特許第6757585号(P6757585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757585
(24)【登録日】2020年9月2日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20200910BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20200910BHJP
   G08G 1/0962 20060101ALI20200910BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20200910BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   G08G1/09 F
   G08G1/09 H
   G08G1/0962
   G01C21/26 A
   B60R21/00 991
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-71105(P2016-71105)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-182586(P2017-182586A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100123696
【弁理士】
【氏名又は名称】稲田 弘明
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 広隆
(72)【発明者】
【氏名】関 淳也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一文
(72)【発明者】
【氏名】長田 勇輝
【審査官】 藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−044994(JP,A)
【文献】 特開2003−044983(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/097403(WO,A1)
【文献】 特開2006−260276(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/098554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 〜 1/16
G01C 21/26 〜 21/36
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周囲の環境を認識する環境認識手段と、
前記環境認識手段の認識結果に基づいて自車両周囲を走行する他車両の分布に関する情報を含む画像を生成する画像生成手段と、
前記画像を表示する画像表示手段と
を備える表示装置であって、
前記画像生成手段は、前記環境認識手段が相対速度が所定値以下でありかつ同一車線内を相互に隣接して走行する複数の他車両を検出した場合に、前記複数の他車両がグルーピングされていることを示すグルーピング表示を生成するとともに、隣接する車線にそれぞれ生成された複数のグルーピング表示にそれぞれ含まれる車両の相対速度が所定値以下である場合に、前記複数のグルーピング表示を連結し、
前記複数のグルーピング表示を連結した表示は、前端部と後端部の位置を車線毎に異ならせて表示すること
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記グルーピング表示が生成された範囲においては、前記複数の他車両を個別に示す表示を非表示とすること
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記グルーピング表示は、前記複数の他車両が走行する車線幅全体にわたって表示されること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画像表示手段は、前記グルーピング表示の表示を開始する際に、前記グルーピング表示の表示態様を所定の時間にわたって徐変させること
を特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
自車両が走行中の道路の前方に他の道路との合流箇所、分岐箇所、交差箇所の少なくとも1つが存在する場合、前記複数のグルーピング表示の連結を解除すること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に設けられ、自車両周辺の環境を画像表示する表示装置に関し、特に周囲に複数の車両が走行している際のユーザの監視負担を軽減したものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、自車両前方の状況を、各種の周辺認識手段によって認識し、車線形状や障害物等に関する情報を画像表示する表示装置が各種提案されている。
