特許第6757811号(P6757811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6757811-プラグ接触アセンブリ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757811
(24)【登録日】2020年9月2日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】プラグ接触アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   H01R13/52 301Z
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-17265(P2019-17265)
(22)【出願日】2019年2月1日
(65)【公開番号】特開2019-140102(P2019-140102A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2019年4月12日
(31)【優先権主張番号】10 2018 103 015.0
(32)【優先日】2018年2月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503219640
【氏名又は名称】シュタビルス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】STABILUS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ケスレー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ テイス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ブーヒェン
(72)【発明者】
【氏名】マリアン ブーヒェン
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アクセル クノップ
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−005999(JP,A)
【文献】 特開2016−062724(JP,A)
【文献】 特開2002−216888(JP,A)
【文献】 特開2016−114244(JP,A)
【文献】 米国特許第03350587(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H02K 5/00−5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部閉鎖部(1)によって閉鎖されたハウジング内に配置された電動リニアアクチュエータ用のプラグ接触アセンブリであって、1個以上のプラグ接点(21)を有すると共に、外部から前記ハウジングにガイドされた1本以上のケーブル(20)端に配置されたプラグを備え、前記1本以上のケーブル(20)が、前記端部閉鎖部(1)に配置された対応のプラグソケット(22)に差し込み可能であるプラグ接触アセンブリにおいて、
前記端部閉鎖部(1)内に、外部から前記ハウジング内部(5)に通じると共に、段付き開口(4)として構成された導入開口が形成され、該導入開口が、前記ハウジング内部(5)近傍領域にてより小さな半径方向範囲を有する小段部(6)、並びに外方に通じる領域にてより大きな半径方向範囲を有する大段部(7)を有し、前記プラグ接触アセンブリが、プラグ要素(9)を備え、該プラグ要素(9)が、その設置位置にある場合、軸線方向ピン部材(10)により、前記段付き開口(4)の前記小段部(6)を通過して前記ハウジング内部(5)に突入し、軸線方向保持領域(11)により、前記段付き開口(4)の前記大段部(7)に突入し、前記プラグ要素(9)内を、前記ケーブル(20)が通過し、前記プラグ要素(9)が、外部から前記段付き開口(4)の設置位置まで導入可能であると共に、前記設置位置にて固定可能であり、前記プラグ接点(21)が、前記段付き開口(4)における前記ハウジング内部(5)側の端面から軸線方向に突出し、前記プラグ接触アセンブリが、前記ハウジング内部(5)か又は前記端部閉鎖部(1)内に配置されると共に、前記プラグソケット(22)を有するプラグ保持要素(23)を備え、前記プラグ接触アセンブリが、前記ケーブル(20)を前記プラグ要素(9)から外方に向けてガイドするケーブルグロメット(16)を更に備え、該ケーブルグロメット(16)の一端が、前記保持領域(11)を包囲すると共に、前記保持領域(11)の周方向における外郭面に対してのみならず、前記段付き開口(4)の前記大段部(7)の周方向における内壁に対しても弾性的な付勢力で当接していることを特徴とするプラグ接触アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記ケーブルグロメット(16)が、弾性材料で構成されていることを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記ケーブルグロメット(16)が、前記プラグ要素(9)と形状密着的に接続可能であることを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【請求項4】
