(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757557
(24)【登録日】2020年9月2日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20200910BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
B65D5/54 301H
B65D5/42 FBSL
B65D5/42BSE
B65D5/42BRP
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-121295(P2015-121295)
(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-7667(P2017-7667A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】505437044
【氏名又は名称】広瀬 康男
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 康男
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05078273(US,A)
【文献】
特開2005−200105(JP,A)
【文献】
特開2000−309333(JP,A)
【文献】
特開2011−168282(JP,A)
【文献】
米国特許第04886170(US,A)
【文献】
実開昭56−103420(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの側面板と、前記4つの側面板により構成される筒体の各端面を塞ぐ2つの端面板と、を備えて構成される略直方体状の包装箱であって、
ブランクを組み立てることにより構成され、
前記ブランクは、互いに平行に設けられた折曲線を介して連接された前記4つの側面板と、前記4つの側面板の連接方向の一端に前記折曲線に平行な折曲線を介して延設された接続片とを有し、
前記筒体は、前記ブランクを前記折曲線において折り曲げるとともに前記接続片を前記4つの側面板の連接方向の他端の前記側面板に接着し、前記ブランクを立体的に立ち上げることにより構成され、
一の前記側面板の2つの辺の夫々に相当する2つの前記折曲線はいずれも破断線であり、前記破断線の両端は当該一の側面板の角隅部に達しており、前記2つの端面板の夫々は、いずれも当該一の側面板から延設されて当該包装箱が組み立てられた状態で夫々前記筒体の各端面の全体を塞いだ状態となり、当該一の側面板は、その裏面側に、前記破断線の夫々に沿って夫々に隣接形成された2つの切り込み線を有し、前記2つの切り込み線は、いずれも前記ブランクの厚みの一部を残すように切り込まれており、前記一の側面板を一の前記端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、当該一の側面板に層間剥離を生じさせるように作用し、前記破断線は、前記一の側面板を前記一の端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、前記ブランクの厚みの一部を残して切り離されるように強度が設定されており、当該包装箱の解体に際し、前記一の端面板と共に前記一の側面板を前記破断線に沿って捲りあげた際に、前記一の側面板における前記切り込み線と前記破断線との間の領域が層間剥離することによって、前記一の側面板及び前記各端面板が、当該一の側面板に連接する2つの前記側面板から分離し、前記2つの側面板が、前記一の側面板に対向する前記側面板との間の前記折曲線を軸として回動可能な状態となる
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
4つの側面板と、前記4つの側面板により構成される筒体の各端面を塞ぐ2つの端面板と、前記側面板に延設された一つ以上のフラップと、を備えて構成される略直方体状の包装箱であって、
ブランクを組み立てることにより構成され、
前記ブランクは、互いに平行に設けられた折曲線を介して連接された前記4つの側面板と、前記4つの側面板の連接方向の一端に前記折曲線に平行な折曲線を介して延設された接続片とを有し、
前記筒体は、前記ブランクを前記折曲線において折り曲げるとともに前記接続片を前記4つの側面板の連接方向の他端の前記側面板に接着し、前記ブランクを立体的に立ち上げることにより構成され、
