特許第6757112号(P6757112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6757112電力変換装置および電力変換装置の状態判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757112
(24)【登録日】2020年9月1日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】電力変換装置および電力変換装置の状態判定方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20200907BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-6676(P2014-6676)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2015-136243(P2015-136243A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年8月8日
【審判番号】不服2019-3207(P2019-3207/J1)
【審判請求日】2019年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 伸久
(72)【発明者】
【氏名】毛利 江鳴
(72)【発明者】
【氏名】栗田 將紀
【合議体】
【審判長】 田中 秀人
【審判官】 小林 秀和
【審判官】 月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−295299(JP,A)
【文献】 特開平7−59359(JP,A)
【文献】 特開2009−11042(JP,A)
【文献】 特開2013−219939(JP,A)
【文献】 特開平6−103872(JP,A)
【文献】 特開平6−249569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷で生じた回生電力を交流電力に変換して電源に出力する回生電力逆変換部と、
前記回生電力逆変換部を制御する回生電力逆変換制御部と、
継電器を開閉するための駆動信号を出力する継電器制御部と、
前記継電器制御部から前記継電器に出力される前記駆動信号を検出する検出部と、
前記継電器制御部から出力される前記継電器の開閉状態を示す制御状態信号と、前記検出部の検出結果とに基づいて、前記継電器の状態を判定する判定部と、
前記負荷に交流電力を出力する逆変換部と、
前記逆変換部を制御する逆変換制御部と、
を有し、
前記継電器は、容量素子と直列に接続されて、前記回生電力逆変換部及び前記逆変換部に並列に接続され、
前記判定部は、前記継電器制御部から、
前記継電器を開いたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出部によって前記継電器を閉じるための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定し、
前記継電器を閉じたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出部によって前記継電器を開くための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定し、
前記判定部によって前記継電器が異常であると判定された場合、
前記回生電力逆変換制御部は、前記回生電力逆変換部の電力変換を停止するように制御し、
前記逆変換制御部は、前記逆変換部の電力変換を停止するように制御する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
負荷で生じた回生電力を交流電力に変換して電源に出力する回生電力逆変換部と、
前記負荷に交流電力を出力する逆変換部と、
容量素子と直列に接続されて、前記回生電力逆変換部及び前記逆変換部に並列に接続された継電器と、
前記継電器を開閉するための駆動信号を出力する継電器制御部と、
を有する電力変換装置の状態判定方法であって、
前記継電器制御部から前記継電器に出力される前記駆動信号を検出する検出ステップと、
前記継電器制御部から出力される前記継電器の開閉状態を示す制御状態信号と、前記検出ステップの検出結果とに基づいて、前記継電器の状態を判定する判定ステップと、
前記継電器の状態の判定結果が異常である場合、回生電力逆変換制御部が前記回生電力逆変換部電力変換を停止させるとともに、逆変換制御部が前記逆変換部の電力変換を停止させる制御ステップと、
を有し、
前記判定ステップは、前記継電器制御部から、
前記継電器を開いたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出ステップで前記継電器を閉じるための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定し、
