【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
(1−1)非放射性標識化DNA断片を用いたNon−RIA測定系の構築
[試薬調製]
5’−Biotin標識Forwardプライマー(5’末端にBiotin標識を有する配列1:5’−GCGCCATTCGCCATTCAGG−3’のプライマー)と5’−Dinitrophenol(DNP)標識Reverseプライマー(5’末端にDNP標識を有する配列2:5’−ATTTTTGTGATGCTCGTCAGGG−3’のプライマー)を発注、pUC19から418bpをPCRで増幅させ、Biotin・DNP標識化DNAを約100μg取得した。Biotin・DNP標識化DNAを50mM Tris(pH8), 1mM EDTAで0.0001〜100000ng/mLに調製した。Goat anti−DNP Affinity Purified(BETHYL,A150−117A) をALP標識キット(Alkaline Phosphatase Labeling Kit−SH, 同仁化学、LK13) にて標識し、ALP標識抗DNP抗体を取得した。
【0031】
[標識化DNA測定]
検体の代わりに、様々な濃度のBiotin・DNP標識化DNAを含有する第1試薬(50mM HEPES(pH7.2))30μLと第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合し、更に37℃で十分に反応させた。反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、Biotin・DNP標識化DNAを検出した。
【0032】
結果を
図1に示す。
図1に示されているように、DNA 0ng/mLと0.32ng/mLでRLU差を認めたことから、Biotin・DNP標識化DNA量が0.32 ng/mL以上であれば検出可能と判断した。また、200ng/mL程度までは、DNA量に対してRLU値が良好な直線性を示した。以上の結果より、反応溶液中のBiotin・DNP標識化DNA濃度が0.32〜200 ng/mLの範囲内であれば、測定可能であることが示された。
【0033】
(1−2)B/F分離後の上清中の標識化DNAの測定
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、これを試験管に25μL加え、0.2〜3.2μg/mLのBiotin・DNP標識化DNA溶液(418bp)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。
反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0034】
得られた遠心分離後上清 10μLと第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、上清中の標識化DNAを検出した。
【0035】
図2及び表1に結果を示す。
なお、以下の表1における「評価」とは、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B
0%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B
0%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B
0%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価した場合に、「○:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「△:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」、の基準によって評価を行っている。
表1中「○」は後述する
図3中「●」に、表1中「△」は
図3中「▲」に、表1中「×」は
図3中「×」に、それぞれ対応している。
△(ないし▲)は、グラフ中で○(ないし●)と差別化するために選択された記号であり、実際には実用的な水準を満たしていることを意味している。そのため、○評価と×評価の中間的評価であること以外に、否定的な意味を有していないことを明記する。
【0036】
【表1】
【0037】
Biotin・DNP標識化DNA濃度が0.1〜0.4μg/mLの場合、0〜200IU/mLの全体において、抗DNA抗体の濃度依存的なシグナル低下が観察された。このことから、本発明によって抗DNA抗体を測定可能である旨が明らかとなった。
標識化DNA濃度が0.2μg/mL以上の場合、抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B
0%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B
0%の2倍以上となり、抗DNA抗体高濃度域においても測り分けできることが明らかとなった。
Biotin・DNP標識化DNA濃度が0.2μg/mL以下の場合、抗DNA抗体13.7IU/mLのB/B
0%が90%以下となり、抗DNA抗体濃度が低濃度域であっても、良好な感度で測り分けられることが明らかとなった。
以上総合すると、標識化DNA長418bpの場合、Biotin・DNP標識化DNA濃度が0.1〜0.4μg/mLの場合において抗DNA抗体の測定が可能であり、中でも0.2μg/mLが好適であることが明らかとなった。
【0038】
(実施例1−3)DNA断片の濃度及び鎖長の関係の検討
5’−Biotin標識Forwardプライマー(5’末端にBiotin標識を有する配列1:5’−GCGCCATTCGCCATTCAGG−3’のプライマー)と5’−Dinitrophenol(DNP)標識Reverseプライマー(5’末端にDNP標識を有する配列3:5’−GCACCTATCTCAGCGATCTGTC−3’のプライマー)を用いて、pUC19から1159bpをPCRで増幅させ、Biotin・DNP標識化DNAを約100μg取得した。Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、これを試験管に25μL加え、0.2〜0.8μg/mLのBiotin・DNP標識化DNA溶液(1159bp)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。
反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0039】
得られた遠心分離後上清 10μLと第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、上清中の標識化DNAを検出した。
【0040】
上記0.2〜0.8μg/mLのBiotin・DNP標識化DNA溶液(1159bp)を0.2〜1.2μg/mLのBiotin・DNP標識化DNA溶液(1862bp)に替え、同様の検討を行った。PCRの増幅には、pUC19をテンプレートとし、5’−Biotin標識Forwardプライマー(5’末端にBiotin標識を有する配列1:5’−GCGCCATTCGCCATTCAGG−3’のプライマー)と5’−Dinitrophenol(DNP)標識Reverseプライマー(5’末端にDNP標識を有する配列4:5’−AACTGGATCTCAACAGCGGTAAG−3’のプライマー)を用いた。
【0041】
本実施例の結果、以下の表2に示す結果が得られた。なお、以下の表2における「評価」は、表1と同様に、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B
0%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B
