特許第6757364号(P6757364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757364
(24)【登録日】2020年9月1日
(45)【発行日】2020年9月16日
(54)【発明の名称】バッテリパック収納構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/613 20140101AFI20200907BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20200907BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20200907BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20200907BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20200907BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20200907BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20200907BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20200907BHJP
【FI】
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/6556
   H01M10/6563
   H01M10/6566
   H01M2/10 E
   B60K11/06
   B60K1/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-119148(P2018-119148)
(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-220440(P2019-220440A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】池田 駿介
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕
(72)【発明者】
【氏名】西塔 晃太
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−149959(JP,A)
【文献】 特開2010−036723(JP,A)
【文献】 特開2005−353480(JP,A)
【文献】 特開2013−086581(JP,A)
【文献】 特開2009−029159(JP,A)
【文献】 特開2017−069034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/60−10/667
H01M2/10
B60K1/00−1/04
B60K11/00−15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリスタックが収納されるバッテリケース上側と、
前記バッテリスタックを冷却する冷却風が流通する冷却風路と、を備えたバッテリパックが収納される収納構造であり、
前記バッテリケース上側は、バッテリケース下側に載置され、
前記バッテリケース上側の底面と、前記バッテリケース下側の底面との間に、前記冷却風が流通する底部冷却風路を形成し、
前記バッテリケース上側の底面を開口することでケース孔を形成し、前記バッテリケース下側を収容する車体フロアの底面に開口されたフロア孔が形成され、
前記ケース孔と前記フロア孔とは、少なくとも部分的に重なり合う位置に配置されることを特徴とするバッテリパック収納構造。
【請求項2】
前記フロア孔の周囲から囲む壁部を更に具備することを特徴とする請求項に記載のバッテリパック収納構造。
【請求項3】
前記壁部は、前記バッテリケース下側に形成されることを特徴とする請求項2に記載のバッテリパック収納構造。
【請求項4】
中央側に配設された前記ケース孔から前記底部冷却風路に送風される前記冷却風の風量を、端部側に配設された前記ケース孔から前記底部冷却風路に送風される前記冷却風の風量よりも、大きくすることを特徴とする請求項2に記載のバッテリパック収納構造。
【請求項5】
前記壁部を、車体の幅方向に於いて一端部から他端部まで連続して形成することを特徴とする請求項に記載のバッテリパック収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリパック収納構造に関し、特に、事故発生時にバッテリスタックを熱源から保護することができるバッテリパック収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車には、車両に駆動力を与えるモータを回転させるために、モータに電力を供給する大容量の車両用電池が搭載されている。
【0003】
この車両用電池は、十分な連続走行距離を確保する為に、重量が大きく更に占有容積が大きい。従って、この車両用電池は、例えばシートの下方やリアフロアの下方等に配置されている。
【0004】
車両に大型のバッテリを収納させる構成として様々なものが提案されている。特許文献1では、電池パックケースの底部として二重構造が採用された車両用バッテリ冷却装置が記載されている。具体的には、複数のセルから構成されるバッテリの下方に、二重構造であるダクトの空間が形成されている。係る構成により、バッテリを効果的に冷却している。また、このような底部の二重構造は特許文献2にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−119936号公報
