特許第6757041号(P6757041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマサ醤油株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000006
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000007
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000008
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000009
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000010
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000011
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000012
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000013
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000014
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000015
  • 特許6757041-抗DNA抗体の測定法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757041
(24)【登録日】2020年9月1日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】抗DNA抗体の測定法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20200907BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20200907BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20200907BHJP
【FI】
   G01N33/53 NZNA
   G01N33/536 D
   G01N33/536 E
   C12Q1/68
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-6475(P2019-6475)
(22)【出願日】2019年1月18日
(65)【公開番号】特開2020-76725(P2020-76725A)
(43)【公開日】2020年5月21日
【審査請求日】2019年7月24日
(31)【優先権主張番号】特願2018-206294(P2018-206294)
(32)【優先日】2018年11月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006770
【氏名又は名称】ヤマサ醤油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】保科 元気
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−071709(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第108254571(CN,A)
【文献】 特開平9−033529(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0349255(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/119582(WO,A1)
【文献】 ALI, R. et al.,BINDING OF MONOCLONAL ANTI-NATIVE DNA AUTOANTIBODIES TO DNA OF VARYING SIZE AND CONFORMATION,Molecular Immunology,1985年12月,Vol.22, No.12,pp.1415-1422
【文献】 SANFORD, D. G. et al.,[21] Assay of Anti-DNA Antibodies,Methods in Enzymology,1992年,Vol.212,pp.355-371
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 − 33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、標識化DNA断片量を測定することによる抗DNA抗体の測定法であって、
(a)非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、
(b)反応後、反応液に沈殿剤を添加し、液相と沈殿相を分離し(B/F分離)、
(c)B/F分離後、液相中の標識化DNA断片量を測定し、
(d)DNA断片量の測定結果から抗DNA抗体量を算出する、
工程を含み、かつ
(e)使用するDNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数1]で表される範囲内のものを使用し、
[数1]
400≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.4595≦Y≦0.0005X+0.3744
(f)得られた測定結果と、同一検体を公知のFarr−RIA法で測定した結果を比較した際、両測定結果の相関係数が0.93以上を示す、
ことを特徴とする、抗DNA抗体の測定法。
【請求項2】
非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、標識化DNA断片量を測定することによる抗DNA抗体の測定法であって、
(a)非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、
(b)反応後、反応液に沈殿剤を添加し、液相と沈殿相を分離し(B/F分離)、
(c)B/F分離後、液相中の標識化DNA断片量を測定し、
(d)DNA断片量の測定結果から抗DNA抗体量を算出する、
工程を含み、かつ
(e’)使用するDNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数2]で表される範囲内のものを使用し、
[数2]
700≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.3595≦Y≦0.0005X+0.3744
(f’)得られた測定結果と、同一検体を公知のFarr−RIA法で測定した結果を比較した際、両測定結果の相関係数が0.95以上を示す、
ことを特徴とする、抗DNA抗体の測定法。
【請求項3】
DNA断片の標識に用いる非放射性化合物が、ビオチン(Biotin)、2,4−ジニトロフェノール(2,4-Dinitrophenol:DNP)、ジゴキシゲニン(Digoxigenin:DIG)、フルオロセイン(Fluorescein)、HiBiTタグ、およびそれらの誘導体より選ばれる、請求項1又は2に記載の測定方法。
【請求項4】
使用する沈殿剤が、硫酸アンモニウムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の測定法。
