(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756876
(24)【登録日】2020年8月31日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】転炉製鋼プロセス法で使用するための浸漬プローブ及び測定システム
(51)【国際特許分類】
C21C 5/46 20060101AFI20200907BHJP
【FI】
C21C5/46 D
C21C5/46 102A
【請求項の数】21
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-107437(P2019-107437)
(22)【出願日】2019年6月7日
(65)【公開番号】特開2020-2463(P2020-2463A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2019年6月7日
(31)【優先権主張番号】18180665.4
(32)【優先日】2018年6月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】598083577
【氏名又は名称】ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro−Nite International N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドリス・バイェンス
(72)【発明者】
【氏名】ガイ・ネイェンス
【審査官】
中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−203856(JP,A)
【文献】
実開昭63−123657(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転炉製鋼プロセスで使用するための浸漬プローブであって、
管にして、該管をランスに取り付けるための取付部を有し、前記取付部が、前記ランスの浸漬端部における結合タップに連結するように適合される該管と、
前記管の取付部の周りに配置される2つの弾性リングシールにして、前記結合タップと前記浸漬プローブの端部との間の空間をシールするために相互に重ねられて周方向に配置される該2つの弾性リングシールとを備える浸漬プローブ。
【請求項2】
前記取付部は、前記結合タップを収容するための円筒状の開口部を備える請求項1に記載の浸漬プローブ。
【請求項3】
前記2つの弾性リングシールは、前記管の前記取付部の周りの凹部内に少なくとも部分的に配置される請求項1又は2に記載の浸漬プローブ。
【請求項4】
前記管は、前記管の材料を貫通する少なくとも1つの通気開口を備え、前記通気開口は、前記凹部内に配置され、かつ前記2つの弾性リングシールの少なくとも1つによって少なくとも部分的に覆われる請求項3に記載の浸漬プローブ。
【請求項5】
前記管は2つ〜6つの通気開口を備える請求項4に記載の浸漬プローブ。
【請求項6】
前記2つの弾性リングシールは、前記管に対して半径方向に張り出ししないように適合される請求項3〜5のいずれか1項に記載の浸漬プローブ。
【請求項7】
前記弾性リングシールの少なくとも1つは、前記管の端部を超えて延びるように適合される請求項1〜6のいずれか1項に記載の浸漬プローブ。
【請求項8】
少なくとも1つの弾性リングシールは、管の端部を2〜7mmだけ超えて延びるように適合される請求項7に記載の浸漬プローブ。
【請求項9】
前記管は、少なくとも厚紙材料から成る請求項1〜8のいずれか1項に記載の浸漬プローブ。
【請求項10】
前記管は、約80mmの外径を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の浸漬プローブ。
【請求項11】
前記2つの弾性リングシールはゴム材料から成る請求項1〜10のいずれか1項に記載の浸漬プローブ。
【請求項12】
前記2つの弾性リングシールは、エチレンプロピレンジエンモノマー、EPDM、ゴムを含む材料から成る請求項11に記載の浸漬プローブ。
【請求項13】
前記2つの弾性リングシールは、25mmの長さ及び/又は2.5mmの厚さを有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の浸漬プローブ。
