特許第6757511号(P6757511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757511
(24)【登録日】2020年9月2日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/24 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   H01R9/24
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-102559(P2016-102559)
(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公開番号】特開2017-212043(P2017-212043A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】松岡 浩司
(72)【発明者】
【氏名】岡 裕史
(72)【発明者】
【氏名】石田 恭男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 忠志
(72)【発明者】
【氏名】和田 親弘
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−198882(JP,U)
【文献】 特開2001−176579(JP,A)
【文献】 特開2013−165001(JP,A)
【文献】 実開昭62−152371(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/15− 9/28
H01R 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設置される端子台であって、
導電性を有し、支軸回りに回転可能とされるとともに、前記支軸の軸心に直交する方向である幅方向に延びる取付部と、
前記取付部と略同一幅又は小幅であって、該取付部を取付ける複数の基台とを備え、
該取付部は、幅方向一方側端に一次側電線の接続端子を着脱自在に取付可能な一方取付部と、幅方向他方側端に二次側電線の接続端子を着脱自在に取付可能な他方取付部とを一体的に備え、
前記一方取付部及び前記他方取付部のうち少なくともいずれかの取付部が、幅方向に沿う方向に対して傾斜又は直交され
前記複数の基台は、前記支軸回りに回転可能とされるとともに、前記支軸が延びる方向に一列に配置され、隣り合う前記二つの基台の対向する面のうち、一方の基台の対向面には、他方の対向面に向けて前記支軸が突出して形成され、他方の基台の対向面には、前記支軸を挿脱可能且つ回転可能とする軸孔が内部に向けて形成されることを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記支軸及び軸孔は、前記複数の基台のそれぞれの対向面の幅方向中央部に形成されることを特徴とする請求項に記載の端子台。
【請求項3】
前記複数の基台のそれぞれは、前記一方取付部に前記一次側電線の接続端子を重ね合わせ、前記他方取付部に二次側電線の接続端子を重ね合わせる際に、該各接続端子を重ね合わせる方向に案内するガイドを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の端子台。
【請求項4】
前記一方取付部に重ね合わされた前記接続端子、および前記他方取付部に重ね合わされた前記接続端子が、絶縁性のカバーで覆われていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤や電気機器が内装された筐体内に配置される端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の端子台は、例えば下記特許文献1に記載されている。特許文献1の端子台100は、筐体(電子装置)に収容して用いられている。そして、図3に示すように、平板状の基台101と、基台101の表面に互いに絶縁状態で並べられた複数の導電体102とを備えている。これら導電体102は電線の接続端子の取付部103,104であるため、以下取付部と称する。各取付部103,104は平板状(帯状)に形成され、幅方向一方側部分を一方取付部103として、これに一次電線(入力側電線)が止めねじBによって電気的に接続され、幅方向他方側部分を他方取付部104として、これに二次電線(出力側電線)が止めねじBによって電気的に接続される。なお、図中の符号105は、複数の導電体102を絶縁性の部材で仕切る仕切り壁である。
【0003】