【請求項5】
(g)DNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数1]で表される範囲内である、非放射性化合物で標識化されたDNA断片、
[数1]
400≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.4595≦Y≦0.0005X+0.3744
(h)液相と沈殿相を分離(B/F分離)するための沈殿剤、及び
(i)B/F分離後、液相中の標識化DNA断片量を測定するための試薬
からなり、請求項1から4のいずれかに記載の測定法によって検体中の抗DNA抗体量を測定するための試薬キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、標識化DNA断片量を測定することで抗DNA抗体の測定法であって、(a)非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、(b)反応後、反応液に沈殿剤を添加し、液相と沈殿相を分離し(B/F分離)、(c)B/F分離後、液相中の標識化DNA断片量を測定し、(d)DNA断片量の測定結果から抗DNA抗体量を算出する、工程を含み、かつ(e)使用するDNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数1]で表される範囲内のものを使用し、
[数1]
400≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.4595≦Y≦0.0005X+0.3744
(f)得られた測定結果と、同一検体を公知のFarr−RIA法で測定した結果を比較した際、両測定結果の相関係数が0.93以上を示す、ことを特徴とする、抗DNA抗体の測定法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自己免疫疾患の一つである全身性エリテマトーデス(SLE)の患者血清中にはDNAと結合する自己抗体である抗DNA抗体が存在し、この自己抗体がSLEの患者に多発する糸球体腎炎の主な原因物質ではないかと考えられている。したがって、抗DNA抗体の測定は、SLEの診断および活動性評価のための重要な指標とされている。
従来、抗DNA抗体を測定する代表的な方法としては、DNA断片を125Iで標識して標識化DNAを調製し、この標識化DNAを抗原として用い、検体中の抗DNA抗体との間で抗原抗体反応させ、反応後、抗原抗体複合体と結合していない標識化DNAとを硫安沈殿法により分離し(B/F分離)、沈殿中に含まれる放射能を測定することにより検体中の抗DNA抗体量を測定するFarr−RIA法(特許文献1)が知られている。
また、RIA法以外にも、Non−RIA法も数々知られており、担体にDNAを固定化した固相化DNAを用いたELISA法・FEIA法(特許文献2、特許文献3、特許文献4、非特許文献1)、CLIA法・CLEIA法(非特許文献2)などが報告されている。
上記Farr−RIA法は、高親和性の抗DNA抗体を検出するが抗体クラスの区別ができない。一方で上記Non−RIA法は低親和性と高親和性の抗DNA抗体をどちらも検出するが、抗体クラスの区別ができるといった違いがある。このことからFarr−RIA法とNon−RIA法は相関が低いことが知られており、求める用途(診断・病勢把握)や患者によって使い分けがなされている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2649100号公報
【特許文献2】特開平9−33529号公報
【特許文献3】特公平4−40662号公報
【特許文献4】特開昭60−253869号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ann Rheum Dis, 61:1099-1102(2002)
【非特許文献2】Clinica Chimica Acta 424: 141-147 (2013)
【非特許文献3】Arthritis Rheum. 26(1):52-62. (1983)
【非特許文献4】日本内科学会雑誌 第94巻 第10号・平成17年10月10日
【非特許文献5】薬食発0120第1号 体外診断用医薬品の承認基準について 別添1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
数々の測定法の中でも、臨床的には、Farr−RIA法がSLEの疾患活動性をより正確に反映していると認識されており(非特許文献1、非特許文献3)、Farr−RIA法の測定値を追跡することによって、SLE患者への治療の有効性を判断し、治療方針等を決定するために利用されている。
しかしながら、Farr−RIA法は、専用の測定機器が必要となり、放射性同位体の厳重な管理が要求され、コスト高となるなどの多くの課題を有している。
一方、Non−RIA法は、Farr−RIA法の問題を克服できるものの、Farr−RIA法と良好な相関性を示さず、SLEの病態を正確に把握できないなどの問題が指摘されていた。
一般に、SLEの診断に限らず、体外診断用医薬品等の分野においては、既存の測定法から新規測定法への置換を検討する際に、既存の測定法と新規測定法が相関を有するというためには、規定の統計処理を行った場合に両者間の相関係数が0.90以上であるという非常に高い相関性が申請上要求され(非特許文献5)、実務上では相関係数0.93以上という非常に高い相関係数がないとユーザーの要望を満足させることはできない。
したがって、本発明は、Non−RIA法でありながら、Farr−RIA法と良好な相関を示す測定法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、Non−RIA法でありながら、検体中の抗DNA抗体をFarr−RIA法との相関良く測定するための測定法を開発すべく、相関を高めるためのポイントに関し、様々な観点から検討した結果、(1)抗原として用いるDNA断片は、DNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたときに前記[数1]式で表されるものを用いることが必須であり、(2)抗原抗体反応後、液相と沈殿相を分離するB/F分離工程が必須であり、(3)非放射性化合物で標識化されたDNA断片を用いた場合には、B/F分離後、沈殿相ではなく液相中の標識化DNA断片量を測定することで、相関が良くなることを見出した。
このような知見を更にブラッシュアップすることで、Farr−RIA法と同等の抗DNA抗体濃度の範囲において測定が可能であり、かつ、Farr−RIA法と良好な相関性を示す結果が得られることを確認した。本発明はかかる新規の知見に基づき完成されたものであって、以下の発明を提供するものである。
【0007】
[1]
非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、標識化DNA断片量を測定することによる抗DNA抗体の測定法であって、
(a)非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、
(b)反応後、反応液に沈殿剤を添加し、液相と沈殿相を分離し(B/F分離)、
(c)B/F分離後、液相中の標識化DNA断片量を測定し、
(d)DNA断片量の測定結果から抗DNA抗体量を算出する、
工程を含み、かつ