【請求項14】
少なくとも1つの前記弾性リングシールは、40ショア未満の硬度を有する請求項1〜13のいずれか1項に記載の浸漬プローブ。
【請求項15】
転炉製鋼プロセスで使用するための測定システムであって、
結合タップを有する浸漬端部を備えるランスと、
管を備える浸漬プローブにして、前記管が該管を前記ランスに取り付けるための取付部を有し、前記取付部が、前記ランスの浸漬端部における結合タップに連結するように適合される該浸漬プローブと、
前記管の取付部の周りに配置される2つの弾性リングシールにして、前記結合タップと前記浸漬プローブの端部との間の空間をシールするために相互に重ねられて周方向に配置される該2つの弾性リングシールとを備える測定システム。
【請求項16】
前記通気開口は5〜8mmの直径を有し、前記凹部内に配置される請求項5に記載の浸漬プローブ。
【請求項17】
前記2つの弾性リングシールは、前記管の端部を超えて延びるように適合される請求項7に記載の浸漬プローブ。
【請求項18】
2つの弾性リングシールは、管の端部を2〜7mmだけ超えて延びるように適合される請求項8に記載の浸漬プローブ。
【請求項19】
前記弾性リングシールは、管の端部を3〜6mmだけ超えて延びるように適合される請求項8又は18に記載の浸漬プローブ。
【請求項20】
前記弾性リングシールは、管の端部を4〜5mmだけ超えて延びるように適合される請求項19に記載の浸漬プローブ。
【請求項21】
2つの前記弾性リングシールは、40ショア未満の硬度を有する請求項14に記載の浸漬プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転炉製鋼プロセスで使用するための浸漬プローブに関する。本発明はまた、ランスと浸漬プローブとを備える、転炉製鋼プロセスで使用するための測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製鋼プロセスでは、溶融金属のいくつかのプロセスパラメータがランスによって測定される。典型的な転炉プロセスでは、少なくとも2回の測定が行われる。最初の測定は、一般に、プロセスモデルが約0.35%の炭素含有量を予期する時点で行われる。第1測定に使用される第1浸漬プローブは、一般に複合センサーを備え、該複合センサーは、溶融金属の温度を測定し、溶融金属の液相線測定値を提供し、更に固体サンプルを回収する。第1浸漬プローブは、時にはインブロー浸漬プローブと呼ばれる。これは、該浸漬が、溶鋼の炭素含有量を低くするための溶鋼中への酸素の吹き込み(ブローイング)プロセス中に行われるためである。第1浸漬プローブの測定結果に基づいて、残りの吹き込み時間が計算される。ブローイング工程の終了後、第2浸漬プローブが一般に浴中に浸漬され、温度、酸素含有量及び固体試料を提供する。この第2浸漬プローブは、エンドブロー浸漬プローブと呼ばれる。インブロー時間とエンドブロー時間との間の典型的な時間は、2〜3分の範囲内である。
【0003】
製鋼プロセスで使用される典型的なランスは金属材料から成るのに対し、典型的な浸漬プローブは板紙の管を備える。該管は、該管の端部がランスの肩部及び/又は結合タップと係合するまで圧力嵌めによりランスの浸漬端部に対して入れ子状にはめ込まれる。溶融金属に向けられる管の端部は、熱電対等の実際の検出要素、及び/又は、溶融金属のサンプルを採取するためのサンプルチャンバを備える試料採取器を担持する。
【0004】
溶融金属の測定及び/又はサンプルを採取するために、浸漬プローブはランスに取り付けられ、酸素供給ランスに隣接する転換炉中に垂直に浸漬される。取り付けられた浸漬プローブを有するランスを溶融金属に浸漬することは、典型的には、ランス及び浸漬プローブに大きな振動を引き起こし、その結果、管の端部とランスの浸漬端部との間に小さな間隙をもたらす。この間隙は、浸漬中にスラグと鋼の飛沫で満たされ、ゆっくりとスカルを蓄積する傾向がある。時間が経つにつれ、浸漬プローブがランスに信頼を持ってこれ以上連結できなくなるまで、スカルは成長し続ける。その結果、不適切な測定値が得られる。最悪の場合、ランスを新しいランスと交換しなければならない。
【0005】
ランス上のスカル形成の問題は先行技術において知られている。例えば、ランスと管との間の接合部における凝結金属の堆積を減少させるための、ランスの浸漬端部と管との間の弾性リングシールの使用は、米国特許第4,566,343号に記載されている。
