(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シート状の発泡体とフィルムを密着させた積層体の製造方法であって、発泡体またはフィルムのいずれか一方に電荷を与えて帯電させる帯電工程、発泡体とフィルムを密着させる密着工程、および密着工程の後に、発泡体またはフィルムの外表面に、発泡体とフィルムとの密着面における電荷とは逆極性の電荷を与えて、前記密着面における密着力を増大させる密着力増大工程をこの順に有することを特徴とする積層体の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の課題は、厚みが薄い発泡体に各種加工を行う際、発泡体が変形することなく、所望の加工が可能となるようにするとともに、積層体から容易にかつ適切にフィルムを剥離でき問題を発生させることなく発泡体の単体での使用を可能にした積層体と、その積層体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記記載の積層体およびその製造方法によって上記課題を解決できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る積層体は以下の構成を有する。
(1)シート状の発泡体の少なくとも片方の面にフィルムが積層された積層体であって、以下の(A)〜(E)の要件を満足することを特徴とする積層体。
(A)発泡体の厚みが0.05〜1.5mm
(B)フィルムの厚みが25〜250μm
(C)フィルムの表面抵抗率が1×10
11Ω以上
(D)発泡体とフィルムが粘着剤を介さず直接接合されていること
(E)発泡体とフィルムの剥離強度が10mN/25mm〜100mN/25mm
(2)発泡体の厚みが0.05〜0.5mmである、(1)に記載の積層体。
(3)発泡体とフィルムの剥離強度が25mN/25mm〜100mN/25mmの範囲にある、(1)または(2)に記載の積層体。
(4)積層体の電位が−30〜+30kVの範囲にある、(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体。
(5)積層体の電位が−15〜+15kVの範囲にある、(4)に記載の積層体。
(6)発泡体およびフィルムのいずれもが主としてオレフィン系樹脂から構成されている、(1)〜(5)のいずれかに記載の積層体。
(7)発泡体の見かけ密度が100kg/m
3〜500kg/m
3の範囲にある、(1)〜(6)のいずれかに記載の積層体。
(8)フィルムの発泡体と密着している側の面が帯電している、(1)〜(7)のいずれかに記載の積層体。
(9)フィルムが剥離された発泡体が電子・電気機器を構成する部品を機器本体に固定するために用いられる、(1)〜(8)のいずれかに記載の積層体。
【0008】
本発明に係る積層体の製造方法は以下の構成を有する。
(10)シート状の発泡体とフィルムを密着させた積層体の製造方法であって、発泡体またはフィルムのいずれか一方に電荷を与えて帯電させる帯電工程、発泡体とフィルムを密着させる密着工程をこの順に有することを特徴とする積層体の製造方法。
(11)密着工程の後に、発泡体またはフィルムの外表面に、発泡体とフィルムとの密着面における電荷とは逆極性の電荷を与えて、前記密着面における密着力を増大させる密着力増大工程を有する、(10)に記載の積層体の製造方法。
(12)帯電工程においては、フィルムの発泡体と密着させる側の面を帯電させる、(10)または(11)に記載の積層体の製造方法。
(13)密着工程が、ニップローラにより発泡体とフィルムを圧着する工程を含む、(10)〜(12)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(14)以下の(A)および(B)の材料を使用する、(10)〜(13)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(A)厚みが0.05〜1.5mmの発泡体
(B)厚みが25〜250μmで表面抵抗率が1×10
11Ω以上のフィルム
(15)発泡体の厚みが0.05〜0.5mmである、(14)記載の積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の積層体およびその製造方法によれば、厚みが薄い発泡体に各種加工を行う際、発泡体が変形することなく、所望の加工が可能な積層体を提供できる。また、積層体から適切にフィルムを剥離することができ、容易に発泡体を単体で使用することができる。さらに、粘着剤を介さずに積層体とすることで、フィルムを剥離した後の発泡体に粘着剤が残存する可能性を無くすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明について、実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明で用いるシート状の発泡体は、厚みが0.05〜1.5mmである。発泡体の厚みが0.05mmを下回ると衝撃吸収性やクッション性が不十分となる。一方、厚みが1.5mmを超えると、とくに、それを電子・電気機器を構成する部品を機器本体に固定するために用いる場合、電子・電気機器の薄型化が達成できなくなるため好ましくない。より好ましい範囲は、厚みが0.05〜0.5mmである。
