(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757685
(24)【登録日】2020年9月2日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】不良インクジェットを補償するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20200910BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/525
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-40633(P2017-40633)
(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2017-170892(P2017-170892A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2020年2月27日
(31)【優先権主張番号】15/074,137
(32)【優先日】2016年3月18日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド・ジェイ・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・エル・トリプレット
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート・エイ・シュヴァイド
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・エル・フラチオーニ
【審査官】
中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0313989(US,A1)
【文献】
特開2015−196294(JP,A)
【文献】
特表2016−500032(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0360491(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
B41J 2/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタを制御する方法であって、
前記プリンタによって形成されるべき画像の画素の色を形成するために使用される色空間成分を定義する複数のコントーン値を受信することと、
前記プリンタにおける不良インクジェットを特定するデータを受信することと、
前記プリンタによって形成されるべき前記画像についての変更されたコントーン値を生成するように前記受信したデータによって特定された前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素のまわりに配置された前記複数のコントーン値内のコントーン値を変更することと、
レンダリングされたデータを生成するように前記変更されたコントーン値及び前記複数のコントーン値における前記コントーン値をレンダリングすることと、
インクを吐出して前記画像を形成するように前記レンダリングされたデータを参照して前記プリンタ内のインクジェットを動作させることとを備える、方法。
【請求項2】
前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素についての補償レベルを特定すること
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素についての補償レベルを特定することが、
前記不良インクジェットのうちの1つに対応する前記コントーン画素のまわりに配置された前記コントーン値に対応するコントーン値を参照して前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素についての前記補償レベルにおける各色空間成分についてのコントーン値を特定すること
をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素についての前記補償レベルにおける各色空間成分についてのコントーン値を特定することが、
前記不良インクジェットのうちの1つに対応する前記コントーン値のまわりに配置された前記コントーン値についての平均コントーン値を参照して前記補償レベルにおける前記コントーン値を特定すること
をさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のコントーン値における前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素についてのプロファイルを選択することと、
前記不良インクジェットについて選択された前記プロファイルを参照して前記プロファイルを選択するために使用される前記不良インクジェットに対応する前記補償レベルにおける前記コントーン値を変更することと
をさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロファイルを選択することは、さらに、
偶数の重みを持つ対称プロファイルを選択し、前記プロファイルの各重み値が偶数の重みで表される、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プロファイルを選択することは、さらに、
1次元プロファイルを選択することを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記不良インクジェットに対応する前記補償レベルにおける前記コントーン値を変更することは、さらに、
