特許第6757142号(P6757142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6757142段ボール基材用染料型インクジェット受理剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757142
(24)【登録日】2020年9月1日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】段ボール基材用染料型インクジェット受理剤
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20200907BHJP
   B41M 5/50 20060101ALI20200907BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20200907BHJP
【FI】
   B41M5/00 132
   B41M5/50 120
   B41J2/01 123
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-10030(P2016-10030)
(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2017-128067(P2017-128067A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2019年1月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮太
【審査官】 野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−111845(JP,A)
【文献】 特開2014−094998(JP,A)
【文献】 特開2012−040778(JP,A)
【文献】 特開2013−163370(JP,A)
【文献】 特開2008−006734(JP,A)
【文献】 特開2007−111941(JP,A)
【文献】 特開2007−136734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00 − 5/52
B41J 2/01 − 2/215
C09D 11/00 − 11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂と、防錆剤とを含み、
前記エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂の配合量は、1.4〜14質量%であり、
前記水と、前記エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂との配合比は、86:14〜98.6:1.4であり、
前記水の含有量は、インク受理剤中、86〜98質量%である、段ボール基材用染料型インクジェット受理剤。
【請求項2】
前記エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂は、エピクロロヒドリン変性ポリアミド樹脂を含む、請求項1記載の段ボール基材用染料型インクジェット受理剤。
【請求項3】
前記防錆剤の配合量は、段ボール基材用染料型インクジェット受理剤中、0.2〜2質量%である、請求項1または2記載の段ボール基材用染料型インクジェット受理剤。
【請求項4】
前記防錆剤は、アミノアルコールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の段ボール基材用染料型インクジェット受理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール基材用染料型インクジェット受理剤に関する。より詳細には、本発明は、染料型インクジェットインキによって段ボール基材に印字を行う前に塗布され、得られる印刷物の耐水性および乾燥性を向上させ、高濃度の画像を形成するための段ボール基材用染料型インクジェット受理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生活用品や産業資材等の段ボールを中心とした包装容器の印刷分野において、顔料型および染料型の水性フレキソ印刷インキ組成物をフレキソ印刷機を用いて印刷するフレキソ印刷が行われている(たとえば、特許文献1、特許文献2を参照)。これに対し、小ロット化および安価な印刷方法で印刷することが要求されている。そのため、段ボール基材に印刷する際に、フレキソ印刷に代えて、インクジェット印刷機を用いたインクジェット印刷が行うことが検討されている。インクジェット印刷によって得られる印刷物は、グラビア印刷方式やオフセット印刷方式と競合できるように、美粧性が優れ、高精細かつ高品質であることが求められている。
【0003】
近年、環境に配慮した製品が求められている。そのため、段ボール基材は、古紙や再生紙等が利用されることがある。このような段ボール基材は、表面の凹凸が粗く、色合いが不鮮明であり、印字した際にインキの浸透性が高い。そのため、微小印刷物を製造することは、極めて困難である。具体的には、段ボール基材にインクジェットインキ組成物を印字した場合、下地であるライナー原紙の茶色が印刷品質の低下の原因となりやすい。特に、印刷部分に下地の色が発現すると、画像がくすんで見え、印刷物の見栄えが著しく損なわれる。また、染料型のインクジェットインキ組成物を印字した印刷物は、耐水性が低い。
【0004】