【0012】
本発明で用いる発泡体は、主としてオレフィン系樹脂から、とくにポリオレフィン系樹脂から構成されていることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、とくに限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンなどに代表されるポリエチレン系樹脂(ここでいう密度の定義は以下の通り。超低密度:0.910g/cm
3未満、低密度:0.910g/cm
3以上0.940g/cm
3以下、高密度:0.940g/cm
3より大きく0.965g/cm
3以下)や、エチレンを主成分とする共重合体、もしくはホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などに代表されるポリプロピレン系樹脂などが挙げられ、またこれらの混合物のいずれでもよい。前記エチレンを主成分とする共重合体としては、例えばエチレンと炭素数4つ以上のα−オレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる)を重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、より好ましくは低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体である。更に好ましくは低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンである。これらのポリオレフィン系樹脂は、1種もしくは2種以上の混合物のいずれでもよい。最も好ましくは低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体の単体またはこれらの混合物である。
【0013】
また、発泡体の特性を著しく損なわない範囲であれば、ポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を加えてもよい。ここでいうポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂とは、ハロゲンを含まない樹脂にあっては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体などのアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、低分子量ポリエチレン、高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ビニル重合性モノマー及び含窒素ビニルモノマーを有する共重合体などが挙げられる。さらにポリスチレン系熱可塑性エラストマー(SBC、TPS)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(TPVC)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE、TPC)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE、TPA)、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー(RB)、水添スチレンブタジエンラバー(HSBR)、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー(SEBC)、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー(CEBC)、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロックポリマー(SEBS)、オレフィンブロックコポリマー(OBC)などのブロックコポリマーやポリオレフィン−ビニル系グラフトコポリマー、ポリオレフィン−アミド系グラフトコポリマー、アルファ−オレフィンコポリマー、ポリオレフィン−アクリル系グラフトコポリマー、ポリオレフィン−シクロデキストリン系グラフトコポリマーなどのグラフトコポリマー等のエラストマーが挙げられる。
【0014】
また、ハロゲンを含む樹脂にあっては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化三フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフルオロカーボン樹脂などが挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂は、一種類でもよく、複数種含まれていてもよい。特に柔軟性や衝撃吸収性を付与する目的で、エラストマーを添加することは好ましい態様であり、所望の物性に合わせて種類、量は選択される。
【0015】
