特許第6756593号(P6756593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756593
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】チャック装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/22 20060101AFI20200907BHJP
   B23B 31/00 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   B23B31/22 B
   B23B31/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-232795(P2016-232795)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-89712(P2018-89712A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】598117366
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 章博
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−201005(JP,A)
【文献】 実公昭55−015923(JP,Y2)
【文献】 実開昭56−062811(JP,U)
【文献】 特開平05−162009(JP,A)
【文献】 特開平05−231408(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3008972(JP,U)
【文献】 特開平11−325006(JP,A)
【文献】 特開2005−014110(JP,A)
【文献】 特開2006−095633(JP,A)
【文献】 特開2008−030140(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/061789(WO,A2)
【文献】 特開平05−269609(JP,A)
【文献】 特開2006−231476(JP,A)
【文献】 特開2009−018379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/00−33/00
B23Q 3/00−3/154
B23Q 3/16−3/18
B25B 1/00−11/02
F16B 7/00−7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に向けて開口しチャック対象物の一部が挿入される挿入孔と、
前記挿入孔に連通する内部空間と、
前記内部空間に収容される多数の球体と、
前記内部空間の一部の内壁を形成しており、前記内部空間に対して突出及び退入可能にスライドし、前記内部空間の容積を拡張及び縮小可能な容積可変手段であるスライド体と、
を備え、
前記挿入孔に前記チャック対象物の一部を挿入して当該挿入孔を閉塞し、
前記内部空間の容積を縮小させて当該内部空間に収容されている前記多数の球体を加圧することで、当該多数の球体を互いに不動状態とし、前記チャック対象物の一部を前記多数の球体でチャッキングすることを特徴とするチャック装置であって、
前記内部空間の前記挿入孔と逆側の位置で前記内部空間に連通するピン孔が、前記スライド体に形成されており、
長手棒材のピンが前記ピン孔に出入り可能に挿入されており、
前記ピンは、前記ピン孔から前記内部空間に突出し、当該ピンの先端が内部空間から前記挿入孔を通過して外部に突出し、当該挿入孔を閉塞可能であるとともに、
前記ピンの先端が前記挿入孔の外部に突出した状態から当該ピンの先端が前記ピン孔内に退入した状態まで前記ピンを移動させつつ、前記チャック対象物の一部を前記挿入孔から前記内部空間内に挿入可能であり、
前記ピンは、その先端が前記チャック対象物を前記内部空間から前記挿入孔を通して外部に押出可能であることを特徴とするチャック装置。
【請求項2】
前記チャック対象物は精度誤差を有する円柱又は円筒であることを特徴とする請求項1に記載のチャック装置。
【請求項3】
前記スライド体は、円柱状であり、軸方向の一方の端面が前記内壁を形成する円錐孔状に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチャック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャック対象物を把持するチャック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工作機械にワークを固定し、又は、切削工具などの加工ツールを固定してワークを加工ツールで加工する際に、当該ワーク又は加工ツールなどのチャック対象物をチャッキングするチャック装置が種々知られており、また、様々なチャック装置が提案されてきている。
【0003】