このような表示装置を用いると、乗員自らが目視により得られる情報以上の情報を得ることができ、乗員が運転者として運転する場合の運転支援としても、また、自動運転を行う車両において、乗員が自動運転制御の妥当性を監視するためにも有用である。
【0003】
車両周囲の状況の認識処理等に関する従来技術として、例えば特許文献1には、自車両前方において、同じ相対速度を有する計測点どうしをグルーピングして先行車両と判定することが記載されている。
特許文献2には、先行車両と自車両との間に進入してくる割り込み車両を検出する装置において、位置検出手段により他車両における自車両に面した部分に対応する部分にプロットされた点群を、サブグループとして分類し処理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−182137号公報
【特許文献2】特開2008−117073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、自車両が同一方向に向かう複数の車線を有する道路を走行する際に、自車両の周囲に多数の他車両が併走する場合、自車両周囲の環境を表示する画像上において、ユーザが全ての車両を個別に監視することは、監視負担が大きくなってしまう。
自動運転、手動運転を問わず、ユーザは周辺状況を監視する必要があるが、周囲の車両のあらゆる事象を常に関することは、監視負担の増大を招き、ユーザの負荷軽減という表示装置の効果を減殺することになる。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、周囲に複数の車両が走行している際のユーザの監視負担を軽減した表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、自車両周囲の環境を認識する環境認識手段と、前記環境認識手段の認識結果に基づいて自車両周囲を走行する他車両の分布に関する情報を含む画像を生成する画像生成手段と、前記画像を表示する画像表示手段とを備える表示装置であって、前記画像生成手段は、前記環境認識手段が相対速度が所定値以下でありかつ同一車線内を相互に隣接して走行する複数の他車両を検出した場合に、前記複数の他車両がグルーピングされていることを示すグルーピング表示を生成するとともに、隣接する車線にそれぞれ生成された複数のグルーピング表示にそれぞれ含まれる車両の相対速度が所定値以下である場合に、前記複数のグルーピング表示を連結し、前記複数のグルーピング表示を連結した表示は、前端部と後端部の位置を車線毎に異ならせて表示することを特徴とする表示装置である。
これによれば、ほぼ等速で同一方向に向かい近接して走行する複数の車両を、ユーザに伝達すべき情報が少なく変化点が少ない領域とみなし、一つの車両群としてグルーピングして表示することによって、自車両周辺のどのエリアが他車両に占有されているか直感的に把握することができ、複数の車両を個別に認識し監視する場合に対して、監視負担を軽減することができる。
また、複数の車線にまたがってグルーピングを行うことにより、監視が必要なグループの数を低減し、ユーザの監視負担をさらに軽減することができる。
【0007】
また、同一車線内を走行する複数の車両に対してグルーピング表示を生成することにより、車線単位で占有されているエリアを直感的に把握することが可能となり、自車両の車線変更の可否などを容易かつ適切に判断することができる。
【0009】
請求項に係る発明は、前記グルーピング表示が生成された範囲においては、前記複数の他車両を個別に示す表示を非表示とすることを特徴とする請求項1に記載の表示装置である。
これによれば、グルーピングされた車両群の内部においては、個々の車両に着目させないことによって、ユーザが認識すべき情報量を抑制し、監視負担を軽減することができる。
【0010】
請求項に係る発明は、前記グルーピング表示は、前記複数の他車両が走行する車線幅全体にわたって表示されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置である。
これによれば、グルーピングされた車両群が存在する車線への進入が危険であることをユーザに直感的に把握させることができる。
【0011】
請求項に係る発明は、前記画像表示手段は、前記グルーピング表示の表示を開始する際に、前記グルーピング表示の表示態様を所定の時間にわたって徐変させることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の表示装置である。
これによれば、表示が変化していることをユーザが視覚的に認識しやすくなり、周囲の車両がグルーピングされたことを直感的に理解することができる。
【0013】
