(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態における乗員保護装置の概略の一例を示す平面図である。なお、本実施の形態においては、乗員保護装置を備える車両を右ハンドルの車両とし、運転席に設けた乗員保護装置を例に説明する。
【0015】
(乗員保護装置11の構成)
図1に示すように、乗員保護装置11は、インフレータ101と、エアバッグ201と、を備えている。
【0016】
(インフレータ101)
インフレータ101は、車両に対する衝突予測や衝突検知などにより異常が発生すると異常検知部から送られた信号に基づいて、火薬に点火し、燃焼による化学反応でガスを発生させ、エアバッグ201にガスを圧入させる。すなわち、インフレータ101は、エアバッグ201にガスを供給するものである。
【0017】
(エアバッグ201)
エアバッグ201は、インフレータ101によってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折りたたまれている。また、エアバッグ201は、座席シートSに着座する乗員P周辺に展開可能に設けられており、インフレータ101によってガスが供給されると、車両前方から後方、乗員Pに向かって膨張し、展開する。エアバッグ201は、膨張展開時に乗員Pを受け止めるものである。
【0018】
さらに、エアバッグ201は、メインバッグ211と、サブバッグ221と、脆弱連結部231と、を有している。
【0019】
(メインバッグ211)
メインバッグ211は、衝突などの異常発生時に乗員Pの頭部および上体を支持する袋体である。また、メインバッグ211は、ステアリングのセンタパッドまたはインパネなどから乗員Pに向かって後方に展開可能である。なお、メインバッグ211がステアリングのセンタパッドに収納される場合には、センタパッドは、ステアリングの外郭を構成するリング状のリムに連動することなく、非回転構造とすることが望ましい。
【0020】
(サブバッグ221)
サブバッグ221は、メインバッグ211と脆弱連結部231を介して連結されており、メインバッグ211よりも乗員P側に突出展開するものである。また、サブバッグ221は、第1サブバッグ221Lと、第2サブバッグ221Rと、を有し、乗員Pの中心に対して、第1サブバッグ221Lは、車両の中央寄りに展開し、第2サブバッグ221Rは、車両の外側、すなわち、ドア側に展開するものである。
【0021】
また、第1サブバッグ221Lおよび第2サブバッグ221Rは、乗員Pと対面する面(接触または近づく側の面)が平らまたは窪み、それとは反対側の面が丸みを帯びた、略半月状または略三日月形状となっている。
さらに、第1サブバッグ221Lおよび第2サブバッグ221Rは、展開時に乗員P側となる先端部が、座席シートSのほぼ側端の位置の幅まで拡がるようになっている。すなわち、第1サブバッグ221Lおよび第2サブバッグ221Rは、乗員Pが側部側に通常考え得る最大の移動範囲まで拡がるようになっている。
【0022】
また、本実施の形態においては、サブバッグ221として、2つの第1サブバッグ221Lと第2サブバッグ221Rとを備えたものとしたが、これに限らず、1つであってもよい。また、サブバッグ221として、3つ以上のサブバッグを備えた構成としてもよい。さらに、本実施の形態において、サブバッグ221は、乗員Pの中心に対して双方に、それぞれ1つずつ設けるようにしているが、これに限らず、配置についても自由に設けてよい。例えば、サブバッグ221を、乗員Pの中心に対して、車両の中央寄りに2つ有し、車両のドア側に1つを有する構成としてもよい。
【0023】
(脆弱連結部231)
脆弱連結部231は、サブバッグ221をメインバッグ211に連結するものであり、サブバッグ221に対して側部方向に力が加わった場合に、サブバッグ221をメインバッグ211に対して揺動可能に連結するものである。すなわち、脆弱連結部231は、メインバッグ211とサブバッグ221とを連結するものであるが、その形状を固定するものではなく、力が加わった場合に、連結を保持したまま自由に連結形状が変化し、サブバッグ221の動きの変化の自由度が高くなるようにしている。
