(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ライナーの端部と前記インサートの内面との間には、前記第1シール部材よりもさらに大きい直径を有する第2シール部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の高圧ガス貯蔵用圧力容器。
【背景技術】
【0002】
産業化が急速に進んで化石燃料の消費量が指数関数的に増加するにつれて、環境汚染が深刻な社会問題として台頭しているので、世界角国では、環境汚染の主犯とされる自動車の排気ガスを削減するために多くの努力を傾けている。
【0003】
その一例として、従来の自動車燃料であるガソリンや軽油を代替するためのクリーン燃料として水素燃料が開発された。
【0004】
水素燃料は、地球上で炭素と窒素の次に最も豊富な元素であるだけでなく、燃焼時にごく微量の窒素酸化物のみを生成させ、他の公害物質は全く排出しないクリーンなエネルギー源であり、地球上に存在するほぼ無限の量の水を原料にして作ることができ、使用後には再び水に再循環されるので、枯渇の恐れもほとんどない最適なエネルギー源である。
【0005】
したがって、水素燃料は、現在直面している資源枯渇、環境汚染などの様々な問題を解決することができる次世代燃料として注目されており、自動車燃料分野や産業体、一般家庭で水素を活用するための各種の研究が盛んに行われている。
【0006】
一方、水素をエネルギー源として商用化するには水素ステーションの構築が優先されるべきであるが、そのためには、水素を高圧で圧縮する圧縮機とともに、高圧の水素を効率よく貯蔵することができる水素貯蔵用圧力容器の開発が要求される。
【0007】
水素貯蔵のための容器は、水素ガスを高圧で圧縮して貯蔵する容器であって、その内部ガスは充・放電の際に−40℃と85℃を行き来する環境にさらされ、30年の目標寿命に応じて少なくとも10、000回の繰り返し耐久性を確保しなければならない部品である。
【0008】
高圧ガスを貯蔵するための圧力容器は、使用材料と複合材料の強化方法によってType−1、Type−2、Type−3、Type−4など4つの方式に区分され、輸送用チューブトレーラや水素ステーション用、水素電気自動車搭載用などに用いられている。
【0009】
Type−3およびType−4方式は、炭素素材を使用することにより、より軽いという特性があり、燃費に直結される重量により車両用に適するものの、製作コストが高い欠点を持っている。
【0010】
これにより、重量による問題がなく、大容量貯蔵が必要な地上では主にType−1、2の方式で貯蔵問題を解決しており、Type−2方式は、金属材でできたライナーに、ガラス繊維または炭素繊維を樹脂に含浸させた補強材をワインディングしたものであって、貯蔵圧力を高めることができるのみならず、金属材でできたType−1方式に比べて重量が軽いため、地上設置用の大容量圧力容器として好まれている。
【0011】
一方、前述したように、高圧ガス貯蔵用圧力容器は、内部に高圧ガスを充填したり、圧力の測定または残留ガス容量の測定のためのゲージなどの各種付属装置を設置したりするために、圧力容器のライナーの内周面に雌ねじ部を形成し、雄ねじ部付きのキャップを前記雌ねじ部に螺合するようにするが、螺合部のガス漏れを防止するために気密パッキンを介在する。
【0012】
ところが、従来の大容量圧力容器は、ライナーの端部に形成された雌ねじ部に螺合されるキャップがガスの充填されるライナーの中空部内に投入された状態で、螺合が行われることにより、キャップが中空部の空間を相当部分占有してガス貯蔵のための中空部の容積が減少するという欠点がある。
【0013】
また、キャップの螺合によるライナー両端部の密閉力を高めるためにキャップを過度に締め付けた場合、むしろキャップの締め付け圧力によってライナー両端部の内径が拡張されながら、ライナーの雌ねじとキャップの雄ねじ部との間に遊隔が発生することにより、ガス漏れの可能性が増加するという欠点がある。
【0014】
また、大容量圧力容器の場合に長さが数メートルに達し、容量が大きい場合には10mを超えることもあるなど長さが非常に長く、一端部の内周面に雌ねじ部を形成するためには、長さの長い圧力容器のハンドリングが困難であって雌ねじ部の精密加工が難しいという欠点もある。また、Type−2方式の圧力容器は、強度補強のためにライナーの外部に金属材の補強ワイヤーを巻き取ったりもするが、このように巻き取られた補強ワイヤーの両端部を固定するためには、補強ワイヤーを圧力容器のライナーに溶接して固定しなければならないことにより、溶接中に圧力容器に加わる高温の加熱により圧力容器に劣化による損傷が発生してガス漏れの危険を高めるという欠点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器は、前述した従来技術の問題点を解消するためになされたもので、ライナーの外周面に雄ねじ部を形成して締結部材を螺合することにより、ガスが充填される中空部の容積縮小を最小限に抑えることを目的とする。
【0017】
また、ライナーとは別に設けられたねじリングをライナーに溶接して一体にすることにより、ねじ部の加工性と精度を向上させることを目的とする。
【0018】
また、ライナーに螺合される締結部材によってライナーの強度が補強されるようにすることを目的とする。
【0019】
また、ライナーの外周面に巻き取られる補強ワイヤーの端部を締結部材に溶接して固定することにより、ライナーの劣化を防止することを目的とする。
【0020】
また、ライナーの外周面に巻き取られた補強ワイヤーが、ライナーの両端部に螺合された締結部材によって支持されるようにして、補強ワイヤーの巻取り状態が安定的に維持されるようにすることを目的とする。
【0021】
本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器は、前述した従来技術の問題点を解消するためになされたもので、漏れ検知手段を備えることにより、ガス漏れの際にこれを迅速かつ簡単に検知することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するために、本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器は、
所定の直径の管体からなり、両端部に雄ねじ部が形成されたライナーと、
外面に結合部が形成され、中心部には貫通孔が形成され、内面が前記ライナーの端部に密着するようにライナーの両端部に対称的に設置されるインサートと、
前記ライナーの端部とインサートの内面との間に設置されて気密を保つ第1シール部材と、
前記雄ねじ部に螺合される雌ねじ部を形成し、前記結合部が挿入される結合孔を備え、前記雄ねじ部に螺合されながら前記インサートをライナーの端部に加圧密着させる締結部材と、
前記ライナーの外周面全体を包み込むように巻き取られ、両端部が前記締結部材に取り付けられて固定される補強ワイヤーとを含む。
【0023】
前記雄ねじ部は、前記ライナーとは独立して設けられたねじリングの外周面に形成され、ねじリングをライナーの端部に溶接して一体にすることを特徴とする。
【0024】
前記締結部材は、前記雌ねじ部から外側に所定の長さだけ突設され、前記ライナーの外周面を包み込む環状のカバーリング部をさらに備えることを特徴とする。
【0025】
前記締結部材は、内側端部に前記補強ワイヤーの端部が挿入されて溶接される挿入溝をさらに備えることを特徴とする。
【0026】
前記ライナーの端部とインサートの内面との間には、前記第1シール部材よりもさらに大きい直径を有する第2シール部材をさらに備えることを特徴とする。
【0027】
前記インサートは、内面から外面に貫通する漏れ誘導孔が形成され、漏れ誘導孔の内側入口は前記第1シール部材と第2シール部材との間に位置し、漏れ誘導孔の外側出口にはガス漏れ検知手段が設置されることを特徴とする。
【0028】
前記ガス漏れ検知手段は、前記漏れ誘導孔を介して漏れるガスと反応して色が変わる変色表示部を備えることを特徴とする。
【0029】
前記ガス漏れ検知手段は、前記漏れ誘導孔を介して漏れるガスの圧力を検知する圧力検知部を備えることを特徴とする。
【0030】
前記ガス漏れ検知手段は、
前記漏れ誘導孔を介して漏れるガスを検知するガス検知部と、
前記ガス検知部の漏れ検知による通知信号を送信する無線送信部と、
前記無線送信部で送信された信号を受信する無線受信部と、
前記無線受信部で受信された信号に応じて視聴覚的手段で出力される通知部とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器は、ライナーの外周面に雄ねじ部を形成して締結部材を螺合することにより、ガスの充填される中空部の容積縮小を最小限に抑えるという効果がある。
【0032】
また、ライナーとは別に設けられたねじリングをライナーに溶接して一体にすることにより、ねじ部の加工性及び精度を向上させることができるという効果がある。
【0033】
また、ライナーに螺合される締結部材がライナー両端部の外周面を包み込む形になることにより、ライナーの強度が補強されるという効果がある。
【0034】
また、ライナーの外周面に巻き取られる補強ワイヤーの端部を締結部材に溶接して固定することにより、ライナーの劣化を防止することができるという効果がある。
