に連結している。このようにタービンハウジング4と軸受けハウジング6とを別体に製造した場合は、タービン1は、排気出口11に向けて外形が縮小する山形のものを使用できる。従って、この実施形態では、ブレード26は、排気出口11に向けて高さを低くしつつ、螺旋状の姿勢にねじれている。
【0040】
そして、この実施形態でも、(B)に示すように、各ブレード26は、軸心方向から見て回転方向に向けて前倒れ状態の姿勢になっており、外端面26aを傾斜させる
と共に前端面26bを回転方向前方に前傾させることにより、
切り刃となる鋭角部27を形成している。
【0041】
(C)に示す例では、ブレード26は、
全体的には回転方向と反対側に向けて倒れた姿勢になっている。そこで、この場合は、ブレード26の外端部に、クチバシ状の鋭角部27を形成している。この場合も、ブレード26の外端面26aは、回転方向と反対側に行くに従って軸心に近づくように傾斜している
と共に、鋭角部27を構成する前端面26bは、回転方向前方に向かって前傾している。なお、(B)及び(C)ではブレード26は1枚しか表示していないが、実際には多数枚設けている。(C)の例は、タービンハウジング4と軸受けハウジング6とを一体化した場合も適用できる。
【0042】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は、上記の他にも具体化できる。例えば、タービン室をタービンハウジングとは別部材で構成し、これをタービンハウジングに装着することも可能である。この場合は、例えばタービンハウジングは鋳鋼製としてタービンハウジングはアルミ製とすることも可能であるし、両者を、硬度等が異なるアルミで構成することも可能である。タービン室を別部材で構成する場合、タービン室はねじ等でタービンハウジングに固定することも可能であるし、タービンハウジングへの鋳込みで一体化することも可能である。タービンハウジングがアルミ製である場合、タービンは、例えば工具鋼程度の硬度があれば切削機能は十分であるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本願発明は、実際に排気ターボ過給機に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 タービン
2 回転軸
3 コンプレッサ
4 タービンハウジング
5 タービン室
6 軸受けハウジング
7 軸受け部
9 タービン側スクロール部
10 冷却水ジャケット
11 排気出口
16 コンプレッサハウジング
26 ブレード
26a 外端面
26b 前端面
27 鋭角部
(切り刃)