【実施例】
【0031】
図1は本発明に係る潅水施肥システムの構成の一例を模式的に示した図である。
図1に示すように、潅水施肥システム1は、園地2a,2bで栽培されている果樹に点滴チューブ3a〜3cを介して水と肥料を供給するものである。点滴チューブ3aは土壌水分計4aとともに園地2aに設置されており、点滴チューブ3b,3cはそれぞれ土壌水分計4b,4cとともに園地2bに設置されている。
点滴チューブ3aは導水管5aを介して水源6に接続されており、導水管5aは、途中で導水管5bに分岐している。そして、点滴チューブ3bは、導水管5a,5bを介して水源6に接続されている。
また、導水管5bは、さらに途中で導水管5cに分岐しており、点滴チューブ3cは、導水管5a〜5cを介して水源6に接続されている。
【0032】
導水管5bに分岐する箇所よりも上流側の導水管5aには、液状の肥料(以下、液肥という。)が貯留された液肥タンク7が液肥供給管8を介して接続されており、液肥供給管8が接続された箇所の上流側と下流側には、電磁弁9a並びに流量計10a及びEC計11aがそれぞれ設置されている。液肥タンク7には、液位計7aが設置され、液肥供給管8には、定量ポンプ12が設置されており、液位計7a、電磁弁9a、流量計10a、EC計11a及び定量ポンプ12は、信号線13aを介してメインコントローラ14にそれぞれ接続されている。
【0033】
導水管5bに分岐する箇所よりも下流側の導水管5aには、電磁弁9b、流量計10b及びEC計11bがそれぞれ設置されており、電磁弁9b、流量計10b及びEC計11bは、信号線13bを介してサブコントローラ15にそれぞれ接続されている。一方、導水管5bには、電磁弁9c、流量計10c及びEC計11cがそれぞれ設置されており、電磁弁9c、流量計10c及びEC計11cは、信号線13cを介してサブコントローラ16にそれぞれ接続されている。
そして、メインコントローラ14には、記憶装置が内蔵された営農サーバ17と携帯端末などの入力装置18がインターネット19を介して3G回線で接続されている。
【0034】
図2は
図1に示したメインコントローラ14の機能を説明するためのブロック図であり、
図3は
図2における記憶装置20に格納される情報の一例を示した図である。
図2に示すように、メインコントローラ14は、インターネット19を介して入力装置18から入力された情報等の受信と営農サーバ17に内蔵された記憶装置20に対する情報等の送受信を行うとともにサブコントローラ15,16に対して無線通信を行うための通信部14aと、入力装置18から入力された情報と記憶装置20に格納されている情報に基づいて各種の演算を行う演算部14bと、液位計7a、流量計10a及びEC計11aによる検出結果を受信するとともに、電磁弁9aと定量ポンプ12の動作を制御する制御部14cを備えている。
【0035】
図3に示すように、記憶装置20には、1本の果樹に対する1日当たりの推奨潅水量Wd及び1ヶ月当たりの推奨潅水量Wmが果樹の品種及び樹齢並びに潅水の実施月と関連付けられた状態で格納され、1本の果樹に対する1日当たりの推奨液肥量Fd及び1ヶ月当たりの上限液肥量Fuが果樹の品種及び樹齢並びに液肥の種類及び施肥の実施月と関連付けられた状態で格納されている。
【0036】
記憶装置20には、予め格納されている上述のマスター情報の他に、生産者等によって入力装置18から入力された園地情報(潅水や施肥の対象となる園地の名称、果樹の品種、樹齢、樹体本数T
N、土壌の種類、栽培方法、液肥の種類)が園地の名称と関連付けられた状態でそれぞれ格納されている。点滴チューブは、型式によって、チューブの材質や内径、あるいはチューブに設けられる孔の大きさや個数が異なるため、それらの値の代わりに単位時間及び単位長さ当たりの点滴チューブの最大吐出量W
0が点滴チューブの全長Lとともに入力装置18から生産者等によって入力される。そして、これらの値はチューブ情報として記憶装置20に格納されている。なお、同一の園地内に点滴チューブの最大吐出量W
0が同じ複数の点滴チューブが設置されている場合、全ての点滴チューブの長さを合計した値が点滴チューブの全長Lとなる。
また、生産者等によって入力装置18から入力された潅水補正係数K
1,K
2及び液肥補正係数K
3,K