このような、チャック装置は、例えば、金属製の複数のチャック爪を有しており、当該チャック爪が接近方向に移動してチャック対象物の表面に圧接することにより、チャック対象物を把持している(例えば特許文献1参照)。または、チャック装置は、互いに接近方向及び離反方向に移動可能な金属ブロックの対向する面にV字溝が形成されており、このV字溝にチャック対象物を挿入した状態で、金属ブロックを接近させることにより、当該金属ブロックでチャック対象物を挟んで把持している(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−95633号公報
【特許文献2】特開2009−18379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のチャック装置は、複数の爪やブロックなどの把持部材をチャック対象物に接近させてこれらの把持部材で挟んで把持する構成であるので、チャック対象物の把持部材に当接する位置にチャック圧が集中する。このため、チャック対象物の強度が低い場合には、必要な把持力を加えるとチャック対象物の変形や破壊が発生する問題がある。したがって、チャック対象物は、チャッキングしたときに把持部材との接触面積がある程度大きくなる形状でなければならない。
【0006】
以上のように、従来のチャック装置は、チャック対象物が限られた形状の場合にしかチャックすることができず、他の形状のチャック対象物をチャッキングする場合には、その形状に応じた爪やブロックなどの把持部材を用意する必要があった。また、寸法精度に誤差があり、且つ、強度が低いチャック対象物を多数加工する必要がある場合には、十分な把持力でチャッキングすることができず、加工精度や歩留まりに問題が発生していた。
【0007】
そこで本発明は、チャック対象物の形状に関らずチャック圧の過度の集中を抑制することができるチャック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチャック装置は、外部に向けて開口しチャック対象物の一部が挿入される挿入孔と、前記挿入孔に連通する内部空間と、前記内部空間に収容される多数の球体と、前記内部空間の一部の内壁を形成しており、前記内部空間に対して突出及び退入可能にスライドし、前記内部空間の容積を拡張及び縮小可能な容積可変手段であるスライド体と、を備え、前記挿入孔に前記チャック対象物の一部を挿入して当該挿入孔を閉塞し、前記内部空間の容積を縮小させて当該内部空間に収容されている前記多数の球体を加圧することで、当該多数の球体を互いに不動状態とし、前記チャック対象物の一部を前記多数の球体でチャッキングすることを特徴とするチャック装置であって、前記内部空間の前記挿入孔と逆側の位置で前記内部空間に連通するピン孔が、前記スライド体に形成されており、長手棒材のピンが前記ピン孔に出入り可能に挿入されており、前記ピンは、前記ピン孔から前記内部空間に突出し、当該ピンの先端が内部空間から前記挿入孔を通過して外部に突出し、当該挿入孔を閉塞可能であるとともに、前記ピンの先端が前記挿入孔の外部に突出した状態から当該ピンの先端が前記ピン孔内に退入した状態まで前記ピンを移動させつつ、前記チャック対象物の一部を挿入孔から内部空間内に挿入可能であり、前記ピンは、その先端が前記チャック対象物を前記内部空間から前記挿入孔を通して外部に押出可能であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明のチャック装置は、前記チャック対象物は精度誤差を有する円柱又は円筒であることを特徴としている。
【0012】
さらにまた、本発明のチャック装置は、前記スライド体は、円柱状であり、軸方向の一方の端面が前記内壁を形成する円錐孔状に形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のチャック装置によると、閉塞された内部空間で容積可変手段により当該内部空間の容積を縮小させることにより、当該内部空間に収容される多数の球体を加圧し、球体同士が互いに圧接することで、当該球体が移動及び回転不能に維持される。そして、チャック対象物の一部が内部空間に挿入されているので、チャック対象物も球体に圧接されて移動不能に維持されるので、チャック対象物をチャッキングすることができる。このときチャック対象物は多数の球体に圧接されることでチャッキングされているので、チャック対象物に加わるチャック圧を多数の箇所に分散することができる。そして、チャック装置は、チャック対象物を挿入孔に挿入する際には、内部空間の容積を拡大して、多数の球体が自由に移動可能にしておき、チャック対象物を挿入後に内部空間の容積を縮小させて、多数の球体及びチャック対象物を移動不能にするので、チャック対象物の形状に応じて多数の球体が移動し、当該チャック対象物の表面に多数の球体が圧接した状態で、当該球体が移動及び回転不能に維持されるので、チャック対象物の形状に関らずチャック対象物に加わるチャック圧を均等に分散することができる。
【0014】
本発明のチャック装置によると、チャック対象物が円柱又は円筒であり、精度誤差を有しているので、例えば爪状やブロック状の把持部材で挟んで固定する場合には、当該精度誤差を考慮して複雑な制御を行ってチャック対象物を把持する必要があり、またチャック対象物の精度誤差によっては一部にチャック圧が集中する問題があるが、本発明のチャック装置では、多数の球体が内部空間の縮小に伴って移動して、チャック対象物に圧接するので、複雑な制御を必要とせず、また、チャック対象物に多数の球体が均等なチャック圧を加えることができる。