【特許文献1】特開2015−26569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、バッテリケースの下方に二重底の構成を有する風路が形成されているが、この風路は冷却のための専用部品として構成されているため、冷却機構の全体構成が複雑になる恐れがあった。
【0007】
また、衝突事故等が生じた際に、バッテリが下方から不用意に加熱される場合も想定される。そのような場合に、何ら対策を施さなかったとすれば、バッテリが過熱されてしまい、バッテリが破損する不具合が生じてしまう課題がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、事故が発生した際に外部熱源によりバッテリが過熱されることを抑止することができるバッテリパック収納構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、バッテリスタックが収納されるバッテリケース上側と、前記バッテリスタックを冷却する冷却風が流通する冷却風路と、を備えたバッテリパックが収納される収納構造であり、前記バッテリケース上側は、バッテリケース下側に載置され、前記バッテリケース上側の底面と、前記バッテリケース下側の底面との間に、前記冷却風が流通する底部冷却風路を形成し、前記バッテリケース上側の底面を開口することでケース孔を形成し、前記バッテリケース下側を収容する車体フロアの底面に開口されたフロア孔が形成され、前記ケース孔と前記フロア孔とは、少なくとも部分的に重なり合う位置に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のバッテリパック収納構造では、前記フロア孔を周囲から囲む壁部を更に具備することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のバッテリパック収納構造では、前記壁部は、前記バッテリケース下側に形成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のバッテリパック収納構造では、中央側に配設された前記ケース孔から前記底部冷却風路に送風される前記冷却風の風量を、端部側に配設された前記ケース孔から前記底部冷却風路に送風される前記冷却風の風量よりも、大きくすることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のバッテリパック収納構造では、前記壁部を、車体の幅方向に於いて一端部から他端部まで連続して形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、バッテリスタックが収納されるバッテリケース上側と、前記バッテリスタックを冷却する冷却風が流通する冷却風路と、を備えたバッテリパックが収納される収納構造であり、前記バッテリケース上側は、バッテリケース下側に載置され、前記バッテリケース上側の底面と、前記バッテリケース下側の底面との間に、前記冷却風が流通する底部冷却風路を形成し、前記バッテリケース上側の底面を開口することでケース孔を形成し、前記バッテリケース下側を収容する車体フロアの底面に開口されたフロア孔が形成され、前記ケース孔と前記フロア孔とは、少なくとも部分的に重なり合う位置に配置されることを特徴とする。従って、バッテリケース上側の底面と、バッテリケース下側の底面との間に、冷却風が流通する底部冷却風路を形成することで、バッテリケース下側が下方から熱せられたとしても、底部冷却風路で断熱することで、バッテリパックの過熱を防止することができる。更に本発明では、バッテリケース上側とバッテリケース下側との間隙を底部冷却風路として用いることから、バッテリパックの下方に専用の風路を形成する必要がなく、簡素な構成でバッテリの冷却効率を向上することができる。
【0019】
また、本発明のバッテリパック収納構造では、前記フロア孔を周囲から囲む壁部を更に具備することを特徴とする。従って、フロア孔を経由して熱気がバッテリケース下側と車体フロア間に進入することを、壁部で防止することができ、バッテリパックの過熱を防止する効果を顕著にすることができる。即ち、バッテリを熱する部位がフロア孔の周囲に限定され、他の部位への熱の回り込みを防止することができる。
【0020】
また、本発明のバッテリパック収納構造では、前記壁部は、前記バッテリケース下側に形成されることを特徴とする。従って、壁部がバッテリケース下側の一部分となるので、組付け部品の増加を抑制することができる。
【0023】
また、本発明のバッテリパック収納構造では、中央側に配設された前記ケース孔から前記底部冷却風路に送風される前記冷却風の風量を、端部側に配設された前記ケース孔から前記底部冷却風路に送風される前記冷却風の風量よりも、大きくすることを特徴とする。従って、底部冷却風路の冷却風をバッテリパックの中央側から、バッテリパックの端部側へ、流れやすくできる。
【0024】
また、本発明のバッテリパック収納構造では、前記壁部を、車体の幅方向に於いて一端部から他端部まで連続して形成することを特徴とする。従って、壁部を補強部材として用いることができ、衝突時に於いて壁部により衝撃エネルギを吸収し、バッテリスタックを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係るバッテリパック収納構造を備えた車両を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るバッテリパックを示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係るバッテリケース下側を示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係るバッテリパック収納構造を示す断面図である。
図5】本発明の実施の形態に係るバッテリパック収納構造を示す拡大断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係るバッテリパック収納構造を示す接続図である。