4が補正情報として潅水の実施月及び施肥の実施月ごとにそれぞれ格納される。さらに、水源の流量Frの他、貯水槽が設けられている場合には、その貯水量Wsと、単位時間当たりの貯水槽への流入量Fiが記憶装置20に水源情報として格納される。
【0037】
図4(a)及び
図4(b)はそれぞれ
図1に示したサブコントローラ15,16の機能を説明するためのブロック図である。
図4(a)に示すように、サブコントローラ15は、メインコントローラ14の通信部14aに対して無線通信を行うための通信部15aと、土壌水分計4a、流量計10b及びEC計11bによる検出結果を受信するとともに、電磁弁9bの動作を制御する制御部15bを備えている。
また、
図4(b)に示すように、サブコントローラ16は、メインコントローラ14の通信部14aに対して無線通信を行うための通信部16aと、土壌水分計4b,4c、流量計10c及びEC計11cによる検出結果を受信するとともに、電磁弁9cの動作を制御する制御部16bを備えている。
【0038】
図5(a)は果樹の品種ごとの収穫時期を示しており、
図5(b)は樹齢ごとに潅水量と液肥量が異なることを示している。
図5(c)は土壌の種類ごとに潅水量と潅水の回数が異なり、
図5(d)は栽培方法ごとに潅水量が異なり、
図5(e)は生育ステージごとに潅水や施肥の方法が異なることを示している。また、
図6は月ごとの潅水量と液肥量の推奨値を示している。
図5(a)に示すように、温州ミカンは収穫時期の異なる4つの種類に分けられる。一方、中晩柑は8つの種類に分けられるが、それらの収穫時期は5つに大別される。
【0039】
図5(b)に示すように、潅水と施肥の方法は樹齢によって異なる。具体的に説明すると、潅水量と液肥量は、苗木から幼木、さらに若木から成木へと樹齢が増すにつれて、多くなるように設定することが望ましい。
図5(c)に示すように、潅水の量と回数は土壌の種類によって異なる。例えば、花崗岩土壌では水が狭い範囲で深く染み込むため、潅水の回数は多くして、1回当たりの潅水量は少なくすることが望ましい。また、安山岩土壌では、水が広い範囲で浅く染み込むため、潅水の回数は少なくして、1回当たりの潅水量は多くすることが望ましい。
図5(d)に示すように、潅水量は栽培方法によっても異なる。例えば、ハウス栽培は降雨の影響を受けないため、果樹がビニルで被覆される11月以降は露地栽培に比べて潅水量を多くすることが望ましい。
【0040】
図5(e)に示すように、潅水と施肥の方法は果樹の品種の他、生育ステージによっても異なる。例えば、「はれひめ」以外の中晩柑については、発芽分化期(3月)から成熟期(10月〜11月)にかけて一定の周期で潅水と施肥を同時に行うが、地温が8度以下になると根の活動が鈍くなることから、12月から2月の間は、潅水と施肥を停止する。ただし、ハウス栽培の場合には、この時期も定期的に潅水を行う。
これに対し、中晩柑の「はれひめ」と温州ミカンは、乾燥ストレスを与えると糖度が増すことから、液胞発達期(8月)から花芽分化期(1月〜2月)にかけて潅水制限をする。ただし、それ以外の時期は、一定の周期で潅水と施肥を同時に行う。
【0041】
1本の果樹に対して1日に供給可能な潅水量や液肥量には上限があり、1か月間に供給可能な潅水量や液肥量にも上限がある。それらは果樹の種類や時期によって異なるが、本発明の
潅水施肥システム1では、種々の果樹に対して、潅水や施肥が適切に行われるように、
図5(a)乃至
図5(e)に示した指針に基づいて潅水量と液肥量の推奨値が設定され、それらのデータが果樹の品種及び樹齢並びに潅水の実施月と関連付けられた状態で記憶装置20に予め格納されている。例えば、花崗岩土壌の園地で露地栽培される樹齢10年の温州ミカン(極早生)については、
図6に示すように月ごとの1日当たりの推奨潅水量Wd、1ヶ月当たりの推奨潅水量Wm、1日当たりの推奨液肥量Fd及び1ヶ月当たりの上限液肥量Fuが記憶装置20に格納されている。
【0042】
ここで、潅水施肥システム1の動作について、
図2〜
図6を適宜参照しながら、
図7乃至
図9を用いて説明する。
図7は
潅水施肥システム1の動作手順を示したフローチャートであり、
図8はメインコントローラ14の演算部14bにおいて行われる演算の流れを示したフローチャートであり、
図9はその演算結果の一例を示した表である。
図7及び
