特許第6757068号(P6757068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757068
(24)【登録日】2020年9月1日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】タイル敷設方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20200907BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   E04F15/02 D
   E04F13/08 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-24794(P2017-24794)
(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公開番号】特開2018-131766(P2018-131766A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】517049725
【氏名又は名称】山本 幸司
(74)【代理人】
【識別番号】100174816
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 貴久
(74)【代理人】
【識別番号】100192692
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸司
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−025548(JP,A)
【文献】 実開昭60−006046(JP,U)
【文献】 特開昭62−288257(JP,A)
【文献】 特開平07−247661(JP,A)
【文献】 特開2012−026117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
E04F 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形タイルを被敷設面の端辺に対して45度の角度で敷き詰める方法において、前記被敷設面の端辺に規定のタイルが接当し、そのままでは敷設できない場所でのタイル敷設方法であって、次の工程からなることを特徴とするタイル敷設方法。
1 そのままでは敷設できないタイルを、粗切りする、
2 粗切りしたタイルを、前記粗切りしたタイルの切断面が前記被敷設面の端辺に向く状態で、且つ、前記粗切りしたタイルを敷設するためのスペースである三角形の余白の直角を構成する2辺のいずれかと、前記粗切りしたタイルの直角を構成する2辺のいずれかとが重なる状態で、且つ、前記三角形の余白の直角の頂点から、使用する定規の幅の√2(ルート2)倍の長さの位置に前記粗切りしたタイルの直角の頂点を配置する、
3 使用する定規を前記被敷設面の端辺に沿わせて、その反対側側面で前記重ね合わせたタイルを切断する、
4 切断したタイルを前記被敷設面の端辺に沿わせて敷設する。
【請求項2】
前記タイルは、正方形である請求項1記載のタイル敷設方法。
【請求項3】
前記タイルは、プラスチック製である請求項1又は2記載のタイル敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイル敷設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここでいうタイルは、床や壁面等に敷設する種々のタイルであり、その材質は問わない。例えば、ポリ塩化ビニルやリノリウムの板、タイルカーペットのような絨氈系のもの、木材、セラミック等であり、板状のものであればよい。
【0003】
このようなタイルは、床や壁面に敷設されるものである。また、敷設の方法(ここでは並べ方、敷設方向)としては、被敷設面(床面等)の端辺に沿って、即ち端辺に平行に敷設する方法と、一定の角度を持たせて敷設する方法とがある。角度を持たせる理由は、そのほとんどが美観上の問題からである。角度としては45度が多い。
【0004】
このように45度傾斜させて敷設する場合、床の端部は当然ながらタイルを切断しなければ、全体を敷設することはできない。そこで、タイルを切断することになるが、きっちりと嵌め込めるように切断することは非常に難しい。
何回も切断しなければならないこともあり、また、切り過ぎによってタイルが無駄になったりすることもある。
【0005】
このような無駄を省くため、紙等を用いて、適合する形状に紙で合わせて、その形状通りにタイルを裁断することも考えられる。しかし、その都度型紙のようなものを作成するのでは非常に手間である。
【0006】
また、正方形以外のタイルを敷き詰める方法として、特許文献1のような方法が知られている。この方法は、特許文献1の図6のような特別の定規を製造しなければならない。これは、上記した型紙の製造と同様であり大きな手間である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−26117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明では、特別な定規や型紙が不要で、現場で簡単にできる敷設方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明敷設方法を完成したものであり、その特徴とするところは、長方形タイルを被敷設面の端辺に対して45度の角度で敷き詰める方法において、前記被敷設面の端辺に規定のタイルが接当し、そのままでは敷設できない場所でのタイル敷設方法であって、次の工程からなることを特徴とするタイル敷設方法。
1 そのままでは敷設できないタイルを、粗切りする、
2 粗切りしたタイルを、所定位置から、使用する長方形の定規の幅の√2倍の距離を前記被敷設面の端辺から、既設タイルに平行に、後退させ、既設のタイル重ね合わせる、
3 使用する定規を前記被敷設面の端辺に沿わせて、その反対側側面で前記重ね合わせたタイルを切断する、
4 切断したタイルを前記被敷設面の端辺に沿わせて敷設する点にある。
【0010】
本発明でいうタイルは、段落0002で記したものであり、特別な材質である必要はない。呼び名も、クッションフロア、フローリング、床板、タイルカーペット等自由である。なかでも、比較的硬質なものが本発明の効果を発揮する。例えば、ポリ塩化ビニル等のプラスチック製やリノリウム製のタイル等である。