(e)使用するDNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数1]で表される範囲内のものを使用し、
[数1]
400≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.4595≦Y≦0.0005X+0.3744
(f)得られた測定結果と、同一検体を公知のFarr−RIA法で測定した結果を比較した際、両測定結果の相関係数が0.93以上を示す、
ことを特徴とする、抗DNA抗体の測定法。
[2]
非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、標識化DNA断片量を測定することによる抗DNA抗体の測定法であって、
(a)非放射性化合物で標識化されたDNA断片と検体とを反応させ、
(b)反応後、反応液に沈殿剤を添加し、液相と沈殿相を分離し(B/F分離)、
(c)B/F分離後、液相中の標識化DNA断片量を測定し、
(d)DNA断片量の測定結果から抗DNA抗体量を算出する、
工程を含み、かつ
(e’)使用するDNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数2]で表される範囲内のものを使用し、
[数2]
700≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.3595≦Y≦0.0005X+0.3744
(f’)得られた測定結果と、同一検体を公知のFarr−RIA法で測定した結果を比較した際、両測定結果の相関係数が0.95以上を示す、
ことを特徴とする、抗DNA抗体の測定法。
[3]
DNA断片の標識に用いる非放射性化合物が、ビオチン(Biotin)、2,4−ジニトロフェノール(2,4-Dinitrophenol:DNP)、ジゴキシゲニン(Digoxigenin:DIG)、フルオロセイン(Fluorescein)、HiBiTタグ、およびそれらの誘導体より選ばれる、[1]又は[2]に記載の測定方法。
[4]
使用する沈殿剤が、硫酸アンモニウムである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の測定法。
[5]
(g)DNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数1]で表される範囲内である、非放射性化合物で標識化されたDNA断片、
[数1]
400≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.4595≦Y≦0.0005X+0.3744
(h)液相と沈殿相を分離(B/F分離)するための沈殿剤、及び
(i)B/F分離後、液相中の標識化DNA断片量を測定するための試薬
からなり、[1]から[4]のいずれかに記載の測定法によって検体中の抗DNA抗体量を測定するための試薬キット。
【発明の効果】
【0008】
本発明の測定法は、(1)抗原として非放射性化合物で標識化された、DNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたときに前記[数1]式で表されるDNA断片を用い、(2)抗原抗体反応後、液相と沈殿相を分離するB/F分離を行い、(3)B/F分離後、沈殿相ではなく液相中の標識化DNA断片量を測定する、という3つの要素を同時に実行するものである。上記要素を同時に実行することにより、Non−RIA法では初めてFarr−RIA法と相関が高い測定値を得ることができる様になった。
このため、本発明は従来のNon−RIA法とはその性能的に一線を画し、Farr−RIA法から置き換えることが可能な臨床診断においてSLEの疾患活動性をより正確に反映している抗DNA抗体のNon−RIA的測定方法を提供することができる。
さらに、(1)抗原として非放射性化合物で標識化された、DNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたときに前記[数2]式で表されるDNA断片を用い、(2)抗原抗体反応後、液相と沈殿相を分離するB/F分離を行い、(3)B/F分離後、沈殿相ではなく液相中の標識化DNA断片量を測定する、という3つの要素を同時に実行することにより、検体中の抗DNA抗体濃度が低濃度であっても感度良く検出でき、抗DNA抗体濃度が高濃度であっても感度良く測り分けることができ、Farr−RIA法とより良い相関性を示す、抗DNA抗体のNon−RIA的測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、免疫学的測定法によるBiotin・DNP標識化DNAの測定感度を示した図である。グラフの横軸は標識化DNA濃度(ng/mL)を、縦軸はRLUを表している。
図2図2は、B/F分離上清中標識化DNA(418bp)測定による抗DNA抗体の測定において、検体と反応させる標識化DNA濃度の影響をB/B%で示した図である。検討に供する標識化DNAの濃度として、0.1μg/mL、0.2μg/mL、0.4μg/mL、0.8μg/mL、1.6μg/mL、3.2μg/mLを用いた。グラフの横軸が抗DNA抗体濃度(IU/mL)、縦軸がシグナル測定値(B/B%)を表している。
図3図3は、本発明の測定系において好適な標識化DNA濃度及び鎖長の範囲を表した図である。グラフ中、横軸がDNA鎖長(bp)を、縦軸がDNA濃度(μg/mL)を表している。グラフ中にプロットされた点は、各点における測定系が、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価した場合に、「●:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「▲:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」のいずれであるかを表している。グラフ中色つきの部分が、評価として▲以上、かつ相関係数0.93以上を示す、すなわち本発明の測定系において好適な標識化DNA濃度及び鎖長の範囲であることを表している。
図4図4は、SLE患者血清のFarr−RIA法とB/F分離上清中標識化DNA測定法(本発明)の相関図である。横軸に市販Farr−RIA法測定キットで測定した場合のサンプルの測定値を、縦軸に本発明(標識化DNA長1159bp、濃度0.8μg/mL)の測定値をプロットし、両者の相関係数を算出している。
図5図5は、本発明の測定系において特に好適な標識化DNA濃度及び鎖長の範囲を表した図である。グラフ中、横軸がDNA鎖長(bp)を、縦軸がDNA濃度(μg/mL)を表している。グラフ中にプロットされた点は、各点における測定系が、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価した場合に、「●:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「▲:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」のいずれであるかを表している。グラフ中色つきの部分が、評価として●以上、かつ、相関係数0.95以上を示す、すなわち本発明の測定系において特に好適な標識化DNA濃度及び鎖長の範囲であることを表している。
図6図6は、SLE患者血清のFarr−RIA法とFEIA法との相関図である。横軸に市販Farr−RIA法測定キットで測定した場合のサンプルの測定値を、縦軸に市販FEIA法測定キットで測定した場合のサンプルの測定値をプロットし、両者の相関係数を算出している。