一の前記側面板の2つの辺の夫々に相当する2つの前記折曲線はいずれも破断線であり、前記破断線の両端は当該一の側面板の角隅部に達しており、一方の前記端面は、前記一の側面板から延設される第1の前記端面板により全体が塞がれ、他方の前記端面は、前記一の側面板から延設される第2の前記端面板、及び前記一の側面板に対向する前記側面板から延設される前記フラップにより全体が塞がれ、当該一の側面板は、その裏面側に、前記破断線の夫々に沿って夫々に隣接形成された2つの切り込み線を有し、前記2つの切り込み線は、いずれも前記ブランクの厚みの一部を残すように切り込まれており、前記一の側面板を前記第1の端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、当該一の側面板に層間剥離を生じさせるように作用し、前記破断線は、前記一の側面板を前記第1の端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、前記ブランクの厚みの一部を残して切り離されるように強度が設定されており、当該包装箱の解体に際し、前記第1の端面板と共に前記一の側面板を前記破断線に沿って捲りあげた際に、前記一の側面板における前記切り込み線と前記破断線との間の領域が層間剥離することによって、前記一の側面板、前記第1の端面板、前記第2の端面板、及び前記フラップが、当該一の側面板に連接する2つの前記側面板から分離し、前記2つの側面板が、前記一の側面板に対向する前記側面板との間の前記折曲線を軸として回動可能な状態となる
ことを特徴とする包装箱。
【請求項3】
4つの側面板と、前記4つの側面板により構成される筒体の各端面を塞ぐ2つの端面板と、前記側面板に延設された二つ以上のフラップと、を備えて構成される略直方体状の包装箱であって、
ブランクを組み立てることにより構成され、
前記ブランクは、互いに平行に設けられた折曲線を介して連接された前記4つの側面板と、前記4つの側面板の連接方向の一端に前記折曲線に平行な折曲線を介して延設された接続片とを有し、
前記筒体は、前記ブランクを前記折曲線において折り曲げるとともに前記接続片を前記4つの側面板の連接方向の他端の前記側面板に接着し、前記ブランクを立体的に立ち上げることにより構成され、
一の前記側面板の2つの辺の夫々に相当する2つの前記折曲線はいずれも破断線であり、前記破断線の両端は当該一の側面板の角隅部に達しており、前記各端面の夫々は、前記一の側面板から延設される前記端面板、及び前記一の側面板に対向する前記側面板から延設される前記フラップにより全体が塞がれ、当該一の側面板は、その裏面側に、前記破断線の夫々に沿って夫々に隣接形成された2つの切り込み線を有し、前記2つの切り込み線は、いずれも前記ブランクの厚みの一部を残すように切り込まれており、前記一の側面板を一の前記端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、当該一の側面板に層間剥離を生じさせるように作用し、前記破断線は、前記一の側面板を前記一の端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、前記ブランクの厚みの一部を残して切り離されるように強度が設定されており、当該包装箱の解体に際し、前記一の端面板と共に前記一の側面板を前記破断線に沿って捲りあげた際に、前記一の側面板における前記切り込み線と前記破断線との間の領域が層間剥離することによって、前記一の側面板、前記2つの端面板、及び前記2つのフラップが、当該一の側面板に連接する2つの前記側面板から分離し、前記2つの側面板が、前記一の側面板に対向する前記側面板との間の前記折曲線を軸として回動可能な状態となる
ことを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記切り込み線は、その端部近傍において当該切り込み線に近接する前記破断線の方向に屈曲し、前記切り込み線の先端は、当該切り込み線が設けられている前記側面板の角隅部に達している
ことを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記接続片は、前記破断線及び前記切り込み線が形成された前記側面板に隣接して設けられている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記破断線は、ミシン目、もしくはつなぎ部分を有する切り込み線である
ことを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装箱に関し、とくに包装箱の堅牢性と解体の容易さを確保する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