前記継電器を閉じたことを示す前記制御状態信号が出力され、前記検出ステップで前記継電器を開くための前記駆動信号が検出された場合、前記継電器は異常であると判定する
ことを特徴とする電力変換装置の状態判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置および電力変換装置の状態判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の回路構成で突入電流抑制抵抗の焼損を防止するとともにリレーの動作状態を判別することができる突入電流防止回路の保護方法とそれを備えたインバータ装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−11042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示される技術では、アンサーバック機能を有するリレーを用いて、リレーの状態を判定しているという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、アンサーバック機能の無い継電器であっても、より簡易な構成で継電器の状態を判定することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。上記課題を解決すべく、本発明に係る電力変換装置は、継電器を開閉するための駆動信号を出力する継電器制御部と、前記継電器制御部から前記継電器に出力される前記駆動信号を検出する検出部と、前記継電器制御部から出力される前記継電器の開閉状態を示す制御状態信号と、前記検出部の検出結果とに基づいて、前記継電器の状態を判定する判定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アンサーバック機能の無い継電器であっても、より簡易な構成で継電器の状態を判定することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成、および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示した図である。
図2】判定部29の機能ブロックの一例を示した図である。
図3】比較部43の比較動作を説明する図である。
図4】判定部29の動作例を示したフローチャートである。
図5】判定部29の機能を実現するハードウェア構成の一例を示した図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示した図である。図1に示すように、電力変換装置は、インバータ装置10と、回生コンバータ装置20とを有している。図1には、電力変換装置の他に、電源1と、負荷2とが示してある。電源1は、例えば、三相交流電源である。負荷2は、例えば、モータである。
【0011】
インバータ装置10には、電源1から交流電力が供給される。インバータ装置10は、電源1から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を交流電力に変換して、負荷2に出力する。インバータ装置10は、順変換部11と、サイリスタ12と、抵抗13と、容量素子14,16と、逆変換部15と、インバータ制御部17とを有している。
【0012】
順変換部11は、電源1に接続されている。順変換部11は、電源1から供給される交流電圧を直流電圧に変換し、インバータ装置10の直流母線に出力する。
【0013】
サイリスタ12は、順変換部11と逆変換部15との間に直列に接続されている。サイリスタ12には、抵抗13が並列に接続されている。
【0014】
サイリスタ12は、電源1の電源投入時オフし、インバータ装置10の直流母線の電圧が、容量素子14の充電により所定の電圧以上になると(図1の矢印P1,N1間の電圧が所定の電圧以上になると)オンする。すなわち、順変換部11から出力される電流は、電源1の電源投入時、抵抗13を流れ、その後、インバータ装置10の直流母線の電圧が所定の電圧以上になると、サイリスタ12を流れる。このように、電源1の電源投入時、順変換部11から出力される電流を抵抗13に流すことによって、順変換部11および容量素子14に突入電流が流れるのを抑制する。
【0015】
なお、サイリスタ12は、例えば、インバータ制御部17によってオンされる。例えば、インバータ制御部17は、インバータ装置10の直流母線の電圧が所定の電圧以上になると、サイリスタ12のゲートに電圧を供給し、サイリスタ12をオンする。
【0016】
容量素子14は、順変換部11に並列に接続されている。容量素子14は、順変換部11から出力される電圧を平滑化する。容量素子14は、例えば、電解コンデンサである。
【0017】
