特許第6757746号(P6757746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6757746可聴インジケータばねを有する薬物送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757746
(24)【登録日】2020年9月2日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】可聴インジケータばねを有する薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20200910BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   A61M5/20 510
   A61M5/20 550
   A61M5/168 540
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-562581(P2017-562581)
(86)(22)【出願日】2016年6月2日
(65)【公表番号】特表2018-516682(P2018-516682A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】EP2016062504
(87)【国際公開番号】WO2016193375
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年5月22日
(31)【優先権主張番号】15170583.7
(32)【優先日】2015年6月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】カールステン・モーゼバッハ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マーク・ケンプ
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/146209(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)であって:
薬剤容器(3)を保持するように適用されたケース(2)と、
該ケース(2)内に配置され、薬剤容器(3)から薬剤(M)を送達するために近位位置から遠位位置へ摺動可能なプランジャ(10)と、
プランジャ(10)を近位位置から遠位位置に向かって付勢する駆動ばね(9)と、
ケースポケット(2.2.2)内でプランジャに対して側方に配置され、プランジャ(10)に動作可能に連結された可聴インジケータ(12)とを含み、
該可聴インジケータ(12)は、
少なくとも1つのインジケータばね(12.1)と、
少なくとも1つのロッキング要素(12.2)と
を含み、ここで、
インジケータばね(12.1)は、ロッキング要素(12.2)によって付勢され、
インジケータばね(12.1)は、プランジャ(10)の動きによってロッキング要素(12.2)が解放されることにより弛緩し、それにより可聴信号を生成し、そして、
ここで、駆動ばね(9)は、インジケータばね(12.1)に対して平行に径方向にずれて配置される、前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
インジケータばね(12.1)は、ケース(2)に対して遠位方向(D)に弛緩することを特徴とする、
請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
インジケータばね(12.1)は、遠位方向(D)の弛緩のためにケース(2)に当たり、それによって可聴の触覚フィードバックを生成することを特徴とする、
請求項2に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項4】
インジケータばね(12.1)は、コイルばねを含むことを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項5】
インジケータばね(12.1)は、近位端(12.1.1)および遠位端(12.1.2)を含み、ここで、
近位端(12.1.1)は、ケース(2)に固定され、
遠位端(12.1.2)は、ロッキング要素(12.2)によって支持可能であることを特徴とする、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項6】
ロッキング要素(12.2)は、可撓性アームとして構成され、ここで、ロッキング要素(12.2)は、プランジャ(10)によって付勢されることを特徴とする、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項7】
ロッキング要素(12.2)は、プランジャ(10)によって径方向外方に付勢されることを特徴とする、
請求項6に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項8】
インジケータばね(12.1)の遠位端(12.1.2)は、ロッキング要素(12.2)が径方向外方に付勢される限り、ロッキング要素(12.2)によって支持されることを特徴とする、
請求項7に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項9】
ロッキング要素(12.2)は、インジケータばね(12.1)を支持する突出部(12.2.1)を含み、ここで、遠位端(12.1.2)は、ロッキング要素(12.2)が径方向外方に付勢される限り、突出部(12.2.1)に当接することを特徴とする、請求項8に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項10】
プランジャ(10)が遠位位置にあるとき、ロッキング要素(12.2)は解放されることを特徴とする、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項11】
複数のインジケータばね(12.1)を有することを特徴とする、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項12】