これらの問題を解決するために、顔料、接着剤、インク定着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールを含む受理層をライナー上に設けた段ボールライナーが提案されている(たとえば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平6−510080号公報
【特許文献2】特開2012−207130号公報
【特許文献3】特開2005−313437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の段ボールライナーは、依然として充分な耐水性、および、印刷適性(たとえば乾燥性や濃度)を有していない。また、特許文献3に記載のインク受理層を段ボール基材に塗工する際にコーター等を使用する場合、コーターが錆びやすい。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、染料型インクジェットインキによって段ボール基材に印字を行う前に塗布され、コーター等に錆を発生させにくく、得られる印刷物の耐水性および乾燥性を向上させ、高濃度の画像を形成するための段ボール基材用染料型インクジェット受理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、水とエピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂と防錆剤とを含む受理剤が、染料型インクジェットインキによって段ボール基材に印字を行う前に塗布されることにより、コーター等に錆を発生させにくく、得られる印刷物の耐水性および乾燥性を向上させ、高濃度の画像を形成し得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決する本発明の段ボール基材用染料型インクジェット受理剤には、以下の構成が主に含まれる。
【0009】
(1)水と、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂と、防錆剤とを含み、前記エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂の配合量は、1.4〜14質量%である、段ボール基材用染料型インクジェット受理剤。
【0010】
このような構成によれば、段ボール基材用染料型インクジェット受理剤は、染料型インクジェットインキによって段ボール基材に印字を行う前に塗布される際に、コーター等に錆を発生させにくい。また、得られる印刷物は、耐水性および乾燥性が向上され、高濃度の画像が形成され得る。
【0011】
(2)前記エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂は、エピクロロヒドリン変性ポリアミド樹脂を含む、(1)記載の段ボール基材用染料型インクジェット受理剤。
【0012】
このような構成によれば、段ボール基材用染料型インクジェット受理剤は、染料型インクジェットインキによって段ボール基材に印字を行う前に塗布されることにより、得られる印刷物の耐水性および乾燥性が向上され、高濃度の画像が形成され得る。
【0013】
(3)前記防錆剤の配合量は、段ボール基材用染料型インクジェット受理剤中、0.2〜2質量%である、(1)または(2)記載の段ボール基材用染料型インクジェット受理剤。
【0014】
このような構成によれば、段ボール基材用染料型インクジェット受理剤は、コーター等に錆をより発生させにくい。
【0015】
(4)前記防錆剤は、アミノアルコールである、(1)〜(3)のいずれかに記載の段ボール基材用染料型インクジェット受理剤。
【0016】
このような構成によれば、段ボール基材用染料型インクジェット受理剤は、コーター等に錆をより発生させにくい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、染料型インクジェットインキによって段ボール基材に印字を行う前に塗布され、コーター等に錆を発生させにくく、得られる印刷物の耐水性および乾燥性を向上させ、高濃度の画像を形成するための段ボール基材用染料型インクジェット受理剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<段ボール基材用染料型インクジェット受理剤>
本発明の一実施形態の段ボール基材用染料型インクジェット受理剤(以下、インクジェット受理剤ともいう)は、染料型インクジェットインキによって段ボール基材に印字を行う前に塗布される受理剤である。インクジェット受理剤は、水と、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂と防錆剤とを含む。以下、それぞれについて説明する。
【0019】
・染料型インクジェットインキ
染料型インクジェットインキは特に限定されない。一例を挙げると、染料型インクジェットインキは、周知の染料型インクジェットインキであり、アニオン型水溶性染料(酸性染料、直接染料等)、水、保湿剤(グリコール、グリセリン、アルキルアミン、アルカノールアミン類等)、その他添加剤(pH調整剤、防腐剤、界面活性剤等)を含む。染料型インクジェットインキは、染料の水溶液であるため、段ボール基材上で滲みやすい。また、染料型インクジェットインキは染料が水溶性であるため、耐水性が劣りやすい。本実施形態のインクジェット受理剤は、このような染料型インクジェットインキを印字する場合においても滲みを生じにくくし、耐水性を向上させるために、染料型インクジェットインキを印字する前に塗布される。