0%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B
0%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価した場合に、「○:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「△:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」、の基準によって評価を行っている。
【0042】
【表2】
【0043】
標識化DNA鎖長1159bpの場合、全ての標識化DNA濃度において、抗DNA抗体濃度依存的なシグナル低下が観察され、かつ、抗DNA抗体13.7IU/mLのB/B
0%が90%以下であり、良好な感度を示した。中でも、標識化DNA濃度が0.4μg/mL以上の場合、抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B
0%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B
0%の2倍以上となり、抗DNA抗体高濃度域においても良好に測り分けが可能であった。
【0044】
標識化DNA長1862bpの場合、標識化DNA濃度0.4μg/mL以下において、抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B
0%と抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B
0%が区別できず、抗DNA抗体高濃度域において濃度依存的なシグナル低下が観察できなかった。一方標識化DNA濃度0.8μg/mL以上において、抗DNA抗体濃度依存的なシグナル低下が観察され、抗DNA抗体13.7IU/mLのB/B
0%が90%以下、かつ抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B
0%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B
0%の2倍以上となり、良好な感度で測り分けすることができた。
なお、標識化DNA長1159bp・0.2μg/mLの結果及び標識化DNA長1159bp・0.4μg/mLの結果と、標識化DNA長1862bp・0.4μg/mLの結果とを比較すると、1159bpにおいてはどちらも良好な感度を示しているのに対し、1862bpでは感度が不良であることから、たとえ標識化DNAの物質量を同程度とした場合であっても、標識化DNAの鎖長が異なる場合には、感度等の面で差が生じることが明らかとなった。
【0045】
実施例1−2及び1−3の結果から、本発明に用いる標識化DNAの濃度及び鎖長の関係について、解析を行った。
各標識化DNAの濃度及び鎖長における結果を、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B
0%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B
0%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B
0%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価し、「●:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「▲:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」、の3つに分類し、当該結果を
図3の表中にプロット点の形状として表した。
この結果から、本発明にあっては、標識化DNAの濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数1]で規定される範囲である場合に、抗DNA抗体0〜200IU/mLにおいて、濃度依存的に、感度よく測定することができることが明らかとなった。
[数1]
400≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.4595≦Y≦0.0005X+0.3744
上記[数1]で規定される範囲を、
図3の表中に色つきで示した。
【0046】
(1−4)本発明法とFarr−RIA法との相関試験
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、またSLE患者血清(Farr−RIA法、FEIA法にて値付け済み)を25μL加え、Biotin・DNP標識化DNA溶液(418bpは0.2μg/mL、1159bpは0.8μg/mL、1862bpは1.2μg/mL)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0047】
得られた遠心分離後上清 10μLと第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。
反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、標識化DNAを検出した。
標識化DNA量より算出した本発明の抗DNA抗体量と、Farr−RIA法によって測定した抗DNA抗体量を統計処理によって比較することによって、本発明とFarr−RIA法との相関を算出した。算出方法の一例として1159bpの結果を
図4に、各標識化DNA長における相関係数の結果をまとめて表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
SLE患者血清による測定の結果、表3の通り、本発明の測定系は、いずれの標識化DNA長であっても、0.93以上という高い相関を示した。特に、標識化DNA長が1159bpのとき、相関係数0.9758と最も良好な相関性であった。また、上記418bp及び1159bpの結果から、本発明において相関係数が0.95以上となるには、用いる標識化DNA長として、672bp以上が必要であることが分かった。
換言すると、本実施例の結果から、標識化DNAが標識化DNAの濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、前記[数1]の関係式を満たす場合には、本発明の前記評価は△以上となり、かつ、本発明とFarr−RIA法との相関係数が0.93以上となり、さらに、下記 [数2] の関係式を満たす場合には、本発明の前記評価は○以上となり、かつ、相関係数が0.95以上となることが明らかとなった。
[数2]
700≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.3595≦Y≦0.0005X+0.3744
なお、上記 [数2] の関係式を満たす範囲について、
図5に示す。
【0050】
(参考例1)既存Non−RIA法とFarr−RIA法との相関試験
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、FEIA法の測定原理に基づく市販キット(エリアdsDNA、ファディア社)を用いて抗DNA抗体濃度を測定した。両者の測定値を統計処理によって比較し、FEIA法とFarr−RIA法との相関を算出した。その結果を
図6に示す。
【0051】
図6に示すように、FEIA法とFarr−RIA法との相関係数は0.67であり、良好な相関性を示しているとは言えなかった。
【0052】
(実施例2)標識の種類による反応性の比較
実施例1−3に記載の方法により、1159bpのBiotin・DIG標識化DNA断片をPCRで増幅させた。また、5’−Biotin標識Forwardプライマー(5’末端にBiotin標識を有する配列5:5’−CTCACTGATTAAGCATTGGTAACTGTC−3’のプライマー)と5’−Digoxigenin(DIG)標識Reverseプライマー(5’末端にDIG標識を有する配列6:5’−CTGATGCGGTATTTTCTCCTTACG−3’のプライマー)を用いてpUC19から1274bpのBiotin・DIG標識化DNA断片をPCRで増幅させた。