図8に示すように、ステップS1において、生産者等により入力装置18から園地情報、チューブ情報及び補正情報が入力されると、メインコントローラ14の通信部14aは、その情報を受信して、制御部14cに送る(
図2の矢印A)。
通信部14aから送られてきた園地情報、チューブ情報及び補正情報を受信した制御部14cは、記憶装置20からマスター情報と水源情報を読み出すための読み出し信号を通信部14aに送り(
図2の矢印B)、通信部14aはインターネット19を経由して制御部14cの読み出し信号を記憶装置20に送る。
制御部14cの読み出し信号を受信した記憶装置20はインターネット19を経由してマスター情報と水源情報をメインコントローラ14の通信部14aに送り、通信部14aは記憶装置20に格納されていたマスター情報と水源情報を制御部14cに送る(
図2の矢印A)。そして、制御部14cは、通信部14aから受信した園地情報、チューブ情報、補正情報、マスター情報及び水源情報とともに、演算開始信号を演算部14bに送る(
図2の矢印C)。
【0043】
ステップS2において、園地情報、チューブ情報、補正情報、マスター情報及び水源情報とともに制御部14cから送られてきた演算開始信号を受信した演算部14bは各種の演算を行う。
具体的に説明すると、まず、演算部14bは、園地2aの点滴チューブ3aと園地2bの点滴チューブ3b,3cに関する単位長さ当たりの最大吐出量W
0と全長Lの積を園地ごとに単位時間当たりの潅水量W
Gとする(
図8のステップS2−1)。
ただし、園地2a〜2cに対し、水源流量Frを超える水を供給することはできないため、W
0とLの積と水源流量Frを比較し(
図8のステップS2−2)、W
0とLの積が水源流量Frを超えている場合には、水源流量FrをW
0とLの積の代わりに単位時間当たりの潅水量W
Gとする(
図8のステップS2−3)。
【0044】
ステップS3において、演算部14bでは、園地2a,2bについてそれぞれ1日当たりの潅水時間t
dと1ヶ月当たりの潅水回数Tmが算出される。
具体的には、演算部14bにおいて、1本の果樹に対する1日当たりの推奨潅水量Wd及び1ヶ月当たりの推奨潅水量Wm並びに潅水補正係数K
1,K
2から1日当たりの潅水時間t
dと1ヶ月当たりの潅水回数Tmが次の式(1)及び式(2)に従って園地ごとに算出される(
図8のステップS3−1及びステップS3−2)。なお、潅水補正係数K
1,K
2は、生産者が1日当たりの推奨潅水量Wd及び1ヶ月当たりの推奨潅水量Wmの値について調整を希望するときに用いられるものであり、通常はそれぞれ1に設定されている。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】
ステップS4では、生産者等が園地情報として入力装置18から入力した液肥の種類に対応する1日当たりの推奨液肥量Fd、上限液肥量Fu及び液肥補正係数K
3に基づいて月ごとの液肥濃度Fmと1ヶ月当たりの施肥回数T
Fが算出される。具体的に説明すると、演算部14bでは、1本の果樹に対する1日当たりの推奨液肥量Fd、液肥補正係数K
3、単位時間当たりの潅水量W
G及び1日当たりの潅水時間t
dから液肥濃度Fmが次の式(3)に従って園地ごとに算出される(
図8のステップS4−1)。なお、液肥補正係数K
3,K
4は、生産者が1日当たりの推奨液肥量Fd及び1ヶ月当たりの上限液肥量Fuの値について調整を希望するときに用いられるものであり、通常はそれぞれ1に設定されている。
【0048】
【数3】
【0049】
潅水と施肥を同時に行う場合、施肥回数T
Fは1ヶ月当たりの潅水回数Tmと等しいため、TmをT
Fとする(
図8のステップS4−2)。ただし、
1日当たりの推奨液肥量Fdと施肥回数TFの積と上限液肥量Fuと液肥補正係数K
4の積を比較し(
図8のステップS4−3)、
Fdと
TFの積がFuとK
4の積よりも大きい場合には、FuとK
4の積を
1日当たりの推奨液肥量Fdで割った値を超えない範囲で最も大きい整数値nをTmの代わりに施肥回数TFとする(
図8のステップS4−4)。
このようにして演算部14bによって行われた各種の演算の結果は、制御部14cに送られる(
図2の矢印D)。制御部14cは演算部14bの演算結果とともに書き込み信号を通信部14aに送り(