請求項に係る発明は、自車両が走行中の道路の前方に他の道路との合流箇所、分岐箇所、交差箇所の少なくとも1つが存在する場合、前記複数のグルーピング表示の連結を解除することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の表示装置である。
これによれば、各車線の車速や交通量が変化しやすい箇所では、グルーピング表示の連結を解除することによって、各車線の交通の流れを容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、周囲に複数の車両が走行している際のユーザの監視負担を軽減した表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を適用した表示装置の参考例1が設けられる車両の構成を模式的に示すブロック図である。
図2参考例1の車両において車両周囲を認識するセンサ類の配置を示す模式図である。
図3参考例1の表示装置の動作を示すフローチャートである。
図4参考例1の表示装置における画像表示の一例を示す図である。
図5】本発明を適用した表示装置の参考例2における画像表示の一例を示す図である。
図6】本発明を適用した表示装置の参考例3における画像表示の一例を示す図である。
図7】本発明を適用した表示装置の参考例4における画像表示の一例を示す図である。
図8】本発明を適用した表示装置の参考例5における画像表示の一例を示す図である。
図9】本発明を適用した表示装置の実施例の動作を示すフローチャートである。
図10実施例の表示装置における画像表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、周囲に複数の車両が走行している際のユーザの監視負担を軽減した表示装置を提供する課題を、実質的に等速で併走する隣接する複数の他車両を包囲するグルーピング表示を行うことによって解決した。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明を適用した表示装置の参考例1について説明する。
図1は、本発明を適用した表示装置の参考例1が設けられる車両の構成を模式的に示すブロック図である。
実施例の表示装置1は、例えば、自動運転機能を有する乗用車等の自動車である車両1に設けられ、ユーザ(例えば手動運転時のドライバ)等のユーザ等に対して、自車両周辺のリスクに関する情報等を画像表示するものである。
ユーザは、表示装置が提示する情報に基づいて、自車両前方の車線形状や障害物を監視するとともに、自動運転制御の実行時においては、自動運転制御の妥当性を検証することができる。
【0018】
図1に示すように、車両1は、エンジン制御ユニット10、トランスミッション制御ユニット20、挙動制御ユニット30、電動パワーステアリング(EPS)制御ユニット40、自動運転制御ユニット50、環境認識ユニット60、ステレオカメラ制御ユニット70、レーザスキャナ制御ユニット80、後側方レーダ制御ユニット90、ナビゲーション装置100、路車間通信装置110、車車間通信装置120、画像生成ユニット200、ディスプレイ210等を備えている。
上述した各ユニットは、例えば、CPU等の情報処理手段、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス、及び、これらを接続するバス等を有するユニットとして構成される。これらの各ユニットは、例えばCAN通信システム等の車載LANシステムを介して相互に通信が可能となっている。
【0019】
エンジン制御ユニット10は、車両1の走行用動力源であるエンジン及びその補機類を統括的に制御するものである。
エンジンとして、例えば、4ストロークガソリンエンジンが用いられる。
エンジン制御ユニット(ECU)10は、エンジンのスロットルバルブ開度、燃料噴射量及び噴射時期、点火時期等を制御することによって、エンジンの出力トルクを制御することが可能である。
車両1がドライバの運転操作に応じて運転される状態においては、エンジン制御ユニット10は、アクセルペダルの操作量等に基いて設定されるドライバ要求トルクに、エンジンの実際のトルクが近づくようエンジンの出力を制御する。
また、車両1が自動運転を行う場合には、エンジン制御ユニット10は、自動運転制御ユニット50からの指令に応じてエンジンの出力を制御する。
【0020】
トランスミッション制御ユニット(TCU)20は、エンジンの回転出力を変速するとともに、車両の前進、後退を切り替える図示しない変速機及び補機類を統括的に制御するものである。
車両1が自動運転を行う場合には、トランスミッション制御ユニット20は、自動運転制御ユニット50からの指令に応じて、前後進等のレンジ切替や変速比の設定を行う。
変速機として、例えば、チェーン式、ベルト式、トロイダル式等のCVTや、複数のプラネタリギヤセットを有するステップAT、DCT、AMT等の各種自動変速機を用いることができる。
