(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された住宅構造では、個々の可動収納間仕切りを自由に移動させることができるため、各可動収納間仕切りを隙間が無いように配置したり、複数の可動収納間仕切りを揃えて配置したりすることが難しかった。
【0007】
また可動収納間仕切りを一つずつ移動しなければならないため、可動収納間仕切りの配置換えに時間と手間がかかった。例えば複数の可動収納間仕切りを直列に揃えて配置したまま数十cmのみ動かしたい場合には、それぞれの可動収納間仕切りを壁にぶつけないように注意しながら一つずつ移動して揃えなければならなかった。
【0008】
また単純に可動収納間仕切りを直列に配置して間仕切り壁を構成するだけでは、収納の表裏への行き来ができなかった。
【0009】
また特許文献1に開示された住宅構造が収納できる収納スペースは、可動収納間仕切りの内部の容量に限られるため、収納スペースを増やすことが出来なかった。
【0010】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、収納スペースの容量を容易に増減できる可動収納システムとその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、互いに平行かつ鉛直に延びる一対の第1壁面を有する居室と、
前記居室の床から天井までの高さを有し一方の第1壁面から他方の第1壁面まで延びる一対の箱型収納ユニットと、を備え、
一対の前記箱型収納ユニットは、物を収納可能な収納棚と、
前記箱型収納ユニットを人が通り抜け可能な通路用開口と、
前記居室を仕切った状態で前記第1壁面に沿って一対の前記箱型収納ユニットを移動可能に案内する案内装置と、を有する、可動収納システムが提供される。
【0012】
また一対の前記箱型収納ユニットの前記通路用開口は、前記第1壁面に直交する水平方向における同じ位置に設けられる。
【0013】
また前記収納棚は、前記箱型収納ユニットにつき複数設けられ、
各収納棚は、一対の前記第1壁面のそれぞれに近接して位置し、
前記箱型収納ユニットは、複数の前記収納棚の上端部を連結する連結梁を有し、
前記通路用開口は、複数の前記収納棚の間に位置する。
【0014】
また前記居室は、前記第1壁面が延びる水平方向の両端部に出入口を有し、
一対の前記箱型収納ユニットは、前記通路用開口の内部に着脱可能に固定可能な通路用棚板又は通路用ハンガーパイプを有する。
【0015】
また一対の前記箱型収納ユニットは、互いに対向する側面に設けられた背板と、
両端部を両背板に着脱可能に固定可能な背板用棚板又は背板用ハンガーパイプと、を有する。
【0016】
また一対の前記箱型収納ユニットは、着脱可能に設けられ前記通路用開口を開閉する扉を有する。
【0017】
また前記箱型収納ユニットは、その位置を固定する固定装置を備える。
【0018】
また、本発明によれば、上述の可動収納システムの使用方法であって、
一対の前記箱型収納ユニットを互いに近接させて又は接しさせて配置する、可動収納システムの使用方法が提供される。
【0019】
また前記通路用開口に着脱可能な扉を取り付け、該通路用開口を通路として使用する。
【0020】
また、本発明によれば、上述の可動収納システムの使用方法であって、
前記通路用開口の内部で水平に延び着脱可能に固定可能な通路用棚板又は通路用ハンガーパイプを該通路用開口に取り付け、該通路用開口を収納棚として使用する、可動収納システムの使用方法が提供される。
【0021】
また、本発明によれば、上述の可動収納システムの使用方法であって、
一対の前記箱型収納ユニットを、前記第1壁面が延びる水平方向に間隔をあけて配置し、
前記通路用開口に着脱可能な扉を取り付け、
一対の前記箱型収納ユニットの間の空間及び前記通路用開口をウォークインクローゼット又はウォークスルークローゼットとして使用する、可動収納システムの使用方法が提供される。
【0022】
また、本発明によれば、上述の可動収納システムの使用方法であって、
一対の前記箱型収納ユニットを、前記第1壁面が延びる水平方向に間隔をあけて配置し、
