(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0038】
(実施形態1)
[アクティブマトリクス基板の概略構成]
まず、
図1を参照しながら、本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板100の概略構成を説明する。
図1は、アクティブマトリクス基板100の平面構造の一例を示す概略図である。アクティブマトリクス基板100は、
図1に示すように、表示領域DRと、周辺領域FRとを有する。
【0039】
表示領域DRは、複数の画素領域PIXを含む。画素領域PIXは、表示装置の画素に対応する領域である。以下では、画素領域PIXを単に「画素」と呼ぶこともある。複数の画素領域PIXは、複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列されている。マトリクス状に配列された複数の画素領域PIXによって、表示領域DRが規定される。
【0040】
周辺領域FRは、表示領域DRの周辺に位置する。周辺領域FRは、表示に寄与しない領域であり、「非表示領域」または「額縁領域」と呼ばれることもある。
【0041】
アクティブマトリクス基板100の構成要素は、基板1によって支持されている。基板1は、例えばガラス基板である。
【0042】
基板1上には、複数本のゲートバスライン(走査線)GLと、複数本のソースバスライン(信号線)SLとが設けられている。複数本のゲートバスラインGLは、それぞれ行方向に沿って延びている。複数本のソースバスラインSLは、それぞれ列方向に沿って延びている。
図1では、第1行、第2行、・・・第x行のゲートバスラインGLを「GL1」、「GL2」、・・・「GLx」と表記しており、第1列、第2列、・・・第y列のソースバスラインSLを「SL1」、「SL2」、・・・「SLy」と表記している。
【0043】
典型的には、隣接する2本のゲートバスラインGLと隣接する2本のソースバスラインSLとによって囲まれる領域が、画素領域PIXである。各画素領域PIXは、薄膜トランジスタ2および画素電極3を含む。
【0044】
薄膜トランジスタ2は、「画素TFT」とも呼ばれる。薄膜トランジスタ2のゲート電極およびソース電極は、それぞれ対応するゲートバスラインGLおよび対応するソースバスラインSLに接続されている。また、薄膜トランジスタ2のドレイン電極は、画素電極3に接続されている。アクティブマトリクス基板100を、FFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界モードの液晶表示装置に用いる場合には、アクティブマトリクス基板100に、複数の画素領域PIXに対して共通の電極(共通電極)4が設けられる。アクティブマトリクス基板100を縦電界モードの液晶表示装置に適用する場合には、共通電極4は、アクティブマトリクス基板100に液晶層を介して対向するように配置される対向基板に設けられる。
【0045】
周辺領域FRには、ゲートバスラインGLを駆動するゲートドライバ(走査線駆動回路)5Aおよび5Bと、ソースバスラインSLを駆動するソースドライバ(信号線駆動回路)6と、デマルチプレクサ(DEMUX)回路10とが配置されている。DEMUX回路10は、ソースバスラインSLを時分割で駆動するSSD回路として機能する。本実施形態では、ゲートドライバ5Aおよび5Bと、DEMUX回路10とが基板1上に一体的(モノリシック)に形成されており、ソースドライバ6は、基板1上に実装(例えばCOG実装)されている。
【0046】
図示している例では、表示領域DRに対して左側に、奇数行のゲートバスラインGLを駆動するためのゲートドライバ5Aが配置されており、表示領域DRに対して右側に、偶数行のゲートバスラインGLを駆動するためのゲートドライバ5Bが配置されている。ゲートドライバ5Aが有する複数の出力端子(不図示)のそれぞれに、奇数行のゲートバスラインGLのそれぞれが接続されている。また、ゲートドライバ5Bが有する複数の出力端子(不図示)のそれぞれに、偶数行のゲートバスラインGLのそれぞれが接続されている。ゲートドライバ5Aおよび5Bは、それぞれシフトレジスタ回路5aを含んでいる。
【0047】
表示領域DRに対して下側に、ソースドライバ6が配置されており、ソースドライバ6と表示領域DRとの間に、DEMUX回路10が配置されている。ソースドライバ6は、複数の出力端子(不図示)を含む。ソースドライバ6とDEMUX回路10との間に位置する領域に、複数本の信号出力線(ビデオ信号線)VLが設けられている。複数本の信号出力線VLのそれぞれは、ソースドライバ6の複数の出力端子のそれぞれに接続されている。
図1では、1本目、2本目、・・・z本目の信号出力線VLを、「VL1」、「VL2」、・・・「VLz」と表記している。
【0048】
DEMUX回路10は、1本の信号出力線VLから供給される表示信号を、2本以上のソースバスラインSLに分配する。以下、本実施形態におけるDEMUX回路10をより詳細に説明するが、それに先立ち、比較例1、2および3のDEMUX回路を説明する。
【0049】
[比較例1のDEMUX回路]
図2を参照しながら、比較例1のDEMUX回路510を説明する。
【0050】
図2に示すように、DEMUX回路510は、複数の単位回路11を含む。複数の単位回路11のそれぞれは、1本の信号出力線VLから、2本のソースバスラインSLに表示信号を分配する。
図2に示されている2つの単位回路11のうちの一方(以下では「第1単位回路」とも呼ぶ)11Aは、信号出力線VL1から、ソースバスラインSL1およびSL3に表示信号を分配し、他方(以下では「第2単位回路」とも呼ぶ)11Bは、信号出力線VL2から、ソースバスラインSL2およびSL4に表示信号を分配する。
【0051】
各単位回路11は、2本の分岐配線BLと、2個のスイッチングTFT12とを含む。
【0052】
各単位回路11の2本の分岐配線BLは、1本の信号出力線VLに接続されている。また、各単位回路11の2個のスイッチングTFT12のそれぞれは、2本の分岐配線BLのそれぞれに接続されている。2個のスイッチングTFT12は、2本の分岐配線BLと2本のソースバスラインSLとの電気的な接続を個別に(独立に)オン/オフ制御する。2個のスイッチングTFT12のそれぞれは、酸化物半導体TFTである。
【0053】
第1単位回路11Aの2個のスイッチングTFT12Aおよび12Cのうちの一方12Aは、分岐配線BL1とソースバスラインSL1との電気的な接続をオン/オフ制御し、他方12Cは、分岐配線BL3とソースバスラインSL3との電気的な接続をオン/オフ制御する。前者のスイッチングTFT12Aのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL1およびソースバスラインSL1に接続されており、後者のスイッチングTFT12Cのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL3およびソースバスラインSL3に接続されている。
【0054】
第2単位回路11Bの2個のスイッチングTFT12Bおよび12Dのうちの一方12Bは、分岐配線BL2とソースバスラインSL2との電気的な接続をオン/オフ制御し、他方12Dは、分岐配線BL4とソースバスラインSL4との電気的な接続をオン/オフ制御する。前者のスイッチングTFT12Bのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL2およびソースバスラインSL2に接続されており、後者のスイッチングTFT12Dのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL4およびソースバスラインSL4に接続されている。
【0055】
DEMUX回路510は、
図2に示すように、各単位回路11の2個のスイッチングTFT12のゲート電極に印加される電圧を昇圧し得る複数個のブースト回路520をさらに含む。
図2に示す例では、各スイッチングTFT12に1個ずつブースト回路520が接続されている。具体的には、スイッチングTFT12A、12B、12Cおよび12Dのゲート電極が、それぞれブースト回路520A、520B、520Cおよび520Dの出力側に接続されている。
【0056】
図2に示す例では、各ブースト回路520は、第1駆動信号線DL1、第2駆動信号線DL2および第3駆動信号線DL3から供給される駆動信号群によって駆動される。以下では、第1駆動信号線DL1によって供給される駆動信号を「第1駆動信号」と呼び、第2駆動信号線DL2によって供給される駆動信号を「第2駆動信号」と呼び、第3駆動信号線DL3によって供給される駆動信号を「第3駆動信号」と呼ぶこともある。後に詳述するように、第1駆動信号、第2駆動信号および第3駆動信号の振幅に対応して、スイッチングTFT12のゲート電位の駆動振幅が大きくなるように、ブースト回路520による昇圧が行われる。
【0057】
図2に示す例では、2系統の駆動信号線群DG1およびDG2が設けられている。ブースト回路520Aおよび520Bは、駆動信号線群DG1およびDG2のうちの一方DG1の第1駆動信号線DL1A、第2駆動信号線DL2Aおよび第3駆動信号線DL3Aによって駆動される。また、ブースト回路520Cおよび520Dは、駆動信号線群DG1およびDG2のうちの他方DG2の第1駆動信号線DL1B、第2駆動信号線DL2Bおよび第3駆動信号線DL3Bによって駆動される。
【0058】
上述したように、DEMUX回路510は、スイッチングTFT12のゲート電極に印加される電圧を昇圧し得るブースト回路520を含んでいるので、DEMUX回路510の実効的な駆動電圧を高くすることができる。そのため、比較的小さな振幅の駆動信号でDEMUX回路510を駆動できるので、駆動信号の充放電による電力消費を低減できる。
【0059】
図3を参照しながら、ブースト回路520の具体的な構成を説明する。
【0060】
図3に示すように、ブースト回路520は、セット部521、リセット部522およびブースト部523を含んでいる。セット部521、リセット部522およびブースト部523は、それぞれスイッチングTFT12のゲート電極に接続されたノードNに接続されている。また、セット部521は第1駆動信号線DL1、リセット部522は第2駆動信号線DL2、ブースト部523は第3駆動信号線DL3にそれぞれ接続されている。
【0061】
セット部521は、第1駆動信号線DL1から第1駆動信号(セット信号)を供給され、ノードNをプリチャージする。ブースト部523は、第3駆動信号線DL3から第3駆動信号(ブースト信号)を供給され、セット部521によってプリチャージされたノードNの電位を昇圧する。リセット部522は、第2駆動信号線DL2から第2駆動信号(リセット信号)を供給され、ノードNの電位をリセットする。
【0062】
ここで、さらに
図4も参照しながら、ブースト回路520の(DEMUX回路510の)動作を説明する。
図4は、DEMUX回路510の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図4には、第1駆動信号線DL1A、DL1B、第2駆動信号線DL2A、DL2B、第3駆動信号線DL3A、DL3B、ノードNA、NB、信号出力線VLおよびソースバスラインSL1、SL3の電位が示されている。
【0063】
まず、時刻t1において、第1駆動信号線DL1Aの電位がハイレベル、第2駆動信号線DL2Aの電位がローレベルとなり、第1駆動信号がセット信号としてブースト回路520Aのセット部521に入力される。これにより、スイッチングTFT12Aのゲート電極に接続されたノードNAがプリチャージされる。また、このタイミングで信号出力線DLの電位が(つまり表示信号が)書き込み電圧レベルに変化し、選択されたソースバスラインSL1の充電が開始される。
【0064】
次に、時刻t2において、第3駆動信号線DL3Aの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号としてブースト回路520Aのブースト部523に入力される。これにより、ノードNAの電位が昇圧される。ノードNAの電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Aを介したソースバスラインSL1の充電が十分に行われる。
【0065】
続いて、時刻t3において、第1駆動信号線DL1Aの電位がローレベル、第2駆動信号線DL2Aの電位がハイレベル、第3駆動信号線DL3Aの電位がローレベルとなり、第2駆動信号がリセット信号としてブースト回路520Aのリセット部522に入力される。これにより、ノードNAの電位がリセットされる。このとき、スイッチングTFT12Aはオフ状態となり、ソースバスラインSL1の電位が確定する。
【0066】
また、時刻t3において、第1駆動信号線DL1Bの電位がハイレベル、第2駆動信号線DL2Bの電位がローレベルとなり、第1駆動信号がセット信号としてブースト回路520Cのセット部521に入力される。これにより、スイッチングTFT12Bのゲート電極に接続されたノードNBがプリチャージされる。また、このタイミングで信号出力線VLの電位が(つまり表示信号が)書き込み電圧レベルに変化し、選択されたソースバスラインSL3の充電が開始される。
【0067】
次に、時刻t4において、第3駆動信号線DL3Bの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号としてブースト回路520Cのブースト部523に入力される。これにより、ノードNBの電位が昇圧される。ノードNBの電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Bを介したソースバスラインSL3の充電が十分に行われる。
【0068】
その後、時刻t5において、第1駆動信号線DL1Bの電位がローレベル、第2駆動信号線DL2Bの電位がハイレベル、第3駆動信号線DL3Bの電位がローレベルとなり、第2駆動信号がリセット信号としてブースト回路520Cのリセット部522に入力される。これにより、ノードNBの電位がリセットされる。このとき、スイッチングTFT12Bはオフ状態となり、ソースバスラインSL3の電位が確定する。
【0069】
ソースバスラインSL1およびSL3への書き込みが完了(電位が確定)すると、ゲートバスラインGLから供給されるゲート信号がオフレベルとなり、画素PIXへの表示電圧の書き込みが完了する。
【0070】
図5を参照しながら、ブースト回路520のより具体的な構成を説明する。
図5は、ブースト回路520のセット部521、リセット部522およびブースト部523の具体的な構成の例を示す図である。
【0071】
図5に示すように、セット部521は、TFT(以下では「セット用TFT」と呼ぶ)524を含む。セット用TFT524は、ダイオード接続されており、セット用TFT524のゲート電極およびドレイン電極は、第1駆動信号線DL1に接続されている。また、セット用TFT524のソース電極は、ノードNに接続されている。