変速機は、バリエータ等の変速機構部のほか、例えばトルクコンバータ、乾式クラッチ、湿式クラッチ等の発進デバイスや、前進走行レンジと後退走行レンジとを切替える前後進切替機構等を有して構成されている。
【0021】
トランスミッション制御ユニット20には、前後進切替アクチュエータ21、レンジ検出センサ22等が接続されている。
前後進切替アクチュエータ21は、前後進切替機構に油圧を供給する油路を切り替える前後進切替バルブを駆動し、車両の前後進を切替えるものである。
前後進切替アクチュエータ21は、例えば、ソレノイド等の電動アクチュエータである。
レンジ検出センサ22は、変速機において現在選択されているレンジが前進用のものであるか、後退用のものであるかを判別するセンサ(スイッチ)である。
【0022】
挙動制御ユニット30は、左右前後輪にそれぞれ設けられた液圧式サービスブレーキのホイルシリンダ液圧を個別に制御することによって、アンダーステアやオーバステア等の車両挙動を抑制する挙動制御や、制動時のホイルロックを回復させるアンチロックブレーキ制御を行うものである。
挙動制御ユニット30には、ハイドロリックコントロールユニット(HCU)31、車速センサ32等が接続されている。
【0023】
HCU31は、液圧式サービスブレーキの作動流体であるブレーキフルードを加圧する電動ポンプ、及び、各車輪のホイルシリンダに供給される液圧を個別に調節するバルブ等を有する。
車両1が自動運転を行う場合には、HCU31は、自動運転制御ユニット50からの制動指令に応じて、各車輪のホイルシリンダに制動力を発生させる。
車速センサ32は、各車輪のハブ部に設けられ、車輪の回転速度に比例する周波数の車速パルス信号を発生するものである。
車速パルス信号の周波数を検出し、所定の演算処理を施すことによって、車両の走行速度(車速)を算出することが可能である。
【0024】
電動パワーステアリング(EPS)制御ユニット40は、ドライバによる操舵操作を電動モータによってアシストする電動パワーステアリング装置、及び、その補機類を統括的に制御するものである。
EPS制御ユニット40には、モータ41、舵角センサ42等が接続されている。
【0025】
モータ41は、車両の操舵系にアシスト力を付与してドライバによる操舵操作をアシストし、あるいは、自動運転時に舵角を変更する電動アクチュエータである。
車両1が自動運転を行う場合には、モータ41は、自動運転制御ユニット50からの操舵指令に応じて、操舵系の舵角が所定の目標舵角に近づくように操舵系にトルクを付与して転舵を行わせる。
舵角センサ42は、車両の操舵系における現在の舵角を検出するものである。
舵角センサ42は、例えば、ステアリングシャフトの角度位置を検出する位置エンコーダを備えている。
【0026】
自動運転制御ユニット50は、自動運転モードが選択されている場合に、上述したエンジン制御ユニット10、トランスミッション制御ユニット20、挙動制御ユニット30、EPS制御ユニット40等に制御指令を出力し、車両を自動的に走行させる自動運転制御を実行するものである。
【0027】
自動運転制御ユニット50は、自動運転モードが選択された時に、環境認識ユニット60から提供される自車両周辺の状況に関する情報、及び、図示しないドライバからの指令等に応じて、自車両が進行すべき目標走行軌跡を設定し、車両の加速(発進)、減速(停止)、前後進切替、転舵などを自動的に行い、予め設定された目的地まで車両を自動的に走行させる自動運転を実行する。
また、自動運転モードは、ユーザが手動運転を希望する場合、あるいは、自動運転の続行が困難である場合等に、ユーザからの所定の解除操作に応じて中止され、ドライバによる手動運転を行う手動運転モードへの復帰が可能となっている。
【0028】
自動運転制御ユニット50には、入出力装置51が接続されている。
入出力装置51は、自動運転制御ユニット50からユーザへの警報や各種メッセージ等の情報を出力するとともに、ユーザからの各種操作の入力を受け付けるものである。
入出力装置51は、例えば、LCD等の画像表示装置、スピーカ等の音声出力装置、タッチパネル等の操作入力装置等を有して構成されている。
【0029】
環境認識ユニット60は、自車両周囲の情報を認識するものである。
環境認識ユニット60は、ステレオカメラ制御ユニット70、レーザスキャナ制御ユニット80、後側方レーダ制御ユニット90、ナビゲーション装置100、路車間通信装置110、車車間通信装置120等からそれぞれ提供される情報に基づいて、自車両周辺の駐車車両、走行車両、建築物、地形、歩行者、サイクリスト等の障害物や、自車両が走行する道路の車線形状等を認識するものである。
環境認識ユニット60は、これらの各装置、センサ、ユニット等と協働して本発明にいう環境認識手段として機能する。
【0030】
ステレオカメラ制御ユニット70は、車両の周囲に複数組設けられるステレオカメラ71を制御するとともに、ステレオカメラ71から伝達される画像を画像処理するものである。