ケース(2)は、前方ケース(2.1)および後方ケース(2.2)を含み、該後方ケースは、長手方向に沿って前方ケース(2.1)によって取り囲まれており、前方ケース(2.1)の開いた近位端を閉じるように適用されることを特徴とする、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項13】
ケースポケット(2.2.2)は、後方ケース(2.2)内に配置されることを特徴とする、
請求項12に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項14】
薬物送達デバイス(1)は、自己注射デバイスとして構成され、該自己注射デバイスは:
ケース(2)に嵌め込み式に連結されたニードルシュラウド(7)と、
該ニードルシュラウド(7)をケース(2)に対して遠位に付勢するシュラウドばね(8)とをさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
注射の投与は、使用者および医療従事者にとって精神的にも身体的にもいくつかのリスクおよび難題を呈するプロセスである。注射デバイスは、典型的には、2つの部類、すなわち手動デバイスおよび自己注射器に分けられる。従来の手動デバイスでは、針に薬剤を通すために、手の力が必要とされる。これは、典型的には、注射中に連続して押下されるプランジャによって行われる。この手法には多数の欠点が伴う。たとえば、プランジャの解放が早すぎた場合、注射が止まり、意図された用量が送達されない可能性がある。さらに、プランジャを押すために必要とされる力が大きすぎる可能性もある(たとえば、使用者が高齢者または子供である場合)。また、注射デバイスを位置合わせし、注射を投与し、注射中に注射デバイスを静止したまま維持するには器用さが必要とされるが、患者の中にはそのような器用さを有していない人もいる。
【0003】
自己注射デバイスは、患者にとって自己注射をより容易にすることを目的とする。従来の自己注射器は、ばねによって注射を投与する力を提供することができ、トリガボタンまたは他の機構を使用して、注射を起動することができる。自己注射器は、使い捨てまたは再利用可能なデバイスとすることができる。
【0004】
さらに、患者の体内で薬剤の完全な効果を実現するために、全用量を投与する必要がある。
【0005】
したがって、改善された薬物送達デバイスが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、改善された薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の薬物送達デバイスによって実現される。
【0008】
本発明の例示的な実施形態は、従属請求項に与えられる。
【0009】
本発明によれば、薬物送達デバイス、たとえば手動注射デバイスまたは自己注射器は:
− 薬剤容器を保持するように適用されたケースと、
− ケース内に配置され、薬剤容器から薬剤を送達するために近位位置から遠位位置へ摺動可能なプランジャと、
− ケースポケット内でプランジャに対して側方に配置され、プランジャに動作可能に連結された可聴インジケータとを含み、
可聴インジケータは、
少なくとも1つのインジケータばねと、
少なくとも1つのロッキング要素と
を含み、ここで、
インジケータばねは、ロッキング要素によって付勢され、インジケータばねは、プランジャの動きによってロッキング要素が解放されることにより弛緩する。
【0010】
提供される薬物送達デバイスは、薬剤の全用量が使われたことを患者または使用者に示すために使用することができる可聴インジケータによって改善される。ケースポケット内でプランジャに対して側方に可聴インジケータを配置することで、従来技術に対して薬物送達デバイスの構成の選択肢を広げることが可能になる。これは、組み立ての終わりまたはその後に、可聴インジケータをデバイス内へ配置することができるためである。したがって、可聴インジケータの構成は、デバイスの要件に可変的に適用可能とすることができる。さらに、可聴インジケータのこの配置のため、薬物送達デバイスの組み立てを容易に実行することができる。
【0011】
例示的な実施形態では、薬物送達デバイスは、可聴インジケータを受けるように適用されたケースポケットを備える。したがって、薬物送達デバイスは、必要に応じて、可聴インジケータを備えても備えなくてもよい。
【0012】
さらなる例示的な実施形態では、インジケータばねは、ケースに対して遠位方向に弛緩する。次いで、インジケータばねは、遠位方向の弛緩のためにケースに当たり、それによって可聴の触覚フィードバックを生成することができる。
【0013】
例示的な実施形態では、インジケータばねは、コイルばね、たとえばつる巻き圧縮ばねを含む。コイルばねは、中実のスチールワイアによって形成することができ、したがって機械的に頑丈である。
【0014】
さらに、インジケータばねは、近位端および遠位端を含むことができ、ここで、近位端は、ケースに固定され、遠位端は、ロッキング要素によって支持可能である。ケースポケットは、ケース部材内に設けることができ、このケース部材内にインジケータばねが挿入される。インジケータばねが完全に圧縮された場合、その長さは、ケースポケット内へ嵌るのに十分なほど短く、次いで、伸張された後、インジケータばねの端部は、ケースポケットの閉じたセクション内へ伸張する。薬物送達デバイスが完全に組み立てられた後、第2のケース部材が、ケースポケットをさらに閉じる。インジケータばねの近位端は、接着剤による結合によって、ケースに固定することができる。しかし、インジケータばねが圧縮されているとき、すなわちインジケータばねがケースとロッキング要素の両方に対して圧縮力をかけているとき、この固定は必要とされない。
【0015】
例示的な実施形態では、ロッキング要素は、可撓性アームとして構成することができ、ここで、ロッキング要素は、プランジャによって付勢される。
【0016】
ロッキング要素は、プランジャによって径方向外方に付勢することができる。たとえば、ロッキング要素は、プランジャの外周に当接し、プランジャによって、径方向内方に撓むことが防止される。
【0017】