一対の前記箱型収納ユニットの互いに対向する側面に取り付けられた背板に、前記第1壁面が延びる水平方向に延びる背板用棚板又は背板用ハンガーパイプの両端部を固定し、
一対の前記箱型収納ユニットの間の空間を収納棚として使用する、可動収納システムの使用方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
上述した本発明によれば、第1壁面が延びる第1方向に人が通り抜けられる通路用開口が、箱型収納ユニットに設けられているので、一対の箱型収納ユニットが間隔を隔てるように、案内装置で箱型収納ユニットを案内することにより、一対の箱型収納ユニットの間の空間を収納スペースとして使用することができる。
【0024】
その上、通路用開口を通路として使用しない場合には、通路用開口を収納スペースとして使用することもできる。
【0025】
したがって、本発明によれば、収納スペースの容量を容易に増減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態の可動収納システム1が使用される間取りの平面図である。また
図1では、収納スペースに破線斜線を付している。
図2は、部屋4から見たときの本発明の実施形態の箱型収納ユニット7の正面図である。なお、
図2では、後述する扉29とフィラー31を省略している。
図3は、
図1の可動収納システム1の拡大平面図である。なお、
図3は、居室3の天井、リフトアップノブ13b、収納棚15の天板22を省略して記載している。
図4は、部屋4から見たときの箱型収納ユニット7の正面図である。
図4は、扉29を閉め、フィラー31を取り付けた使用時の外観を示している。
【0029】
本発明は、居室3の広さと収納スペースの容量を増減できる可動収納システム1である。可動収納システム1は、互いに平行かつ鉛直に延びる一対の第1壁面5を有する居室3と、一対の箱型収納ユニット7とを備える。
【0030】
以下の説明において、第1壁面5が延びる水平方向を第1方向Xとし、第1方向Xに直交する水平方向、すなわち第1壁面5に直交する水平方向を第2方向Yとする。また箱型収納ユニット7で居室3を区切って設けられた複数の空間を、「部屋4」と呼ぶ。さらに第1方向Xにおいて一対の箱型収納ユニット7が互いに対向する側を「対向側」とし、その反対側を「部屋側」とする。
【0031】
第1壁面5の下端部には、第1方向Xに延びる巾木部が設けられている。巾木部は、第1壁面5の上端部に設けられていてもよい。
第1壁面5の壁紙は、傷のつきにくいクロスであることが好ましい。
【0032】
一つの箱型収納ユニット7は、一方の第1壁面5から他方の第1壁面5まで延びる。この箱型収納ユニット7が居室内で第1方向Xに2つ平行に設けられることで、一対の箱型収納ユニット7を形成する。
【0033】
箱型収納ユニット7は、一方の第1壁面5から他方の第1壁面5まで延びる方向が、第1壁面5に直交していることが好ましいが、箱型収納ユニット7が移動できるのであれば直交していなくてもよい。例えば居室3を上方から見たときの形状が台形である場合、箱型収納ユニット7は第2壁面6が延びる方向に延びていてもよい。
【0034】
箱型収納ユニット7は、居室3の床から天井までの高さを有することが好ましい。それにより、居室3を完全に2部屋若しくは3部屋に区切ることができる。
【0035】
各箱型収納ユニット7は、収納棚15、通路用開口9、案内装置11、及び固定装置13を有する。以下、この実施形態の箱型収納ユニット7について、詳細に説明する。
【0036】
各箱型収納ユニット7は、複数(
図2の例では2つ)の収納棚15を有する。2つの各収納棚15は、一対の第1壁面5のそれぞれに近接して位置する。
【0037】
収納棚15は、荷物や洋服等の物を収納可能な箱型の棚もしくはクローゼットである。各収納棚15は、第1壁面5に平行な一対の側板25、天井に近接した高さにある天板22、収納棚15の底面を構成する底板27、及び対向側の側面に設けられた背板23を有し、部屋側の側面には開口部を有する。
【0038】
収納棚15は、その内部に棚板15bや、ハンガーを掛けるためのハンガーパイプ15c、仕切り板が設けられていてもよい。
