(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757130
(24)【登録日】2020年9月1日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】アズレン化合物を有する組成物、並びにアズレン化合物の変色防止剤及び変色防止方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20200907BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20200907BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20200907BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20200907BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20200907BHJP
A61K 31/185 20060101ALI20200907BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20200907BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20200907BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20200907BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/60
A61K8/44
A61K8/49
A61Q19/00
A61K31/185
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/22
A61P29/00
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-216876(P2015-216876)
(22)【出願日】2015年11月4日
(65)【公開番号】特開2017-88510(P2017-88510A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】山口 寛子
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 英美
【審査官】
駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−188618(JP,A)
【文献】
特公昭49−011219(JP,B1)
【文献】
特開平02−069421(JP,A)
【文献】
特開2005−198642(JP,A)
【文献】
特開平05−178716(JP,A)
【文献】
特開2003−128537(JP,A)
【文献】
特開2005−298452(JP,A)
【文献】
特開平10−323196(JP,A)
【文献】
特開2007−302751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K31/33−33/44
A61K31/00−31/327
C07H1/00−99/00
A61K 9/00−9/72
A61K47/00−47/69
A61P1/00−43/00
A61K 36/00−36/05
A61K 36/07−36/9068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B);
(A)グアイアズレンスルホン酸およびその塩または水和物の1種または2種以上 0.001〜0.5%
(B)グルコシルヘスペリジンの1種または2種以上 0.001〜0.1%、ならびに
水
を含有する組成物。
【請求項2】
化粧料又は皮膚外用剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに塩基性アミノ酸を含有する、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
グルコシルヘスペリジンの1種又は2種以上を有効成分とする、グアイアズレンスルホン酸およびその塩または水和物の1種または2種以上の変色防止剤。
【請求項5】
グアイアズレンスルホン酸およびその塩または水和物の1種または2種以上を含有する組成物に、グルコシルヘスペリジンの1種又は2種以上を添加する、アズレン構造を有する化合物の変色防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アズレン構造を有する化合物、及び、ヘスペリジン構造を有する化合物、塩基性アミノ酸から選ばれる1種または2種以上を含有する組成物に関し、更に詳細には、ヘスペリジン構造を有する化合物や塩基性アミノ酸による、アズレン構造を有する化合物の変色を防止する組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アズレン構造を有する化合物は肥満細胞によるヒスタミン遊離を抑制することで、消炎作用、抗アレルギー作用などの作用を有する薬物であり、様々な医療分野で治療や予防目的に広く使用されている。しかし、アズレン構造を有する化合物は光によって徐々に分解し褪色や色相変化等の変色が発生することから、製品の色調変化や薬効の低下が問題となっている。
【0003】
一般的に、光に対して不安定な薬剤は収容する包装材料による遮光、あるいは容器の素材に色素やアルミニウムを用いる遮光などが用いられるが、前者ではユーザーが商品購入後に包材を使用せずに光に照射される可能性があること、後者では充填工程後の異物混入試験ができないなど様々な問題が生じており、製剤としてよりアズレン構造を有する化合物の安定性が高いものを作ることが重要である。
【0004】
そこで、光に対して不安定なアズレン構造を有する化合物の安定性を製剤面から改善する方法として、アズレン誘導体とキサンチン類を含有し、アズレン誘導体を安定化する組成物(例えば、特許文献1参照)、アズレン類にベルベリン類及びポリビニルピロリドン、コンドロイチン類を含有させ、アズレン類の長期安定性を向上させる水性液剤(例えば、特許文献2参照)、アズレン誘導体にpH緩衝剤として有機酸とアミノ酸類を含有させ、アズレン誘導体の光への安定性を増強させた水性液剤(例えば、特許文献3参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−128537号公報
【特許文献2】特開2005−298364号公報