個々のステレオカメラ71は、例えば、レンズ等の撮像用光学系、CMOS等の固体撮像素子、駆動回路、及び、信号処理装置等からなるカメラユニットを、並列に例えば一対配列して構成されている。
ステレオカメラ制御ユニット70は、公知のステレオ画像処理技術を利用した画像処理結果に基づいて、ステレオカメラ71によって撮像された被写体の形状及び自車両に対する相対位置を認識する。
ステレオカメラ制御ユニット70は、例えば、自車両前方の車線両端部の白線を検出し、車線形状を認識することが可能である。
レーザスキャナ制御ユニット80は、レーザスキャナ81を制御するとともに、レーザスキャナ81の出力に基づいて車両周囲の車両や障害物等の各種物体を3D点群データとして認識するものである。
【0031】
後側方レーダ制御ユニット90は、車両の左右側部にそれぞれ設けられる後側方レーダ91を制御するとともに、後側方レーダ91の出力に基づいて自車両後側方に存在する物体を検出するものである。
後側方レーダ91は、例えば、自車両の後側方から接近する他車両を検知可能となっている。
後側方レーダ91として、例えば、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のレーダが用いられる。
【0032】
図2は、参考例1の車両において車両周囲を認識するセンサ類の配置を示す模式図であ
る。
ステレオカメラ71は、車両1の前部、後部、左右側部にそれぞれ設けられている。
レーザスキャナ81は、車両1の周囲に実質的に死角が生じないよう分布して複数設けられている
後側方レーダ91は、例えば、車両1の車体左右側部に配置され、検知範囲を車両後方側かつ車幅方向外側に向けて配置されている。
【0033】
ナビゲーション装置100は、例えばGPS受信機等の自車両位置測位手段、予め準備された地図データを蓄積したデータ蓄積手段、自車両の前後方向の方位を検出するジャイロセンサ等を有する。
地図データは、道路、交差点、インターチェンジ等の道路情報を車線レベルで有する。
道路情報は、3次元の車線形状データのほか、各車線(レーン)の右左折可否や、一時停止位置、制限速度等の走行上の制約となる情報も含む。
ナビゲーション装置100は、インストルメントパネルに組み込まれたディスプレイ101を有する。
ディスプレイ101は、ナビゲーション装置100がドライバに対して出力する各種情報が表示される画像表示装置である。
ディスプレイ101は、タッチパネルを有して構成され、ドライバからの各種操作入力が行われる入力部としても機能する。
【0034】
路車間通信装置110は、所定の規格に準拠する通信システムによって、図示しない地上局と通信し、渋滞情報、交通信号機点灯状態、道路工事、事故現場、車線規制、天候、路面状況などに関する情報を取得するものである。
【0035】
車車間通信装置120は、所定の規格に準拠する通信システムによって、図示しない他車両と通信し、他車両の位置、方位角、加速度、速度等の車両状態に関する情報や、車種、車両サイズ等の車両属性に関する情報を取得するものである。
【0036】
画像生成ユニット200は、環境認識ユニット60から伝達される環境認識結果に基づいて、ディスプレイ210により表示される自車両周辺の環境に関する情報を含む画像(環境画像)を生成する画像生成手段である。
【0037】
ディスプレイ210は、車両の乗員と対向して配置された画像表示手段である。
ディスプレイ210は、例えば、インストルメントパネル等の内装部材に組み込まれたLCDを有する。
【0038】
次に、参考例1の表示装置における画像表示時の動作、及び、画面表示の例について説明する。
図3は、参考例1の表示装置の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
【0039】
<ステップS01:車線形状認識>
環境認識ユニット60は、自車両周囲の道路における自車両走行車線、及び、これと隣接する車線について、車線形状を認識する。
車線形状の認識は、例えば、ステレオカメラ71の撮像画像を利用したステレオ画像処理によって、各車線の両端に沿って設けられた白線の位置、形状を検出することによって行われる。
その後ステップS02に進む。
【0040】
<ステップS02:他車両相対位置・相対速度検出>
環境認識ユニット60は、自車両の周囲を走行する他車両を認識するとともに、認識された他車両のそれぞれについて、自車両に対する相対位置及び相対速度をそれぞれ検出する。
その後、ステップS03に進む。
【0041】
<ステップS03:車線形状・他車両分布画像生成>
画像生成ユニット200は、環境認識ユニット60から提供される情報(認識結果)に基づいて、自車両周囲の環境を示す画像(環境画像)を生成する。
画像には、自車両周囲の各車線の車線形状、及び、それぞれの車線上における他車両の分布に関する情報等を含む。
その後、ステップS04に進む。
【0042】
<ステップS04:グルーピング可否判断>