【0039】
第2方向Yにおける箱型収納ユニット7の両端部に設けられる2つの収納棚15の容積は異なっていてもよいが、同じである方が好ましい。
【0040】
案内装置11は、一対の箱型収納ユニット7を、居室3を仕切った状態で第1壁面5に沿って第1方向Xに移動可能に案内する装置であり、例えばキャスター11aとガイドローラ11bを有する。
【0041】
キャスター11aは、収納棚15の底板27の下に設けられている。キャスター11aは、回転軸の方向が第2方向Yに固定され、第1方向Xにのみ転動するものであることが好ましい。
【0042】
それにより、一対の箱型収納ユニット7の動きが平行移動に限定されるので、一人でも箱型収納ユニット7を軽い力で滑らかにかつ容易に移動させることができる。
【0043】
図2の例では、キャスター11aは、箱型収納ユニット7の両端部の収納棚15のそれぞれの底板27の下に6つ設けられている。しかしキャスター11aの数は3つ以上であれば、これに限らない。
箱型収納ユニット7を固定する際には、キャスター11aにストッパーを取り付けることが好ましい。収納棚15を持ち上げる上昇機構を設けてもよい。
【0044】
図2と
図3に示すように、ガイドローラ11bは、収納棚15の側板25に取り付けられており、第1壁面5、好ましくは第1壁面5の下端部で第1方向Xに延びる巾木に接するローラを有する。箱型収納ユニット7の移動時には、ガイドローラ11bは、第1壁面5(好ましくは巾木)に接しながら、それに沿って転動する。巾木の素材は樹脂又は木材である。
【0045】
この構成により、箱型収納ユニット7は、第2方向Yの両端部のガイドローラ11bが第1壁面5(巾木)に接した状態で移動するので、箱型収納ユニット7の移動方向を第1方向Xに限定することができる。それにより居住者は、箱型収納ユニット7を、滑らかにかつ容易に移動させることができる。
【0046】
図2に示すように、固定装置13は、天井固定装置13aであり、天板22に設けられることが好ましい。収納スペースには、天板22からリフトアップノブ13bが突出しており、リフトアップノブ13bを回すことにより、天板22から天井に向けて天井固定装置13aが上昇する。
なお、収納棚15の天板22に設けられる固定装置13は、その他の構成でもよい。
【0047】
天井に着くまで天井固定装置13aを上昇させることにより、固定装置13は、箱型収納ユニット7の位置を固定することができる。
【0048】
この実施形態の通路用開口9は、箱型収納ユニット7を第1方向Xに人が通り抜け可能な穴である。
図2に示すように、一対の箱型収納ユニット7の通路用開口9は、第2方向Yにおける同じ位置に設けられる。それにより、一対の箱型収納ユニット7を近接させて又は接しさせて配置したときに、2つの通路用開口9が第1方向Xに連通するので、通路用開口9を通路として使用することができる。それにより、居住者は、箱型収納ユニット7の表裏へ行き来することができる。
【0049】
図2に示すように、この実施形態の箱型収納ユニット7は、第1壁面沿いに収納棚15を2つ有しており、それらの収納棚15の上端部を連結梁17が連結する。連結梁17は、第2方向Yに延びる梁である。箱型収納ユニット7は、この連結梁17が複数の収納棚15を連結することにより、一体に形成されている。
【0050】
通路用開口9は、この連結梁17の下であって、複数の収納棚15の間に位置する。
【0051】
一対の箱型収納ユニット7は、通路用開口9の内部に着脱可能に固定可能な通路用棚板19又はハンガーを掛けるための通路用ハンガーパイプ21と、通路用開口9の対向側に着脱可能に固定可能な着脱可能背板23c(
図3の破線を参照)を有していてもよい。通路用棚板19と通路用ハンガーパイプ21は、通路用開口9の内部で第2方向Yに水平に延びるものであることが好ましい。
【0052】
収納棚15の側板25のうち、通路用開口9に面した側面25aには、通路用棚板19を取り付けるためのダボや、通路用ハンガーパイプ21を取り付けるための溝が設けられていてもよい。
【0053】