【0035】
また、ライナーの外周面に巻き取られた補強ワイヤーが、ライナーの両端部に螺合された締結部材によって支持されるようにして、補強ワイヤーの巻取り状態が安定的に維持されることにより、補強ワイヤーによるライナーの増大した強度が安定的に維持されるという効果がある。
【0036】
また、漏れ検知手段を備えることにより、ガス漏れの際にこれを迅速かつ簡単に検知することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器を詳細に説明するにあたり、本発明に係る実施形態に基づいて説明したものであって、本発明の技術を本文書に記載された実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の実施形態の様々な変更(modifications)、均等物(equivalents)、および/または代替物(alternatives)を含むものと理解されるべきである。
【0039】
併せて、本発明の実施形態を説明する上で、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明してはいないとしても、当該構成によって予測可能な効果も認められなければならないのは当然である。
【0040】
図1は本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器の実施形態に係る斜視図、
図2は本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器の実施形態に係る一端部の断面図、
図3は本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器のねじ部の別の実施形態を示す一端部の断面図、
図4は本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器の第1シール部材30の別の設置状態を示す一端部の断面図である。
【0041】
まず、
図1乃至
図4を参照して説明する。
本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器は、ライナー10、インサート20、第1シール部材30、締結部材40、及び補強ワイヤー50を含む。
【0042】
前記ライナー10は、所定の直径の金属管体からなり、内部に高圧ガスが充填される中空部101を有するが、長さ方向に沿って同じ厚さと同じ直径で形成することが好ましい。
ライナー10の両端部の外周面には雄ねじ部102が形成されることにより、前記締結部材40が螺合される。
【0043】
前記ライナー10の雄ねじ部102は、前記ライナー10とは独立して設けられたねじリング104の外周面に形成される。そのねじリング104をライナー10の端部に溶接して一体にすることができる。
【0044】
したがって、長さが数メートルに及ぶライナー10の両端部の外周面に直接雄ねじを加工せず、長さの短い別途のねじリング104の外周面に雄ねじ部102を形成し、これをライナー10の両端部に締まりばめした後、溶接して一体にするので、雄ねじ部102の加工性と精度を向上させることができる。
【0045】
前記インサート20は、ライナー10の両端部に密着するように対称的に設置されるが、結合部201及び貫通孔202を含む。
【0046】
インサート20は、前記締結部材40によって前記ライナー10の両端部に密着固定されることにより、ライナー10の中空部101がインサート20によって密閉される。
前記結合部201は、前記インサート20の外面中央から外方に突設されて前記締結部材40と結合される。
【0047】
前記貫通孔202は、インサート20の中心部に形成されるが、インサート20の内面から前記結合部201の外面まで貫通するように形成される。この際、前記貫通孔202の外側出口には、前記ライナー10の中空部101に高圧ガスを充填するための配管設備Pの接続が可能となるようにねじ山を形成することが好ましい。
【0048】
前記第1シール部材30は、前記ライナー10の端部とインサート20の内面との間に設置され、前記中空部101の気密を保つ。
【0049】
第1シール部材30の安定な設置のために、
図2に示すように、前記ライナー10の端部の内周面角部には、凹んだ第1設置溝103を形成して前記第1設置溝103の内部に前記第1シール部材30を挿設することが好ましい。
【0050】
また、第1シール部材30は、
図4に示すように、インサート20の内面に凹んだ第2設置溝203を形成することにより、前記第2設置溝203の内部に挿設することも可能である。
