特許第6756971号(P6756971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6756971セメントクリンカーおよびセメント組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6756971
(24)【登録日】2020年9月1日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】セメントクリンカーおよびセメント組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/02 20060101AFI20200907BHJP
   C04B 7/28 20060101ALI20200907BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20200907BHJP
   C04B 18/08 20060101ALI20200907BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20200907BHJP
   C04B 14/28 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   C04B7/02
   C04B7/28
   C04B28/02
   C04B18/08 Z
   C04B18/14 A
   C04B14/28
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-130858(P2016-130858)
(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-2540(P2018-2540A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088719
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 博史
(72)【発明者】
【氏名】山下 牧生
【審査官】 西垣 歩美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−030894(JP,A)
【文献】 特開平11−228195(JP,A)
【文献】 特開2015−171975(JP,A)
【文献】 特開昭56−037255(JP,A)
【文献】 後藤貴弘、中村俊彦、高尾昇、鳴瀬浩康,高アルミネート型セメントを用いたコンクリートの物性,セメント・コンクリート論文集,日本,セメント協会,2010年,64巻,P.219-224
【文献】 下坂建一,クリンカーへの添加成分とセメントの諸物性に関する研究,日本,2005年 9月,全7項
【文献】 KaeーLong Lin,Chung−Yi Lin,Hydration Properties of Eco−Cement Pastes from Waste Sludge Ash Clinkers,Journal of the Air & Waste Management Association,米国,2004年,54巻,P.1534-1542
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリンカー中のCA量が10.5〜13.0質量%、全アルカリ量(RO)が0.46〜0.55質量%、SO量が1.8〜2.5質量%であって、全アルカリ量(RO)に対するSO量の比(SO/RO)が4.3〜5.5であることを特徴とするセメントクリンカー。
【請求項2】
クリンカー中のCS量が30〜70質量%、CS量が5〜55質量%、CAF量が7〜15質量%であり、CA量/CAF量が1.07〜1.27、および遊離石灰量が0.4以上である請求項1に記載するセメントクリンカー。
【請求項3】
請求項1または請求項2の何れかに記載するセメントクリンカーの粉砕物および石膏粉末を含有するセメント組成物。
【請求項4】
請求項3に記載するセメント組成物であって、石膏添加量がSO換算で1.2質量%以下において、該セメント組成物を用いて調製したモルタルの材齢28日の乾燥収縮率が、650×10−6以下であるセメント組成物。
【請求項5】
請求項4に記載するセメント組成物であって、セメント組成物に含まれるセメントクリンカーの不溶残分が0.08〜0.25質量%であり、セメント組成物におけるセメントクリンカーと石膏との粉砕物中の不溶残分が0.10質量%〜0.25質量%であるセメント組成物。
【請求項6】