特許文献1の端子台100では、取付部103,104への作業性の向上を目的に、基台101は幅方向中心に配置した縦軸回りに回転可能に構成されており、基台101を縦軸回りに所定角度だけ回転させて、止めねじBを縦軸回りの所望の位置に留めた状態とすることができる。
【0004】
ところで近年では、電子部品の小型化に伴って端子台や、端子台が収容される筐体(例えば電力供給設備では配電盤等が挙げられる)自体も小型化されている。このような近年の現状においては、特許文献1に記載の端子台100のように、基台101を縦軸回りに所定角度だけ回転させ、止めねじBを縦軸回りの所望の位置に留めたとしても、取付部103,104に対する電線の接続作業や、接続状態の検査作業を行うための作業スペースを確保しにくい。
【0005】
そうなると、例えば、電線を誤った取付部(導電体)に接続してしまう等の誤認が発生する原因となる。このような問題を解決するために作業スペースを確保しようとすると、配電盤等の筐体のサイズを変更することなく、さらに端子台を小型化することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭57−198882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年小型化されている端子台をさらに小型化すれば、その分だけ取付部103,104に対する作業がいっそうしにくくなることに加えて、取付部では一方取付部103と他方取付部104との間の絶縁距離を確保しなければならないという理由から、小型化には限界がある。
【0008】
そこで本発明は、取付部における絶縁距離を確保しつつ、筐体内において取付部に対する作業スペースを確保し得る端子台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る端子台は、筐体内に設置される端子台であって、導電性を有し、支軸回りに回転可能とされるとともに、前記支軸の軸心に直交する方向である幅方向に延びる取付部を備え、該取付部は、幅方向一方側端に一次側電線の接続端子を着脱自在に取付可能な一方取付部と、幅方向他方側端に二次側電線の接続端子を着脱自在に取付可能な他方取付部とを一体的に備え、前記一方取付部及び前記他方取付部のうち少なくともいずれかの取付部が、幅方向に沿う方向に対して傾斜又は直交されたことを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、取付部において、一方取付部及び他方取付部のうち少なくとも何れか片方の取付部が、幅方向に対して傾斜又は直交する方向に設けられていることにより、一方取付部及び他方取付部は同一平面になくても互いの絶縁距離を確保したうえで取付部をその幅方向において小型化でき、取付部は支軸回りに回転可能であるから、筐体内において取付部を回転させ、支軸回りにおいて、一方取付部又は他方取付部を作業者が作業し易い位置に留め、取付部が小型化された分だけ筐体内に確保できる作業スペースを用いて、一方取付部又は他方取付部に対する一次側電線又は二次側電線の作業を行う。
【0011】
本発明に係る端子台の一態様として、前記取付部と略同一幅又は小幅であって、該取付部を取付ける基台を備え、該基台が前記支軸回りに回転可能とされていることが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、取付部が基台に取付けられていても、基台は取付部と同一幅で、支軸回りの回転軌跡の径を大きくすることがないから、作業スペースを小さくしてしまうことがない。
【0013】
本発明に係る端子台の他態様として、前記基台は、前記支軸が延びる方向に一列に複数配置され、隣り合う前記二つの基台の対向する面のうち、一方の基台の対向面には、他方の対向面に向けて前記支軸が突出して形成され、他方の基台の対向面には、前記支軸を挿脱可能且つ回転可能とする軸孔が内部に向けて形成されることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、複数の基台は、支軸の延びる方向に連結されるとともに、連結された状態においてそれぞれ個別に回転できる。このため、作業対象となっている基台のみを回転させることで、回転させた基台の取付部に対する作業を確実に行うことができる。
【0015】
本発明に係る端子台の他態様として、前記支軸及び軸孔は、基台の対向面の幅方向中央部に形成されることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、基台の中心を通る支軸を回転軸として、基台が回転するため、基台の幅寸法を直径として支軸回りに回転することになり、最小の回転軌跡で回転でき、作業スペースを小さくしてしまうことがない。
【0017】