逆変換部15は、順変換部11に並列に接続されている。逆変換部15は、順変換部11から出力される直流電圧を交流電圧に変換し、負荷2に出力する。逆変換部15は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のスイッチング素子を有し、インバータ制御部17の制御に応じてIGBTをオンおよびオフして、交流電圧を負荷2に出力する。
【0018】
容量素子16は、逆変換部15に並列に接続されている。容量素子16は、例えば、逆変換部15のオンおよびオフ動作によって生じる過渡的な高電圧を吸収するスナバコンデンサである。
【0019】
インバータ制御部17は、上記したようにサイリスタ12のオンおよびオフ動作を制御する。また、インバータ制御部17は、逆変換部15のオンおよびオフ動作を制御して、負荷2が所望の動作をするように制御する。例えば、負荷2がモータであって、そのモータが力行状態にある場合、インバータ制御部17は、逆変換部15を制御して、直流電圧を所定の周波数の交流電圧に変換し、モータを駆動する。また、後述するが、インバータ制御部17は、判定部29の判定結果に応じて、逆変換部15のスイッチング動作を停止(電力変換を停止)する。
【0020】
回生コンバータ装置20は、逆変換部15に並列に接続されている。回生コンバータ装置20は、負荷2で生じた回生電力を交流電力に変換し、電源1に出力する。
【0021】
例えば、負荷2がモータであって、そのモータが回生状態になると、モータは発電機として機能し、インバータ装置10の直流母線の電圧は上昇する。回生コンバータ装置20は、インバータ装置10(または回生コンバータ装置20)の直流母線の電圧が所定の電圧以上になると、回生コンバータ装置20の直流母線の電圧(すなわち、インバータ装置10の直流母線の電圧)を交流電圧に変換し、電源1へ出力する。
【0022】
なお、回生コンバータ装置20から電源1へ出力された電力は、図1に示していない、電源1に接続されている他の機器へ供給される。また、回生コンバータ装置20は、負荷2が回生状態にあるときに動作する。
【0023】
回生コンバータ装置20は、ダイオード21と、継電器22と、抵抗23と、容量素子24,26と、逆変換部25と、検出部27と、継電器制御部28と、判定部29と、コンバータ制御部30とを有している。
【0024】
ダイオード21は、インバータ装置10の直流母線と逆変換部25との間に直列に接続されている。ダイオード21は、回生コンバータ装置20から、インバータ装置10へ流れる逆流電流を抑制する、逆流防止ダイオードである。
【0025】
継電器22は、容量素子24と直列に接続され、逆変換部25に並列に接続されている。継電器22には、抵抗23が並列に接続されている。継電器22は、アンサーバック機能を備えない継電器である。
【0026】
継電器22は、電源1の電源投入時オフし、回生コンバータ装置20の直流母線の電圧が、容量素子24の充電により所定の電圧以上になるとオンする。すなわち、順変換部11から出力される電流は、電源1の電源投入時、抵抗23を流れ、その後、回生コンバータ装置20の直流母線の電圧が所定の電圧以上になると、継電器22を流れる。このように、電源1の電源投入時、順変換部11から出力される電流を抵抗23に流すことによって、順変換部11および容量素子24に突入電流が流れるのを抑制する。
【0027】
継電器22は、継電器制御部28から出力される駆動電流に応じて、開閉動作する。例えば、継電器22は、コイルとスイッチとを有し、継電器制御部28から駆動電流が出力されるとコイルが励磁してスイッチを閉じ、オンする。また、継電器22は、例えば、継電器制御部28から駆動電流が出力されなくなるとコイルから磁束が発生しなくなり、スイッチを開いて、オフする。
【0028】
容量素子24は、抵抗23が並列に接続された継電器22と直列に接続されて、逆変換部25に並列に接続されている。容量素子24は、回生コンバータ装置20の直流母線の電圧(図1の矢印P2,N2間の電圧)を平滑化する。容量素子24は、例えば、電解コンデンサである。
【0029】
逆変換部25は、ダイオード21を介して、インバータ装置10の逆変換部15と並列に接続されている。逆変換部25は、回生コンバータ装置20の直流母線の電圧を交流電圧に変換し、電源1へ出力する。すなわち、逆変換部25は、負荷2で生じた回生電力を交流電力に変換し、電源1に出力する。
【0030】
容量素子26は、逆変換部25に並列に接続されている。容量素子26は、例えば、逆変換部25のオンおよびオフ動作によって生じる過渡的な高電圧を吸収するスナバコンデンサである。
【0031】
検出部27は、継電器制御部28から出力される駆動電流を検出し、検出結果を判定部29に出力する。例えば、検出部27は、駆動電流を検出した場合、駆動電流を検出したことを示す「駆動電流有信号」を判定部29に出力する。また、例えば、検出部27は、駆動電流を検出しなかった場合、駆動電流を検出されなかったことを示す「駆動電流無信号」を判定部29に出力する。
【0032】
検出部27は、例えば、抵抗を有し、その抵抗の両端に生じる電圧を検出することによって、駆動電流を検出する。検出部27は、その他の一般的な電流検出器を用いることもできる。