各補償レベルのコントーン値を、前記補償レベルに対応する前記不良インクジェットの周りに位置するコントーン値に適用することに関して、前記補償レベルの前記コントーン値を修正する、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素のまわりに配置された前記複数のコントーン値内のコントーン値を変更することは、さらに、
各不良インクジェットの補償レベルのコントーン値を、各不良インクジェットの周囲に配置された受信したコントーン値とマージする、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
インクジェットを動作させる前に、前記レンダリングされたデータに再配置補償方法を適用する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
異なる色のインクを吐出するように構成された複数の印刷ヘッドと、
複数の印刷ヘッドによって吐出されたインクによって画像を形成するために複数のコントーン値及びプリンタにおける不良インクジェットを特定するデータを記憶するように構成されたメモリと、
前記複数の印刷ヘッド及び前記メモリに動作可能に接続されたコントローラと
を備えるプリンタであって、
前記コントローラが、
前記プリンタによって形成されるべき画像の画素の色を形成するために使用される色空間成分を定義する複数のコントーン値を前記メモリから受信し、
前記プリンタにおける不良インクジェットを特定するデータを前記メモリから受信し、
前記プリンタによって形成されるべき前記画像についての変更されたコントーン値を生成するように前記受信したデータによって特定された前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素のまわりに配置された前記複数のコントーン値内のコントーン値を変更し、
レンダリングされたデータを生成するように前記変更されたコントーン値及び前記複数のコントーン値における前記コントーン値をレンダリングし、
インクを吐出して前記画像を形成するように前記レンダリングされたデータを参照して前記プリンタ内のインクジェットを動作させるように構成されている、プリンタ。
【請求項12】
前記コントローラが、
前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素についての補償レベルを特定するように
さらに構成されている、請求項11に記載のプリンタ。
【請求項13】
前記コントローラが、
前記不良インクジェットに対応する前記コントーン画素のまわりに配置された前記コントーン値に対応するコントーン値を参照して各不良インクジェットについての前記補償レベルにおける各色空間成分についてのコントーン値を特定するように
さらに構成されている、請求項12に記載のプリンタ。
【請求項14】
前記コントローラが、
前記不良インクジェットに対応する前記コントーン値のまわりに配置された前記コントーン値についての平均コントーン値を参照して前記不良インクジェットのそれぞれについての前記補償レベルにおける前記コントーン値を特定するように
請求項13に記載のプリンタ。
【請求項15】
前記コントローラが、
前記複数のコントーン値における前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素についてのプロファイルを選択し、
前記不良インクジェットについて選択された前記プロファイルを参照して前記プロファイルを選択するために使用される前記不良インクジェットに対応する前記補償レベルにおける前記コントーン値を変更するように、
さらに構成されている、請求項14に記載のプリンタ。
【請求項16】
前記プロファイルを選択することは、さらに、
偶数の重みを持つ対称プロファイルを選択し、前記プロファイルの各重み値が偶数の重みで表される、
ことを特徴とする請求項15に記載のプリンタ。
【請求項17】
前記プロファイルを選択することは、さらに、
1次元プロファイルを選択することを含む、
ことを特徴とする請求項15に記載のプリンタ。
【請求項18】
前記不良インクジェットに対応する前記補償レベルにおける前記コントーン値を変更することは、さらに、
各補償レベルのコントーン値を、前記補償レベルに対応する前記不良インクジェットの周りに位置するコントーン値に適用することに関して、前記補償レベルの前記コントーン値を修正する、
ことを特徴とする請求項15に記載のプリンタ。
【請求項19】
前記不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素のまわりに配置された前記複数のコントーン値内のコントーン値を変更することは、さらに、
各不良インクジェットの補償レベルのコントーン値を、各不良インクジェットの周囲に配置された受信したコントーン値とマージする、
ことを特徴とする請求項11に記載のプリンタ。
【請求項20】
インクジェットを動作させる前に、前記レンダリングされたデータに再配置補償方法を適用する、
ことを特徴とする請求項11に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書に開示されたシステム及び方法は、画像データを参照してマーキング材料を分配するプリンタに関し、より具体的には、そのようなプリンタにおける不良イジェクタの補償に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体を生成するドロップオンデマンドインクジェット技術は、プリンタ、プロッタ及びファクシミリ装置などの市販の製品において採用されている。一般に、インク像は、印刷ヘッド又は印刷ヘッドアセンブリに配置された複数のインクジェットからインク滴を受像面上に選択的に吐出することによって形成される。例えば、印刷ヘッドアセンブリ及び受像面は、互いに対して移動され、インクジェットは、適切なタイミングで受像面上にインク滴を吐出するように動作される。