【実施例】
【0015】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
図1は本発明のケーブル余長吸収構造及びバスバーモジュールの一実施形態を示す平面図である。また、
図2は
図1のケーブル余長吸収構造の拡大図、
図3は
図2に対しケーブル長のバラツキを吸収した状態の拡大図、
図4は樹脂プレートの平面図である。また、
図5〜
図8はケーブル余長吸収構造の斜視図、
図9は一対のケーブルクランプの配置例を示す図である。
【0016】
<バスバーモジュール21について>
図1において、バスバーモジュール21は、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される電池集合体22に組み付けられるものであって、複数のバスバー23と、複数の電圧検出端子24と、高電圧のケーブル25と、低電圧の複数本の電線26(
図6参照)と、樹脂プレート27等とを備えて構成される。バスバーモジュール21は、樹脂プレート27にケーブル余長吸収構造28を有する点に特徴を有する。
【0017】
<バスバー23及び電圧検出端子24について>
図1において、バスバー23は、電池集合体22の隣り合う電池を直列に接続するために備えられる。バスバー23は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成される。電圧検出端子24は、電気接触部と電線接続部とを有し、電気接触部がバスバー23に重ねられて接触し合った状態で電池に接続される。電圧検出端子24は、導電性を有する薄い金属板をプレス加工することにより形成される。電圧検出端子24の電線接続部には、電線26の端末が接続される。電圧検出端子24は、電線26を介して電子制御ユニットに接続される。バスバー23及び電圧検出端子24は、本実施例において従来例と同じものが採用される。
【0018】
<ケーブル25及び電線26について>
図1及び
図6において、ケーブル25は、導電性を有する導体(芯線)と、この導体を被覆する絶縁性の絶縁体(絶縁被覆)とを備えて構成される。ケーブル25は、太物の公知の電線であって、コシがあるものの撓み可能となる可撓性を有する。ケーブル25は、本実施例において、樹脂プレート27の短手側部29(一側部)に沿って配索される。電線26は、公知の細物電線であって、導体と絶縁体とを有する。電線26は、上記の如く電圧検出端子24の電線接続部に接続されて樹脂プレート27に配索される。電線26の他端は、上記の如く電子制御ユニットに接続される。ケーブル25及び電線26は、本実施例において従来例と同じものが採用される。尚、「ケーブル25」を、「電線25」や「太物電線25」と読み替えてもよいものとする(読み替えた場合は、発明の名称を変更する必要がある)。
【0019】
<樹脂プレート27について>
図1及び
図4において、樹脂プレート27は、電池集合体22の例えば上面等(電極がある面)に組み付けられる比較的大きな絶縁性の樹脂成形品であって、複数のバスバー収容部30と、複数の電線収容部31と、複数のブリッジ部32と、一対のケーブルクランプ33、34と、垂れ下がり防止部35とを有する。樹脂プレート27は、本実施例において、特許請求の範囲に記載された「構造体」に相当する。
【0020】
複数のバスバー収容部30は、樹脂プレート27の長手方向に沿って並ぶように配置される。複数のバスバー収容部30には、それぞれバスバー23及び電圧検出端子24が収容固定される。複数の電線収容部31は、電圧検出端子24に接続された電線26の収容部分として形成される。複数の電線収容部31は、それぞれ収容部本体36と、蓋部37とを有する。尚、電線26の配索経路は、電線収容部31を介して樹脂プレート27の短手側部29(一側部)の側からケーブルクランプ33の側に向きを変えて電子制御ユニットの側に引き出されるような経路になるものとする。樹脂プレート27における以上の説明部分は、本実施例において従来例と基本的に同じ構造が採用される。
【0021】
複数のブリッジ部32は、樹脂プレート27の長手方向に沿って並ぶ複数のバスバー収容部30の列を連結する部分として形成される。このような複数のブリッジ部32のうち、短手側部29(一側部)の位置のブリッジ部32には、電線26の配索部分と、後述する垂れ下がり防止部35とが形成される。また、このブリッジ部32の上方には、ケーブル25が配索される。
【0022】
<一対のケーブルクランプ33、34及びケーブル余長吸収構造28について>
図1ないし