図7図7は、B/F分離上清中標識化DNA測定による抗DNA抗体の測定において、Biotin・DNP標識化DNAとBiotin・DIG標識化DNAを用いた際の反応性について、B/B%で示した図である。グラフの横軸が抗DNA抗体濃度(IU/mL)を、縦軸がシグナル測定値(B/B%)を表している。
図8図8は、SLE患者血清のFarr−RIA法とB/F分離沈殿中標識化DNA測定法(参考例2)の相関図である。横軸に市販Farr−RIA法測定キットで測定した場合のサンプルの測定値を、縦軸にB/F分離沈殿中標識化DNA測定法(標識化DNA鎖長1159bpおよび1274bp、濃度0.8μg/mL)をプロットし、両者の相関係数を算出している。
図9図9は、HiBiTシステムによるHiBiT標識化DNAの測定感度を示した図である。グラフの横軸は標識化DNA濃度(ng/mL)を、縦軸はRLUを表している。
図10図10は、B/F分離上清中HiBiT標識化DNA測定による抗DNA抗体の測定において、検体と反応させる標識化DNA濃度の影響をB/B%で示した図である。検討に供する標識化DNAの濃度として、0.2μg/mL、0.4μg/mL、0.8μg/mLを用いた。グラフの横軸が抗DNA抗体濃度(IU/mL)、縦軸がシグナル測定値(B/B%)を表している。
図11図11は、SLE患者血清のFarr−RIA法とB/F分離上清中HiBiT標識化DNA測定法の相関図である。横軸に市販Farr−RIA法測定キットで測定した場合のサンプルの測定値を、縦軸に本発明(HiBiT標識化DNA長1159bp、濃度0.8μg/mL)の測定値をプロットし、両者の相関係数を算出している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様は、抗DNA抗体のNon−RIA的測定方法である。
【0011】
本発明で測定対象とする検体は、ヒトの血清、血漿である。特に、SLEなどの自己免疫疾患患者の検体が測定の対象である。
【0012】
本発明で用いる非放射性化合物で標識化されたDNA断片とは、非放射性の標識(化合物)が付加されたDNA断片のことを指す。
本発明で用いるDNA断片は二本鎖である。
また、1種類の長さのDNA断片のみを用いても良く、長さの異なる2種類以上のDNA断片の混合物を使用してもかまわない。
このようなDNA断片は、PCR法やプラスミドからの制限酵素処理等、公知の方法に従って目的の長さのDNA断片を調製することができる。また、DNA断片の配列に制限はない。
【0013】
本発明に用いる非放射性の標識化合物の種類は、用いる測定法の測定原理によって適宜選択可能である。また、標識種別数としては、一重標識ないし二重標識されていることが好ましい。ここで、一重標識とは一種の非放射性標識化合物によって標識された状態を、二重標識とは二種の非放射性標識化合物によって標識された状態を指す。
標識数は、1つのDNA断片に一箇所以上導入されていればよく、複数箇所導入されていてもよい。
二重標識DNAを用いる場合には、各DNA末端につき一種の標識がされていることが好ましい。さらに、同種の標識によって、両端が標識されていてもよい。
【0014】
本発明に用いる標識としては、ビオチン(Biotin)、2,4−ジニトロフェノール(2,4-Dinitrophenol:DNP)、ジゴキシゲニン(Digoxigenin:DIG)、フルオロセイン(Fluorescein)、5−ブロモデオキシウリジン(Bromodeoxyuridine)などの低分子化合物、His−tag、FLAG−tag、HA−tag、Myc−tag、HiBiTタグなどのペプチドタグ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼなどの酵素、およびそれらの誘導体の中から選択することができる。
上記化合物の中でも、B/F分離工程にて沈殿しにくいという点から、ビオチン(Biotin)、2,4−ジニトロフェノール(2,4-Dinitrophenol:DNP)、ジゴキシゲニン(Digoxigenin:DIG)、フルオロセイン(Fluorescein)、HiBiTタグ、およびそれらの誘導体が好ましい。
当該標識を用いてDNAを標識する方法としては、それぞれの標識化合物で通常使用されている常法によって調製することができる。たとえば、実施例において例示されているビオチン・DNPによる二重標識化DNAを例に挙げると、5’−ビオチン標識Fプライマーと5’−DNP標識Rプライマーを用いてDNA断片をPCRで増幅し、取得する方法を例示できる。ただし、調製方法は上記方法に制限されない。
【0015】
標識化DNAと検体との反応は、通常の抗原抗体反応を行い得る公知の条件を用いればよい。測定対象検体と接触させる標識化DNAの濃度は、用いるDNA断片長に応じて適宜選択可能である。
【0016】
より具体的に標識化DNA断片の鎖長と濃度の関係を説明すれば、本発明に用いる標識化DNAは、量及び鎖長が特定の範囲内であることが好ましい。特定の範囲内とは、標識化DNAの濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数1]で規定される範囲である。
[数1]
400≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.4595≦Y≦0.0005X+0.3744
なお、長さの異なる2種類以上のDNA断片の混合物を使用した場合、上記の鎖長とは、平均鎖長のことを指す。また、長さの異なる2種以上のDNA断片の混合物を使用する場合でも、それぞれのDNA断片の長さは上記の範囲内であることが好ましい。
【0017】
標識化DNA断片の濃度及び鎖長が上記範囲であることによって、抗DNA抗体濃度が低濃度である場合であっても感度良く検出することができ、抗DNA抗体濃度が高濃度である場合であっても、感度良く測り分けることができる。そして、上記標識化DNAを用いた場合の本発明は、既存のFarr−RIA法と高い相関性、具体的には相関係数0.93以上を示す。
【0018】
標識化DNA断片の濃度及び鎖長は、より好ましくは、以下の[数2]で規定される範囲である。
[数2]
700≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.3595≦Y≦0.0005X+0.3744
用いる標識化DNA断片の濃度及び鎖長が上記範囲内であることにより、本発明は検体中の抗DNA抗体濃度が低濃度であっても感度良く検出でき、抗DNA抗体濃度が高濃度であっても感度良く測り分けることができ、さらに、既存のFarr−RIA法とより高い相関性、具体的には相関係数0.95以上を示す。
【0019】
上記[数1]ないし[数2]に規定する範囲内であれば良好な感度で測定できることについては、明確な理由づけは不明であるが、測定系中の標識化DNAの物質量が重要であることが推測される。しかし、後述の実施例の結果からも分かる通り、たとえ同程度の物質量であっても、鎖長によって測定系の感度等が変動する。これは、標識化DNA長が長くなるにつれて、1つの断片に2つの抗体が結合するなど、測定系中での振る舞いに変化が生じるためであると推測される。
上記のような理由から、本発明に用いる好適な標識化DNA条件については、測定系中の最終モル濃度等で規定できず、前記[数1]のような複雑な形式でしか記述できない。
なお、長さの異なる2種類以上のDNA断片の混合物を使用した場合、上記の鎖長とは、平均鎖長のことを指す。
【0020】