インクジェット活性化のタイミングは、インクを吐出するようにインクジェットを活性化する発射信号を生成する印刷ヘッドコントローラによって実行される。受像面は、インク像が用紙などの印刷媒体に後に転写される印刷ドラム又はベルトなどの中間像部材とすることができる。受像面はまた、インク滴が直接吐出される印刷媒体の移動ウェブ又は一連の印刷媒体シートとすることができる。インクジェットから吐出されたインクは、プリンタ内又は近くに設置されたコンテナに格納されている水性、溶剤、油系、UV硬化インクなどの液体インクとすることができる。あるいは、インクは、印刷ヘッドに供給される液体インクを生成するように固体インクをその溶融温度まで加熱する溶融装置に供給される固体形態で充填されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの画像形成装置の動作寿命の間に、1つ以上の印刷ヘッドにおけるインクジェットは、発射信号に応じてインクを吐出することができなくなることがある。これらの動作不能インクジェットはまた、不良インクジェット又はイジェクタと称される。印刷システムは、典型的には、5万台から10万台のオーダーのインクジェットを有することから、いくつかの不良インクジェットは、ほとんどの場合にシステム内に存在する。インクジェットの欠陥状態は一時的であり、インクジェットは、1回以上の画像印刷サイクルの後に動作状態に戻ることができる。他の場合、インクジェットは、パージサイクルが実行されるまでインクを吐出することができないことがある。パージサイクルは、インクを再度吐出することができるように、首尾よくインクジェットの詰まりをとることができる。しかしながら、パージサイクルの実行は、画像形成装置がその画像生成モードから外される必要がある。それゆえに、パージサイクルは、画像形成装置のスループットレート率に影響を及ぼし、好ましくは、画像形成装置が画像を生成していない期間に実行される。印刷装置は、いくつかの数の不良インクジェットによって日常的に機能することができなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
画像形成装置における1つ以上のインクジェットがインクを吐出することができない場合であっても、画像形成装置が画像を生成するのを可能とする方法が開発される。これらの方法は、印刷ヘッドにおけるインクジェットについての発射信号の生成を制御するための画像レンダリング方法と協働する。レンダリングは、ユーザ又はシステムの上流部にとって便利な1つの形態で入力画像データ値を受信し、下流システムにとって便利な他の形態で画像を表現する出力画像データの値へとこれらの受信したデータを正確に処理するプロセス、典型的には電気機械マーキングエンジンを指す。出力画像データ値は、インクジェットに記録媒体上にインクを吐出させるように印刷ヘッドについての発射信号を生成するために使用される。出力画像データ値が生成されると、本方法は、印刷ヘッドにおける不良インクジェットに対応する出力画像データ値を特定するために、印刷ヘッドにおいて検出された不良インクジェットに関する情報を使用することができる。そして、本方法は、不良インクジェットを補償するために置き換えられることができる隣接する又は近隣の出力画像データ値をみつけるように検索する。他の方法は、インクジェットによって吐出されることができるインクの最大量をインクジェットに吐出させる出力画像データ値未満であるインクジェットについての最大出力画像データ値を確立するために正規化処理が使用されることができるため、不良インクジェットを補償することができる。それゆえに、出力画像データ値は、インクジェットが最大出力画像データ値といくつかの増加量との和に対応したインク量を吐出するのを可能とするように正規化された最大出力画像データ値を超えて増加することができる。このようにいくつかの近傍のインクジェットを発射することにより、吐出されたインク濃度は、不良インクジェットに対応する出力画像データ値についてのインクを吐出することができた不良インクジェットから吐出されたであろうインク量に近付けることができる。他の方法は、インク滴を受ける基材上の同じ位置に異なる色のインク滴を吐出するインクジェットを可能とするプリンタにおける印刷ヘッドの構成をあてにすることができる。同じ位置において液滴を吐出するこれらのインクジェットのうちの1つが正常に機能しないとき、不良インクジェットによって吐出されたであろうインクの一部は、不良インクジェットがインクを吐出するであろう同じ位置にインクを吐出する他のインクジェットのうちの1つから液滴を吐出することによって提供される。
【0005】
同じ印刷ヘッドにおける近傍の動作インクジェットに関連付けられた出力画像データ値に対して不良インクジェットに関連付けられた出力画像データ値の全て又は一部を追加することによって不良インクジェットを補償する方法が効果的である。近傍のインクジェットによって吐出されたインク滴は、同じ印刷ヘッドによって吐出されることから、同一領域内の他のインク滴と合理的に位置合わせされる。さらに、インク滴は、不良インクジェットによって吐出されるであろうこれらのインク滴と同色である。しかしながら、本方法は、不良インクジェットの近傍の約20%のインクジェットが、不良インクジェットによって吐出されるインクの不存在をマスクするために不良インクジェットについての出力画像データ値の全て又は一部を受け入れるために利用可能な十分な数の位置についてゼロ又はほぼゼロの出力画像データ値を有することを必要とする。したがって、本方法は、画像の高濃度領域にインク滴を吐出するであろう不良インクジェットを補償することができない。不良インクジェットを含む印刷ヘッドとは異なる他の印刷ヘッドからインク滴を吐出する方法は、不良インクジェットがインク滴を吐出するであろう位置において高濃度領域にインク滴を吐出することができる。