また、脆弱連結部231は、内部にメインバッグ211内のガスを、サブバッグ221内に流入させる流路が設けられている。
【0024】
また、脆弱連結部231は、第1脆弱連結部231Lと、第2脆弱連結部231Rと、を有している。
第1脆弱連結部231Lは、第1サブバッグ221Lをメインバッグ211に対して揺動可能に連結するものである。また、第2脆弱連結部231Rは、第2サブバッグ221Rをメインバッグ211に対して揺動可能に連結するものである。
このように、第1脆弱連結部231Lが第1サブバッグ221Lの動きの自由度を高く連結しているため、第1サブバッグ221L方向からメインバッグ211方向に力が加わると、第1サブバッグ221Lがメインバッグ211に密着して、双方が衝撃を吸収し、乗員Pに対する保護機能をより高めることができるようになっている。同様に、第2脆弱連結部231Rが第2サブバッグ221Rの動きの自由度を高く連結しているため、第2サブバッグ221R方向からメインバッグ211方向に力が加わると、第2サブバッグ221Rがメインバッグ211に密着して、双方が衝撃を吸収し、乗員Pに対する保護機能をより高めることができるようになっている。
【0025】
また、メインバッグ211には、第1脆弱連結部231Lおよび第2脆弱連結部231Rと連結する箇所に、ベントホールが設けられている。また、第1サブバッグ221Lおよび第2サブバッグ221Rには、それぞれ第1脆弱連結部231Lおよび第2脆弱連結部231Rと連結する箇所に、ガスが圧入されるための吸入口が設けられている。そして、第1脆弱連結部231Lは、メインバッグ211のベントホールと第1サブバッグ221Lの吸入口とを連結し、メインバッグ211に圧入されたガスを、第1サブバッグ221Lに出力可能としている。同様に、第2脆弱連結部231Rは、メインバッグ211のベントホールと第2サブバッグ221Rの吸入口とを連結して、メインバッグ211に圧入されたガスを、第2サブバッグ221Rに出力可能としている。
【0026】
(乗員保護装置11の動作)
このような乗員保護装置11において、異常検知部によって衝突予測などの異常が検知されると、インフレータ101を作動させ、エアバッグ201にガスを圧入させる。
エアバッグ201では、まず、メインバッグ211に対して、インフレータ101によりガスが圧入される。メインバッグ211は、車両の前方から後方に向かって、すなわち、乗員Pに向かって膨張、展開する。そして、メインバッグ211の先端までガスが圧入されると、メインバッグ211に設けられたベントホールから、第1脆弱連結部231Lおよび第2脆弱連結部231Rを介して、第1サブバッグ221Lおよび第2サブバッグ221Rにガスが流入する。
【0027】
第1サブバッグ221Lは、メインバッグ211からガスが流入すると、乗員Pの左側側面、車両の中央方向に膨張、展開し、乗員P側をそぎ落とした略半月状に拡がる。また、第2サブバッグ221Rは、メインバッグ211からガスが流入すると、乗員Pの右側側面、車両のドア方向に膨張、展開し、乗員P側をそぎ落とした、第1サブバッグ221Lとは対象となる略半月状に拡がる。
これにより、乗員Pの前方にはメインバッグ211が拡がり、乗員Pの左側には第1サブバッグ221Lが拡がり、乗員Pの右側には第2サブバッグ221Rが拡がる。すなわち、乗員Pを包み込むようにエアバッグ201が拡がる。
【0028】
ここで、車両が真正面から衝突した場合には、乗員Pはまっすぐ車両前方方向に移動し、正面に拡がるメインバッグ211によって衝撃が緩和される。しかしながら、車両が真正面から衝突するといったケースは少なく、多くの場合、真正面からずれた斜めの方向からの衝突となる。例えば、車両が左前方から衝突した場合、
図1における紙面においては、乗員Pは、左上方向に移動する。
【0029】
車両がこのような左前方から衝突した場合、乗員Pは、第1サブバッグ221Lに接触し、第1サブバッグ221Lに対して左前方に力を加える。このとき、第1サブバッグ221Lは、メインバッグ211に対して第1脆弱連結部231Lによって揺動可能に連結されているため、左前方に移動しつつ、乗員Pの衝撃を吸収する。