環境認識ユニット60は、ステップS02において検出された複数の他車両のうち、他車両相互間における相対速度が実質的に同じ(所定の閾値以下)であり、かつ、他車両相互間における相対距離が近く(所定の閾値以下)、さらに同一の車線を隣接して走行しているものがないか判別する。
ここで他車両相互間の相対速度、相対距離は、環境認識ユニット60が認識した各他車両の自車両に対する相対速度、相対距離から算出可能である。
ここで、グルーピング可能な車両群は、3台以上の車両である場合もあり得る。
このような複数の車両が存在する場合は、グルーピング可能な車両群として抽出し、ステップS05に進み、その他の場合はステップS06に進む。
【0043】
<ステップS05:グルーピング表示生成>
画像生成ユニット200は、ステップS04においてグルーピング可能な車両群として抽出された複数の他車両を包囲することによって、これらがグループ化されていることを示すグルーピング表示を生成する。
グルーピング表示は、ステップS03において生成された画像に重畳して表示される。
その後、ステップS06に進む。
【0044】
<ステップS06:画像表示出力>
画像生成ユニット200は、生成された画像データを出力し、ディスプレイ210によって表示させ、ユーザに提示させる。
その後、一連の処理を終了(リターン)させる。
【0045】
以下、参考例1の表示装置における画像表示について説明する。
図4は、参考例1の表示装置における画像表示の一例を示す図である。
図4において、ディスプレイ210に表示される表示画像211は、片側3車線を有する例えば高速道路等の高規格自動車専用道路を走行中の状態を示している。
自車両1が走行中の道路は、例えば、右側から順に、追越車線LP、第1走行車線L1、第2走行車線L2を有する直線路である。
各車線の間には、車線端に沿って延在する白線が設けられている。
自車両1は、第1走行車線L1を走行している。
【0046】
図4に示す例においては、追越車線LPには、前方側から順に、他車両V1、V2、V3が走行している。
第1走行車線L1における自車両1の前方には、前方側から順に、他車両V4、V5が走行している。
第2走行車線L2には、前方側から順に、他車両V6、V7が走行している。
ここで、他車両V1,V2,V3は、ステップS05においてグルーピング可能な車両群として抽出され、同一グループであることを示すグルーピング表示G1によって包囲されている。
同様に、他車両V4,V5も、ステップS05においてグルーピング可能な車両群として抽出され、同一グループであることを示すグルーピング表示G2によって包囲されている。
グルーピング表示G1,G2は、例えば、環状のラインによって同一グループ内の他車両を包囲するようにして表示される。
このとき、グルーピング表示の内部における色、輝度等の表示態様を、外部と異ならせるようにしてもよい。
【0047】
なお、このようなグルーピング表示の表示を開始する際は、表示態様が所定の時間にわたって徐変するようにする。
例えば、最初は低輝度で表示され、その後所定の時間をかけて最終的な表示輝度まで輝度を徐変するようにしてもよい。
また、表示色や形状が除変するようにしてもよい。
【0048】
以上説明した参考例1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ほぼ等速で同一方向に近接して走行する複数の他車両V1乃至V3、V4乃至V5を、ユーザに伝達すべき情報が少なく変化点が少ない領域とみなし、それぞれ一つの車両群としてグルーピングし、グルーピング表示G1、G2を表示することによって、自車両1の周辺のどのエリアが他車両に占有されているか直感的に把握することができ、複数の車両を個別に認識し監視する場合に対して監視負担を軽減することができる。
(2)他車両のグルーピングを車線毎に行うことによって、車線単位で占有されているエリアを直感的に把握することが可能となり、自車両の車線変更の可否などを容易かつ適切に判断することができる。
(3)グルーピング表示の開始時に、グルーピング表示の表示態様を所定の時間にわたって除変させることによって、表示が変化していることをユーザが視覚的に認識しやすくなり、周囲の車両がグルーピングされたことを直感的に理解することができる。
【実施例2】
【0049】
次に、本発明を適用した表示装置の参考例2について説明する。
以下説明する各実施例において、従前の実施例と実質的に共通する箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
参考例2の表示装置は、自車両と、同一車線を走行する他車両との相対速度、相対距離がそれぞれ所定値以下である場合には、自車両もグルーピング表示の対象とする点で参考例1と相違する。
図5は、本発明を適用した表示装置の参考例2における画像表示の一例を示す図である。
図5に示す例においては、グループ表示G3の内部に、自車両1が包含されている。