本発明で使用する発泡体においては、本発明の効果を損なわない範囲内で、フェノール系、リン系、アミン系およびイオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、マイカやタルク等の充填剤、臭素系およびリン系等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、およびポリテトラフルオロエチレン等の添加剤を添加することができる。
【0016】
また、本発明で使用する発泡体は、黒色に着色されてもよい。黒色に着色する際に用いられる黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライトなど)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などあらゆる公知の着色剤を用いることができる。中でも、コスト、入手性の観点から、カーボンブラックが好ましい。
【0017】
黒色着色剤は、単独又は、2種以上を組み合わせて使用することができる。黒色着色剤の使用量は、特に限定されず、本発明の両面粘着シートに対し所望の光学特性を付与できるように適宜調整した量とすることができる。
【0018】
本発明で使用する発泡体の見かけ密度は、100kg/m
3〜500kg/m
3であることが好ましい。見かけ密度が100kg/m
3を下回ると、発泡体の強度が低下し、加工時にシワなどが発生しやすくなったり、衝撃吸収性が低下したりするため好ましくない。500kg/m
3を超えると、硬くなり、緩衝性が低下するため好ましくない。より好ましくは、200kg/m
3〜400kg/m
3の範囲である。
【0019】
本発明で使用する発泡体は、架橋された発泡体(架橋発泡体という)、架橋されていない発泡体(無架橋発泡体という)のいずれも用いることができ、用途や形状に応じて適切な発泡体を選択すれば良い。しかし、樹脂発泡体の表面に平滑性があり、耐熱性が向上し、作成した発泡体を延伸、圧延することで更に薄膜化することが可能となる点から、架橋発泡体とすることが好ましい。架橋発泡体の架橋度は、5〜50%の範囲であることが好ましい。
【0020】
本発明で使用する発泡体の表面抵抗率は特に限定されないが、1×10
10Ω以上であることが好ましい。表面抵抗率が1×10
10Ωを下回ると、フィルムとの密着性が低下するため好ましくない。より好ましくは、1×10
12Ω以上である。表面抵抗率を調整するために、ポリオレフィン系樹脂を主たる構成成分とし、必要に応じて、帯電防止剤などを添加することは好ましい態様である。この様な帯電防止剤としては、例えばN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルフォネート等のモノマータイプの帯電防止剤、1−プロピル−3−メチルピリジニウム・ビストリフルオロメタンスルホナート、1−ブチル−3−メチルピリジニウム・トリフルオロメタンスルホナート等のイオン性液体、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、エチレン−メタクリル酸共重合体などのアイオノマー、ポリエチレングリコールメタクリレート系共重合体等の第四級アンモニウム塩、特開2001−278985号公報に記載のオレフィン系ブロックと親水性ブロックとの共重合体等の高分子タイプの帯電防止剤などが挙げられる。
【0021】
本発明で使用する発泡体の中心線表面粗さRaは、30μm以下であることが好ましい。発泡体の表面粗さが30μmを超えると、発泡体とフィルムとの積層体を構成した際に、界面に空気が入りやすくなり、密着性が低下傾向となるため好ましくない。より好ましくは、25μm以下である。
【0022】
本発明で使用する発泡体の製造方法としては、従来から公知の方法を用いることができる。例えば、熱分解型発泡剤を使用し、樹脂組成物をシート状に成形した後、これに電離性放射線を照射し、樹脂を架橋させた後、シートを発泡剤の分解温度以上に加熱し、発泡体を得る電子線架橋発泡体の製造方法、同じく熱分解型発泡剤と有機過酸化物を樹脂組成物とともにシート状に成形した後、これを加熱することで、樹脂を架橋させながら発泡する化学架橋発泡体の製造方法、押出機の途中から超臨界状態の炭酸ガスや窒素ガス、またはブタンガスなどを注入し、口金から押し出して発泡体を得る押出発泡体の製造方法などが挙げられる。
【0023】
更にこれらの方法で作成した発泡体を、厚み方向に分割し薄膜化するスライス加工、加熱しながら一軸、または二軸延伸する延伸加工、加熱した発泡体をロール等ではさむ圧縮加工などを単独もしくは複数組み合わせて薄膜化したものも好ましく用いることができる。
【0024】
本発明で使用する発泡体の平均気泡径は、特に限定されないが、小さい方が表面は平滑となり、積層体としたときの密着性が向上すること、及び柔軟性の観点から好ましい。小さくしすぎようとすると、樹脂を高粘度にする必要が生じ、生産性を著しく低下させる。この様な観点から、発泡体の平均気泡径は20μm〜400μmの範囲が好ましく、更に好ましくは20μm〜200μmの範囲である。
【0025】