薬局や医療現場等のように日々相当数の包装箱(薬品包装箱等)が取り扱われる現場においては、大量の包装箱について行われる開封作業や解体作業が大きな負担となっている。そこで従来より、こうした作業を容易にするための様々な方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ラップラウンドケース形の包装用箱等において、上蓋片を開閉する態様で使用された後、容易に解体することができるように、包装箱の底面板に、端辺の両端を起点とする破断線で囲まれた押込部を設け、解体時に押込部を指で押し破り、底板面と側面部を外側に引き出しながら中央部で折り曲げ、正面板と背面板が重なるように折り畳むようにすることが記載されている。
【0004】
また特許文献2には、開封作業と解体作業をより効率よく行うことができるように、一枚のブランク板を折りたたむことで形成され、連続する複数の側板を折りたたむことで包装対象物の収納空間を形成する容器側部と、容器側部で囲まれた両端の開口に蓋をする2つの蓋部とから形成される包装容器において、ブランク板の状態で容器側部の側面片と連結され、容器側部の一面の表面に貼り付けられる唯一の貼付片を設け、貼付片の裏面に、切断線を境として非接着部と接着部とが分かれ、非接着部が第二側面片と連結されることにより、切断線で貼付片が分離されると、解体されて一枚の平らな状態になるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−168282号公報
【特許文献2】実用新案登録第3186433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば、解体の容易さを優先して包装箱に設ける破断部(ミシン目等)の数を増やすと、製造時や運搬時、使用時等に要求される堅牢性を確保することが難しくなる。また逆に堅牢性や再封性を確保しようとして、例えば、フラップの数を増やすと、接合部が増えて使用後における包装箱の解体の容易性が損なわれてしまう。このように、包装箱は、製造時や運搬時、使用時等に要求される堅牢性と使用後における解体の容易さの双方を両立させることが課題となる。
【0007】
本発明はこうした背景に鑑みてなされたもので、堅牢性を備えるとともに解体を容易に行うことができる包装箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一つは、4つの側面板と、前記4つの側面板により構成される筒体の各端面を塞ぐ2つの端面板と、を備えて構成される略直方体状の包装箱であって、ブランクを組み立てることにより構成され、前記ブランクは、互いに平行に設けられた折曲線を介して連接された前記4つの側面板と、前記4つの側面板の連接方向の一端に前記折曲線に平行な折曲線を介して延設された接続片とを有し、前記筒体は、前記ブランクを前記折曲線において折り曲げるとともに前記接続片を前記4つの側面板の連接方向の他端の前記側面板に接着し、前記ブランクを立体的に立ち上げることにより構成され、一の前記側面板の2つの辺の夫々に相当する2つの前記折曲線はいずれも破断線であり、前記破断線の両端は当該一の側面板の角隅部に達しており、前記2つの端面板
の夫々は、
いずれも当該一の側面板から延設されて当該包装箱が組み立てられた状態で夫々前記筒体の各端面の全体を塞いだ状態となり、当該一の側面板は、その裏面側に、前記破断線の夫々に沿って夫々に隣接形成された2つの切り込み線を有し、前記2つの切り込み線は、いずれも前記ブランクの厚みの一部を残
すように切り込まれて
おり、前記一の側面板を一の前記端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、当該一の側面板に層間剥離を生じさせるように作用し、前記破断線は、前記一の側面板を前記一の端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、前記ブランクの厚みの一部を残して切り離されるように強度が設定されており、当該包装箱の解体に際し、前記一の端面板と共に前記一の側面板を前記破断線に沿って捲りあげた際に、前記一の側面板における前記切り込み線と前記破断線との間の領域が層間剥離することによって、前記一の側面板及び前記各端面板が、当該一の側面板に連接する2つの前記側面板から分離し、前記2つの側面板が、前記一の側面板に対向する前記側面板との間の前記折曲線を軸として回動可能な状態となる。
