特許第6757071号(P6757071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757071
(24)【登録日】2020年9月1日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】サイレンサーチューブ
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/56 20060101AFI20200907BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20200907BHJP
   B60J 3/00 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   E06B9/56 A
   E06B9/42 Z
   B60J3/00 H
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-238437(P2017-238437)
(22)【出願日】2017年12月13日
(65)【公開番号】特開2019-105089(P2019-105089A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】592058533
【氏名又は名称】株式会社シンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】細江 正幸
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/084803(WO,A1)
【文献】 特開2016−102000(JP,A)
【文献】 特開平11−81833(JP,A)
【文献】 実開平4−62795(JP,U)
【文献】 特開2008−82158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/40−9/50
E06B 9/56−9/92
B60J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の巻取シャフトと、前記巻取シャフトに巻かれるカーテンと、前記カーテンを巻き取り方向に付勢する付勢部材と、を備える車両用日除け装置に用いられ、前記巻取シャフトと前記付勢部材との間に配置されるサイレンサーチューブであって、
内管部と、前記内管部の外側に配設される外管部と、を備えて二重管構造に形成され、
前記内管部は、弾性変形可能で、摺動性及び耐摩耗性を有した部材で形成され、
前記外管部は、前記内管部よりも弾性変形しやすい部材で形成され、前記サイレンサーチューブの軸線方向に沿って、外側に突出するフィンが配設されていることを特徴とするサイレンサーチューブ。
【請求項2】
前記巻取シャフトの内周面には、前記巻取シャフトの軸線方向に沿って凹溝が形成され、
前記車両用日除け装置として組み付けられた状態において、
前記フィンが、前記凹溝内に配置可能とされていることを特徴とする請求項1記載のサイレンサーチューブ。
【請求項3】
前記サイレンサーチューブの軸線方向からみて、円弧部と平坦部とが交互に配置された略多角筒形状に形成され、
前記平坦部の内面と、前記付勢部材の外面とが接触可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のサイレンサーチューブ。
【請求項4】
前記内管部及び前記外管部が、耐熱性を有した部材で形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のサイレンサーチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の巻取シャフトと、巻取シャフトに巻かれるカーテンと、カーテンを巻き取り方向に付勢する付勢部材と、を備える車両用日除け装置に用いられるサイレンサーチューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用日除け装置に用いられるサイレンサーチューブとして、肉厚が厚い合成ゴム系のチューブを使用し緩衝機能を持たせているものがあった。そして、カーテンを巻き取り方向に付勢するばね表面に、耐熱グリスを塗布してチューブ内に挿入し、作動時の音を抑えていた。
【0003】
しかし、肉厚が厚いためカーテンが巻かれるアルミニウム製の巻取シャフト内に入れにくいうえに、重量も重くなるという問題があった。
【0004】
その対策として、チューブの肉厚を少し薄くすると入れやすくなるが、チューブが振動したときに巻取シャフト内部を叩くため音が発生する。また、ばねのグリス塗布のムラで擦れ音が発生することがあった。さらに、グリスの使用量が多いと、チューブ内に入りきらなかったグリスが、カーテンを汚してしまうことがあった。
【0005】