また、第1サブバッグ221Lは、乗員Pにより左前方に押されると、メインバッグ211に接触する。そして、第1サブバッグ221Lは、メインバッグ211に衝撃を吸収されつつ密着する。これにより、乗員Pは、第1サブバッグ221Lとメインバッグ211との双方によって、より効果的に衝撃が吸収され、安全に受け止められることとなる。
【0030】
このように、第1サブバッグ221Lがメインバッグ211に対して第1脆弱連結部231Lによって揺動可能に連結されているため、固定位置に設置されているよりも、移動による衝撃の吸収も行うので、乗員Pに対する衝撃を抑えることができる。また、第1サブバッグ221Lが、乗員Pの前方側面に展開されるようにしているため、前方正面からの衝突に限らず、側面や斜めからの衝突に対しても衝撃を抑えることができ、異なる衝撃形態に対する乗員Pの保護機能を高めることができる。
【0031】
なお、第2サブバッグ221Rにおいても、第1サブバッグ221Lと同様に、衝撃を抑えることができ、また、右側側面や斜めからの衝突に対しても衝撃を抑えることができ、異なる衝撃形態に対する乗員Pの保護機能を高めることができる。
【0032】
(大きさの異なるサブバッグを備えた乗員保護装置)
次に、乗員保護装置の他の実施の形態について、説明する。
本実施の形態における乗員保護装置12は、大きさの異なるサブバッグを備えたものである。なお、
図2は、本実施の形態における乗員保護装置の概略を示す平面図である。
【0033】
(乗員保護装置12の構成)
図2に示すように、本実施の形態における乗員保護装置12は、上記実施の形態の乗員保護装置11と同様に、インフレータ102と、エアバッグ202と、を備えている。
【0034】
(インフレータ102)
インフレータ102は、上記実施の形態のインフレータ101と同様に、異常検知部から送られた信号に基づいて、エアバッグ202にガスを圧入させるものである。
【0035】
(エアバッグ202)
エアバッグ202は、インフレータ102によってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折りたたまれており、インフレータ102によってガスが供給されると、乗員Pに向かって膨張し、乗員P周辺に展開可能に設けられている。
【0036】
さらに、エアバッグ202は、メインバッグ212と、サブバッグ222と、脆弱連結部232と、を有している。
【0037】
(メインバッグ212)
メインバッグ212は、衝突などの異常発生時に乗員Pの頭部および上体を支持する袋体である。また、メインバッグ212は、展開時に乗員P側の両外側となる位置に、メインバッグ212の外側および乗員P側に突出した第1突出部212aおよび第2突出部212bが設けられている。なお、第1突出部212aは、車両の中央寄りに設けられ、第2突出部212bは、車両の外側、すなわち、ドア側に設けられている。
【0038】
(サブバッグ222)
サブバッグ222は、メインバッグ212と脆弱連結部232を介して連結されており、メインバッグ212よりも乗員P側に突出展開するものである。また、サブバッグ222は、第1サブバッグ222Lと、第2サブバッグ222Rと、を有し、乗員Pの中心に対して、第1サブバッグ222Lは、車両の中央寄りに展開し、第2サブバッグ222Rは、車両の外側(外部寄り)、すなわち、ドア側に展開するものである。したがって、第1サブバッグ222Lを中央側サブバッグ、第2サブバッグ222Rを外部側サブバッグということもできる。
【0039】
また、第1サブバッグ222Lは、第2サブバッグ222Rよりも大きく展開するようになっている。
また、第1サブバッグ222Lは、展開時、メインバッグ212の第1突出部212aによって、車両の前方および外側、すなわち、車両の中央寄りへの動きが抑制されるようになっている。同様に、第2サブバッグ222Rは、展開時、メインバッグ212の第2突出部212bによって、車両の前方および外側、すなわち、車両の右ドア側への動きが抑制されるようになっている。