図8において、一対のケーブルクランプ33、34は、上記短手側部29(一側部)に沿ってケーブル25を配索する際のケーブル保持部分として用いられる。一対のケーブルクランプ33、34は、これらが所定の間隔をあけて配置される。本実施例においては、複数のバスバー収容部30の並び位置(列)に概略合うように配置される(一例であるものとする。ケーブル25を後述する略S字状に曲げることができる位置に配置される)。一対のケーブルクランプ33、34は、ケーブル余長吸収構造28としての機能を有する。ケーブル余長吸収構造28とは、ケーブル25を決まった位置で屈曲させてケーブル長のバラツキを吸収することができるような構造、また、後述するケーブル曲がり部41の振れ幅を小さな状態で屈曲させてケーブル長のバラツキを吸収することができるような構造のことである。
【0023】
一対のケーブルクランプ33、34は、直線的に配索しようとするケーブル25の経路上に配置されるケーブル保持部38をそれぞれ有する。それぞれのケーブル保持部38は、断面視でケーブル25の径よりも大きな保持空間39を有するように形成される。別な言い方をすれば、ケーブル25に遊びを持たせた状態で外嵌することができるような部分に形成される。それぞれのケーブル保持部38は、ケーブルクランプ33側の保持部中心軸L1に対しケーブルクランプ34側の保持部中心軸L2が寸法Gの分だけ(
図4参照)ずれるような軸ずれ状態に配置される。
【0024】
尚、寸法Gの分だけの「ずれ」とは、一対のケーブルクランプ33、34間に
図2に示すようなケーブル25の撓み40(ケーブル25の経路が若干斜めになるような状態)を生じさせることができる「ずれ」であるものとする(寸法誤差のような「微小なずれ」でなく、積極的にずらした「ずれ」であるものとする)。
【0025】
<垂れ下がり防止部35について>
図7において、垂れ下がり防止部35は、一対のケーブルクランプ33、34間でケーブル25が垂れ下がらないようにする支え部分として形成される。垂れ下がり防止部35は、本実施例において、この内部に電線26が通過するような形状部分にも形成される。
【0026】
<ケーブル25の配索について>
図5において、一対のケーブルクランプ33、34をそれぞれ開いた状態にし、ここに
図6に示すように電線26及びケーブル25を配索する。そして、
図7に示すように一対のケーブルクランプ33、34を閉じると配索が完了する。
【0027】
<ケーブル余長吸収構造28の作用について>
図2及び
図7において、ケーブル25は、一対のケーブルクランプ33、34間で経路が若干斜めになるような状態の撓み40が生じる。このような撓み40が生じるような状態であれば、ケーブル25の長さにバラツキがあった場合に、
図3及び
図8の矢印で示すような移動によって容易にケーブル25を略S字状に曲げることができる。すなわち、略S字状のケーブル曲がり部41を形成することができる。ケーブル曲がり部41は、略S字状の曲げ部分であることから、従来例のような一方に大きく山なりに突出するケーブル曲がり部9(
図10(b)参照)と比べて振れ幅を小さくすることができる。振れ幅を小さくすることができれば、ケーブル25による干渉を防止することができる。ケーブル余長吸収構造28は、略S字状のケーブル曲がり部41の形成により、ケーブル長のバラツキを吸収することができる。
【0028】
<ケーブル余長吸収構造28の効果について>
以上、
図1ないし
図8を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるケーブル余長吸収構造28によれば、ケーブル曲がり部41の振れ幅を小さくするような状態で屈曲させることができることから、ケーブル長のバラツキを良好に吸収することができるという効果を奏する。また、ケーブル25を決まった位置で屈曲させることができることから、ケーブル長のバラツキを安定して吸収することができるという効果も奏する。
【0029】
<一対のケーブルクランプ33、34の配置の変形例について>
図9(a)において、一対のケーブルクランプ33、34は、それぞれのケーブル保持部38が軸ずれ状態に配置される。一対のケーブルクランプ33、34は、ここでは一つの構造体42の一側部43に所定の間隔で配置される。一つの構造体42の例としては、車両に搭載される各種機器(ユニット)や部材が挙げられる。具体的な例としては、車両に搭載される電気接続箱やパネル部材が挙げられる。尚、一つの構造体42を上記樹脂プレート27とし、一側部43を樹脂プレート27の長手方向の側部とすることも可能である。
【0030】
図9(b)において、一対のケーブルクランプ33、34は、それぞれのケーブル保持部38が軸ずれ状態に配置される。一対のケーブルクランプ33、34は、ここでは二つの構造体44の一側部45に所定の間隔で配置される。二つの構造体44の例としては、上記樹脂プレート27が組み付けられた電池集合体22が二つある場合などである。
【0031】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。