【特許文献3】特開2005−298452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの方法はいずれも安定化剤が高価であったり、安定化効果が十分でなかったり、あるいは剤型に制限が生じる等の問題があった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、消炎等に有用であることが知られているアズレン構造を有する化合物の変色を防止し安定性を高める組成物や方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる実情に鑑み、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アズレン構造を有する化合物と、ヘスペリジン構造を有する化合物、塩基性アミノ酸から選ばれる1種または2種以上を組み合わせることにより、アズレン構造を有する化合物の光による変色の防止や安定化に著しい効果を発揮することを見出し、すなわちアズレン構造を有する化合物の持つ消炎効果等を飛躍的に高めることができ、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は次の成分(A)及び(B);
(A)アズレン構造を有する化合物
(B)ヘスペリジン構造を有する化合物、塩基性アミノ酸から選ばれる1種または2種以上
を含有する組成物を提供するものである。
【0010】
成分(B)の塩基性アミノ酸がアルギニン、ヒスチジンから選ばれる1種又は2種である、前記組成物を提供するものである。
【0011】
成分(B)がヘスペリジン構造を有する化合物及び塩基性アミノ酸である、前記組成物を提供するものである。
【0012】
ヘスペリジン構造を有する化合物、塩基性アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、アズレン構造を有する化合物の変色防止剤を提供するものである。
【0013】
アズレン構造を有する化合物を含有する組成物に、ヘスペリジン構造を有する化合物、塩基性アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上を添加するアズレン構造を有する化合物の変色防止方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の組成物、変色防止剤、変色防止方法は、アズレン構造を有する化合物の安定性を向上させることでアズレン構造を有する化合物の効果を有効に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明品及び比較品の568nmにおける吸光度を示す図である。
【
図2】本発明品及び比較品の568nmにおける吸光度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の組成物における成分(A)アズレン構造を有する化合物(以下、「アズレン化合物」と称する場合がある)は、分子内にアズレンの構造を有する成分である。このような化合物としては、例えば、アズレン、グアイアズレン、カマアズレン、アズレンスルホン酸、グアイアズレンスルホン酸、カマアズレンスルホン酸、アズレンカルボン酸、グアイアズレンカルボン酸、カマアズレンカルボン酸およびこれらの塩や水和物などが挙げられる。その塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。これら成分(A)の中でも、薬効や発色等の観点からグアイアズレン構造を有する化合物が好ましく、さらに水への溶解性という観点からグアイアズレンスルホン酸塩が好ましい。成分(A)は1種又は2種以上を用いることができる。
【0017】
本発明の組成物における成分(A)の含有量は、特に限定されず、使用するアズレン化合物の種類等によって異なるが、0.0001〜5質量%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、0.001〜0.5%がより好ましい。
【0018】
成分(A)アズレン化合物は568nm付近に特有の光吸収を有しており、アズレン化合物の分解等が生じた場合には波長568nm付近の光吸収が減少するという性質がある。この性質を利用して、アズレン化合物に日光や蛍光灯等の光を照射し、波長568nm付近の光吸収を測定することで、アズレン化合物の残存量や残存率を算出し、安定性を評価することができる。
【0019】
本発明の組成物における成分(B)は、ヘスペリジン構造を有する化合物、塩基性アミノ酸から選ばれる1種または2種以上である。成分(B)のヘスペリジン構造を有する化合物(以下、「ヘスペリジン化合物」と称する場合がある)は、分子内にヘスペリジンの構造を有する成分である。ヘスペリジンは、ビタミンPとも呼ばれ、ウンシュウミカンやはっさく、ダイダイなどの果皮及び薄皮に多く含まれるフラバノン配糖体であり、陳皮の主成分である。
【0020】
本発明の組成物における成分(B)のヘスペリジン化合物は、例えば、α−モノグルコシルヘスペリジン、α−モノグルコシルヘスペリジン、α−トリグルコシルヘスペリジンなどのグルコシルヘスペリジンといった糖を結合させたヘスペリジン、メチルヘスペリジン、エピヘスペリジンなどが挙げられる。これらヘスペリジン化合物の中でも、成分(A)の安定性等の観点から、グルコシルヘスペリジンが好ましい。
【0021】
本発明の組成物における成分(B)の塩基性アミノ酸は、分子内に2以上のアミノ基を有するアミノ酸である。成分(B)としては、アルギニン、ヒスチジン、リジン、オルニチンおよびトリプトファンからから選択される1種または2種以上であることが好ましく、2種以上であることがより好ましい。塩基性アミノ酸の中でも、成分(A)の安定性の観点からアルギニン、ヒスチジンを用いることが好ましく、これらを併用することがより好ましい。
【0022】
また、成分(B)としてヘスペリジン化合物と塩基性アミノ酸を併用することが好ましく、さらに、この場合においても塩基性アミノ酸を2種以上用いることがより好ましい。例えば、グルコシルヘスペリジンとアルギニンの併用や、さらにヒスチジンを併用させたもの等が挙げられる。
【0023】
本発明の組成物における成分(B)の含有量は、特に限定されず、剤型、使用目的等によっても異なるが、成分(A)の安定性等の観点から、0.0001〜5%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1%である。
【0024】
本発明の組成物における成分(A)と成分(B)の含有質量比率は特に限定されないが、成分(A)の安定性の観点から、30:1〜1:30が好ましく、10:1〜1:10がより好ましい。