請求項3に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記プラグ要素(9)の保持領域(11)が、その周方向における外郭面にて周方向における保持溝(14)を有し、ケーブルグロメット(16)の環状突起(15)が、前記保持溝(14)に突入していることを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記ケーブルグロメット(16)が、前記段付き開口(4)の前記大段部(7)に突入する領域にて、周方向において半径方向に突出するシールビード(17)を有することを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記段付き開口(4)の前記大段部(7)に突入する前記プラグ要素(9)の前記保持領域(11)が、フランジ状拡張部(12)を有し、該フランジ状拡張部(12)が、前記段付き開口(4)の前記小段部(6)から前記大段部(7)への移行部にて、環状面(8)に対して軸線方向に当接可能であることを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記ハウジング内部(5)に突入する前記プラグ要素(9)における前記ピン部材(10)の端部領域に、逆鉤状の係止突起(13)が配置され、該係止突起(13)が、前記ピン部材(10)を前記段付き開口(4)の前記小段部(6)に差し込む際に前記ピン部材(10)の外郭面に折り畳み可能であると共に、前記プラグ要素(9)の前記設置位置にて半径方向外方に向けて弾性的に折り曲げられていることを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記プラグ要素(9)が、非対称断面を有し、前記段付き開口(4)が、前記プラグ要素(9)の前記非対称断面に対応する非対称断面を有することを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記段付き開口(4)が、前記リニアアクチュエータの長手方向軸線(3)に対して0°〜90°の角度範囲で延在していることを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記端部閉鎖部(1)が、接続部分(2)を有することを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載のプラグ接触アセンブリであって、前記リニアアクチュエータが、スピンドル駆動装置であり、該スピンドル駆動装置のスピンドル駆動モータが、前記ハウジング内部(5)に配置されると共に、前記ケーブル(20)に接触していることを特徴とするプラグ接触アセンブリ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端部閉鎖部によって閉鎖されたハウジング内に配置された電動リニアアクチュエータ用のプラグ接触アセンブリに関し、1個以上のプラグ接点を有すると共に、外部からハウジング内にガイドされた1本以上のケーブル端に配置されたプラグを備え、その1本以上のケーブルが、端部閉鎖部に配置された対応のプラグソケットに差し込み可能とされている。
【背景技術】
【0002】
このようなプラグ接触アセンブリにおいては、ハウジング外部に位置するケーブルからハウジング内部に位置する電動リニアアクチュエータへの接続がシール状態で行われなければならないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って本発明の課題は、プラグ接触接続部におけるシール状態の接触を構成単純かつ取り付け容易に可能とするのみならず、外部からシール箇所の評価を可能とする、冒頭に述べた形式のプラグ接触アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、本発明は、端部閉鎖部内に、外部からハウジング内部に通じると共に、段付き開口として構成された導入開口が形成され、その導入開口が、ハウジング内部近傍領域にてより小さな半径方向範囲を有する小段部、並びに外方に通じる領域にてより大きな半径方向範囲を有する大段部を有し、プラグ接触アセンブリが、プラグ要素を備え、プラグ要素が、その設置位置にある場合、軸線方向ピン部材により、段付き開口の小段部を通過してハウジング内部に突入し、軸線方向保持領域により、段付き開口の大段部に突入し、プラグ要素内を、ケーブルが通過し、プラグ要素が、外部から段付き開口の設置位置まで導入可能であると共に、設置位置にて固定可能であり、プラグ接点が、段付き開口におけるハウジング内部側の端面から軸線方向に突出し、プラグ接触アセンブリが、ハウジング内部か又は端部閉鎖部内に配置されると共に、プラグソケットを有するプラグ保持要素を備え、プラグ接触アセンブリが、ケーブルをプラグ要素から外方に向けてガイドするケーブルグロメットを更に備え、そのケーブルグロメットの一端が、保持領域を包囲すると共に、保持領域の周方向における外郭面に対してのみならず、段付き開口の大段部の周方向における内壁に対しても弾性的な付勢力で当接していることを特徴とする。
【0005】
言うまでもなく、運動学的反転においては、プラグソケットがプラグ要素上に配置され、プラグ接点がハウジング内部又は端部閉鎖部内に配置されていてもよい。この構成においては先ず、プラグ接点又はプラグソケットがプラグ要素に接続される。その後、ケーブルグロメットは、その一端がプラグ要素の保持領域を包囲するまで、プラグ要素の逆側からケーブル上をガイドされる。ここで、この予取り付けユニットは、段付き開口の大段部内に差し込まれ、プラグ接点がプラグソケットにも接触する設置位置まで差し込まれる。この場合、ケーブルグロメットは、保持領域の周方向における外郭面に対してのみならず、段付き開口の大段部の周方向における内壁に対しても弾性的な付勢力で当接する。これにより、段付き開口の小段部及びプラグ接点及びプラグソケット領域が外方に対してシールされる。
【0006】
異なる端部閉鎖部に関して、段付き開口、プラグ要素、並びにケーブルグロメットの構成が同じであれば、様々なリニアアクチュエータにおいて低コストの流用部品として使用することができる。
【0007】
プラグ要素、プラグ接点又はプラグソケット、並びにケーブル及びケーブルグロメットで構成されるユニットが予取り付け可能であることにより、取り付けが大幅に容易になる。なぜならこの場合、ユニットを段付き開口の大段部に差し込むだけで十分だからである。
【0008】
ケーブルグロメットと段付き開口との間のシール箇所は、段付き開口の外側領域近傍に位置しているため、その外側領域近傍にてシール箇所が実際にシール機能を発揮しているかを点検することができる。シール機能に問題があれば外部から視認できるため、苦情コストを削減することも可能である。
【0009】
ケーブルグロメットは、好適には、弾性材料で構成されるため、付加的なシール要素は不要である。
【0010】
ケーブルグロメットがプラグ要素と形状密着的に接続可能であり、従って取り付けも容易であれば、付加的なプラグ要素は不要である。
【0011】
形状密着的な接続を可能とするために、プラグ要素の保持領域は、その周方向における外郭面にて周方向における保持溝を有し、ケーブルグロメットの環状突起が保持溝に突入する構成とすることができる。
【0012】
ケーブルグロメットが、段付き開口の大段部に突入する領域にて、周方向において半径方向に突出するシールビードを有すれば、そのシールビード領域は特に弾性的であり、シール効果を高めることができる。
【0013】
プラグ要素をその設置位置に容易に配置可能とするために、段付き開口の大段部に突入するプラグ要素の保持領域は、フランジ状拡張部を有することができる。この場合、フランジ状拡張部は、段付き開口の小段部から大段部への移行部にて、環状面に対して軸線方向に当接可能である。
【0014】
ハウジング内部に突入するプラグ要素におけるピン部材の端部領域には、逆鉤状の係止突起が配置され、その係止突起は、ピン部材を段付き開口の小段部に差し込む際にピン部材の外郭面に折り畳み可能であると共に、プラグ要素の設置位置にて半径方向外方に向けて弾性的に折り曲げられている。
【0015】
この構成により、係止突起は、プラグ要素の設置位置にて、段付き開口の小段部におけるハウジング内部側領域で係止するため、プラグ要素が意図せずしてその設置位置から外れることがない。即ち、プラグ要素を、係止突起を分離することなく、軸線方向力によってのみ段付き開口から引き出すことは不可能である。これにより、プラグ要素は、外部から端部閉鎖部に確実に取り付けることができる。
【0016】
プラグ要素が、対称断面とは完全に又は部分的に異なる断面を有し、段付き開口が、その異なる断面に対応するよう、対称断面とは完全に又は部分的に異なる断面を有する構成とすれば、プラグ要素は、端部閉鎖部に特定の方位でのみ取り付けることが可能である。
【0017】
段付き開口は、リニアアクチュエータにおける所定の設置条件に応じて、リニアアクチュエータの長手方向軸線に対して0°〜90°の角度範囲で延在させることができる。