【0033】
継電器制御部28は、継電器22に駆動電流を出力して、継電器22の開閉動作を制御する。また、継電器制御部28は、継電器22の開閉状態を示す制御状態信号を判定部29に出力する。
【0034】
例えば、継電器制御部28は、継電器22のスイッチを閉じるよう、駆動電流を継電器22に出力している場合、継電器22を閉じている(オンしている)ことを示す制御状態信号を判定部29に出力する。また、継電器制御部28は、継電器22のスイッチを開くよう、駆動電流を継電器22に出力していない場合、継電器22を開いている(オフしている)ことを示す制御状態信号を判定部29に出力する。以下では、継電器22を閉制御していることを示す制御状態信号を「閉信号」、継電器22を開制御していることを示す制御状態信号を「開信号」と呼ぶことがある。
【0035】
判定部29は、継電器制御部28から出力される継電器22の開閉状態を示す制御状態信号と、検出部27の駆動電流の検出結果とに基づいて、継電器22の状態を判定する。
【0036】
例えば、判定部29は、継電器制御部28から「閉信号」を示す状態制御信号が出力されているにも関わらず、検出部27によって駆動電流が検出されない場合、継電器22は「異常」であると判定する。また、判定部29は、継電器制御部28から「開信号」を示す状態制御信号が出力されているにも関わらず、検出部27によって駆動電流が検出された場合、継電器22は「異常」であると判定する。
【0037】
コンバータ制御部30は、インバータ装置10(または回生コンバータ装置20)の直流母線の電圧に基づいて、逆変換部25のオンおよびオフ動作を制御する。例えば、コンバータ制御部30は、インバータ装置10の直流母線の電圧が、負荷2で生じた回生電力によって所定の電圧以上になると、逆変換部25のオンおよびオフ動作を開始する。これにより、負荷2で生じた回生電力は、電源1に出力される。また、後述するが、コンバータ制御部30は、判定部29の判定結果に応じて、逆変換部25のスイッチング動作を停止(電力変換を停止)する。
【0038】
図2は、判定部29の機能ブロックの一例を示した図である。図2に示すように、判定部29は、制御状態信号入力部41と、検出結果入力部42と、比較部43と、出力部44とを有している。
【0039】
制御状態信号入力部41には、継電器制御部28から出力される制御状態信号が入力される。例えば、制御状態信号入力部41には、継電器22を閉制御していることを示す「閉信号」または継電器22を開制御していることを示す「開信号」が入力される。
【0040】
検出結果入力部42には、検出部27から出力される検出結果が入力される。例えば、検出結果入力部42には、駆動電流が検出されたことを示す「駆動電流有信号」または駆動電流が検出されていないことを示す「駆動電流無信号」が入力される。
【0041】
比較部43は、制御状態信号入力部41に入力された制御状態信号と、検出結果入力部42に入力された検出結果(検出結果信号)とを比較し、比較結果を出力部44に出力する。
【0042】
図3は、比較部43の比較動作を説明する図である。図3の表51に示すように、制御状態信号が「閉信号」であって、検出結果信号が「駆動電流有信号」である場合、比較部43は、「信号一致」の比較結果を出力部44に出力する。すなわち、継電器制御部28が継電器22のスイッチを閉じるように制御しており、実際に、継電器制御部28から、継電器22のスイッチを閉じるための駆動電流が継電器22に出力されている場合、比較部43は、「信号一致」の比較結果を出力部44に出力する。
【0043】
また、制御状態信号が「閉信号」であって、検出結果信号が「駆動電流無信号」である場合、比較部43は、「信号不一致」の比較結果を出力部44に出力する。すなわち、継電器制御部28が継電器22のスイッチを閉じるように制御しているにも関わらず、継電器制御部28から、継電器22のスイッチを閉じるための駆動電流が継電器22に出力されていない場合、比較部43は、「信号不一致」の比較結果を出力部44に出力する。
【0044】
また、制御状態信号が「開信号」であって、検出結果信号が「駆動電流有信号」である場合、比較部43は、「信号不一致」の比較結果を出力部44に出力する。すなわち、継電器制御部28が継電器22のスイッチを開くように制御しているにも関わらず、継電器制御部28から、継電器22のスイッチを閉じるための駆動電流が継電器22に出力されている場合、比較部43は、「信号不一致」の比較結果を出力部44に出力する。
【0045】
また、制御状態信号が「開信号」であって、検出結果信号が「駆動電流無信号」である場合、比較部43は、「信号一致」の比較結果を出力部44に出力する。すなわち、継電器制御部28が継電器22のスイッチを開くように制御しており、継電器制御部28から、継電器22のスイッチを開くために駆動電流が継電器22に出力されていない場合、比較部43は、「信号一致」の比較結果を出力部44に出力する。