また上記目的を達成するための本発明の他の一つは、4つの側面板と、前記4つの側面板により構成される筒体の各端面を塞ぐ2つの端面板と、前記側面板に延設された一つ以上のフラップと、を備えて構成される略直方体状の包装箱であって、ブランクを組み立てることにより構成され、前記ブランクは、互いに平行に設けられた折曲線を介して連接された前記4つの側面板と、前記4つの側面板の連接方向の一端に前記折曲線に平行な折曲線を介して延設された接続片とを有し、前記筒体は、前記ブランクを前記折曲線において折り曲げるとともに前記接続片を前記4つの側面板の連接方向の他端の前記側面板に接着し、前記ブランクを立体的に立ち上げることにより構成され、一の前記側面板の2つの辺の夫々に相当する2つの前記折曲線はいずれも破断線であり、前記破断線の両端は当該一の側面板の角隅部に達しており、一方の前記端面は、前記一の側面板から延設される第1の前記端面板により全体が塞がれ、他方の前記端面は、前記一の側面板から延設される第2の前記端面板、及び前記一の側面板に対向する前記側面板から延設される前記フラップにより全体が塞がれ、当該一の側面板は、その裏面側に、前記破断線の夫々に沿って夫々に隣接形成された2つの切り込み線を有し、前記2つの切り込み線は、いずれも前記ブランクの厚みの一部を残すように切り込まれており、前記一の側面板を前記第1の端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、当該一の側面板に層間剥離を生じさせるように作用し、前記破断線は、前記一の側面板を前記第1の端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、前記ブランクの厚みの一部を残して切り離されるように強度が設定されており、当該包装箱の解体に際し、前記第1の端面板と共に前記一の側面板を前記破断線に沿って捲りあげた際に、前記一の側面板における前記切り込み線と前記破断線との間の領域が層間剥離することによって、前記一の側面板、前記第1の端面板、前記第2の端面板、及び前記フラップが、当該一の側面板に連接する2つの前記側面板から分離し、前記2つの側面板が、前記一の側面板に対向する前記側面板との間の前記折曲線を軸として回動可能な状態となる。
また上記目的を達成するための本発明の他の一つは、4つの側面板と、前記4つの側面板により構成される筒体の各端面を塞ぐ2つの端面板と、前記側面板に延設された二つ以上のフラップと、を備えて構成される略直方体状の包装箱であって、ブランクを組み立てることにより構成され、前記ブランクは、互いに平行に設けられた折曲線を介して連接された前記4つの側面板と、前記4つの側面板の連接方向の一端に前記折曲線に平行な折曲線を介して延設された接続片とを有し、前記筒体は、前記ブランクを前記折曲線において折り曲げるとともに前記接続片を前記4つの側面板の連接方向の他端の前記側面板に接着し、前記ブランクを立体的に立ち上げることにより構成され、一の前記側面板の2つの辺の夫々に相当する2つの前記折曲線はいずれも破断線であり、前記破断線の両端は当該一の側面板の角隅部に達しており、前記各端面の夫々は、前記一の側面板から延設される前記端面板、及び前記一の側面板に対向する前記側面板から延設される前記フラップにより全体が塞がれ、当該一の側面板は、その裏面側に、前記破断線の夫々に沿って夫々に隣接形成された2つの切り込み線を有し、前記2つの切り込み線は、いずれも前記ブランクの厚みの一部を残すように切り込まれており、前記一の側面板を一の前記端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、当該一の側面板に層間剥離を生じさせるように作用し、前記破断線は、前記一の側面板を前記一の端面板と共に前記破断線に沿って捲りあげた際、前記ブランクの厚みの一部を残して切り離されるように強度が設定されており、当該包装箱の解体に際し、前記一の端面板と共に前記一の側面板を前記破断線に沿って捲りあげた際に、前記一の側面板における前記切り込み線と前記破断線との間の領域が層間剥離することによって、前記一の側面板、前記2つの端面板、及び前記2つのフラップが、当該一の側面板に連接する2つの前記側面板から分離し、前記2つの側面板が、前記一の側面板に対向する前記側面板との間の前記折曲線を軸として回動可能な状態となる。
【0009】
このように、本発明の包装箱にあっては、少なくとも何れかの側面板の2つの辺を構成する折曲線をいずれも破断線とし、側面板の裏面側に破断線に沿う2つの切り込み線(例えば、ハーフカット線)を形成している。上記2つの切り込み線は、包装箱の解体に際し、上記破断線及び上記切り込み線が形成された側面板をユーザが上記破断線に沿って捲り上げた際に当該側面板のブランクに層間剥離を誘起させるように作用する。このため、上記破断線はブランクの厚みの一部を残して切り離され、それによりユーザが当該側面板を上記破断線に沿って他の側面板及び接続片から切り離す際に必要とされる力が緩和される。尚、破断線を設けたことで包装箱の堅牢性が低下するが、上記2つの切り込み線によって解体の容易さが向上した分、破断線の強度を高めることができ(強度を高めても解体の容易さを確保することができ)、包装箱の堅牢性を確保することができる。このように、本発明によれば、堅牢性を備えるとともに解体も容易に行うことができる包装箱を提供することができる。