発泡体の平均気泡径は、次の様にして算出する。発泡体シートの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−3000N)を用いて50倍の倍率で観察し、得られた画像および計測ソフトを使用して気泡径(直径)を測定した。なお、気泡径は撮影した画像の1.5mm×1.5mm範囲内において長手方向(MD)および幅方向(TD)のそれぞれについて測定し、それぞれの方向における平均気泡径を算出し、その平均値を平均気泡径とした。なお、10個の視野において測定し、算術平均として求めた。
【0026】
次に、本発明の積層体で使用するフィルムについて説明する。
本発明で使用するフィルムの厚みは、25〜250μmの範囲にある。25μmを下回ると積層体を最適な幅に調整するためのスリット加工を実施する際などにシワが発生しやすくなる他、打ち抜き加工を行う際に積層体が変形しやすくなるなど、加工性が低下するため好ましくない。250μmを超える場合は経済面で合理性に欠ける。フィルムは延伸フィルム、無延伸フィルムの何れであっても構わないが、積層体の変形を防ぐために二軸延伸フィルムが最も好ましい。
【0027】
本発明で使用するフィルムの表面抵抗率は、1×10
11Ω以上であることが必要であり、1×10
18Ω以下であることが好ましい。表面抵抗率が1×10
11Ωを下回ると、発泡体と積層した際に電位が消失してしまい、発泡体と密着させることができなくなる。フィルムの表面抵抗率は、フィルムを構成する樹脂組成物中に帯電防止剤の添加量により調整することができる。帯電防止剤を添加する場合は、公知のものを使用することができる。
【0028】
本発明で用いるフィルムの材質は、特に制限されるものではないが、積層体の電位を適切な範囲に保つため、及び経済的合理性の観点から、主としてオレフィン系樹脂から構成されていることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンなどに代表されるポリエチレン系樹脂(ここでいう密度の定義は以下の通り。超低密度:0.910g/cm
3未満、低密度:0.910g/cm
3以上0.940g/cm
3以下、高密度:0.940g/cm
3より大きく0.965g/cm
3以下)や、エチレンを主成分とする共重合体、もしくはホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などに代表されるポリプロピレン系樹脂などが挙げられ、またこれらの混合物のいずれでもよい。これらのなかでも、積層体を加工する際に、シワなどが発生しにくくするなどの観点から、剛性が高いポリプロピレンを主として構成されるフィルムが最も好ましい。また、プロピレンの単独重合体からなるものであっても、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよいし、プロピレンが単独ではない重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分としては、例えば、エチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテンー1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、耐絶縁破壊特性、剛性の点から、共重合量では1mol%未満とし、ブレンド量では10質量%未満とするのが好ましい。
【0029】
次に、本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は、前記の発泡体とフィルムが粘着剤を介さず直接接合されていることが必要である。この直接接合は、本発明では、発泡体またはフィルムのいずれか一方に電荷が与えられ、その電荷を利用した静電密着によって、達成される。したがって、本発明の積層体からフィルムを剥離した後には、発泡体のフィルム側の面には粘着剤は存在しない。
【0030】
本発明の積層体は、スリット加工や打ち抜き加工などの様々な加工を施した後に、電子・電気機器筐体に組み付けることができ、とくに、積層体からフィルムを剥離した状態の発泡体を良好な緩衝性や衝撃吸収性を有する層として組み付けることができる。発泡体の組み付け形態としては、発泡体の反フィルム側の面に粘着層を設けたり、同反フィルム側の面に一旦微粘着層を設けて筐体との位置合わせを行った後、微粘着層を剥離して粘着層を設けたり、また、発泡体のフィルム側の面にフィルムを剥離した後に粘着層を設けるなど、種々の形態が採用される。しかし、発泡体の表面に予め粘着剤が存在していると、とくに、フィルムを剥離した後の発泡体のフィルム側の面に粘着剤が残存していると、後から塗布した粘着剤との界面に空気を噛み込んだり、外観が低下しやすくなるなどの問題が起きる可能性があり好ましくない。
【0031】
また、発泡体は、密度が低いために材質強度が弱く、発泡体の上に設けたあるいは残存した粘着層を除去しようとすると、発泡体が材質破壊してしまうことがある。したがって、粘着層を新たに設けようとする前に、既に存在している粘着層を除去することも、困難である。
【0032】