しかしながら、代替印刷ヘッドにおけるインクジェットからのインク滴が不良インクジェットと不完全に位置合わせされることから、このアプローチの有効性は低下する。それゆえに、高い光学濃度コントラストの細線が生じやすくなり、最終画像において視認可能な筋が生じる。さらに、補償インクは、不良インクジェットによって吐出されることになるであろうインクと同色ではない。人間の視覚系は、強度変化に対するよりも色相及び彩度において高い周波数変動の影響を受けにくいことから、この色の不完全性は、不良ジェットの位置においては何らマーキングしない方が好ましい。それにもかかわらず、これらの補償インク滴は、不良インクジェットによって吐出されることになるであろうインク滴とは異なる色であり、人間が知覚できる方法で画像の色相及び彩度に影響を与えることがある。したがって、人間が知覚又は好ましくない画像品質の問題を生じることなく、高濃度領域における補償を可能とする不良インクジェットの補償スキームの開発が有用であろう。
【0006】
印刷ヘッドにおける不良インクジェットを補償する方法は、プリンタによって形成されるべき画像についての複数のコントーン値を受信することと、プリンタにおける不良インクジェットを特定するデータを受信することと、プリンタによって形成されるべき画像についての変更されたコントーン値を生成するように受信したデータによって特定された不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素のまわりに配置された複数のコントーン値内のコントーン値を変更することと、レンダリングされたデータを生成するように変更されたコントーン値及び複数のコントーン値におけるコントーン値をレンダリングすることと、インクを吐出して画像を形成するようにレンダリングされたデータを参照してプリンタ内のインクジェットを動作させることとを含む。
【0007】
不良インクジェットを補償する方法を実行するプリンタは、異なる色のインクを吐出するように構成された複数の印刷ヘッドと、複数の印刷ヘッドによって吐出されたインクによって画像を形成するための複数のコントーン値及びプリンタにおける不良インクジェットを特定するデータを記憶するように構成されたメモリと、複数の印刷ヘッド及びメモリに動作可能に接続されたコントローラとを含む。コントローラは、プリンタによって形成されるべき画像についての複数のコントーン値をメモリから受信し、プリンタにおける不良インクジェットを特定するデータをメモリから受信し、プリンタによって形成されるべき画像についての変更されたコントーン値を生成するように受信したデータによって特定された不良インクジェットのうちの1つに対応する各コントーン画素のまわりに配置された複数のコントーン値内のコントーン値を変更し、レンダリングされたデータを生成するように変更されたコントーン値及び複数のコントーン値におけるコントーン値をレンダリングし、インクを吐出して画像を形成するようにレンダリングされたデータを参照してプリンタ内のインクジェットを動作させるように構成されている。
【0008】
印刷ヘッドにおける不良インクジェットを補償するシステム及び方法の前述の態様及び他の特徴は、添付図面に関連して以下の詳細な説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、印刷ヘッドにおける不良インクジェットを補償する方法のフロー図である。
【
図2】
図2は、2つの補償プロファイル及びそれらが表す波形の図である。
【
図3】
図3は、
図1の方法が実行されることができる従来技術のプリンタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願明細書に開示されたシステム及び方法についての環境並びにシステム及び方法についての詳細の一般的な理解のために、図面が参照される。図面において、同様の参照符号は、同様の要素を指定している。
【0011】
図3は、プリンタにおける印刷領域内に配置された複数の印刷ヘッドを使用してウェブ上にインク像を生成するように構成されたダイレクト・ツー・シート、連続媒体、従来のインクジェットプリンタ5の簡略化された概略図である。媒体供給及び処理システムは、ウェブローラ8に取り付けられた媒体スプール10などの媒体源からの「基材」(用紙、プラスチック又は他の印刷可能な材料)からなる長い(すなわち、略連続的な)媒体ウェブ14を供給するように構成されている。シンプレックス印刷について、プリンタは、ウェブローラ8と、印刷領域又は印刷ステーション20と、巻き戻しユニット90とを含む。巻き戻しユニット90は、プリンタからの取り出し及びその後の処理のためにウェブをローラ上に巻回するように構成されている。
【0012】
媒体は、必要に応じて媒体源10から巻き戻すことができ、1つ以上のローラ12を回転させる様々なモータ(図示しない)によって推進される。ローラ12は、媒体がプリンタを通る経路に沿って移動するときに巻き戻し媒体の張力を制御する。代替実施形態において、媒体は、切断シート形態で経路に沿って搬送されることができ、その場合、媒体供給及び処理システムは、画像形成装置を通る予想される経路に沿った切断媒体シートの搬送を可能とする任意の適切な装置又は構造を含むことができる。予熱器18は、ウェブを、印刷されている媒体の種類並びに使用されているインクの種類、色及び数に対応する所望の画像特性のために選択された初期の所定温度にする。予熱器18は、媒体を、1つの実際的な実施形態においては約30℃から約70℃の範囲内である目標予熱温度にするために、接触、放射、伝導又は対流熱を使用することができる。
【0013】