【0010】
また上記のように、上記側面板が上記破断線に沿って他の側面板及び接続片から切り離されることで、解体後の紙片に弾力を生じさせるような袋状の構造が残留することもない。そのため、本発明の包装箱は解体後の紙片の嵩張りが少なく、廃棄時における保管や運搬等を効率よく行うことができる。
【0011】
また上記のように、上記側面板が上記破断線に沿って他の側面板及び接続片から切り離されることで、フラップの数が多い場合でも解体の容易性が損なわれることがない。このため、本発明は様々な形態の包装箱に広く適用することができる。
【0013】
本発明によれば、ユーザは端面板を摘まんで破断線と切り込み線とが形成された上記側面板を破断線に沿って捲り上げるようにすることで、当該側面板を他の側面板又は接続辺から容易に切り離すことができる。
【0014】
本発明のうちの他の一つは、上記包装箱であって、前記切り込み線は、その端部近傍において当該切り込み線に近接する前記破断線の方向に屈曲し、前記切り込み線の先端は、当該切り込み線が設けられている前記側面板の角隅部に達していることとする。
【0015】
このように切り込み線の先端は、当該切り込み線が設けられている側面板の角隅部に終止するので、端面板と側面板との間の接続部分の強度に影響を与えることがない。またユーザが側面板を上記破断線に沿って他の側面板及び接続片から切り離そうとした際は、上記角隅部を起点として、当該切り込み線が設けられている側面板にスムーズに層間剥離を誘起させることができる。
【0016】
本発明のうちの他の一つは、上記包装箱であって、前記接続片は、前記破断線及び前記切り込み線が形成された前記側面板に隣接して設けられていることとする。
【0017】
本発明のうちの他の一つは、上記包装箱であって、前記破断線は、ミシン目、もしくはつなぎ部分を有する切り込み線であることとする。
【0018】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、堅牢性を備えるとともに解体を容易に行うことができる包装箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態として説明する包装箱10の開封前の状態(封緘(封函)状態)を示す斜視図である。
【
図2】包装箱10の開封後の状態を示す斜視図である。
【
図3】ブランク5を包装箱10の表面側から眺めた図である。
【
図4】ブランク5を包装箱10の裏面側から眺めた図である。
【
図5】包装箱10の組み立てから廃棄までの流れを説明するフローチャートである。
【
図6】包装箱10を解体している様子を示す図である。
【
図7】解体後の包装箱10の紙片700を畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図8】解体後の包装箱10の紙片700を複数重ねた状態を示す図である。
【
図9】従来例の包装箱の紙片900を複数重ねた状態を示す図である。
【
図10】4枚3枚構造の包装箱10のブランク5を包装箱10の表面側から眺めた図である。
【
図11】4枚3枚構造の包装箱10のブランク5を包装箱10の裏面側から眺めた図である。
【
図12】4枚4枚構造の包装箱10のブランク5を包装箱10の表面側から眺めた図である。
【
図13】4枚4枚構造の包装箱10のブランク5を包装箱10の裏面側から眺めた図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態につき図面とともに説明する。尚、以下の説明において、同一の又は近似する構成について同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態として説明する包装箱10の開封前の状態(封緘(封函)状態)を示す斜視図であり、
図2は、包装箱10の開封後の状態を示す斜視図である。これらの図に示すように、包装箱10の全体は略直方体状を呈する。
【0023】
図3は、
図1(又は
図2)に示した包装箱10の形成片(以下、「ブランク5」とも称する。)を、包装箱10の表面側から眺めた図であり、
図4は、ブランク5を、包装箱10の裏面側から眺めた図である。ブランク5は、例えば、厚紙や板紙等のブランクシートを打ち抜くことにより形成される。
図3及び
図4において、破線は山折線を、一点鎖線は谷折線を、点線は破断線(ミシン目、もしくはつなぎ部分を有する切り込み線)等)を、実線(ブランク5の輪郭となる部分を除く)はブランク5の厚みの一部を残して切り込んだ(厚さ方向に所定深さまで切り込んだ)切り込み線(例えば、ハーフカット線)を、夫々示す。尚、後述するように、破断線は、山折線としても機能することがある。
【0024】
図3に示すように、ブランク5は、夫々の長尺辺が互いに平行になるように連接された4つの側面板(第1側面板11、正面板12、第2側面板13、及び背面板14)、上記4つの側面板の連接方向の一端に延設された接続片17(グルーフラップ)、背面板14の上記連接方向に対して直角方向の一方の短尺辺に延設された第1端面板15(天面板)、及び背面板14の上記連接方向に対して直角方向の他方の短尺辺に延設された第2端面板16(底面板)を有する。第1側面板11、正面板12、第2側面板13、背面板14、及び接続片17は、夫々の長尺辺を境界としてこの順に連接され、包装箱10の内容物が収納される角筒状の筒体が形成される。上記筒体の形成に際し、接続片17はその表面側に接着剤(ホットメルト等)を塗布して第1側面板11の裏面側に接着される。
【0025】
正面板12と背面板14は同形状(略長方形状)であり、これらは前述した筒体において対面する一対の側面を構成する。また第1側面板11と第2側面板13は同形状(略長方形状)であり、これらは前述した筒体において対面する一対の側面を構成する。第1端面板15及び第2端面板16は、夫々、4つの側面板で構成される包装箱10の、前述した筒体の対面する2つの端面を塞ぐように機能する。尚、本例では、正面板12(又は背面板14)の面積が、第1側面板11(又は第2側面板13)の面積よりも広くなっているが、これらの面積比は必ずしも同図に示す態様に限られない。また各側面板の長尺辺と短尺辺の関係(いずれの辺を長尺辺又は短尺辺とするか)についても同図に示す態様に限られない。
【0026】
同図に示すように、第1側面板11と正面板12との境界には山折線31が、正面板12と第2側面板13との境界には山折線32が、夫々形成されている。また第2側面板13と背面板14との境界には破断線41が、背面板14と接続片17との境界には破断線42が、夫々形成されている。山折線31、山折線32、破断線41、及び破断線42はいずれも互いに平行である。尚、破断線41及び破断線42は、前述した筒体を立ち上げる際に山折線としても機能する。
【0027】
破断線41の強度は破断線42の強度よりも高く設定されている。これはカートニングマシン(製函機)等を用いて行われる、包装箱10の製造時の折り曲げ工程(ブランク5を前述した筒体の状態に立ち上げる際にブランク5の折曲線(山折線(折曲線として機能する破断線を含む)、谷折線)に折りグセを付ける工程)において、破断線41及び破断線42のつなぎ部分に作用する応力を考慮したものである。即ち、上記工程において、接続片17については背面板14に対して90゜まで折り曲げられるが、背面板14については第2側面板13に対して180゜まで折り曲げられ、上記工程において破断線41が折り曲げられる角度は破断線42に比べて大きく、破断線41の方が破断線42よりも高い強度を要求されるからである。尚、破断線41及び破断線42がいずれもミシン目である場合、上記強度は、例えば、つなぎ部分の全体の長さとそれ以外の部分(切り込まれた部分)の長さとの比を変えることにより調節することができる。上記工程における折り曲げ角(90゜、180゜)は一例であり、折り曲げ角は、包装箱10の生産効率向上等の観点から適切な値に設定される。
【0028】
同図に示すように、第1側面板11の、前述した筒体が形成された状態で第1端面板15が存在する側には、山折線61を介してフラップ111が、また第1側面板11の、前述した筒体が形成された状態で第2端面板16が存在する側には、山折線62を介してフラップ112が、夫々延設されている。また第2側面板13の、前述した筒体が形成された状態で第1端面板15が存在する側には、山折線63を介してフラップ131が、また第2側面板13の、前述した筒体が形成された状態で第2端面板16が存在する側には、山折線64を介してフラップ132が、夫々延設されている。
【0029】
背面板14と第1端面板15との境界には、山折線35が形成されている。また第1端面板15の、背面板14が連接する側と対向する側には、山折線36を介してタック151が延設されている。背面板14と第2端面板16との境界には、山折線37が形成されている。第2端面板16の、背面板14が連接する側と対向する側には、山折線38を介してタック161が延設されている。