【0053】
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、これを試験管に25μL加え、0.2〜0.8μg/mLのBiotin・DIG標識化DNA溶液(1159bpおよび1274bpの等物質量混合物)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。
反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0054】
得られた遠心分離後上清 10μLと第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DIG抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、上清中の標識化DNAを検出した。
【0055】
本実施例の結果、0.4μg/mLのBiotin・DIG標識化DNAにおいて、0.8μg/mLのBiotin・DNP標識化DNAと同等の反応性を示した(
図7)。
このことから、本発明は、用いる標識の種類に依存せず測定可能であることが明らかとなった。
【0056】
(参考例2)B/F分離後、上清ではなく、沈殿中の標識化DNAを測定したときの相関試験
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、またSLE患者血清(Farr−RIA法、FEIA法にて値付け済み)を25μL加え、Biotin・DNP標識化DNA溶液(1159bpおよび1274bp、0.8μg/mL)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0057】
得られた遠心分離後沈殿を第1試薬(50mM HEPES(pH7.2))で再溶解し、溶解液10μL、第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。
【0058】
その結果を
図8に示す。
図8に示されているように、遠心分離後の沈殿を測定したときのFarr−RIA法との相関係数は0.89であり、相関的には満足いく結果ではなかった。
(実施例3)
(3−1)HiBiT標識化DNA断片を用いたNon−RIA測定系の構築
[試薬調製]
アルキンを導入したDNA断片(pUC19由来、実施例1−3及び実施例2と同様の配列をもつプライマーのアルキン標識体を用いてPCRで1159bpおよび1274bpのDNA断片を作製)と末端アジド標識したHiBiTタグをクリック反応により結合、HiBiT標識化DNA断片を作製した。
【0059】
[標識化DNA測定]
96well half area white plate(Conring)に種々の濃度のHiBiT標識化DNA(1159bpおよび1274bpの等物質量混合物)を25μL分注した。Nano Glo HiBiT Lytic Detection System(Promega)のマニュアルに従って調製した検出試薬を25μL加え、600rpmで3分間攪拌した後、10分間遮光静置した。ルミノメーター(GloMax)で発光強度を検出した。
【0060】
結果を
図9に示す。
図9に示されているように、DNA 0 ng/mLと1 ng/mLでRLU差を認めたことから、HiBiT標識化DNA量が1 ng/mL以上であれば検出可能と判断した。また、1000ng/mL程度までは、DNA量に対してRLU値が良好な直線性を示した。
以上の結果より、反応溶液中のHiBiT標識化DNA濃度が1〜1000 ng/mLの範囲内であれば、測定可能であることが示された。
【0061】
(3−2)B/F分離後の上清中のHiBiT標識化DNAの測定
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、これを試験管に25μL加え、0.2〜0.8μg/mLのHiBiT標識化DNA溶液を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。
反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0062】
得られた遠心分離後上清 25μLとNano Glo HiBiT Lytic Detection System(Promega)のマニュアルに従って調製した検出試薬を25μL加え、600rpmで3分間攪拌した後、10分間遮光静置した。 ルミノメーター(GloMax)で発光強度を検出した。
【0063】
図10及び表4に結果を示す。なお、表4における「評価」は、表1,2と同様に、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B
0%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B
0%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B
0%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価した場合に、「○:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「△:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」、の基準によって評価を行っている。
【0064】
【表4】
【0065】
HiBiT標識化DNA濃度0.2〜0.8μg/mLの範囲において、抗DNA抗体の濃度依存的なシグナル低下が観察された。このことから、HiBiT標識化DNAによっても抗DNA抗体を測定可能である旨が明らかとなった。
中でも標識化DNA濃度が0.4及び0.8μg/mLの場合、抗DNA抗体13.7IU/mLのB/B
0%が90%以下となり、抗DNA抗体低度域においての測り分けが良好であり、かつ、抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B
0%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B
0%の2倍以上となり、抗DNA抗体高度域においても良好な感度で測り分けすることができることが明らかとなった。
【0066】
(3−3)HiBiT標識化DNAによる本発明法とFarr−RIA法との相関試験
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、またSLE患者血清(Farr−RIA法、FEIA法にて値付け済み)を25μL加え、HiBiT標識化DNA溶液(0.8μg/mL)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0067】
得られた遠心分離後上清 25μLとNano Glo HiBiT Lytic Detection System(Promega)のマニュアルに従って調製した検出試薬を25μL加え、600rpmで3分間攪拌した後、10分間遮光静置した。 ルミノメーター(GloMax)で発光強度を検出した。
標識化DNA量より算出した本発明の抗DNA抗体量と、Farr−RIA法によって測定した抗DNA抗体量を統計処理によって比較することによって、本発明とFarr−RIA法との相関を算出した。結果を
図11に示す。
【0068】
相関試験の結果、HiBiT標識化DNAを用いても、本発明に規定するDNA断片の濃度と鎖長の関係式を満たしている場合には、0.98という高い相関を示すことが明らかとなった。