請求項3〜請求項5の何れかに記載するセメント組成物であって、フライアッシュ、石灰石粉末、または高炉スラグ粉末を含有する混合セメントのセメント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、普通ポルトランドセメントにおいて、アルミネート相の含有量が多いセメントクリンカーでありながら乾燥収縮を抑制したセメント組成物およびそのセメントクリンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セメントクリンカー原料の一部に産業廃棄物が大量に使用されているが、産業廃棄物の発生量は次第に増加しており、現状より多くの産業廃棄物をクリンカー原料として利用することが望まれている。一方、今後はポルトランドセメントに混合材を添加するケースが増えることが予想され、混和材の添加量が多くなると単位量あたりのクリンカー量は少なくて済むので、クリンカー原料に使用する廃棄物量は減少することが懸念されている。このため、セメントクリンカー原料に使用する廃棄物量が減少しないように、単位量あたりのクリンカー原料に使用する廃棄物量を現状より増大することが望まれている。
【0003】
一般に、セメントクリンカー原料として利用されている廃棄物にはアルミニウム源が多く含まれているので、セメントクリンカー原料に使用する廃棄物量が増すと、セメントクリンカーに取り込まれるAl量が多くなり、クリンカー鉱物のアルミネート相〔3CaO・Al(CA)〕が増加する。
【0004】
クリンカー鉱物のうち、エーライト(CS)およびビーライト(CS)の収縮率は概ね80×10−5程度であるのに対して、アルミネート相(CA)の収縮率は概ね234×10−5程度であり、エーライト(CS)およびビーライト(CS)に対してアルミネート相(CA)の収縮率は格段に大きい。従って、クリンカー鉱物中のアルミネート相の含有量が多くなると該クリンカーを用いたセメント組成物の自己収縮や乾燥収縮が増加する問題がある。
【0005】
一般的な普通ポルトランドセメントのエーライト(CS)量は50%前後、ビーライト(CS)量は25%前後、アルミネート相およびフェライト相(CAF)の量はおのおの8〜9%であり、中庸熱ポルトランドセメントではビーライト(CS)量が普通ポルトランドセメントより多く、アルミネート相は3%以下に制限されている。
【0006】
一般に水とセメントを混練する場合、ワーカビリティーを確保するためにセメントの水和に必要な水量よりも多くの水が添加され、水和に使用された以外の水分は乾燥時に放出されることによって混練物の体積が減少する乾燥収縮の現象を生ずる。また、硬化時の水和反応によって硬化後の体積が減少する自己収縮の現象を生じる。
【0007】
自己収縮は比較的早く材齢初期(凝結終了後から材齢7日程度)に生ずる現象であり、クリンカー鉱物の水和反応が比較的速いアルミネート相(CA)に発生しやすく、材齢初期のひび割れの原因になる。また、乾燥収縮はモルタルやコンクリートにおいて収縮ひび割れの最大の原因になる。
【0008】
このような収縮ひび割れ、特に乾燥収縮によるひび割れを防止するため、従来、セメントに注水する際に、(イ)セメント膨張材を添加(特開2015−140272号公報等)、(ロ)界面活性作用を有する減水剤を添加、(ハ)収縮低減剤を添加する(特開平11−116310号公報等)などの対策がなされている。セメント膨張材としては無水石膏や遊離石灰を含む膨張材が用いられているが、これらの膨張材は添加量の制御が難しく、過剰な添加量によって膨張ひび割れを生じる虞がある。一方、収縮低減剤はアルキレンオキシド付加体で代表されるような水溶性の有機物が使用されているが、これらは高価であるためコスト高になる問題があるとともに、コンクリートにした場合の凍結融解抵抗性に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015−140272号公報
【特許文献2】特開平11−116310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、セメントクリンカー中のアルミネート相量が多くても、セメント膨張材や高価な有機系収縮低減剤を使用せずに、乾燥収縮を抑制したセメント組成物およびそのセメントクリンカーを提供する。具体的には、本発明は、セメントクリンカー中のCA量が10.5質量%以上でも、該セメントクリンカーを用いたセメント組成物のモルタルの乾燥収縮率を抑制したセメント組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の構成によって上記課題を解決したセメントクリンカーとそのセメント組成物に関する。
〔1〕クリンカー中のCA量が10.5〜13.0質量%、全アルカリ量(RO)が0.46〜0.55質量%、SO量が1.8〜2.5質量%であって、全アルカリ量(RO)に対するSO量の比(SO/RO)が4.3〜5.5であることを特徴とするセメントクリンカー。
〔2〕クリンカー中のCS量が30〜70質量%、CS量が5〜55質量%、CAF量が7〜15質量%であり、CA量/CAF量が1.07〜1.27、および遊離石灰量が0.4以上である上記[1]に記載するセメントクリンカー。
〔3〕上記[1]または上記[2]の何れかに記載するセメントクリンカーの粉砕物および石膏粉末を含有するセメント組成物。
〔4〕上記[3]に記載するセメント組成物であって、石膏添加量がSO換算で1.2質量%以下において、該セメント組成物を用いて調製したモルタルの材齢28日の乾燥収縮率が、650×10−6以下であるセメント組成物。