【0015】
また、本発明のチャック装置によると、ピン孔に出入り可能なピンが、チャック対象物を押出可能であるとともに、挿入孔を閉塞可能であるので、前記ピンでチャック対象物を挿入孔から押し出しだすと、当該ピンが挿入孔に差し込まれて、挿入孔を閉塞するので、挿入孔をチャック対象物及びピンで常に閉塞することができ、内部空間の多数の球体が外部に排出されることを防止できる。
【0016】
さらに、本発明のチャック装置によると、容積可変手段は内部空間の一部の内壁を形成しており、内部空間に対して突出及び退入可能にスライドするスライド体であるので、簡単な構成で内部空間の容積を拡大及び縮小することができる。
【0017】
さらにまた、本発明のチャック装置によると、前記スライド体は、軸方向の一方の端面が前記内壁を形成する略円柱状であり、当該端面が円錐孔状に形成されるので、スライド体が内部空間に対して突出方向にスライドするとき、内壁の一部を成す端面が円錐孔状に形成されていることで、平坦な面である場合に比べて球体と接する面積を大きくすることができ、広い範囲の球体をスライド体のスライド方向よりも斜めに内部空間の中央に向かうように押圧することができ、球体をスムーズに移動させることができ、チャック装置の把持力を適切な範囲とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】スライド体が円筒部から引き出させる方向にスライドし、内部空間の容積が拡張された状態であり、且つ、ピン7の先端が内部空間から挿入孔を通過して外部に突出する位置に保持された状態のチャック装置の全体構成を示す断面図。
図2図1における蓋部、円筒部、及びスライド体を示す一部拡大図。
図3】ピン7の先端の突出部71にチャック対象物2を外挿するように配置した状態のチャック装置の全体構成を示す断面図。
図4】ピンの先端がピン孔内に退入した状態の一部省略拡大図。
図5】スライド体が内部空間にせり出して、内部空間の容積を縮小させた状態を示すチャック装置の全体構成を示す断面図
図6図5における蓋部、円筒部、及びスライド体を示す一部拡大図。
図7】寸法精度に誤差を有するチャック対象物をチャック装置がチャッキングする状態を説明する図。
図8】上方に挿入孔が形成されているほかは内部空間が閉じられた空間となっている変形例のチャック装置を示す断面図。
図9】変形例のチャック装置においてチャック対象物を挿入孔に挿入した状態を示す断面図。
図10】変形例のチャック装置において、上蓋を下方に移動させてスライド体を内部空間にせり出させることによって、内部空間の容積を縮小させた状態のチャック装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るチャック装置1の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。チャック装置1は、図示しない工作機械の一部を成しており、チャック対象物2としてのワーク又は切削工具などの加工ツールを固定して、当該ワークを加工するものである。
【0020】
チャック装置1は図1及び図2に示すように、内部空間11を形成する円筒部3と、円筒部3の一端側を閉じる蓋部4と、円筒部3の他端側に挿入される容積可変手段としてのスライド体5と、内部空間11に収容される多数の球体6と、チャック対象物2を押し出し可能なピン7と、スライド体5と当該スライド体5を移動させるスライド動作部8とを接続するスライド接続部9と、ピン7を移動させるピン動作部10とを備えている。なお、図1図3、及び図5においては、内部空間11内に収容される球体6の記載を省略している。
【0021】
円筒部3は例えば鋼製で内周面が内部空間11の内壁一部を構成する円筒形状であり、スライド体5をほとんど隙間無く挿入できる内径を有している。蓋部4は鋼製で円筒部3の先端側に固定される円形平板形状であり、円筒部3と当接する面の中央に円錐形状の窪み部41が形成されている。窪み部41の円錐形状の頂点には、内部空間11から外部に向けて貫通し、チャック対象物2を挿入可能な挿入孔42が形成されている。チャック対象物2は例えば円筒形状であり、挿入孔42はチャック対象物2の外周の径とほとんど同じか僅かに大きな径を有している。
【0022】
スライド体5は例えば鋼製で円筒部3の蓋部4側と逆の端部から当該円筒部3の内部に挿入される円柱状であり、スライド体5の軸方向の一方の端面が円錐形状に窪む押圧部51を形成している。押圧部51の円錐形状の頂点にはピン7が出入り可能なピン孔52が形成されている。窪み部41に形成された挿入孔42と押圧部51に形成されたピン孔52とは、円筒部3の中心軸に沿って直線状に配置されている。
【0023】
内部空間11は、円筒部3の内周面を挟んで両側に窪み部41及び押圧部51が形成された形状であり、円筒部3の中心軸を含む断面を見た場合に、窪み部41及び押圧部51が当該中心軸に対して、22度の傾斜で内部空間11の軸方向の端部に向かって縮径する形状である。