【0072】
リセット部522は、TFT(以下では「リセット用TFT」と呼ぶ)525を含む。リセット用TFT525のゲート電極は、第2駆動信号線DL2に接続されている。リセット用TFT525は、ノードNの電位をプルダウンし得るように構成されている。具体的には、リセット用TFT
525のソース電極は、定電位(負電源電位VSS)を与えられ、リセット用TFT
525のドレイン電極は、ノードNに接続されている。
【0073】
ブースト部523は、容量素子(以下では「ブースト用容量素子」と呼ぶ)526を含む。ブースト用容量素子526は、第3駆動信号線DL3に接続された電極(第1容量電極)と、ノードNに接続された電極(第2容量電極)とを含む。
【0074】
図6を参照しながら、ブースト回路520の動作を説明する。
図6は、ブースト回路520の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図6には、第1駆動信号線DL1、第2駆動信号線DL2、第3駆動信号線DL3、ノードN、信号出力線VLおよびソースバスラインSLの電位が示されている。以下の説明では、第1駆動信号線DL1、第2駆動信号線DL2および第3駆動信号線DL3の電位のハイレベルを「VDH」とし、ローレベルを「VDL」とする。VDHは例えば10Vであり、VDLは例えば−10Vである。
【0075】
まず、第1駆動信号線DL1の電位(セット信号)がローレベルからハイレベルに変化すると、セット用TFT524がオン状態となり、ノードNがプリチャージされる。このとき、セット用TFT524はダイオード接続されているので、セット用TFT524の閾値電圧をVthとすると、ノードNは、(VDH−Vth)の電位までプリチャージされる。
【0076】
次に、第3駆動信号線DL3の電位(ブースト信号)がローレベルからハイレベルに変化すると、ノードNの電位が昇圧される。昇圧の度合は、ノードNの負荷容量の合計(トータル負荷容量)Cn1に対する、ブースト用容量素子526の容量値Cbstの比に応じて異なる。具体的には、昇圧分の電位は、駆動信号の振幅(=VDH−VDL)に(Cbst/Cn1)を乗じたものとなる。従って、例えば、ノードNのトータル負荷容量Cn1が0.2pFであり、ブースト用容量素子526の容量値Cbstが0.1pFであると、ノードNの電位は、(VDH−Vth)から、{(VDH−Vth)+(VDH−VDL)・(0.1/0.2)}まで昇圧される。VDH=10V、VDL=−10V、Vth=2Vの場合、ノードNは18Vまで昇圧される。
【0077】
[比較例2のDEMUX回路]
図7を参照しながら、比較例2のDEMUX回路610を説明する。
【0078】
図7に示すように、DEMUX回路610は、複数の単位回路11を含む。複数の単位回路11のそれぞれは、1本の信号出力線VLから、2本のソースバスラインSLに表示信号を分配する。
図7に示されている2つの単位回路11のうちの一方(第1単位回路)11Aは、信号出力線VL1から、ソースバスラインSL1およびSL3に表示信号を分配し、他方(第2単位回路)11Bは、信号出力線VL2から、ソースバスラインSL2およびSL4に表示信号を分配する。
【0079】
各単位回路11は、2本の分岐配線BLと、2個のスイッチングTFT12とを含む。
【0080】
各単位回路11の2本の分岐配線BLは、1本の信号出力線VLに接続されている。また、各単位回路11の2個のスイッチングTFT12のそれぞれは、2本の分岐配線BLのそれぞれに接続されている。2個のスイッチングTFT12は、2本の分岐配線BLと2本のソースバスラインSLとの電気的な接続を個別に(独立に)オン/オフ制御する。2個のスイッチングTFT12のそれぞれは、酸化物半導体TFTである。
【0081】
第1単位回路11Aの2個のスイッチングTFT12Aおよび12Cのうちの一方12Aは、分岐配線BL1とソースバスラインSL1との電気的な接続をオン/オフ制御し、他方12Cは、分岐配線BL3とソースバスラインSL3との電気的な接続をオン/オフ制御する。前者のスイッチングTFT12Aのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL1およびソースバスラインSL1に接続されており、後者のスイッチングTFT12Cのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL3およびソースバスラインSL3に接続されている。
【0082】
第2単位回路11Bの2個のスイッチングTFT12Bおよび12Dのうちの一方12Bは、分岐配線BL2とソースバスラインSL2との電気的な接続をオン/オフ制御し、他方12Dは、分岐配線BL4とソースバスラインSL4との電気的な接続をオン/オフ制御する。前者のスイッチングTFT12Bのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL2およびソースバスラインSL2に接続されており、後者のスイッチングTFT12Dのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL4およびソースバスラインSL4に接続されている。
【0083】
DEMUX回路610は、
図7に示すように、各単位回路11の2個のスイッチングTFT12のゲート電極に印加される電圧を昇圧し得る複数個のブースト回路620をさらに含む。
図7に示す例では、各スイッチングTFT12に1個ずつブースト回路620が接続されている。具体的には、スイッチングTFT12A、12B、12Cおよび12Dのゲート電極が、それぞれブースト回路620A、620B、620Cおよび620Dの出力側に接続されている。
【0084】
図7に示す例では、各ブースト回路620は、第1駆動信号線DL1、第2駆動信号線DL2および第3駆動信号線DL3から供給される第1駆動信号、第2駆動信号および第3駆動信号によって駆動される。第1駆動信号、第2駆動信号および第3駆動信号の振幅に対応して、スイッチングTFT12のゲート電位の駆動振幅が大きくなるように、ブースト回路620による昇圧が行われる。
【0085】
図7に示す例では、2系統の駆動信号線群DG1およびDG2が設けられている。ブースト回路620Aおよび620Bは、駆動信号線群DG1およびDG2のうちの一方DG1の第1駆動信号線DL1A、第2駆動信号線DL2Aおよび第3駆動信号線DL3Aによって駆動される。また、ブースト回路620Cおよび620Dは、駆動信号線群DG1およびDG2のうちの他方DG2の第1駆動信号線DL1B、第2駆動信号線DL2Bおよび第3駆動信号線DL3Bによって駆動される。
【0086】
上述したように、DEMUX回路610は、スイッチングTFT12のゲート電極に印加される電圧を昇圧し得るブースト回路620を含んでいるので、DEMUX回路610の実効的な駆動電圧を高くすることができる。そのため、比較的小さな振幅の駆動信号でDEMUX回路610を駆動できるので、駆動信号の充放電による電力消費を低減できる。
【0087】
図8を参照しながら、ブースト回路620の具体的な構成を説明する。
【0088】
図8に示すように、ブースト回路620は、セット・リセット部621およびブースト部622を含んでいる。セット・リセット部621およびブースト部622は、それぞれスイッチングTFT12のゲート電極に接続されたノードNに接続されている。また、セット・リセット部621は、第1駆動信号線DL1および第2駆動信号線DL2に接続されており、ブースト部622は、第3駆動信号線DL3に接続されている。
【0089】
セット・リセット部621は、第1駆動信号線DL1から第1駆動信号(セット信号)を供給され、ノードNをプリチャージする動作(以下では「セット動作」と呼ぶ)を行う。第1駆動信号は、少なくともセット動作の開始時にレベル変化する信号である。また、セット・リセット部621は、第2駆動信号線DL2から第2駆動信号(リセット信号)を供給され、ノードNの電位をリセットする動作(以下では「リセット動作」と呼ぶ)を行う。第2駆動信号は、セット動作の開始時にレベル変化せず、且つ、リセット動作時に第1駆動信号と異なるレベルである信号である。セット・リセット部621によるセット動作およびリセット動作は、互いに異なるタイミングで行われる。
【0090】
ブースト部622は、第3駆動信号線DL3から第3駆動信号(ブースト信号)を供給され、セット・リセット部621のセット動作によってプリチャージされたノードNの電位を昇圧する。第3駆動信号は、少なくともブースト動作の開始時にレベル変化する信号である。
【0091】
ここで、さらに
図9も参照しながら、ブースト回路620の(DEMUX回路610の)動作を説明する。
図9は、DEMUX回路610の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図9には、第1駆動信号線DL1A、DL1B、第2駆動信号線DL2A、DL2B、第3駆動信号線DL3A、DL3B、ノードNA、NB、信号出力線VLおよびソースバスラインSL1、SL3の電位が示されている。また、
図9には、ゲートバスラインGLn、GLn+1の電位も示されている。
【0092】
まず、時刻t1において、第1駆動信号線DL1Aの電位がハイレベルとなる。このとき、第2駆動信号線DL2Aの電位は前水平走査期間からハイレベルのままであり、第1駆動信号がセット信号としてブースト回路620Aのセット・リセット部621に入力される。これにより、スイッチングTFT12Aのゲート電極に接続されたノードNAがプリチャージされる(セット動作)。また、このタイミングで信号出力線VLの電位が(つまり表示信号が)書き込み電圧レベルに変化し、選択されたソースバスラインSL1の充電が開始される。
【0093】
次に、時刻t2において、第2駆動信号DL2Aの電位がローレベルとなるとともに、第3駆動信号線DL3Aの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号としてブースト回路620Aのブースト部622に入力される。これにより、ノードNAの電位が昇圧される(ブースト動作)。ノードNAの電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Aを介したソースバスラインSL1の充電が十分に行われる。
【0094】
続いて、時刻t3において、第1駆動信号線DL1Aの電位がローレベル、第2駆動信号線DL2Aの電位がハイレベル、第3駆動信号線DL3Aの電位がローレベルとなり、第2駆動信号がリセット信号としてブースト回路620Aのセット・リセット部621に入力される。これにより、ノードNAの電位がリセットされ(リセット動作)、ソースバスラインSL1への書き込みが完了する。
【0095】
次に、時刻t4において、第1駆動信号線DL1Bの電位がハイレベルとなる。このとき、第2駆動信号線DL2Bの電位は前水平走査期間からハイレベルのままであり、第1駆動信号がセット信号としてブースト回路620Cのセット・リセット部621に入力される。これにより、スイッチングTFT12Cのゲート電極に接続されたノードNBがプリチャージされる(セット動作)。また、このタイミングで信号出力線VLの電位が(つまり表示信号が)書き込み電圧レベルに変化し、選択されたソースバスラインSL3の充電が開始される。
【0096】
続いて、時刻t5において、第2駆動信号DL2Bの電位がローレベルとなるとともに、第3駆動信号線DL3Bの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号としてブースト回路620Cのブースト部
622に入力される。これにより、ノードNBの電位が昇圧される(ブースト動作)。ノードNBの電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Cを介したソースバスラインSL3の充電が十分に行われる。
【0097】
次に、時刻t6において、第1駆動信号線DL1Bの電位がローレベル、第2駆動信号線DL2Bの電位がハイレベル、第3駆動信号線DL3Bの電位がローレベルとなり、第2駆動信号がリセット信号としてブースト回路620Cのセット・リセット部
621に入力される。これにより、ノードNBの電位がリセットされ(リセット動作)、ソースバスラインSL3への書き込みが完了する。
【0098】
その後、ソースバスラインSL1およびSL3への書き込みが完了(電位が確定)すると、ゲートバスラインGLnから供給されるゲート信号がオフレベルとなり(時刻t7)、画素PIXへの表示電圧の書き込みが完了する。以降、上述した動作を繰り返すことにより、全ゲートバスラインGL分の書き込みを行う。
【0099】
図10を参照しながら、ブースト回路620のより具体的な構成を説明する。
図10は、ブースト回路620のセット・リセット部621およびブースト部622の具体的な構成の例を示す図である。
【0100】
図10に示すように、セット・リセット部621は、TFT(以下では「セット・リセット用TFT」と呼ぶ)623を含む。セット・リセット用TFT623のゲート電極は、第2駆動信号線DL2に接続されている。また、セット・リセット用TFT623のドレイン電極は、第1駆動信号線DL1に接続されており、セット・リセット用TFT623のソース電極は、ノードNに接続されている。
【0101】
ブースト部622は、容量素子(以下では「ブースト用容量素子」と呼ぶ)624を含む。ブースト用容量素子624は、第3駆動信号線DL3に接続された電極(第1容量電極)と、ノードNに接続された電極(第2容量電極)とを含む。
【0102】
図11を参照しながら、ブースト回路620の動作を説明する。
図11は、ブースト回路620の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図11には、第1駆動信号線DL1、第2駆動信号線DL2、第3駆動信号線DL3、ノードN、信号出力線VLおよびソースバスラインSLの電位が示されている。
【0103】
まず、時刻t1において、第2駆動信号線DL2の電位(リセット信号)がハイレベルのまま、第1駆動信号線DL1の電位(セット信号)がローレベルからハイレベルに変化すると、セット・リセット用TFT623がオン状態となり、ノードNがプリチャージされる。このとき、セット・リセット用TFT623のゲート電極およびドレイン電極が同電位であり、セット・リセット用TFT
623はいわばダイオード接続された状態であるので、セット
・リセット用TFT623の閾値電圧をVthとすると、ノードNは、(VDH−Vth)の電位までプリチャージされる。
【0104】