この構成により、居住者は、通路用開口9を通路として使用する際には、通路用棚板19や通路用ハンガーパイプ21を取り外すことで、容易に通路を形成することができる。また通路用棚板19や通路用ハンガーパイプ21を収納棚15の側板25の側面25aに取り付けることで、居住者は、容易に通路用開口9を収納スペースとして使用できるので、その分収納スペースを増やすことができる。着脱可能背板23cを取り付けることにより、通路用開口9を部屋側からのみ出し入れできる収納スペースとして使用することもできる。
【0054】
もしくは、この側面25aには、
図3に示すように通路用棚板19の第2方向Yにおける一端部が蝶番で固定されていてもよい。通路用開口9を通路として使用する場合には、通路の壁(すなわち収納棚15の側板25の側面25a)に通路用棚板19を下げ又は持ち上げ、通路の壁に沿わせる。収納スペースを増やす際には、通路用棚板19を水平になるまで回動し、通路用棚板19の他端部をダボ等で収納棚15の側板25に固定することで、容易に通路用開口9を収納スペースにすることができる。
【0055】
通路用棚板19や通路用ハンガーパイプ21の固定方法は、その他のものでもよい。
【0056】
一対の箱型収納ユニット7は、着脱可能に設けられ通路用開口9を開閉する扉29を有する。
図4に示すように扉29は、収納棚15の開口部にも設けられる。
【0057】
扉29は、通路用開口9の部屋側の開口部に設けられていることが好ましい。
【0058】
扉29が着脱可能に設けられていることにより、扉29を外して通路用開口9を通路として使用することができる。
【0059】
また、可動収納システム1は、面ファスナーで着脱可能なフィラー31を有することが好ましい。居住者が、箱型収納ユニット7の位置を固定した後に第1壁面5と箱型収納ユニット7との間の隙間や、床面と箱型収納ユニット7との間の隙間に沿ってフィラー31を取り付けることにより、箱型収納ユニット7が居室3を区切って設けた隣の部屋4から光が漏れるのを防ぐことができる。また、部屋4から箱型収納ユニット7を見たときに、隙間やガイドローラ11bが見えないので、備え付けの固定収納のような美しい外観を提供できる。
【0060】
また一対の箱型収納ユニット7は、後述する
図6(B)に示すように、両端部を両背板23に着脱可能に固定可能な背板用棚板23a又はハンガーを掛けるための背板用ハンガーパイプ23bを有することが好ましい。背板用棚板23aと背板用ハンガーパイプ23bの長手方向の長さは、同じ長さである。
【0061】
これにより、背板用棚板23a又は背板用ハンガーパイプ23bの長さ分の間隔をあけて一対の箱型収納ユニット7を配置することにより、一対の箱型収納ユニット7の間のスペースを収納スペースとして使用することができる。
【0062】
収納棚15の背板23の対向側の側面には、背板用棚板23aや背板用ハンガーパイプ23bを取り付けるためのダボや溝等が設けられていることが好ましい。
【0063】
この実施形態の居室3は、互いに対向する第1壁面5が平行であるならば、2つの第1壁面5をつなぐ壁面(以下、第2壁面6)が第1壁面5に直交に延びていなくてもよい。例えば上方から見たときの居室3の形状は、第1壁面5が上底と下底を構成する台形であってもよい。また
図1に示すように、第2壁面6が折れ曲がっていてもよい。
【0064】
居室3の広さは、部屋4を2つ作る場合に備えて、一般的な部屋4の広さの2倍〜3倍以上の広さがあることが好ましい。
【0065】
居室3の照明は、天井に埋め込まれている。それにより居室3の天井は、平坦に設けられている。また居室3の床も平坦に設けられている。
【0066】
また居室3は、第1方向Xの両端側に出入口が設けられていることが好ましい。しかし、この実施形態の通路用開口9を収納スペースとして使用しないのであれば、居室3に設けられる出入口は、第1方向Xの一端部に一つのみであってもよい。
【0067】
例えば
図1に示す居室3は、第1方向Xの一端側(
図1の下方側)の第2壁面6がウォールドア3aで構成されており、ウォールドア3aの一枚をスライドさせて居室3に出入りできるようになっている。この居室3は、ウォールドア3aをスライドさせることができる間は2つの出入口を有するが、袋戸3bが使えない間は、居室3の他端側(