また、他のサイレンサーチューブ200として、図6に記載されるものがあり、これによれば、耐熱性を有する肉厚の薄いストロー状のチューブ201を使用していた。そして、ばね190の表面に耐熱グリスを塗布して挿入して、チューブ201の外側には、細く切ったフェルト202をらせん状に巻いて緩衝材にしていた。
【0006】
このような構成とすれば、フェルト202が弾性変形してアルミニウム製の巻取シャフト160内部に密着するので、チューブ201が巻取シャフト160の内部を叩く音はなくなる。また、フェルト202は弾性変形するため巻取シャフト160への挿入は容易となる。しかし、フェルト202を取り付ける工程が必要となり、構造が複雑になるとともに、製造コストがかかっていた。また、ばね190のグリス塗布ムラによる擦れ音、及び、カーテンを汚すことは、上記の肉厚チューブと同様に発生していた。
【0007】
なお、本発明の特許性に影響を与えるものではないが、巻取シャフトと、巻取シャフトに挿入されるコイルばねと、巻取シャフトとコイルばねとの間の空間に配設されるサイレンサーとしての減衰プロフィールとを有するローラーブラインド装置に係る発明が、特許文献1に記載されている。
【0008】
これによれば、減衰プロフィールは、外面が巻取シャフト内側と接触し、内面がコイルばね外側と接触して配置されていた。しかし、上記の減衰プロフィールは、単一の部材で形成されているので、コイルばねを保持して振動を止めること、コイルばねの回転による摩擦音を止めること、の両方に対応することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−82158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、簡易な構造でコスト削減が図れるとともに、音発生を抑制することができるサイレンサーチューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明では、筒状の巻取シャフトと、前記巻取シャフトに巻かれるカーテンと、前記カーテンを巻き取り方向に付勢する付勢部材と、を備える車両用日除け装置に用いられ、前記巻取シャフトと前記付勢部材との間に配置されるサイレンサーチューブであって、内管部と、前記内管部の外側に配設される外管部と、を備えて二重管構造に形成され、前記内管部は、弾性変形可能で、摺動性及び耐摩耗性を有した部材で形成され、前記外管部は、前記内管部よりも弾性変形しやすい部材で形成され、前記サイレンサーチューブの軸線方向に沿って、外側に突出するフィンが配設されている。
【0012】
これによれば、内管部に、摺動性及び耐摩耗性を有した部材を用いることで、付勢部材とサイレンサーチューブが擦れる際に生じる音がなくなり、付勢部材に音消し用耐熱グリスを塗らなくともよくなる。また、巻取シャフトの内側に、内管部よりも弾性変形しやすいフィンが接触して固定され、付勢部材の重みでサイレンサーチューブが振動して、巻取シャフトに当って音が発生することを防止できる。さらに、2材押出成形が可能な素材を使用することで一部品化することができ、組み付け時の部品点数が削減でき、加工費と部品費の削減に寄与できる。
【0013】
また、前記巻取シャフトの内周面には、前記巻取シャフトの軸線方向に沿って凹溝が形成され、前記車両用日除け装置として組み付けられた状態において、前記フィンが、前記凹溝内に配置可能とされている。
【0014】
これによれば、フィンが凹溝内に接触した状態に配置されるので、カーテンを引き出したときに、巻取シャフトとサイレンサーチューブとの滑りが無くなり、動作が同期して、巻取シャフトに、サイレンサーチューブを追随させることができるので、不要な振動が抑制され、付勢部材のばたつきを抑制することができる。
【0015】
また、前記サイレンサーチューブの軸線方向からみて、円弧部と平坦部とが交互に配置された略多角筒形状に形成され、前記平坦部の内面と、前記付勢部材の外面とが接触可能に形成されている。
【0016】
これによれば、円弧部において、付勢部材との間に隙間を生じさせることになるので、付勢部材をサイレンサーチューブ内に入れ易くなるとともに、サイレンサーチューブの内面と、付勢部材の外面とを接触させて、サイレンサーチューブが振動することを抑制できる。
【0017】
また、前記内管部及び前記外管部が、耐熱性を有した部材で形成されている。
【0018】
これによれば、長期間の使用で変形や性能低下が少なくすることができ、車両用日除け装置に好適なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態のサイレンサーチューブを備える車両用日除け装置の左前側からみた斜視図である。
図2図1のII−II線矢視断面図である。
図3】車両用日除け装置の左後ろ側からみた部分分解斜視図である。
図4】サイレンサーチューブの(a)は断面図、(b)は左前側からみた斜視図である。
図5】サイレンサーチューブの機能の説明図である。