次に、時刻t2において、第3駆動信号線DL3の電位(ブースト信号)がローレベルからハイレベルに変化すると(このとき第2駆動信号線DL2の電位はローレベルとなる)、ノードNの電位が昇圧される。昇圧の度合は、ノードNの負荷容量の合計(トータル負荷容量)Cn1に対する、ブースト用容量素子624の容量値Cbstの比に応じて異なる。具体的には、昇圧分の電位は、駆動信号の振幅(=VDH−VDL)に(Cbst/Cn1)を乗じたものとなる。従って、例えば、ノードNのトータル負荷容量Cn1が0.2pFであり、ブースト用容量素子624の容量値Cbstが0.1pFであると、ノードNの電位は、(VDH−Vth)から、{(VDH−Vth)+(VDH−VDL)・(0.1/0.2)}まで昇圧される。VDH=10V、VDL=−10V、Vth=2Vの場合、ノードNは18Vまで昇圧される。
【0105】
その後、時刻t3において、第1駆動信号線DL1の電位および第3駆動信号線DL3の電位がそれぞれローレベルに変化するとともに、第2駆動信号線DL2の電位(リセット信号)がハイレベルに変化すると、ノードNの電位がリセット(プルダウン)される。
【0106】
上述したように、第1駆動信号、第2駆動信号および第3駆動信号は、ローレベルからハイレベルへの変化およびハイレベルからローレベルへの変化を含む周期的波形をそれぞれ有しており、第1駆動信号および第2駆動信号のそれぞれがハイレベルであるときにセット動作が行われる。また、第3駆動信号がハイレベルにあるときにブースト動作が行われ、第1駆動信号がローレベルで第2駆動信号がハイレベルであるときにリセット動作が行われる。
【0107】
比較例1のDEMUX回路510では、ブースト回路520は、セット部521、リセット部522およびブースト部523から構成される。これに対し、比較例2のDEMUX回路610では、ブースト回路610は、セット・リセット部621およびブースト部622から構成される。従って、比較例2のDEMUX回路610では、ブースト回路620の素子数を少なくすることができる。例えば、
図5に示した構成では、ブースト回路520は、2つのTFT(セット用TFT524およびリセット用TFT525)および1つの容量素子(ブースト用容量素子526)から構成されるのに対し、
図10に示した構成では、ブースト回路620は、1つのTFT(セット・リセット用TFT623)および1つの容量素子(ブースト用容量素子624)から構成される。そのため、比較例2のDEMUX回路610では、比較例1のDEMUX回路510に比べていっそうの狭額縁化を図ることができる。
【0108】
[比較例3のDEMUX回路]
図12および
図13を参照しながら、比較例3のDEMUX回路610Aを説明する。
【0109】
比較例3のDEMUX回路610Aは、
図12に示すように、第2駆動信号線DL2を含んでいない点において、比較例2のDEMUX回路610と異なる。
図13には、DEMUX回路610Aの単位回路11Aに含まれる2個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFTおよび第2スイッチングTFT)12Aおよび12Cに接続されたブースト回路(第1ブースト回路および第2ブースト回路)620Aおよび620Cが示されている。第1スイッチングTFT12Aおよび第2スイッチングTFT12Cは、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0110】
図13に示すように、第1ブースト回路620Aのセット・リセット部621には、第2駆動信号線DL2の代わりに、第2ブースト回路620C用の第1駆動信号線DL1Bが接続されている。また、第2ブースト回路620Cのセット・リセット部621には、第2駆動信号線DL2の代わりに、第1ブースト回路620A用の第1駆動信号線DL1Aが接続されている。
【0111】
このように、比較例3のDEMUX回路610Aでは、第1ブースト回路620A用の第1駆動信号線DL1Aが第2ブースト回路620C用の第2駆動信号線を兼ねており、第2ブースト回路620C用の第1駆動信号線DL1Bが第1ブースト回路620A用の第2駆動信号線を兼ねている。比較例3の構成を採用すると、第2駆動信号線を省略することができ、配線数をいっそう少なくすることができる。
【0112】
ここで、さらに
図14も参照しながら、DEMUX回路610Aの動作を説明する。
図14は、DEMUX回路610Aの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0113】
[時刻t1]
第1スイッチングTFT12A側:第1ブースト回路620A用の第1駆動信号線DL1Aの電位がハイレベルとなる。このとき、第2ブースト回
路620C用の第1駆動信号線DL1Bの電位は前水平走査期間からハイレベルのままであり、第1ブースト回路620A用の第1駆動信号がセット信号としてブースト回路620Aのセット・リセット部621に入力される。これにより、第1スイッチングTFT12Aのゲート電極に接続されたノードNAがプリチャージされる(セット動作)。
【0114】
第2スイッチングTFT12C側:第2スイッチングTFT12Cのゲート電極に接続されたノードNBは、前水平走査期間において昇圧された電圧を保持しているので、信号出力線VLの書き込み電圧レベルにソースバスラインSL3が充電される。
【0115】
[時刻t2]
第1スイッチングTFT12A側:第3駆動信号線DL3Aの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号としてブースト回路620Aのブースト部622に入力される。これにより、ノードNAの電位が昇圧される(ブースト動作)。ノードNAの電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Aを介したソースバスラインSL1の充電が十分に行われる。
【0116】
第2スイッチングTFT12C側:第1駆動信号線DL1Bの電位および第3駆動信号線DL3Bの電位がローレベルとなり、第1ブースト回路620A用の第1駆動信号がリセット信号として第2ブースト回路620Cのセット・リセット部
621に入力される。これにより、ノードNBの電位がリセットされる(リセット動作)。
【0117】
[時刻t3]
ソースバスラインSL1およびSL3にそれぞれ書き込み電圧が充電された状態で、ゲートバスラインGLnから供給されるゲート信号がオフレベルとなり、表示電圧の書き込みが完了する。
【0118】
[時刻t4]
第1スイッチングTFT12A側:第1スイッチングTFT12Aのゲート電極に接続されたノードNAは、前水平走査期間において昇圧された電圧を保持しているので、信号出力線VLの書き込み電圧レベルにソースバスラインSL1が充電される。
【0119】
第2スイッチングTFT12C側:第2ブースト回路620A用の第1駆動信号線DL1Bの電位がハイレベルとなる。このとき、第1ブースト回路用620A用の第1駆動信号線DL1Aの電位は前水平走査期間からハイレベルのままであり、第2ブースト回路620C用の第1駆動信号がセット信号としてブースト回路620Cのセット・リセット部
621に入力される。これにより、第2スイッチングTFT12Cのゲート電極に接続されたノードNBがプリチャージされる(セット動作)。
【0120】
[時刻t5]
第1スイッチングTFT12A側:第1駆動信号線DL1Aの電位および第3駆動信号線DL3Aの電位がローレベルとなり、第2ブースト回路620C用の第1駆動信号がリセット信号として第1ブースト回路620Aのセット・リセット部621に入力される。これにより、ノードNAの電位がリセットされる(リセット動作)。
【0121】
第2スイッチングTFT12C側:第3駆動信号線DL3Bの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号としてブースト回路620Cのブースト部622に入力される。これにより、ノードNBの電位が昇圧される(ブースト動作)。ノードNBの電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Cを介したソースバスラインSL3の充電が十分に行われる。
【0122】
[時刻t6]
ソースバスラインSL1およびSL3にそれぞれ書き込み電圧が充電された状態で、ゲートバスラインGLn+1から供給されるゲート信号がオフレベルとなり、表示電圧の書き込みが完了する。以降、上述した動作を繰り返すことにより、全ゲートバスラインGL分の書き込みを行う。
【0123】
図14に示した例では、第1ブースト回路620Aのブースト部622によるブースト動作が行われている期間内に、第2ブースト回路620Cのセット・リセット部621によるセット動作が行われる。また、第2ブースト回路620Cのブースト部622によるブースト動作が行われている期間内に、第1ブースト回路620Aのセット・リセット部621によるセット動作が行われる。そのため、ノードNのプリチャージ時間およびソースバスラインSLの充電時間を長くすることができ、充電性能を向上することができる。
【0124】
また、
図9に示した例では、第1駆動信号、第2駆動信号および第3駆動信号の周期的波形の1周期は、1水平走査期間に相当する時間である。つまり、1水平走査期間に相当する時間内で、ローレベルからハイレベルへの変化およびハイレベルからローレベルへの変化が1回ずつ生じる。
【0125】
これに対し、
図14に示した例では、第1駆動信号、第2駆動信号および第3駆動信号の周期的波形の1周期は、2水平走査期間に相当する時間である。つまり、2水平走査期間に相当する時間内で、ローレベルからハイレベルへの変化およびハイレベルからローレベルへの変化が1回ずつ生じる。このように、
図14に示した例では、
図9に示した例よりも駆動信号の周波数が低くなるので、低消費電力化を図ることができる。
【0126】
なお、
図9に示した例では、ソースバスラインSL1およびSL3は、交互に、つまり、ソースバスラインSL1、SL3、SL1、SL3・・・の順で選択される。これに対し、
図14に示す例では、ソースバスラインSL1およびSL3は、一方が2回連続で選択された後に他方が2回連続で選択される。つまり、ソースバスラインSL1、SL1、SL3、SL3、SL1、SL1・・・の順で選択される。
【0127】
図15を参照しながら、比較例3のブースト回路620のより具体的な構成を説明する。
図15は、第1ブースト回路620Aのセット・リセット部621およびブースト部622の具体的な構成の例を示す図である。
【0128】
図15に示すように、セット・リセット部621は、セット・リセット用TFT623を含む。セット・リセット用TFT623のゲート電極は、第2ブースト回路620C用の第1駆動信号線DL1Bに接続されており、第1駆動信号線DL1Bからリセット信号Rを供給される。セット・リセット用TFT623のドレイン電極は、第1駆動信号線DL1Aに接続されており、第1駆動信号線DL1Aからセット信号Sを供給される。セット・リセット用TFT623のソース電極は、ノードNAに接続されている。
【0129】
ブースト部622は、容量素子(以下では「ブースト用容量素子」と呼ぶ)624を含む。ブースト用容量素子624は、第3駆動信号線DL3Aに接続された電極(第1容量電極)と、ノードNAに接続された電極(第2容量電極)とを含む。第1容量電極は、第3駆動信号線DL3Aからブースト信号BSTを供給される。
【0130】
図16を参照しながら、ブースト回路620の動作を説明する。
図16は、ブースト回路620の動作を説明するためのタイミングチャートである。以下の説明では、セット信号S、リセット信号Rおよびブースト信号BSTの電位のハイレベルを「VDH」とし、ローレベルを「VDL」とする。
【0131】
まず、時刻t1において、リセット信号Rがハイレベルのまま、セット信号Sがローレベルからハイレベルに変化すると、セット・リセット用TFT623がオン状態となり、ノードNAがプリチャージされる。このとき、セット・リセット用TFT623のゲート電極およびドレイン電極が同電位であり、セット・リセット用TFT623はいわばダイオード接続された状態であるので、セット用TFT623の閾値電圧をVthとすると、ノードNAは、(VDH−Vth)の電位までプリチャージされる。
【0132】
次に、時刻t2において、ブースト信号BSTがローレベルからハイレベルに変化すると(このときリセット信号Rはローレベルとなる)、ノードNAの電位が昇圧され、ソースバスラインSL1の充電(表示電圧の書き込み)が行われる。昇圧の度合は、ノードNAの負荷容量の合計(トータル負荷容量)Cn1に対する、ブースト用容量素子624の容量値Cbstの比に応じて異なる。具体的には、昇圧分の電位は、駆動信号の振幅(=VDH−VDL)に(Cbst/Cn1)を乗じたものとなる。従って、例えば、ノードNAのトータル負荷容量Cn1が0.2pFであり、ブースト用容量素子624の容量値Cbstが0.1pFであると、ノードNAの電位は、(VDH−Vth)から、{(VDH−Vth)+(VDH−VDL)・(0.1/0.2)}まで昇圧される。VDH=10V、VDL=−10V、Vth=2Vの場合、ノードN1Aは18Vまで昇圧される。
【0133】
続いて、時刻t3において、ノードNAの電位が昇圧された状態で、ゲートバスラインGLから供給されるゲート信号がオフレベルとなり、書き込みが完了する。
【0134】
次に、時刻t4において、ノードNAは、前水平走査期間において昇圧された電圧を保持しているので、再びソースバスラインSL1が充電される。
【0135】
その後、時刻t5において、リセット信号Rがハイレベルのまま、セット信号Sおよびブースト信号BSTがそれぞれローレベルに変化すると、ノードNAの電位がリセット(プルダウン)される。
【0136】
[比較例1〜3のDEMUX回路の問題点]
比較例1のDEMUX回路510では、セット用TFT524はダイオード接続されているので、セット動作時のゲート電圧とドレイン電圧とが同じ大きさとなる。従って、セット動作後の電圧(プリチャージ電圧)は、セット用TFT524の閾値電圧分降下した大きさとなる。そのため、ブースト動作後の電圧(ブースト電圧)もセット用TFT524の閾値電圧分降下した大きさとなる。ブースト動作後の電圧は、具体的には、VGH―Vth+α・Vppと表わされる。ここで、VGHはハイレベルの電源電圧、αは突き上げ効率、Vppはブースト部523に供給される第3駆動信号の電圧振幅である。
【0137】
比較例2および3のDEMUX回路610および610Aでは、セット・リセット用TFT623は、ダイオード接続されてはいないものの、セット動作時のゲート電圧とドレイン電圧とは同じ大きさである。従って、プリチャージ電圧は、セット・リセット用TFT623の閾値電圧分降下した大きさとなるので、ブースト電圧もセット・リセット用TFT623の閾値電圧分降下してしまう。
【0138】
このように、比較例1、2および3のDEMUX回路510、610および610Aでは、ブースト電圧がセット用TFT524またはセット・リセット用TFT623の閾値電圧分降下するという問題がある。また、酸化物半導体TFTは、電圧ストレスによって閾値電圧が変動しやすという特性を持つので、セット用TFT524やセット・リセット用TFT623として酸化物半導体TFTを用いると、閾値電圧が変動することによって、ブースト電圧も変動してしまう。そのため、酸化物半導体TFTの特性劣化が進んで閾値電圧が大きくなると、ブースト電圧がいっそう降下してしまう。