図1の上方側)の出入口のみから出入りすることとなる。袋戸3bが使えない場合とは、例えば袋戸3bの上に荷物が載せられている場合である。
【0068】
この実施形態の可動収納システム1は、収納棚15が第1壁面5に近接した位置に設けられ、収納棚15の間に通路用開口9が設けられていることにより、可動収納システム1の第2方向Yにおける両端部の重さが同様であるため、バランスよく箱型収納ユニット7を移動させることができる。そのため、軽い操作性により、あまり力を掛けなくても、簡易に箱型収納ユニット7を移動させることができる。したがって、本発明の可動収納システム1は、ちょっとした生活の変化に対応することができる。また、箱型収納ユニット7を簡易に移動させることができるので、居住者自身が箱型収納ユニット7の配置換えをすることができる。
【0069】
また箱型収納ユニット7が、一方の第1壁面5から他方の第1壁面5にかけて一体に形成されているため、一方の第1壁面5から他方の第1壁面5までの箱型収納ユニット7が一体的に動く。そのため、収納棚15を揃える時間や手間が必要なく、収納棚15を直列に揃えて配置したまま数mm単位で移動させることができる。
【0070】
また、居室3に初めから配置される巾木部をガイドローラ11bのガイドとして使用するため、箱型収納ユニット7を第1方向Xに直進させるための新たなガイド部材を用意する必要が無い。その上、収納棚15の側板25から第1壁面側に突出したガイドローラ11bが巾木部に沿って転動するので、箱型収納ユニット7と第1壁面5との間の隙間を維持できる。そのため箱型収納ユニット7を第1方向Xに移動させても第1壁面5が傷つかない。
【0071】
さらに、2枚の第1壁面5の間を箱型収納ユニット7が横切って塞ぐ構造をしているので、部屋4から箱型収納ユニット7を見たときに、作り付けの棚のように美しい外観を維持できる。
【0072】
次に、本発明の可動収納システム1の使用方法の実施形態について説明する。
【0073】
図5〜
図7は、本発明の実施形態の可動収納システム1の平面図である。
図5〜
図7では、収納スペースに破線斜線を付している。
【0074】
(使用方法1:広い部屋4が必要な場合)
図5(A)は、部屋4を最大に広げたときの本発明の実施形態の平面図である。
【0075】
例えば、1部屋に4人家族の全員が並んで寝られる寝室を作ろうとした場合、広い部屋4が必要になる。その場合、この図に示すように一対の箱型収納ユニット7を互いに付け、第1方向Xにおける居室3の一端側(
図5(A)の下方側)に寄せて配置する。それにより、第1方向Xにおける居室3の他端側(
図5(A)の上方側)の部屋4の広さを最大限に広げることができる。
【0076】
具体的には、まず、リフトアップノブ13bを回して天井固定装置13aを下降させ、収納棚15を第1方向Xに軽く押し、箱型収納ユニット7を移動させる。収納棚15は、連結梁17で連結されているので、一方の収納棚15を押せば箱型収納ユニット7が一体となって移動する。
【0077】
箱型収納ユニット7が第1方向Xにおける居室3の一端側(
図5(A)の下方側)まで移動したら、リフトアップノブ13bを回して天井固定装置13aを天井に付くまで上昇させ、天井に押し付ける。加えて、キャスター11aにストッパーを取り付けてもよい。
【0078】
これにより、第1方向Xにおける任意の位置に箱型収納ユニット7を容易に移動し、固定することができる。
【0079】
その後、第1壁面5と収納棚15の側板25との間や、床面と箱型収納ユニット7との間の隙間に、フィラー31を取り付ける。
【0080】
なお、この図に例示した居室3の一端側の第2壁面6は、移動可能なウォールドア3aとなっているが、ウォールドア3aの袋戸3bの上に箱型収納ユニット7があるため、ウォールドア3aを開けることができない。そのため、ウォールドア3aと箱型収納ユニット7との間の空間に出入り可能とするために、この図の通路用開口9は、通路として使用される。
【0081】
このとき、通路用開口9に着脱可能な扉29を取り付け、通路用開口9を通路として使用することが好ましい。
【0082】