大きさとしては、限定はしないが、10cm角〜1m角程度が好適である。厚みは、これも限定はしないが、数mm〜10mm程度である。
【0011】
このタイルの形状は、平面視長方形(正方形を含む。正方形のものが多い)である。本発明では、このようにタイルの形状は長方形である。現実に、このような正方形と長方形(正方形以外の)のものが多い。
【0012】
被敷設面とは、前記した床、壁面、その他タイルを敷設する面を言い、その形状や面積は問わない。敷設は、タイルを並べて固定するものであるが、固定の方法は自由である。接着、ネジ止め、釘止め、ホッチキス(ファスナー)止め等である。端辺とは、タイルを敷設すべきエリアの端の辺であり、床の場合では床の1辺である。
【0013】
被敷設面の端辺に対して45度の角度で敷き詰める方法である。45度といっても、厳密な意味ではなくおおよその意味であり、タイルの敷設によって、その突合せ程度等によって吸収できれば問題はない。現実的には、43〜48度でも可能であった。
【0014】
一般的には、前記端辺にタイルの1辺を沿わせて(平行に)敷設することが多い。しかし、その美観や室内の他の装飾や家具との調和から、タイルを45度傾けて敷設する場合がある。本発明はこのような45度傾斜貼りに利用するものである。
【0015】
次に本発明の工程を順に説明する。
まず、どこかを起点として、最初のタイルを貼る。当然、端辺とは45度傾斜している。そして、順次そのタイルに沿って、タイルを敷設していく。そして、余白が狭くなり1枚のタイルが貼れなくなるまで続ける。
【0016】
そして、 そのままでは敷設できないタイルを、粗切りする。即ち、次にその狭いエリアに貼るべきタイルを、粗切りするのである。ここでいう粗切りとは、大まかなサイズに切ることをいう。これは、端辺に平行に余るであろう分を切除するものであり、使用する定規のはば程度の誤差があってもよい。
【0017】
粗切りしたタイルを、所定位置から、使用する長方形の定規の幅の√2(ルート2)倍の距離を端辺から、既設タイルに平行に、後退させ、既設のタイル重ね合わせる。ここでいうルート2倍も数学的に厳密な数字でなく、おおよそでよい。前記したタイルの施工上からの有効数字で決めればよい。通常は、1.35〜1.45程度である。
ここで問題になるのは、使用する定規の幅である。タイルの敷設作業においては、ほとんどの作業員が、定規を用いている。この定規としては、目盛りの長さ30cmで、幅25mm、厚みが1mmの金属製のものが多い。
【0018】
使用する定規の幅(前記した定規では25mm)のルート2倍を求める。上記の例では、25×1.41(1.41を採用した場合)=35.25mmとなる。前記した敷設できないため粗切りしたタイルを、既存のタイルに平行に上記した計算距離(上記例では35.25mm)だけ、はめ込もうとする位置から後退させる。後退とは、既存タイルの辺に平行に端辺から遠ざけることを言う。既存のタイルに沿った距離が図りやすいためである。
【0019】
そして、既存のタイルに重ねる。勿論、完全に重なることはなく一部が重なるということである。
【0020】
次に、その重ね合わせたタイルの上に使用する定規を置いて、その定規を端辺に合わせる。その合わせた反対側の辺で、重ねたタイルを切断する。
【0021】
そして最後に、定規を外し、切断したタイルを端辺に沿わせて敷設する。これで完成である。
【発明の効果】
【0022】
本発明には次のような大きな利点がある。
(1) 被敷設面の余白が狭く、1枚のタイルが入らないような部分に簡単にぴったり敷設できる。
(2) 特別な定規や型紙が不要である。
(3) 定規が替わっても、その幅をルート2倍するだけで、後退する距離はすぐに計算できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明によって施工した、また施工する床面の部分平面図である。
図2】本発明の1工程を示す平面図である。
図3】本発明の1工程を示す平面図である。
図4】本発明の1工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面に示す実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明が実施例に限定されるものではない。
【0025】
図1は、タイル(ここでは、塩化ビニルタイル製で、1辺が30cmの正方形で厚みが1mm)1を床の端辺2に沿って3枚貼った図である。この3枚は貼られたものとして、次にその真ん中の三角形の余白3に貼る手順について説明する。
まず、三角形の余白3に貼るべきタイルを準備する。そして、大まかに測定して、粗切りする。この例では、タイルの対角線の長さ14.1cmが必要なところ、4.7cmしかないため、タイルをその付近で粗切りする。
【0026】
図2は、粗切りしたタイル4を示す。ここで、実際に計算して求めた大きさが、ライン5の部分である。よって、これ以上右のラインで粗切り(切断)してはならない。また、定規の幅(ここでは25mm)を記載したのがライン6である。よって、このライン6以上左で粗切りしてもいけない。タイルを重ねたときに端辺2に当たるためである。
【0027】
図3は、図2で示した粗切りしたタイル4を、長さLだけ、既存タイルに平行に後退させたところである。Lは、使用する定規の幅のルート2倍である。25mm幅の定規であれば、25×1.41=35.25mmである。
【0028】
この図4は、図3の状態で、端辺2に沿って定規7を載置したところである。そして、この定規7の右の端辺2にそってタイル4を切断すればよい。図2でいうライン5である。
【0029】
この定規7の幅の分、タイルは切除されたが、これは、既存のタイルの辺に平行な長さで言うと、定規の幅のルート2倍である。よって、定規7を外して、タイル4を、既存のタイルの辺に平行に左下方向に戻し、端辺2にそってはめ込むと、図1で示した三角の部分にぴったり嵌るのである。
【0030】
このような方法は、1つのタイルにおいて、右上方に後退して切除し、その後右下方に後退して切除するという2回切除法を用いると、1つのタイルを2本の直角なラインで切断(即ち2回切除)しなければならないような隅の柱が邪魔をする部分でも敷設できる。
【符号の説明】
【0031】
1 本発明
2 端辺
3 三角形の余白
4 タイル
5 ライン
6 ライン
7 定規
図1
図2
図3
図4