【0030】
図4に示すように、背面板14の裏面側には、ブランク5の厚みの一部を残して切り込んだ2つの切り込み線(切り込み線51及び切り込み線52)が形成されている。
【0031】
このうち切り込み線51は、破断線41に隣接して当該破断線41に沿って平行に(その両端部近傍を除く)形成されている。切り込み線51は、包装箱10の強度の低下を防ぐため、その両端部近傍を除き破断線41から所定距離離間させて設けている。同図に示すように、切り込み線51は、その両端部近傍において約45゜の角度で背面板14の長尺辺の方向(破断線41の方向)に屈曲しており、その先端はいずれも背面板14の角隅部に達している。
【0032】
また切り込み線52は、破断線42に隣接して当該破断線42に沿って平行に(その両端部近傍を除く)形成されている。切り込み線52は、包装箱10の強度の低下を防ぐため、その両端部近傍を除き破断線42から所定距離離間させて設けている。同図に示すように、切り込み線52は、その両端部近傍において約45゜の角度で背面板14の長尺辺の方向(破断線42の方向)に屈曲しており、その先端はいずれも背面板14の角隅部に達している。
【0033】
<包装箱の製造から廃棄までの流れ>
続いて、
図5に示すフローチャートとともに、包装箱10の製造から廃棄(組み立て→箱詰め→封緘(封函)→開封→再封→解体→廃棄)までの流れについて説明する。
【0034】
包装箱10の組み立てに際しては、まずカートニングマシン(製函機)等を用い、ブランク5の4つの側面板(第1側面板11、正面板12、第2側面板13、及び背面板14)と接続片17を、山折線31、山折線32、山折線33、破断線41、及び破断線42に沿って折り曲げる(本工程は前述した折り曲げ工程に相当する。)(S511)。
【0035】
続いて、接続片17の表面に接着剤(ホットメルト等)を塗布し
、接続片17の表面を第1側面板11の裏面に接着する(S512)。尚、例えば、包装箱10の製造業者は、輸送(運送)効率のよいこの状態で包装箱10を内容物の製造業者に引き渡す。
【0036】
続いて、カートニングマシン(製函機)等を用いてブランク5を立体的に立ち上げることにより、前述した筒体を形成する(S513)。
【0037】
続いて、筒体に包装箱10の内容物を箱詰めし(S514)、包装箱10を封緘(封函)する(S515)。
【0038】
その後、包装箱10は、流通経路等を経てユーザの手にわたる。ユーザは、包装箱10に開封作業を行って内容物を取り出す(S516)。包装箱10は、残りの内容物の保管等のために再封される場合もある(S517)。使用後、包装箱10は解体され(S518)廃棄される(S519)。
【0039】
<解体手順>
続いて、包装箱10の解体手順について具体的に説明する。
【0040】
包装箱10の解体に際しては、まず
図6に示すように、ユーザは第1端面板15を指で摘まんで背面板14を捲り上げ、背面板14を包装箱10から引き剥がすようにする。これにより背面板14が、第1側面板11、第2側面板13、及び接続片17から切り離される。尚、前述したように、2つの切り込み線(切り込み線51及び切り込み線52)は、いずれもブランク5の厚みの一部を残して切り込まれており、上記2つの切り込み線は、ユーザが背面板14を捲り上げた際、当該背面板14に層間剥離を誘起させるように作用する。具体的には、上記捲り上げによって、背面板14の、破断線41と切り込み線51とで囲まれた台形領域611、及び破断線42と切り込み線52とで囲まれた台形領域612に、夫々層間剥離が生じる。これにより破断線41及び破断線42は、ブランク5の厚みの一部を残して切り離され、それによりユーザが背面板14を、第1側面板11、第2側面板13、及び接続片17から切り離す際に必要とされる力が緩和され、ユーザは手を痛めることなく容易に包装箱10を解体することができる。
【0041】
尚、破断線41及び破断線42を設けたことにより包装箱10の堅牢性は低下するが、上記2つの切り込み線(切り込み線51及び切り込み線52)を設けたことにより包装箱10の解体の容易さが向上した分、破断線41及び破断線42の強度を高めることができ(強度を高めても解体の容易さを確保することができ)、包装箱10の堅牢性を確保することができる。
【0042】