(使用方法2:居室3を2部屋に分け、かつ部屋4の面積を最大限に広くする場合)
図5(B)は、居室3を2部屋に分け、かつ部屋4の面積を最大限に広くする場合を示す平面図である。
【0083】
この図に示すように、ウォールドア3aの袋戸3bの上に家具を置かなければ、ウォールドア3aを開閉して部屋4に出入りできる。通路用開口9を通路として使用する必要が無いため、通路用開口9を収納スペースとして有効に利用することができる。
【0084】
この場合、収納棚15の側板25の通路用開口9に面する側面25aにダボを取り付け、通路用棚板19を取り付ける。もしくは、蝶番で一端部が側面25aに取り付けられた通路用棚板19の他端部を持ち上げ、他端部側の収納棚15の側板25の側面25aにダボを取り付け、通路用棚板19を水平に維持する。
【0085】
またこの側面25aに設けられた溝に通路用ハンガーパイプ21をはめて通路用ハンガーパイプ21を取り付ける。通路用開口9の対向側には、着脱可能背板23cを取り付ける。
【0086】
これにより、容易に通路用開口9を収納棚として使用することができる。
【0087】
なお、それ以外の可動収納システム1の使用方法は、使用方法1と同様である。
【0088】
(使用方法3:ウォークスルークローゼットを作る場合)
図6(A)は、ウォークスルークローゼットを作る場合を示す平面図である。
【0089】
ウォークスルークローゼットとは、人が通り抜けできるクローゼットである。
【0090】
一対の箱型収納ユニット7を、第1方向Xに任意の間隔をあけて配置し、2つの通路用開口9の部屋側の開口部の両方に着脱可能な扉29を取り付ける。
【0091】
それにより一対の箱型収納ユニット7の間の空間と通路用開口9とをウォークスルークローゼットとすることができる。
【0092】
これにより、一対の箱型収納ユニット7の収納棚15と収納棚15との間の空間Z分、使用方法1より収納スペースの容量を増やすことができる。この空間Zには、スーツケースや、来客用の布団、季節物の荷物(例えばクリスマスツリー)などの大きな荷物や使用頻度が少ない荷物を置いてもよい。
【0093】
なお、
図6(B)に示すように、背板用棚板23aや背板用ハンガーパイプ23bの長さ分、一対の箱型収納ユニット7の間隔をあけ、背板用棚板23aや背板用ハンガーパイプ23bを背板23に取り付けてもよい。
【0094】
なお、それ以外の可動収納システム1の使用方法は、使用方法1と同様である。
【0095】
(使用方法4:ウォークインクローゼットを作る場合)
図6(B)は、ウォークインクローゼットを作る場合を示す本実施形態の可動収納システム1の平面図である。
【0096】
ウォークインクローゼットとは、中に入ることができるクローゼットである。
【0097】
一対の箱型収納ユニット7を、第1方向Xに任意の間隔をあけて配置し、2つの通路用開口9の部屋側の開口部の両方に着脱可能な扉29を取り付ける。
【0098】
次いで、一方の通路用開口9を通路として使用し、他方の通路用開口9には通路用棚板19や通路用ハンガーパイプ21を取り付けて収納スペースとして使用する。他方の通路用開口9の扉29は常時閉めたままにし、背板23として使用する。この他方の通路用開口9に形成した収納スペースは、ウォークインクローゼットの中から使用する。
【0099】
各収納棚15の背板23には、背板用棚板23aや背板用ハンガーパイプ23bを取り付けてもよい。つまり、一対の箱型収納ユニット7を、第1方向Xに間隔をあけて配置し、一対の箱型収納ユニット7の互いに対向する側面に取り付けられた背板23に、第1方向Xに延びる背板用棚板23a又は背板用ハンガーパイプ23bの両端部を固定し、一対の箱型収納ユニット7の間の空間を収納棚として使用する。
【0100】
その場合、一対の箱型収納ユニット7の間隔を、背板用棚板23aや背板用ハンガーパイプ23bの第1方向Xの長さとする。
【0101】
これにより、使用方法1より収納スペースを大幅に増やすことができる。
【0102】
このようにこの実施形態の可動収納システム1は、一方の通路用開口9からのみ入ることができるウォークインクローゼットを容易に形成することができる。
【0103】