反応後に添加する沈殿剤としては、硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリアミノ酸、トリクロロ酢酸、アセトン、エタノールなどが挙げられる。上記沈殿剤の中でも硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコールが好ましく、硫酸アンモニウムが特に好ましい。沈殿剤の添加量は、選択する沈殿剤に応じて適宜設定可能である。例えば沈殿剤として硫酸アンモニウムを選択した場合、硫安沈殿の方法は自体公知であり、反応溶液中の濃度が40〜60%飽和、特に45〜55%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加するのが好ましい。40%飽和以上であれば沈殿が生じ、60%以下であればFarr−RIA法と良好な相関性を有する。
B/F分離は、静置、デカンテーション、ろ過、遠心分離等の公知の方法によって行うことができる。たとえば遠心分離であれば、1800×g、4℃、30分の条件で実施することができるが、当該条件は適宜設定可能である。
【0021】
次に、B/F分離後の液相(上清)中の標識化DNA断片量を測定する。当該上清は、そのまま測定に供してもよく、必要に応じて適宜希釈、濃縮、pH調整等の操作を行ってもよい。後述の実施例から明らかなように、B/F分離後の液相(上清)中の標識化DNA断片量を測定することによって、本発明の求める相関係数0.93以上を達成することができ、一方で、B/F分離後の沈殿中では相関係数0.93以上を達成することができない。
【0022】
標識化DNA断片量を測定する方法としては、標識化合物に対応した自体公知の方法であればよく、特に限定されない。特に、操作性が簡便で、低コストな方法として、分子間の特異的親和性を利用した手法が好適であり、具体的にはEIA、ELISA、CLEIA、FEIA、CLIA、ECLIA、FIA、ラテックス凝集法、免疫比濁法、免疫比ろう法、表面プラズモン共鳴法、HiBiTシステムなどが例示される。
上記測定法の中でも、標識剤に対応した検出システム、具体的にはビオチン-ストレプトアビジン系、DNP−抗DNP抗体系、DIG−抗DIG抗体系、などを利用したEIA、ELISA、CLEIA、FEIA、CLIA、ECLIA、FIAや、高親和性ペプチド(HiBiTペプチドタグ:アミノ酸配列VSGWRLFKKIS)と相補的ルシフェラーゼによるホモジニアス発光測定系であるHiBiTシステムが好ましいものとして例示されるが、これらに限定されない。
【0023】
測定した液相中の標識化DNA断片量から検体中の抗DNA抗体量を算出する。すなわち、任意の濃度の抗DNA抗体と標識化DNA断片を反応させ、B/F分離により抗DNA抗体と結合しなかった標識化DNA断片の量を測定することで、抗DNA抗体濃度と反比例したシグナルが得られることを利用して検量線を描き、この検量線を用いて抗DNA抗体濃度を算出することができる。
また、測定した液相中の標識化DNA断片量から検体中の抗DNA抗体量を算出する本発明の副次的な利点として、既存のFarr−RIA法よりも高濃度、たとえば200IU/mL以上の抗DNA抗体高濃度条件下において、感度よく測定可能となることが挙げられる。これは、既存Farr−RIA法の放射性標識化DNAのシグナル増加を測定し抗DNA抗体量を算出する方法では、抗DNA抗体高濃度条件下ではシグナルがプラトーに達し感度よく測り分けできなくなるのに対し、本発明においては、シグナルの低下より抗DNA抗体量を算出するため、Farr−RIA法よりも抗DNA抗体高濃度条件下で測り分けが容易であることに起因する。
【0024】
同一検体に対する既存Farr−RIA法の測定結果をX軸、本発明の測定結果をY軸に取り、測定値(X,Y)をプロットし、統計処理を行うことで、相関係数を求めることができる。本発明の相関係数は、0.93以上であることが求められる。
【0025】
本発明の一態様は、抗DNA抗体量を測定するための試薬キットである。
【0026】
本発明の試薬キットは、
(g)非放射性化合物で標識化された、DNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数1]で表される範囲内のDNA断片、
[数1]
400≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.4595≦Y≦0.0005X+0.3744
(h)液相と沈殿相を分離(B/F分離)するための沈殿剤、及び
(i)B/F分離後、液相中の標識化DNA断片量を測定するための試薬
からなり、上述した本発明の測定法によって検体中の抗DNA抗体量を測定するための試薬キットである。
このようなキットの中で、標識化DNA断片量を測定するための試薬としては、使用した標識の検出に常用されている試薬を用いることができ、その中から最良の組み合わせを適宜選択すればよい。一例として、標準液、標識化DNA液、B/F分離剤、希釈液、ALP標識DNP抗体液、ストレプトアビジン磁性粒子液、発光試薬、洗浄液のようなキット構成が考えられる。
【0027】
本発明のNon−RIA的抗DNA抗体の測定方法は、(1)抗原として非放射性化合物で標識化された、DNA断片の濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたときに前記[数1]式で表されるDNA断片を用い、(2)抗原抗体反応後、液相と沈殿相を分離するB/F分離を行い、(3)B/F分離後、沈殿相ではなく液相中の標識化DNA断片量を測定すること、を最大の特徴としている。この3つの要素を同時に実行することにより、後述する実施例で実証されているように、検体中の抗DNA抗体濃度を既存のFarr−RIA法と高い相関性、すなわち相関係数0.93以上で、好ましくは0.95以上、さらに好ましくは相関係数0.97以上で測定することができる。この高い相関が得られるため、本発明を用いて、既存のFarr−RIA法に基づくSLEの診断法の代わりに被験者がSLEであるかを診断すること、また疾患活動性評価を行うことができる。
【0028】
なお、本発明において採用されうるEIA、ELISA、CLEIA、FEIA、CLIA、ECLIA、FIAなどの分子間の特異的親和性を利用した測定法などの詳細については、たとえば下記の文献を参照すればよい。
(b)石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)((株)医学書院、1982年12月15日発行)
(c)臨床病理 臨時増刊 特集第53号「臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」(臨床病理刊行会、1983年発行)
(d)「バイオテクノロジー事典」((株)シーエムシー、1986年10月9日発行)
(e)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.70」(Immunochemical techniques (Part A))
(f)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.73」(Immunochemical techniques (Part B))
(g)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.74」(Immunochemical techniques (Part C))