図2の矢印B)、通信部14aは演算部14bの演算結果と制御部14cの書き込み信号を記憶装置20にインターネット19を経由して送る。これにより、記憶装置20には、1日当たりの潅水時間td及び1ヶ月当たりの潅水回数Tm並びに液肥濃度Fm及び1ヶ月当たりの施肥回数TFが演算部14bによる演算結果として園地2a,2bにそれぞれ対応付けられた状態で実施月ごとに格納される。
【0050】
ステップS5において、潅水と施肥を開始させるためのコマンドを生産者等が入力装置18に入力すると、入力装置18は、潅水開始信号と施肥開始信号をメインコントローラ14の通信部14aに送信し、通信部14aは、これらの信号を制御部14cに送信する(
図2の矢印A)。
潅水開始信号と施肥開始信号を受信した制御部14cは、記憶装置20から演算結果を読み出すための読み出し信号を通信部14aに送り(
図2の矢印B)、通信部14aはインターネット19を経由して制御部14cの読み出し信号を記憶装置20に送る。
制御部14cの読み出し信号を受信した記憶装置20はインターネット19を経由して演算部14bの演算結果をメインコントローラ14の通信部14aに送り、通信部14aは記憶装置20に格納されていた演算部14bの演算結果を制御部14cに送る(
図2の矢印A)。
【0051】
ステップS6において、制御部14cは、通信部14aから受信した演算部14bの演算結果に基づいて電磁弁9aと定量ポンプ12にそれぞれ制御信号を送って(
図2の矢印E及び矢印F)、それらの動作を制御する。
具体的には、
図2の矢印Gで示すように流量計10aから送られてくる導水管5aの流量(導水管5aの内部を1分間に流れる水の量)の検出値が園地2a,2bのうち潅水の対象となる園地における単位時間当たりの潅水量W
Gに一致するように、電磁弁9aの開度が制御部14cによって調整される。なお、電磁弁9aを開く時間は、当該園地における1日当たりの潅水時間t
dと同じであり、1ヶ月に電磁弁9aを開く回数は、当該園地における1ヶ月当たりの潅水回数Tmと同じである。また、園地2a,2bに対して同時に潅水を行う場合には、流量計10aによって検出される導水管5aの流量が園地2a,2bにおけるそれぞれの単位時間当たりの潅水量W
Gの合計値に一致するように、制御部14cによって電磁弁9aの開度が調整される。
【0052】
さらに、液肥供給管8を介して液肥タンク7から導水管5aに供給される液肥の濃度が園地2a,2bのうち施肥の対象となる園地における液肥濃度Fmに一致するように、定量ポンプ12の回転数が制御部14cによって調整される。ただし、定量ポンプ12によって液肥タンク7から導水管5aに液肥を供給するタイミング及び回数は、電磁弁9aを開くタイミング及び回数と一致させるものとする。また、導水管5aの内部を流れる液肥の濃度は、EC計11aによって検出された後、制御部14cに送られ(
図2の矢印H)、液肥タンク7に貯留される液肥の量は、液位計7aによって検出された後、制御部14cに送られる(
図2の矢印I)。
【0053】
ステップS7において、サブコントローラ15,16は、メインコントローラ14から送られる稼働開始信号に従って稼働を開始する。
具体的には、メインコントローラ14の制御部14cから通信部14aを経由してサブコントローラ15に送信された稼働開始信号は、通信部15aで受信された後、制御部15bに送られる(
図4(a)の矢印A)。
制御部15bは、上記稼働開始信号に従って、
図4(a)の矢印Bで示すように流量計10bから送られてくる「導水管5bに分岐する箇所よりも下流における導水管5aの流量(導水管5aの内部を1分間に流れる水の量)」の検出値が園地2aにおける単位時間当たりの潅水量W
Gに一致するように、電磁弁9bに制御信号を送って、その開度を調整する(
図4(a)の矢印C)。なお、電磁弁9bを開く時間は、園地2aにおける1日当たりの潅水時間t
dと同じであり、1ヶ月に電磁弁9bを開く回数は、園地2aにおける1ヶ月当たりの潅水回数Tmと同じである。
【0054】
電磁弁9bを全開にしても、導水管5bに分岐する箇所よりも下流における導水管5aの流量が目標値に達しない場合、あるいは土壌水分計4aから土壌に含まれる水分量が十分でないことを示す検出結果が送られてきた場合(
図4(a)の矢印D)、制御部15bは電磁弁9aの開度を大きくするための開度調整信号を通信部15aに送り(