本発明に係る端子台の他態様として、前記基台は、前記一方取付部に前記一次側電線の接続端子を重ね合わせ、前記他方取付部に二次側電線の接続端子を重ね合わせる際に、該各接続端子を重ね合わせる方向に案内するガイドを備えていることが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、各接続端子をガイドに沿わせるようにして、一方取付部に一次側電線の接続端子を重ね合わせ、他方取付部に二次側電線の接続端子を重ね合わせられる。
【0019】
本発明に係る端子台の他態様として、前記一方取付部に重ね合わされた前記接続端子、および前記他方取付部に重ね合わされた前記接続端子が、絶縁性のカバーで覆われていることが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、接続端子に絶縁カバーを重ね合わせることで、接続端子を絶縁カバーで絶縁保護できるようになる。したがって、止めねじに対する接続端子の着脱作業を安全に行える。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、取付部における絶縁距離を確保しつつ、筐体内において取付部に対する作業スペースを確保し得る、といった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る端子台を示す図である。
図2図2は、同実施形態に係る端子台の分解斜視図であり、最上段の端子ブロック、及び最下段の端子ブロックのみを図示した分解斜視図である。
図3図3は、従来の端子台を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る端子台を、配電設備が備えた配電盤に設置される例として、図面を参照して説明する。本実施形態に係る端子台1は、図1及び図2に示す如く、上下方向に並べて連結された複数の端子ブロックTと、端子ブロックTが連結されてなる端子ブロック群の上側および下側にあって、縦軸である軸線A回りに回転可能に支持する上下一対の支持体5,5とを備えている。
【0024】
各端子ブロックTは、軸線A回りに回転可能とされた基台10と、基台10に支持されるとともに一次側電線C1および二次側電線C2が接続される複数の取付部11とを備える。
【0025】
取付部11は金属製の導電体であり、板状(帯状)の導電体の長手方向途中部分において、長手方向一方側寄り部位を折曲げることで形成されている。取付部11において、折曲げられた一方側の短片(幅方向一方側端)が一方取付部110とされ、他方側の長片(幅方向他方側端)が他方取付部111とされる。すなわち、一方取付部110及び他方取付部111はともに板状に一体的に形成されており、一方取付部110の表面に一次側電線C1の接続端子Yが重ね合わせ手段によって着脱自在に重ねられて取り付けられ、他方取付部111の表面に二次側電線C2の接続端子Yが重ね合わせ手段によって着脱自在に重ねられて取り付けられる。
【0026】
重ね合わせ手段は、絶縁カバー7、座金W、および止めねじBを備えている。一方取付部110及び他方取付部111のそれぞれには、止めねじBが挿通される挿通孔12が形成されている。すなわち、一次側電線C1の接続端子Yは、一方取付部110の表面に、絶縁カバー7、座金W、および絶縁カバー7、座金Wを挿通する止めねじBを介して重ねられて、一方取付部110に電気的に接続される。二次側電線C2の接続端子Yは、他方取付部111の表面に、絶縁カバー7、座金W、および絶縁カバー7、座金Wを挿通する止めねじBを介して重ねられて、他方取付部111に電気的に接続される。
【0027】
また、両取付部110,111は、同一平面において互いの中心線a,aが交差する関係にあって、同一直線上に位置することがないため、絶縁距離を十分にとれる位置関係にある。したがって、基台10を小型化できる。すなわち、基台10の回転軌跡を小さくでき、周囲にある他の端子台1によって回転を阻害されることがない。
【0028】
基台10は、前述した取付部11を支持し、軸線A上に配置された後述する支軸3回りに回転可能に構成されている。基台10は、基台本体10aと補助基台部10bとを備える。基台本体10aは、軸線A方向(上下方向)に直交する一方向(前後方向)を長手方向とし、軸線A方向に沿う方向を幅方向とし、軸線A方向に直交する他方向を厚み方向とした直方体形状に形成されている。厚み方向で対向する面のうちの一方の面が、取付部11が重ねられる載置面14とされる。
【0029】
載置面14において、その幅方向一方側端に仕切り壁20が立設されている。仕切り壁20は、平板状に形成されており、基台本体10aに比べて長手方向の長さをわずかに長く形成されている。仕切り壁20の板面に補助基台部10bが一体的に設けられている。補助基台部10bは、基台本体10aに対して長手方向寸法および幅方向寸法が短く、載置面14からの高さが仕切り壁20に対して低い直方体形状に形成されている。この補助基台部10bは、載置面14に隙間を介して対向配置されている。