(h)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.84」(Immunochemical techniques (Part D:Selected Immunoassay))
(i)「Methods in ENZYMOLOGY Vol.92」(Immunochemical techniques (Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))
[(e)〜(i)はアカデミックプレス社発行]
(j)生物化学的測定研究会(小林典裕ら)編「免疫測定法」((株)講談社、2014年12月20日発行)
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
(1−1)非放射性標識化DNA断片を用いたNon−RIA測定系の構築
[試薬調製]
5’−Biotin標識Forwardプライマー(5’末端にBiotin標識を有する配列1:5’−GCGCCATTCGCCATTCAGG−3’のプライマー)と5’−Dinitrophenol(DNP)標識Reverseプライマー(5’末端にDNP標識を有する配列2:5’−ATTTTTGTGATGCTCGTCAGGG−3’のプライマー)を発注、pUC19から418bpをPCRで増幅させ、Biotin・DNP標識化DNAを約100μg取得した。Biotin・DNP標識化DNAを50mM Tris(pH8), 1mM EDTAで0.0001〜100000ng/mLに調製した。Goat anti−DNP Affinity Purified(BETHYL,A150−117A) をALP標識キット(Alkaline Phosphatase Labeling Kit−SH, 同仁化学、LK13) にて標識し、ALP標識抗DNP抗体を取得した。
【0031】
[標識化DNA測定]
検体の代わりに、様々な濃度のBiotin・DNP標識化DNAを含有する第1試薬(50mM HEPES(pH7.2))30μLと第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合し、更に37℃で十分に反応させた。反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、Biotin・DNP標識化DNAを検出した。
【0032】
結果を図1に示す。図1に示されているように、DNA 0ng/mLと0.32ng/mLでRLU差を認めたことから、Biotin・DNP標識化DNA量が0.32 ng/mL以上であれば検出可能と判断した。また、200ng/mL程度までは、DNA量に対してRLU値が良好な直線性を示した。以上の結果より、反応溶液中のBiotin・DNP標識化DNA濃度が0.32〜200 ng/mLの範囲内であれば、測定可能であることが示された。
【0033】
(1−2)B/F分離後の上清中の標識化DNAの測定
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、これを試験管に25μL加え、0.2〜3.2μg/mLのBiotin・DNP標識化DNA溶液(418bp)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。
反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0034】
得られた遠心分離後上清 10μLと第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、上清中の標識化DNAを検出した。
【0035】
図2及び表1に結果を示す。
なお、以下の表1における「評価」とは、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価した場合に、「○:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「△:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」、の基準によって評価を行っている。
表1中「○」は後述する図3中「●」に、表1中「△」は図3中「▲」に、表1中「×」は図3中「×」に、それぞれ対応している。
△(ないし▲)は、グラフ中で○(ないし●)と差別化するために選択された記号であり、実際には実用的な水準を満たしていることを意味している。そのため、○評価と×評価の中間的評価であること以外に、否定的な意味を有していないことを明記する。
【0036】
【表1】
【0037】
Biotin・DNP標識化DNA濃度が0.1〜0.4μg/mLの場合、0〜200IU/mLの全体において、抗DNA抗体の濃度依存的なシグナル低下が観察された。このことから、本発明によって抗DNA抗体を測定可能である旨が明らかとなった。
標識化DNA濃度が0.2μg/mL以上の場合、抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となり、抗DNA抗体高濃度域においても測り分けできることが明らかとなった。
Biotin・DNP標識化DNA濃度が0.2μg/mL以下の場合、抗DNA抗体13.7IU/mLのB/B%が90%以下となり、抗DNA抗体濃度が低濃度域であっても、良好な感度で測り分けられることが明らかとなった。
以上総合すると、標識化DNA長418bpの場合、Biotin・DNP標識化DNA濃度が0.1〜0.4μg/mLの場合において抗DNA抗体の測定が可能であり、中でも0.2μg/mLが好適であることが明らかとなった。
【0038】
(実施例1−3)DNA断片の濃度及び鎖長の関係の検討
5’−Biotin標識Forwardプライマー(5’末端にBiotin標識を有する配列1:5’−GCGCCATTCGCCATTCAGG−3’のプライマー)と5’−Dinitrophenol(DNP)標識Reverseプライマー(5’末端にDNP標識を有する配列3:5’−GCACCTATCTCAGCGATCTGTC−3’のプライマー)を用いて、pUC19から1159bpをPCRで増幅させ、Biotin・DNP標識化DNAを約100μg取得した。Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、これを試験管に25μL加え、0.2〜0.8μg/mLのBiotin・DNP標識化DNA溶液(1159bp)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。
反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0039】
得られた遠心分離後上清 10μLと第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、上清中の標識化DNAを検出した。
【0040】
上記0.2〜0.8μg/mLのBiotin・DNP標識化DNA溶液(1159bp)を0.2〜1.2μg/mLのBiotin・DNP標識化DNA溶液(1862bp)に替え、同様の検討を行った。PCRの増幅には、pUC19をテンプレートとし、5’−Biotin標識Forwardプライマー(5’末端にBiotin標識を有する配列1:5’−GCGCCATTCGCCATTCAGG−3’のプライマー)と5’−Dinitrophenol(DNP)標識Reverseプライマー(5’末端にDNP標識を有する配列4:5’−AACTGGATCTCAACAGCGGTAAG−3’のプライマー)を用いた。