一方、本発明の積層体は、粘着剤を介さずに発泡体とフィルムが直接接合されているため、フィルムを剥離した後の発泡体のフィルム側の面には粘着剤は存在せず、また、積層体形態でのフィルムに支持された発泡体の反フィルム側の面には、発泡体が使用される用途や部位に適した粘着層を容易に設けることが可能となる。
【0033】
従来から、一般に発泡体の表面に粘着層を設ける場合は、フィルムや離型紙などの基材の上に、溶剤と粘着剤を含む液体を塗布し、これをオーブンなどで乾燥したのちに、発泡体と貼り合わせ、フィルムや離型紙を除去する方法などが知られている。発泡体は密度が低く、強度も低いために加熱状態では伸びやすいため、発泡体側に粘着剤を含む溶液を塗布するよりも、フィルムや離型紙に粘着剤を塗布、乾燥させてから貼り合わせる方法の方が、生産速度を向上させることが可能で有り好ましく用いられている。この過程においても、発泡体の粘着剤と貼り合わせない面に、予め粘着剤を介さず直接フィルムが接合されたものを使用すると、巻き取り張力などで発泡体が変形することを防止することができる。
【0034】
このように、本発明においては、発泡体とフィルムとを、粘着剤を介さず直接接合した積層体とすることで、様々な加工を行うことが容易になる。
【0035】
本発明の積層体においては、発泡体とフィルムの剥離強度は10mN/25mm〜100mN/25mmの範囲にある。発泡体とフィルムとの剥離強度が10mN/25mmを下回ると積層体に様々な加工を行う過程で、発泡体とフィルムが剥離してしまうため好ましくなく、100mN/25mmを超えると、フィルムを剥離する際に発泡体が変形してしまう可能性があるため好ましくない。より好ましくは、25mN/25mm〜100mN/25mmの範囲である。発泡体とフィルムの剥離強度は、発泡体やフィルムの表面抵抗率、表面粗さ、放電量等の条件を適正化することでコントロールすることが可能である。
【0036】
なお、前記したとおり、本発明で使用する発泡体の表面抵抗率は1×10
10Ω以上であることが好ましく、本発明で使用するフィルムの表面抵抗率は1×10
11Ω以上であるが、両方の材料ともに表面抵抗率が低いものを用いると、積層体における発泡体とフィルムの密着強度が上記の範囲に入らない可能性ある。したがって、好ましい組み合わせの態様としては、表面抵抗率が1×10
16〜1×10
18Ωの発泡体と、表面抵抗率が1×10
11〜1×10
14Ωのフィルムの積層体、表面抵抗率が1×10
10〜1×10
15Ωの発泡体と、表面抵抗率が1×10
16〜1×10
18Ωのフィルムの積層体が、上記の剥離強度の範囲を達成できる適度な密着強度が得られることから好ましい。
【0037】
本発明の積層体としての電位は、−30〜+30kVの範囲であることが好ましい。電位の絶対値が±30kVを上回ると、電位が高すぎるために周囲の環境中の塵埃が付着し易くなるほか、自己放電などが発生しやすくなるため好ましくない。より好ましくは、−15〜+15kVの範囲、更に好ましくは−10〜+10kVの範囲である。
【0038】
本発明の積層体は、フィルムの発泡体と密着している面が帯電していることが好ましい。フィルムと発泡体を帯電により密着させるためには、フィルムまたは発泡体の何れか、もしくは両方に帯電処理することが好ましいが、発泡体は、帯電させようとして高電圧で処理を行うとピンホールなどの欠点が発生し易いことから、フィルムの発泡体と密着している面を帯電させることが好ましい。更に、フィルムの発泡体と密着している面、密着していない面の何れを帯電処理してもよいが(密着していない面を帯電処理する場合にも、結果的に発泡体と密着している面が帯電される)、密着強度を高くするためには、フィルムの発泡体と密着している側の面を帯電させることが好ましい。
【0039】
積層体において、どの面が帯電しているかについては、ダストフィギャア法と呼ばれる複写機に使用されるトナーを振りかける方法で確認することができる(静電気ハンドブック、1981年発行、静電気学会編、p.373)。ダストフィギュア法とは、帯電した着色微粒子を帯電体の近傍に浮遊させ、静電気力で付着現像させる方法である。ダストフィギュア法に使用する現像材としては、カラー複写機で一般に使用されている粉末トナーが適している。好ましくは平均粒径が数μmから数十μmのものがよい。また作業環境としては、周囲湿度により粉体の付着力が変わるため、40〜60%の湿度などの一定環境下で評価した方が再現性がよい。
【0040】
例えば、次のような評価の条件を適用できる。
正帯電性トナー:
色 :赤色
粒径:重量平均粒径:14.8μm(6μm以下:0.2重量%、25μm以上:1.8重量%)
比電荷:−1.2μC/g
負帯電性トナー:
色 :青色
粒径:重量平均粒径:12.5μm(6μm以下:0.8重量%、20μm以上:1.6重量%)
比電荷:−23.1μC/g
【0041】
なお、ここで示したトナーの平均粒径はCOULTER社製MULTISIZERIIで、直径100μmのアパーチャチューブを用いて測定した値である。また比電荷についてはブローオフ法帯電量測定装置(東芝ケミカル社製TB−500型)により測定した値である。具体的には、被測定トナーと鉄粉キャリア(パウダーテック社のTSV−200R)をそれぞれ1:19の重量比で混ぜ合わせ、ボールミルにより5分攪拌した後の粉体サンプルを、前記帯電量測定装置の測定セル内に0.2gだけ入れ、ブロー圧0.5kg/cm