図6】(a)は従来のサイレンサーチューブを備えた車両用日除け装置の左後ろ側からみた部分分解斜視図であり、(b)は従来のサイレンサーチューブの左前側からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の車両用日除け装置に用いられるサイレンサーチューブの一実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、各図面の矢印は、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。
【0021】
車両用日除け装置10は、図1〜3に示すように、ケース20と、ケース20に対して回動可能に軸支される巻取シャフト60と、巻取シャフト60に巻き付けられるカーテン70と、カーテン70を巻き取り方向に付勢する付勢部材としてのコイルばね90と、を備えている。
【0022】
ケース20は、図1〜3に示すように、合成樹脂で形成され、本体部21と、前支持部22と、後支持部23と、を有している。本体部21は、上壁21aと縦壁21bとを有している。縦壁21bは、断面略J字状に形成され、巻取シャフト60の回動、及びカーテン70の巻取り、繰出しを許容可能とされている。
【0023】
前支持部22には、図1に示すように、合成樹脂製のフロントホルダ30が取り付けられている。フロントホルダ30は、図1、3に示すように、取付部31と軸部32とを有している。
【0024】
フロントホルダ30は、取付部31において、ねじ止めされて前支持部22に取り付けられている。ケース20に取り付けられた状態において、軸部32は前後方向に沿って延びている。軸部32には、後述するコイルばね90の前端部が連結される。
【0025】
軸部32の外側には、円筒状のブッシュ40が嵌め込まれ、ブッシュ40は、フロントホルダ30に対して、回動可能とされている。ブッシュ40の外周面には、ブッシュ40の軸線方向(組み付けられた状態における前後方向)に沿うとともに、ブッシュ40の軸線方向からみて等間隔に径方向外側に突出する、四つの断面略半円形状のリブ41が配設されている。
【0026】
後支持部23には、合成樹脂製のリアホルダ50が取り付けられている。リアホルダ50は、図1、3に示すように、軸支部51と嵌合部52とを有している。リアホルダ50は、軸支部51において、後支持部23に前後方向に沿って設けられた軸支孔24に挿通され、ケース20に対して回動可能に形成されている。
【0027】
嵌合部52には、リアホルダ50の軸線方向(組み付けられた状態における前後方向)に沿うとともに、リアホルダ50の軸線方向からみて等間隔に径方向外側に突出する、四つの断面略半円形状のリブ53が配設されている。
【0028】
巻取シャフト60は、図1〜3に示すように、アルミニウムで円筒状に形成されている。巻取シャフト60の内周面には、巻取シャフト60の軸線方向に沿って回転対称な複数の波形溝61(特許請求の範囲の凹溝に相当する)が複数形成され、波形溝61は、ブッシュ40のリブ41、リアホルダ50のリブ53と、嵌合可能な形状に形成されている。また、車両用日除け装置10として組み付けられた状態において、後述するフィン103が、波形溝61内に配置可能とされている。
【0029】
巻取シャフト60の、前端部がブッシュ40と嵌合され、後端部が、リアホルダ50の嵌合部52と嵌合されることで、巻取シャフト60が、ケース20に対して回動可能に軸支されている。
【0030】
カーテン70は、図1に示すように、合成樹脂で布状に形成され、図示しない両面接着テープを介して巻取シャフト60に巻き付けられている。
【0031】
カーテン70の上端部には、アッパーワイヤ73が内蔵された合成樹脂製のアッパーワイヤカバー71が配設されている。アッパーワイヤカバー71の前後方向の中央部分には、カーテン70を引き上げるための合成樹脂製のノブ72が配設されている。アッパーワイヤカバー71には、上端から下端に向かって切り欠かれ、アッパーワイヤ73を露出可能とするスリット部74が、二か所設けられている。
【0032】
カーテン70は、後述する付勢部材としてのコイルばねにより、カーテン70を巻き取り方向に付勢される。
【0033】
巻取シャフト60の内部には、スライダ80と、コイルばね90と、サイレンサーチューブ100が配設されている。
【0034】
スライダ80は、図2に示すように、合成樹脂で略円筒状に形成され、外周面には、スライダ80の軸線方向(組み付けられた状態における前後方向)に沿うとともに、スライダ80の軸線方向からみて径方向外側に突出する、回転対称な複数の波形突起を有した嵌合部81が配設されている。嵌合部81は、波形溝61と噛み合い可能に形成され、巻取シャフト60の回転移動が、スライダ80に伝達可能とされている。
【0035】
コイルばね90は、金属製で、図2、3に示すように、前端部がフロントホルダ30の軸部32と連結され、後端部が、スライダ80の前端部と連結されている。本実施形態では、コイルばね90の外周径は、約5.7mmとされている。
【0036】