【0139】
[本発明の実施形態のDEMUX回路]
図17を参照しながら、本実施形態のアクティブマトリクス基板100が備えるDEMUX回路10を説明する。
図17は、DEMUX回路10の構成の例を示す図である。
【0140】
図17に示すように、DEMUX回路10は、基板1に支持された複数の単位回路11を含む。複数の単位回路11のそれぞれは、1本の信号出力線VLから、n本(nは2以上の整数)のソースバスラインSLに表示信号を分配する。
図17には、n=2の場合、つまり、各単位回路11が、1本の信号出力線VLから2本のソースバスラインSLに表示信号を分配する場合を示している。
図17には、2つの単位回路11が示されている。2つの単位回路11のうちの一方(第1単位回路)11Aは、信号出力線VL1から、ソースバスラインSL1およびSL3に表示信号を分配し、他方(第2単位回路)11Bは、信号出力線VL2から、ソースバスラインSL2およびSL4に表示信号を分配する。
【0141】
各単位回路11は、n本(ここでは2本)の分岐配線BLと、n個(ここでは2個)のスイッチングTFT12とを含む。
【0142】
各単位回路11の2本の分岐配線BLは、1本の信号出力線VLに接続されている。また、各単位回路11の2個のスイッチングTFT12のそれぞれは、2本の分岐配線BLのそれぞれに接続されている。2個のスイッチングTFT12は、2本の分岐配線BLと2本のソースバスラインSLとの電気的な接続を個別に(独立に)オン/オフ制御する。本実施形態では、2個のスイッチングTFT12のそれぞれは、活性層として酸化物半導体層を含む(つまり酸化物半導体TFTである)。
【0143】
第1単位回路11Aの2個のスイッチングTFT12Aおよび12Cのうちの一方12Aは、分岐配線BL1とソースバスラインSL1との電気的な接続をオン/オフ制御し、他方12Cは、分岐配線BL3とソースバスラインSL3との電気的な接続をオン/オフ制御する。前者のスイッチングTFT12Aのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL1およびソースバスラインSL1に接続されており、後者のスイッチングTFT12Cのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL3およびソースバスラインSL3に接続されている。
【0144】
第2単位回路11Bの2個のスイッチングTFT12Bおよび12Dのうちの一方12Bは、分岐配線BL2とソースバスラインSL2との電気的な接続をオン/オフ制御し、他方12Dは、分岐配線BL4とソースバスラインSL4との電気的な接続をオン/オフ制御する。前者のスイッチングTFT12Bのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL2およびソースバスラインSL2に接続されており、後者のスイッチングTFT12Dのソース電極およびドレイン電極は、それぞれ分岐配線BL4およびソースバスラインSL4に接続されている。
【0145】
本実施形態におけるDEMUX回路10は、
図17に示すように、各単位回路11のn個(ここでは2個)のスイッチングTFT12のゲート電極に印加される電圧を昇圧し得る複数個のブースト回路20をさらに含む。
図17に示す例では、各スイッチングTFT12に1個ずつブースト回路20が接続されている。具体的には、スイッチングTFT12A、12B、12Cおよび12Dのゲート電極が、それぞれブースト回路20A、20B、20Cおよび20Dの出力側に接続されている。
【0146】
図17に示す例では、各ブースト回路20は、駆動信号線DL1およびさらなる駆動信号線DL3から供給される駆動信号群によって駆動される。駆動信号線DL1およびさらなる駆動信号線DL3は、比較例1、2および3のDEMUX回路510、610および610Aにおける第1駆動信号線DL1および第3駆動信号線DL3に対応しているので、以下では、わかりやすさのためにDEMUX回路10における駆動信号線DL1およびさらなる駆動信号線DL3をそれぞれ「第1駆動信号線」、「第3駆動信号線」と呼ぶこともある。また、駆動信号線DL1によって供給される駆動信号およびさらなる駆動信号線DL3によって供給されるさらなる駆動信号を、それぞれ「第1駆動信号」、「第3駆動信号」と呼ぶこともある。
【0147】
また、
図17に示すように、各ブースト回路20は、他のブースト回路20(後述するように異なるタイミングでブースト動作を行うブースト回路20である)によって昇圧されるノードNにも接続されている。
図17に示す例では、ブースト回路20Aは、スイッチングTFT12Aのゲート電極に接続されたノードNA1だけでなく、ブースト回路20Cによって昇圧されるノードNB3にも接続されており、ブースト回路20Bは、スイッチングTFT12Bのゲート電極に接続されたノードNA2だけでなく、ブースト回路20Dによって昇圧されるノードNB4にも接続されている。また、ブースト回路20Cは、スイッチングTFT12Cのゲート電極に接続されたノードNB3だけでなく、ブースト回路20Aによって昇圧されるノードNA1にも接続されており、ブースト回路20Dは、スイッチングTFT12Dのゲート電極に接続されたノードNB4だけでなく、ブースト回路20Bによって昇圧されるノードNA2にも接続されている。以下では、あるブースト回路20に着目したときに、そのブースト回路20が昇圧するノードNを「自ノード」と呼び、他のブースト回路20によって異なるタイミングで昇圧されるノードNを「他ノード」と呼ぶこともある。
【0148】
このように、各ブースト回路20は、自ノードだけでなく他ノードにも接続されており、他ノードの電位をいわば駆動信号として入力される。言い換えると、本実施形態のDEMUX回路10は、各ブースト回路20が、第2駆動信号(第2駆動信号線DL2から供給される)に代えて他ノードの電位を入力される点において、比較例2のDEMUX回路610と異なっている。後に詳述するように、第1駆動信号および第3駆動信号の振幅、および、他ノードの電位の振幅に対応して、スイッチングTFT12のゲート電位の駆動振幅が大きくなるように、各ブースト回路20による昇圧が行われる。
【0149】
図17に示す例では、2系統の駆動信号線群DG1およびDG2が設けられている。ブースト回路20Aおよび20Bは、駆動信号線群DG1およびDG2のうちの一方DG1の第1駆動信号線DL1Aおよび第3駆動信号線DL3Aによって駆動される。また、ブースト回路20Cおよび20Dは、駆動信号線群DG1およびDG2のうちの他方DG2の第1駆動信号線DL1Bおよび第3駆動信号線DL3Bによって駆動される。
【0150】
上述したように、本実施形態のアクティブマトリクス基板100では、DEMUX回路10が、スイッチングTFT12のゲート電極に印加される電圧を昇圧し得るブースト回路20を含んでいるので、DEMUX回路10の実効的な駆動電圧を高くすることができる。そのため、比較的小さな振幅の駆動信号でDEMUX回路10を駆動できるので、駆動信号の充放電による電力消費を低減できる。また、スイッチングTFT12のゲート電極に印加される電圧(駆動電圧)をブースト回路20により高くすることができるので、選択時のスイッチングTFT12の抵抗(オン抵抗)を低くして充電能力を高くすることができる。さらに、駆動電圧を高くすることができるので、スイッチングTFT12のサイズを小さくすることもできる。そのため、DEMUX回路10のレイアウトサイズを小さくでき、周辺領域FRの狭小化(狭額縁化)を図ることができる。このように、本発明の実施形態によれば、DEMUX回路を備えたアクティブマトリクス基板の駆動電力の低減と、狭額縁化とを両立することができる。
【0151】
続いて、
図18を参照しながら、ブースト回路20の具体的な構成を説明する。
図18は、ブースト回路20の構成の例を示す図である。
図18には、DEMUX回路10の単位回路11Aに含まれる2個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFTおよび第2スイッチングTFT)12Aおよび12Cに接続されたブースト回路(第1ブースト回路および第2ブースト回路)20Aおよび20Cが示されている。第1スイッチングTFT12Aおよび第2スイッチングTFT12Cは、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0152】
図18に示す例では、ブースト回路20は、セット・リセット部21およびブースト部22を含んでいる。セット・リセット部21およびブースト部22は、それぞれスイッチングTFT12のゲート電極に接続されたノードNに接続されている。また、セット・リセット部21は、第1駆動信号線DL1に接続されており、ブースト部22は、第3駆動信号線DL3に接続されている。
【0153】
セット・リセット部21は、第1駆動信号線DL1から第1駆動信号(セット信号S)を供給され、ノードNをプリチャージする動作(セット動作)を行う。セット信号Sは、少なくともセット動作の開始時にレベル変化する信号である。
【0154】
ブースト部22は、第3駆動信号線DL3から第3駆動信号(ブースト信号BST)を供給され、セット・リセット部21のセット動作によってプリチャージされたノードNの電位を昇圧する動作(ブースト動作)を行う。ブースト信号BSTは、少なくともブースト動作の開始時にレベル変化する信号である。
【0155】
また、セット・リセット部21は、他ノードの電位をリセット信号Rとして供給され、ノードNの電位をリセットする動作(リセット動作)を行う。リセット信号Rは、セット動作の開始時にレベル変化せず、且つ、リセット動作時にセット信号Sと異なるレベルである信号である。
図18に示すように、第1ブースト回路20Aのセット・リセット部21は、第2ブースト回路20Cによって昇圧されるノードNB3に接続されており、ノードNB3の電位をリセット信号Rとして入力される。また、第2ブースト回路20Cのセット・リセット部21は、第1ブースト回路20Aによって昇圧されるノードNA1に接続されており、ノードNA1の電位をリセット信号Rとして入力される。セット・リセット部21によるセット動作およびリセット動作は、互いに異なるタイミングで行われる。
【0156】
ここで、さらに
図19も参照しながら、ブースト回路20の(DEMUX回路10の)動作を説明する。
図19は、DEMUX回路10の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図19には、第1駆動信号線DL1A、DL1B、第3駆動信号線DL3A、DL3B、ノードNA1、NB3、信号出力線VLおよびソースバスラインSL1、SL3の電位が示されている。
【0157】
[時刻t1]
第1スイッチングTFT12A側:第1駆動信号線DL1Aの電位がハイレベルとなる。このとき、他ノード(ノードNB3)の電位は前水平走査期間からハイレベルのままであり、第1駆動信号がセット信号Sとしてセット・リセット部21に入力される。これにより、第1スイッチングTFT12Aのゲート電極に接続されたノードNA1がプリチャージされる(セット動作)。
【0158】
第2スイッチングTFT12C側:第2スイッチングTFT12Cのゲート電極に接続されたノードNB3は、前水平走査期間において昇圧された電圧を保持しているので、信号出力線VLの書き込み電圧レベルにソースバスラインSL3が充電される。
【0159】
[時刻t2]
第1スイッチングTFT12A側:第3駆動信号線DL3Aの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号BSTとしてブースト部22に入力される。これにより、ノードNA1の電位が昇圧される(ブースト動作)。ノードNA1の電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Aを介したソースバスラインSL1の充電が十分に行われる。
【0160】
第2スイッチングTFT12C側:第1駆動信号線DL1Bの電位および第3駆動信号線DL3Bの電位がローレベルとなり、他ノード(ノードNA1)の電位がリセット信号Rとしてセット・リセット部21に入力される。これにより、ノードNB3の電位がリセットされる(リセット動作)。
【0161】
[時刻t3]
ソースバスラインSL1およびSL3にそれぞれ書き込み電圧が充電された状態で、ゲートバスラインGLnから供給されるゲート信号がオフレベルとなり、表示電圧の書き込みが完了する。
【0162】
[時刻t4]
第1スイッチングTFT12A側:第1スイッチングTFT12Aのゲート電極に接続されたノードNA1は、前水平走査期間において昇圧された電圧を保持しているので、信号出力線VLの書き込み電圧レベルにソースバスラインSL1が充電される。
【0163】
第2スイッチングTFT12C側:第1駆動信号線DL1Bの電位がハイレベルとなる。このとき、ノードNA1の電位は前水平走査期間からハイレベルのままであり、第1駆動信号がセット信号Sとしてセット・リセット部21に入力される。これにより、第2スイッチングTFT12Cのゲート電極に接続されたノードNB3がプリチャージされる(セット動作)。
【0164】
[時刻t5]
第1スイッチングTFT12A側:第1駆動信号線DL1Aの電位および第3駆動信号線DL3Aの電位がローレベルとなり、他ノード(ノードVB3)の電位がリセット信号Rとしてセット・リセット部21に入力される。これにより、ノードNA1の電位がリセットされる(リセット動作)。
【0165】
第2スイッチングTFT12C側:第3駆動信号線DL3Bの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号BSTとしてブースト部22に入力される。これにより、ノードNB3の電位が昇圧される(ブースト動作)。ノードNB3の電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Cを介したソースバスラインSL3の充電が十分に行われる。
【0166】
[時刻t6]
ソースバスラインSL1およびSL3にそれぞれ書き込み電圧が充電された状態で、ゲートバスラインGLn+1から供給されるゲート信号がオフレベルとなり、表示電圧の書き込みが完了する。以降、上述した動作を繰り返すことにより、全ゲートバスラインGL分の書き込みを行う。
【0167】
図20を参照しながら、ブースト回路20のより具体的な構成を説明する。
図20は、ブースト回路20のセット・リセット部21およびブースト部22の具体的な構成の例を示す図である。
【0168】
図20に示す例では、セット・リセット部21は、セット・リセット用TFT23を含む。より具体的には、セット・リセット部21は、TFTとしてセット・リセット用TFT23のみを含む。セット・リセット用TFT23のドレイン電極は、第1駆動信号線DL1Aに接続されており、セット・リセット用TFT23のソース電極は、ノードNA1に接続されている。また、セット・リセット用TFT23のゲート電極は、他ノード(ノードNB3)に接続されている。