2 、ブロー時間60秒とし、網目スクリーンに400メッシュのステンレスメッシュを使用して測定した値をトナーの重量(0.2g×1/20=0.01g)で割った値で求めている。
【0042】
次に、前記の発泡体およびフィルムを用いた、本発明の積層体の製造方法を、好ましい態様の1つである
図1を参照しながら説明する。
【0043】
本発明の積層体3の製造方法は、シート状の発泡体2またはフィルム1のいずれか一方に電荷を与えて帯電させる帯電工程、発泡体とフィルムを密着させる密着工程をこの順に有することが必要である。帯電工程と密着工程は、発泡体を製造する工程に連続して行ってもよいし、一旦発泡体を巻き取った後に、行ってもよい。
【0044】
発泡体2またはフィルム1の何れか一方に電荷を与えて帯電させる帯電装置4の帯電方法としては、特に限定されず、例えば、(1)発泡体2またはフィルム1の一面にアースされた平板電極を重ね合わせ、発泡体2またはフィルム1のもう一方の面側に所定間隔で直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極又はワイヤー電極を配設し、針状電極の先端又はワイヤー電極の表面近傍への電界集中によりコロナ放電を発生させ、空気をイオン化させて帯電させる方法、(2)発泡体2またはフィルム1を一対の平板電極で挟持し、一方の平板電極をアースすると共に他方の平板電極を高圧直流電源に接続して、発泡体2またはフィルム1に直流又はパルス状の高電圧を印加して帯電させる方法、(3)電子線、X線などの電離性放射線や紫外線を発泡体2またはフィルム1に照射して、近傍の空気をイオン化させて帯電させる方法、などが挙げられるが、容易に電荷を注入することができる方法としては、(1)のコロナ放電処理による方法が最も好ましい。
【0045】
コロナ放電処理においては、電圧0〜±30kVを、放電距離5〜30mm程度で印加することにより、発泡体2またはフィルム1を帯電させることができる。発泡体に帯電させる場合は、印加電圧を高くしすぎると放電が集中した際に、穴が空いてしまう可能性があるため、0〜±20kVの範囲とすることが好ましい。
【0046】
更に、コロナ放電処理を行う面は、どちらの面であっても制限は無いが、密着性を高めるために、発泡体2またはフィルム1のもう一方の材料と密着する面を帯電させることがより好ましい。更には、製品の端部まで均一に密着させるためには、フィルム1または発泡体2の処理対象物の幅に対して、電極の幅を広くすることが必要である。
【0047】
コロナ放電によって帯電処理させる際の放電量は、0.5〜100J/m
2の範囲であることが好ましい。放電量が0.5J/m
2を下回ると、発泡体2とフィルム1の密着性が低下するため好ましくなく、100J/m
2を超えるとフィルム1または発泡体2にピンホールなどの穴あき欠点が発生する可能性があるため好ましくない。より好ましくは、1.0〜100J/m
2の範囲である。
【0048】
なお、放電量は以下の式によって計算した値のことである。ただし、放電するための電極の幅は、フィルム1または発泡体2の幅よりも広い。
放電量(J/m
2)=電力(W)/{ライン速度(m/s)×フィルムまたは発泡体の幅(m)}
【0049】
発泡体2とフィルム1とを密着させる工程としては、帯電処理を行った発泡体2またはフィルム1の上に、もう一方の材料を接触させて静電密着させることで達成できるが、密着面にエアーを噛み込まないようにするために、
図1に示すようなニップローラ6a,6bや板等でプレスすることが好ましい。特に、連続生産性の観点からは、ニップローラ6a,6bを用いて、密着させることが最も好ましい。ニップローラ6a,6bの材質は特に制限されるものではなく、従来から公知の金属−金属によるニップローラ、ゴム−金属によるニップローラなどを用いることができる。
【0050】
本発明においては、発泡体2とフィルム1を密着させた後に、発泡体2またはフィルム1の外表面に、発泡体2とフィルム1との密着面における電荷とは逆極性の電荷を与えて、密着力を増大させる工程を有することが特に好ましい。例えば、フィルム1の発泡体2と密着する側の面に、
図1に示すような帯電装置4により正電荷を印加してコロナ放電処理を行って発泡体2と積層し、積層体3としたあと、発泡体2の外表面に除電装置5により負電荷を照射することで、電荷が中和され積層体3としての電位を小さくすることができる上に、発泡体2とフィルム1の密着性を向上させることが可能となる。なお、逆極性の電荷の供給は、正電荷と負電荷が混ざった状態で行うことも好ましい態様の一つである。この様に逆極性の電荷を与える手段としては、特に限定されないが、高圧印加式静電気除去装置、自己放電式静電気除去装置、軟X線やα線などの電離性放射線を照射する装置などを挙げることができるが、コロナ放電による高圧印加式静電気除去装置が最も好ましい。また、発泡体2またはフィルム1に効率よく帯電させる観点から、発泡体2またはフィルム1を挟んで帯電装置4と対極する面に対極ローラ8を有していることが好ましい。対極ローラ8を設置することにより、対極ローラ8と帯電装置4の放電電極との間に電界を形成し、コロナ放電で発生したイオンを効率的にローラ上の発泡体2またはフィルム1に届けることが可能となり、帯電処理の効率を向上させることが可能となる。この様な対極ローラ8の材質としては、特に限定されるものでは無く、金属ローラ、ゴムローラの何れも用いることが出来る。ただし、ゴムローラの場合は、ローラが帯電してしまうと処理効率が低下するため、導電性を有するゴムであることが好ましい。