【0006】
弾性リングシールによって凝結金属の堆積が減少され得るとしても、弾性リングシールは急速に磨耗し、それ故に転換炉中の滞留時間は短縮される。この問題を克服するために、弾性リングシールは、壁厚の増長に関してしばしば寸法が大きくなりすぎ、これは弾性リングシールの変形を小さくし、また、転換炉内での長い滞留時間を許容する。残念ながら、そのような大きすぎる弾性リングシールを使用すると、ランスの浸漬端部と管との間に小さな隙間が生じる。これらの小さな隙間はスラグと鋼の浸透を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,566,343号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、プローブとランスとの間の接合部における凝結金属の堆積をどのように防ぐかという問題の改善された解決策に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、転炉製鋼プロセスで使用するための浸漬プローブを提供する。
前記浸漬プローブは、
管にして、該管をランスに取り付けるための取付部を有し、前記取付部が、前記ランスの浸漬端部における結合タップに連結するように適合される該管と、
前記管の取付部の周りに配置される2つの弾性リングシールにして、前記結合タップと前記浸漬プローブの端部との間の空間をシールするために相互に重ねられて周方向に配置される該2つの弾性リングシールとを備える。
【0010】
前記管は、先行技術において既に知られている管と同様に板紙で作ることができる。管の取付部は管の第1端部に配置することができ、また、検出要素及び/又は試料採取器は第1端部とは反対側の管の第2端部に配置することができる。本発明によれば、取付部はランスの浸漬端部における結合タップに結合するように適合される。それ故、取付部は、結合手段、例えば米国特許第4,566,343号に示される結合手段を備えることができる。前記米国特許の結合手段において、両部分が圧入嵌め又は押込嵌め結合を介して互いに連結される。一例では、取付部は単に管の端部である。
【0011】
本発明によれば、浸漬プローブは2つの弾性リングシールを備える。2つの弾性リングシールは、管の取付部の周りに配置され、また、2つの弾性リングシールは、前記結合タップと前記浸漬プローブの端部との間の空間をシールするために相互に重ねられて周方向に配置される。
【0012】
ここで、「相互に重ねられて」という用語は、2つの弾性リングシールの次の配置を意味するように使用される。すなわち、外側の弾性リングシールが内側の弾性リングシールを少なくとも部分的に覆うように、管と直接接触している内側の弾性リングシールの外周が外側の弾性リングシールの内周と少なくとも部分的に接触する配置である。
【0013】
2つの弾性リングシールは同じ長さ及び厚さを有することができ、又は異なる長さ及び厚さを有することができる。例えば、外側の弾性リングシールは、内側の弾性リングシールよりもわずかに大きい直径を有して、適切な嵌合を提供することができる。2つの弾性リングシールは、閉じたリングの形状であり得るが、重なり合う自由端を有していてもよい。2つの弾性リングシールは、該弾性リングシールの使用を妨げない接着剤又はステープル等、任意の便利な態様で管に取り付けることができる。
【0014】
結合タップと浸漬プローブの端部との間の空間は、肩部とすることができる。該肩部は、結合タップを囲むランスにおける本質的に平坦な表面を含むことができる。管がランスに装着されると、2つの弾性リングシールが肩部に当接して、結合タップと浸漬プローブの端部との間の空間をシールすることができる。
【0015】
有利には、互いに重ねられて配置された2つの弾性リングシールを使用することにより、弾性リングシールの燃焼/破壊が段階的に生じることが分かった。内側リングシールは、外側リングシールがほぼ完全に破壊された後に劣化し始める。有利には、この配置は、溶融金属への浸漬中のスカル防止及び滞留時間を改善する。
【0016】
本発明の一例において、前記取付部は、前記結合タップを収容するための円筒状の開口部を備える。
【0017】