以上説明した参考例2によれば、上述した参考例1の効果と実質的に同様の効果に加えて、自車両を含む車両群を一体のグループとして認識させることによって、ユーザの監視負担をより軽減することができる。
【実施例3】
【0050】
次に、本発明を適用した表示装置の参考例3について説明する。
参考例3の表示装置は、グルーピング表示の内部においては、個々の車両を非表示とする点で参考例1と相違する。
図6は、参考例3の表示装置における画像表示の一例を示す図である。
図6において、他車両V1乃至V5は、実際には非表示とされるが、理解を容易にするために破線で図示している。(図8において同様)
以上説明した参考例3によれば、上述した参考例1の効果と実質的に同様の効果に加えて、グルーピングされた車両群の内部においては、個々の車両に着目させないことによって、ユーザが認識すべき情報量を抑制し、監視負担を軽減することができる。
【実施例4】
【0051】
次に、本発明を適用した表示装置の参考例4について説明する。
図7は、参考例4の表示装置における画像表示の一例を示す図である。
参考例4の表示装置においては、参考例1のグルーピング表示G1,G2に代えて、グルーピング表示G4,G5を表示する。
グルーピング表示G4,G5は、他車両V1乃至V3、他車両V4,V5をそれぞれ連結するバー状となっている。
以上説明した参考例4においても、上述した参考例1の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
【実施例5】
【0052】
次に、本発明を適用した表示装置の参考例5について説明する。
図7は、参考例5の表示装置における画像表示の一例を示す図である。
参考例5の表示装置においては、参考例1のグルーピング表示G1,G2に代えて、グルーピング表示G6,G7を表示するものである。
グルーピング表示G6,G7は、他車両V1乃至V3、他車両V4,V5が存在する領域において、追越車線LP、第1走行車線L1の車線幅全体を、例えば所定の色で塗りつぶす等特定の表示態様によって表示している。
以上説明した参考例5によれば、上述した参考例1の効果と実質的に同様の効果に加えて、グルーピングされた車両群が存在する車線への進入が危険であることを、ユーザに直感的に把握させることができる。
【実施例6】
【0053】
次に、本発明を適用した表示装置の実施例について説明する。
実施例の表示装置は、隣接する車線にそれぞれ設けられたグルーピング表示を、所定の条件を充足した場合に連結して表示する点で参考例1と相違する。
すなわち、実施例においては、複数の車線にまたがったグルーピング表示が生成され得ることになる。
図9は、実施例の表示装置の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
【0054】
<ステップS11:車線形状認識>
環境認識ユニット60は、自車両周囲の道路における自車両走行車線、及び、これと隣接する車線について、車線形状を認識する。
その後ステップS12に進む。
【0055】
<ステップS12:他車両相対位置・相対速度検出>
環境認識ユニット60は、自車両の周囲を走行する他車両を認識するとともに、認識された各他車両について、自車両に対する相対位置及び相対速度をそれぞれ検出する。
その後、ステップS13に進む。
【0056】
<ステップS13:車線形状・他車両分布画像生成>
画像生成ユニット200は、環境認識ユニット60から提供される情報(認識結果)に基づいて、自車両周囲の環境を示す画像(環境画像)を生成する。
その後、ステップS14に進む。
【0057】
<ステップS14:グルーピング可否判断>
環境認識ユニット60は、ステップS02において検出された複数の他車両のうち、他車両相互間における相対速度が実質的に同じ(所定の閾値以下)であり、かつ、他車両相互間における相対距離が近く(所定の閾値以下)、同一の車線を隣接して走行しているものがないか判別する。
このような複数の車両が存在する場合は、グルーピング可能な車両群として抽出し、ステップS15に進み、その他の場合はステップS16に進む。
【0058】
<ステップS15:グルーピング表示生成>
画像生成ユニット200は、ステップS14においてグルーピング可能な車両群として抽出された複数の他車両を包囲することによって、これらがグループ化されていることを示すグルーピング表示を生成する。
グルーピング表示は、ステップS13において生成された画像に重畳して表示される。
その後、ステップS16に進む。
【0059】
<ステップS16:前方道路状況判断>
環境認識ユニット60は、例えばナビゲーション装置100等からの情報に基づいて、自車両前方における所定以内の距離に、自車両が走行する道路と他の道路とが合流、分岐、交差するジャンクション、インターチェンジ、交差点などがないか判別する。
このようなジャンクション等がある場合はステップS19に進み、その他の場合はステップS17に進む。