ロッキング要素は、ロッキング要素が径方向外方に付勢される限り、コイルばねの遠位端を支持する。したがって、プランジャが遠位位置になく、薬剤がまだ薬剤容器内にある限り、コイルばねは弛緩することが可能でない。
【0018】
例示的な実施形態では、ロッキング要素は、コイルばねを支持する突出部を含み、ここで、コイルばねの遠位端は、ロッキング要素が径方向外方に付勢される限り、突出部に当接する。
【0019】
さらなる例示的な実施形態では、プランジャが遠位位置にあるとき、ロッキング要素は解放される。遠位位置で、ロッキング要素はプランジャの外周にこれ以上当接しなくなり、したがって径方向内方に解放することが可能になる。ロッキング要素が径方向内方に解放されると、インジケータばねは弛緩し、インジケータばねの遠位端は、ケース上に配置された接触面に当たり、それによって認識可能な可聴信号として雑音を生成する。
【0020】
例示的な実施形態では、薬物送達デバイスは、複数のインジケータばねを含む。たとえば、インジケータばねは、ケース内で周囲に配置される。
【0021】
さらに、ケースは、前方ケースおよび後方ケースを含むことができ、後方ケースは、長手方向に沿って前方ケースによって取り囲まれており、前方ケースの開いた近位端を閉じるように適用される。インジケータばねは、後方ケース内に配置することができる。
【0022】
例示的な実施形態では、薬物送達デバイスは、自己注射器として構成され、自己注射器は、ケースに嵌め込み式に連結されたニードルシュラウドと、ニードルシュラウドをケースに対して遠位に付勢するシュラウドばねと、プランジャを近位位置から遠位位置に向かって付勢する駆動ばねとを含む。
【0023】
駆動ばねは、インジケータばねに対して平行に配置することができる。
【0024】
本発明のさらなる適用可能範囲は、以下に記載する詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者には明らかになるため、本発明の例示的な実施形態を示す詳細な説明および特有の例は、例示のみを目的として記載されていることを理解されたい。
【0025】
本発明は、以下に記載する詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されよう。詳細な説明および添付の図面は、例示のみを目的として記載されており、したがって本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による薬物送達デバイスの例示的な実施形態の概略斜視部分断面図である。
図2】プランジャおよび可聴インジケータを有する後方ケースを含み、プランジャが近位位置にある、駆動サブアセンブリの例示的な実施形態の概略斜視部分断面図である。
図3】プランジャが遠位位置にある、駆動サブアセンブリの概略長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
対応する部材は、すべての図において同じ参照記号で印付けられている。
【0028】
図1は、本発明による薬物送達デバイス1の例示的な実施形態の概略斜視部分断面図を示す。
【0029】
図示の例示的な実施形態では、薬物送達デバイス1は、自己注射デバイスとして構成される。
【0030】
薬物送達デバイス1は、前方ケース2.1および後方ケース2.2を有するケース2を含む。ケース2は、シリンジなどの薬剤容器3を保持するように適用される。以下、薬剤容器を「シリンジ3」と呼ぶ。シリンジ3は、薬剤Mを収容する充填済みシリンジとすることができ、シリンジ3の遠位端には、針4が配置される。別の例示的な実施形態では、薬剤容器3は、薬剤Mを含み、取り外し可能な針に係合(たとえば、ねじ山、スナップ、摩擦などによる)するカートリッジとすることができる。
【0031】
薬物送達デバイス1は、針4に連結された保護ニードルシース5をさらに含む。たとえば、保護ニードルシース5は、針4に着脱可能に連結される。保護ニードルシース5は、ゴムのニードルシースまたは剛性のニードルシースとすることができ、剛性のニードルシースは、ゴムおよび全体的または部分的なプラスチックシェルから構成される。
【0032】
シリンジ3を近位に封止し、シリンジ3内に収容された薬剤Mを針4を通って変位させるために、ストッパ6が設けられ、シリンジ3内に配置される。
【0033】
ケース2にはニードルシュラウド7が嵌め込み式に連結され、ニードルシュラウド7は、針4が覆われるケース2に対する第1の伸長位置と、針4が露出されるケース2に対する後退位置との間を可動である。さらに、ケース2に対してニードルシュラウド7を遠位に付勢するように、シュラウドばね8が配置される。
【0034】
図示の例示的な実施形態では、ケース2内に駆動ばね9が配置される。プランジャ10が、駆動ばね9の力をストッパ6へ送る働きをする。プランジャ10は中空であり得、駆動ばね9はプランジャ10内に配置され、ケース2に対してプランジャ10を遠位に付勢する。別の例示的な実施形態では、プランジャ10を中実とすることができ、駆動ばね9は、プランジャ10の近位端に係合することができる。
【0035】
プランジャ10は、薬剤Mをシリンジ3から針4を通って患者の体内へ駆動するために、ケース2に対して近位位置(図1に示す)から遠位位置に向かって可動である。
【0036】
さらに、ニードルシュラウド7がケース2に対して後退する前にプランジャ10が解放されることを防止することができる。プランジャ10は、ニードルシュラウド7が十分に後退した後に解放されるように構成することができる。これは、プランジャ解放機構によって実現される。プランジャ解放機構について、これ以上詳細には説明しない。
【0037】
ケース2の遠位端、特に前方ケース2.1の遠位端に、キャップ11を取り外し可能に配置することができる。キャップ11は、たとえばケース2からキャップ11を捩じり取ることおよび/または引き抜くことによってキャップ11の取り外しを容易にするため、また保護ニードルシース5、ケース2、および/またはニードルシュラウド7を係合するために、把持機能(詳細には図示せず)を含むことができる。把持機能は、突起、フック、狭いセクションなど含むことができる。
【0038】