前述したように、切り込み線51は、その両端部近傍において約45゜の角度で背面板14の長尺辺の方向(破断線41の方向)に折れ曲がり、その先端はいずれも背面板14の角隅部に達している。また切り込み線52は、その両端部近傍において約45゜の角度で背面板14の長尺辺の方向(破断線42の方向)に折れ曲がり、その先端はいずれも背面板14の角隅部に達している。切り込み線51及び切り込み線52の両端部をこのような形態としていることで、包装箱10に要求される、端面板(第1端面板15又は第2端面板16)と背面板14との間の接続(連結)強度を確保することができる。また切り込み線51及び切り込み線52の両端部をこのような形態としていることで、包装箱10の解体に際してユーザが背面板14を捲り上げた際、背面板14に前述した層間剥離をスムーズに誘起させることができる。
【0043】
図7に、解体後の包装箱10(以下、紙片700とも称する。)を畳んだ状態を示している。このように解体後の包装箱10は、ほぼ扁平な状態に畳むことができる。尚、上記のように、背面板14が、上記破断線41及び破断線42において、第1側面板11、第2側面板13、及び接続片17から切り離されることで、例えば、解体後の包装箱10の紙片700には嵩張りを生じさせるような袋状の構造が残留することもない。
【0044】
図8に、解体後の包装箱10の紙片700を複数重ねた状態を、
図9に、解体後の紙片に袋状の構造が残留する従来例の包装箱の紙片900を複数重ねた状態を示す。これらの図に示すように、本実施形態の包装箱10は、紙片700を複数重ねた場合に従来例に比べて高さ方向の嵩張りが少なく、従来例に比べて解体後の紙片700の保管効率(廃棄物管理スペースの収納効率等)や紙片700の運搬効率(廃棄場所への運搬効率等)に優れる。
【0045】
ところで、以上に説明した包装箱10は、前述した筒体の端面の夫々に3つのフラップを有する構造(以下、3枚3枚構造と称する。)であった。即ち、以上に説明した包装箱10は、前述した筒体の第1端面板15が存在する側の端面に、フラップ111、フラップ131、及び第1端面板15(ここでは端面板もフラップとして捉える。以下の説明において同様。)の3つのフラップを、前述した筒体の第2端面板16が存在する側の端面に、フラップ112、フラップ132、及び第2端面板16の3つのフラップを有する構造であった。
【0046】
しかし前述したように、本実施形態の包装箱10は、解体に際し、背面板14が、上記破断線41及び破断線42に沿って第1側面板11、第2側面板13、及び接続片17から確実に切り離されるため、解体の容易さは包装箱10に設けられているフラップの数には影響されない。従って、例えば、同様の構造を、前述した筒体の2つの端面のうち、一方の端面に4つのフラップを、他方の端面に3つのフラップを、夫々有する包装箱(以下、4枚3枚構造と称する。)や、前述した筒体の端面の夫々に4つのフラップを有する包装箱(以下、4枚4枚構造と称する。)に適用した場合も、前述した3枚3枚構造の包装箱10の場合と同様の効果を享受することができる。
【0047】
図10及び
図11に、4枚3枚構造の包装箱10の一例を示す。
図10は、包装箱10のブランク5を包装箱10の表面側から眺めた図であり、
図11は、包装箱10のブランク5を包装箱10の裏面側から眺めた図である。これらの図に示すように、この包装箱10は、一方の端面に4つのフラップ(フラップ111、フラップ121、フラップ131、及び第1端子板15)を、他方の端面に3つのフラップ(フラップ112、フラップ132、及び第2端子板16)を、夫々有する。
【0048】
図12及び
図13に4枚4枚構造の包装箱10の一例を示す。
図12は、包装箱10のブランク5を包装箱10の表面側から眺めた図であり、
図13は、包装箱10のブランク5を包装箱10の裏面側から眺めた図である。これらの図に示すように、この包装箱10は、一方の端面に4つのフラップ(フラップ111、フラップ121、フラップ131、及び第1端子板15)を、他方の端面に4つのフラップ(フラップ112、フラップ122、フラップ132、及び第2端子板16)を、夫々有する。
【0049】
尚、以上の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。例えば、本実施形態では背面板14の2つの辺に破断線41,42及び切り込み線51,52を形成しているが、破断線及び切り込み線は、他の側面板(第1側面板11、正面板12、及び第2側面板13のうちの少なくともいずれか)に形成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
5 ブランク、10 包装箱、11 第1側面板、111,112 フラップ、12 正面板、13 第2側面板、131,132 フラップ、14 背面板、15 第1端面板、151 タック、16 第2端面板、161 タック、17 接続片、31,32 山折線、35〜38 山折線、41,42 破断線、51,52 切り込み線、61〜64 山折線