【0025】
また、本発明の組成物のpHは特に限定されないが、成分(A)の安定性の観点から、pH=6.0〜8.0が好ましく、pH=6.0〜7.5がより好ましく、pH=7.0付近が最も好ましい。
【0026】
本発明の組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分の他に、化粧料、皮膚外用剤、食品、インク、洗剤、衣料用柔軟仕上剤、芳香剤、消臭剤、織物等の製剤に使用される成分、すなわち、水(精製水、温泉水、深層水等)、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を加えることができる。
【0027】
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されず、常法により調製される。例えば、上記成分(A)及び(B)、さらに必要に応じて上記任意成分を加え、これを混合することにより調製する方法が挙げられる。
【0028】
本発明の組成物は、液状、ジェル状、クリーム状、固形状、粉末状、ムース状等の種々の形態で実施することが可能であり、霧状に噴霧可能な容器に収容して霧状に噴霧して用いてもよい。また、本発明品の剤型は、可溶化型、水中油型、油中水型、油性型、水中油中水型、油中水中油型、多層型等特に限定されるものではない。
【0029】
本発明の組成物の用途に関しては特に制限はなく、化粧料、皮膚外用剤、食品、インク、洗剤、衣料用柔軟仕上剤、芳香剤、消臭剤、織物等種々の用途の組成物として用いることができる。アズレン化合物は消炎効果等に優れるという特徴があり、その観点では、化粧料又は皮膚外用剤として用いるのが好ましい。
【0030】
本発明の化粧料の例としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック等のスキンケア化粧料、ファンデーション、頬紅、口紅、アイカラー、マスカラ、アイライナー、マニキュア等のメーキャップ化粧料、養毛料、ヘアトニック、シャンプー、リンス、ヘアワックス等の頭髪用化粧料、洗顔料、ボディソープ等の洗浄料、等のいずれの形態であってもよい。
【0031】
本発明の皮膚外用剤の例としては、特に限定されず、例えば、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、液剤、リニメント剤、ハップ剤等のいずれの形態であってもよい。
【0032】
本発明の食品(動物飼料を含む)の例としては、冷凍食品、粉末食品、シート状食品、瓶詰食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル状食品、タブレット状食品等の形態の他、例えば蛋白質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香料等が配合された自然流動食、半消化栄養食および成分栄養食、ドリンク剤等の加工形態等、いずれの形態でもよい。
【0033】
また、本発明の変色防止剤は、ヘスペリジン化合物、塩基性アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、アズレン化合物の変色防止剤である。また、本発明の変色防止方法は、アズレン化合物を含有する組成物に、ヘスペリジン化合物、塩基性アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上を添加する、アズレン構造を有する化合物の変色防止方法である。
【0034】
以下、実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
<アズレン化合物の変色防止効果(安定化効果)試験>
グアイアズレンスルホン酸ナトリウムは波長568nmに特有の光吸収を有しており、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの分解等が生じた場合には波長568nmの光吸収が減少するという性質を利用して、以下の手順に従ってグアイアズレンスルホン酸ナトリウムの残存量を測定し、安定性を評価した。
【0036】
実施例1<pH検討>
【0037】
試料として、表1に示すように、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムを0.03%含有し、α−モノグルコシルヘスペリジン、L−アルギニンから選ばれる1種または2種以上を0.01%で含有する水溶液を常法にて調製した。なお、各溶液はリン酸一水素二ナトリウムとリン酸二水素一ナトリウムを用いて各pHに調製した。これら各試料溶液をガラス製5号規格瓶に分注し、窓際で太陽光を3日間照射した後、568nmの吸光度を測定し、結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から明らかなように、本発明品は比較品に比べ、各pHにおいて568nmの吸光度が高く、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果に優れるものであった。また、pH=6.0〜7.5のいずれにおいてもグアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果に優れ、その中でもpH=7.0が最もグアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果に優れるものであった。
【0040】
実施例2<各種薬剤の検討>
【0041】
試料として、表2に示すように、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムを0.03%含有し、D−パンテノール、グリチルリチン酸ジカリウム、抗酸化剤としてアスコルビン酸グルコシド、ニコチン酸アミド、α−モノグルコシルヘスペリジン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、グリシルグリシン、紫外線吸収剤としてフェニルベンズミダゾールスルホン酸(メルク社製、「EUSOLEX232」)のいずれかを0.01%含有する水溶液を常法にて調製した。なお、各溶液はリン酸一水素二ナトリウムとリン酸二水素一ナトリウムを用いてpH7.0に調製した。これら各試料溶液をガラス製5号規格瓶に分注し、窓際で太陽光を3日間照射した後、568nmの吸光度を測定し、結果を表2及び
図1に示した。
【0042】
【表2】
【0043】
表2及び