【0046】
つまり、比較部43は、制御状態信号が示す継電器22の開閉状態と、検出結果信号が示す継電器22の開閉状態とが一致していれば、「信号一致」の比較結果を出力する。また、比較部43は、制御状態信号が示す継電器22の開閉状態と、検出結果信号が示す継電器22の開閉状態とが一致していなければ、「信号不一致」の比較結果を出力する。
【0047】
なお、「信号不一致」が生じるケースとしては、例えば、継電器22のコイルの断線がある。例えば、継電器22のコイルに断線が生じている場合、継電器制御部28が継電器22のスイッチを閉じようとして、駆動電流を出力しても、継電器制御部28から継電器22には電流は流れない。つまり、継電器22のコイルに断線が生じている場合、継電器制御部28からは、「閉信号」の制御状態信号が出力されているにも関わらず、駆動電流は、検出部27によって検出されない状態となる。
【0048】
また、比較部43は、例えば、「閉信号」および「駆動電流有信号」を「1」とし、「開信号」および「駆動電流無信号」を「0」として、排他的論理和演算を行ってその結果を比較結果として出力してもよい。この場合、「信号一致」の比較結果は、「0」で出力され、「信号不一致」の比較結果は、「1」で出力される。
【0049】
図2の説明に戻る。出力部44は、比較部43の比較結果に応じて、継電器22が異常であるかまたは正常であるかの判定結果を、インバータ制御部17およびコンバータ制御部30に出力する。
【0050】
例えば、出力部44は、比較部43から「信号一致」の比較結果が出力された場合、継電器22は、正常である旨の判定結果を出力する。また、出力部44は、比較部43から「信号不一致」の比較結果が出力された場合、継電器22は、異常である旨の判定結果を出力する。
【0051】
すなわち、出力部44は、比較部43から「信号一致」の比較結果が出力された場合、継電器制御部28が継電器22を制御している状態と、駆動電流で実際に継電器22を開閉している状態とが一致しているとし、正常である旨の判定結果を出力する。また、出力部44は、比較部43から「信号不一致」の比較結果が出力された場合、継電器制御部28が継電器22を制御している状態と、駆動電流で実際に継電器22を開閉している状態とが一致していないとし、異常である旨の判定結果を出力する。
【0052】
図4は、判定部29の動作例を示したフローチャートである。図4のフローチャートは、例えば、電源1の電源が投入されたときに実行される。
【0053】
まず、制御状態信号入力部41は、継電器制御部28から出力される制御状態信号を入力し、検出結果入力部42は、検出部27から出力される検出結果信号を入力する(ステップS1)。
【0054】
次に、比較部43は、制御状態信号入力部41によって入力された制御状態信号と、検出結果入力部42によって入力された検出結果信号とを比較する(ステップS2)。
【0055】
次に、比較部43は、制御状態信号と検出結果信号とが信号一致したか否か判定する(ステップS3)。比較部43は、制御状態信号と検出結果信号とが信号一致した場合、ステップS4へ処理を移行する。比較部43は、制御状態信号と検出結果信号とが信号一致しない場合、ステップS6へ処理を移行する。
【0056】
比較部43は、ステップS3にて、制御状態信号と検出結果信号とが信号一致したと判定した場合、「信号一致」の比較結果を出力部44へ出力する(ステップS4)。
【0057】
次に、出力部44は、ステップS4にて、比較部43から「信号一致」の比較結果が出力されると、「正常」の判定結果をインバータ制御部17およびコンバータ制御部30へ出力する(ステップS5)。
【0058】
比較部43は、ステップS3にて、制御状態信号と検出結果信号とが信号一致しないと判定した場合、「信号不一致」の比較結果を出力部44へ出力する(ステップS6)。
【0059】
次に、出力部44は、ステップS6にて、比較部43から「信号一致」の比較結果が出力されると、「異常」の判定結果をインバータ制御部17およびコンバータ制御部30へ出力する(ステップS7)。
【0060】
ここで、継電器22が正常に動作せず、継電器22のスイッチが閉となっていない状態(異常状態)で、逆変換部25がスイッチング動作を開始すると、逆変換部25のスイッチング素子は、容量素子26の容量によっては、ターンオフサージ電圧によって破損する場合がある。そこで、インバータ制御部17およびコンバータ制御部30は、出力部44から、「異常」の判定結果が出力されると、逆変換部15および逆変換部25の電力変換を停止する。これにより、逆変換部25の破損を防止することができる。
【0061】
なお、図4のフローチャートは、電源1の電源が投入されたときに実行されるとしたが、電源投入後、周期的に実行されてもよい。
【0062】
また、上述したフロー図の各処理単位は、判定部29の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。判定部29の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0063】