【0030】
載置面14のうちの長手方向他方側寄りに、止めねじBのねじ孔13が形成されている。補助基台部10bのうちの長手方向で対向する面のうち一方の面が、一方取付部110が当接する当接面15とされ、当接面15に、止めねじBのねじ孔13が形成されている。
【0031】
取付部11の他方取付部111が、その長手方向を基台本体10aの長手方向として、補助基台部10bと載置面14との間に挿入されている。
【0032】
また、基台本体10aの幅寸法と取付部11の他方取付部111の幅寸法とが同じになっている。これにより、端子ブロックTを小型化できるとともに、回転軌跡を小さくできる。
【0033】
また、軸線Aの延びる方向(上下方向)に連結された複数の基台10のうち、上下に隣り合う基台本体10aの対向面において、下側の基台本体10aの上面(対向面)の幅方向中央部に、上方に向けて(上側の基台本体10aの対向面に向けて)軸線Aに沿って突設された支軸3と、他方(上側)の基台本体10aの下面(対向面)の幅方向中央部に内部に向けて軸線Aに沿って形成された、支軸3が挿脱可能且つ回転可能とする軸孔4とを備える。
【0034】
そして、複数の基台10(本実施形態では5個)が、上側の基台本体10aの軸孔4に、連結される下側の基台本体10aの支軸3が挿入され、これと同じ連結が繰り返し行われることで、複数の基台10が上下方向に一列に連結されるとともに、複数の基台10が個別に支軸3の軸回りに回転可能に連結され、両取付部110,111のそれぞれが所望の位置(作業者と対面する位置)に位置変更可能に構成される。
【0035】
そして、上側の支持体50の下面には、最上段の基台10の支軸3が挿入可能な凹状の軸受け部52が設けられている。また、上側の支持体50には、図示していないが、端子台1の番号が表示されている。作業者はこの番号を確認して、作業対象である端子ブロックTの点検作業を行う。
【0036】
下側の支持体50の上面の幅方向中心には、最下段の基台本体10aの軸孔4に挿入される回転軸53であって、基台10を回転させるための回転軸53が突設されている。
【0037】
基台本体10aの左側面の上端部には、幅方向(前後方向)に沿って仕切り壁20が突出して形成される。該仕切り壁20は、平板状で、一方取付部110及び他方取付部111に対する接続端子Yの挿入方向及び重ね合わす方向を案内するガイドとなる。すなわち、仕切り壁20は、一次側電線及C1及び二次側電線C2の接続される方向(挿入される方向)が決定される。
【0038】
絶縁カバー7は、接続端子Yを覆うことのできる面積を有し、中央部に止めねじBが挿通される通し孔70が形成され、接続端子Yを絶縁するとともに、接続端子Yに面接触することで押さえ板の機能ももっている。また、絶縁カバー7は、本実施形態では例えば四角形状に形成され、接続端子Yが重ね合わされる方向と同一方向に重ね合わされる。
【0039】
また、当接面15,取付部11の一方取付部110、及び一次側電線C1が接続される側の絶縁カバー7には、蛍光塗料が塗布されており、一次側電線C1が接続されることを表示している。
【0040】
つぎに本実施形態に係る端子台の使用態様について説明する。なお、基台10の一方取付部110は、作業者と対面するように正面に位置し、他方取付部111が背面側(奥側)に位置しているものとする。
【0041】
作業者は、図示しない配電盤の扉を開けると、端子台1の一方取付部110が作業者と対面することになる。この状態で、端子台1のいずれの端子ブロックTが点検対象となっているかを目視で確認し、点検対象となっている端子ブロックT(本実施形態では、最上段の端子ブロックT)の基台10を90度回転させて、背面側に位置した他方取付部111を正面に配置する。
【0042】
この際、一方取付部110に接続された一次側電線C1、及び他方取付部111に接続された二次側電線C2は交差する位置関係にあるため、基台10を支軸3の軸回りに回転させたとしても、図3の端子台100に比して端子台1全体の回転軌跡が小さくなる。この理由を以下に説明する。但し、図3の端子台100及び本実施形態の端子台は、同じ幅寸法の配電盤に取り付けられているものとする。
【0043】