【0041】
本実施例の結果、以下の表2に示す結果が得られた。なお、以下の表2における「評価」は、表1と同様に、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価した場合に、「○:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「△:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」、の基準によって評価を行っている。
【0042】
【表2】
【0043】
標識化DNA鎖長1159bpの場合、全ての標識化DNA濃度において、抗DNA抗体濃度依存的なシグナル低下が観察され、かつ、抗DNA抗体13.7IU/mLのB/B%が90%以下であり、良好な感度を示した。中でも、標識化DNA濃度が0.4μg/mL以上の場合、抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となり、抗DNA抗体高濃度域においても良好に測り分けが可能であった。
【0044】
標識化DNA長1862bpの場合、標識化DNA濃度0.4μg/mL以下において、抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%と抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B%が区別できず、抗DNA抗体高濃度域において濃度依存的なシグナル低下が観察できなかった。一方標識化DNA濃度0.8μg/mL以上において、抗DNA抗体濃度依存的なシグナル低下が観察され、抗DNA抗体13.7IU/mLのB/B%が90%以下、かつ抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となり、良好な感度で測り分けすることができた。
なお、標識化DNA長1159bp・0.2μg/mLの結果及び標識化DNA長1159bp・0.4μg/mLの結果と、標識化DNA長1862bp・0.4μg/mLの結果とを比較すると、1159bpにおいてはどちらも良好な感度を示しているのに対し、1862bpでは感度が不良であることから、たとえ標識化DNAの物質量を同程度とした場合であっても、標識化DNAの鎖長が異なる場合には、感度等の面で差が生じることが明らかとなった。
【0045】
実施例1−2及び1−3の結果から、本発明に用いる標識化DNAの濃度及び鎖長の関係について、解析を行った。
各標識化DNAの濃度及び鎖長における結果を、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価し、「●:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「▲:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」、の3つに分類し、当該結果を図3の表中にプロット点の形状として表した。
この結果から、本発明にあっては、標識化DNAの濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、以下の[数1]で規定される範囲である場合に、抗DNA抗体0〜200IU/mLにおいて、濃度依存的に、感度よく測定することができることが明らかとなった。
[数1]
400≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.4595≦Y≦0.0005X+0.3744
上記[数1]で規定される範囲を、図3の表中に色つきで示した。
【0046】
(1−4)本発明法とFarr−RIA法との相関試験
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、またSLE患者血清(Farr−RIA法、FEIA法にて値付け済み)を25μL加え、Biotin・DNP標識化DNA溶液(418bpは0.2μg/mL、1159bpは0.8μg/mL、1862bpは1.2μg/mL)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0047】
得られた遠心分離後上清 10μLと第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。
反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、標識化DNAを検出した。
標識化DNA量より算出した本発明の抗DNA抗体量と、Farr−RIA法によって測定した抗DNA抗体量を統計処理によって比較することによって、本発明とFarr−RIA法との相関を算出した。算出方法の一例として1159bpの結果を図4に、各標識化DNA長における相関係数の結果をまとめて表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
SLE患者血清による測定の結果、表3の通り、本発明の測定系は、いずれの標識化DNA長であっても、0.93以上という高い相関を示した。特に、標識化DNA長が1159bpのとき、相関係数0.9758と最も良好な相関性であった。また、上記418bp及び1159bpの結果から、本発明において相関係数が0.95以上となるには、用いる標識化DNA長として、672bp以上が必要であることが分かった。
換言すると、本実施例の結果から、標識化DNAが標識化DNAの濃度をY(μg/mL)、鎖長をX(bp)としたとき、前記[数1]の関係式を満たす場合には、本発明の前記評価は△以上となり、かつ、本発明とFarr−RIA法との相関係数が0.93以上となり、さらに、下記 [数2] の関係式を満たす場合には、本発明の前記評価は○以上となり、かつ、相関係数が0.95以上となることが明らかとなった。
[数2]
700≦X≦2000
Y≧0.1
0.0006X−0.3595≦Y≦0.0005X+0.3744
なお、上記 [数2] の関係式を満たす範囲について、図5に示す。
【0050】
(参考例1)既存Non−RIA法とFarr−RIA法との相関試験
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、FEIA法の測定原理に基づく市販キット(エリアdsDNA、ファディア社)を用いて抗DNA抗体濃度を測定した。両者の測定値を統計処理によって比較し、FEIA法とFarr−RIA法との相関を算出した。その結果を図6に示す。
【0051】
図6に示すように、FEIA法とFarr−RIA法との相関係数は0.67であり、良好な相関性を示しているとは言えなかった。
【0052】
(実施例2)標識の種類による反応性の比較
実施例1−3に記載の方法により、1159bpのBiotin・DIG標識化DNA断片をPCRで増幅させた。また、5’−Biotin標識Forwardプライマー(5’末端にBiotin標識を有する配列5:5’−CTCACTGATTAAGCATTGGTAACTGTC−3’のプライマー)と5’−Digoxigenin(DIG)標識Reverseプライマー(5’末端にDIG標識を有する配列6:5’−CTGATGCGGTATTTTCTCCTTACG−3’のプライマー)を用いてpUC19から1274bpのBiotin・DIG標識化DNA断片をPCRで増幅させた。
【0053】