図7】(A)および(B)は、本発明の他の形態に係るバッテリパック収納構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照して、本形態に係るバッテリパック20の収納構造(バッテリパック収納構造)、および、バッテリパック20を備えた車両を説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0027】
図1は、バッテリパック20を備えた車両10を後方上方から見た斜視図である。ここでは、車両10の車体11の後端を覆うリアゲートを省いて図示している。車両10は、例えば、モータとエンジンとを駆動源として備えたハイブリッド自動車、または、モータのみを駆動源として備えた電気自動車である。
【0028】
車体11の車室内後方には後方シート12が配設されており、その後方に収納スペース14が形成されており、収納スペース14の内部にバッテリパック20が配設されている。バッテリパック20は、ここでは図示しないカバーにより覆われている。
【0029】
図2を参照して、バッテリパック20を説明する。バッテリパック20は、複数のバッテリスタック21を保護するものである。また、バッテリパック20は、バッテリスタック21が収納されるバッテリケース上側31と、バッテリケース上側31の上端部を四方から支持する枠状のフレーム30と、を有している。ここで、各バッテリスタック21は、前後方向に沿って積層配置された板状のバッテリセルから構成されている。
【0030】
図3に、上記したバッテリパック20が収納されるバッテリケース下側15を示す。バッテリケース下側15は、上記したバッテリケース上側31を収納することができる容器形状を呈している。また、バッテリケース下側15の底面33には、壁状に突出するビード34が形成されている。ビード34は、中心部付近から角部に向かって直線状に形成されている。ここでは4つのビード34が形成されている。図2に示したバッテリケース上側31をバッテリケース下側15に収納すると、バッテリケース上側31の底面35(図4)がビード34に接する。バッテリケース上側31の底面35とバッテリケース下側15の底面33との間に、ビード34が配設されることで、両者の間を流通する冷却風の流れを整流することができる。
【0031】
図4は、図2のA−A線に於ける断面図である。この図を参照して、バッテリパック20は、バッテリスタック21が充放電を行う際に、バッテリスタック21を冷却するための冷却風路23を有している。冷却風路23は、バッテリスタック21の上方に形成されており、車室内で空調された空調風である冷却風19を、バッテリスタック21に向かって送風するための風路である。冷却風路23は、各バッテリスタック21の上方に於いて、下方へ向かって冷却風19を吹き出すための吹出口を形成している。
【0032】
バッテリスタック21の下方には、バッテリケース上側31の底面35と、バッテリケース下側15の底面33との間隙として底部冷却風路24が形成されている。底部冷却風路24は、バッテリケース上側31の周辺部に至るまで形成されている。更に、上記したバッテリケース下側15は、容器形状の車体フロア37に収納されている。
【0033】
また、バッテリケース上側31の底面35を開口することで、ケース孔25が形成されている。ケース孔25は、バッテリスタック21の下方に複数が形成されている。
【0034】
更に、ケース孔25の下方に対応する領域で、車体フロア37の底面38を開口したフロア孔26が形成されている。フロア孔26は、例えば、溶接等の作業の為に形成される孔である。ここでは、フロア孔26は一つが図示されているが、車体フロア37の底面38に複数のフロア孔26が形成されても良い。
【0035】
上記した構成のバッテリパック20に於いて、充放電するバッテリスタック21は次のように冷却される。先ず、冷却風路23には、空調された車室内の冷却風19が導入される。ここでは図示しない送風ファンにより、冷却風19が冷却風路23に送風されても良い。
【0036】
冷却風路23に送風された冷却風19は、各バッテリスタック21に上方から吹き付けられる。具体的には、バッテリスタック21を構成しているバッテリセルどうしの間を、冷却風19は上方から下方に向かって送風される。この際に、冷却風19とバッテリスタック21とが熱交換することで、バッテリスタック21が冷却される。換言すると、冷却風19は、バッテリスタック21を包み込むように、バッテリケース上側31の内部を流通する。
【0037】
バッテリスタック21と熱交換した冷却風19は、底部冷却風路24を経由して、バッテリパック20の両側方に送風される。その後、冷却風19は、車外に放出されても良いし、車室内に帰還しても良い。
【0038】
上記のように、車室内の空調風を冷却風19としてバッテリスタック21の冷却に用いることで、車室を調温するための車室用調温装置を、バッテリ用冷却装置としても用いることができる。
【0039】
上記のように構成することで、本実施形態では、事故発生時等に於いてバッテリスタック21が過熱されることを抑止することができる。具体的には、衝突事故等が発生した際に、車体フロア37の下方に予期せぬ熱源が生じた場合、その熱源によりバッテリスタック21が不必要に加熱される恐れがある。本願発明では、バッテリスタック21が収納されるバッテリケース上側31と、そのバッテリケース上側31が収納されるバッテリケース下側15との間に、上記した底部冷却風路24を形成している。よって、この底部冷却風路24が断熱層として機能し、外部からの熱がバッテリスタック21に伝導することを阻んでいる。よって、非常時に於けるバッテリスタック21の過熱を抑制している。
【0040】
更に、非常時において底部冷却風路24に冷却風19を送風すれば、冷却風19が外部からの熱を逃がすので、バッテリスタック21が過熱されることを抑制する効果を更に大きくすることができる。
【0041】