図5は、判定部29の機能を実現するハードウェア構成の一例を示した図である。判定部29は、例えば、図5に示すような、CPU(Central Processing Unit)61と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)63と、通信インターフェイス(I/F)64とを備える。
【0064】
判定部29の機能は、例えば、ROM63などからRAM62にロードされた所定のプログラムをCPU61が実行することで実現される。判定部29と、インバータ制御部17およびコンバータ制御部30との通信は、例えば、CPU61が通信I/F64を利用することで実現される。
【0065】
ROM63は、例えば、フラッシュメモリなどであってもよい。そして、上記の所定のプログラムは、例えば、通信I/F64を介してネットワークからフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0066】
また、判定部29の一部またはすべての機能は、例えば、CPU、ROM、RAM、駆動回路などを有するASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備えたコントローラー基板等により実現してもよい。また、判定部29は、CPU等の演算装置を用いないで、ロジック回路等によって、実現してもよい。
【0067】
また、図3に示した表51のデータは、ROM63に記憶するようにしてもよい。比較部43は、入力された制御状態信号および検出結果信号に基づいて、ROM63またはROM63からRAM62に展開された表51のデータを参照し、比較結果を算出してもよい。
【0068】
上述した判定部29の機能構成は、判定部29の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。判定部29の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0069】
このように、電力変換装置は、継電器制御部28から出力される継電器22の開閉状態を示す制御状態信号と、検出部27の検出結果とに基づいて、継電器22の状態を判定するようにした。これにより、アンサーバック機能を備えない継電器22であっても、より簡易な構成で継電器22の状態を判定することができる。
【0070】
また、アンサーバック機能を備えない継電器22であっても、継電器22の状態を判定することができるので、逆変換部25の破損を防止することができる。
【0071】
また、アンサーバック機能を備えない継電器22を用いることによって、コスト低減を図ることができる。
【0072】
なお、上記では、順変換部11は、直流電圧を出力するとしたが、直流電流を出力してもよい。また、逆変換部15,25は、交流電圧を出力するとしたが、交流電流を出力してもよい。
【0073】
また、上記では、継電器22は、継電器制御部28から駆動電流が出力されるとスイッチを閉じてオンするとしたが、継電器制御部28から駆動電流が出力されるとスイッチを開いてオフするようにしてもよい。また、継電器22は、継電器制御部28から駆動電流が出力されないとスイッチを開いてオフするとしたが、継電器制御部28から駆動電流が出力されないとスイッチを閉じてオンするようにしてもよい。
【0074】
また、継電器22は、駆動電流によって開閉動作するとしたが、駆動電圧によって開閉動作してもよい。そして、検出部27は、継電器制御部28から出力される駆動電圧を検出し、判定部29は、継電器制御部28の制御状態信号と、検出部27の電圧検出結果とに基づいて、継電器22の状態を判定するようにしてもよい。
【0075】
また、上記では、インバータ制御部17は、判定部29の判定結果が「異常」である場合、逆変換部15の電力変換を停止するとしたが、インバータ装置10および回生コンバータ20の直流母線を流れる電流が所定値以下になるように、逆変換部15の電力変換を制御するようにしてもよい。すなわち、インバータ制御部17は、インバータ装置10および回生コンバータ20の直流母線を流れる、負荷2による回生電流を低下させ、抵抗23の焼損を防止する。
【0076】
例えば、インバータ装置10の直流母線を流れる回生電流は、逆変換部15の出力電流から算出することができる。また、インバータ制御部17は、逆変換部15から負荷2へ出力される電流を監視している。従って、インバータ制御部17は、判定部29の判定結果が「異常」である場合、逆変換部15の出力電流から、インバータ装置10の直流母線を流れる回生電流を算出することができ、算出した回生電流が所定値以下になるように、逆変換部15の電力変換を制御することができる。
【0077】
また、判定部29は、判定結果を表示装置に表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは、継電器22の異常を知ることができる。