図4(a)の矢印E)、通信部15aは、この開度調整信号をメインコントローラ14の通信部14aに送る。そして、制御部14cは、通信部14aから受け取った開度調整信号に従って電磁弁9aの開度を大きくする。
【0055】
一方、導水管5bに分岐する箇所よりも下流における導水管5aの内部を流れる液肥の濃度が園地2aにおける液肥濃度Fmと一致していないことを示す検出結果がEC計11bから送られてきた場合(
図4(a)の矢印F)、制御部15bは定量ポンプ12の回転数を調整するための回転数調整信号を通信部15aに送り(
図4(a)の矢印E)、通信部15aは、この回転数調整信号をメインコントローラ14の通信部14aに送る。そして、制御部14cは、通信部14aから受け取った回転数調整信号に従って定量ポンプ12の回転数を調整する。
【0056】
メインコントローラ14の制御部14cから通信部14aを経由してサブコントローラ16に送信された稼働開始信号は、通信部16aで受信された後、制御部16bに送られる(
図4(b)の矢印A)。
制御部16bは、上記稼働開始信号に従って、
図4(b)の矢印Bで示すように流量計10cから送られてくる「導水管5bの流量(導水管5cの内部を1分間に流れる水の量)」の検出値が園地2bにおける単位時間当たりの潅水量W
Gに一致するように、電磁弁9cに制御信号を送って、その開度を調整する(
図4(b)の矢印C)。なお、電磁弁9cを開く時間は、園地2bにおける1日当たりの潅水時間t
dと同じであり、1ヶ月に電磁弁9cを開く回数は、園地2bにおける1ヶ月当たりの潅水回数Tmと同じである。
【0057】
電磁弁9cを全開にしても、導水管5bの流量が目標値に達しない場合、あるいは土壌水分計4b,4cから土壌に含まれる水分量が十分でないことを示す検出結果が送られてきた場合(
図4(b)の矢印D)、制御部16bは電磁弁9aの開度を大きくするための開度調整信号を通信部16aに送り(
図4(b)の矢印E)、通信部16aは、この開度調整信号をメインコントローラ14の通信部14aに送る。そして、制御部14cは、通信部14aから受け取った開度調整信号に従って電磁弁9aの開度を大きくする。
【0058】
一方、導水管5bの内部を流れる液肥の濃度が園地2b,2cにおける液肥濃度Fmと一致していないことを示す検出結果がEC計11cから送られてきた場合(
図4(b)の矢印F)、制御部16bは定量ポンプ12の回転数を調整するための回転数調整信号を通信部16aに送り(
図4(b)の矢印E)、通信部16aは、この回転数調整信号をメインコントローラ14の通信部14aに送る。そして、制御部14cは、通信部14aから受け取った回転数調整信号に従って定量ポンプ12の回転数を調整する。
【0059】
ステップS8において、潅水と施肥を停止させるためのコマンドを生産者等が入力装置18に入力すると、入力装置18は、潅水停止信号と施肥停止信号をメインコントローラ14の通信部14aに送信し、通信部14aは、これらの信号を制御部14cに送信する(
図2の矢印A)。
潅水停止信号と施肥停止信号を受信した制御部14cは、電磁弁9aと定量ポンプ12にそれぞれ停止信号を送って(
図2の矢印E及び矢印F)、それらの動作を停止させる。
【0060】
以上説明したように、
潅水施肥システム1においては、園地2a,2bで栽培されている果樹の品種と潅水の実施月に対応した量の水が月ごとに供給されるように電磁弁9a〜9cが開閉されることから、1年を通して園地2a,2bに対して計画的に適切な潅水を行うことができる。
また、潅水施肥システム1によれば、液肥の種類ごとに推奨される濃度の液肥が園地2a,2bに供給されるように定量ポンプ12の吐出量が調節されることから、1年を通して園地2a,2bに対して計画的に適切な施肥を行うことが可能である。
なお、潅水施肥システム1を柑橘類の栽培に用いた場合、上述の
潅水施肥システム1の作用及び効果が同様に発揮される。
【0061】
本発明の
潅水施肥システム1は、上記実施例に示した構造に限定されるものではない。例えば、営農サーバ17及び入力装置18がメインコントローラ14に対して無線通信可能に接続される代わりに、メインコントローラ14に対して営農サーバ17及び入力装置18がケーブル等を介して接続された構造であっても良い。また、メインコントローラ14とサブコントローラ15,16もケーブル等によって接続されていても良い。