〔5〕上記[4]に記載するセメント組成物であって、セメント組成物に含まれるセメントクリンカーの不溶残分が0.08〜0.25質量%であり、セメント組成物におけるセメントクリンカーと石膏との粉砕物中の不溶残分が0.10質量%〜0.25質量%であるセメント組成物。
〔6〕上記[3]〜上記[5]の何れかに記載するセメント組成物であって、フライアッシュ、石灰石粉末、または高炉スラグ粉末を含有する混合セメントのセメント組成物。
【0012】
〔具体的な説明〕
以下、本発明を具体的に説明する。CS(2CaO・SiO)、CS(3CaO・SiO)、CA(3CaO・Al)、CAF(4CaO・Al・Fe)はボーグ式による鉱物組成である。
【0013】
本発明のセメントクリンカーは、アルミネート相(CA)の含有量が10.5〜13.0質量%であり、全アルカリ量(RO)が0.46〜0.55質量%、SO量が1.8〜2.5質量%であって、全アルカリ量(RO)に対するSO量の比(SO/RO)が4.3〜5.5であることを特徴とする普通ポルトランドセメントクリンカーである。なお、この全アルカリ量(RO)は、ナトリウム酸化物量とカリウム酸化物量の合計をNaOに換算した量であり、RO=NaO+0.658KOの式により示される。
【0014】
一般的な普通ポルトランドセメントクリンカーのアルミネート相(CA)含有量は9質量%程度であるが、本発明のセメントクリンカーは、アルミネート相(CA)含有量が10.5〜13.0質量%であり、一般的な普通ポルトランドセメントクリンカーよりかなり多い。本発明のセメントクリンカーにおいて、アルミネート相(CA)の含有量が10.5質量%より少ないとクリンカー原料に使用する廃棄物量を高める効果に乏しい。一方、アルミネート相(CA)の含有量が13.0質量%を上回ると、該クリンカーを用いたセメント組成物による硬化体の乾燥収縮率が大きくなり過ぎるので好ましくない。
【0015】
本発明のセメントクリンカーは、クリンカー中の全アルカリ量(RO)に対するSO量の比(SO/RO比)が4.3〜5.5である。一般的な普通ポルトランドセメントクリンカーのSO/RO比は概ね2.5未満であり、本発明のセメントクリンカーは、上記SO/RO比を従来よりも高くすることによって、クリンカー中のアルミネート相(CA)量が10.5質量%以上でも、該クリンカーを用いたセメント硬化体の乾燥収縮率が増大し難くした
【0016】
上記SO/RO比が2.5未満ではセメント硬化体の乾燥収縮率の増大を抑制する効果が乏しい。上記SO/RO比は4.3〜5.5が好ましい。なお、上記SO/RO比が5.5を上回ると、相対的にSO量が多くなり、クリンカーの被粉砕性が低下し、セメントの強度低下を招くので好ましくない。
【0017】
本発明のセメントクリンカーに含まれるSO量は1.0〜2.5質量%、全アルカリ量(RO)は0.46〜0.55質量%が好ましい。SO量が1.0質量%より少なく、全アルカリ量(RO)が0.55質量%よりも多いと上記SO/RO比を4.3〜5.5にすることが難しい。SO量が2.5質量%より多く、全アルカリ量(RO)が0.3質量%より少ないと上記SO/RO比が過剰に高くなるので好ましくない。
【0018】
本発明のセメントクリンカーにおいて、遊離石灰量は0.4質量%以上が好ましい。一般に、CA量およびSO量が増加すると、焼成クリンカー中の液相が増加して遊離石灰(f.CaO)が減少する。遊離石灰は乾燥収縮を抑制する効果があるので、クリンカー中の遊離石灰量を一定量以上に維持することが好ましい。具体的には、クリンカー中の遊離石灰量は0.4質量%以上が好ましく、0.4〜1.6質量%がより好ましい。クリンカーの焼成工程において、焼成温度を下げ、あるいは投入原料の粒度を粗くするなどによって、クリンカー中の遊離石灰量を高めることができる。
【0019】
本発明のセメントクリンカーは、CA量およびSO/RO比以外の基本的な鉱物組成は一般的なポルトランドセメントクリンカーの範囲であり、具体的には、例えば、CS量30〜70質量%、CS量5〜55質量%、CAF量7〜15質量%、SO量1.5〜2.3質量%であり、好ましくは、CS量40〜60質量%、CS量10〜30質量%、CAF量7〜15質量%である。
【0020】
本発明のセメントクリンカーにおいて、CA量/CAF量は1.07〜1.27の範囲が好ましい。CA量/CAF量が1.07未満ではCA量を10.5質量%以上にすることが難しく、一方、CA量/CAF量が1.27を超えるとCA量が過剰になるので好ましくない。
【0021】
本発明のセメント組成物は上記セメントクリンカーの粉砕物に石膏粉末を配合してなるものである。セメント組成物のクリンカー粉末含有量は90質量%以上であって、石膏の添加量はSO換算で1.2質量%以下が好ましい。本発明のセメント組成物はクリンカー粉末および石膏と共にフライアッシュ、石灰石粉末、または高炉スラグ粉末などの混合材料を含むことができる。これらの混合材料を含む場合にはクリンカー粉末含有量は85質量%以上が好ましい。
【0022】