例えば、円筒状の開口部は、板紙から作られたロール管の端部の開口部であり得る。円筒状の開口部の幾何学的形状に適合する本質的に円筒状の結合タップは、円筒状の開口部に押し込むことができる。結果として生じる圧入嵌めカップリングが円筒状の管をランス上に保持する。しかしながら、本発明の例において、バヨネットマウント等の代替結合機構も使用可能である。
【0018】
本発明の更なる例において、前記2つの弾性リングシールは、前記管の前記取付部の周りの凹部内に少なくとも部分的に配置される。
【0019】
前記凹部は、管の端部に位置する、管の周囲にわたって部分的に又は完全に延びる溝とすることができる。別の例において、管の端部は、2つの弾性リングシールを取り付けることを可能にするために管の端に向かって先細りにすることができる。有利には、2つの弾性リングシールを凹部に取り付けることにより、弾性リングシールを所定の位置にしっかりと保持することができる。
【0020】
一例では、管は、管の材料を貫通する少なくとも1つの通気開口を備えることができる。該通気開口は、凹部内に配置され、かつ2つの弾性リングシールの少なくとも1つによって少なくとも部分的に覆われる。
【0021】
通気開口は、管内で上昇する溶融金属から気体及び蒸気を逃がすことを可能にする。また、通気開口により、管はランスにより容易に適合され得る。これは、管をランスに取り付ける間に増長し得る圧力を逃がすことができるためである。有利には、2つの弾性リングシールは、酸素吹き込みプロセス中に鋼及びスラグからの飛沫等の不純物による目詰まりから通気開口を保護する。先行技術から既知の装置には、浸漬方向においてランスの肩部の下に配置される通気開口が適用される。すなわち、該通気開口はランスに取り付けられた際に見える。鋼及びスラグの侵入を防ぐために、これらの通気開口は、該液体材料が浸漬プローブとランスとの間の隙間を埋めることができる前に凝結する金属製ばねで予測される。
【0022】
一例において、管は2つ〜6つの通気開口を備え、好ましくは、通気開口は5〜8mmの直径を有し、かつ凹部に配置される。
【0023】
通気開口を浸漬端部から遠ざけることによって、鋼及びスラグの浸透の危険性が低下し、通気開口は弾性リングシールを用いて飛沫から保護される。弾性リングシールによって形成された二重層は、浸漬中に結果として生じる被覆手段の品質を向上させ、その一方、外側弾性リングシールが存在する限り、内側弾性リングシールは無傷であると考えることができる。必要な通気領域が依然として利用可能である。
【0024】
別の例では、前記2つの弾性リングシールは、前記管の外面と半径方向に面一になるように適合される。例えば、これら弾性リングシールの厚さは、本発明に従って装着された際、2つのリングシールが管の外面と面一になるように選択することができる。ここで、凹部は、2つの弾性リングシールを収容する皿穴であり得る。このアセンブリは、一方では搬送のために浸漬プローブを容易に包装するという利点を生み出し、また、自動マニピュレータは、それと共に使用される浸漬プローブにとって最大外径をしばしば有する。
【0025】
一例では、少なくとも1つの弾性リングシールが管の端部を超えて延びるように適合され、好ましくは、2つの弾性リングシールが管の端部を超えて延びるように適合される。
【0026】
これら弾性リングシールの高さは、少なくとも1つの弾性リングシールが管の端部と重なり合い、管とランスとの間のシール効果が向上するように選択することができる。ある例では、少なくとも1つの弾性リングシールが、好ましくは2つの弾性リングシールが、2〜7mm、好ましくは3〜6mm、より好ましくは4〜5mmだけの端部を超えて延びるように適合される。
【0027】
別の例では、管は少なくとも厚紙材料から成る。
【0028】
例えば、管は、堅い管を成すために多層に巻かれた厚紙又は板紙のシートから作成することができる。本発明の代替例において、管は、湿気の問題を克服する目的でしばしば使用される発泡プラスチック材料又は金属箔を含むことができる。
【0029】
一例では、管は約80mmの外径を有する。
【0030】
製鉄所で使用されるほとんどのランスに管を接続するため、約80mmの直径が必要である。しかしながら、代替例では、管が接続されるランスの直径に応じて、より大きい又は小さい直径を用いることができる。
【0031】
更なる例では、2つの弾性リングシールはゴム材料から成る。
【0032】