更に、車体フロア37の底面38にはフロア孔26が形成されているので、何ら対策を施さなければ、フロア孔26から熱気が進入し、バッテリスタック21が過熱されてしまう恐れがある。本実施形態では、フロア孔26の上方にケース孔25を形成している。即ち、上方から見た場合、フロア孔26とケース孔25とが少なくとも部分的に重なり合っている。これにより、フロア孔26から内部に熱気が侵入しても、ケース孔25から下方に向かって送風される冷却風19で、フロア孔26を経由して熱が伝導することを抑止することができる。よって、このような熱気によりバッテリスタック21が不用意に過熱されることを抑止することができる。
【0042】
ここで、図4を参照すると、4つのケース孔25が示されているが、中央側に配設されたケース孔25から底部冷却風路24に送風される冷却風19の風量を、端部側に配設されたケース孔25から底部冷却風路24に送風される冷却風19の風量よりも、大きくしても良い。そのようにすることで、底部冷却風路24の冷却風19を、バッテリパック20の中央側から、バッテリパック20の端部側へ、流れやすくできる。
【0043】
図5を参照して、ここでは、ケース孔25の下方に於いて、底面33を部分的に下方に向かって膨出させている。また、下方に向かって膨出する部分の底面33の下面に壁部27が形成されている。
【0044】
壁部27の円環状に突出する下端部分が、フロア孔26の周囲の部分の底面38に、上面から当接している。
【0045】
上記のように、フロア孔26の周囲を壁部27で塞ぐことで、非常時に底部冷却風路24の下方に熱源が存在したとしても、その熱源からの熱の進入は壁部27で阻まれる。よって、フロア孔26を経由して、車両内部に熱風などが進入することが抑止される。
【0046】
ここで、壁部27は、車体の幅方向に於いて一端部から他端部まで連続して形成することができる。このようにすることで、壁部27を補強部材として用いることができ、衝突時に於いて壁部27で衝撃エネルギを吸収することができる。
【0047】
図6を参照して、上記したバッテリパック20の接続構成を説明する。バッテリパック20は、送風機17と、バッテリスタック21と、温度センサ28と、制御部18と、を主要に具備している。バッテリパック20の機能は、適正な温度範囲でバッテリスタック21を充放電させることにある。
【0048】
送風機17は、冷却風19が流通する風路に介装され、室内16と空調装置36との間で冷却風19を循環させる。また、冷却風19は、バッテリスタック21にも供給され、バッテリスタック21を構成する各セルを冷却する。
【0049】
温度センサ28は、バッテリスタック21の温度を計測するセンサであり、バッテリスタック21の温度を示す電気信号を制御部18に伝送する。
【0050】
制御部18は、CPU、RAMおよびROM等からなり、温度センサ28が計測したバッテリスタック21の温度等に基づいて、送風機17の送風量を制御する。
【0051】
モータ29は、バッテリスタック21から供給される電力で回転し、図1に示した車両10に駆動力を与える駆動力発生手段である。ここで、バッテリスタック21を充電するための充電用エンジンが配設されても良い。
【0052】
上記した構成のバッテリパック20は、次のように動作する。即ち、バッテリスタック21を充電する際には、外部電源や車載発電機等からバッテリスタック21に電力を供給する。充電時に於けるバッテリスタック21の過熱を防止するために、温度センサ28の出力に応じて制御部18は送風機17を運転し、冷却風19をバッテリスタック21に送風する。これによりバッテリスタック21と冷却風19とが熱交換し、バッテリスタック21の過熱が抑止される。
【0053】
バッテリスタック21が放電する際は、バッテリスタック21から供給される電力でモータ29が回転することで、上記した車両10に駆動力が与えられる。更に、バッテリスタック21が放電する際には、温度センサ28の出力に応じて、送風機17は冷却風19に適切な送風を行う。即ち、バッテリスタック21の温度が一定以下と成るように、制御部18は、送風機17の送風量を制御する。
【0054】
また、非常時に於いて、温度センサ28で計測されるバッテリスタック21の温度が、通常の温度範囲を超えた場合、制御部18は、外部熱源がバッテリスタック21の近傍に存在すると判断する。そして、制御部18は、送風機17の送風量を充放電時よりも大きくし、例えば、送風機17の送風量を最大限とする。このようにすることで、図5を参照して説明したように、フロア孔26から熱が車内に侵入することを防止することができる。更に、図4を参照して、底部冷却風路24を流通する冷却風19の流量を増加させることで、底部冷却風路24における断熱効果を更に大きくし、バッテリスタック21を熱源から保護することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。
【0056】
例えば、図7(A)を参照して、ビード34を左右後方の中央部に形成することができる。この場合、ビード34は前後方向に沿って伸びるようになる。このようにすることで、バッテリパック20の左右方向中央部を補強し、衝突時に於いてバッテリスタック21を保護することができる。更に、図7(B)を参照して、ビード34は、中央部から左右方向に対して若干偏った位置に形成されても良い。また、ビード34は、複数が形成されても良い。掛かる場合であっても、衝突時に於いてバッテリスタック21を保護することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 車両
11 車体
12 後方シート
14 収納スペース
15 バッテリケース下側
16 室内
17 送風機
18 制御部
19 冷却風
20 バッテリパック
21 バッテリスタック
23 冷却風路
24 底部冷却風路
25 ケース孔
26 フロア孔
27 壁部
28 温度センサ
29 モータ
30 フレーム
31 バッテリケース上側
33 底面
34 ビード
35 底面
36 空調装置
37 車体フロア
38 底面



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7