【0051】
上述のように設置される第1シール部材30は、前記ライナー10の端部と、前記インサート20の内面との間に介在するように環状に設置され、弾性接触によって気密性が保たれることにより、ライナー10の外面とインサート20の内面との間でガス漏れが発生することを防止する。
【0052】
前記第1シール部材30は、弾性変形が可能なゴムまたは合成ゴム材でできたOリングを使用することが好ましいが、これに限定するものではなく、金属材でできたOリングを使用することができる。
【0053】
前記締結部材40は、雌ねじ部401及び結合孔402を備える。
【0054】
前記雌ねじ部401は、前記ライナー10の雄ねじ部102に螺合される。
【0055】
前記結合孔402には、前記インサート20の結合部201が挿入される。
【0056】
したがって、前記雌ねじ部401がライナー10の雄ねじ部102に螺合されることにより、前記インサート20の結合部201が締結部材40の結合孔402に挿入され、それにより、ライナー10に螺合される締結部材40とインサート20の中心がライナー10の中心と一致しながら前記インサート20の内面がライナー10の端部に加圧密着される。
また、締結部材40を締め付けることにより、インサート20がライナー10の方向に加圧密着されながら、ライナー10の端部とインサート20の内面との距離がさらに近づき、それにより、ライナー10とインサート20との間に介在した第1シール部材30がさらに緊密に密着して気密性が向上する。
【0057】
また、締結部材40がライナー10の端部を外部から包み込む形で螺合が行われることにより、締結部材40の締結過程でライナー10の端部が外向きに広がったり、ライナー10と締結部材40との間に遊隔が発生してガスが漏れたりすることを防止することができる。
上述のように、締結部材40は、インサート20とは独立して製作されてライナー10に螺合されることにより、締結の便宜性を高めることができる。
【0058】
前記締結部材40は、前記雌ねじ部401から外側に所定の長さだけ突設され、前記ライナー10の外周面を包み込む環状のカバーリング部403をさらに備えることができる。
したがって、前記締結部材40の雌ねじ部401が雄ねじ部102に螺合されたとき、前記カバーリング部403は、ライナー10の雄ねじ部102の内側外周面と接しながら雄ねじ部102が外部に露出しないようにカバーリングすることにより、雄ねじ部102に補強ワイヤー50が巻き取られながら補強ワイヤー50が不均一に積層されることを防止する。
【0059】
一方、前記雌ねじ部401の長さを前記雄ねじ部102の長さよりもさらに長くすることにより、締結部材40がライナー10に螺合されたとき、雄ねじ部102が外部に露出しないようにすることにより、雄ねじ部102に補強ワイヤー50が巻き取られながら補強ワイヤー50が不均一に積層されることを防止する。
【0060】
また、雄ねじ部102の加工が行われることにより厚さが薄くなって強度が低下するライナー10の雄ねじ部102全体に締結部材40の雌ねじ部401が螺合されることにより、締結部材40がライナー10の雄ねじ部102の強度を補強する。
【0061】
締結部材40の断面形状は、円形または多角形であってもよい。
【0062】
締結部材40の断面が多角形に形成される場合には、床上に配置されても、意図していない転がり運動を防止することができる。
【0063】
前記締結部材40は、ねじ方式で前記ライナー10に結合される構造を採用することにより、メンテナンスのための十分な開口空間を確保するとともに、装着/脱着も容易であってメンテナンスの便宜性が向上するだけでなく、一般な工作機械を用いた加工及び製作が容易であって製作の便宜性も向上する。
【0064】
前記補強ワイヤー50は、前記ライナー10の外周面全体を包み込むように巻き取られるが、補強ワイヤー50の両端部が前記締結部材40に取り付けられて固定されることにより、ライナー10の強度を補強する。
【0065】
つまり、補強ワイヤー50は、前記ライナー10の中空部101に充填される高圧ガスによってライナー10に加わるフープ応力(Hoop stress)を支持するために、ライナー10の外周面全体を包み込むように巻き取られる。
【0066】
前記補強ワイヤー50の材質は、金属素材であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、炭素繊維、ガラス繊維などで製作されたものを使用してもよい。
また、補強ワイヤー50の直径は限定しないが、補強ワイヤー50の直径が太い場合には、ライナー10に巻き取られた補強ワイヤー50間の空隙が大きくなって内圧を十分に支持することができないだけでなく、巻取りの際に比較的大きい動力がかかる。