【0020】
・段ボール基材
段ボール基材は特に限定されない。一例を挙げると、段ボール基材は、板紙を多層構造で強靭にし、包装資材などに使用できるよう加工した板状の紙製品である。段ボール基材は、中芯の片面にのみライナーが貼合された片面段ボールであってもよく、中芯の両面にライナーが貼合された両面段ボールであってもよく、中芯/ライナーの積層体が複数段設けられた複数段の段ボールであってもよい。中芯は特に限定されない。中芯は積層紙であってもよく、層間に合成樹脂接着剤層が設けられた積層紙であってもよい。段ボール基材の原料である原料パルプは、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドパルプ(CGP)、段ボール古紙パルプ、雑誌古紙パルプ、未晒クラフトパルプ、クラフトパルプ、合成繊維等である。これらの中でも、資源保護の点から、原料パルプは、段ボール古紙パルプ、雑誌古紙パルプ等の古紙パルプであることが好ましい。
【0021】
・水
水は、本実施形態のインクジェット受理剤を構成する溶媒として配合される。水の配合量は特に限定されない。一例を挙げると、水は、インクジェット受理剤中、86質量%以上となるよう配合されることが好ましく、93質量%以上となるよう配合されることがより好ましい。また、水は、インクジェット受理剤中、98質量%以下となるよう配合されることが好ましく、96.5質量%以下となるよう配合されることがより好ましい。水の配合量が86質量%未満である場合、得られる印刷物の耐水性や乾燥性が低下しやすい。一方、水の配合量が98質量%を超える場合、耐水性向上効果が得られない傾向がある。
【0022】
・エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂
エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂とエピハロヒドリン等の変性剤とを周知の方法により適宜触媒の存在下で反応させることにより調製されるエピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂である。エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂は、得られる印刷物の耐水性を向上させる。
【0023】
エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂の配合量は、インクジェット受理剤中、1.4質量%以上であればよく、3.5質量%以上であることがより好ましい。また、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂の配合量は、インクジェット受理剤中、14質量%以下であればよく、7質量%以下であることがより好ましい。エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂の配合量が1.4質量%未満である場合、得られる印刷物の耐水性が充分に向上されない傾向がある。一方、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂の配合量が14質量%を超える場合、インクジェットインクの乾燥性が低下する傾向がある。
【0024】
本実施形態において、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂は、エピクロロヒドリン変性ポリアミド樹脂を含むことが好ましい。一例を挙げると、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂は、DK−6885(固形分70.0%)、WS−4002(固形分12.5%)、WS−4020(固形分25.0%)、TS−4070(固形分20.0%)(いずれも星光PMC(株)製)等である。この場合、得られる印刷物は、耐水性および乾燥性がより向上されやすい。
【0025】
・防錆剤
防錆剤は、インクジェット受理剤を段ボール基材に塗布する際に使用されるコーター等に錆を発生させにくくするために配合される。防錆剤は特に限定されない。一例を挙げると、アミノアルコールやアンモニア等のアルカリ類が挙げられる。防錆効果が優れる点から、防錆剤は、アミノアルコールが好ましい。一例を挙げると、アミノアルコールは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等である。
【0026】
防錆剤の配合量は特に限定されない。一例を挙げると、防錆剤は、インクジェット受理剤中、0.2質量%以上となるよう配合されることが好ましく、0.5質量%以上となるよう配合されることがより好ましい。また、防錆剤は、インクジェット受理剤中、2質量%以下となるよう配合されることが好ましく、1質量%以下となるよう配合されることがより好ましい。防錆剤の配合量が0.2質量%未満である場合、コーター等に錆が発生する可能性がある。一方、防錆剤の配合量が2質量%を超える場合、耐水性の低下や安定性の低下が起こる傾向がある。
【0027】
・任意成分
本実施形態のインクジェット受理剤は、適宜、任意成分が配合されてもよい。任意成分は、界面活性剤、ワックス、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤、乾燥調整剤、光沢剤、架橋剤等が例示される。
【0028】