本発明のセメント組成物に含まれる不溶残分は0.12〜0.25質量%が好ましい。セメント組成物の材料であるセメントクリンカー、石膏、混合材料に含まれる不溶残分は、アルカリと反応してアルカリシリカゲルなどを生成し、若干であるが初期の膨張に寄与し、同時期に生じる自己収縮を相殺する効果がある。不溶残分による収縮抑制効果は、上記混合材料のシリカ質微粉末などの不溶残分よりもクリンカーに残留した不溶残分の効果が顕著なので、クリンカー中に一定量以上の不溶残分が含まれていることが望ましい。具体的には、クリンカー中の不溶残分量は0.08質量%以上が好ましく、0.08〜0.25質量%がより好ましい。
【0023】
本発明のセメント組成物は、クリンカー粉末量90質量%以上および添加石膏量がSO3換算で1.2質量%以下において、オーストラリア規格AS2350.13に従って調製したモルタルの材齢28日の乾燥収縮率は650×10−6以下である。
【0024】
本発明のセメント組成物に用いられるセメントクリンカーは、クリンカー中のCA含有量が一般的な普通ポルトランドセメントクリンカーより多く、10.5〜13.0質量%であり、該CA量に応じて、SO/RO比が4.3〜5.5に調整されている。このCA量に対応したSO/RO比の調整によってセメント硬化体の乾燥収縮率の増大が抑制されている。
【0025】
一般に、セメントクリンカー中のCA量が多くなると、セメント硬化体の乾燥収縮率が大きくなり、例えば、クリンカー粉末量90質量%以上および石膏の添加量がSO換算で1.2質量%以下のセメント組成物において、SO/RO比が2.2程度のとき、オーストラリア規格AS2350.13に従って測定した材齢28日の乾燥収縮率は、クリンカー中のCA量が10.5〜11.0質量%の範囲で、概ね653×10−6〜655×10−6であり、クリンカー中のCA量が11〜12質量%の範囲で655×10−6〜710×10−6である(後述の比較例1〜4参照)。
【0026】
一方、本発明のセメント組成物は、SO/RO比が4.3〜5.5に調整されていることによって、同様の試験条件において、クリンカー中のCA量が10.5質量%〜11.5質量%の範囲で、モルタルの乾燥収縮率は650×10−6以下に抑制されている。
【発明の効果】
【0027】
本発明のセメントクリンカーおよび該クリンカーを用いたセメント組成物は、一般的な普通ポルトランドセメントに比べて、CA量が多くても、SO/RO比の調整によってセメント硬化体の乾燥収縮率は増加し難い。従って、セメント原料として産業廃棄物量を多く使用してクリンカー中のCA量が増加しても、乾燥ひび割れが生じ難いセメント組成物を得ることができる。
【0028】
本発明のセメント組成物は、SO/RO比の調整によってセメント硬化体の乾燥収縮率の増加を抑制し、高価な膨張材や収縮低減剤を用いないので安価であり、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】乾燥収縮率とクリンカー中の不溶残分の関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。実施例では、クリンカーと二水石膏の混合粉砕物としたが、混合材料としてフライアッシュ、石灰石粉末、または高炉スラグ粉末のうち、一つ以上の材料を混合しても良い。試料はオーストラリア規格AS2350.13に従って調製し、該規格に基づいて乾燥収縮率を測定した。
【0031】
〔実施例1〕
クリンカー原料として石灰石、珪石、粘板岩、石炭灰、および二水石膏を用い、純薬として炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムを使用した。これらの原料を用い、電気焼成炉によって、表1および表2に示すクリンカーを調製した。このクリンカーを二水石膏と共に粉砕機に入れて粉砕しセメント組成物を調製した。二水石膏の添加量はSO換算で0.9〜1.2質量%である。また、ジエチレングリコールをクリンカーベースで0.03質量%添加し、ブレーン比表面積を3300±40cm/gになるように設定した。
【0032】
〔実施例2〕
実施例1で調製したセメント組成物を用いてモルタルを調製し、脱型後に基長を測り、上記規格に従って、材齢28日の乾燥収縮率を測定した。この結果を表2に示した。また、乾燥収縮率とクリンカー中の不溶残分の関係を図1に示した。
【0033】
表2に示すように、比較試料(B1〜B4)のセメント組成物を用いた材齢28日のモルタルの乾燥収縮率は、653×10−6〜710×10−6であり、乾燥収縮率が大きい。
一方、本発明のセメント組成物(A1〜A4、A6〜A9、A11)を用いた材齢28日のモルタルの乾燥収縮率は、何れも650×10−6以下であり、比較試料よりも格段に小さい。
【0034】
表2および図1に示すように、比較試料B1,B4はセメント組成物の不溶残分が0.10〜0.11の範囲で近似しており、SO/RO比は何れも2.2であるが、試料B1の乾燥収縮率は653×10−6であるのに対して、試料B4の乾燥収縮率は710×10−6であり大きく異なる。一方、本発明の試料(A1〜A4、A6〜A9、A11)は、セメント組成物の不溶残分が0.10〜0.25の範囲で、乾燥収縮率は何れも650×10−6以下に抑制されている。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
図1