サイレンサーチューブ100は、図2〜4に示すように、内管部101と、外管部102と、を備えた二重管構造とされている。
【0037】
内管部101は、弾性変形可能で、摺動性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性、耐油性、消音性、を有した合成樹脂で、筒状に形成されている。
【0038】
本実施形態では、内管部101は、三井化学株式会社の商品名リュブマー(登録商標)、品番L8100−R2が用いられている。
【0039】
外管部102は、弾性変形可能で、耐熱性、耐油性、圧縮永久ひずみ特性、耐候性を有した合成樹脂で、後述する複数のフィン103が外側に配設された筒状に形成されている。外管部102は、内管部101よりも弾性変形しやすい部材で形成されている。
【0040】
本実施形態では、外管部102は、エクソンモービルコーポレーションの商品名サントプレーン(登録商標)、品番101−87が、用いられている。
【0041】
上記の内管部101、外管部102を構成する部材は、ともに押出成形に適した材料であり、2材押出成形が比較的容易に行える。よって、部品点数が削減でき、加工費と部品費の削減に寄与できる。
【0042】
図4(a)に示すように、サイレンサーチューブ100は、サイレンサーチューブ100の軸線C方向からみて、円弧部100aと平坦部100bとが交互に配置された略四角筒形状に形成されている。本実施形態では、対向する平坦部100bの距離は、約5.7mmとされている。
【0043】
外管部102の平坦部100bに相当する部位には、サイレンサーチューブ100の軸線方向(組み付けられた状態における前後方向)に沿って、外側に突出するフィン103が配設されている。本実施形態では、フィン103の突出長さは、約2.1mmとされている。
【0044】
なお、この場合「平坦」の解釈としては、物理的に「平坦」であるものだけでなく、寸法公差、加工精度による製品のばらつき等、出願時の技術常識を参酌して「略平坦」のものが含まれるものとする。
【0045】
サイレンサーチューブ100と、コイルばね90とは、同じくらいの長さに形成されている。本実施形態では、サイレンサーチューブ100の軸線方向の長さは、約282mmとされている。
【0046】
図2に示すように、巻取シャフト60と、コイルばね90の間に、サイレンサーチューブ100が、配設されている。サイレンサーチューブ100は、コイルばね90に対して回動可能とされている。
【0047】
サイレンサーチューブ100の機能、作用を説明すると、サイレンサーチューブ100に、円筒状のコイルばね90を挿入する際、図5に示すように、コイルばね90の外周面によって、サイレンサーチューブ100が、弾性変形して押し広げられ無理なく挿入できる。サイレンサーチューブ100が、一旦挿入されると、図4(a)に示すように、サイレンサーチューブ100の内面が、コイルばね90の外面の最大四か所と接触するため、サイレンサーチューブ100が振動することを抑制できる。
【0048】
サイレンサーチューブ100にコイルばね90を挿入した後、さらに、サイレンサーチューブ100を巻取シャフト60内に挿入する際、フィン103の先端部と、巻取シャフト60の波形溝61との間に多少クリアランスを持たせないと、サイレンサーチューブ100と巻取シャフト60とが接触するときの摩擦で挿入しづらくなる。そのため、図2に示すように、フィン103の長さを最適化して、巻取シャフト60の波形溝61との間に、少しクリアランスが生じるようにしている。
【0049】
本実施形態では、巻取シャフト60の波形溝61との間のクリアランスは、約0.15ミリメールに設定されている。なお、クリアランスがあるので、走行中の振動で、サイレンサーチューブ100がバタついて、音を発生させるようにも思えるが、クリアランスが僅かであり、フィン103は、内管部101よりも弾性変形しやすく、柔軟性があるため、音の発生を抑えることができる。
【0050】
車両用日除け装置10に配設されたサイレンサーチューブ100の使用態様を説明する。
【0051】
車両に取り付けられた車両用日除け装置10は、カーテン70が引き出されることにより、それにともない巻取シャフト60が回転し、巻取シャフト60が回転すると、嵌合部81が波形溝61と噛み合っているスライダ80が回転する。
【0052】
カーテン70が引き出されることにより、コイルばね90の径が小さくなり後ろ方向に向かって延びるのにともない、スライダ80は後ろ方向に移動することになる。これにより、カーテン70を巻き取り方向に付勢する力が付与される。
【0053】
ノブ72を持ち上げ、アッパーワイヤカバー71の二か所のスリット部74において露出しているアッパーワイヤ73を、車両内部に配設される図示しない二つの係止部材に係止することで、カーテン70により車両の窓が覆われる。
【0054】
車両内部に配設される係止部材と、アッパーワイヤ73との係止を解除すると、カーテン70は、コイルばね90の巻き取り方向への付勢力により、巻取シャフト60に巻き取られる。
【0055】