インクジェット受理剤全体の説明に戻り、本実施形態のインクジェット受理剤において、水と、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂との配合比は、86:14〜98.6:1.4であることが好ましく、93:7〜:96.5:3.5であることがより好ましい。水とエピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂との配合比が上記範囲内である場合、得られる印刷物は、耐水性および乾燥性がより向上され、より高濃度の画像が形成され得る。
【0029】
インクジェット受理剤の調製方法は特に限定されない。インクジェット受理剤は、上記成分を混合することにより調製し得る。
【0030】
得られたインクジェット受理剤を段ボール基材(ライナ原紙)に塗工する方法は特に限定されない。一例を挙げると、インクジェット受理剤は、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータ、ダイコータ等の各種塗工装置によって塗工し得る。
【0031】
インクジェット受理剤の塗工量は特に限定されない。一例を挙げると、インクジェット受理剤の塗工量は、0.5〜4g/m2程度である。塗工量が0.5g/m2未満である場合、耐水性を充分に向上されない傾向がある。一方、塗工量が4g/m2を超える場合、高コストとなる傾向がある。
【0032】
インクジェット受理剤が塗工された段ボール基材は、その後、インクジェット印刷機を用いたインクジェット印刷により、上記した染料型インクジェットインキが付与され、適宜の画像が印字される。インクジェット印刷方式は、インクジェットインキをノズルから噴射して画像を形成する方式である。インクジェット印刷方式は、ピエゾ等の圧電素子を利用する方式、インクジェットインキの気化による圧力を利用する方式等が適宜採用される。また、インクジェット印刷方式は、画像に応じて間欠的にインク液滴を噴射するオンデマンド方式であってもよく、連続的に噴射して画像形成に必要な液滴だけを基材に着弾させるコンティニュアス方式であってもよい。
【0033】
得られる印刷物は、本実施形態のインクジェット受理剤によって、段ボール基材へのインクジェットインキの浸透性が低減されている。そのため、印刷物は、鮮明かつ高濃度である。また、印刷物は、耐水性および乾燥性が向上されている。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
【0035】
使用した原料および調製方法を以下に示す。
<エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂>
DK−6885 固形分70% 星光PMC(株)製
WS−4020 固形分25.0% 星光PMC(株)製
<防錆剤>
N,N−ジエチルエタノールアミン
<段ボール基材>
Kライナー(坪量:120g)
<染料型インクジェットインキ>
ICBK80(ブラック)、ICC80(シアン)、ICM80(マゼンダ)ICY80(イエロー) セイコーエプソン(株)製
【0036】
(実施例1〜5、比較例1〜4)
表1に示される配合組成となるように、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂、水およびアミノアルコールを攪拌混合し、インクジェット受理剤を調製した。なお、比較例1はブランクである。
【0037】
<印刷物の製造および印刷物の評価>
まず、段ボール基材に、0.1mmメアバーを用いて、塗工量が約4g/m2となるよう実施例1〜5、比較例2〜4で調製したそれぞれのインクジェット受理剤を塗工した。その後、インクジェットプリンタ(商品名:EP−707A セイコーエプソン(株)製)を使用して、染料型インクジェットインキを印字し、画像を形成した。得られた印刷物について、以下の評価方法および評価基準にしたがって耐水性、乾燥性および濃度を評価した。結果を表1に示す。なお、比較例1はブランクである。そのため、段ボール基材に、インクジェット受理剤を塗工することなく、上記条件にて染料型インクジェットインキを印字し、画像を形成した。
【0038】
<耐水性>
得られた印刷物に、水を1滴滴下し、直後に拭き取った。拭き取り後の状態について以下の評価基準に沿って評価した。
(評価基準)
○:インクが拭き取られずに、印刷物上に残った。
△:インクが一部拭き取られた。
×:多くのインクが拭き取られた。
<乾燥性>
印字直後の印刷物を指で触れ、以下の評価基準に追って乾燥状態を評価した。
(評価基準)
○:インクが指に付着しなかった。
△:わずかにインクが指に付着した。
×:多くのインクが指に付着した。
<濃度>
得られた印刷物の濃度を、以下の評価基準に沿って、目視で評価した。
(評価基準)
◎:濃度が濃くなった。
○:濃度は、インクジェット受理剤を塗布しない場合と同様であった。
△:濃度が薄くなった。
×:濃度が極端に薄くなった。
【0039】
【表1】
表1中、DK−6885およびWS−4020の配合量の値は、固形分の量を示している。
【0040】
表1に示されるように、水とエピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂と防錆剤とを含む実施例1〜5のインクジェット受理剤を用いた印刷物は、いずれも耐水性が優れていた。また、これら印刷物は、ブランク(比較例1)と同程度の乾燥性を示し、優れた製造効率を維持しつつ、画像の品質(濃度)を低下させずに維持し得ることが分かった。一方、エピハロヒドリン変性ポリアミド樹脂の配合量を多くした比較例2〜4のインクジェット受理剤を用いた印刷物は、耐水性が劣り、乾燥性も低下した。