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、これを試験管に25μL加え、0.2〜0.8μg/mLのBiotin・DIG標識化DNA溶液(1159bpおよび1274bpの等物質量混合物)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。
反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0054】
得られた遠心分離後上清 10μLと第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DIG抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。反応後、洗浄し、発光基質を100μL加えて発光強度を測定することで、上清中の標識化DNAを検出した。
【0055】
本実施例の結果、0.4μg/mLのBiotin・DIG標識化DNAにおいて、0.8μg/mLのBiotin・DNP標識化DNAと同等の反応性を示した(図7)。
このことから、本発明は、用いる標識の種類に依存せず測定可能であることが明らかとなった。
【0056】
(参考例2)B/F分離後、上清ではなく、沈殿中の標識化DNAを測定したときの相関試験
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、またSLE患者血清(Farr−RIA法、FEIA法にて値付け済み)を25μL加え、Biotin・DNP標識化DNA溶液(1159bpおよび1274bp、0.8μg/mL)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0057】
得られた遠心分離後沈殿を第1試薬(50mM HEPES(pH7.2))で再溶解し、溶解液10μL、第1試薬(50mM HEPES(pH7.2)) 30μL及び第2試薬(ALP標識抗DNP抗体)30μLを混合し、37℃で十分に反応させた後、第3試薬(ストレプトアビジン磁性粒子)30μLを加え混合、37℃で十分に反応させた。
【0058】
その結果を図8に示す。
図8に示されているように、遠心分離後の沈殿を測定したときのFarr−RIA法との相関係数は0.89であり、相関的には満足いく結果ではなかった。
(実施例3)
(3−1)HiBiT標識化DNA断片を用いたNon−RIA測定系の構築
[試薬調製]
アルキンを導入したDNA断片(pUC19由来、実施例1−3及び実施例2と同様の配列をもつプライマーのアルキン標識体を用いてPCRで1159bpおよび1274bpのDNA断片を作製)と末端アジド標識したHiBiTタグをクリック反応により結合、HiBiT標識化DNA断片を作製した。
【0059】
[標識化DNA測定]
96well half area white plate(Conring)に種々の濃度のHiBiT標識化DNA(1159bpおよび1274bpの等物質量混合物)を25μL分注した。Nano Glo HiBiT Lytic Detection System(Promega)のマニュアルに従って調製した検出試薬を25μL加え、600rpmで3分間攪拌した後、10分間遮光静置した。ルミノメーター(GloMax)で発光強度を検出した。
【0060】
結果を図9に示す。図9に示されているように、DNA 0 ng/mLと1 ng/mLでRLU差を認めたことから、HiBiT標識化DNA量が1 ng/mL以上であれば検出可能と判断した。また、1000ng/mL程度までは、DNA量に対してRLU値が良好な直線性を示した。
以上の結果より、反応溶液中のHiBiT標識化DNA濃度が1〜1000 ng/mLの範囲内であれば、測定可能であることが示された。
【0061】
(3−2)B/F分離後の上清中のHiBiT標識化DNAの測定
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、これを試験管に25μL加え、0.2〜0.8μg/mLのHiBiT標識化DNA溶液を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。
反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0062】
得られた遠心分離後上清 25μLとNano Glo HiBiT Lytic Detection System(Promega)のマニュアルに従って調製した検出試薬を25μL加え、600rpmで3分間攪拌した後、10分間遮光静置した。 ルミノメーター(GloMax)で発光強度を検出した。
【0063】
図10及び表4に結果を示す。なお、表4における「評価」は、表1,2と同様に、(i)0〜200IU/mLにおいて濃度依存的なシグナル低下が観察される、(ii)13.7IU/mLのB/B%が90%以下となる、(iii)218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となる、の3つの評価基準で評価した場合に、「○:(i)〜(iii)の全ての基準を満たした」、「△:(i)を満たしたが、(ii)、(iii)のいずれか(あるいは両方)を満たさなかった」、「×:(i)を満たさなかった」、の基準によって評価を行っている。
【0064】
【表4】
【0065】
HiBiT標識化DNA濃度0.2〜0.8μg/mLの範囲において、抗DNA抗体の濃度依存的なシグナル低下が観察された。このことから、HiBiT標識化DNAによっても抗DNA抗体を測定可能である旨が明らかとなった。
中でも標識化DNA濃度が0.4及び0.8μg/mLの場合、抗DNA抗体13.7IU/mLのB/B%が90%以下となり、抗DNA抗体低度域においての測り分けが良好であり、かつ、抗DNA抗体218.2IU/mLのB/B%が抗DNA抗体131.8IU/mLのB/B%の2倍以上となり、抗DNA抗体高度域においても良好な感度で測り分けすることができることが明らかとなった。
【0066】
(3−3)HiBiT標識化DNAによる本発明法とFarr−RIA法との相関試験
Farr−RIA法の測定原理に基づく市販キット(セティ社)で値付け済みの、ウシ血清で適宜希釈したSLE患者血清を標準液として、またSLE患者血清(Farr−RIA法、FEIA法にて値付け済み)を25μL加え、HiBiT標識化DNA溶液(0.8μg/mL)を200μL加えて混和し、37℃2時間インキュベートした。反応後、冷えた硫酸アンモニウム(61.25%飽和)を反応溶液中の硫酸アンモニウム濃度が50%となるように1000μL加え、混和した。2000×g, 4℃, 15分間遠心分離した。
【0067】
得られた遠心分離後上清 25μLとNano Glo HiBiT Lytic Detection System(Promega)のマニュアルに従って調製した検出試薬を25μL加え、600rpmで3分間攪拌した後、10分間遮光静置した。 ルミノメーター(GloMax)で発光強度を検出した。
標識化DNA量より算出した本発明の抗DNA抗体量と、Farr−RIA法によって測定した抗DNA抗体量を統計処理によって比較することによって、本発明とFarr−RIA法との相関を算出した。結果を図11に示す。
【0068】
相関試験の結果、HiBiT標識化DNAを用いても、本発明に規定するDNA断片の濃度と鎖長の関係式を満たしている場合には、0.98という高い相関を示すことが明らかとなった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]