【0040】
(脆弱連結部232)
脆弱連結部232は、サブバッグ222をメインバッグ212に連結するものであり、サブバッグ222に対して側部方向に力が加わった場合に、サブバッグ222をメインバッグ212に対して揺動可能に連結するものである。すなわち、脆弱連結部232は、上記実施の形態の脆弱連結部231と同様に、メインバッグ212とサブバッグ222とを連結するものであるが、その形状を固定するものではなく、力が加わった場合に、連結を保持したまま自由に連結形状が変化し、サブバッグ222の動きの変化の自由度が高くなるようにしている。
また、脆弱連結部232は、内部にメインバッグ212内のガスを、サブバッグ222内に流入させる流路が設けられている。
【0041】
また、脆弱連結部232は、第1脆弱連結部232Lと、第2脆弱連結部232Rと、を有している。
第1脆弱連結部232Lは、第1サブバッグ222Lをメインバッグ212に対して揺動可能に連結するものであり、メインバッグ212の第1突出部212aよりも中心部よりで第1サブバッグ222Lを連結している。また、第2脆弱連結部232Rは、第2サブバッグ222Rをメインバッグ212に対して揺動可能に連結するものであり、メインバッグ212の第2突出部212bよりも中心部よりで第2サブバッグ222Rを連結している。
このように、第1脆弱連結部232Lが第1サブバッグ222Lの動きの自由度を高く連結しているため、上記実施の形態と同様に、第1サブバッグ222L方向からメインバッグ212方向に力が加わると、第1サブバッグ222Lがメインバッグ212に密着して、双方が衝撃を吸収し、乗員Pに対する保護機能をより高めることができるようになっている。同様に、第2脆弱連結部232Rが第2サブバッグ222Rの動きの自由度を高く連結しているため、第2サブバッグ222R方向からメインバッグ212方向に力が加わると、第2サブバッグ222Rがメインバッグ212に密着して、双方が衝撃を吸収し、乗員Pに対する保護機能をより高めることができるようになっている。
さらに、メインバッグ212には、第1突出部212aおよび第2突出部212bが設けられているため、第1サブバッグ222Lおよび第2サブバッグ222Rをそれぞれより確実に捉えることができ、乗員Pに対する保護機能を高めることができるようになっている。
【0042】
また、メインバッグ212には、第1脆弱連結部232Lおよび第2脆弱連結部232Rと連結する箇所に、ベントホールが設けられており、第1サブバッグ222Lおよび第2サブバッグ222Rには、それぞれ第1脆弱連結部232Lおよび第2脆弱連結部232Rと連結する箇所に、ガスが圧入されるための吸入口が設けられている。そして、第1脆弱連結部232Lは、メインバッグ212のベントホールと第1サブバッグ222Lの吸入口とを連結し、メインバッグ212に圧入されたガスを、第1サブバッグ222Lに出力可能としている。同様に、第2脆弱連結部232Rは、メインバッグ212のベントホールと第2サブバッグ222Rの吸入口とを連結して、メインバッグ212に圧入されたガスを、第2サブバッグ222Rに出力可能としている。
【0043】
ここで、車両に対して斜め前方から衝突が起こった場合の乗員Pの移動距離について、説明する。
なお、
図3は、車両に対する衝突時の乗員Pの移動距離を説明するための概略図である。
【0044】
図3に示すように、車両の右斜め前、すなわち、運転席側から衝突が起こった際には、運転席の乗員Pに衝突方向に力が加わり、乗員Pは右前方に移動される。また、車両の左斜め前、すなわち、助手席側から衝突が起こった際には、運転席の乗員Pに衝突方向に力が加わり、乗員Pは左前方に移動される。一般に、運転席側からの衝突よりも、助手席側からの衝突の時の方が、運転席の乗員Pの移動距離は長くなる。
【0045】
したがって、本実施の形態のサブバッグ222のように、第2サブバッグ222Rよりも第1サブバッグ222Lの方が大きくなっていることにより、右前方からの衝突よりも左前方からの衝突の方が、より大きな衝撃まで緩和することができる。また、第2サブバッグ222Rを第1サブバッグ222Lよりも小さくすることにより、インフレータ102の容量を限定することができる。