【0018】
このことは、端部閉鎖部が接続部分を有する場合、特に有利である。なぜなら、プラグ要素及びケーブルグロメットをより容易に取り付けるのに、ケーブルグロメット及び接続部分を異なる方向に配置できるからである。
【0019】
ボールソケットとして構成可能な接続部分は、取り付けられたケーブルグロメットの方位に対して90°〜270°の角度、好適には、180°の角度で配置することができる。
【0020】
リニアアクチュエータは、好適には、スピンドル駆動装置であり、そのスピンドル駆動装置のスピンドル駆動モータは、ハウジング内部に配置されると共に、ケーブルに接触している。
【0021】
以下、本発明を図面に基づいて詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】プラグ接触アセンブリを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図示のプラグ接触アセンブリは、管状ハウジング用の端部閉鎖部1を備え、その端部閉鎖部1は底部として機能する。ハウジング(図示せず)内には、リニアアクチュエータとして機能するスピンドル駆動装置用の電気モータが配置されている。
【0024】
端部閉鎖部1には、接続部分2として機能するボールソケットが形成され、ハウジングの長手方向軸線3に対して直角に配置されている。
【0025】
端部閉鎖部1には、接続部分2の方位に対して180°で配置され、長手方向軸線3に対して45°で傾斜配置された段付き開口4が形成されている。段付き開口4は、ハウジング内部5に通じると共に小断面を有する小段部6と、外方に通じると共に大断面を有する大段部7とを含む。
【0026】
段付き開口4の長手方向軸線に対して直角に延在する環状面8により、小段部6から大段部7への移行部が形成されている。
【0027】
段付き開口には、段付き開口4の小段部6から突出するピン部材10、段付き開口4の大段部7から突出する支持領域11、並びに端部閉鎖部1における大段部7の環状面8にて当接するフランジ状拡張部12を含むプラグ要素9が嵌め込まれている。
【0028】
ハウジング内部5におけるピン部材10の突入領域には、逆鉤状の係止突起13が形成されている。係止突起13は、半径方向外方に向けて折り曲げられた係止位置から保持領域11に向けて弾性的に折り畳み可能である。係止突起13の折り曲げは、プラグ要素9が外部から段付き開口4の小段部6を通って設置位置までガイドされる取り付け時に生じる。係止突起13がハウジング内部5に完全に到達すると共に、フランジ状拡張部12が環状面8に当接すると、係止突起13は、その弾性に起因して半径方向外方に折り曲げられ、プラグ要素9の取り外しが回避される。
【0029】
保持領域11における周方向の外郭面には、フランジ状拡張部12に接続するよう周方向における保持溝14が形成され、その保持溝14内には、弾性材料で構成されたケーブルグロメット16の端部にて環状突起15が突入し、保持溝14の底面に対して付勢力で当接している。
【0030】
ケーブルグロメット16は、環状突起15領域に、周方向において外方に向けて突出するシールビード17を更に有する。シールビード17は、大段部7の周方向における内壁18に対して付勢力で当接している。
【0031】
環状突起15が弾性的な付勢力で保持溝14の底面に当接し、シールビード17が弾性的な付勢力で大段部7の内壁18に当接することにより、プラグ要素9は、段付き開口4内にてシール状態で配置され、ハウジング内部5が外方に対してシールされる。
【0032】
プラグ要素9は、軸線方向孔19を有する。ケーブルグロメット16及びプラグ要素9内の孔19により、1本以上のケーブル20が外部からプラグ要素9の端部閉鎖部側における端部領域にシール状態でガイドされ、その端部領域にてプラグ接点21に導電接続することができる。プラグ接点は、プラグ要素9に堅固に接続されると共に、プラグ要素9から軸線方向に突出している。
【0033】
図示の設置位置において、プラグ接点21は、ハウジング内部5にて堅固に配置されたソケット保持要素23内に設けられたプラグソケット22に差し込まれている。ソケット保持要素23から、プラグソケット22が電気モータ(図示せず)に電気接続される。
【符号の説明】
【0034】
1 端部閉鎖部
2 接続部分
3 長手方向軸線
4 段付き開口
5 ハウジング内部
6 小段部
7 大段部
8 環状面
9 プラグ要素
10 ピン部材
11 保持領域
12 フランジ状拡張部
13 係止突起
14 保持溝
15 環状突起
16 ケーブルグロメット
17 シールビード
18 内壁
19 孔
20 ケーブル
21 プラグ接点
22 プラグソケット
23 ソケット保持要素
図1