媒体は、一連のカラーユニット21A、21B、21C及び21Dを含む印刷ステーション20を通って搬送され、各カラーユニットは、媒体の幅にわたって効果的に延材し、インクを移動媒体上に直接置くことができる(すなわち、中間部材又はオフセット部材なしで)。コントローラ50は、制御ライン22を介してカラーユニット21A〜21Dに動作可能に接続されている。カラーユニット21A〜21Dのそれぞれは、媒体ウェブ14にわたってクロスプロセス方向に千鳥状に配置された複数の印刷ヘッドを含む。一般に知られているように、印刷ヘッドのそれぞれは、色のそれぞれの1つが4色印刷において通常使用される単一色のインク、すなわち、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック(CMYK)を吐出することができる。プリンタのコントローラ50は、印刷ヘッドを通過するのにともないウェブの位置を計算するために、4つの印刷ヘッドの反対側の経路の一部のいずれかの側に配置されたローラに近接して取り付けられたエンコーダから速度データを受信する。コントローラ50は、4つの色が媒体上の4つの原色画像を形成するために異なる色パターンの高い信頼性の位置合わせ精度を有して吐出されるのを可能とするように印刷ヘッドにおけるインクジェットを作動するためのタイミング信号を生成するために、これらのデータを使用する。発射信号によって作動されるインクジェットは、コントローラ50によって処理された画像データに対応する。画像データは、プリンタに送信され、プリンタの構成要素であるスキャナ(図示しない)によって生成され、又は、電子的に若しくは光学的に生成されてプリンタに供給されることができる。様々な代替実施形態において、プリンタ5は、異なる数のカラーユニットを含み、CMYK以外の色を有するインクを印刷することができる。
【0014】
プリンタ5において、印刷ヘッドユニット21A〜21Dのそれぞれは、印刷ヘッドのそれぞれにおけるインクジェットの動作を制御するための電気発射信号を生成する1つ以上の印刷ヘッドコントローラを含む。印刷ヘッドは、ウェブが印刷領域を通過するのにともないウェブ上に液体インクを吐出するように構成されている。本願明細書において使用される場合、「液体インク」は、溶融した固体インク、加熱されたジェルインク、又は、水性インク、インクエマルジョン、インク懸濁液、インク溶液などの他の公知の形態のインクを指す。カラーユニット21A〜21Dのそれぞれに関連付けられているものは、それぞれ、対応するバッキング部材24A〜24Dである。バッキング部材24A〜24Dは、通常、媒体の裏面において印刷ヘッドの略反対側に配置されたバー又はロールの形態である。各バッキング部材は、バッキング部材の反対側の印刷ヘッドから所定距離に媒体を配置するために使用される。
図3の実施形態において、各バッキング部材は、1つの実用的な実施形態においては約40℃から約60℃の範囲内である所定温度まで媒体を加熱するように熱エネルギを放射するヒータを含む。様々なバッカー部材は、個別に又はまとめて制御されることができる。予熱器18、印刷ヘッド、バッキング部材24(加熱された場合)並びに周囲空気は、約40℃から70℃の所定の温度範囲内で印刷ステーション20と反対側の経路の一部に沿って媒体を保持するように結合する。
【0015】
印刷領域20の印刷ヘッドから様々な色のインクを受けるように部分的に画像形成された媒体ウェブ14が移動するのにともない、プリンタ5は、所定の範囲内で媒体ウェブの温度を維持する。カラーユニット21A〜21Dにおける印刷ヘッドは、媒体ウェブ14の温度よりも通常は十分に高い温度でインクを吐出する。その結果、インクは媒体を加熱する。したがって、所定の範囲内に媒体温度を維持するために他の温度調整装置が使用されることができる。例えば、媒体の後方及び前方の空気温度及び空気流量はまた、媒体温度に影響を及ぼすことがある。したがって、媒体温度の制御を容易とするために送風機又は換気扇が利用されることができる。それゆえに、プリンタ5は、印刷領域20の印刷ヘッドから全てのインクを噴射するために適切な範囲内に媒体ウェブ14の温度を維持する。温度センサ(図示しない)は、媒体温度の調整を可能とするように媒体経路のこの部分に沿って配置されることができる。
【0016】
媒体経路に沿って印刷領域20に続いて、媒体ウェブ14は、1つ以上の「中間ヒータ」30までガイドローラ26にわたって移動する。中間ヒータ30は、媒体温度を制御するために、接触、放射、伝導又は対流熱を使用することができる。ローラ26におけるインク及び用紙の温度に応じて、この「中間ヒータ」は、用紙及びインクから熱を追加又は除去することができる。中間ヒータ30は、媒体上のインクがスプレッダ40を通って送られるとき、媒体上に置かれたインクを所望の特性に適した温度にする。1つの実施形態において、中間ヒータについての目標温度の有用な範囲は、約35℃から約80℃である。中間ヒータ30は、互いに約15℃以内にインク及び基材温度を一様にする効果を有する。インク温度が低いほどラインの広がりが少なくなる一方で、インク温度が高いほど裏写り(印刷の反対側からの画像の視認性)が生じる。中間ヒータ30は、スプレッダの温度を超えて0℃から20℃まで基材及びインク温度を調整する。
【0017】