【0046】
(サブバッグに専用の流通路を設けた乗員保護装置)
次に、乗員保護装置の他の実施の形態について、説明する。
本実施の形態における乗員保護装置13は、サブバッグに対して専用の流通路を設けたものである。
なお、
図4は、本実施の形態における乗員保護装置の概略を示す平面図である。
【0047】
(乗員保護装置13の構成)
図4に示すように、本実施の形態における乗員保護装置13は、上記実施の形態の乗員保護装置11、12と同様に、インフレータ103と、エアバッグ203と、を備えている。
【0048】
(インフレータ103)
インフレータ103は、上記実施の形態のインフレータ101と同様に、異常検知部から送られた信号に基づいて、エアバッグ202にガスを圧入させるものである。
また、インフレータ103は、後述するメインバッグ213と、後述するサブバッグ223と、のそれぞれ別々に、ガスを圧入させるものである。また、サブバッグ223には、後述する流通路243を介して、ガスを圧入させるものである。
【0049】
(エアバッグ203)
エアバッグ203は、インフレータ103によってガスが圧入される袋体であって、非作動時は小さく折りたたまれており、インフレータ103によってガスが供給されると、乗員Pに向かって膨張し、乗員P周辺に展開可能に設けられている。
【0050】
さらに、エアバッグ203は、メインバッグ213と、サブバッグ223と、脆弱連結部233と、流通路243と、を有している。
【0051】
(メインバッグ213)
メインバッグ213は、衝突などの異常発生時に乗員Pの頭部および上体を支持する袋体である。
【0052】
(サブバッグ223)
サブバッグ223は、メインバッグ213と脆弱連結部233を介して連結されており、メインバッグ213よりも乗員P側に突出展開するものである。また、サブバッグ223は、第1サブバッグ223Lと、第2サブバッグ223Rと、を有し、乗員Pの中心に対して、第1サブバッグ223Lは、車両の中央寄りに展開し、第2サブバッグ223Rは、車両の外側、すなわち、ドア側に展開するものである。
【0053】
(脆弱連結部233)
脆弱連結部233は、サブバッグ223をメインバッグ213に連結するものであり、サブバッグ223に対して側部方向に力が加わった場合に、サブバッグ223をメインバッグ213に対して揺動可能に連結するものである。すなわち、脆弱連結部233は、上記実施の形態の脆弱連結部231、232と同様に、メインバッグ213とサブバッグ223とを連結するものであるが、その形状を固定するものではなく、力が加わった場合に、連結を保持したまま自由に連結形状が変化し、サブバッグ223の動きの変化の自由度が高くなるようにしている。
【0054】
また、脆弱連結部233は、第1脆弱連結部233Lと、第2脆弱連結部233Rと、を有している。
第1脆弱連結部233Lは、第1サブバッグ223Lをメインバッグ213に対して揺動可能に連結するものである。また、第2脆弱連結部233Rは、第2サブバッグ223Rをメインバッグ213に対して揺動可能に連結するものである。
【0055】
(流通路243)
流通路243は、インフレータ103とサブバッグ223とを連結し、インフレータ103から圧入されたガスを、サブバッグ223に供給させるものである。
また、流通路243は、第1流通路243Lおよび第2流通路243Rを有している。
【0056】
第1流通路243Lは、インフレータ103と第1サブバッグ223Lとを連結し、インフレータ103から圧入されたガスを、第1サブバッグ223Lに供給させるものである。第2流通路243Rは、インフレータ103と第2サブバッグ223Rとを連結し、インフレータ103から圧入されたガスを、第2サブバッグ223Rに供給させるものである。
【0057】
このような構成により、サブバッグ223がメインバッグ213に対して脆弱連結部233によって揺動可能に連結されているため、固定位置に設置されているよりも、移動による衝撃の吸収も行うので、乗員Pに対する衝撃を抑えることができる。また、側面や斜めからの衝突に対しても衝撃を抑えることができ、異なる衝撃形態に対する乗員Pの保護機能を高めることができる。