上記の動作中、サイレンサーチューブ100は、内管部101が、摺動性、消音性を有しているので、コイルばね90に対して回動しても、コイルばね90とサイレンサーチューブ100が擦れる際に生じる音がなくなる。
【0056】
また、外管部102が、図2に示すように、巻取シャフト60の波形溝61にフィン103が入り込み固定されるので、コイルばね90の重みでサイレンサーチューブ100が振動して巻取シャフト60に当って音が発生することを防ぐ。また、カーテン70を引き出したときに、巻取シャフト60に、サイレンサーチューブ100が追随することができる。
【0057】
上記構成のサイレンサーチューブ100では、筒状の巻取シャフト60と、巻取シャフト60に巻かれるカーテン70と、カーテン70を巻き取り方向に付勢する付勢部材としてのコイルばね90と、を備える車両用日除け装置10に用いられ、巻取シャフト60とコイルばね90との間に配置されるサイレンサーチューブであって、内管部101と、内管部101の外側に配設される外管部102と、を備えて二重管構造に形成され、内管部101は、弾性変形可能で、摺動性及び耐摩耗性を有した部材で形成され、外管部102は、内管部101よりも弾性変形しやすい部材で形成され、サイレンサーチューブ100の軸線方向に沿って、外側に突出するフィン103が配設されている。
【0058】
これによれば、内管部101に、摺動性及び耐摩耗性を有した部材を用いることで、コイルばね90とサイレンサーチューブ100が擦れる際に生じる音がなくなり、コイルばね90に音消し用耐熱グリスを塗らなくともよくなる。また、巻取シャフト60の内側に、内管部101よりも弾性変形しやすいフィン103が接触して固定され、コイルばね90の重みでサイレンサーチューブ100が振動して、巻取シャフト60に当って音が発生することを防止できる。さらに、2材押出成形が可能な素材を使用することで一部品化することができ、組み付け時の部品点数が削減でき、加工費と部品費の削減に寄与できる。
【0059】
また、巻取シャフト60の内周面には、巻取シャフト60の軸線方向に沿って波形溝61が形成され、車両用日除け装置10として組み付けられた状態において、フィン103が、波形溝61内に配置可能とされている。
【0060】
これによれば、フィン103が波形溝61内に接触した状態に配置されるので、カーテン70を引き出したときに、巻取シャフト60に、サイレンサーチューブ100を追随させることができて、巻取シャフト60とサイレンサーチューブ100との滑りが無くなり、動作が同期するので、不要な振動が抑制され、コイルばね90のばたつきを抑制することができる。
【0061】
また、サイレンサーチューブ100の軸線方向からみて、円弧部100aと平坦部100bとが交互に配置された略四角筒形状に形成され、平坦部100bの内面と、コイルばね90の外面とが接触可能に形成されている。
【0062】
これによれば、円弧部100aにおいて、コイルばね90との間に隙間を生じさせることになるので、コイルばね90をサイレンサーチューブ100内に入れ易くなるとともに、サイレンサーチューブ100の内面と、コイルばね90の外面とを接触させて、サイレンサーチューブ100が振動することを抑制できる。
【0063】
また、内管部101及び外管部102が、耐熱性を有した部材で形成されている。
【0064】
これによれば、長期間の使用で変形や性能低下が少なくすることができ、車両用日除け装置に好適なものとすることができる。
【0065】
本発明のサイレンサーチューブ100は上記構成に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0066】
例えば、フィン103の数は、波形溝61に接触可能に配置されるのであれば、四つ以外の数に設定することができる。そして、サイレンサーチューブ100は、フィン103の数に対応して、サイレンサーチューブ100の軸線方向からみて、略四角筒形状以外の、略多角筒形状とすることも可能である。
【0067】
また、凹溝は、回転対称な複数の波形溝61としたが、フィン103を配置可能であれば、断面多角形状の溝とすることもできる。
【0068】
また、フィン103は、軸線方向に沿って断続的に配置することも可能である。
【0069】
また、内管部101は、摺動性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性、耐油性、消音性、を有するのであれば他の部材を適用することができる。
【0070】
また、外管部102は、耐熱性、耐油性、圧縮永久ひずみ特性、耐候性を有するのであれば他の部材を適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 車両用日除け装置
60 巻取シャフト
61 波形溝
70 カーテン
90 コイルばね
100 サイレンサーチューブ
100a 円弧部
100b 平坦部
101 内管部
102 外管部
103 フィン
図1
図2
図3
図4
図5
図6