中間ヒータ30に続いて、定着アセンブリ40は、媒体に画像を定着するために媒体に対して熱、圧力又は熱及び圧力の組み合わせを印加する。定着アセンブリ40は、加熱された又は加熱されていない加圧ローラ、放射式ヒータ、ヒートランプなどを含む、媒体に画像を定着させるための任意の適切な器具又は装置を含む。画像を生成するために溶融した固体インクを使用する実施形態において、定着アセンブリは、媒体に対して所定の圧力を、いくつかの実装においては熱を印加する「スプレッダ」43を含む。スプレッダ40の機能は、基本的に、液滴、液滴の文字列又はウェブ14上のインクのラインであるものをとり、隣接する液滴間の空間が満たされ且つ画像ベタが均一になるように、圧力、いくつかのシステムにおいては熱によってそれらを広げることである。インクの広がりに加えて、スプレッダ40はまた、インク層の凝集性を増加させることによって又はインク・ウェブ接着を増加させることによって画像耐久性を改善する。スプレッダ43は、媒体に対して熱及び圧力を印加するために像側ローラ42及び加圧ローラ44などのローラを含む。いずれかのローラは、ウェブ14を約35℃から約80℃までの範囲内の温度にするために発熱素子46などの発熱素子を含むことができる。代替実施形態において、定着アセンブリは、印刷領域後に媒体の非接触加熱(加圧なし)を使用してインクを広げるように構成されることができる。そのような非接触定着アセンブリは、放射式ヒータ、UV加熱ランプなど、媒体を所望の温度に加熱するために任意の適切な種類のヒータを使用する。水性インクを使用する他のプリンタの実施形態において、定着アセンブリ40は、スプレッダ40などのスプレッダを含まないが、媒体ウェブが印刷領域20を通過した後に媒体ウェブ上の水性インクを乾燥させる1つ以上のヒータを含む。UVインクプリンタの実施形態において、定着アセンブリ40は、媒体ウェブの表面にインクを架橋結合させて定着するようにUV放射をインクに導くUV光源を含む。
【0018】
スプレッダ40はまた、像側ローラ42に関連付けられた洗浄/給油ステーション48を含む。ステーション48は、ローラ表面にいくつかの離型剤又は他の材料の層を洗浄して塗布する。プリンタ5において、離型剤材料は、約10〜200センチポイズの粘度を有するアミノシリコンオイルである。少量の油しか必要とされず、媒体によって運ばれる油は、A4サイズのページあたり約1〜10mgのみである。1つの可能な実施形態において、中間ヒータ30及びスプレッダ40は、それらの各機能が媒体の同じ部分に対して同時に生じる単一のユニットに組み合わせることができる。他の実施形態において、媒体は、インクが液体又は半液体状態にあるときにスプレッダ40がインクを広げるのを可能とするように印刷動作中に高温に維持される。スプレッダ40を通過した後、印刷された媒体は、システムからの除去のためにローラ上に巻回されることができる。
【0019】
プリンタ5の様々なサブシステム、構成要素及び機能の動作及び制御は、コントローラ50の助けを借りて実行される。コントローラ50は、プログラミングされた命令を実行する汎用又は専用のプログラミング可能なプロセッサによって実装される。プログラミングされた機能を実行するのに必要な命令及びデータは、コントローラ50に動作可能に接続されたメモリに記憶される。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性データ記憶装置並びに磁気及び光学ディスク又は固体記憶装置を含む不揮発性データ記憶装置を含む。プロセッサ、それらのメモリ及びインターフェース回路は、以下に記載されるように不良インクジェットを補償する機能を実行するようにコントローラ及び印刷エンジンを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に設けられる又は特定用途向け集積回路(ASIC)内の回路として設けられる。1つの実施形態において、回路のそれぞれは、別個のプロセッサ装置によって実装される。あるいは、回路は、VLSI回路に設けられた個別の構成要素又は回路によって実装されることができる。また、本願明細書に記載された回路は、プロセッサ、ASIC、個別部品又はVLSI回路の組み合わせによって実装されることができる。以下により詳細に記載されるように、コントローラ50は、カラーユニット21A〜21D内の印刷ヘッドにおける不良インクジェットを補償するためにメモリに記憶された記憶プログラム命令を実行する。
【0020】
プリンタ5は、媒体ウェブ14に対応する画像データを生成するように構成された光センサ54を含む。光センサは、カラーユニット21A〜21Dにおける不良インクジェットの検出を可能とするように、センサの反対側の媒体、インク又はバッカーロールの反射レベルを示す信号を生成するように構成されている。光センサ54は、受像部材上の画像形成領域の幅にわたって延在するバー又は他の長手方向構造に取り付けられた光検出器のアレイを含む。画像形成領域がクロスプロセス方向において約20インチの幅であり且つ印刷ヘッドがクロスプロセス方向において600dpiの解像度で印刷する1つの実施形態において、12,000以上の光検出器は、受像部材を横断するラインに対応する画像データの単一の走査線を生成するようにバーに沿って単一行に配列されている。光検出器は、受像部材の表面に向かって光を導く1つ以上の光源に関連して構成されている。光検出器は、光が媒体ウェブ14などの受像部材から反射された後、光源によって生成された光を受光する。光検出器によって生成された電気信号の大きさは、媒体ウェブ表面のバー部分及び印刷されたインクパターンを担持する部分を含む、媒体ウェブ14の表面から検出器へと反射された光量に対応する。光検出器によって生成された電気信号の大きさは、適切なアナログ/ディジタル変換器によってディジタル値に変換される。
【0021】
本願明細書において使用される場合、「隣接する」は、不良イジェクタを補償するように選択されたイジェクタに対応するデータが、補償イジェクタから液滴を吐出することが液滴を吐出するために動作不能イジェクタの故障の補償に満足のいくように寄与する、不良イジェクタに対応するデータに十分に近いことを意味する。例えば、いくつかのプリンタシステムにおいて、満足のいく補償は、動作不能イジェクタが液滴を吐出したであろう位置から3つのインク滴の位置内に液滴を吐出するイジェクタを補償するように選択することによって達成される。「直接隣接する」という用語は、不良イジェクタに対応する特定のデータと隣接するデータを指す。後述するように、直接隣接するデータは、不良イジェクタによって吐出されたであろう液滴の色又は材料とは異なる色又は材料の液滴を吐出する他の印刷ヘッドにおける他のイジェクタに対応することができる。
【0022】