【0078】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、インバータ装置10と回生コンバータ装置20とを備える電力変換装置について説明した。第2の実施の形態では、回生コンバータ装置20を備えていない電力変換装置について説明する。
【0079】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示した図である。図6において図1と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0080】
図6に示すように、インバータ装置10Aは、図1のサイリスタ12に対し、継電器71が設けられている。また、インバータ装置10Aは、継電器制御部73から継電器71に出力される駆動電流を検出する検出部72と、継電器71の開閉動作を制御する継電器制御部73と、継電器71の異常を判定する判定部74と、インバータ制御部75とを有している。
【0081】
継電器71は、アンサーバンク機能を備えない継電器である。継電器71は、電源1の電源投入時、オフし、直流母線の電圧が、容量素子14の充電により所定の電圧以上になると、オンする。すなわち、順変換部11から出力される電流は、電源1の電源投入時、抵抗13を流れ、その後、直流母線の電圧が所定の電圧以上になると、継電器71に流れる。このように、電源1の電源投入時、順変換部11から出力される電流を抵抗13に流すことによって、順変換部11および容量素子14に突入電流が流れるのを抑制する。
【0082】
継電器71は、継電器制御部73から出力される駆動電流に応じて、開閉動作する。継電器71の動作は、図1の継電器22と同様であり、その説明を省略する。
【0083】
継電器制御部73は、継電器71に駆動電流を出力して、継電器71の開閉動作を制御する。また、継電器制御部73は、継電器71の開閉状態を示す制御状態信号を判定部74に出力する。
【0084】
判定部74は、継電器制御部73から出力される継電器71の開閉状態を示す制御状態信号と、検出部72の駆動電流の検出結果とに基づいて、継電器71の状態を判定する。判定部74は、図2に示した判定部29の機能ブロックと同様の機能ブロックを有する。従って、判定部74の動作は、判定部29と同様であり、その説明を省略する。
【0085】
インバータ制御部75は、判定部74から「異常」の判定結果が出力されると、逆変換部15の電力変換を停止する。または、インバータ制御部75は、判定部74から「異常」の判定結果が出力されると、直流母線を流れる電流が所定値以下となるように、逆変換部15の電力変換を制御するようにしてもよい。なお、第1の実施の形態で説明したように、インバータ制御部75は、逆変換部15の出力電流から、直流母線を流れる電流を算出することができる。
【0086】
このように、電力変換装置は、継電器制御部73から出力される継電器71の開閉状態を示す制御状態信号と、検出部72の検出結果とに基づいて、継電器71の状態を判定するようにした。これにより、アンサーバック機能を備えない継電器71であっても、より簡易な構成で継電器71の状態を判定することができる。
【0087】
また、アンサーバック機能を備えない継電器71であっても、継電器71の状態を判定することができるので、抵抗13の焼損を防止することができる。
【0088】
また、アンサーバック機能を備えない継電器71を用いることによって、コスト低減を図ることができる。
【0089】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0090】
また、第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせることも可能である。例えば、図1のサイリスタ12の代わりに、図6に示したように継電器と、その継電器を制御する継電器制御部と、継電器制御部から出力される駆動電流を検出する検出部とを設ける。これにより、サイリスタ12の代わりに用いられた継電器の状態を判定することができる。
【0091】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0092】
本発明は、電力変換装置の異常を判定する方法、電力変換装置の異常を判定するプログラム、当該プログラムを記憶した記憶媒体として提供することもできる。
【符号の説明】
【0093】
1:電源、2:負荷、10,10A:インバータ装置、11:順変換部、12:サイリスタ、13,23:抵抗、14,16,24,26:容量素子、15,25:逆変換部、17,75:インバータ制御部、20:回生コンバータ装置、21:ダイオード、22:継電器、27:検出部、28:継電器制御部、29:判定部、30:コンバータ制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6