【0067】
したがって、補強ワイヤー50は、直径が小さいものを使用した方が、補強ワイヤー50間の空隙を減少させる観点と巻き取り動力の観点で有利である。
【0068】
補強ワイヤー50の直径は0.005mm〜2.5mmの範囲とすることが好ましい。
【0069】
一方、補強ワイヤー50は、前記ライナー10の両端部に螺合される締結部材40の間でライナー10の外周面に巻き取られ、その両端部が前記締結部材40に固定されることにより、締結部材40が、ライナー10の外周面に巻き取られる補強ワイヤー50の巻取り構造が維持されるように補強ワイヤー50の側面を支持する。
【0070】
したがって、前記締結部材40の中心から締結部材40の外周面までの距離は、ライナー10の中心からライナー10に巻き取られて積層される最外郭の補強ワイヤー50の外側表面までの距離よりも大きくすることにより、補強ワイヤー50が地面と接触したり外部物体との衝突により損傷したりすることを防止することができるようにすることが好ましい。
一方、ライナー10に巻き取られた補強ワイヤー50の繰り出しを防止するために補強ワイヤー50の両端部を締結部材40に取り付けて固定するが、補強ワイヤー50の素材に応じて半田付けまたは溶接して固定することができる。
【0071】
従来では、補強ワイヤー50をライナー10に溶接すると、溶接棒とライナー10が高温にさらされながら溶接棒とライナー10が同時に溶けて溶接が行われる。この時、ライナー10の溶接部位は熱損傷を受けて強度上脆弱になる。
【0072】
したがって、補強ワイヤー50の両端部を前記締結部材40に取り付けて固定することにより、ライナー10に直接加わる熱損傷を最小限に抑えることができる。
【0073】
図5は本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器の締結部材の別の実施形態を示す一端部の断面図である。
【0074】
次に、
図5を参照して説明する。
前記締結部材40の内側端部には、前記補強ワイヤー50の端部が挿入されて溶接される挿入溝404をさらに備えることができる。
【0075】
この際、前記挿入溝404は、一直線状、ジグザグ状、或いは直角状に形成することができる。
【0076】
したがって、前記挿入溝404に補強ワイヤー50の端部を挿入した状態で半田付けまたは溶接して補強ワイヤー50を固定することにより、補強ワイヤー50の固定がより強固になる。
【0077】
図6は本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器の第2シール部材、漏れ誘導孔及びガス漏れ検知手段を示す一端部の断面図、
図7は本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器の第2シール部材と漏れ誘導孔の別の実施形態を示す一端部の断面図、
図8は本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器のガス漏れ検知手段の別の実施形態を示す一端部の断面図である。
【0078】
次に、
図6乃至
図8を参照して説明する。
前記ライナー10の端部とインサート20の内面との間には、前記第1シール部材30よりもさらに大きい直径を有する第2シール部材31をさらに備えることができる。
【0079】
すなわち、前記ライナー10の端部には環状の第3設置溝105を形成し、前記第3設置溝105の内部に前記第2シール部材31を挿設することが好ましい。
【0080】
また、第2シール部材31は、インサート20の内面に環状の第4設置溝204を形成し、その内部に挿設することも可能である。
【0081】
前記第2シール部材31は、ライナー10の端部とインサート20の内面との間に介在するが、第1シール部材30よりもさらに大きい直径により、第1シール部材30の外側に設置されることにより、第1シール部材30から漏れたガスの気密を保つ。
【0082】
第2シール部材31は、前記第1シール部材30と同様に、弾性変形が可能なゴム、合成ゴム材でできたOリングを使用することが好ましいが、これに限定するものではなく、金属材でできたOリングを使用してもよい。
【0083】
前記インサート20には、漏れ誘導孔205をさらに備えることができる。
前記漏れ誘導孔205は前記内面から外面に貫通するように形成されるが、漏れ誘導孔205の内側入口は前記第1シール部材30と第2シール部材31との間に位置し、漏れ誘導孔205の外側出口にはガス漏れ検知手段60が設置される。
【0084】