【0169】
ブースト部22は、ブースト用容量素子24を含む。ブースト用容量素子24は、第3駆動信号線DL3Aに接続された電極(第1容量電極)と、ノードNA1に接続された電極(第2容量電極)とを含む。
【0170】
図21を参照しながら、
図20に例示したブースト回路20の動作を説明する。
図21は、ブースト回路20の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図21には、セット信号S(第1駆動信号線DL1A)、ブースト信号BST(第3駆動信号線DL3A)、リセット信号R(ノードNB3)、ノードNA1、信号出力線VLおよびソースバスラインSL1の電位が示されている。以下の説明では、セット信号Sおよびブースト信号BSTの電位のハイレベルを「VDH」とし、ローレベルを「VDL」とする。VDHは例えば10Vであり、VDLは例えば−10Vである。
【0171】
まず、時刻t1において、リセット信号R(ノードNB3の電位)がハイレベルのまま、セット信号Sがローレベルからハイレベルに変化すると、セット・リセット用TFT23がオン状態となり、ノードNA1がプリチャージされる。このとき、セット・リセット用TFT23のゲート電極の電位Vgは、ドレイン電極の電位Vdよりも高い(Vg>>Vd)。つまり、セット動作が行われるときにドレイン電極に駆動信号線から供給される信号電圧を第1信号電圧V1とすると、ゲート電極には、第1信号電圧V1よりも高い第2信号電圧V2が供給される。そのため、ノードNA1を、セット信号Sのハイレベル電位VDHまでプリチャージすることができる。つまり、セット・リセット用TFT23の閾値電圧Vthの影響による電圧降下を生じなくすることができる。
【0172】
次に、時刻t2において、ブースト信号BSTがローレベルからハイレベルに変化すると(このときリセット信号Rはローレベルとなる)、ノードNA1の電位が昇圧される。昇圧の度合は、ノードNA1の負荷容量の合計(トータル負荷容量)Cn1に対する、ブースト用容量素子24の容量値Cbstの比に応じて異なる。具体的には、昇圧分の電位は、ブースト信号BSTの振幅(=VDH−VDL)に(Cbst/Cn1)を乗じたものとなる。従って、例えば、ノードNA1のトータル負荷容量Cn1が0.2pFであり、ブースト用容量素子24の容量値Cbstが0.1pFであると、ノードNA1の電位は、VDHから、VDH+(VDH−VDL)・(0.1/0.2)まで昇圧される。VDH=10V、VDL=−10V、Vth=2Vの場合、ノードNA1は20Vまで昇圧される。
【0173】
続いて、時刻t3において、ノードNA1の電位が昇圧された状態で、ゲートバスラインGLから供給されるゲート信号がオフレベルとなり、書き込みが完了する。
【0174】
次に、時刻t4において、ノードNA1は、前水平走査期間において昇圧された電圧を保持しているので、再びソースバスラインSL1が充電される。
【0175】
その後、時刻t5において、セット信号Sおよびブースト信号BSTがローレベルに変化し、リセット信号Rがハイレベルになると、ノードNA1の電位がリセット(プルダウン)される。
【0176】
図22(a)および(b)に、比較例3のDEMUX回路610Aおよび本実施形態のDEMUX回路10における電位の時間変化(タイミングチャート)を対比して示す。ここで、ハイレベルの電源電圧をVGH、突き上げ効率をα、第3駆動信号(ブースト部に供給される信号電圧)の振幅をVppとする。
【0177】
比較例3のDEMUX回路610Aでは、
図22(a)に示すように、ノードNAの電位がセット時にVGH−Vthまでプリチャージされ、ブースト時にVGH−Vth+α・Vppまで昇圧(ブースト)される。
【0178】
これに対し、本実施形態のDEMUX回路10では、
図22(b)に示すように、ノードNA1の電位がセット時にVGHまでプリチャージされ、ブースト時にVGH+α・Vppまで昇圧(ブースト)される。
【0179】
上述したように、本実施形態のDEMUX回路10では、セット動作が行われるとき、セット・リセット用TFT23のドレイン電極に供給される信号電圧(第1信号電圧V1)よりも、ゲート電極に供給される信号電圧(第2信号電圧V2)の方が高い。これにより、セット・リセット用TFT23の閾値電圧Vthに起因するプリチャージ電圧の電圧降下およびブースト電圧の電圧降下を防止することができる。
【0180】
そのため、本実施形態のDEMUX回路10では、比較例1、2および3のDEMUX回路510、610および610Aに比べ、実効的な駆動電圧をいっそう高くすることができる。従って、選択時のスイッチングTFT12の抵抗(オン抵抗)を低くして充電能力をいっそう高くする(つまりいっそうの高性能化を図る)ことができる。また、駆動電圧をいっそう高くすることができるので、動作マージンが向上し、スイッチングTFT12のサイズをいっそう小さくすることもできる。そのため、DEMUX回路10のレイアウトサイズをさらに小さくしていっそうの狭額縁化を図ることができる。また、その分負荷もさらに小さくなるので、いっそうの低消費電力化も可能となる。さらに、ブースト電圧がセット・リセット用TFT23の閾値劣化の影響を受けない(閾値劣化に起因する駆動電圧の低下が生じない)ので、信頼性が向上する。
【0181】
なお、セット・リセット用TFT23の閾値電圧Vthの、プリチャージ電圧やブースト電圧への影響を実質的になくすためには、セット動作が行われるときに、セット・リセット用TFT23のドレイン電極に供給される第1信号電圧V1と、ゲート電極に供給される第2信号電圧V2とが、V2−Vth>V1の関係を満足することが好ましい。
【0182】
(実施形態2)
図23を参照しながら、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Aを説明する。
図23は、DEMUX回路10Aの構成の例を示す図である。以下では、本実施形態のDEMUX回路10Aが、実施形態1におけるDEMUX回路10と異なる点を中心に説明を行う。
【0183】
実施形態1のDEMUX回路10では、
図17に示すように、各ブースト回路20には2本の駆動信号線が接続されている。具体的には、第1ブースト回路20Aおよび20Bのそれぞれは、第1駆動信号線DL1Aおよび第3駆動信号線DL3Aに接続されており、第2ブースト回路20Cおよび20Dのそれぞれは、第1駆動信号線DL1Bおよび第3駆動信号線DL3Bに接続されている。
【0184】
これに対し、本実施形態のDEMUX回路10Aでは、各ブースト回路20には3本の駆動信号線が接続されている。具体的には、第1ブースト回路20Aおよび20Bのそれぞれは、第1ブースト回路用の第1駆動信号線DL1Aおよび第3駆動信号線DL3Aに加えて第2ブースト回路用の第1駆動信号線DL1Bにも接続されている。また、第2ブースト回路20Cおよび20Dのそれぞれは、第2ブースト回路用の第1駆動信号線DL1Bおよび第3駆動信号線DL3Bに加えて第1ブースト回路用の第1駆動信号線DL1Aにも接続されている。
【0185】
本実施形態のDEMUX回路10Aでは、各ブースト回路20は、3本の駆動信号線から供給される駆動信号の振幅、および、他ノードの電位の振幅に対応して、スイッチングTFT12のゲート電位の駆動振幅が大きくなるように昇圧を行う。
【0186】
続いて、
図24を参照しながら、DEMUX回路10Aのブースト回路20の具体的な構成を説明する。
図24は、ブースト回路20の構成の例を示す図である。
図24には、DEMUX回路10Aの単位回路11Aに含まれる2個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFTおよび第2スイッチングTFT)12Aおよび12Cに接続されたブースト回路(第1ブースト回路および第2ブースト回路)20Aおよび20Cが示されている。
【0187】
図24に示す例では、ブースト回路20は、セット・リセット部21およびブースト部22に加え、さらなるセット・リセット部25を含んでいる。以下では、セット・リセット部21を「第1セット・リセット部」と呼び、さらなるセット・リセット部25を「第2セット・リセット部」と呼ぶ。
【0188】
第2セット・リセット部25は、第1セット・リセット部21と同様に、自ノードに接続されており、セット動作およびリセット動作を行う。第2セット・リセット部25は、第1セット・リセット部21と同じタイミングでセット動作およびリセット動作を行う。
【0189】
第1セット・リセット部21に入力されるセット信号S1と、第2セット・リセット部25に入力されるセット信号S2とは、同じである。つまり、第1セット・リセット部21および第2セット・リセット部25は、同じ第1駆動信号線DL1に接続されている。
図24に示すように、第1ブースト回路20Aの第1セット・リセット部21および第2セット・リセット部25は、同じ第1駆動信号線DL1Aに接続されており、第2ブースト回路20Cの第1セット・リセット部21および第2セット・リセット部25は、同じ第1駆動信号線DL1Bに接続されている。
【0190】
これに対し、第1セット・リセット部21に入力されるリセット信号R1と、第2セット・リセット部25に入力されるリセット信号R2とは、以下に説明するように異なっている。
【0191】
第1セット・リセット部21は、他ノードの電位をリセット信号R1として入力される。
図24に示すように、第1ブースト回路20Aの第1セット・リセット部21は、第2ブースト回路20Cによって昇圧されるノードNB3に接続されており、第2ブースト回路20Cの第1セット・リセット部21は、第1ブースト回路20Aによって昇圧されるノードNA1に接続されている。
【0192】
一方、第2セット・リセット部25は、他ノードを昇圧するブースト回路20用の第1駆動信号線DL1の信号電圧(第1駆動信号)をリセット信号R2として入力される。
図24に示すように、第1ブースト回路20Aの第2セット・リセット部25は、第2ブースト回路20C用の第1駆動信号線DL1Bに接続されており、第2ブースト回路20Cの第2セット・リセット部25は、第1ブースト回路20A用の第1駆動信号線DL1Aに接続されている。
【0193】
図25に、ブースト回路20のより具体的な構成を説明する。
図25は、ブースト回路20の第1セット・リセット部21、第2セット・リセット部25およびブースト部22の具体的な構成の例を示す図である。
【0194】
図25に示す例では、第1セット・リセット部21は、セット・リセット用TFT(以下では「第1セット・リセット用TFT」と呼ぶ)23を含む。第1セット・リセット用TFT23のドレイン電極は、第1駆動信号線DL1Aに接続されており、第1セット・リセット用TFT23のソース電極は、ノードNA1に接続されている。また、第1セット・リセット用TFT23のゲート電極は、他ノード(ノードNB3)に接続されている。
【0195】
第2セット・リセット部25は、さらなるセット・リセット用TFT(以下では「第2セット・リセット用TFT」と呼ぶ)26を含む。第2セット・リセット用TFT26のドレイン電極は、第1駆動信号線DL1Aに接続されており、第2セット・リセット用TFT26のソース電極は、ノードNA1に接続されている。また、第2セット・リセット用TFT26のゲート電極は、他ノード(ノードNB3)を昇圧するためのブースト回路20C用の第1駆動信号線DL1Bに接続されている。
【0196】
ブースト部22は、ブースト用容量素子24を含む。ブースト用容量素子24は、第3駆動信号線DL3Aに接続された電極(第1容量電極)と、ノードNA1に接続された電極(第2容量電極)とを含む。
【0197】
本実施形態のDEMUX回路10Aでは、ブースト回路20が第1セット・リセット部21に加えて第2セット・リセット部(さらなるセット・リセット部)25を含んでいるので、セット動作およびリセット動作に冗長性を持たせ、信頼性をいっそう向上させることができる。第1セット・リセット用TFT23にリセット信号R1として入力される他ノードの電位は、ブースト回路20内部で生成された信号電圧といえるものであり、回路の劣化等により信号なまりや信号遅延が生じるおそれがある。そのため、第1セット・リセット用TFT23は、そのような信号なまりや信号遅延の影響を受ける可能性がある。これに対し、第2セット・リセット用TFT26にリセット信号R2として入力される駆動信号は、第1駆動信号線DL1から供給されるものであり、外部入力といえるものであるため、入力信号のなまりや遅延が生じにくく、信頼性の高い動作が可能である。
【0198】
(実施形態3)
図26を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図26は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Bの構成を示す図である。
【0199】
図17に示したDEMUX回路10では、各スイッチングTFT12に1個ずつブースト回路20が接続されている。これに対し、本実施形態のDEMUX回路10Bでは、
図26に示すように、2個のスイッチングTFT12に対して1個のブースト回路20が接続されている。以下、より具体的に説明する。
【0200】
第1単位回路11Aが有する2個のスイッチングTFT12は、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる第1スイッチングTFT12Aおよび第2スイッチングTFT12Cである。同様に、第2単位回路11Bが有する2個のスイッチングTFT12は、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる第1スイッチングTFT12Bおよび第2スイッチングTFT12Dである。
【0201】
図26に示されている2個のブースト回路20Aおよび20Bの一方20Aは、第1単位回路11Aの第1スイッチングTFT12Aおよび第2単位回路11Bの第1スイッチングTFT12Bに共通に接続されている。また、他方20Bは、第1単位回路11Aの第2スイッチングTFT12Cおよび第2単位回路11Bの第2スイッチングTFT12Dに共通に接続されている。
【0202】
このように、本実施形態では、同時に選択される2個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用される。そのため、回路素子数を低減することができる。また、回路素子数の低減により負荷が低減されるので、いっそうの低消費電力化を図ることができる。さらに、回路素子数の低減により、回路面積も低減できるので、レイアウトサイズを小さくすることができ、いっそうの狭額縁化を図ることができる。
【0203】
(実施形態4)
実施形態3におけるDEMUX回路10Bでは、2個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用されるが、3個以上のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用されてもよい。以下、