【0058】
また、サブバッグ223に対して、脆弱連結部233を介さずにインフレータ103のガスが供給されるので、脆弱連結部233が如何様に変形されても、サブバッグ223に対して確実にガスを供給して、展開させることができ、乗員Pの保護機能を高めることができる。
【0059】
なお、本実施の形態においては、メインバッグ213と、サブバッグ223と、に供給するガスを、単一のインフレータ103によって供給するようにしているが、これに限らず、メインバッグ213と、サブバッグ223と、にガスを供給するインフレータを、それぞれ独立して設けるようにしてもよい。また、サブバッグ223の第1サブバッグ223Lと、第2サブバッグ223Rと、にガスを供給するインフレータを、それぞれ独立して設けるようにしてもよい。
【0060】
以上のように、本実施の形態における乗員保護装置11〜13は、メインバッグ211〜213と、乗員Pの前部側方に展開するサブバッグ221〜223と、を備え、サブバッグ221〜223が、脆弱連結部231〜233により揺動容易に連結されるので、サブバッグ221〜223の移動により乗員Pのサブバッグ221〜223に対する接触時の衝撃を吸収し、エアバッグ201〜203の展開時における乗員Pに与える衝撃を抑えつつ、異なる衝突形態に対する乗員Pの保護機能を高めることができる。
また、サブバッグ221〜223が揺動して、メインバッグ211〜213に密着して受け止められることにより、双方によって衝撃が吸収され、乗員Pに対する保護機能をより高めることができる。
【0061】
また、本実施の形態における乗員保護装置11〜13は、サブバッグ221〜223が、乗員P側をそぎ落とした略半月形状をしており、サブバッグ221〜223の先端が乗員Pの側部側最大移動範囲となるようにしているので、衝突時に乗員Pを確実にサブバッグ221〜223によって捉えることができ、乗員Pの保護機能を高めることができる。
【0062】
さらに、本実施の形態における乗員保護装置12は、メインバッグ212が脆弱連結部232よりも側部側に、第1突出部212aおよび第2突出部212bを有しているので、サブバッグ222の移動を適度に抑制することができ、エアバッグ202の展開時における乗員Pに与える衝撃を抑えつつ、異なる衝突形態に対する乗員Pの保護機能を高めることができる。
【0063】
さらに、本実施の形態における乗員保護装置12は、サブバッグ222が、車両の中央寄りに展開する第1サブバッグ222Lと、ドア側に展開する第2サブバッグ222Rと、を有し、第1サブバッグ222Lが、第2サブバッグ222Rよりも大きく構成されている。このため、大きな力がかかり易い車両の中央寄りに対する衝撃を、十分に緩和させることができる。また、第2サブバッグ222Rを小さくすることにより、インフレータ102の容量を限定することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態における乗員保護装置11、12は、脆弱連結部231、232が、内部にメインバッグ211、212内のガスを、サブバッグ221、222内に流入させる流路が設けられている。したがって、サブバッグ221、222に対してインフレータ101、102のガスを容易に供給することができる。また、メインバッグ211、212を先に展開させ、サブバッグ221、222を後から展開させることもできる。
【0065】
さらに、本実施の形態における乗員保護装置13は、メインバッグ213と、サブバッグ223と、に対して別々にガスを供給させるようにしている。このため、メインバッグ213と、サブバッグ223と、を確実に展開させることができる。また、脆弱連結部233を介さずにサブバッグ223にガスが供給されるので、脆弱連結部233に対して大きな力が加わっても、変形されても、サブバッグ223に対して確実にガスを供給して、展開させることができ、乗員Pの保護機能を高めることができる。