前記漏れ誘導孔205の外側出口には、前記ガス漏れ検知手段60の設置が容易となるようにねじ山を形成することが好ましい。
【0085】
したがって、前記第1シール部材30からガスが漏れると、漏れたガスは、第2シール部材31によってライナー10の端部とインサート20の内面との間から漏れず、前記漏れ誘導孔205を介して排出される。
【0086】
このとき、漏れ誘導孔205の外側端部に設置されたガス漏れ検知手段60によってガス漏れが直ちに検知されることにより、ガス漏れによる迅速な対処が可能となる。
【0087】
併せて、前記第1シール部材30のいずれかの箇所でガスが漏れても、漏れたガスは第2シール部材31によって漏れ誘導孔205を介した排出が誘導されるため、より正確な漏れ検知が行われ得る。
【0088】
前記ガス漏れ検知手段60は、
図6に示すように、前記第1シール部材30から漏れるガスと反応して色が変わる変色表示部601を備えることができる。
【0089】
前記変色表示部601は、漏れガスとの反応を介して変色されることにより、変色有無の確認からガス漏れ有無を迅速かつ簡単に確認することができる。
【0090】
特に、高圧で充電される水素のように漏れの際に爆発リスクのある危険なガスの場合は、管理者がガス漏れ有無の確認のための別途機器の操作なしにも変色表示部601の目視によってガス漏れ有無を確認することができるので、ガス漏れの際に、換気や可燃性火気の接近制限などの迅速な安全措置をとることができるという利点がある。
【0091】
一方、前記変色表示部601は、本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器に充填されるガスの種類に応じて、化学的変色が起こる様々な物質を選択的に構成することにより、様々な種類のガス漏れに対応することができる。
【0092】
また、前記ガス漏れ検知手段60は、
図7に示すように、前記第1シール部材30から漏れるガスの圧力を検知する圧力検知部602を備えることができる。
【0093】
前記圧力検知部602は、圧力の変化を検知する圧力センサーを使用することが好ましいが、これに限定されるものではないことを予め明らかにおく。
【0094】
圧力検知部602として圧力センサーを使用する場合、微細なガス漏れによる圧力変化の検知によってガス漏れ有無を迅速かつ簡単に確認することができるのみならず、圧力センサーの価格が非常に安いので漏れガス検知による経済性にも優れるという利点がある。
【0095】
前記ガス漏れ検知手段60は、
図8に示すように、ガス検知部603、無線送信部604、無線受信部605及び通知部606を含むことができる。
【0096】
前記ガス検知部603は、前記漏れ誘導孔205を介して漏れるガスを検知する。
このとき、漏れるガスを検知する方法は、限定しないが、ガスの種類に応じてガスに反応して色が変わる変色表示手段を使用するか、或いはガス漏れの際に変化する圧力を検知する圧力検知手段を使用することができる。
【0097】
前記無線送信部604は、前記ガス検知部603の漏れ検知による通知信号を送信する。このとき、前記通知信号には、高圧ガス貯蔵用圧力容器の区分のための識別コードを含むことが好ましい。
【0098】
また、無線送信部604は、通常の近距離無線通信手段を使用することが好ましく、前記無線送信部604の作動のために、交換可能なバッテリーを備えるのは当然である。
【0099】
前記無線受信部605は、本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器から所定の距離だけ離れるように設置され、前記無線送信部604に送信される無線信号を受信することができるように前記無線通信部と同じ通信規格を使用することが好ましい。
【0100】
前記通知部606は、前記無線受信部605で受信された信号に応じてブザーや警光灯などの視聴覚的手段で出力されることにより、管理者がガス漏れ有無を直ちに認識するようにすることができる。
【解決手段】本発明の高圧ガス貯蔵用圧力容器は、所定の直径の管体からなり、両端部に雄ねじ部が形成されたライナーと、外面に結合部が形成され、中心部には貫通孔が形成され、内面が前記ライナーの端部に密着するようにライナーの両端部に対称的に設置されるインサートと、前記ライナーの端部とインサートの内面との間に設置されて気密を保つ第1シール部材と、前記雄ねじ部に螺合される雌ねじ部を形成し、前記結合部が挿入される結合孔を備え、前記雄ねじ部に螺合されながら前記インサートをライナーの端部に加圧密着させる締結部材と、前記ライナーの外周面全体を包み込むように巻き取られ、両端部が前記締結部材に取り付けられて固定される補強ワイヤーとを含む。