図27を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図27は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Cの構成を示す図である。
【0204】
図27には、DEMUX回路10Cが有する複数個の単位回路11のうちの、4個の単位回路(以下ではそれぞれ「第1単位回路」、「第2単位回路」、「第3単位回路」および「第4単位回路」と呼ぶ)11A、11B、11Cおよび11Dが示されている。
【0205】
第1単位回路11Aは、2本の分岐配線BL1およびBL5と、2個のスイッチングTFT12Aおよび12Eとを含み、信号出力線VL1からソースバスラインSL1およびSL5に表示信号を分配する。第1単位回路11Aの2個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFTおよび第2スイッチングTFT)12Aおよび12Eは、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0206】
第2単位回路11Bは、2本の分岐配線BL2およびBL6と、2個のスイッチングTFT12Bおよび12Fとを含み、信号出力線VL2からソースバスラインSL2およびSL6に表示信号を分配する。第2単位回路11Bの2個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFTおよび第2スイッチングTFT)12Bおよび12Fは、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0207】
第3単位回路11Cは、2本の分岐配線BL3およびBL7と、2個のスイッチングTFT12Cおよび12Gとを含み、信号出力線VL3からソースバスラインSL3およびSL7に表示信号を分配する。第3単位回路11Cの2個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFTおよび第2スイッチングTFT)12Cおよび12Gは、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0208】
第4単位回路11Dは、2本の分岐配線BL4およびBL8と、2個のスイッチングTFT12Dおよび12Hとを含み、信号出力線VL4からソースバスラインSL4およびSL8に表示信号を分配する。第4単位回路11Dの2個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFTおよび第2スイッチングTFT)12Dおよび12Hは、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0209】
図27に示されている2個のブースト回路20Aおよび20Bの一方20Aは、第1単位回路11Aの第1スイッチングTFT12A、第2単位回路11Bの第1スイッチングTFT12B、第3単位回路11Cの第1スイッチングTFT12Cおよび第4単位回路11Dの第1スイッチングTFT12Dに共通に接続されている。また、他方20Bは、第1単位回路11Aの第2スイッチングTFT12E、第2単位回路11Bの第2スイッチングTFT12F、第3単位回路11Cの第2スイッチングTFT12Gおよび第4単位回路11Dの第2スイッチングTFT12Hに共通に接続されている。
【0210】
このように、本実施形態では、同時に選択される4個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用される。そのため、2個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用される実施形態3に比べ、回路素子数をいっそう低減することができる。それ故、いっそうの低消費電力化およびいっそうの狭額縁化を図ることができる。
【0211】
なお、本実施形態では、4個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用される例を示したが、3個以上のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用されることにより、実施形態3よりも回路素子数を低減できる。同時に選択される3個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用されてもよいし、同時に選択される5個以上のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用されてもよい。
【0212】
(実施形態5)
図28を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図28は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Dの構成を示す図である。
【0213】
図17、
図23、
図26および
図27に示したDEMUX回路10、10A、10Bおよび10Cでは、各単位回路11は、1本の信号出力線VLから2本のソースバスラインSLに表示信号を分配する。これに対し、本実施形態のDEMUX回路10Dでは、各単位回路11は、1本の信号出力線VLから3本のソースバスラインSLに表示信号を分配する。以下、より具体的に説明する。
【0214】
図28には、DEMUX回路10Dが有する複数個の単位回路11のうちの、2個の単位回路(第1単位回路および第2単位回路)11Aおよび11Bが示されている。
【0215】
第1単位回路11Aは、3本の分岐配線BL1、BL3およびBL5と、3個のスイッチングTFT12A、12Cおよび12Eとを含み、1本の信号出力線VL1から3本のソースバスラインSL1、SL3およびSL5に表示信号を分配する。第1単位回路11Aが有する3個のスイッチングTFT12A、12Cおよび12E(それぞれ第1スイッチングTFT、第2スイッチングTFTおよび第3スイッチングTFTとも呼ぶ)は、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0216】
第2単位回路11Bは、3本の分岐配線BL2、BL4およびBL6と、3個のスイッチングTFT12B、12Dおよび12Fとを含み、1本の信号出力線VL2から3本のソースバスラインSL2、SL4およびSL6に表示信号を分配する。第2単位回路11Bが有する3個のスイッチングTFT12B、12Dおよび12F(それぞれ第1スイッチングTFT、第2スイッチングTFTおよび第3スイッチングTFTとも呼ぶ)は、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0217】
DEMUX回路10Dは、各単位回路11の3個のスイッチングTFT12のゲート電極に印加される電圧を昇圧し得る複数個のブースト回路20を含んでいる。
図28に示す例では、各スイッチングTFT12に1個ずつブースト回路20が接続されている。具体的には、スイッチングTFT12A、12B、12C、12D、12Eおよび12Fのゲート電極が、それぞれブースト回路20A、20B、20C、20D、20Eおよび20Fの出力側に接続されている。
【0218】
図28に示す例では、3系統の駆動信号線群DG1、DG2およびDG3が設けられている。第1スイッチングTFT12Aおよび12Bに接続された第1ブースト回路20Aおよび20Bは、駆動信号線群DG1の第1駆動信号線DL1Aおよび第3駆動信号線DL3Aと、駆動信号線群DG2の第1駆動信号線DL1Bによって駆動される。また、第2スイッチングTFT12Cおよび12Dに接続された第2ブースト回路20Cおよび20Dは、駆動信号線群DG2の第1駆動信号線DL1Bおよび第3駆動信号線DL3Bと、駆動信号線群DG3の第1駆動信号線DL1Cによって駆動され、第3スイッチングTFT12Eおよび12Fに接続された第3ブースト回路20Eおよび20Fは、駆動信号線群DG3の第1駆動信号線DL1Cおよび第3駆動信号線DL3Cと、駆動信号線群DG1の第1駆動信号線DL1Aによって駆動される。
【0219】
また、
図28に示すように、各ブースト回路20は、他のブースト回路20によって昇圧されるノードN(他ノード)にも接続されている。
図28に示す例では、ブースト回路20Aは、自ノードNA1だけでなく、ブースト回路20Eによって昇圧されるノードNC5にも接続されており、ブースト回路20Bは、自ノードNA2だけでなく、ブースト回路20Fによって昇圧されるノードNC6にも接続されている。また、ブースト回路20Cは、自ノードNB3だけでなく、ブースト回路20Aによって昇圧されるノードNA1にも接続されており、ブースト回路20Dは、自ノードNB4だけでなく、ブースト回路20Bによって昇圧されるノードNA2にも接続されている。さらに、ブースト回路20Eは、自ノードNC5だけでなく、ブースト回路20Cによって昇圧されるノードNB3にも接続されており、ブースト回路20Fは、自ノードNC6だけでなく、ブースト回路20Dによって昇圧されるノードNB4にも接続されている。
【0220】
このように、各ブースト回路20は、自ノードだけでなく他ノードにも接続されており、他ノードの電位をリセット信号として入力される。
【0221】
本実施形態のアクティブマトリクス基板においても、DEMUX回路10Dがブースト回路20を含んでいることにより、実施形態1〜4のアクティブマトリクス基板と同様に、駆動電力を低減できる。また、本実施形態では、各単位回路11が1本の信号出力線VLから3本のソースバスラインSLに表示信号を分配するので、実施形態1〜4に比べ、信号出力線VLの本数を削減することができる。そのため、配線領域(信号出力線VLが配置される領域)を縮小していっそうの狭額縁化を図ることができる。さらに、COG実装されるソースドライバ6のアンプ数を削減できるので、チップサイズをより小さくすることができる。そのため、ウェハからのチップの取れ数が増加し、チップコストを低減することができる。
【0222】
図29は、DEMUX回路10Dのブースト回路20の構成の例を示す図である。
【0223】
図29に示す例では、ブースト回路20は、第1セット・リセット部21、第2セット・リセット部25およびブースト部22を含んでいる。第1セット・リセット部21、第2セット・リセット部25およびブースト部22は、それぞれスイッチングTFT12のゲート電極に接続されたノードNに接続されている。また、第1セット・リセット部21および第2セット・リセット部25は、第1駆動信号線DL1に接続されており、ブースト部22は、第3駆動信号線DL3に接続されている。
【0224】
第1セット・リセット部21および第2セット・リセット部25は、第1駆動信号線DL1から第1駆動信号(セット信号S1)を供給され、セット動作を行う。ブースト部22は、第3駆動信号線DL3から第3駆動信号(ブースト信号B)を供給され、ブースト動作を行う。
【0225】
また、第1セット・リセット部21は、他ノードの電位をリセット信号R1として供給され、リセット動作を行う。
図29に示すように、第1ブースト回路20Aのセット・リセット部21は、第3ブースト回路20Eによって昇圧されるノードNC5に接続されており、ノードNC5の電位をリセット信号R1として入力される。第2ブースト回路20Cは、第1ブースト回路20Aによって昇圧されるノードNA1に接続されており、ノードNA1の電位をリセット信号R1として入力される。第3ブースト回路20Eは、第2ブースト回路20Cによって昇圧されるノードNB3に接続されており、ノードNB3の電位をリセット信号R1として入力される。
【0226】
これに対し、第2セット・リセット部25は、他ノードを昇圧するブースト回路20用の第1駆動信号線DL1の信号電圧(第1駆動信号)をリセット信号R2として入力される。
図29に示すように、第1ブースト回路20Aの第2セット・リセット部25は、第2ブースト回路20Cおよび20D用の第1駆動信号線DL1Bに接続されている。また、第2ブースト回路20Cの第2セット・リセット部25は、第3ブースト回路20Eおよび20F用の第1駆動信号線DL1Cに接続されており、第3ブースト回路20Eの第2セット・リセット部25は、第1ブースト回路20Aおよび20B用の第1駆動信号線DL1Aに接続されている。
【0227】
ここで、さらに
図30も参照しながら、ブースト回路20の(DEMUX回路10Dの)動作を説明する。
図30は、DEMUX回路10Dの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0228】
[時刻t1]
第1スイッチングTFT12A側:第1駆動信号線DL1Aの電位がハイレベルとなる。このとき、他ノード(ノードNC5)の電位は前水平走査期間からハイレベルのままであり、第1駆動信号がセット信号S1として第1セット・リセット部21に入力される。これにより、第1スイッチングTFT12Aのゲート電極に接続されたノードNA1がプリチャージされる(セット動作)。
【0229】
第2スイッチングTFT12C側:リセット状態である。
【0230】
第3スイッチングTFT12E側:ブースト状態である。
【0231】
[時刻t2]
第1スイッチングTFT12A側:第3駆動信号線DL3Aの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号Bとしてブースト部22に入力される。これにより、ノードNA1の電位が昇圧される(ブースト動作)。ノードNA1の電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Aを介したソースバスラインSL1の充電が十分に行われる。
【0232】
第2スイッチングTFT12C側:リセット状態である。
【0233】
第3スイッチングTFT12E側:第1駆動信号線DL1Aの電位がハイレベルのまま、第1駆動信号線DL1Cの電位がローレベルとなり、ノードNC5がローレベルにプルダウンされる(リセット動作)。
【0234】
[時刻t3]
第1スイッチングTFT12A側:ブースト状態である。
【0235】
第2スイッチングTFT12C側:第1駆動信号線DL1Bの電位がハイレベルとなる。このとき、他ノード(ノードNA1)の電位は前水平走査期間からハイレベルのままであり、第1駆動信号がセット信号S1として第1セット・リセット部21に入力される。これにより、第2スイッチングTFT12Cのゲート電極に接続されたノードNB3がプリチャージされる(セット動作)。
【0236】
第3スイッチングTFT12E側:リセット状態である。
【0237】
[時刻t4]
第1スイッチングTFT12A側:第1駆動信号線DL1Bの電位がハイレベルのまま、第1駆動信号線DL1Aの電位がローレベルとなり、ノードNA1がローレベルにプルダウンされる(リセット動作)。
【0238】