なお、一対の箱型収納ユニット7の収納棚15と収納棚15との間の空間Zは、
図6(A)のように背板用棚板23aや背板用ハンガーパイプ23bを取り付けずに使用してもよい。
【0104】
それ以外の可動収納システム1の使用方法は、使用方法1や使用方法3と同様である。
【0105】
(使用方法5:2部屋と納戸を作る場合)
図7(A)は、居室3に2部屋4と納戸を作る場合の平面図である。
【0106】
まず一対の箱型収納ユニット7の収納棚15と収納棚15との間を、背板用棚板23aの第1方向Xの長さ分あけて、各箱型収納ユニット7を固定する。
【0107】
次いで、収納棚15の背板23の対向側の側面に、背板用棚板23aを上下方向に複数枚取り付ける。
【0108】
これにより一対の箱型収納ユニット7の収納棚15と収納棚15との間の空間Zに棚を作り、一対の箱型収納ユニット7の収納棚15と収納棚15との間と通路用開口9の空間を納戸とすることができる。
【0109】
なお、それ以外の可動収納システム1の使用方法は、使用方法1と同様である。
【0110】
(使用方法6:通路を確保しつつ収納スペースを増やす場合)
図7(B)は、通路を確保しつつ収納スペースを増やす場合の平面図である。
【0111】
この図の扉29は、通路用開口9の部屋側の開口部のみならず対向側の開口部にも着脱可能に設けられるようになっている。通路用開口9の対向側の扉29は、表と裏に同じような化粧板や取手が施される。この構成により、後述する
図7(B)に示すように通路用開口9の第2方向Yの幅と同じ距離の間隔を隔てて一対の箱型収納ユニット7を配置することで、通路用開口9を通路として確保しつつ、一対の箱型収納ユニット7の収納棚15と収納棚15の間の空間Zを収納スペースとして使用することができる。この場合、通路用開口9の対向側の開口部に取り付けられた扉29が空間Zの収納スペースを開閉する。つまり、通路用開口9の扉29を、空間Zの扉29として使用する。空間Zには、市販の収納家具等を置いてもよい。
【0112】
この図のように、例えば居室3の第1方向Xの一端部(
図7(B)で下端部)に出入口が無い場合、
図7(B)の下方側の部屋4に入るための通路を確保する必要がある。このような場合でも収納スペースを確保する必要があるときは、箱型収納ユニット7の通路用開口9の対向側の開口部に扉29を取り付け、通路用開口9の第2方向Yの幅と同じ距離分、間隔をあけて一対の箱型収納ユニット7を配置し、固定する。
【0113】
この扉29の蝶番は、通路用開口9を閉じるとき(0°)と、最も開放するとき(90°)にロックがかかることが好ましい。
【0114】
またこの扉29の裏面は、表面と同様に化粧板と取手が取り付けられている。
【0115】
これにより、一対の箱型収納ユニット7の間隔分、通路が第1方向Xに延び、一対の箱型収納ユニット7の収納棚15と収納棚15との間の空間Zは、通路の第2方向Yの両側に作られた収納スペースとなる。
【0116】
扉29を90°開けたときに、この通路の両側の収納スペース(空間Z)が閉じられる。扉29の裏面は、通路の壁面になる。
【0117】
これにより、たとえ居室3の出入口が一つしかなくても、若しくは居室3に2つある出入口のうちの一つが使えなくても、収納スペースを増やすことができる。
【0118】
上述した本発明によれば、一対の箱型収納ユニット7が居室3を仕切り、平行な第1壁面5に沿って案内する案内装置11を備えるので、部屋4の大きさを可変することができる。
【0119】
また、第1方向Xに人が通り抜けられる通路用開口9が箱型収納ユニット7に設けられているので、一対の箱型収納ユニット7が間隔を隔てるように箱型収納ユニット7を案内装置11で案内することにより、一対の箱型収納ユニット7の間の空間を収納スペースとして使用することができる。
【0120】
その上、通路用開口9を通路として使用しない場合には、通路用開口9を収納スペースとして使用することもできる。
【0121】
したがって、本発明によれば、収納スペースの容量を容易に増減することができる。
【0122】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。