天然ゴム、合成ゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、気泡ゴム、PVC、又はシリコーンゴム等のゴム材料は、良好なシール特性を有し、高温に耐えることができ、更に十分に廉価である。
【0033】
一例では、2つの弾性リングシールは、エチレンプロピレンジエンモノマー、EPDM、ゴムを含む材料から成る。
【0034】
別の例では、2つの弾性リングシールは25mmの長さ及び/又は2.5mmの厚さを有する。
【0035】
更に別の例では、弾性リングシールの少なくとも一つ、好ましくは二つの弾性リングシールは、40ショア未満の硬度を有する。
【0036】
有利には、40ショア未満の硬度は、管がランスの結合タップ上に入れ子状に嵌め込まれた際、2つの弾性リングシールの少なくとも50%の変形を可能にする。より硬い材料は、ランスの結合タップにおいてしばしば見られる局所的な変形を十分に補償しないことが分かった。有利には、40ショア未満の硬度を有する弾性リングシールを使用することにより、ランスの結合タップと浸漬プローブの取付部との間の全ての間隙を確実に覆う/埋めることが可能になる。
【0037】
本発明はまた、転炉製鋼プロセスにおいて使用するための測定システムに関する。
前記測定システムは、
結合タップを有する浸漬端部を備えるランスと、
管を備える浸漬プローブにして、前記管が該管を前記ランスに取り付けるための取付部を有し、前記取付部が、前記ランスの浸漬端部における結合タップに連結するように適合される該浸漬プローブと、
前記管の取付部の周りに配置される2つの弾性リングシールにして、前記結合タップと前記浸漬プローブの端部との間の空間をシールするために相互に重ねられて周方向に配置される該2つの弾性リングシールとを備える。
【0038】
浸漬プローブは、上記の様々な例で定義される浸漬プローブとすることができる。
【0039】
以下の概略図は、いくつかの例示的な説明と関連して本発明の理解を向上させるための本発明の態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1a】
図1aは、本発明の第1実施形態による転炉製鋼プロセスで使用するための浸漬プローブの断面図を示す。
【
図1b】
図1bは、本発明の第2実施形態による転炉製鋼プロセスで使用するための浸漬プローブの断面図を示す。
【
図2a】
図2aは、ランスと、ランスに取り付けられた本発明の第2実施形態による浸漬プローブとを備える、転炉製鋼プロセスで使用するための測定システムの断面図を示す。
【
図2b】
図2bは、ランスと、ランスに取り付けられた本発明の第3実施形態による浸漬プローブとを備える、転炉製鋼プロセスで使用するための測定システムの断面図を示す。
【
図3b】
図3bは、
図2bに示される切断線「A」に沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1aは、本発明の第1実施形態による転炉製鋼プロセスで使用するための浸漬プローブ1の断面図を示す。図示の浸漬プローブ1は管3を備える。管3は、管3をランス(
図1aには図示せず)に取り付けるための取付部5を有する。図示の実施形態では、取付部5は単に管3の端部である。ランスの浸漬端部における結合タップは、管3をランスに取り付けるために該端部に押し込むことができる。検出要素及び/又は試料採取器(
図1aには図示せず)は、取付部5が位置付けられる第1端部とは反対側の管3の第2端部に配置することができる。
【0042】
また、
図1aには2つの弾性リングシール7a、7bが示され、弾性リングシール7a、7bは管3の取付部5の周囲に配置される。図から分かるように、2つの弾性リングシール7a、7bは、凹部9において相互に重ねられて円周方向に配置される。この実施形態では、凹部9は、管3の材料における溝として示され、管3の周囲にわたって完全に延びている。図示の実施形態において、2つの弾性リングシール7a、7bのいずれも管3の端部を超えて突出しない。また、両方の弾性リングシール7a、7bは、管3の外面と半径方向において面一にあることが分かる。弾性リングシール7a、7bは、これら自体の張力によって又は少なくとも1つのステープルによって適所に保持可能である。
【0043】
図1bは、本発明の第2実施形態による転炉製鋼プロセスで使用するための浸漬プローブ1’の断面図を示す。
【0044】
管3’は、