第2スイッチングTFT12C側:第3駆動信号線DL3Bの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号Bとしてブースト部22に入力される。これにより、ノードNB3の電位が昇圧される(ブースト動作)。ノードNB3の電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Cを介したソースバスラインSL3の充電が十分に行われる。
【0239】
第3スイッチングTFT12E側:リセット状態である。
【0240】
[時刻t5]
第1スイッチングTFT12A側:リセット状態である。
【0241】
第2スイッチングTFT12C側:ブースト状態である。
【0242】
第3スイッチングTFT12E側:第1駆動信号線DL1Cの電位がハイレベルとなる。このとき、他ノード(ノードNB3)の電位は前水平走査期間からハイレベルのままであり、第1駆動信号がセット信号S1として第1セット・リセット部21に入力される。これにより、第3スイッチングTFT12Eのゲート電極に接続されたノードNC5がプリチャージされる(セット動作)。
【0243】
[時刻t6]
第1スイッチングTFT12A側:リセット状態である。
【0244】
第2スイッチングTFT12C側:第1駆動信号線DL1Cの電位がハイレベルのまま、第1駆動信号線DL1Bの電位がローレベルとなり、ノードNB3がローレベルにプルダウンされる(リセット動作)。
【0245】
第3スイッチングTFT12E側:第3駆動信号線DL3Cの電位がハイレベルとなり、第3駆動信号がブースト信号Bとしてブースト部22に入力される。これにより、ノードNC5の電位が昇圧される(ブースト動作)。ノードNC5の電位が昇圧されることにより、スイッチングTFT12Eを介したソースバスラインSL5の充電が十分に行われる。
【0246】
[時刻t7]
第1スイッチングTFT12A側:リセット状態である。
【0247】
第2スイッチングTFT12C側:リセット状態である。
【0248】
第3スイッチングTFT12E側:ブースト状態である。
【0249】
ソースバスラインSL1、SL3およびSL5への書き込みが完了(電位が確定)すると、ゲートバスラインGLnから供給されるゲート信号がオフレベルとなり、画素PIXへの表示電圧の書き込みが完了する。以降、上述した動作を繰り返すことにより、全ゲートバスラインGL分の書き込みを行う。
【0250】
(実施形態6)
図31を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図31は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Eの構成を示す図である。
【0251】
図28に示したDEMUX回路10Dでは、各スイッチングTFT12に1個ずつブースト回路20が接続されている。これに対し、本実施形態のDEMUX回路10Eでは、
図31に示すように、2個のスイッチングTFT12に対して1個のブースト回路20が接続されている。以下、より具体的に説明する。
【0252】
第1単位回路11Aが有する3個のスイッチングTFT12は、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる第1スイッチングTFT12A、第2スイッチングTFT12Cおよび第3スイッチングTFT12Eである。同様に、第2単位回路11Bが有する3個のスイッチングTFT12は、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる第1スイッチングTFT12B、第2スイッチングTFT12Dおよび第3スイッチングTFT12Fである。
【0253】
図31に示されている3個のブースト回路20A、20Bおよび20Cのうちのブースト回路20Aは、第1単位回路11Aの第1スイッチングTFT12Aおよび第2単位回路11Bの第1スイッチングTFT12Bに共通に接続されている。また、ブースト回路20Bは、第1単位回路11Aの第2スイッチングTFT12Cおよび第2単位回路11Bの第2スイッチングTFT12Dに共通に接続されている。また、ブースト回路20Cは、第1単位回路11Aの第3スイッチングTFT12Eおよび第2単位回路11Bの第3スイッチングTFT12Fに共通に接続されている。
【0254】
このように、本実施形態では、同時に選択される2個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用される。そのため、回路素子数を低減することができる。また、回路素子数の低減により負荷が低減されるので、いっそうの低消費電力化を図ることができる。さらに、回路素子数の低減により、回路面積も低減できるので、レイアウトサイズを小さくすることができ、いっそうの狭額縁化を図ることができる。
【0255】
(実施形態7)
実施形態6のDEMUX回路10Eでは、2個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用されるが、3個以上のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用されてもよい。以下、
図32を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図32は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Fの構成を示す図である。
【0256】
図32には、DEMUX回路10Fが有する複数個の単位回路11のうちの、3個の単位回路(以下ではそれぞれ「第1単位回路」、「第2単位回路」および「第3単位回路」と呼ぶ)11A、11Bおよび11Cが示されている。
【0257】
第1単位回路11Aは、3本の分岐配線BL1、BL4およびBL7と、3個のスイッチングTFT12A、12Dおよび12Gとを含み、信号出力線VL1からソースバスラインSL1、SL4およびSL7に表示信号を分配する。第1単位回路11Aの3個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFT、第2スイッチングTFTおよび第3スイッチングTFT)12A、12Dおよび12Gは、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0258】
第2単位回路11Bは、3本の分岐配線BL2、BL5およびBL8と、3個のスイッチングTFT12B、12Eおよび12Hとを含み、信号出力線VL2からソースバスラインSL2、SL5およびSL8に表示信号を分配する。第2単位回路11Bの3個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFT、第2スイッチングTFTおよび第3スイッチングTFT)12B、12Eおよび12Hは、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0259】
第3単位回路11Cは、3本の分岐配線BL3、BL6およびBL9と、3個のスイッチングTFT12C、12Fおよび12Iとを含み、信号出力線VL3からソースバスラインSL3、SL6およびSL9に表示信号を分配する。第3単位回路11Cの3個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFT、第2スイッチングTFTおよび第3スイッチングTFT)12C、12Fおよび12Iは、1水平走査期間内で互いに異なるタイミングでオン状態とされる。
【0260】
図32に示されている3個のブースト回路20A、20Bおよび20Cのうちのブースト回路20Aは、第1単位回路11Aの第1スイッチングTFT12A、第2単位回路11Bの第1スイッチングTFT12Bおよび第3単位回路11Cの第1スイッチングTFT12Cに共通に接続されている。また、ブースト回路20Bは、第1単位回路11Aの第2スイッチングTFT12D、第2単位回路11Bの第2スイッチングTFT12Eおよび第3単位回路11Cの第2スイッチングTFT12Fに共通に接続されている。また、ブースト回路20Cは、第1単位回路11Aの第3スイッチングTFT12G、第2単位回路11Bの第3スイッチングTFT12Hおよび第3単位回路11Cの第3スイッチングTFT12Iに共通に接続されている。
【0261】
このように、本実施形態では、同時に選択される3個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用される。そのため、2個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用される実施形態6に比べ、回路素子数をいっそう低減することができる。それ故、いっそうの低消費電力化およびいっそうの狭額縁化を図ることができる。
【0262】
なお、本実施形態では、3個のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用される例を示したが、同時に選択される4個以上のスイッチングTFT12で1個のブースト回路20が共用されてもよい。
【0263】
(実施形態8)
図33を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図33は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Gの構成を示す図である。
【0264】
DEMUX回路10Gは、
図33に示すように、それぞれが各ブースト回路20に接続された複数個のクリア回路30をさらに含む(
図33では1個のクリア回路30が示されている)。クリア回路30は、対応するブースト回路20を所定のタイミングで初期化し得る。
【0265】
図33に示す例では、クリア回路30は、TFT(以下では「クリア用TFT」と呼ぶ)31を含んでいる。クリア用TFT31のゲート電極には、クリア信号が供給される。クリア用TFT31のソース電極は、第1駆動信号線DL1(DL1A)に接続されており、クリア用TFT31のドレイン電極は、ノードN(NA1)に接続されている。
【0266】
クリア回路30を含むDEMUX回路10Gでは、クリア用TFT31のゲート電極に供給されるクリア信号がハイレベルになると、ブースト回路20が初期化される。クリア回路30によるブースト回路20の初期化は、例えば、駆動期間の最初または最後に行われる。
【0267】
駆動期間の最初にブースト回路20の初期化を行うと、ブースト回路20が初期化された状態から動作するので、予期しない動作や出力を抑制することができる。また、駆動期間の最後にブースト回路20の初期化を行うと、各ノードの電荷(駆動によって蓄積される)を抜くことができるので、動作休止時に残存した電荷に起因するTFTの劣化を防止することができる。
【0268】
(実施形態9)
図34を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図34は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Hの構成を示す図である。
【0269】
DEMUX回路10Hでは、
図34に示すように、ブースト回路20のセット・リセット部21は、互いに直列に接続された複数の(ここでは2個の)セット・リセット用TFT23Aおよび23Bを含む。
【0270】
セット・リセット用TFT23Aおよび23Bのゲート電極は、他ノード(ノードNB3)に接続されている。セット・リセット用TFT23Aのドレイン電極は、第1駆動信号線DL1Aに接続されている。セット・リセット用TFT23Aのソース電極は、セット・リセット用TFT23Bのドレイン電極に接続されている。セット・リセット用TFT23Bのソース電極は、ノードNA1に接続されている。
【0271】
上述したように、ブースト回路20のセット・リセット部21が互いに直列に接続された複数のセット・リセット用TFT23Aおよび23Bを含んでいることにより、ブースト回路20の動作によってノードNA1が昇圧された際に、個々のTFTのソース・ドレイン間に与えられる電位差を低減する(例示している構成では約半分にする)ことができる。つまり、耐圧の向上を図ることができる。
【0272】
(実施形態10)
図35を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図35は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Iの構成を示す図である。
【0273】
図35に示すDEMUX回路10Iは、駆動信号線群DG1およびDG2に加え、さらなる駆動信号線群DG1’およびDG2’を備える点において、
図17に示したDEMUX回路10と異なっている。
【0274】
図35に示されている4個のブースト回路20のうち、ブースト回路20Aは、駆動信号線群DG1によって駆動され、ブースト回路20Bは、駆動信号線群DG1’によって駆動される。また、ブースト回路20Cは、駆動信号線群DG2によって駆動され、ブースト回路20Dは、駆動信号線群DG2’によって駆動される。
【0275】
図17に示したDEMUX回路10では、同じタイミングで駆動されるブースト回路20Aとブースト回路20Bとは、同じ駆動信号線群DG1によって駆動される。また、同じタイミングで駆動されるブースト回路20Cとブースト回路20Dとは、同じ駆動信号線群DG2によって駆動される。
【0276】
これに対し、
図35に示すDEMUX回路10Iでは、同じタイミングで駆動されるブースト回路20Aとブースト回路20Bとは、異なる駆動信号線群GD1およびGD1’によってそれぞれ駆動される。また、同じタイミングで駆動されるブースト回路20Cとブースト回路20Dとは、異なる駆動信号線群GD2およびGD2’によってそれぞれ駆動される。
【0277】
駆動信号線群GD1およびGD1’には、あるタイミングでブースト回路20を駆動するための駆動信号が相展開されて供給されている。つまり、駆動信号線群GD1およびGD1’は、実質的に同じ信号を供給する、別の配線群である。
【0278】
駆動信号線群GD2およびGD2’には、別のあるタイミングでブースト回路20を駆動するための駆動信号が相展開されて供給されている。つまり、駆動信号線群GD2およびGD2’は、実質的に同じ信号を供給する、別の配線群である。
【0279】
上述したように、本実施形態では、同じタイミングで駆動される2個以上のブースト回路20のうちの一部のブースト回路20を駆動するための駆動信号群を供給する配線群と、他の一部のブースト回路20を駆動するための駆動信号群を供給する別の配線群とが設けられている。そのため、1本の駆動信号線に接続される回路数を少なくすることができるので、個々の駆動信号線の負荷が少なくなり、駆動信号の遷移時間(立上り時間および立下り時間)を短くすることができる。そのため、より高速の動作が可能となる。
【0280】
(電源立ち上げ時の動作)
ここで、
図36を参照しながら、電源立ち上げ時のDEMUX回路10の動作を説明する。