【0051】
その他本発明の積層体を製造するためには、発泡体2およびフィルム1を一定の張力、速度で巻き出すための巻出機、並びに発泡体2およびフィルム1に適切な張力をかけ、蛇行などを防止するガイドローラ7、積層体3を目的の幅にカットするためのシェア刃やレザー刃などのカッター、積層体を巻き取るための巻取機などを具備していることが好ましい。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明を実施例により、詳細に説明する。なお、測定方法及び評価方法は以下に示すとおりである。
【0053】
(1)発泡体の厚み
発泡体の厚みは、ISO1923(1981)「発泡プラスチック及びゴム一線寸法の測定方法」に従って測定を行った。具体的には10cm
2の面積を持つ円形測定子をつけたダイヤルゲージを用いて、一定の大きさに切った発泡体を平坦な台に静置させた上から発泡体表面に10gの一定圧力で接触させて測定する。
【0054】
(2)発泡体の見かけ密度
発泡体のみかけ密度は、JIS K6767(1999)「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に準じて測定・計算した値である。10cm
2の面積に切った発泡体の厚さを測定し、且つこの試験片の質量を秤量する。以下の式によって得られた値をみかけ密度とし、単位はkg/m
3とする。
みかけ密度(kg/m
3)={試験片の質量(kg)/試験片面積0.01(m
2)/試験片の厚さ(m)}
【0055】
(3)発泡体の架橋度
発泡体の架橋度の測定は、次の様にして実施する。発泡体を約0.5mm四方に切断し、約100mgを0.1mgの精度で秤量する。140℃の温度のテトラリン200mlに3時間浸漬した後、100メッシュのステンレス製金網で自然濾過し、金網上の不溶解分を1時間120℃下で熱風オーブンにて乾燥する。次いで、シリカゲルを入れたデシケータ内で30分間冷却し、この不溶解分の質量を精密に秤量し、次の式に従って発泡体のゲル分率を百分率で算出する。
架橋度(%)={不溶解分の質量(mg)/秤量した発泡体の質量(mg)}×100
【0056】
(4)発泡体の表面粗さ
発泡体の表面粗さは、表面粗さ測定器(型式:SE−2300、株式会社小坂研究所製)により測定し、中心線平均粗さRaを求めた。ただし、測定場所は発泡体のフィルムと積層させる面を測定した。測定方向は、発泡体シートの面内において、長手方向およびそれに対して垂直な方向の2方向の測定を行い、測定回数はそれぞれにつき1回である。これら測定値の中で最も高い値を発泡体の表面粗さとした。
【0057】
(5)フィルムの厚み
フィルムの厚みは、ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社製のデジタルマイクロメーターμメイトM−30を用いて、任意の10点の厚みを測定し、その平均値をフィルム厚みとした。
【0058】
(6)発泡体およびフィルムの表面抵抗率
表面抵抗率は、Advantest社製R8340を用いて測定した。発泡体を50×50mmに切削し、温度20℃、湿度50%RH環境下で24時間放置した後、印加電圧100V、1分後の表面抵抗率を使用した。2回測定した平均値とした。
【0059】
(7)積層体の剥離強度
積層体の剥離強度は、作成した積層体について、製品の長さ方向(
図1の巻取方向)の長さが150mm、幅が25mmになるようにカットし試験片とした。この試験片の片端を積層体ごと挟み込んで固定し、積層体のフィルムのみをもう一方のはさみ口で固定、オリエンテックコーポレーション社製テンシロンUCT−500を用いて、速度200mm/min、剥離角度180°、剥離距離80mmでフィルムを引っ張り、剥離試験を実施した。得られた剥離強度は、剥離距離80mm内の最大剥離強度値であり、2回測定した値から求めた平均値を剥離強度とした。
【0060】
(8)積層体の電位
積層体の電位は、春日電機株式会社製デジタル静電電位測定器KSD−1000を用いて測定を行った。積層体のフィルム側及び発泡体側から電位計をあてて測定し、その平均値を積層体の電位とした。
【0061】
(9)積層体の特性評価(スリット加工性)
作成した積層体について、スリット加工を行い、シワの有無について評価を行った。機械式モータと連結されて巻き出し、巻き取りが任意の速度で可能なスリット加工機に、140mm毎にレザー刃を設置し、加工速度40m/minでスリット加工を実施し、幅140mmの製品を同時に6本採取した。6本採取した製品の1本にもシワが無いものを合格(〇)、1本でもシワがある場合は不合格(×)とした。