【0024】
多数の球体6は、例えば直径0.5mmの鋼球であり、内部空間11内に1400個収容されている。球体6の直径及び個数は、内部空間11に収容可能であるとともに、チャック対象物2を内部空間11に挿入して収容空間の容積を縮小したときに内部空間11内で球体6が互いに当接しあって移動不能となる直径及び個数である。チャック対象物2が小さい場合には球体6の直径が小さいほうが好ましいが、球体6の個数が多すぎると球体6同士の摩擦力が大きくなり全ての球体6にスライド体5から加わる力を伝達することが困難となり、十分な把持力を発揮することが困難となる。
【0025】
また、球体6の数が少なすぎると、チャック対象物2に当接する球体6の数も少なくなるため、チャック対象物2に加わるチャック圧が少ない箇所に集中する問題があるとともに、少ない箇所でチャック対象をチャックするので、この場合にも十分な把持力を発揮することが困難となる。球体6の数は、例えば100個から10000個までの範囲であることが好ましい。チャック対象物2を十分な把持力でチャックするとともにチャック対象物2に加わるチャック圧の集中を防ぐためである。また、球体6の直径は円筒形又は円柱形のチャック対象物2の場合に、チャック対象物2の径の2分の1以下であることが好ましい。チャック対象物2へのチャック圧の集中を防ぎつつチャック対象物2を安定的にチャックするためである。
【0026】
ピン7は、例えば鋼製の円柱形の長手棒材であり、挿入孔42及びピン孔52に挿入可能な径である。ピン7を挿入孔42及びピン孔52に挿入した場合に、内部空間11に収容されている球体6が外部に漏れださないように、ピン7の径は挿入孔42及びピン孔52の径と略同一又は僅かに小さく形成されている。ピン7にはピン7の径よりも小さい径の突出部71が形成されている。この突出部71に円筒形のチャック対象物2の端部が外挿することで、チャック対象物2の位置決めが行われ、チャック対象物2を安定した姿勢で内部空間11に挿入することができる。なお、円筒部3、蓋部4、スライド体5、ピン7、球体6は、鋼材などの金属材料で形成されているがこれに限定されるものではなく、チャック対象物2の強度や大きさ及び必要となる把持力に応じて選択されるものである。
【0027】
スライド接続部9は、スライド体5に連結されており、当該スライド体5を押し込み及び引き出し可能な筒状である。スライド接続部9は、スライド体5に接続される連結部91と、連結部91に接続される押し込み座92と、押し込み座92を移動させる押し込みネジ93とを有している。スライド動作部8が押し込みネジ93を回転させることによって、押し込み座92がスライド体5のスライド方向に移動することで、スライド接続部9を介してスライド体5が内部空間11に押し込まれる方向又は引き出される方向にスライドする。スライド体5にはスライド体5を内部空間11から引き出す方向に付勢する戻しバネ94が設けられている。
【0028】
スライド動作部8は、スライド接続部9を介してスライド体5を移動させる動力であり、例えば図示しないモーターによって押し込みネジ93を回転させるものであってもよく、又は手動のハンドルにより押し込みネジ93を回転させるものであっても良い。
【0029】
ピン動作部10は、ピン7の先端を内部空間11から挿入孔42の外部に突出させた状態からピン7の先端がピン孔52内に退入した状態までピン7を移動させることができる動力であり、例えばモーターなどの電動であっても手動であっても良い。また、ピン7の外周には、ピン7をピン孔52内に退入する方向に付勢するピン戻しバネ72がが設けられている。
【0030】
以上のように構成されるチャック装置1を用いてチャック対象物2をチャッキングする際には、まず、図1及び図2に示すように、チャック装置1は、スライド体5が円筒部3から引き出させる方向にスライドし、内部空間11の容積が拡張された状態に保持される。そして、ピン7は、当該ピン7の先端が内部空間11から挿入孔42を通過して蓋部4の外側の外部に突出する位置に保持される。図2に示すように、このとき内部空間11の容積が拡張されているので、内部空間11内の球体6は互いに圧接しておらずそれぞれが可動状態となっている。
【0031】
そして、次に、図3に示すように、ピン7の先端の突出部71に円筒形状のチャック対象物2を外挿するように配置する。この工程は例えば図示しない搬送装置によって自動的にチャック対象物2をピン7の先端に配置するものであっても良く、又は作業者が手動でチャック対象物2をピン7の先端に配置するものであっても良い。
【0032】
そして、次に、図4に示すように、ピン動作部10を動作させて、ピン7の先端が、内部空間11から挿入孔42の外部に突出した状態からピン7の先端がピン孔52内に退入した状態までピン7を移動させる。このとき、チャック対象物2のピン7に当接していない側の端部を外部の装置又は作業者が押し込むことで、チャック対象物2の一部が挿入孔42を通って内部空間11内に配置される。このように動作させると、挿入孔42にはピン7又はチャック対象物2のいずれかが常に挿入された状態とすることができるので、挿入孔42を通して内部空間11に収容されている球体6が外部に漏れることが防止できる。