図3の端子台100の場合、一方取付部103及び他方取付部104は、平板状の取付部102の両端部に設けられている。また、両取付部103,104を挟んで配置された一対の仕切り壁105によって、両取付部103,104に対する一次側電線C1及び二次側電線C2の接続方向が決定される。具体的に、一方取付部103及び他方取付部104にそれぞれ一次側電線C1及び二次側電線C2を接続した場合、一次側電線C1及び二次側電線C2は同一直線上(取付部102の幅方向に延びる中心線上)に位置することになり、一次側電線C1及び二次側電線C2は、取付部102の両端部から外方に向かって突出することになる。すなわち、基台101は、一次側電線C1及び二次側電線C2を直径にして回転することになり、その分回転軌跡が大きくなり、他の端子台1に当たって基台101の回転が規制される。
【0044】
これに対して、本実施形態の端子台1の場合、一次側電線C1及び二次側電線C2は同一直線上に位置することがなく、交差する位置関係にある。このため、基台10は、一次側電線C1及び二次側電線C2を直径にして回転することがなく、その分端子台1全体の回転軌跡が小さくなり、一対の取付部11,12にそれぞれ接続された一次側電線C1及び二次側電線C2が、他の端子台1に当たって基台10の回転を規制されることがなく、一次側電線C1及び二次側電線C2のそれぞれに対する作業スペースを確保することができる。
【0045】
他方取付部111が正面に配置された状態において、作業者は、他方取付部111の止めねじBを緩めて、他方取付部111に接続された二次側電線C2を矢印の方向に引き出し、新たな二次側電線C2を緩めた止めねじBに逆方向に挿入して交換したり、二次側電線C2の導通状態を検査したりするなど、所要の作業を行作業終了後、一方取付部110が正面(作業者と対面する位置)に向くように、端子ブロックTの基台10を逆方向に90度回転させる。
【0046】
したがって、作業者は、いずれの取付部110,111とも対面可能となり、取付部110,111と対面する位置で電線の交換や検査等の作業スペースを容易に確保できるようになる。したがって、ねじ回し工具による止めねじに対する緊緩作業が行いやすくなる。また、連結された複数の基台10を個々に回転できるため、作業対象となっている回転させるべき基台10のみを回転させることができ、作業対象となっていない基台10は回転させることがない。したがって、端子台1に対する作業ミスを防止できる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る端子台1によれば、取付部11における絶縁距離を確保しつつ、筐体内において取付部に対する作業スペースを確保し得るようにすることができる。
【0048】
なお、本発明に係る端子台は、前記実施形態に限定することなく種々変更することができる。
【0049】
例えば、前記実施形態の場合、同一平面において互いの中心線a,aが直交するように、両取付部110,111を配置したが、同一平面において互いの中心線が鈍角に交差するように、両取付部110,111を配置してもよい。
【0050】
また、前記実施形態の場合、幅方向に対して直角に折り曲げた取付部11の短片を一方取付部110とし、幅方向に沿う取付部の長片を他方取付部111としたが、取付部の両端部を幅方向に対して同一方向に直角に折り曲げ、折り曲げた一端部を一方取付部とし、折り曲げた他端部を他方取付部としてもよい。この場合、取付部の両端部が折り曲げられるので、前記実施形態よりもさらに取付部の幅寸法が小さくなる。すなわち、作業スペースをより確保し易くなる。但し、いずれの取付部を作業者と対面する位置に配置しようとする場合、図1の基台10の回転角度(90度)に比して基台の回転角度(180度)は大きくなる。
【0051】
また、前記実施形態の場合、基台10の回転中心を、基台10の中心を通る直線上に設定するようにしたが、基台10から外れた位置に設定し、両取付部110,111のそれぞれを作業者と対面する位置に移動させるようにしてもよい。
【0052】
また、前記実施形態の場合、仕切り壁20を設けるようにしたが、両取付部110,111に対する電線の接続方向の特定や、両取付部110,111に対する絶縁保護について必要性がない場合は、仕切り壁20を設ける必要はない。
【0053】
また、前記実施形態の場合、両取付部110,111に接続端子Yを電気的に接続する接続部材として、止めねじBを使用したが、これに限定されるものではなく、接続端子Yを付勢部材の付勢力によって挟持するクリップであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,100…端子台、10,101…基台、10a…基台本体、10b…補助基台部、11,102…取付部、110,103…一方取付部、111,104…他方取付部、20,105…仕切り壁、3…回転軸、7…絶縁カバー、A…軸線、a…一方取付部及び他方取付部の中心線、B…止めねじ、C1…一次側電線、C2…二次側電線、T…端子ブロック、Y…接続端子
図1
図2
図3