以下に記載される補償方法が使用可能な環境を提供するためにプリンタ5を詳細に説明したが、本方法はまた、他のプリンタにおいても効果的に使用されることができる。例えば、本方法は、連続ウェブよりもむしろ切断シート上に画像を形成するプリンタにおいて使用されることができる。さらに、プリンタ5は、印刷ヘッドアセンブリを通過するときに媒体の幅全体が印刷されるのを可能とするように媒体を横切ってクロスプロセス方向に配置された十分な数の印刷ヘッドを有する。以下に記載された補償方法は、印刷ヘッドが媒体の全幅を印刷するのを可能とするために媒体を横切って印刷ヘッドを移動させるように構成されたアクチュエータに動作可能に接続されているクロスプロセス方向に配置された少数の印刷ヘッドを有するプリンタにおいて使用されることができる。そのようなプリンタにおける媒体搬送部はまた、連続ラインの印刷を可能とした後に媒体の全幅にわたって次の行が印刷されるのを可能とするように印刷ヘッドの反対側の位置に媒体を保持するように構成されている。本方法はまた、3次元物体の層を形成するための材料を吐出するプリンタにおいて使用されることができる。そのようなプリンタは、一般に、3次元物体プリンタ又は単に3Dプリンタと称される。
【0023】
図3のプリンタによって実施されることができる方法200が
図1に示されている。以下の説明において、動作又は機能を実行するプロセス200への言及は、インクジェットプリンタにおける他の構成要素と関連して機能又は動作を実行するように記憶されたプログラム命令を実行するためのコントローラ50などのコントローラの動作を指す。プロセス200は、例示の目的のために
図3のプリンタに関連して説明される。本文書において使用される場合、「画素」は、表面上に着色ドットを形成するようにインクを重畳する1つ以上の液滴を受けるインク受け面上の位置を意味する。インク受け部材上の出力画像の各画素について、入力画像は、画素の色を形成するために使用される色空間成分のタプルを有する。各色空間成分は、コントーン値によって定義される。本文書において使用される場合、「コントーン値」は、2つ以上のディジタルビットによって表されるディジタル数値を指す。0から128又は0から1024などの他の範囲が使用可能であるものの、通常、コントーン値は、0から255の範囲内のディジタル数値である。
【0024】
プロセス200は、公知の方法でプリンタにおける不良インクジェットの特定によって開始する(ブロック204)。各不良インクジェットについての補償レベルの色空間成分についてのコントーン値は、カラーモデルに基づく理論計算によって又は経験的データのルックアップテーブルから特定される(ブロック208)。各補償レベルは、不良インクジェットによって吐出することができない不良インクジェットに関連付けられた元のコントーン色空間成分を最良に置き換える色を表す色空間成分の単一のタプルである。1つの実施形態において、補償レベルについての色空間成分についてのコントーン値は、不良インクジェットまわりの入力画像の領域内の色空間成分の対応するコントーン値についての数値の平均を参照して特定される。例えば、不良インクジェットに関連付けられたコントーン値を中心とする3×7領域に配置された色空間成分についてのコントーン値は、選択されたコントーン値まわりの領域内の対応する色についての平均コントーン値を特定するように領域内の値の総数(21)によって加算されて除算され、平均コントーン値は、補償レベルにおいて使用される。この例は、コントーン値の全てを選択するが、コントーン値の全てが使用される必要はなく、コントーン値は、不良インクジェットについてのコントーン値のまわりに連続的に配置される必要はない。他の実施形態において、補償レベルは、不良インクジェットに関連付けられた選択されたコントーン値を参照して特定される。補償レベルにおける色空間成分についてのコントーン値を特定するためにこの値を単独で使用することは、選択されたコントーン値が領域内のコントーン値の全てを表し、上述したように平均コントーン値が計算された場合には領域についての平均値に近いであろうと仮定する。これらの実施形態の双方において、ルックアップテーブル(LUT)は、補償レベルにおける色空間成分についてのコントーン値を特定するために使用される。LUTへの入力は、平均コントーン値又は選択されたコントーン値であり、出力は、補償レベルにおける色空間成分についてのコントーン値である。あるいは、LUTの代わりに、不良インクジェットに対応する補償レベルについての適切なコントーン値を特定するために疎サンプル点(例えば、スプラインノット)の計算又は補間が使用されることができる。これらの実装における出力データは、実験的又はアルゴリズム的に決定されることができる。
【0025】
補償レベルにおける色空間成分は、不良インクジェットが配置されるもの以外の印刷ヘッドによって提供されることができるため、不良インクジェットに関連付けられた補償レベル成分と元の色空間成分との間の位置合わせは不完全であってもよい。この位置合わせにおける不完全さは、補償レベル成分がマーキングされている位置において位置誤差を生み出す。この誤差は、補償レベルコントーン色空間成分をマーキングする印刷ヘッドの正確な位置と補償レベルコントーン色空間成分がマーキングされている実際の位置との間の距離である。この位置誤差を補償するために、位置合わせ距離誤差にもかかわらず、不良ジェットをカバーするのに十分に大きい補償レベルタプルにおける各色空間成分についてのプロファイルが選択される(ブロック212)。3次元(3D)物体プリンタについて、このプロファイルは、位置誤差の次元に応じて、補償レベルの近傍におけるコントーン値の3次元ボリューム、2次元平面又は1次元ラインをカバーするように構成されることができる。2次元媒体プリンタについて、プロファイルは、位置誤差の次元に応じて補償レベルのまわりの1次元又は2次元領域をカバーするように構成されることができる。選択されたプロファイルの拡張体積、面積又は長さは、不良インクジェットに対応する位置が位置誤差にかかわらずカバーされることを保証しなければならない。それゆえに、プロファイルは、不良インクジェットに関連付けられた元の色空間成分に適用される補償レベルを生成するように、補償レベルタプルにおける色空間成分についてのコントーン値によって乗算される重みの3次元、2次元又は1次元アレイから構成される。