【0062】
表1、表2に使用した発泡体とフィルムを示す。
[参考例1]
密度925kg/m
3の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、熱分解型発泡剤アゾジカルボンアミド2kgと、フェノール系酸化防止剤イルガノックス1010 0.2gを均一に混合し、押出機に供給し、樹脂温度170℃で溶融混練しながら押し出し、長尺シート状に成形した。次いで、このシートに電子線を照射し、樹脂を架橋させた後、235℃に設定した溶融ソルトバス上に連続的に投入し、架橋発泡体Aを作成した。得られた発泡体の厚みは0.4mm、密度は250kg/m
3であった。
【0063】
[参考例2]
参考例1で作成した発泡体を80℃に設定したロール4本で長手方向に200%延伸し、続いて120℃に設定したテンター内に投入し、両端をクリップで把持しながら200%延伸することで、厚み0.1mm、密度300kg/m
3の発泡体Bを作成した。
【0064】
[参考例3]
参考例1において、熱分解型発泡剤の添加量を4.5kgとし、厚み2mm、密度430kg/m
3の発泡体を作成した。作成した発泡体をスライス加工機にて表層0.4mmをスライスした後に、温度110℃に設定した加熱炉内で長手方向に延伸し、厚み0.5mm、密度475kg/m
3の発泡体Cを作成した。
【0065】
[参考例4]
参考例1において、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを10重量部添加した以外は同様の方法で発泡体Dを作成した。
【0066】
[参考例5]
参考例1において、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、ケッチェンブラックを15重量部添加した以外は同様の方法で発泡体Eを作成した。
【0067】
[参考例6]
密度918kg/m
3の低密度ポリエチレンを押出機ホッパから投入し、単軸押出機を2台並べたタンデム押出機の1段目の途中から超臨界炭酸ガスを注入し、2段目の押出機で冷却しながらサーキュラーダイより押出、マンドレルで成形した後に切開し、無架橋の発泡体Fを作成した。
【0068】
[参考例7]
酢酸ビニル含有量14%のエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、熱分解型発泡剤アゾジカルボンアミド2.7kgと、フェノール系酸化防止剤イルガノックス1010 0.2gを均一に混合し、押出機に供給し、樹脂温度150℃で溶融混練しながら押し出し、厚み0.9mmで長尺シート状に成形した。次いで、このシートに電子線を照射し、樹脂を架橋させた後、235℃に設定した溶融ソルトバス上に連続的に投入し、架橋発泡体Gを作成した。得られた発泡体の厚みは1.5mm、密度は140kg/m
3であった。
【0069】
表2に示したフィルムは、市販の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを購入して使用した。
フィルムa:東洋紡株式会社製P002(厚み40μm)
フィルムb:東洋紡株式会社製P2161(厚み40μm)
フィルムc:東洋紡株式会社製P2161(厚み30μm)
フィルムd:フタムラ化学株式会社製PAS−P1M(厚み40μm)
フィルムe:フタムラ化学株式会社製PAS−P2(厚み30μm)
フィルムf:東洋紡株式会社製P2102(厚み20μm)
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
[実施例1]
製品幅1mの発泡体Aと製品幅1mのフィルムbを、
図1に示すように、それぞれ巻き出し機にセットし、ライン速度20m/minの速度で巻き出しながら、フィルムの発泡体と接する面側に春日電機株式会社製帯電装置PST−2005Nを用いて、−15kVの電圧で電極とフィルム表面間距離を15mmとして帯電処理を行った。続いてニップローラに導入し、0.3MPaの圧力でニップすることで発泡体とフィルムを積層して積層体とした。その後、発泡体の表面にシムコジャパン株式会社製除電器(電源:PowerUnit150、電極ss−50)を用いて4kVで除電し、巻き取り張力を100mNとして、積層体を巻き取った。
【0073】
作成した積層体の電位は+3.1kV、発泡体とフィルムの剥離強度は40mN/25mmであった。続いて、この積層体のスリット加工を実施したところ、発泡体の変形に伴うシワ、エアーの噛み混みなどが無く、外観が良好な製品を得た。結果を表3に示す。
【0074】
[実施例2〜14、比較例1、2]
実施例2〜14と比較例1、2では、実施例1と同様の方法で、表3に示す条件で積層体の作成を行い、得られた積層体の電位、密着強度の測定と、スリット加工による評価を実施した。
【0075】
表3に示すように、本発明で規定した条件を満たす実施例1〜14では良好な結果、とくに良好なスリット加工性が得られたが、本発明で規定した条件を満たさない比較例1、2では良好な結果が得られなかった。
【0076】
【表3】