キャップ11が定位置にある限り、ニードルシュラウド7がケース2に対して後退することが防止され、それによって、たとえば出荷または包装中などに落下した場合、薬物送達デバイス1の意図しない起動が回避される。これは、シュラウドロック機構によって実現される。シュラウドロック機構について、これ以上詳細には説明しない。
【0039】
薬物送達デバイス1は、薬剤Mの送達完了を示す使用者または患者のための可聴フィードバックをもたらす少なくとも1つの可聴インジケータ12をさらに含む。言い換えれば、可聴インジケータ12は、薬剤Mの全用量が使われたことを使用者または患者に示すために設けられる。
【0040】
例示的な実施形態によれば、薬物送達デバイス1は、後方ケース2.2内に配置された1つの可聴インジケータ12を含む。
【0041】
可聴インジケータ12は、インジケータばね12.1およびロッキング要素12.2を含む。
【0042】
インジケータばね12.1は、図1および図2に示すように、コイルばねとして構成することができる。たとえば、インジケータばね12.1は、いくつかのコイルを含む単線のスチールワイアから作られる。インジケータばね12.1は、後方ケース2.2内に配置された止め具に固定された近位端12.1.1を含む。インジケータばね12.1の遠位端12.1.2は、ロッキング要素12.2上に配置された突出部12.2.1によって支持される。さらに、インジケータばね12.1は、後方ケース2.2内に設けられたケースポケット2.2.2内に配置することができる。インジケータばね12.1が完全に圧縮された場合、その長さは、ケースポケット2.2.2内へ嵌るのに十分なほど短く、次いで、伸張された後、インジケータばね12.1の端部12.1.1、12.1.2は、ケースポケット2.2.2の閉じたセクション内へ伸張する(図示せず)。薬物送達デバイス1が完全に組み立てられた後、図示されていないケース部材が、ケースポケット2.2.2をさらに閉じることができる。
【0043】
ケースポケット2.2.2はまた、プランジャ10の外周によって径方向外方に付勢される可撓性アームとして構成することができるロッキング要素12.2を受ける。したがって、ロッキング要素12.2は、プランジャ10がケース2に対して遠位位置にない限り、プランジャ10に当接する。
【0044】
図2および図3に最もよく見ることができるように、ケースポケット2.2.2、したがって可聴インジケータ12は、プランジャ10に対して側方に配置される。これにより、組立プロセスの終わりまたはさらにはその後に可聴インジケータ12をケースポケット2.2.2内へ配置することができるため、薬物送達デバイス1の構成の選択肢を広げることが可能になる。したがって、可聴インジケータ12の構成は、薬物送達デバイス1の要件に可変的に適用可能とすることができる。また、薬物送達デバイス1は、可聴インジケータ12を備えることも備えないことも可能である。
【0045】
突出部12.2.1は、ロッキング要素12.2から径方向外方に突出し、したがって径方向にプランジャ10から離れる方へ突出する。突出部12.2.1は、インジケータばね12.1の遠位端12.1.2のための止め具を生み出し、インジケータばね12.1は、突出部12.2.1への当接のために遠位方向Dに付勢される。
【0046】
ロッキング要素12.2およびプランジャ10の当接は、ケース2に対してプランジャ10を遠位方向Dに動かすことによって解放可能であり、ロッキング要素12.2は、プランジャ10がその遠位位置に到達すると、径方向内方に弛緩することが可能になり、プランジャ10の近位端は、ロッキング要素12.2の遠位方向後方に位置する。ロッキング要素12.2が径方向内方に弛緩すると、インジケータばね12.1の遠位端12.1.2および突出部12.2.1の当接が解放され、したがって付勢されたインジケータばね12.1が遠位方向Dに弛緩することが可能になる。その結果、インジケータばね12.1の遠位端12.1.2は、後方ケース2.2上に配置された接触面2.2.1に当たる。当たったときの雑音は、薬剤の全用量が使われたことを使用者に示す可聴の触覚インジケーション信号を生成する。
【0047】
例示的な実施形態では、薬物送達デバイス1は、サブアセンブリ1.1の製造およびシリンジ3との最終的な組み立ての時間および位置に関する柔軟性を可能にする少なくとも2つのサブアセンブリ、たとえば制御または前方サブアセンブリ(図示せず)および駆動または後方サブアセンブリ1.1から形成することができる。
【0048】
図2は、プランジャ10が近位位置にある、そのような駆動サブアセンブリ1.2の例示的な実施形態の概略斜視部分断面図を示す。図3は、プランジャ10が遠位位置にある、駆動サブアセンブリ1.1の概略長手方向断面図である。
【0049】
駆動サブアセンブリ1.1は、プランジャ10、駆動ばね9、後方ケース2.2、および可聴インジケータ12を含む。
【0050】
前面サブアセンブリ(別個には図示せず)は、少なくとも、前方ケース2.1、ニードルシュラウド7、およびシリンジキャリア13を含み、シリンジキャリア13内へシリンジ3が組み立てられる。
【0051】
薬物送達デバイス1の最終的な組み立て後、前方サブアセンブリ上へ駆動サブアセンブリ1.1が取り付けられる。
【0052】
可聴インジケータ12の適用は、自己注射デバイスに限定されるものではないことが、当業者には容易に理解される。代わりに、可聴インジケータ12は、手動式の薬物送達デバイス1でも同様に、プランジャ10が遠位位置に完全に動かされたことを示すために適用することができる。
【0053】
例示的な実施形態では、可聴インジケータ12は、たとえば約150mmの距離で測定すると、少なくとも100dB(A)の音量の可聴信号をもたらすことができる。試験設定において、吸音環境内でニードルシュラウド7を前方に向けて薬物送達デバイス1を台上に配置した。ニードルシュラウド7と台との間には、薬物送達デバイス1を台から音響的にデカップリングするために、エラストマ層を配置した。2つのマイクロフォン(たとえば、ROGA MI−17(IEPE))を、薬物送達デバイス1から横方向に互いに反対側に、それぞれ150mmの距離をあけて、台から170mm上に配置した。第1の試験は、使用者が右手で薬物送達デバイス1を掴んで薬物送達デバイス1を保持および操作して実行し、マイクロフォンの1つに向かって向けられた薬物送達デバイス1の一方の側を手の指で覆い、他方のマイクロフォンの方を指している反対側を手のひらで覆った。指側のマイクロフォンの可聴信号の音量は少なくとも100dB(A)であり、手のひら側のマイクロフォンの音量は100dB(A)未満であった。別の試験は、使用者が右手の指先だけで薬物送達デバイス1を保持および操作して実行し、手のひらを薬物送達デバイス1とマイクロフォンの1つとの間に配置したが、手のひらで薬物送達デバイス1には接触しなかった。両方のマイクロフォンによって得られた可聴信号の音量は少なくとも100dB(A)であり、手のひら側のマイクロフォンによって検出された音量は、他方のマイクロフォンによって検出された音量よりわずかに小さかった。