【0026】
2つの1次元プロファイルの例が
図2に示されている。プロファイル304は、第1の重みが50であり、第2の重みが100であり、次の3つの重みが150であり、第6の重みが100であり、第7の重みが50である7つの乗算器を有する。プロファイル312は、第1の重みが33であり、第2の重みが67であり、次の5つの重みが100であり、第6の重みが67であり、第7の重みが33である9つの重みを有する。これらのプロファイルは、形状コントラストエッジにおける非常に視認可能な高周波画素を回避するように、不良インクジェットに関連付けられたコントーン値の領域内のコントーン値の振幅を成形するのに役立つ。第2のプロファイル312はより長いが、それは、補償プロファイルの振幅がその幅に反比例してスケーリングされることから、第1のプロファイル308よりも低い振幅を有し、そのため、補償領域における画像に対する人間の目の統合応答は、プロファイルの幅が変化するのにともない一定のままである。各不良インクジェットについての補償レベルタプルにおける色空間成分値の振幅は、適切なレベルの補正を達成するためにプロファイルの次元及び重みに基づいて調整される(ブロック216)。
【0027】
いくつかのプリンタにおいて、画像は、インターリーブ印刷又は分割スクリーン印刷として知られる構成で2つ以上の印刷ヘッドにわたって分散されている。これらのプリンタにおいて、偶数の重みに対応する対称的なプロファイルが使用されることができる。対称的なプロファイルは、プロファイルにおいて使用される各振幅がその振幅において偶数の重みを有することを意味する。例えば、重み50 50 100 100 150 150 150 150 100 100 50 50を有するプロファイルは、これらの要件に適合する。このプロファイルは、入力画像の分割画面領域内の比較的低い数のコントーン値を有する領域が、入力画像におけるコントーン値に応じて偶数又は奇数位置において入力画像のいずれかのコントーン値を低下させるのを可能とする。
【0028】
そして、補償レベルにおけるコントーン値のタプルは、補償レベルのコントーン値が入力画像に完全に適用された場合に生成されるであろう入力画像のコントーン値及び出力画像のコントーン値を参照して評価されて調整される(ブロック220)。この評価及び調整は、高いコントラストエッジ又は小さい画像特徴などの画像特徴が破壊されず、画素毎の全体画像濃度が知覚画像品質に悪影響を及ぼすであろう過剰量によって変更されないことを保証する。
【0029】
補償レベルの変更されたコントーン値は、出力画像についてのコントーン値を形成するために入力画像のコントーン値とマージされる(ブロック224)。この変更は、入力画像についてのコントーン値によって補償レベルの変更されたコントーン値を加算することによって実現されることができるが、入力画像のコントーン値と補償レベルの変更されたコントーン値のマージ部のために他のマージ動作使用されることができる。そして、出力画像について得られたコントーン値はレンダリングされ(ブロック228)、レンダリングされたデータに対して再配置補償方法が適用される(ブロック232)。本文書において使用される場合、「レンダリングされたデータ」は、入力画像におけるコントーン値によって指定された外観を達成するために、プリンタにおける1つ以上の印刷ヘッドにおけるインクジェットを動作させるために使用されるデータを生成するように処理されたコントーン値を指す。これらのレンダリングされたデータは、インク像を生成するように印刷ヘッドにおけるインクジェットを動作させる発射信号を生成するために使用される(ブロック236)。また、この文書において使用される場合、「再配置補償方法」は、不良インクジェットに関連付けられたレンダリングされたデータ値を、不良インクジェットに関連付けられたレンダリングされたデータ値のまわりの周辺における他の位置に移動させるか又は不良インクジェットに関連付けられたレンダリングされたデータ値を参照して不良インクジェットに関連付けられたレンダリングされたデータ値のまわりの周辺におけるレンダリングされたデータ値を変更するレンダリングされたデータに適用される公知の補償技術を意味する。
【0030】
プリンタにおいて本方法を実行するために、コントローラ50などのコントローラは、コントローラに動作可能に接続されたメモリ内のプログラミングされた命令を記憶することによって構成される。コントローラが命令を実行するのにともない、画像についてのコントーン値が受信され、不良インクジェットを特定するデータが生成される。コントーン値は、各不良インクジェットについての補償レベルについての色空間成分についてのコントーン値及び出力画像についての変更されたコントーン値を生成するために使用される補償レベルのコントーン値を特定するためにコントローラによって処理される。これらのコントーン値は、ハーフトーン画像データを生成するようにレンダリングされ、再配置補償方法は、インクを吐出してインク像を形成するように印刷ヘッドにおけるインクジェットを動作させるための発射信号を生成するために使用される変更されたハーフトーンデータを生成するようにハーフトーンデータに適用される。補償レベルが2つの補償方法を混合することから、コントーン補償方法は、入力画像の非ゼロコントーン値の数が再配置方法の有効性に影響を及ぼす領域において支配的な効果を有し、再配置方法は、入力画像におけるコントーン値の数が低い領域においてより普及する。