図1から明らかなように、本発明品は比較品に比べ、568nmの吸光度が高く、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果に優れるものであった。一方、抗酸化剤、紫外線吸収剤、塩基性ではないアミノ酸等を用いた比較品は、いずれも568nmの吸光度が低く、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果に劣るものであった。
【0044】
実施例3<各種変色防止剤の併用による効果の検討>
【0045】
実施例2においてアズレンの変色抑制効果が認められたヘスペリジン化合物、塩基性アミノ酸について併用による効果の検討を行った。
【0046】
試料として、表3に示すように、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムを0.03%含有し、α−モノグルコシルヘスペリジン、L−アルギニン、L−ヒスチジンを2種以上含有する水溶液を常法にて調製した。変色防止剤の添加量はいずれの場合も変色防止剤総量として0.01%で含有するよう調製した。なお、各溶液はリン酸一水素二ナトリウムとリン酸二水素一ナトリウムを用いてpH7.0に調製した。これら各試料溶液をガラス製5号規格瓶に分注し、窓際で太陽光を3日間照射した後、568nmの吸光度を測定し、結果を表3及び
図2に示した。なお、
図2には、前述の本発明品4〜6、比較品2、対照品2も併せて示した。
【0047】
【表3】
【0048】
表3及び
図2から明らかなように、α−モノグルコシルヘスペリジン、塩基性アミノ酸を2種以上含有する本発明品7〜10は、1種含有する本発明品4〜6よりも568nmの吸光度が高く、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果に優れるものであった。このことから、α−モノグルコシルヘスペリジン、塩基性アミノ酸を2種以上併用することで、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果がさらに優れることが認められた。
【0049】
実施例4[化粧水]
(成分) (%)
1.グリセリン 5.0
2.1,3−ブチレングリコール 5.0
3.グルコシルトレハロース 3.0
4.乳酸 0.05
5.乳酸ナトリウム 0.1
6.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン 1.2
7.エタノール 8.0
8.トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(注1) 0.5
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
10.香料 0.05
11.精製水 残 量
12.グアイアズレンスルホン酸ナトリウム 0.04
13.α−モノグルコシルヘスペリジン 0.02
14.L−ヒスチジン 0.02
15.L−アルギニン 0.02
(注1)サラコス6318V (日清オイリオ社製)
【0050】
(製造方法)
A:成分6〜11を混合溶解する。
B:成分1〜5及び12を混合溶解する。
C:BにAを添加混合する。
D:13〜15を加えて均一に混合し、化粧水を得た。
【0051】
実施例4の化粧水は、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果に優れた化粧水であった。
【0052】
実施例5[乳液]
(成分) (%)
1.モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン 1.0
2.トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン 0.5
3.グリセリルモノステアレート 1.0
4.トリステアリン酸トリメチロールプロパン(注1) 5.0
5.ステアリン酸 0.5
6.ベヘニルアルコール 0.5
7.スクワラン 4.0
8.セラミド2 0.01
9.カルボキシビニルポリマー 0.1
10.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
11.水酸化ナトリウム 0.05
12.精製水 残 量
13.エタノール 5.0
14.香料 0.05
15.グアイアズレンスルホン酸ナトリウム 0.1
16.α−モノグルコシルヘスペリジン 0.03
17.L−ヒスチジン 0.05
【0053】
(製造方法)
A:成分1〜8を70℃で均一に混合する。
B:成分9〜13を70℃で均一に混合する。
C:BにAを加えて乳化し、室温まで冷却する。
D:14〜17を加えて均一に混合し、乳液を得た。
【0054】
実施例5の乳液は、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果に優れた乳液であった。
【0055】
実施例6[水中油型美容液]
(成分) (%)
1.グリセリン 10.0
2.水添レシチン 0.5
3.ジメチコン 0.1
4.スクワラン 1.0
5.セラミド2 0.005
6.コレステロール 0.1
7.β−カロチン 0.001
8.アスタキサンチン 0.001
9.(アスコルビル/トコフェリル)リン酸 0.01
10.グルコシルトレハロース 2.0
11.リン酸一水素二ナトリウム 0.1
12.リン酸二水素一ナトリウム 0.05
13.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)
コポリマー 0.5
14.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)
クロスポリマー 0.5
15.エタノール 5.0
16.カルボマー 0.2
17.ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1
18.ポリメタクリル酸メチル 1.5
19.L−アルギニン 0.1
20.PVP 0.3
21.水酸化ナトリウム 0.1
22.精製水 残 量
23.グアイアズレンスルホン酸ナトリウム 0.02
24.α−モノグルコシルヘスペリジン 0.01
25.ナイアシンアミド 0.01
26.ヒアルロン酸ナトリウム 0.005
27.EDTA−2ナトリウム 0.01
【0056】
(製造方法)
A:成分1〜8を70℃で均一に混合する。
B:成分9〜22を70℃で均一に混合する
C:AにBを加えて乳化し、室温まで冷却する。
D:23〜27を加えて均一に混合し、美容液を得た。
【0057】
実施例7の水中油型美容液は、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの変色防止効果に優れた水中油型美容液であった。