図1aに示される管であり得る。図示の実施形態は、2つの弾性リングシール7a’、7b’が管3’の端部を越えて延びるという点で
図1aに示す実施形態とは区別される。例えば、2つの弾性リングシール7a’、7b’は、2〜7mm、好ましくは3〜6mm、より好ましくは4〜5mmだけ管3’の端部を超えて延びることができる。
【0045】
図2aは、転炉製鋼プロセスで使用するための測定システムの断面図を示す。該測定システムは、ランス11’と、ランス11’に取り付けられた本発明の第1実施形態による浸漬プローブ1’とを備える。
【0046】
図2aは、結合タップ13’を有するランス11’の浸漬端部を示す。浸漬プローブ1’の管3’を貫通するランス11’の部分は、一般的に結合タップ13’として知られており、時にはランスホルダーとも呼ばれる。結合タップ13’は、肩部15’を有することが予測されている。肩部15’は、管3’がランス11’に対して押し込み力によって接続可能で、浸漬プロセス中に適所に留まる寸法とされる。その後、浸漬プローブ1’は、引き離し力を加えることにより、ランス11’から取り外すことができる。
【0047】
管3’が結合タップ13’上に押し込まれ、かつその結果生じるプレス嵌め接続により保持され得るように、結合タップ13’は、管3’の内径に本質的に対応する直径を有し得る。図示の実施形態では、結合タップ13’は、中心に貫通孔を有するほぼ円錐形状である。貫通孔は、管3’の第2端部上の検出手段(
図2には示されない)を、検出手段に関連する分析手段(
図2には示されない)に接続するワイヤを収容することができる。しかしながら、本明細書に明示的に示されない実施形態において、結合タップ13’は、異なる幾何学的形状を有することもできる。
【0048】
結合タップ13’と浸漬プローブ1’の端部との間の空間は、結合タップ13’を取り囲む本質的に平坦な表面である肩部15’として示される。図に示されるように、管3’がランス11’に取り付けられると、弾性リングシール7a’、7b’は圧縮されて肩部15’に当接し、そのため結合タップ13’と浸漬プローブ1’の端部との間の空間をシールする。
【0049】
図2bは、転炉製鋼プロセスで使用するための測定システムの断面図であり、該測定システムは、ランス11”と、ランス11”上に取り付けられた本発明の第3実施形態による浸漬プローブ1”とを備える。
【0050】
ランス11”は、
図2aに示されるランスであり得る。浸漬プローブ1”は、
図1b及び2aに示される浸漬プローブと、通気開口17a”−17n”を有する点で区別される。通気開口17a”−17n”は、管3”の材料を通って延び、凹部に配置され、更に2つの弾性リングシール7a”、7b”によって少なくとも部分的に覆われている。
図3の実施形態では、通気開口17a”−17n”は、管3”の材料を通る円形穴として示される。
【0051】
代替実施形態では、管は、
図2bに示すよりも多いか又は少ない通気開口を備えることができる。通気開口はまた、長方形状等の異なる形状を有することもできる。円形の穴は経済的な観点から最良の選択と考えられる。換気開口部17a”−17n”の数及び大きさは、所望の換気レベルに基づいて選択される。この望ましい換気レベルは、管3”の内径で囲まれた空間に入る液体金属の量に依存する。例えば、サンプリングユニットを搭載していない浸漬プローブは、ほぼ6mmの通気開口を1つ又は2つ必要とするが、サンプリングユニットと液相線ユニットを搭載する浸漬プローブは、約6〜8mmの通気開口を6つから8つ必要とする。ほとんどの浸漬ランスには、ガスパージが装備され、また最低限2つの通気開口が要求される。
【0052】
図3a、
図3bは、
図2a、
図2bに示される切断線「A」に沿った断面図を示す。
図3aは、結合タップ13’の周りに配置された
図2aに示される管3’を示す。
図3bは、管3”の材料に配置された通気開口17a”〜17n”を示す。
【0053】
特許請求の範囲、明細書及び図面に開示された特徴は、別々でも、互いに任意に組み合わせても、特許請求の範囲に記載された発明の異なる実施形態にとって本質的であり得る。
【符号の説明】
【0054】
1、1’、1” 浸漬プローブ
3、3’、3” 管
5、5’ 取付部
7a、7a’、7a”、7b、7b’、7b” 弾性リングシール
9、9’ 凹部
11’、11” ランス
13’、13” 結合タップ
15’、15” 肩部
17a”−17n” 通気開口
A 切断線