【0054】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組み合わせを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0055】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0056】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。たとえば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約−4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0057】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0058】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、GLP−1類似体もしくはGLP−1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0059】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0060】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン−4(Exendin−4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC−2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン−4、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034.MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド(Exenatide)−XTENおよびグルカゴン−Xtenである。
【0061】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0062】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0063】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0064】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG−F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0065】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0066】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペププチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0067】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0068】
例示的な抗体は、アンチPCSK−9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL−6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL−4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0069】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0070】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1〜C6−アルキル基、場合により置換されたC2〜C6−アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10−アリル基、または場合により置換されたC6〜C10−ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0071】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0072】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載する物質、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明は、そのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0073】
1 薬物送達デバイス
1.1 駆動サブアセンブリ
2 ケース
2.1 前方ケース
2.2 後方ケース
2.2.1 接触面
2.2.2 ケースポケット
3 薬剤容器(シリンジ3)
4 針
5 保護ニードルシース
6 ストッパ
7 ニードルシュラウド
8 シュラウドばね
9 駆動ばね
10 プランジャ
11 キャップ
12 可聴インジケータ
12.1 インジケータばね
12.1.1 近位端
12.1.2 遠位端
12.2 ロッキング要素
12.2.1 突出部
13 シリンジキャリア
D 遠位方向
M 薬剤
P 近位方向
図1
図2
図3