【0060】
<ステップS17:グループ連結可否判断>
画像生成ユニット200は、ステップS15において複数のグルーピング表示が生成されている場合、相対速度が所定値以下(実質的に等速)でありかつ隣接車線に近接して(例えば各グループの進行方向に沿った位置がラップしている場合等)配置されたグルーピング表示の有無を判別する。
このようなグルーピング表示が存在する場合、連結が可能であるとしてステップS18に進み、その他の場合はステップS19に進む。
【0061】
<ステップS18:グルーピング表示連結>
画像生成ユニット200は、ステップS17において連結可能と判定されたグルーピング表示を、車線をまたいで一体に連結した表示とする。
その後、ステップS19に進む。
【0062】
<ステップS19:画像表示出力>
画像生成ユニット200は、生成された画像データを出力し、ディスプレイ210によって表示させ、ユーザに提示させる。
その後、一連の処理を終了(リターン)させる。
【0063】
10は、実施例の表示装置における画像表示の一例を示す図である。
10に示す例においては、周囲の車両の走行状況は図4と同様であるが、参考例1におけるグルーピング表示G1に含まれる車両群(他車両V1乃至V3)の平均速度と、グルーピング表示G2に含まれる車両群(他車両V4、V5)の平均速度との相対速度が所定値以下であり、かつ、グルーピング表示G1、G2の相対距離が所定値以下となっている。
画像生成ユニット200は、参考例1におけるグルーピング表示G1,G2を連結したグルーピング表示G8を生成し、ディスプレイ210に表示させる。
【0064】
以上説明した実施例によれば、上述した参考例1の効果と実質的に同様の効果に加え
て、複数の車線にまたがってグルーピングを行うことにより、監視が必要なグループの数を低減し、ユーザの監視負担をさらに軽減することができる。
また、自車両1の前方に道路の合流や分岐を有するジャンクション等が存在する場合には、グルーピング表示の連結を解除することによって、車速や交通量等が変化しやすい箇所において、車線毎の交通の流れを容易に把握することができる。

【0065】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)表示装置の構成や、車両の構成は、上述した実施例に限定されず適宜変更することが可能である。また、実施例において車両は乗用車であるが、本発明は貨物車等の商用車、トラック、バス、自動二輪車、その他各種特殊車両などにも適用することが可能である。
(2)実施例において、車両はエンジンを走行用動力源とするものであったが、本発明はこれに限らず、電動モータや、エンジンと電動モータとを組み合わせたハイブリッドシステムを走行用動力源として用いることも可能である。
(3)自車両周辺の環境認識を行うセンサの種類や配置は、上述した実施例には限定されず、適宜変更することが可能である。例えば、実施例におけるセンサ類と併用あるいは代用して、ミリ波レーザ、レーザレーダ、単眼カメラ、超音波ソナー等の各種センサを用いることが可能である。
また、車両自体に搭載されているセンサ類などと併用あるいは代用して、路車間通信や車車間通信によって得た情報や、GPS等の測位手段及びナビゲーション装置等が有する地図データを用いて環境認識を行ってもよい。
(4)実施例においては、表示画像を平面図としているが、これに限らず、例えば俯瞰図(鳥瞰図)や、仮想ドライバ視点から見たドライバーズビューとすることも可能である。また、3D表示が可能なディスプレイを用いて、3D表示を行ってもよい。また、インストルメントパネルに設けたディスプレイによる表示に限らず、例えば、フロントガラスに像を投影するヘッドアップディスプレイによって表示してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 車両 10 エンジン制御ユニット
20 トランスミッション制御ユニット 21 前後進切替アクチュエータ
22 レンジ検出センサ 30 挙動制御ユニット
31 ハイドロリックコントロールユニット(HCU)
32 車速センサ
40 電動パワーステアリング(EPS)制御ユニット
41 モータ 42 舵角センサ
50 自動運転制御ユニット 51 入出力装置
60 環境認識ユニット 70 カメラ制御ユニット
71 ステレオカメラ
80 レーザスキャナ制御ユニット
81 レーザスキャナ 90 後側方レーダ制御ユニット
91 後側方レーダ 100 ナビゲーション装置
101 ディスプレイ
110 路車間通信装置 120 車車間通信装置
200 画像生成ユニット 210 ディスプレイ
211 表示画像 LP 追越車線
L1 第1走行車線 L2 第2走行車線
V1〜V7 他車両 G1〜G8 グルーピング表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10