【0033】
そして、次に、図5及び図6に示すように、スライド動作部8を動作させて、スライド体5を内部空間11に押し込む方向に移動させる。具体的にはスライド動作部8の動作により押し込みネジ93が回転し、押し込み座92及び連結部91が押し込み方向に移動し、スライド体5が押し込み方向に移動する。これによって、内部空間11の内壁の一部を構成しているスライド体5の押圧部51が内部空間11に向かってせり出し、内部空間11の容積を縮小させる。
【0034】
内部空間11の容積が縮小すると、内部空間11に収容される多数の球体6が加圧され、球体6同士が互いに圧接することで、当該球体6が移動及び回転不能に維持されるとともに、挿入孔42から内部空間11に挿入されれているチャック対象物2も球体6との当接箇所が圧接されて、当該球体6の摩擦力によりチャック対象物2が移動不能に把持される。このときチャック対象物2は多数の球体6に圧接されることでチャッキングされているので、チャック対象物2に加わるチャック圧を多数の箇所に分散することができる。しかも、内部空間11の容積を拡張して、多数の球体6が自由に移動できる状態で、チャック対象物2を挿入し、その後、内部空間11の容積を縮小させて、多数の球体6及びチャック対象物2を移動不能にしているので、多数の球体6がチャック対象物2の形状に応じて移動した状態でチャック対象物2の表面に圧接することとなるので、チャック対象物2の形状に関らずチャック対象物2に加わるチャック圧を均等に分散することができる。
【0035】
したがって、図7に示すように、チャック対象物2の形状は円筒形状ではあるものの、寸法精度に誤差があっても良い。なお、図7におけるチャック対象物2は、わかりやすく示すため、寸法精度の誤差を大きく記載している。このようにチャック対象物2の寸法精度に誤差がある場合であっても、内部空間11に収容されている多数の球体6を加圧して当該球体6によりチャッキングさせるものであるので、これらの球体6がチャック対象物2の形状に応じて移動した状態で圧接するので、チャック対象物2の表面の形状に沿って球体6が配置されそれぞれの球体6がほぼ均等にチャック対象物2にチャック圧を加えることができるので、チャック対象物2を確実に把持することができる。なお、特にチャック対象物2の強度が低い場合には、このようなチャック圧を分散できる構成が有利である。
【0036】
また、内部空間11は、窪み部41及び押圧部51が内部空間11の中心軸に対して、22度の傾斜で当該内部空間11の軸方向の端部に向かって縮径する形状であるので、スライド体5が内部空間11に対して突出方向にスライドして、押圧部51が内部空間11にせり出すとき、窪み部41及び押圧部51が傾斜していることで、内部空間11の軸方向の両端が平坦な面である場合に比べて球体6と接する面積を大きくすることができ、広い範囲の球体6をスライド体5のスライド方向よりも斜めに内部空間11の中央に向かう方向に押圧することができ、球体6をよりスムーズに移動させることができ、チャック装置1の把持力を適切な範囲とすることができる。
【0037】
なお、本発明のチャック装置1は、上述の実施形態のものに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では内部空間11に挿入孔42及びピン孔52が形成されていたが、チャック装置1は、上方にチャック対象物2を挿入可能な挿入孔42が形成されているほかは、内部空間11が閉じられた空間となっていてもよい。
【0038】
すなわち、図8に示すように、チャック装置1は、多数の球体6が収容された有底の収容部12が形成された本体13と、挿入孔42が形成され、収容部12に挿入可能なスライド体5を有する上蓋14とを有する構成であってもよい。この構成によると、内部空間11は収容部12とスライド体5の下面とから構成されており、まず、図9に示すように、挿入孔42にチャック対象物2を挿入し、その後、上蓋14を下方に移動させることによりスライド体5を内部空間11にせり出させることによって、内部空間11の容積を縮小させ、図10に示すように、多数の球体6を内部空間11内で互いに圧接させて、チャック対象物2にチャック圧を加える。
【0039】
したがって、チャック対象物2は、球体6がチャック対象物2の形状に応じて移動した状態で圧接するので、チャック対象物2の表面の形状に沿って球体6が配置されそれぞれの球体6がほぼ均等にチャック対象物2にチャック圧を加えることができるので、チャック対象物2を確実に把持することができる。このような変形例では簡単な構成でチャック装置1を実現できる。
【0040】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るチャック装置1は、たとえば工作機械にワークを固定し、又は、切削工具などの加工ツールを固定するチャック装置1として、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 チャック装置
2 チャック対象物
5 スライド体
6 球体
7 ピン
11 内部空間
42 挿入孔
52 ピン孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10