図36は、電源立ち上げから初期化、帰線期間を経て書き込み(通常動作)開始までのタイミングチャートであり、電源電圧VGH、VGL、クリア信号CLR、第1駆動信号線DL1A、DL1B、第3駆動信号線DL3A、DL3B、ノードNA1、NB3、信号出力線VLおよびソースバスラインSL1、SL3の電位が示されている。
【0281】
[期間p1:電源立ち上げ]
電源が立ち上がると、ドライバ内の電源電圧VGHおよびVGLが初期状態に遷移する。具体的には、VGHはハイレベルに遷移し、VGLはローレベルに遷移する。
【0282】
[期間p2:初期化]
クリア信号CLRがハイレベルとなり、回路内部のノードが初期化される。
【0283】
[期間p3:初期化後、第1ブースト回路用の駆動信号立ち上げ]
最初のタイミングで第1ブースト回路20A用の第1駆動信号(第1駆動信号線DL1Aから供給される)が立ち上がるが、このとき、第2ブースト回路20C用の第1駆動信号(第1駆動信号線DL1Bから供給される)は立ち上っていないので、ノードNA1への充電は行われない。
【0284】
第1ブースト回路20A用の第3駆動信号(第3駆動信号線DL3Aから供給される)が立ち上がると、ノードNA1が突き上げられて、所定の電圧に立ち上がる。このタイミングでは、信号出力線VLの電位(表示信号電圧)は0Vに固定されている。
【0285】
[期間p4:初期化後、第2ブースト回路用の駆動信号立ち上げ]
第2ブースト回路20C用の第1駆動信号(第1駆動信号線DL1Bから供給される)が立ち上がると、ノードNA1が所定の電位まで立ち上っているので、ノードNB3が充電される。続いて、第2ブースト回路20C用の第3駆動信号(第3駆動信号線DL3Bから供給される)が立ち上がると、ノードNB3が突き上げられて高い電位まで充電される。このタイミングでも、信号出力線VLの表示信号電圧は、0Vに固定されている。
【0286】
[期間p5:初期化後、通常動作前]
ノードNB3の電位が高い状態で、第1ブースト回路20A用の第1駆動信号が立ち上がり、通常動作と同レベルまでノードNA1が充電される。このタイミングでも、信号出力線VLの表示信号電圧は0Vに固定されている。
【0287】
[期間p6:通常動作(書き込み)開始)]
ゲートドライバによる走査が開始される。信号出力線VLは所望の画像に対応する表示信号電圧を出力する。
【0288】
[酸化物半導体について]
スイッチングTFT12の酸化物半導体層に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0289】
酸化物半導体層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。酸化物半導体層が積層構造を有する場合、酸化物半導体層は、非晶質酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよいし、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよく、また、複数の非晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、上層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップは、下層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きいことが好ましい。ただし、これらの層のエネルギーギャップの差が比較的小さい場合には、下層の酸化物半導体のエネルギーギャップが上層の酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きくてもよい。
【0290】
非晶質酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014−007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014−007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0291】
酸化物半導体層は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本発明の実施形態では、酸化物半導体層は、例えば、In−Ga−Zn−O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In−Ga−Zn−O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層は、In−Ga−Zn−O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0292】
In−Ga−Zn−O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体が好ましい。
【0293】
なお、結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014−007399号公報、特開2012−134475号公報、特開2014−209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012−134475号公報および特開2014−209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a−SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a−SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、スイッチングTFT12として好適に用いられ、また、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)や画素TFT(画素に設けられるTFT)としても好適に用いられる。
【0294】
酸化物半導体層は、In−Ga−Zn−O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn−Sn−Zn−O系半導体(例えばIn
2O
3−SnO
2−ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In−Sn−Zn−O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層は、In−Al−Zn−O系半導体、In−Al−Sn−Zn−O系半導体、Zn−O系半導体、In−Zn−O系半導体、Zn−Ti−O系半導体、Cd−Ge−O系半導体、Cd−Pb−O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg−Zn−O系半導体、In−Ga−Sn−O系半導体、In−Ga−O系半導体、Zr−In−Zn−O系半導体、Hf−In−Zn−O系半導体などを含んでいてもよい。
【0295】
(実施形態11)
図37を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図37は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Jの構成を示す図である。
【0296】
図37に示すDEMUX回路10Jは、各単位回路11のスイッチングTFT12pが、活性層として多結晶シリコン半導体層(例えば低温ポリシリコン(LTPS)層)を含むPMOSトランジスタである点において、
図20に示したDEMUX回路10と異なっている。また、DEMUX回路10Jでは、回路を構成する他のTFTも、多結晶シリコン半導体層を含むPMOSトランジスタである。従って、セット・リセット部21のセット・リセット用TFT23pも、多結晶シリコン半導体層を含むPMOSトランジスタである。
【0297】
図37に示すDEMUX回路10Jのように、PMOSトランジスタでDEMUX回路が構成される場合も、
図17に示したDEMUX回路10と信号等の極性が逆になるだけで、タイミング等は同一で駆動を行うことができる。
【0298】
既に説明したように、多結晶シリコンは、酸化物半導体よりも移動度が高いが、PMOSは、NMOSに比べて移動度が低い。そのため、活性層として多結晶シリコン半導体層を含むPMOSトランジスタのみをDEMUX回路用TFTとして用いる場合、酸化物半導体TFTを用いる場合と同様の問題が生じる。
【0299】
本実施形態のように、DEMUX回路10Jがブースト回路20を含むことにより、駆動電力の低減や狭額縁化を実現することができる。
【0300】
(実施形態12)
図38を参照しながら、本実施形態におけるアクティブマトリクス基板を説明する。
図38は、本実施形態のアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路10Kの構成を示す図である。
図38には、ある単位回路11Aに含まれる2個のスイッチングTFT(第1スイッチングTFTおよび第2スイッチングTFT)12Aおよび12Cに接続された2個のブースト回路(第1ブースト回路および第2ブースト回路)20Aおよび20Cが示されている。
【0301】
図38に示すDEMUX回路10Kは、各ブースト回路20が、セット・リセット部21に代えて、セット部21Sとリセット部21Rとを含んでいる点において、
図18に示すDEMUX回路10と異なっている。
【0302】
セット部21S、リセット部21Rおよびブースト部22は、それぞれスイッチングTFT12のゲート電極に接続されたノードNに接続されている。
【0303】
セット部21Sは、第1駆動信号線DL1からセット信号Sを供給され、ノードNをプリチャージするセット動作を行う。ブースト部22は、第3駆動信号線DL3からブースト信号
Bを供給され、セット部21SによってプリチャージされたノードNの電位を昇圧するブースト動作を行う。
【0304】
リセット部21Rは、リセット信号Rを供給され、ノードNの電位をリセットするリセット動作を行う。
図38に示す例では、第1ブースト回路20Aのリセット部21Rは、第2ブースト回路20C用の第1駆動信号線DL1Bに接続されており、この第1駆動信号線DL1Bの信号電圧をリセット信号Rとして入力される。また、第2ブースト回路20Bのリセット部21Rは、第1ブースト回路20A用の第1駆動信号線DL1Aに接続されており、この第1駆動信号線DL1Aの信号電圧をリセット信号Rとして入力される。
【0305】
これまで参照したタイミングチャートからもわかるように、第1ブースト回路20A用の第1駆動信号線DL1Aが供給する信号と、第2ブースト回路20C用の第1駆動信号線DL1Bが供給する信号とは、逆相の信号である。そのため、第1ブースト回路20A用の第1駆動信号線DL1Aと、第2ブースト回路20C用の第1駆動信号線DL1Bとは、異なるタイミングでハイレベルとなる。そのため、第2ブースト回路20C用の第1駆動信号線DL1Bが供給する信号を、第1ブースト回路20A用のリセット信号Rとして用いることができ、第1ブースト回路20A用の第1駆動信号線DL1Aが供給する信号を、第2ブースト回路20C用のリセット信号Rとして用いることができる。なお、比較例1のDEMUX回路510のように、リセット信号Rを供給するための第2駆動信号線DL2を設けてもよい。
【0306】
また、
図38に示すように、第1ブースト回路20Aのセット部21Sは、第2ブースト回路20Cによって昇圧されるノードNB3の電位を入力され、第2ブースト回路20Cのセット部21Sは、第1ブースト回路20Aによって昇圧されるノードNA1の電位を入力される。
【0307】
図39を参照しながら、ブースト回路20のより具体的な構成を説明する。
図39は、第1ブースト回路20Aのセット部21S、リセット部21Rおよびブースト部22の具体的な構成の例を示す図である。
【0308】
図39に示すように、セット部21Sは、セット用TFT27を含む。セット用TFT27のドレイン電極およびソース電極は、それぞれ第1駆動信号線DL1AおよびノードNA1に接続されている。また、セット用TFT27のゲート電極は、他ノード(ノードNB3)に接続されている。
【0309】
リセット部21Rは、リセット用TFT28を含む。リセット用TFT28のソース電極は、定電位(負電源電位VSS)を与えられ、リセット用TFT28のドレイン電極は、ノードNA1に接続されている。また、リセット用TFT28のゲート電極は、第2ブースト回路20C用の第1駆動信号線DL1Bに接続されている。
【0310】
ブースト部22は、ブースト用容量素子24を含む。ブースト用容量素子24は、第3駆動信号線DL3Aに接続された電極(第1容量電極)と、ノードNA1に接続された電極(第2容量電極)とを含む。
【0311】
上述した構成を有する本実施形態のDEMUX回路10Kでは、セット動作が行われるとき、セット用TFT27のドレイン電極に供給される信号電圧(第1信号電圧V1)よりも、ゲート電極に供給される信号電圧(第2信号電圧V2)の方が高くなる。これにより、セット用TFT27の閾値電圧Vthに起因するプリチャージ電圧の電圧降下およびブースト電圧の電圧降下を防止することができる。そのため、本実施形態のDEMUX回路10Kにおいても、実施形態1のDEMUX回路10等と同様に、実効的な駆動電圧をいっそう高くすることができる。
【0312】
このように、本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板が備えるDEMUX回路のブースト回路は、セット部およびリセット部を含んでいてもよいし、セット・リセット部を含んでも(つまりセット部がリセット部として機能しても)よい。
【0313】
(表示装置)
本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板(半導体装置)は、表示装置に好適に用いられる。なお、これまでは、FFSモード等の横電界モードで表示を行う液晶表示装置のアクティブマトリクス基板を例に説明を行ったが、液晶層の厚さ方向に電圧を印加する縦電界モード(例えば、TNモードや垂直配向モード)で表示を行う液晶表示装置のアクティブマトリクス基板にも適用され得る。また、本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板は、液晶表示装置以外の表示装置(液晶層以外の表示媒体層を備える表示装置)にも好適に用いられる。例えば、本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板は、電気泳動表示装置や有機EL(Electroluminescence)表示装置などにも用いられる。
【0314】
液晶表示装置は、アクティブマトリクス基板と、アクティブマトリクス基板に対向するように配置された対向基板と、アクティブマトリクス基板および対向基板の間に設けられた液晶層とを備え得る。有機EL表示装置は、アクティブマトリクス基板と、アクティブマトリクス基板上に設けられた有機EL層とを備え得る。